JPH11226913A - 木質単板の染色方法及び人工化粧単板の製造方法 - Google Patents

木質単板の染色方法及び人工化粧単板の製造方法

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JPH11226913A
JPH11226913A JP3135798A JP3135798A JPH11226913A JP H11226913 A JPH11226913 A JP H11226913A JP 3135798 A JP3135798 A JP 3135798A JP 3135798 A JP3135798 A JP 3135798A JP H11226913 A JPH11226913 A JP H11226913A
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Japan
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veneer
dye
wood
dyeing
veneers
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JP3135798A
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Takashi Tojo
峻 東條
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然銘木単板の木目は、秋材部から春材部に
移行する中間色の部分の木目幅が極めて狭いが、春材部
から秋材部に移行する中間色の部分の木目幅は極めて広
い。単板を染料に浸漬して染色する方法では、表裏が同
じように染色されるので、人工的に染色した単板を積層
接着したフリッチを薄くスライスしても、天然銘木の木
目を十分に表現できなかった。 【解決手段】 木質単板の一方の面にのみ染料を塗布し
たものを、染料を塗布した面どうしが向かい合うように
重ね合わせて一組とし、上記単板を複数組厚み方向に積
層し、厚み方向から圧締、解圧を繰り返すことにより、
片方の面から反対の面に向けて徐々に薄く染色された単
板が得られる。この単板を積層したフリッチをスライス
する。 【効果】 天然銘木単板のごとく、淡色の春材部と濃色
の秋材部との間に存在する色調が徐々に変化する化粧単
板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅機器、家具、
建築内装材等の表面化粧に用いられる木質単板(以下、
単に単板ともいう)の染色方法と、その染色方法によっ
て染色された単板を用いて製造される木質化粧単板(以
下、単に化粧単板ともいう)の製造方法に関する発明で
ある。
【0002】
【従来の技術】住宅機器、家具、建築内装材等の表面化
粧には、従来から天然の木材の中から選ばれた美観の優
れたいわゆる天然銘木を薄くスライスした化粧単板が多
く用いられてきた。いわゆる銘木としての評価に値する
木材は、その色彩だけでなく、年輪により形成される繊
細な木目の模様にも特徴があり、色彩と木目模様との連
携により形成されるデザインが高く評価されるのであ
る。
【0003】しかし、最近では、天然銘木資源が枯渇し
つつあり、それとともに価格が高騰してきたので、天然
銘木の代わりに、南洋材のように比較的安価で大量に入
手できる木材を、スライサー又はロータリーレースで薄
くスライスした単板を、必要に応じて漂白、又は脱色し
た後、染色して天然銘木に似せたものも用いられるよう
になってきた。
【0004】ところが、南洋材のように比較的安価で大
量に入手できる木材は、木目幅が広く、木目模様が大柄
又は単調であったり、或いは木目が明瞭でないものが殆
どであり、天然銘木独特の美観にはほど遠いものであ
る。従って、これら単板を単に染色しただけでは、天然
銘木のような高級感を醸し出すことができない。そのた
め、最近では、これら安価な木材から製造した原料単板
を染色し、それを厚み方向に積層接着してフリッチを造
り、それを積層面と交差する方向に薄くスライスして得
られる人工の木質化粧単板が実用化されるようになって
きた。
【0005】すなわち、これら南洋材等の安価な木材か
ら得られる原料単板を、表現しようとする天然銘木の春
材部に相当する色調に染色したものと、秋材部に相当す
る色調に染色したものを交互に積層接着したフリッチ
を、積層面と交差する方向に薄くスライスすることによ
り、天然銘木の単板と極めてよく似た木質化粧単板を得
ようとするものである。
【0006】原材料である南洋材等の原料単板の厚み
は、表現しようとする天然銘木の木目幅を参考に設定さ
れる。また、表現しようとする天然銘木の色調にできる
だけよく似せるためと、染色後の単板の色調を一定範囲
に収めるために、染色前に漂白又は脱色してから用いら
れるのが普通である。
【0007】しかしながら、上記のように、天然銘木の
春材部に相当する色調に染色した単板と秋材部に相当す
る色調に染色した単板を交互に積層接着したフリッチを
スライスすることにより得られる化粧単板は、春材色の
単板と秋材色の単板との境界で急激に色調が変化し、両
者の境界が明瞭である。
【0008】ところが、天然銘木の化粧単板において
は、春材部から秋材部への移行はそれほど明瞭でなく、
その中間に徐々に色調が変化する移行部が存在する。従
って、通常の染色方法により染色した単板を、単に積層
し、スライスしただけでは、天然銘木の木目のように、
春材部と秋材部との間に、中間色を呈する移行部のある
化粧単板を得ることができない。
【0009】一方、春材部を表現する淡色の単板と、秋
材部を表現する濃色の単板とをそれぞれ用意する代わり
に、同じ染色単板を用いて人工の化粧単板を製造する方
法も知られている。即ち、従来技術により通常の染色方
法により染色された単板は、染料がよく浸透する表面層
及び裏面層の近くが濃く染色され、内部に向かうほど徐
々に薄く染色される。この染色単板を複数枚積層したフ
リッチをスライスして得られる単板の木目の濃度変化の
勾配を模式的に図示すると、図3又は図4の模式図の如
く、春材部に相当する淡色部分と秋材部に相当する濃色
部分に加えて、中間色を呈する移行部が形成される。
【0010】しかしながら、天然銘木の木目をさらに綿
密に観察すると、秋材部から春材部へ移行する中間色の
移行部の幅は狭く、濃度変化の勾配が大きい。或いは、
前記移行部が殆ど観察されないものもある。これに対し
て、春材部から秋材部への移行部の幅は、秋材部から春
材部への移行部の幅よりも遙かに広く、濃度変化の勾配
は、極めて小さいことがわかる。
【0011】従来技術の単板の染色は、染料中に単板を
浸漬する方法により行われるから、単板の表裏が同じよ
うに染色される。従って、これを積層接着しても、秋材
部から春材部への移行部の幅と春材部から秋材部への移
行部の幅とが同じになり、上述のような天然銘木特有の
繊細な木目感を表現できない。単板の一方の面に、染料
が浸透しにくくなるよう、ポリエチレン樹脂等により、
防水性の塗膜を形成し、表裏の染色濃度に差をつける方
法も考えられるが、単板表面に塗膜を形成するには、単
板を乾燥させる等の手間がかかるうえに、この方法によ
り染色した単板を積層接着するときに、防水性の塗膜を
除去しないと十分な接着力を得られないという問題があ
り、手間がかかりすぎて実用的でない。
【0012】この問題点を解決するための手段として、
特開昭55−11864号公報に二つの発明が記載され
ている。第一の発明によれば、表面層が濃色で中心層に
向かって淡色になるような濃度変化の勾配をもつ染色単
板をつくり、この単板の片面側を削り取って表面層が濃
色で裏面層が淡色の切削単板をつくり、この切削単板を
表面層がそれぞれ同一方向を向くように接着剤層を介し
て複数枚重ね、この積層体のフリッチをスライスして化
粧単板を得る方法である。
【0013】第二の発明は、上記切削単板と、この切削
単板の裏面層と同一色に染色した第2の染色単板をつく
り、切削単板の裏面に接着剤層を介して第2の染色単板
を重ねて1組とし、これを切削単板の表面層がそれぞれ
同一方向を向くように接着剤層を介して複数枚重ね、こ
の積層体のフリッチをスライスして化粧単板を得る方法
である。
【0014】上記2発明では、染色単板の一部を切削・
除去しなければならないため、染色単板の歩留まりが著
しく低下するという欠点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下に述べ
る方法により、木質の人工化粧単板において、秋材部と
春材部との境界に両者の中間の色調を有する移行部を形
成することであり、第2の課題は、上記人工化粧単板に
おいて、単板の歩留まりを下げることなく、春材部から
秋材部への移行部の幅を、秋材部から春材部への移行部
の幅よりも広く形成することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に述べる
単板の片方の面からのみ染色する方法により、上記問題
点を解決しようとするものである。すなわち、先ず、染
色しようとする単板を多数枚用意し、それら単板の片方
の表面に目的とする天然銘木の色調の染料を塗布する。
そして、染料を塗布された面どうしが互いに接するよう
に2枚の単板を重ね合わせる。このようにして2枚を一
組とした単板を多数組重ね合わせたものをプレス機によ
り、圧締と解圧を繰り返し、染料成分を内部に浸透させ
る。木材中の水分は、自然状態で放置しておいても、内
部の含水率が均一になるように、含水率の高い部分から
低い部分へ移動するという性質がある。特に、木材内部
の自由水は移動しやすいから、自由水の存在する繊維飽
和点以上の含水率の単板は、プレス機により、圧締と解
圧を繰り返すことにより、容易に自由水を移動させるこ
とができる。
【0017】染料成分は、その一部を単板に定着させな
がら、表面から内部に移動していくから、単板表面から
内部に、向かって徐々に薄い色調に染色される。本発明
は、主として、単板内部で容易に移動する自由水ととも
に染料を移動させ、単板内部に浸透させようとするもの
であるから、単板の含水率は、繊維飽和点よりも高いこ
とが望ましい。ただし、単板のごく表面に近い部分を染
色する場合、あるいは、単板の厚みが薄い場合は、自由
水がなくとも、染料の溶媒水で十分な場合があるから、
そのような場合は、必ずしも自由水は必要でないが、後
述するように、染色後の単板を積層接着する際、及び、
最終目標である化粧単板の含水率を整えるうえでも、以
下に述べるように、原料単板は自由水を含んだものの方
が望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】上記理由から、本発明における望
ましい実施形態においては、まず、含水率が繊維飽和点
以上の単板を用いて、単板内部の自由水又は染料の溶媒
水、或いは、単板内部の自由水と染料の溶媒水との両方
を、圧締と解圧を繰り返し、単内表面から内部に移動さ
せ、それとともに染料成分も単板内部に移動させる。こ
のように、含水率が繊維飽和点以上の単板を用いれば、
濃度変化の勾配の小さな春材部から秋材部への移行部を
表現できる染色単板が得られる。この場合、染料を塗布
する面よりも、その反対側の面の含水率を低くしておく
と、水分と一緒に染料成分が単板内部に移動しやすい。
【0019】上記方法により染色した単板は、染料を塗
布した面からのみ染料が浸透するから、この単板を染料
を塗布した面を一定方向に揃えて、多数枚積層接着して
フリッチを製造し、該フリッチを積層面に交差する方向
にスライスすると、模式図6に示すような化粧単板が得
られる。
【0020】また、単板を、含水率が繊維飽和点になる
まで乾燥した後、単板表面に染料を塗布すると、表面に
ごく近い部分のみを染色できる。単板含水率を繊維飽和
点まで下げることにより、単板内の自由水がなくなるか
ら、染料成分が、染料の溶媒水とともに、単板表面近く
で吸収され、内部まで浸透しにくくなり、単板表面にご
く近い部分のみを染色でき、濃度変化の勾配が大きい秋
材部から春材部への移行部を表現できる。
【0021】含水率が繊維飽和点以上で自由水を含む単
板について、先ず、片方の面を天然銘木の春材部から秋
材部への移行部に相当するよう濃度変化の勾配を小さく
染色し、次ぎに、含水率が繊維飽和点になるまで乾燥し
た後、続いて、もう片方の面の表面にごく近い部分を、
秋材部から春材部への移行部のように、濃度変化の勾配
がおおきくなるように染色する。このようにして、単板
の表面と裏面とについて、染料の浸透度合いが異なるよ
うに染色した単板の表面又は裏面を一定方向に揃えて多
数枚積層接着してフリッチを製造し、該フリッチを積層
面に交差する方向にスライスすると、模式図5に示すよ
うな化粧単板が得られる。
【0022】また、染料の濃度を濃くすることにより、
染料の溶媒水を少なくすることもでき、圧締圧力、圧締
時間、圧締・解圧の繰り返し回数を増減させる等によ
り、染料成分の単板内への浸透をいろいろと変化させる
ことができる。従って、単板含水率が同じ単板を用いて
も、染料濃度等を変化させることにより、秋材部から春
材部への移行部及び春材部から秋材部への移行部を表現
することができる。
【0023】以上述べたように、本発明においては、単
板の含水率、染料の濃度、染料塗布量、圧締圧力、圧締
時間、圧締・解圧の繰り返し回数を調整することによ
り、濃度変化の勾配を様々に変化させることができるか
ら、濃度変化の勾配が大きい秋材部から春材部への移行
部および濃度変化の勾配が小さい春材部から秋材部への
移行部の両方を様々な濃度変化の勾配で表現することが
できる。
【0024】染色が終了した単板は、次ぎに、厚み方向
に多数枚重ね合わせ積層接着されるが、通常、積層接着
の際には、湿気硬化型のウレタン樹脂系接着剤が用いら
れる。このような湿気硬化型の樹脂接着剤を用いない場
合、単板を乾燥しないと接着が困難であるから、特別の
場合を除いて、湿気硬化型の樹脂接着剤が用いられるの
である。
【0025】湿気硬化型の樹脂接着剤は、単板内の水分
を吸収することにより、硬化するものであるから、単板
表面近くにある程度の自由水が存在するか、或いは、単
板を積層して上部から圧締したときに、ある程度の水分
が単板内部からにじみ出てこないと接着力を発揮しな
い。また、含水率が低すぎる場合、特に、繊維飽和点以
下になると、単板の収縮が始まり、皺、曲がり、反り等
が発生し、不規則に変形するから、含水率は繊維飽和点
以上あった方がよい。
【0026】とはいえ、あまり水分が多すぎて、単板表
面が濡れた状態であると、接着剤を単板表面に塗布する
と同時に硬化反応を開始してしまうから、積層作業が間
に合わなくなり、積層後の接着強度が低下する。
【0027】従って、染色単板の含水率は、ある程度の
自由水を含み、表面が湿った状態で水切りされた状態が
適当である。そのような含水率は、その木質単板の繊維
飽和点以上で、且つおよそ90%以下の含水率である。
望ましくは、繊維飽和点以上かつ60%以下の含水率で
ある。
【0028】本発明においては、上述のように、単板の
含水率、染料の濃度、染料塗布量、圧締圧力、圧締時
間、圧締・解圧の繰り返し回数を調整することにより、
濃度変化の勾配を様々に変化させることができるが、染
色された化粧単板の含水率が、繊維飽和点以上で、且つ
90%以下の含水率であると、その単板を積層してスラ
イスして得られる化粧単板もまた、上記含水率とほぼ同
じになり、湿式単板としてそのまま、化粧板基材にホッ
トプレス機で熱圧して接着することができる。
【0029】化粧単板の含水率が高すぎると、化粧板基
材に熱圧して接着するときに、接着剤が化粧単板中の水
分によって薄められ、接着力が低下する。逆に、含水率
が低すぎる場合、特に、繊維飽和点以下になると、単板
の収縮が始まり、皺、曲がり、反り等が発生し、不規則
に変形したり、割れが発生したりするから、化粧単板を
化粧板基材に貼るときに不良品が多くなる。
【0030】圧締圧力は、樹種によってその上限値が異
なるが、5〜50kg/cm2 位が適当である。5kg
/cm2 以下であると染料の浸透に時間がかかりすぎ
る。50kg/cm2 以上であると、通常の木質単板
は、圧締により、木材細胞に永久歪みが生じ、厚み減り
が生じる。例えば、内地杉やえぞ松のように柔らかい針
葉樹では、20〜30kg/cm2 以上で繰り返し圧締
すると、厚み減りを起こし、なら等の広葉樹でも60k
g/cm2 以上で繰り返し圧締すると、厚み減りが生じ
る。
【0031】染色前の単板の含水率は、低い方が染料の
吸収が早い。しかし、単板の含水率は、繊維飽和点(樹
種により異なるが、25〜35%)までは容易に下げる
ことができるが、それ以下の含水率にするには、単板を
一枚ずつ風乾する等の手間がかかる。本発明の望ましい
実施形態では、前述のごとく、単板含水率を繊維飽和点
より低くなるまで下げることを要せず、染料濃度、染料
塗布量、圧締圧力等を調整して、秋材部から春材部への
移行部及び春材部から秋材部への移行部を表現できるこ
とを特徴とする。
【0032】しかしながら、単板内の自由水が多すぎた
り、染料の溶媒水が多すぎると、染料を塗布した単板を
重ね合わせて圧締したときに、重ね合わせた単板の側面
から、染料を含んだ水の一部が絞り出され、漏出してし
まうので、自由水や染料の溶媒水が多すぎても逆効果で
ある。適度な含水率は、染料を単板内部に浸透させると
きの圧締圧力によっても異なるが、その範囲は、前述の
ように、繊維飽和点以上且つ90%までであり、望まし
くは、繊維飽和点以上且つ60%までである。ただし、
南洋材等から得られる原料単板は、風乾等の手間をかけ
ないと、上記含水率よりも高いのが通常である。よっ
て、単板の含水率を上記範囲に収めるには、それなりの
コストがかかるが、以下の方法によれば安いコストで実
施できる。
【0033】すなわち、染料を塗布する前に、染色処理
を施す単板を多数枚重ね合わせ、圧締する。圧締圧力
は、染料を単板内部に浸透させるときの圧締圧力よりも
やや高めに設定する。染料を単板内部に浸透させるとき
の圧締圧力よりもやや高めに設定しておく理由は、後
で、染料を塗布することにより、染料の溶媒水が補給さ
れるから、予め、単板内の自由水を少な目にしておくた
めである。単板を圧締すると、自由水が多すぎる場合
は、重ね合わせた単板の側面から漏出する。漏出した自
由水は、吸引ポンプで吸収し、取り除く。このときに、
圧締圧力を、永久歪みが生じない範囲で最大値に設定す
ると単板内の自由水の大半は除去され、含水率が繊維飽
和点近くの単板が得られる。また、後述するように、圧
締の際に、乾燥したフェルト、紙などの吸水性のあるシ
ート状物を挟み込んでおく方法を併用すれば、含水率が
ほぼ繊維飽和点の単板を得ることもできる。圧締圧力を
上記よりも低めに調整すれば、繊維飽和点よりも高めの
含水率で、適当な量の自由水が残存する単板が得られ
る。
【0034】圧締に用いるプレス機の圧締方向が水平方
向のものであれば、絞り出されて重ね合わせた単板の側
面から漏出した自由水は自然落下するから、吸引ポンプ
は必要ない。ただし、漏出した自由水が、完全に自然落
下し終わるまでにはある程度の時間を要するから、吸引
ポンプを使用する方が作業能率が上がる。漏出した自由
水が取り除かれないうちに解圧すると、重ね合わせた単
板の側面に滞留している水は、再び単板内に吸収されて
しまうので注意を要する。
【0035】上記方法により、含水率を調整した単板の
用意ができたら、これら単板の片方の表面に染料を塗布
し、染料塗布面どうしが当接するように重ね合わせたも
のを一組とし、これを多数組重ね合わせ、厚み方向から
圧締して染料を単板内部へ浸透させるのであるが、その
際、染料が単板内部に浸透しやすくするためには、単板
に水分傾斜があった方がよい。
【0036】すなわち、染料を塗布された面から反対側
の面に向かって含水率が低くなるような水分傾斜がある
と、染料が浸透しやすい。染料塗布前の単板に水分傾斜
なくとも、染料の水分により、染料を塗布された面の含
水率は、反対面の含水率よりも高くなるから、染料塗布
により、ある程度の水分傾斜が付与されるが、それ以上
の水分傾斜があった方が、染料の浸透が早い。
【0037】それで、染料を塗布する前に、染料を塗布
する面を表にして、風乾又は、加熱する等により、水分
傾斜を付与することも考えられるが、手間がかかるう
え、自由水の移動は以外に早いため、短時間の内に染色
工程に回さないと、せっかく付与した水分傾斜が消失し
てしまう。
【0038】従って、染料を塗布する前の単板に水分傾
斜を付与するよりも、図2に示すように、染色時の圧締
時に、染料が塗布されていない単板どうしが当接されて
いる面に、乾燥したフェルト、紙などの吸水性のあるシ
ート状物を挟み込み、染料が塗布されている面の反対側
の面から水分を吸収することにより、水分傾斜を造りだ
し、染料の単板内部への浸透を促進させるとよい。
【0039】勿論、上記方法で単板に上記水分傾斜を付
与する作業を、染料塗布前に行ってもよいし、塗布前と
塗布後の両方で行ってもよい。
【0040】また、染料塗布前に単板に水分傾斜を付与
する方法は、上記方法に限らず、例えば、単板の片方の
面のみに遠赤外線を放射するとか、二枚重ねにして熱板
に挟み、上下から加熱する等の公知のどのような方法を
用いてもよい。
【0041】
【発明の効果】上記に述べたように、本発明の方法によ
れば、簡単な装置で、単板の表面から単板内部に向けて
徐々に濃度が薄くなる染色単板を製造することができ、
しかも、単板の歩留まりを低下させることもない。ま
た、この単板を積層接着して、積層面に交差する方向に
薄くスライスすることにより、天然銘木のように、秋材
部と春材部との間の移行部を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の染色方法を示す説明図
【図2】 本発明の染色方法を示す説明図
【図3】 従来技術による人工化粧単板の木目の模式図
【図4】 従来技術による人工化粧単板の木目の模式図
【図5】 本発明による化粧単板の木目の模式図
【図6】 本発明による化粧単板の木目の模式図
【符号の説明】
P 木質単板 D 染料 F シート状の吸湿材料
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質単板を染料により染色する方法にお
    いて、木質単板の一方の面にのみ染料を塗布したもの
    を、染料を塗布した面どうしが向かい合うように重ね合
    わせて一組とし、上記重ね合わせた木質単板を複数組厚
    み方向に積層し、厚み方向から圧締、解圧を繰り返すこ
    とにより、染料を木質単板内部に浸透させて染色するこ
    とを特徴とする木質単板の染色方法。
  2. 【請求項2】 木質単板を染料により染色する方法にお
    いて、木質単板の一方の面にのみ染料を塗布したもの
    を、染料を塗布した面どうしが向かい合うように重ね合
    わせて一組とし、上記重ね合わせた木質単板一組と吸水
    性のあるシート状物とを交互に複数回厚み方向に積層
    し、厚み方向から圧締、解圧を繰り返すことにより、染
    料を木質単板内部に浸透させて染色することを特徴とす
    る木質単板の染色方法。
  3. 【請求項3】 圧締圧力が、5〜50kg/cm2 であ
    ることを特徴とする請求項1〜2記載の木質単板の染色
    方法。
  4. 【請求項4】 単板含水率が、その樹種の繊維飽和点以
    上且つ90%以下であることを特徴とする請求項1〜3
    に記載の木質単板の染色方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の方法により染色し
    た木質単板を、染料を塗布した面を一定方向に向けて、
    厚み方向に多数枚積層接着してフリッチを製造し、該フ
    リッチを積層面に交差する方向にスライスすることを特
    徴とする木質化粧単板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4に記載の方法により、表裏
    面についての染料の浸透度合いが異なるように表裏面を
    染色した多数の木質単板を、染料の浸透度合いが同じ面
    を一定方向に揃えて、厚み方向に多数枚積層接着してフ
    リッチを製造し、該フリッチを積層面に交差する方向に
    スライスすることを特徴とする木質化粧単板の製造方
    法。
JP3135798A 1998-02-13 1998-02-13 木質単板の染色方法及び人工化粧単板の製造方法 Pending JPH11226913A (ja)

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JP3135798A JPH11226913A (ja) 1998-02-13 1998-02-13 木質単板の染色方法及び人工化粧単板の製造方法

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002361604A (ja) * 2001-06-13 2002-12-18 Eidai Co Ltd 化粧板の製造方法
KR100848044B1 (ko) 2008-02-20 2008-07-23 (주) 혜성무늬목 염색 천연 무늬목 제조 방법 및 그 제조 방법으로 제조된 염색 천연 무늬목
RU2539938C2 (ru) * 2011-02-17 2015-01-27 Общество с ограниченной ответственностью "НПП Экоринтех" Способ обработки деревянных изделий

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