JPH1120562A - 自動車内装材 - Google Patents

自動車内装材

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JPH1120562A
JPH1120562A JP17614997A JP17614997A JPH1120562A JP H1120562 A JPH1120562 A JP H1120562A JP 17614997 A JP17614997 A JP 17614997A JP 17614997 A JP17614997 A JP 17614997A JP H1120562 A JPH1120562 A JP H1120562A
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JP
Japan
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resin
foamed
automobile
weight
foamed layer
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Application number
JP17614997A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Fushimi
達郎 伏見
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐熱性、軽量性を有し、特に天井材と
して用いた場合に、変形、垂れ下がり等のない好適な自
動車内装材を、安価に提供する。 【解決手段】 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡
層の片面または両面に熱可塑性樹脂非発泡層を形成した
1次発泡積層シートを2次発泡させ成形して得られる2
次発泡積層シート成形体からなり自動車の車体10に留め
具7で固定される自動車内装材1で、車体10に固定する
ための留め具7の取付部3の発泡層F2 の厚さtが他の
部分の発泡層F1 の厚さTに対してt≦0.8Tとなる
ように圧縮形成して自動車室内側を凹設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車内装材に関す
るものであり、更に詳しくは、耐熱性、軽量性に優れ、
高温下での変形や自重による垂れ下がりを改善してな
り、特に自動車天井材として有用な自動車内装材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車内装材、特に自動車天井材
として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタ
ンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン
酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸
共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状
に成形したものが広く用いられている。これらの自動車
内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れてい
るという特徴がある。
【0003】しかしながら、上記のような従来の自動車
内装材は、特に自動車天井材として用いられた場合、高
温に長時間さらされるような用い方をした場合に、耐熱
性が不充分であるため、自重で垂れ下がったり、変形し
たりするなどの問題を生じることがある。
【0004】これらの問題を解決するために、無機質の
ガラス繊維とプラスチックの複合材料をベースとした自
動車内装材が使用されている。しかし、この複合材料の
場合、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が
図れない上にガラス繊維があるためにリサイクル性、作
業環境が悪く、またコスト高になるといった問題があっ
た。
【0005】そこで、軽量で耐熱性のある変性ポリフェ
ニレンエーテル(PPE)系樹脂発泡層の両面に、変性
PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートを用い
た自動車天井材が提案されている(実開平4−1116
2号公報)。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井
材は、耐熱性に優れ、軽量であるため、高温下での変形
や自重による垂れ下がりを改善することができるとされ
ているものである。
【0006】しかし、上記発泡PPE系樹脂積層シート
の成形体は、2次成形時に残留ひずみを有し、高温(例
えば80℃以上)の雰囲気中に長時間さらされたときに
穏やかに残留ひずみが緩和され、その結果、成形体が変
形して室内側に垂れ、使用に耐えなくなるという問題を
含んでいる。近年、自動車の耐熱性の要求は更に厳しく
なっており、この市場要求に対応するために、自動車内
装材は更なる耐熱性の向上が必要になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の如き実
情に鑑み、上記の如き問題が解消され、優れた耐熱性、
軽量性を有する自動車内装材、特には自動車天井材とし
て好適な内装材を、安価に、かつ容易に提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、優れた耐熱
性、軽量性を有し、安価でかつ容易に製造可能な自動車
内装材を提供するために、変性PPE系樹脂を使用した
自動車内装材の形状と耐熱性の関係について鋭意検討を
行った結果、変性PPE系樹脂発泡シートから自動車内
装材を成形する2次成形時に、内装材を車体に固定する
ための留め具取付部、即ち内装材表面への留め具の接触
部およびその周辺部の室内側を、他の部分(一般部)に
比べて圧縮して、厚さをコントロールすることにより、
軽量で、しかも従来にない耐熱性の高い、良好な寸法安
定性、成形性、耐衝撃性、遮音性、断熱性、コスト競争
力を有する変性PPE系樹脂製の自動車内装材を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明は、変性ポリフェニレン
エーテル系樹脂発泡層の片面または両面に熱可塑性樹脂
非発泡層を形成してなる1次発泡積層シートを2次発泡
させ成形して得られる2次発泡積層シート成形体からな
り、自動車の車体に留め具にて固定される自動車内装材
であって、車体に固定するための留め具の取付部を、そ
の発泡層の厚さtが他の部分の発泡層の厚さTに対して
t≦0.8Tとなるように圧縮形成して自動車室内側を
凹設してなることを特徴とする自動車内装材(請求項
1)、発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニレンエー
テル系樹脂中のフェニレンエーテル成分の含有量が35
重量%より多く75重量%以下である請求項1記載の自
動車内装材(請求項2)、自動車室内側の片面のみに非
発泡層を積層してなる請求項1、または2記載の自動車
内装材(請求項3)、成形後の変性ポリフェニレンエー
テル系樹脂発泡層の厚さTが2.0〜10mmである請
求項1、2、または3記載の自動車内装材用(請求項
4)、である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の自動車内装材、特には自
動車天井材は、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)
系樹脂発泡層(1次発泡層)の片面または両面に、熱可
塑性樹脂非発泡層を形成してなる1次発泡積層シート
を、特定の条件に当てはまるように2次発泡させ、これ
を成形して得られた自動車内装材である。図1に、本発
明に係る自動車内装材の1例としての自動車天井材を自
動車に取り付けた状態を、図2に該天井材の平面図を示
す。図中の符号1が自動車天井材であり、2〜6が該天
井材1を自動車の車体パネルに取り付けるための取付部
であって、2はアシストグリップ取付部、3はサンバイ
ザー取付部、4はサンバイザークリップ取付部、5はル
ームミラー取付部、6は室内灯取付部であり、これらの
取付部に取り付けられる留め具により天井材1が車体パ
ネルに固定される。そして、本発明では、前記取付部の
全てまたは一部の取付部、例えば、図3に示すサンバイ
ザー取付部3の発泡層F2 の厚さtが、他の部分の発泡
層F1 の厚さTに対して、t≦0.8Tとなるように自
動車室内側を圧縮形成して取付部3を凹設してなる。こ
のように、留め具の接触部およびその周辺部の取付部3
を他の部分より圧縮して天井材1の内面側を凹設する
と、該圧縮部における発泡層F2 の気泡が圧縮変形した
状態に成形され、この天井材1を自動車の車体に装着し
て高温にさらされた場合に、圧縮成形された取付部3の
周辺部が室外側、例えば図例の天井材1の場合であれば
上方に湾曲する方向に熱変形し、天井材1の自重による
垂れ下がりを防止するものと考えられる。この場合、前
記圧縮形成した取付部3の発泡層の厚さtが0.8Tよ
り大きい場合には上記のような効果が発揮されない。
【0011】前記自動車天井材1を構成する変性PPE
系樹脂発泡層は、自動車天井材1の基材となる層であ
り、この層が変性PPE系樹脂から形成されているた
め、耐熱性(ただし、成形時の残留歪みに由来する耐熱
性はのぞく)および成形性が良好で、耐熱性良好な2次
発泡積層シートが容易に成形可能となり、また、この層
が発泡層であるため、軽量で、遮音性、断熱性に優れ、
しかも密度が低いため使用樹脂量が少量ですみコスト競
争力を有するものとなる。
【0012】前記変性PPE系樹脂発泡層を形成する変
性PPE系樹脂とは、PPE系樹脂を、スチレン系単量
体を主体とする単量体またはその重合体で重合または混
合による変性を行ったものである。例えば、PPE系樹
脂とポリスチレン系樹脂(PS系樹脂)との混合樹脂、
PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたグラフ
ト、ブロックなどの共重合体(以下、PPE−St共重
合体という)、該共重合体と、PS系樹脂およびPPE
系樹脂の少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合
物が、製造が容易である点から好ましい。
【0013】前記PPE系樹脂としては、例えば、ポリ
(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、
ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エ
ーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4
−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフ
ェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6
−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ
(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,
4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニ
レン−1,4−エーテル)などが挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。これらのうちでは、ポリ(2,6−ジメチルフェニ
レン−1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの
点から好ましい。また、難燃性を付与したい場合には、
ハロゲン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロ
ルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル
−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ
(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテ
ル)が好ましい。
【0014】前記PPE系樹脂やPPE−St共重合体
と混合樹脂を形成するPS系樹脂は、スチレンまたはそ
の誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチ
ルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、
p−メチルスチレン、エチルスチレンなどを主成分とす
る樹脂であり、スチレンまたはスチレン誘導体だけから
なる単独重合体またはそれらの共重合体に限らず、他の
単量体と共重合することによって作られた共重合体であ
ってもよい。共重合体中のスチレンまたはその誘導体と
共重合しうる他の単量体は0〜40重量%の範囲で用い
られる。また、例えばハイインパクトポリスチレンのよ
うに、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際
に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させ
たものであってもよい。
【0015】前記PS系樹脂の製造に使用され得るスチ
レンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体として
は、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
のニトリル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート
などのアルキル(メタ)アクリレート、無水マレイン
酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無
水物が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以
上を組合わせて用いてもよい。
【0016】前記PS系樹脂の具体例としては、例え
ば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレンの共
重合体、ハイインパクトポリスチレンで代表されるスチ
レン・ブタジエン共重合体、スチレン・アクリロニトリ
ル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体などが挙げら
れる。このうちでは、ポリスチレンがその汎用性、コス
トの面から好ましい。
【0017】また、前記PPE系樹脂に重合、好ましく
はグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例として
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジ
メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレ
ン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げら
れる。これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて
もよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コスト
の点から好ましい。
【0018】前記PPE系樹脂にスチレン系単量体を重
合させる際に、スチレン系単量体が主成分(60重量%
以上)になる範囲でスチレン系単量体と共重合可能な単
量体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルな
どのニトリル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
トなどのアルキル(メタ)アクリレート、無水マレイン
酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物
などの1種または2種以上を含有させてもよい。
【0019】前記PPE系樹脂にスチレン系単量体また
はスチレン系単量体を主成分とする単量体混合物を重合
させたグラフト共重合体を製造する方法は、公知の方法
でよく、例えば特公昭52−30991号公報、特公昭
52−38596号公報などに開示されている、PPE
系樹脂にラジカル開始剤およびスチレン系化合物を加
え、無水の状態で、有機溶媒の存在下または不存在下1
30〜200℃の温度範囲で撹拌しながらスチレン系化
合物を重合するといった方法によればよい。
【0020】前記混合樹脂におけるPPE系樹脂とPS
系樹脂との割合、およびPPE−St共重合体における
PPE系樹脂とスチレン系単量体成分(スチレン系単量
体と共重合可能な他の単量体を40重量%以下の範囲で
含み得る)との割合としては、PPE系樹脂が35重量
%より多量かつ75重量%以下、更には35重量%より
多量かつ60重量%以下、特には38重量%より多量か
つ58重量%以下に対して、PS系樹脂またはPPE系
樹脂に重合させたスチレン系単量体成分が25重量%よ
り多量かつ65重量%以下、更には40重量%より多量
かつ65重量%以下、特には42重量%より多量かつ6
2重量%以下が好ましい。また、PPE−St共重合体
をPPE系樹脂およびPS系樹脂の少なくとも1種と混
合して変性PPE系樹脂を得る場合も、PPE系樹脂成
分の合計(以下、フェニレンエーテル成分という。)お
よび共重合可能な他の単量体0〜40重量%を含むスチ
レン系単量体の含有量(以下、スチレン成分という。)
は前記と同じであり、例えばPPE系樹脂とPPE−S
t共重合体との混合物、PPE−St共重合体とPS系
樹脂との混合物、PPE系樹脂とPPE−St共重合体
とPS系樹脂との混合物において、フェニレンエーテル
成分は35重量%より多量かつ75重量%以下、更には
35重量%より多量かつ60重量%以下、特には38重
量%より多量かつ58重量%以下に対して、スチレン成
分が25重量%より多量かつ65重量%以下、更には4
0重量%より多量かつ65重量%以下、特には42重量
%より多量かつ62重量%以下が好ましい。変性PPE
系樹脂中のPPE系樹脂の使用割合が小さすぎると耐熱
性が劣る傾向にあり、PPE系樹脂の使用割合が大きす
ぎると加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難にな
る場合がある。
【0021】前記のような変性PPE系樹脂を基材樹脂
とする変性PPE系樹脂発泡層の1次発泡層は、厚さが
1〜5mm、更には1.5〜3.5mm、発泡倍率とし
ては3〜20倍、更には5〜15倍、セル径が0. 05
〜0. 9mm、更には0.1〜0.7mm、独立気泡率
が60%以上、更には70%以上、特には80%以上で
あるのが好ましい。また、この1次発泡層中の残存揮発
成分の量は発泡層全重量に対して1〜5重量%、更には
2〜4重量%が好ましい。なお、残存揮発成分の量は、
例えば発泡層サンプルを変性PPE系樹脂が軟化しはじ
める温度以上で、かつ分解温度以下に加熱して揮発成分
を充分揮発させて、加熱前後の重量差により測定された
り、ガスクロマトグラフィーにより測定される。
【0022】前記1次発泡層の厚さが1mm未満の場
合、強度および断熱性が不十分で自動車内装材用発泡積
層シートとして適当でない場合がある。一方、5mmを
越える場合、成形加熱(2次発泡)時に熱が変性PPE
系樹脂発泡層の厚さ方向の中心部まで伝わり難く、その
ため充分な加熱が行なえず、成形性が悪くなることがあ
る。また、充分な加熱を行うべく加熱時間を長くする
と、発泡層表面のセルの破泡等が生じ、製品として許容
できるものが得られ難くなることがある。また、1次発
泡層の発泡倍率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げ
などによる破損が生じ易く、また軽量なものが得られ難
くなる。発泡倍率が20倍を越える場合、強度、および
中心部まで加熱し難いことによる成形性の低下が生じる
傾向がある。更に、セル径が0.05mm未満の場合、
充分な強度が得られ難く、0.9mmを越える場合、断
熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が60%未満
の場合、断熱性、剛性に劣るとともに、成形加熱によっ
ても目的とする2次発泡倍率が得難くなり、成形性に劣
る傾向がある。また残存揮発成分が1重量%を下回る場
合は2次発泡倍率が低くなりすぎ良好に成形できないこ
とがあり、5重量%を越える場合は非発泡層との間に空
気だまりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くな
ることがある。
【0023】本発明において使用される変性PPE系樹
脂発泡層の基材樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐
衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、
難燃剤、安定剤、臭気低減剤などを添加してもよい。
【0024】次に、本発明の自動車用内装材における非
発泡層の熱可塑性樹脂として使用されるものとしては、
PS系樹脂、耐熱ポリスチレン系樹脂(耐熱PS系樹
脂)、変性PPE系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹
脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系
樹脂等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組
み合わせて用いられるが、変性PPE系樹脂発泡層との
接着性、コスト、汎用性の点からPS系樹脂が好適であ
る。
【0025】非発泡層に好適に使用されるPS系樹脂と
しては、前記変性PPE系樹脂に用いられるものと同様
であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、
スチレン−α−メチルスチレンの共重合体、ハイインパ
クトポリスチレンで代表されるスチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙
げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合
わせて用いてもよい。このうちでは、ポリスチレン、ハ
イインパクトポリスチレンが、その汎用性、コストの面
から好ましい。耐熱のより高い耐熱PS系樹脂として
は、スチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合
体が挙げられ、例えばスチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−イタコン酸共重合体がある。
【0026】本発明の研究によれば、得られた成形体の
非発泡層に残留ひずみが存在する場合、該成形体よりな
る内装材が高温下(例えば80℃以上)にさらされる
と、その残留ひずみが緩和され成形体が変形し、例えば
自動車天井材の場合、フロント部の変形が発生している
ことがわかった。このため、発泡層より耐熱性の低いP
S系樹脂を使用することにより、非発泡層の残留ひずみ
を除く程度に加熱しても発泡層が破泡せず、表面荒れや
非発泡層の剥離が発生しないことがわかった。
【0027】前記非発泡層の厚さは、片面の場合も両面
の場合も50〜300μm、更には75〜200μmで
ある。非発泡層の厚さが50μmより薄い場合には発泡
積層シートの軽量化、コストダウン化が図れる反面、通
常、非発泡層の厚さが薄いとフラット性が悪化するとい
われており、また発泡積層シートの強度、剛性などが劣
る。更に、非発泡層の厚さが薄いと断熱性に劣り、発泡
積層シート成形時に、十分に加熱された発泡積層シート
が成形用プレスで成形されるまでの間に冷却されやす
く、必要な温度に保持され難い結果、成形体に残留歪み
が残りやすくなる傾向が生じ、耐熱性が低下する傾向に
ある。一方、300μmより厚い場合には、輸送コスト
を下げるために発泡積層シートをロール巻きにする場合
に、発泡積層シートの製造・ロール巻き工程で曲げによ
る折れが発生しやすくなる傾向にあり、また、発泡積層
シートの目付量が重くなり、自動車内装材用発泡積層シ
ートに要求される軽量化に不利となる。さらに、成形加
熱時に発泡層内部まで均一に加熱されにくくなり、その
結果、耐熱性が劣る傾向にある。
【0028】発泡層の両面に非発泡層を設ける場合に
は、例えば剛性、耐熱性、寸法安定性が優れるなどの特
徴が生じる。また、片面のみに非発泡層を設ける場合
は、得られる発泡積層シートが軽量となり、また製造が
簡略化され、コストが安くなる。なお、片面のみに非発
泡層を設ける場合には、非発泡層を室内側にするのが耐
熱性の点から好ましい。
【0029】前記熱可塑性樹脂非発泡層を形成する場
合、必要に応じて、耐衝撃性改良剤、充填剤、滑剤、酸
化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤等を
単独で、または2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0030】前記耐衝撃性改良剤は、熱可塑性樹脂非発
泡層を変性PPE系樹脂発泡層に積層し、2次発泡させ
た積層シートを自動車内装材、特には自動車用天井材と
して成形する際のパンチング加工や輸送を行った際の、
非発泡層の割れなどを防止するために使用される成分で
あり、本発明者の研究の結果、その有効性が見出された
ものである。前記耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に
混合することによってその効果を発揮するものであれば
特に限定なく使用する事ができ、重合による変性で基材
樹脂に導入して耐衝撃性効果を発揮し得る成分であって
も良い。例えばハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性
ポリスチレン)などのように耐衝撃性改良成分を含むも
のを使用する場合も、非発泡層に耐衝撃性を付与するこ
とができる。前記耐衝撃性改良剤の例としては、天然ゴ
ム、合成ゴムのようなゴムや、ゴム粒子のまわりにスチ
レン、メチルメタクリレートなどのオレフィン二重結合
をもつ単量体をグラフト重合させたものなどが好適に使
用される。耐衝撃性改良剤(ゴム分)の使用量は、ポリ
スチレン系樹脂に対して2〜25重量%、更には5〜2
0重量%が好ましい。耐衝撃性改良剤が2重量%未満の
場合には、非発泡層の柔軟性や耐衝撃性の改善効果が充
分に発現されなくなったり、曲げや衝撃などによる破損
が充分に防止されない。また、耐衝撃性改良剤の使用量
が25重量%を越える場合には、耐熱性や剛性に劣るよ
うになる。なお非発泡層の形成にハイインパクトポリス
チレンを使用する場合は、ハイインパクトポリスチレン
のゴム分と耐衝撃性改良剤(ゴム分)の使用量の合計が
ポリスチレン系樹脂に対して2〜25重量%、特に5〜
20重量%とすることが前記と同じ理由で好ましい。
【0031】また、非発泡層の熱可塑性樹脂は、成形す
る際のパンチング加工や輸送を行った際の非発泡層の割
れなどを防止するために、アイゾット衝撃強さが120
J/m以上、好ましくは170J/m以上であるのが好
ましい。アイゾット衝撃強さはノッチ付きでASTMD
256に準じて測定する。
【0032】更に、本発明の自動車内装材の難燃性を向
上させるために、非発泡層に有機系難燃剤、無機系難燃
剤を使用しても良い。前記有機系難燃剤の例としては、
ハロゲン化合物、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エ
ステルなどが挙げられるが、汎用性、コストの点からハ
ロゲン化合物が好適である。前記無機系難燃剤の例とし
ては、例えばアンチモン化合物、水酸化アルミニウム、
ポリリン酸アンモニウム、水酸化マグネシウム、酸化モ
リブデン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、ホウ酸など
が挙げられるが、基材樹脂の物性低下の抑制、微量添加
による難燃効果の点からアンチモン化合物が好適であ
る。前記難燃剤は単独でも、2種以上組み合わせて用い
てもよいが、難燃性の効果などの点から、ハロゲン化合
物とアンチモン化合物の組み合わせが好ましい。前記難
燃剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して
0.2〜10重量部、特に0.5〜7重量部が好まし
い。添加量が0.2重量部より少ない場合には難燃性の
効果が十分に発揮されないことがあり、10重量部より
多い場合には、基材樹脂の物性、例えば耐熱性などの低
下が大きくなることがある。
【0033】前記充填剤は強度、剛性、寸法安定性など
を向上させるのに有効である。使用される充填剤には特
に制限はない。充填剤の具体例としては、タルク(ケイ
酸マグネシウム)、炭酸カルシウム(重質、軽質、膠質
等)、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シ
リカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、水酸化マ
グネシウム、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデ
ンなどが挙げられる。これらの中では特にタルク、炭酸
カルシウム、マイカが好ましい。充填剤の添加量は熱可
塑性樹脂100重量部に対して1〜50重量部、好まし
くは5〜40重量部である。この添加量が1重量部未満
の場合、充填剤(無機物)を添加した明確な効果が得ら
れず、50重量部を越えて添加すると樹脂組成物の粘度
が増加し、押出機に大きな負荷がかかるため好ましくな
く、また非発泡層の衝撃強度の低下が著しくなる。
【0034】前記のごとき変性PPE系樹脂発泡層の両
面および片面に熱可塑性樹脂非発泡層を形成した1次発
泡積層シートの好ましい具体例は、前記の変性PPE系
樹脂発泡層の好ましい例およびPS系樹脂非発泡層の好
ましい例を組み合わせたものである。
【0035】本発明の自動車内装材は、前記のごとき1
次発泡積層シートを加熱し、2次発泡させ金型を用いて
成形して得られた2次発泡積層シート成形体であるが、
内装材を車体に固定するための留め具取付部、即ち、図
2に符号2〜6で示す取付部に取り付けられる留め具、
例えば図3に示すサンバイザー(符号8はサンバイザー
金具)と取り付けるためのサンバイザー留め具7の天井
材1自動車室内側表面に対する接触部およびその周辺
部、即ち取付部3の発泡層の厚さtは、内装材における
他の部分、即ち、取付部3以外の一般部の発泡層厚さT
に対して、t≦0.8T、更にはt≦0.7Tとし、か
つ室内側を圧縮してある。
【0036】上記のような圧縮された取付部を形成する
には、2次発泡積層シート成形時の金型クリアランス
を、該取付部とその他の部分とで変化させることによ
り、容易に形成することができる。なお、1次または2
次発泡積層シートに後述する表皮材などを積層した場合
の金型クリアランスは、表皮材の厚さを加えたクリアラ
ンスにすればよい。
【0037】前記の留め具取付部以外の内装材における
一般部の成形後の厚さTとしては、2.0〜10mm、
好ましくは3.0〜8mm、1次発泡シートに対する発
泡倍率(2次発泡倍率)としては1.2〜4倍、好まし
くは1.5〜3倍、平均セル径は0.1〜2.0mm、
好ましくは0.2〜1.5mm、独立気泡率としては6
0%以上、好ましくは70%以上である。
【0038】内装材の厚さが2.0mm未満の場合、強
度および断熱性に劣り、自動車内装材として適さない場
合がある。一方、10mmを越える場合は、必要以上に
嵩高く車内が狭くなる傾向がある。また、2次発泡倍率
が1.2倍未満の場合は、柔軟性に劣り、曲げなどによ
る破損が生じ易い。一方、4倍を越える場合、強度が低
下する傾向がある。更に、平均セル径が0.1mm未満
の場合、充分な強度が得られ難く、2.0mmより大き
い場合、断熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が
60%未満の場合、剛性が劣ることがある。
【0039】本発明の自動車内装材には、必要に応じて
自動車室内側に表皮材が積層されていてもよい。表皮材
の具体例としては、自動車内装材として通常用いられる
表皮材を用いることができ、例えば織布、不織布、発泡
シートなどが挙げられる。これらは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(例えばナイ
ロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリルなどの合
成樹脂や羊毛、木綿等の天然素材から製造されたもので
あってもよく、それらを組み合わせたものであってもよ
い。また、織布、不織布と発泡積層シートとの間にポリ
ウレタン、ポリオレフィンなどの樹脂発泡層が積層され
ていてもよい。更に、自動車内装材に難燃性が必要とさ
れる場合には、難燃性を付与されている表皮材を使用す
ることが好ましい。
【0040】前記表皮材を内装材に接着する方法として
は、予め表皮材に接着剤を塗布してあるものを1次発泡
積層シートに熱ロールなどを用いて接着する方法、接着
剤を1次発泡積層シートにバインダーラミネーション法
や、予めフィルム状に成形された接着剤を熱ラミネーシ
ョン法などにより積層した発泡積層シートに表皮材を熱
ロール等を用いて接着する方法、1次発泡積層シートに
表皮材を接着剤を介して仮止めし加熱成形時に成形と接
着を同時に行う方法、接着剤を発泡積層シートに積層す
る際に表皮材を同時に接着する方法などが挙げられる。
前記接着剤としては、熱可塑性接着剤、ホットメルト接
着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型
接着剤、無機系接着剤、天然物接着剤等が挙げられる
が、容易に接着させることができる点からホットメルト
接着剤が好適である。前記ホットメルト接着剤として
は、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウ
レタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、ポリア
ミド系、ポリエステル系、熱可塑性エラストマー系、ス
チレン−ブタジエン共重合体系、スチレン−イソプレン
共重合体系などの樹脂を成分とするものが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用い
ても良い。前記ホットメルト接着剤は、流動開始温度が
90℃以上のものが耐熱性の点から好ましい。
【0041】更に、本発明の自動車内装材においては、
留め具取付部を、該取付部に接触する留め具の接触面の
端縁が内装材裏面に対する車体パネルの台座の接触面の
端縁と一致するか、それより内装材における外周側に突
出する位置に設けることが好ましい。例えば、図3に示
すように、自動車の車体パネル10の内側にに設けられ
た台座11へ天井材1を固定するためのサンバイザー留
め具7における天井材1との接触面の端縁Aの位置が、
天井材1裏面に対する台座11の接触面の端縁aと一致
するか、或いは台座11の接触面の端縁aよりも、天井
材1における外周側、即ち、図例のサンバイザー取付部
3の場合であれば、少なくとも天井材1における車体前
方側に突出するように取付部3を設けておくことで、天
井材1前端部の垂れ下がりを、より確実に防止すること
ができる。
【0042】次に、本発明の自動車内装材の製造法につ
いて説明する。本発明において使用される変性PPE系
樹脂発泡層(1次発泡層)は、PPE系樹脂とPS系樹
脂との混合樹脂またはPPE系樹脂にスチレン系単量体
をグラフト共重合させた共重合体などに、要すれば各種
の添加剤を加えたものを押出機により150℃〜400
℃、好ましくは200〜350℃で溶融・混練し、つい
で150〜400℃、好ましくは200〜350℃、圧
力3〜50MPa、好ましくは5〜40MPaの高温高
圧下で樹脂100重量部に対して発泡剤1〜15重量
部、好ましくは2〜10重量部を圧入し、発泡最適温度
(150〜300℃、好ましくは180〜250℃)に
調節して低圧帯(通常は大気中)に押し出したのち、
0.5〜40m/分の条件で引き取りながらマンドレル
などによってシート状に成形するなどの方法により製造
することができる。
【0043】前記変性PPE系樹脂発泡層を製造する際
に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペン
タン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフロロメタ
ン、ジクロロエタン、ジクロロジフロロエタンなどの炭
化水素系発泡剤、ハロゲン化炭化水素系発泡剤などが挙
げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上組
み合わせて使用しても良い。なかでも炭化水素系発泡剤
が汎用性、コストの面から好ましい。
【0044】次に、前記1次発泡層に熱可塑性樹脂非発
泡層を積層して本発明の自動車内装材用成形体の製造に
用いられる1次発泡積層シートを製造する。1次発泡層
に熱可塑性樹脂非発泡層を積層する方法としては、あら
かじめフィルム状に成形した熱可塑性樹脂を、発泡成形
され供給される変性PPE系樹脂発泡層の上に熱ロール
法などにより接着する方法、多層押出金型を用いて行う
共押出積層方法などが挙げられるが、あらかじめ発泡成
形して、供給される変性PPE系樹脂発泡層の上に押出
機から供給した非発泡層樹脂組成物を層状に積層し、可
塑状態にある非発泡層を冷却ローラーなどによって固着
する方法が好ましい。なかでも、変性PPE系樹脂発泡
層を製造する押し出し発泡成形と非発泡層の押出をイン
ラインで行って積層する方法が、製造工程が減少しコス
ト的に好ましい。
【0045】更に、得られた1次発泡積層シートから自
動車内装材である成形した2次発泡積層シート成形体を
製造する方法としては、例えば上下にヒーターを持つ加
熱炉の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、
成形に適した温度、例えば120〜200℃に加熱して
2次発泡させたのち、引き続いて温度調節した金型で真
空成形、圧空成形などの手段により成形する。真空成
形、圧空成形の例としてプラグ成形、フリードローイン
グ成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マ
ッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成
形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグア
シスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの
方法が挙げられる。
【0046】前記成形においては、加熱によって発泡積
層シートの表面にケロイド状態が発生する前の状態で成
形するのが好ましい。本発明者の研究の結果、成形加熱
時に表面にケロイド状態が発生した状態で成形を行う
と、独立気泡率が低くなり、成形体の剛性が低下するこ
とが見出されている。ケロイド状態は発泡層の破泡によ
り生ずるものであり、そのため独立気泡率の低下が生じ
るためである。金型温度は通常10℃〜100℃であ
る。
【0047】前記のごとき本発明の自動車内装材は、高
温雰囲気下での室内側への変形を抑制する手段として、
高温雰囲気下で室外側に変形するような形状とするた
め、内装材を車体に固定するための留め具取付部、即ち
内装材に対する留め具の接触部およびその周辺部を、そ
の発泡層厚さtが他の部分の発泡層厚さTに対してt≦
0.8Tとなるように圧縮成形して室内側を凹設するこ
とにより、耐熱変形時の室内側への変形量が少なく、軽
量でかつ安価な自動車内装材、特に自動車天井材を提供
することができる。
【0048】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもの
でない。
【0049】実施例、比較例に用いた樹脂を表1に、ま
た、表皮材およびその接着剤を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】また、実施例および比較例で行った評価方
法を以下に示す。
【0053】(発泡層および成形体の厚さ)1次発泡シ
ートの厚さは、発泡シートの幅方向に20カ所の厚さを
測定し、その測定値の平均値を算出した。また、成形体
の発泡層厚さは、1次発泡シートの厚さと同様の方法に
て測定した値から非発泡層の厚さを引いたものの平均値
を算出した。 (発泡倍率)1次発泡シートの密度dfをJIS K7
222に準じて測定し、変性PPE系樹脂の密度dpを
JIS K7112に準じて測定し、次式より求めた。 発泡倍率=dp/df (独立気泡率)ASTM D−2859に準じて評価し
て求めた(マルチピクノメーター(ベックマン社製)を
使用)。 (セル径(平均セル径に同じ))発泡層の断面を光学顕
微鏡で観察し、20個のセル径を測定し、その測定値の
平均値を算出した。 (目付)1次発泡シートの押し出し方向に5カ所より、
1m×1mの大きさの試験片を切り出し、それらの重量
を測定したのち、平均値を算出した。 (実装耐熱性試験)成形体の耐熱性試験として、以下の
実装耐熱性試験を行なった。即ち、図2に示す自動車天
井材の成形体を自動車天井部に装着し(片面のみ非発泡
層をつけたものについては非発泡層を室内側とした)、
サンバイザー、ルームミラー、ルームランプ、ガニッシ
ュ、ピラーを介して実車と同等となるように固定した。
また、フロント部分に測定点を6点、成形体の中心線と
対称に120mm間隔で刻印した(図2中〜)。フ
ロント部の測定点付近に標線を設け、水平方向および垂
直方向の距離を測定した。次に85±1℃に設定した恒
温室に、天井材を取り付けた自動車天井部を24時間投
入した後、成形体フロント部に刻印された測定点の垂直
方向の寸法変化量の絶対値を測定し、〜の最大値を
記録した。 (パンチング時の非発泡層のワレ)パンチング時の非発
泡層のワレを以下のように評価した。 ○:成形体にワレがない。 △:成形体にワレがあるが2箇所以下である。 ×:成形体にワレが3箇所以上ある。
【0054】(実施例1)PPE樹脂成分40重量%、
PS樹脂成分60重量%となるようにPPE樹脂(A)
72.7重量%とPS樹脂(B)27.3重量%とを混
合した混合樹脂100重量部に対してi−ブタンを主成
分とする発泡剤(i−ブタン/n−ブタン=85/1
5)3重量部およびタルク0.32重量部を押出機によ
り305℃で混練し、樹脂温度198℃まで冷却し、サ
ーキュラーダイスにより押出し、切り開き、8m/分の
速さの引取りロールを介して巻取りロールにロール状に
巻き取ることによって、一次厚さ2.3mm、一次発泡
倍率10倍、独立気泡率85%、セル径0.19mm、
目付け240g/m2 の発泡シートを得た。得られた発
泡シートをロールより5m/分の速さで繰り出し、PS
樹脂成分100重量部に対し、ゴム成分11.1重量部
となるようにPS樹脂(B)83.4重量%と耐衝撃性
改良剤(C)16.6重量%を押出機で溶融・混練しT
ダイスを用いて樹脂温度265℃で押出し、発泡層の片
面に厚さ120μmの非発泡層を積層し、同様に他方の
片面に厚さ120μmの非発泡層を積層し、両面に非発
泡層を積層した。この積層シートはカットされ発泡積層
シートが得られた。次に、得られた発泡積層シートの四
方をクランプし、オーブンに入れ、発泡積層シート表面
温度が130℃となるように60秒加熱した後、60℃
に温調した一般部のクリアランスが4.2mm、サンバ
イザー取付部、サンバイザークリップ取付部、およびル
ームミラー取付部のクリアランスが1.6mmの金型に
てプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施
し、自動車天井材を得た。このとき天井材の一般部の発
泡層厚さTは4.0mm、圧縮した取付部の発泡層厚さ
tは1.4mmであった。
【0055】(実施例2)各取付部の金型クリアランス
を2.2mmとする以外は実施例1同様の方法により、
自動車天井材を得た。得られた成形体の一般部の発泡層
厚さTは4.0mm、圧縮した取付部の発泡層厚さtは
2.0mmであった。
【0056】(実施例3)PPE樹脂成分55重量%、
PS樹脂成分45重量%からなる変性PPE樹脂(A)
100重量部に対してi−ブタンを主成分とする発泡剤
(i−ブタン/n−ブタン=85/15)3重量部およ
びタルク0.32重量部を押出機により混練し、樹脂温
度205℃まで冷却し、サーキュラーダイスにより押出
し、8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロ
ールにロール状に巻き取られた。一次厚さ2.0mm、
一次発泡倍率10倍、独立気泡率87%、セル径0.1
7mm、目付け210g/m2 の発泡シートを得た。得
られた発泡シートを繰り出し、PS樹脂(B)83.4
重量%、耐衝撃性改良剤(D)16.6重量%を溶融・
混練しTダイを用いて樹脂温度265℃で押出し、発泡
層の片面に厚さ120μmの非発泡層を積層し、同様に
他方の片面に厚さ120μmの非発泡層を積層し、両面
に非発泡層を積層した。この積層シートはカットされ発
泡積層シートが得られた。次に、得られた発泡積層シー
トの四方をクランプし、オーブンに入れ、発泡積層シー
ト表面温度が140℃となるように60秒加熱した後、
60℃に温調した一般部のクリアランスが3.8mm、
サンバイザー取付部、サンバイザークリップ取付部、お
よびルームミラー取付部のクリアランスが1.6mmの
金型にてプラグ成形を行い、トリミング、パンチング加
工を施し、自動車天井材を得た。得られた成形体の一般
部の発泡層厚さTは3.6mm、圧縮した取付部の発泡
層厚さtは1.4mmであった。
【0057】(実施例4)実施例1と同様の方法にて1
次発泡両面積層シートを得た。得られた1次発泡両面積
層シートの片面に接着剤であるホットメルトフィルム
(D)を介して表皮材(E)を仮止めした表皮材を有す
る1次発泡積層シートの四方をクランプし、オーブンに
入れ、発泡積層シート表面温度が130℃となるように
60秒加熱した後、60℃に温調した一般部のクリアラ
ンス4.7mm、サンバイザー取付部、サンバイザーク
リップ取付部、およびルームミラー取付部のクリアラン
スが2.1mmの金型にてプラグ成形を行い、トリミン
グ、パンチング加工を施し、自動車天井材を得た。得ら
れた天井材の一般部発泡層の厚さTは3.9mm、圧縮
した取付部の発泡層厚さtは1.5mmであった。
【0058】(実施例5)実施例1と同様の方法にて1
次発泡シートを得た得られたシートを繰り出し、PS樹
脂(B)83.4重量%と耐衝撃性改良剤(D)16.
6重量%を溶融・混練しTダイを用いて樹脂温度265
℃で押出し、発泡層の片面に厚さ120μmの非発泡層
を積層した。この積層シートはカットされ発泡積層シー
トが得られた。次に、得られた発泡積層シートの四方を
クランプし、オーブンに入れ、発泡積層シート表面温度
が130℃となるように60秒加熱した後、60℃に温
調した一般部のクリアランスが4.2mm、サンバイザ
ー取付部、サンバイザークリップ取付部、およびルーム
ミラー取付部のクリアランスが1.6mmの金型にてプ
ラグ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、
自動車天井材を得た。得られた天井材の一般部発泡層の
厚さTは4.1mm、圧縮した取付部の発泡層厚さtは
1.5mmであった。
【0059】(比較例1)PS系樹脂成分100重量%
からなるPS樹脂(B)100重量部に対してi−ブタ
ンを主成分とする発泡剤(i−ブタン/n−ブタン=8
5/15)3重量部およびタルク0.2重量部を押出機
により280℃で混練し、樹脂温度150℃まで冷却
し、サーキュラーダイスにより押出し、8m/分の速さ
の引き取りロールを介して巻取りロールにロール状に巻
き取り、一次厚さ2.3mm、一次発泡倍率10倍、独
立気泡率85%、セル径0.13mm、目付け240g
/m2の発泡シートを得た。得られた発泡シートの両面
に、実施例1と同様にして厚さ120μmの非発泡層を
積層した。この積層シートはカットされ発泡積層シート
が得られた。次に得られた発泡積層シートの四方をクラ
ンプし、オーブンに入れ、発泡積層シート表面温度が1
00℃となるように60秒加熱した後、60℃に温調し
た一般部のクリアランスが4.2mm、サンバイザー取
付部、サンバイザークリップ取付部、およびルームミラ
ー取付部のクリアランスが1.6mmの金型にてプラグ
成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、自動
車天井材を得た。得られた天井材の一般部の発泡層厚さ
Tは3.9mm、圧縮した取付部の発泡層厚さtは1.
4mmであった。
【0060】(比較例2)実施例1と同様の方法にて1
次発泡シートを得た。この1次発泡シートはカットされ
発泡シートが得られた。次に得られた発泡シートの四方
をクランプし、オーブンに入れ、発泡シート表面温度が
130℃となるように60秒加熱した後、60℃に温調
した一般部のクリアランスが4.2mm、サンバイザー
取付部、サンバイザークリップ取付部、およびルームミ
ラー取付部のクリアランスが1.6mmの金型にてプラ
グ成形を行い、トリミング、パンチング加工を施し、自
動車天井材を得た。得られた天井材の一般部の発泡層厚
さTは4.2mm、圧縮した取付部の発泡層厚さtは
1.6mmであった。
【0061】(比較例3)取付部の金型クリアランスを
4.2mmとする以外は実施例1と同様の方法にて自動
車天井材を得た。得られた天井材の一般部の発泡層厚さ
T、取付部の発泡層厚さtは、いずれも4.0mmであ
った。
【0062】(比較例4)取付部の圧縮を室外側とした
以外は実施例1と同様の方法にて自動車天井材を得た。
得られた天井材の一般部の発泡層厚さTは4.0mm、
圧縮した取付部の発泡層厚さtは1.4mmであった。
【0063】以上の実施例1〜5、および比較例1〜4
で得られた自動車天井材をカットボディに装着し、実装
耐熱性試験を行った。結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】表3の結果から、比較例に比べて実施例
は、耐熱性を示す実装耐熱性試験における最大変形量が
小さく、自動車天井材として優れていることがわかる。
実施例3のように発泡層PPE比率を変化させても耐熱
性は良好である。また、実施例4のように表皮材を積層
しても耐熱性は良好である。更に、実施例5のように、
非発泡層の積層を片面だけにしても耐熱性は良好であ
る。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明の自動車内装材
は、高温雰囲気下においても室内側への変形量が改善さ
れており、しかも成形性、寸法安定性、耐衝撃性、遮音
性、断熱性などの特性が良好で軽量、かつ容易に製造可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車天井材を自動車に装着した状態を説明
するための一部切欠説明図である。
【図2】 トリミング加工を施した自動車天井材の一例
の平面説明図である。
【図3】 自動車天井材におけるサンバイザー取付部を
示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 自動車天井材 2 アシストグリップ取付部 3 サンバイザー取付部 4 サンバイザークリップ取付部 5 ルームミラー取付部 6 室内灯取付部 7 サンバイザー留め具 8 サンバイザー金具 10 車体パネル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡
    層の片面または両面に熱可塑性樹脂非発泡層を形成して
    なる1次発泡積層シートを2次発泡させ成形して得られ
    る2次発泡積層シート成形体からなり、自動車の車体に
    留め具にて固定される自動車内装材であって、車体に固
    定するための留め具の取付部を、その発泡層の厚さtが
    他の部分の発泡層の厚さTに対して、t≦0.8Tとな
    るように圧縮形成して自動車室内側を凹設してなること
    を特徴とする自動車内装材。
  2. 【請求項2】 発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニ
    レンエーテル系樹脂中のフェニレンエーテル成分の含有
    量が35重量%より多く75重量%以下である請求項1
    記載の自動車内装材。
  3. 【請求項3】 自動車室内側の片面のみに非発泡層を積
    層してなる請求項1、または請求項2記載の自動車内装
    材。
  4. 【請求項4】 成形後の変性ポリフェニレンエーテル系
    樹脂発泡層の厚さTが2.0〜10mmである請求項
    1、請求項2、または請求項3記載の自動車内装材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011025521A (ja) * 2009-07-24 2011-02-10 Kaneka Corp 断熱性能に優れた押出発泡成形体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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