JP3939794B2 - 自動車内装材用発泡積層シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車内装材用発泡積層シートに関する。さらに詳しくは、耐熱性、軽量性にすぐれた自動車内装材用発泡積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車内装材、とくに自動車天井用内装材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性がすぐれているという特徴を有する。
【0003】
しかしながら、前記自動車内装材、とくに自動車天井用内装材を使用し、高温に長時間さらしたばあいには、耐熱性が不充分であるため、自重で垂れ下がったり、変形したりするなどの問題が生じることがある。
【0004】
かかる問題を解決するために、無機質のガラス繊維とプラスチックの複合材料を基材とする自動車内装材が使用されてきている。
【0005】
しかし、この複合材料のばあい、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が図れないうえにガラス繊維が含まれているためにリサイクル性がわるく、またコスト高になるといった問題がある。
【0006】
耐熱性が改良され、しかも軽量でリサイクル可能な自動車天井用内装材として、軽量で耐熱性のある変性ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂発泡層の両面に、変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートが提案(実開平4−1162号公報)されている。この変性PPE系樹脂を用いた自動車天井用発泡積層シートは、耐熱性にすぐれ、軽量であるため、高温下での変形や自重による垂れ下がりを改善することができるとされているものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、自動車内装材の耐熱性、軽量性、コストに対する要求はさらに厳しくなっているため、前記変性PPE系樹脂発泡積層シートでも市場の要求を満たすには不充分であり、さらなる改善が必要とされている。たとえば、前記変性PPE系樹脂発泡積層シートの成形体は耐熱性の点において依然として満足いくものではない。本発明者の研究によれば、成形時の残留歪を有し、高温(たとえば80℃以上)の雰囲気中に長時間さらされたときに穏やかに残留歪が緩和され、その結果として変形が生じ、使用に耐えなくなるという問題を含んでいる。
【0008】
本発明は、かかる実状に鑑み、軽量性、断熱性、成形加工性、リサイクル性などの特性に加えて、さらにすぐれた耐熱性(耐熱変形性)を有する自動車内装材用発泡積層シートを、安価かつ容易に提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、すぐれた耐熱性、軽量性を有する、安価でかつ容易に製造可能な自動車内装材用成形体を提供するために種々検討を重ねた結果、耐熱性の高い変性PPE系樹脂を発泡層に用いて発泡シートの耐熱性を確保する一方、発泡層のうえに設けられる2つの非発泡層のうちの一方を発泡層より耐熱性の低い樹脂を用いて形成することで、成形時の残留歪を低減させることができ、軽量で、従来にない高い耐熱性(耐熱変形性)、良好な寸法安定性、成形性、耐衝撃性、遮音性、断熱性、コスト競争力を有する自動車内装材用発泡積層シートをうることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
すなわち、本発明は
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)のみを樹脂成分とする発泡層の片面に、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)のみを樹脂成分とする非発泡層(P)を、他方の片面にポリスチレン系樹脂(III)のみを樹脂成分とする非発泡層(S)を積層した積層シートであって、
該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)および変性ポリフェニレンエーテル系樹脂 (II) がいずれもポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレンとの混合樹脂であり、該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂( I )のポリフェニレンエーテル樹脂の割合が20〜65重量%でありポリスチレンの割合が35〜80重量%であり、かつ該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂( II )のポリフェニレンエーテル樹脂の割合が5〜70重量%でありポリスチレンの割合が30〜95重量%であり、
かつ該ポリスチレン系樹脂 (III) がハイインパクトポリスチレンである
自動車内装材用発泡積層シート(請求項1)、および
非発泡層(P)または非発泡層(S)、天然ゴムまたは合成ゴムである耐衝撃性改良剤を含有したものである請求項1記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項2)
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートは、変性PPE系樹脂(I)発泡層(1次発泡層)の片面に変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層(P)を、他方の片面にポリスチレン系樹脂(III)からなる非発泡層(S)を形成してなる1次発泡積層シートである。
【0012】
変性PPE系樹脂(I)発泡層は、自動車内装材用発泡積層シートの基体となる層であり、この層が変性PPE系樹脂から形成されているため、素材の耐熱性および成形性が良好となり、2次発泡積層シート成形体を容易にうることができる。また、この層が発泡層で密度が低いため、軽量で、遮音性、断熱性にすぐれ、使用樹脂量が少量ですみ、コスト競争力を有するものとなる。
【0013】
変性PPE系樹脂(I)発泡層を形成する変性PPE系樹脂(I)は、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹ポリスチレンとを混合することによって変性を行なったものであり、PE樹脂とポリスチレン(PS樹脂)との混合樹脂をいう。PPE樹脂とPS樹脂との混合による変性は、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0014】
変性PPE系樹脂(I)である混合樹脂におけるPPE樹脂とPS樹脂との割合としては、PPE樹脂が20〜65%、とくには30〜60%に対して、PS樹脂が35〜80%、とくには40〜70%が好ましい。PPE樹脂の使用割合が10%未満になると耐熱性が劣る傾向にあり、70%をこえると加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難になるばあいがある。
【0015】
前記PPE樹脂としては、たとえばポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちではポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの点から好ましい。また、難燃性を付与したいばあいには、ハロゲン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)が好ましい。
【0018】
リスチレンは、その汎用性、コストの点から好ましい。
【0022】
前記のごとき変性PPE系樹脂(I)を基材樹脂とする変性PPE系樹脂(I)発泡層(1次発泡層)の厚さとしては1〜5mm、さらには1.5〜3.5mm、発泡倍率としては3〜20倍、さらには5〜15倍、セル径としては0.05〜0.9mm、さらには0.1〜0.5mm、独立気泡率としては70%以上、さらには80%以上であるのが好ましい。また、1次発泡層中の残存揮発成分の量は、発泡層全重量に対して1〜5%、さらに2〜4%が好ましい。なお、残存揮発成分の量は、たとえば発泡層サンプルを変性PPE系樹脂が軟化しはじめる温度以上で分解温度以下に加熱して充分揮発成分を揮発させて、加熱前後の重量差により測定されたり、ガスクロマトグラフィーにより測定される。
【0023】
前記1次発泡層の厚さが1mm未満のばあい、強度および断熱性が不充分で自動車内装材用発泡積層シートとして適当でないばあいがある。一方、5mmをこえるばあい、成形加熱時に熱が変性PPE系発泡層の厚さ方向の中心部まで伝わりにくく、そのため充分な加熱が行なえず、成形性がわるくなるばあいがある。また、充分な加熱を行なうべく加熱時間を長くすると、発泡層表面のセルに破泡などが生じ、製品として許容できるものがえられにくくなるばあいがある。また、1次発泡層の発泡倍率が3倍未満のばあい、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易くなり、また軽量なものがえられにくくなる。発泡倍率が20倍をこえるばあい、強度および中心部まで加熱しにくいことによる成形性の悪化が生じる傾向がある。さらにセル径0.05mm未満のばあい、充分な強度がえられがたく、0.9mmをこえるばあい、断熱性に劣る傾向がある。また、独立気泡率が70%未満のばあい、断熱性、剛性に劣るとともに成形加熱によっても目的とする2次発泡倍率がえがたくなり、成形性に劣る傾向がある。また、残存揮発成分が1%を下回るばあいには、2次発泡倍率が低くなりすぎ良好に成形できないばあいがあり、5%をこえるばあいには、非発泡層との間に空気だまりが発生したり、経時による寸法安定性がわるくなるばあいがある。
【0024】
本発明における発泡層に使用される変性PPE系樹脂には、必要に応じて気泡調整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、難燃剤、安定剤、臭気低減剤などを添加してもよい。
【0025】
前記臭気低減剤としては、たとえば脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、脂環族カルボン酸、脂環族カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、アルケニル芳香族化合物と酸無水物との共重合体またはこれらの混合物などがあげられる。とくに無水マレイン酸が汎用性の点から好ましい。前記臭気低減剤が使用されるばあい、変性PPE系樹脂100部に対して0.01〜5部用いるのが好ましい。
【0026】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートにおいては、変性PPE系樹脂(I)発泡層(1次発泡層)の片面に変性PPE系樹脂(II)からなる非発泡層(P)が、他方の片面にPS系樹脂(III)からなる非発泡層(S)が形成されている。
【0027】
従来の変性PPE系樹脂発泡積層シートの成形体は、高温(たとえば80℃以上)の雰囲気中に長時間さらされると変形が生じ、たとえば自動車の天井に取り付けられた成形体のばあい、フロント部などに変形が発生する。本発明者の研究によれば、かかる変形は成形時の歪に起因し、えられた成形体の非発泡層に残留歪が存在すると、高温下でその残留歪が緩和され、その結果、成形体全体が変形することがわかった。また、本発明者は、変性PPE系樹脂(II)非発泡層を発泡層の片面側に積層し、他方の片面側に発泡層より耐熱性の低いPS系樹脂非発泡層を積層することにより、成形体の熱変形を著しく減少させることができ、変性PPE系樹脂(II)非発泡層の残留歪が除かれる程度に成形体の温度(たとえば80℃)が上昇しても、素材の耐熱性(熱変形温度=HDT)より低いため、発泡層は破泡せず、表面荒れや非発泡層の剥離も発生することはないことを見出した。なお、前記構成にするばあい、非発泡層に使用する変性PPE系樹脂(II)およびPS系樹脂(III)と、発泡層に使用する変性PPE系樹脂(I)とは接着性が高いので、高い層間接着強度がえられるという利点を有している。
【0028】
非発泡層(P)の形成に用いられる変性PPE系樹脂(II)は、PE樹脂とポリスチレン(PS)樹脂とを混合することによって変性を行なったものであり、PE樹脂とポリスチレン(PS樹脂)との混合樹脂をいう。PPE樹脂とPS樹脂との混合による変性は、製造が容易であるなどの点から好ましい。
【0029】
変性PPE系樹脂(II)におけるPPE樹脂PS樹脂との割合としては、PPE樹脂好ましくは1〜70%、さらに好ましくは5〜58%に対してPS樹脂好ましくは30〜99%、さらに好ましくは42〜95%である。
【0030】
PE樹脂が少ないと成形体の耐熱性が劣る傾向にあり、PPE樹脂が多いと加熱流動時の粘度が上昇して押出加工が困難になるばあいがある。
【0031】
変性PPE系樹脂(II)の製造に用いるPPE樹具体例、好ましいものなどは1次発泡層のばあいと同様であるので説明は省略する。
【0032】
非発泡層(S)に用いられるPS系樹脂(III)は、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)である。これは、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させる際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合させたものであ。ハイインパクトポリスチレンとしては、公知のものが使用でき、ゴム成分の含有率は通常1〜15%である。
【0034】
非発泡層に用いられるPS系樹脂(III)であるハイインパクトポリスチレンその汎用性、コストあるいは耐衝撃性の面から好ましい。
【0036】
本発明の発泡積層シートにおいて、発泡層の両面に積層される非発泡層の厚さは、両面とも100〜350μm、さらには120〜250μmである。非発泡層の厚さが100μmより薄いばあいには、発泡積層シートの軽量化、コストダウン化が図れる反面、通常フィルムの厚さフラット性が悪化するといわれており、発泡積層シートの強度、剛性などが劣り、また非発泡層の厚さが薄いので断熱性が劣り、発泡積層シート成形時に充分に加熱された発泡積層シートが成形用プレスで成形されるまでの間に冷却されやすく、必要な温度に保持されにくい結果、成形体に残留歪がのこりやすくなる傾向が生じ、耐熱性が低化する傾向にある。一方、350μmより厚いばあいには、輸送コストを下げるために発泡積層シートをロール巻きするばあいに、発泡積層シートの製造・ロール巻工程で曲げによる折れが発生し易くなる傾向にあり、また、発泡積層シートの目付量が重くなり、自動車天井用発泡積層シートに要求される軽量化に不利となる。また、成形加熱時に発泡層内部まで均一に加熱されにくくなり、その結果、耐熱性が劣る傾向にあり、難燃性も低化する傾向にある。
【0037】
1次発泡層の両面に非発泡層を設けるため、たとえば剛性、耐熱性、寸法安定性がすぐれるなどの特徴が生じる。
【0038】
前記非発泡層を形成するばあい、必要に応じて、変性PPE系樹脂(II)およびPS系樹脂(III)に耐衝撃性改良剤、難燃剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減剤などを単独でまたは2種以上を組み合わせて添加してもよい。
【0039】
前記耐衝撃性改良剤は、変性PPE系樹脂(II)非発泡層およびPS系樹脂(III)非発泡層を変性PPE系樹脂(I)発泡層に積層し、2次発泡させた積層シートを、自動車内装材、とくに自動車天井用内装材として成形する際のトリミング加工、パンチング加工や、発泡積層シートおよび成形体を輸送する際に、非発泡層の割れなどを防止するのに有効であり、かかる有効性は本発明者が初めて見出したものである。
【0040】
前記耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合することによってその効果を発揮するものであればとくに限定なく使用することができ
【0041】
前記耐衝撃性改良剤の例としては、天然ゴム、ジエン系ゴムなどの合成ゴムなどが好適に使用される。
【0042】
前記ゴムの具体例としては、たとえばスチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、ポリエーテル系特殊ゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン−アクリルゴム、液状ゴム、ノルボルネンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、MBS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、変性PPE系樹脂との相溶性のよさ、汎用性などの点から、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
【0043】
前記耐衝撃性改良剤の使用割合は、ゴム成分として非発泡層を形成する樹脂に対して2〜25%、なかんづく5〜20%が好ましい。耐衝撃性改良剤の使用割合がゴム成分として2%未満のばあいには、非発泡層の柔軟性や耐衝撃性の改善効果が充分に発現されなくなったり、曲げや衝撃などによる破損が充分に防止されず、また、25%をこえるばあいには、耐熱性や剛性に劣るようになる。なお、非発泡層(S)の形成にハイインパクトポリスチレンを使用するばあい、ハイインパクトポリスチレンのゴム成分と耐衝撃性改良剤中のゴム成分の合計の割合が非発泡層基材樹脂に対して2〜25%、なかんづく5〜20%になるのが、前記と同じ理由から好ましい。
【0044】
また、非発泡層(P)、(S)を形成する変性PPE系樹脂(II)、PS系樹脂(III)は、成形工程におけるパンチング加工や輸送を行なった際に発生する非発泡層の割れなどを防止するためにアイゾット衝撃強さが120J/m以上、好ましくは170J/m以上であるのが好ましい。アイゾット衝撃強さはノッチ付きでASTM D256に準じて測定した値である。
【0045】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートからの成形体の難燃性を向上させるために、非発泡層に有機系難燃剤、無機系難燃剤を使用してもよい。
【0046】
前記有機系難燃剤の例としては、ハロゲン化合物、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステルなどがあげられるが、汎用性、コストの点からハロゲン化合物が好適である。
【0047】
前記ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばテトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリホスフェート、ポリクロロパラフィン、パークロロペンタシクロデカン、テトラブロモエタン、ヘキサブロモシクロデカンなどがあげられる。またハロゲン化樹脂を有機系難燃剤として用いてもよい。前記ハロゲン化樹脂の具体例としては、臭素化ポリスチレン、塩素化ポリスチレンなどがあげられる。
【0048】
前記リン酸エステルの具体例としては、たとえばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどがあげられる。
【0049】
前記含ハロゲンリン酸エステルの具体例としては、たとえばトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどがあげられる。
【0050】
前記無機系難燃剤の例としては、たとえばアンチモン化合物、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、ホウ酸などがあげられる。基材樹脂の物性低下の抑制、微量添加による難燃効果の点からアンチモン化合物が好適である。
【0051】
前記アンチモン化合物の具体例としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどがあげられる。
【0052】
前記難燃剤は単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよいが、難燃性の効果などの点から、ハロゲン化合物とアンチモン化合物の組み合わせが好ましい。
【0053】
前記難燃剤の添加量は、変性PPE系樹脂(II)、PS系樹脂(III)100部(重量部、以下同様)に対して0.2〜10部、なかんづく0.5〜7部が好ましい。添加量が0.2部より少ないばあいには、難燃性の効果が充分に発揮されないばあいがあり、10部より多いばあいには、基材樹脂の物性、たとえば耐熱性などの低下が大きくなるばあいがある。
【0054】
前記充填剤は、成形体の強度、剛性、寸法安定性などを向上させるのに有効であり、使用される充填剤にはとくに限定はない。非発泡層に配合される充填剤の具体例としては、タルク(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム(重質、軽質、膠質など)、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シリカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデンなどがあげられる。これらの中ではとくにタルク、炭酸カルシウム、マイカが好ましい。
【0055】
前記充填剤の添加量は変性PPE系樹脂(II)、PS系樹脂(III)100部に対して1〜50部、好ましくは5〜40部である。添加量が1部未満のばあい、充填物(無機物)を充填した明確な効果がえられず、50部をこえて添加すると、樹脂組成物の粘度が増加し、押出機に大きな負荷がかかるため好ましくなく、また非発泡層の衝撃強度の低下が著しくなる。
【0056】
本発明の発泡積層シートには、必要に応じて非発泡層上に表皮材が積層されていてもよい。
【0057】
前記表皮材の具体例としては、従来から自動車内装材に用いられている表皮材を用いることができ、たとえば織布、不織布、発泡シートなどがあげられる。これらは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(たとえばナイロン)、ポリアクリロニトリル、モダアクリル(たとえばカネカロン)などの合成樹脂や羊毛、木綿などの天然素材から製造されたものであってもよく、それらを組み合わせたものであってもよい。また、織布または不織布と発泡積層シートとの間にウレタン、ポリオレフィンなどの樹脂の発泡層が積層されていてもよい。さらに、本発明の発泡積層シートに難燃性が必要とされるばあいには、難燃性が付与されている表皮材を使用するのが好ましい。
【0058】
前記表皮材を発泡積層シートに接着する方法としては、あらかじめ表皮材に接着剤をつけてあるものを発泡積層シートに熱ロールなどを用いて接着する方法、接着剤を発泡積層シートにバインダーラミネーション法やあらかじめフィルム状に加工された接着剤を熱ラミネーション法などにより積層したのち表皮材を熱ロールなどを用いて接着する方法、発泡積層シートに表皮材を接着剤を介して仮止めし、加熱成形時に成形と接着を同時に行なう方法、接着剤を発泡積層シートに積層する際に表皮材を同時に積層接着する方法などがあげられる。
【0059】
前記接着剤としては、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然素材系接着剤などがあげられるが、容易に接着させることができる点からホットメルト接着剤が好適である。
【0060】
前記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性エラストマー系、スチレン−ブタジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系などの樹脂を成分としたものがあげられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0061】
前記ホットメルト接着剤は、流動開始温度が90℃以上であるものが耐熱性の点から好ましい。
【0062】
本発明の発泡積層シートは、前記のごとき1次発泡積層シートであり、該1次発泡積層シートを加熱して発泡(2次発泡)させ、金型を用いて成形することにより、えられる2次発泡積層シート成形体は、自動車内装材、とくに自動車天井用内装材として好適に用いられる。
【0063】
つぎに、本発明の自動車内装材用発泡積層シートおよび自動車内装材用成形体の製法について説明する。
【0064】
本発明に使用される変性PPE系樹脂(I)発泡層(1次発泡層)は、PPE樹脂とPS樹脂との混合樹脂に、要すれば各種の添加剤を加えたものを押出機により150〜400℃、なかんづく200〜350℃で溶融・混練し、ついで150〜400℃、なかんづく200〜350℃、圧力3〜50MPa、なかんづく5〜40MPaの高温高圧下で、樹脂100部に対して発泡剤1〜15部、なかんづく2〜10部を圧入し、発泡最適温度(150〜300℃、なかんづく180〜250℃)に調節して低圧雰囲気中(通常大気中)に押し出したのち、0.5〜40m/分の条件で引き取りながらマンドレルなどによってシート状に成形するなどの方法により製造することができる。
【0065】
変性PPE系樹脂(I)発泡層を製造する際に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフルオロメタン、ジクロロエタン、ジクロロジフルオロエタンなどの炭化水素系発泡剤、ハロゲン化炭化水素系発泡剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも炭化水素系発泡剤が汎用性、コストの面から好ましい。
【0066】
前記変性PPE系樹脂(I)発泡層に、変性PPE系樹脂(II)非発泡層(P)およびPS系樹脂(III)非発泡層(S)を積層して本発明の自動車内装材用発泡積層シートが製造される。
【0067】
かかる方法としては、あらかじめフィルム状に成形した変性PPE系樹脂(II)が、発泡成形され供給される変性PPE系樹脂(I)発泡層のうえに熱ロール法などにより接着する方法、多層押出金型を用いて行なう共押出積層法などがあげられるが、あらかじめ発泡成形して供給される変性PPE系樹脂(I)発泡層のうえに押出機から供給した非発泡層用樹脂組成物を層状に積層し、可塑状態にある非発泡層を冷却ローラーなどによって固着する方法が好ましい。なかでも、変性PPE系樹脂(I)発泡層を製造する押出発泡シート成形と非発泡層の押出をインラインで行なって積層する方法が製造工程が減少し、コスト的に好ましい。
【0068】
えられた1次発泡積層シートから自動車天井用内装材である成形した2次発泡積層シートの成形体を製造する方法としては、たとえば上下にヒーターを持つ加熱炉の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度、たとえば120〜200℃に加熱して2次発泡させたのち、引き続いて温度調節した金型で真空成形、圧空成形などの手段により成形する。加熱時間は通常10〜90秒である。
【0069】
成形体の発泡セルの厚さ方向の長さおよび幅方向(成形体の幅方向)の長さを、成形体の断面をSEM、光学顕微鏡などで観察して任意のセル10個以上について測定し、平均の長さを算出してセルの厚さ方向の長さをL1、セルの幅方向の長さをL2としたとき、L1/L2が0.3〜1.0、なかんづく0.4〜1.0であるのが好ましい。L1/L2が0.3より小さいばあいまたは1.0より大きいばあいには、セルが扁平で、加熱によりセルが球状に変形するために、高温下で成形体の屈曲部の変形が発生する。したがって、たとえば自動車天井用成形体のばあいに、フロント部の変形につながり問題となる。
【0070】
85℃で8時間加熱後の成形体について、厚さ方向のセル径L1を同様に測定し、計算式:
(加熱前のL1−85℃で8時間加熱後のL1)/加熱前のL1×100(%)にしたがって算出したL1の変形率が20%以下、さらには15%以下、とくには10%以下であるのが好ましい。L1の変形率が20%より大きいばあい、成形体の屈曲部において高温下で成形体の変形がおこり、たとえば自動車天井用成形体のばあい、耐熱試験後のフロント部の変形につながり問題となる。
【0071】
L1/L2を0.3〜1.0にし、L1の変形率を20%以下にするには、1次発泡シート(変性PPE系樹脂(I)発泡層)のセルを大きく扁平させないこと、2次発泡積層シートの成形時のフリー発泡時の厚さと金型クリアランスとをコントロールすることなどによって達成することができる。フリー発泡時の厚さとは、金型成形を行なうばあいと同様の条件で予備加熱(2次発泡)を行ない、金型成形を行なわずにえた2次発泡積層シートの発泡層の厚さのことである。
【0072】
本発明の発泡積層シートからの自動車天井用内装材は、前記のごとき1次発泡積層シートを加熱し、2次発泡させて金型を用いて成形してえられた2次発泡積層シート成形体であるが、2次発泡積層シート成形体の厚さTは2次発泡時の発泡層のフリー厚さt(非成形2次発泡積層シートの発泡層の厚さ)に対して0.5t≦T、さらには0.7t≦Tであるのが好ましい。成形体の発泡層の厚さTが0.5tより小さいばあいには、成形体の発泡層に大きな残留ひずみが残り耐熱性が劣る。
【0073】
前記2次発泡積層シート成形体の発泡層の厚さTとは、耐熱性(耐熱変形性)が問題となる部分の屈曲部の最も薄い部分の厚さのことをいう。たとえば自動車天井用成形体のばあい、フロント部屈曲部またはリア部屈曲部である。前記2次発泡時の発泡層のフリー厚さtとは、1次発泡積層シートを金型を用いて成形するばあいと同じ条件で加熱して2次発泡し、金型による成形を行なわない(金型を用いない)で冷却した時の2次発泡積層シートの厚さをいう。厚さが均一でないばあいには、2次発泡層の厚さTを測定した部分と同一の箇所を測定した値である。
【0074】
前記2次発泡積層シート成形体の厚さTと2次発泡時の発泡積層シートの発泡層のフリー厚さtとの関係は、成形時の金型クリアランスを変化させて成形体の厚さを変化させることにより調節することができる。なお、また1次または2次発泡積層シートに表皮材などを積層したばあいの金型クリアランスは、表皮材の厚さを加えたクリアランスにすればよい。
【0075】
また、前記関係は、1次発泡積層シートの発泡層の厚さを変化させることにより、あるいは残存揮発成分含量を調整することにより2次発泡倍率を変化させるなどして、2次発泡時の発泡層のフリー厚さtを変化させることにより調節することもできる。1次発泡積層シートの厚さは、たとえば1次発泡シート製造時の引取速度を変化させるなどの方法により調節することができる。1次発泡積層シートの厚さを薄くすると、2次発泡積層シートの発泡層のフリー厚さtは小さくなり、厚くすると、フリー厚さtは大きくなる。また、残存揮発成分含量の調整は、1次発泡積層シート製造時の発泡剤量を変化させる方法、1次発泡積層シートを養生する方法(たとえば2次発泡がおこらないような温度下に数日〜数カ月間放置する)などにより行なうことができる。残存揮発成分率が低いばあい、2次発泡倍率が抑えられ、2次発泡時のフリー厚さtは小さくなる。
【0076】
このように、2次発泡積層シートの発泡層の厚さTを変化させなくても2次発泡時の発泡層のフリー厚さtを変化させることにより0.5t≦Tの関係を満たす範囲で成形することができる。
【0077】
また、真空成形のストレート成形のような金型が1つしかないばあいには、2次発泡積層シートの発泡層の厚さTと2次発泡時の発泡層のフリー厚さtがほぼ等しくなり好ましい。真空成形であるため成形型ぎまりもよく好ましい方法の1つである。
【0078】
真空成形、圧空成形の例としては、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法があげられる。
【0079】
成形は、前記2次発泡時の加熱によって発泡積層シートの表面にケロイド状態が発生する前の状態で成形するのが好ましい。本発明者の研究の結果、加熱により表面にケロイド状態が発生した状態で成形を行なうと、独立気泡率が低くなり、成形体の剛性が低下することが見出されている。ケロイド状態は発泡層の破泡により生ずるものであり、そのため独立気泡率の低下が生じるためである。金型温度は通常40〜100℃である。
【0080】
このようにして、好ましくは2〜10mmの厚さを有する自動車内装材用発泡積層シート成形体(2次発泡積層シート成形体)が製造される。
【0081】
前記のごとき2次発泡積層シート成形体の厚さとしては2.0〜10mm、さらには3.0〜8mm、1次発泡シートに対する発泡倍率(2次発泡倍率)としては1.2〜4倍、さらには1.5〜3倍、平均セル径としては0.1〜2.0mm、さらには0.2〜1.6mm、独立気泡率としては60%以上、さらには70%以上である。
【0082】
前記2次発泡積層シート成形体の厚さが2.0mm未満のばあい、強度および断熱性に劣り、自動車内装材用発泡積層シート成形体として適さないばあいがある。一方、10mmをこえるばあい、必要以上に嵩高くなり車内がせまくなる傾向がある。また、2次発泡倍率が1.2倍未満のばあい、柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易くなる。一方、4倍をこえるばあい、強度が低下する傾向がある。さらに平均セル径が0.1mm未満のばあい、発泡成形体としての充分な強度がえられにくく、2.0mmより大きいばあい、断熱性に劣る傾向がある。さらに、独立気泡率が60%未満のばあい、剛性が劣ることがある。
【0083】
前記のごとき本発明の自動車内装材用発泡積層シートは、2次発泡積層シート成形体の耐熱性を向上させる手段として、成形時の熱変形を低減させることが有効であり、その方法として、変性PPE系樹脂(I)発泡層より低い耐熱性のPS系樹脂(III)非発泡層(S)を片面に、変性PPE系樹脂(II)非発泡層(P)を他方の片面に積層する組み合わせにすることで、より耐熱性が向上して、熱変形性の小さい、軽量でかつ安価な自動車内装材用成形体、とくに自動車天井用内装材用成形体を提供することができる。
【0084】
【実施例】
つぎに本発明の発泡積層シートを実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0085】
実施例および比較例で用いた樹脂を表1にまとめて示す。表1中のHIPSはハイインパクトポリスチレンを表わす。
【0086】
【表1】
Figure 0003939794
【0087】
また、実施例および比較例で行なったアイゾット衝撃試験および実装耐熱性試験の方法を以下に示す。
【0088】
(アイゾット衝撃試験)
非発泡層のアイゾット衝撃強さ(ノッチ付き)をASTM D256に準じて測定した。
【0089】
(実装耐熱性試験)
2次発泡積層シート成形体(成形体)の耐熱性試験として、以下の実装耐熱性試験を行なった。
【0090】
図1に示すごとき自動車本体より屋根部分(天井部)のみを切り出した自動車天井部(カットボディ)に、図2に示すごときアシストグリップ取付穴2、サンバイザー取付穴3、ルームミラー取付穴4、室内灯取付穴5を設けた自動車天井用内装材用成形体1を装着し、サンバイザー・ルームミラー・ルームランプ・ガニッシュ・ピラーを介して実車と同等となるように固定した。また、フロント部分に測定点を6点、成形体の中心線と対称に120mm間隔で刻印した(図2中のa〜f)。フロント部の測定点付近に標線を設け、垂直方向の距離を測定した。つぎに85±1℃に設定した恒温室に成形体を取り付けたカットボディを24時間投入したのち、恒温室よりカットボディを取り出し1時間放冷した。つぎに成形体フロント部に刻印された測定点の垂直方向の寸法変化量の絶対値を測定し、a〜fのうちの最大値を記録した。
【0091】
実施例1
PPE系樹脂成分40%およびPS系樹脂成分60%となるように、表1に示す変性PPE樹脂(A)72.7%とPS樹脂(B)27.3%とを混合し、この混合樹脂100部に対してiso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3部およびタルク0.32部を加えて押出機により305℃で混練し、樹脂温度が198℃になるまで冷却し、サーキュラーダイスから押し出し、切り開いたシートを8m/分の速さの引取ロールを介して巻取ロールにロール状に巻き取った。
【0092】
えられた1次発泡シートは、厚さ2.6mm、1次発泡倍率10倍、独立気泡率85%、セル径0.19mm、目付量240g/m2であった。
【0093】
えられた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰り返しながら、HIPS(C)83.3%と耐衝撃性改良剤(D)16.7%(全ゴム成分15%)とを混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層した。
【0094】
PS系樹脂非発泡層を積層したシートをロールから5m/分の速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分7.5%、PS系樹脂成分77.5%、ゴム成分15%となるように変性PPE樹脂(A)13.6%、PS樹脂(B)61.4%および耐衝撃性改良剤(D)25%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡積層シートの他方の片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、非発泡層を両面に積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0095】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、30℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0096】
えられた自動車天井用内装材用成形体のPS系樹脂非発泡層がカットボディの天井側になるように装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0097】
実施例2
実施例1と同様にして1次発泡シートをえた。
【0098】
えられた1次発泡シートをロールから5m/分の速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分40%、PS系樹脂成分45%、ゴム成分15%となるように変性PPE樹脂(A)72.7%、PS樹脂(B)2.3%および耐衝撃性改良剤(D)25.0%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層した。
【0099】
えられた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰り出しながら、HIPS(C)83.3%と耐衝撃性改良剤(D)16.7%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの他方の片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、両面に非発泡層を積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0100】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、30℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0101】
えられた自動車天井用内装材用成形体のPS系樹脂非発泡層がカットボディの天井側になるように装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0102】
実施例3
PPE系樹脂成分55%とPS系樹脂成分45%とからなる変性PPE樹脂(A)100部に対して、iso−ブタンを主成分とする発泡剤(iso−ブタン/n−ブタン=85/15)3部およびタルク0.32部を加えて押出機により305℃で混練し、樹脂温度が205℃になるまで冷却し、サーキュラーダイスから押し出し、切り開いたシートを8m/分の速さの引取ロールを介して巻取ロールにロール状に巻き取り、1次厚さ2.6mm、1次発泡倍率10倍、独立気泡率87%、セル径0.19mm、目付量240g/m2の1次発泡シートをえた。
【0103】
えられた1次発泡シートをロールから5m/分の速さで繰り出しながら、HIPS(C)83.3%および耐衝撃性改良剤(D)16.7%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層した。
【0104】
PS系樹脂非発泡層を積層したシートをロールから5m/分の速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分7.5%、PS系樹脂成分77.5%、ゴム成分15%となるように変性PPE樹脂(A)13.6%、PS樹脂(B)61.4%および耐衝撃性改良剤(D)25%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡積層シートの他方の片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、非発泡層を両面に積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0105】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、60℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0106】
えられた自動車天井用内装材用成形体のPS系樹脂非発泡層がカットボディの天井側になるように装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0107】
実施例4
実施例3と同様にして1次発泡シートをえた。
【0108】
えられた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分40%、PS系樹脂成分45%、ゴム成分15%となるように変性PPE樹脂(A)72.7%、PS樹脂(B)2.3%および耐衝撃性改良剤(D)25.0%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層した。
【0109】
えられた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰り出しながら、HIPS(C)83.3%および耐衝撃性改良剤(D)16.7%(全ゴム成分15%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が245℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの他方の片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、両面に非発泡層を積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0110】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、30℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0111】
えられた自動車天井用内装材用成形体のPS系樹脂非発泡層がカットボディの天井側になるように装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0112】
比較例1
実施例1と同様にして1次発泡シートをえた。
【0113】
えられた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分50%、PS系樹脂成分50%となるように変性PPE樹脂(A)90.9%およびPS樹脂(B)9.1%(全ゴム成分0%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、同様の方法で他方の発泡層表面にも厚さ150μmの非発泡層を積層し、両面に非発泡層を積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0114】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、30℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0115】
えられた自動車天井用内装材用成形体をカットボディに装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0116】
比較例2
実施例3と同様にして1次発泡シートをえた。
【0117】
えられた1次発泡シートをロールから5m/分速さで繰り出しながら、PPE系樹脂成分50%、ゴム成分5.5%となるように変性PPE樹脂(A)90.9%および耐衝撃性改良剤(D)9.1%(全ゴム成分5.5%)を混合した混合樹脂を樹脂温度が275℃となるように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ150μmの非発泡層を積層し、同様の方法で他方の発泡層表面にも厚さ150μmの非発泡層を積層し、両面に非発泡層を積層した発泡積層シートをえた。えられた発泡積層シートをカットした。
【0118】
つぎに、えられた発泡積層シートの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒間加熱したのち、30℃に温調した金型を用いて金型クリアランス4.2mmでプラグ成形を行なった。成形体をトリミング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行なって自動車天井用内装材用成形体をえた。
【0119】
えられた自動車天井用内装材用成形体をカットボディに装着し、実装耐熱性試験を行なった。結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
Figure 0003939794
【0121】
表2の結果から、比較例に比べて実施例は、実装耐熱性試験の最大変形量が小さく、自動車天井用内装材用成形体としてすぐれていることがわかる。実施例1、2、3、4のように発泡層PPE比率、片面側非発泡層のPPE比率を変更しても耐熱性は良好である。
【0122】
【発明の効果】
本発明の自動車内装材用発泡積層シートは、耐熱性が改善されており、しかも成形性、寸法安定性、耐衝撃性、遮音性、断熱性などの特性が良好で軽量、かつ容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車天井用内装材用成形体を自動車に装着した状態を説明するための一部切欠説明図である。
【図2】トリミング加工を施した自動車天井用内装材用成形体の一例の平面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車天井用内装材用成形体
2 アシストグリップ取付穴
3 サンバイザー取付穴
4 ルームミラー取付穴
5 室内灯取付穴

Claims (2)

  1. 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)のみを樹脂成分とする発泡層の片面に、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(II)のみを樹脂成分とする非発泡層(P)を、他方の片面にポリスチレン系樹脂(III)のみを樹脂成分とする非発泡層(S)を積層した積層シートであって、
    該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)および変性ポリフェニレンエーテル系樹脂 (II) がいずれもポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレンとの混合樹脂であり、該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂( I )のポリフェニレンエーテル樹脂の割合が20〜65重量%でありポリスチレンの割合が35〜80重量%であり、かつ該変性ポリフェニレンエーテル系樹脂( II )のポリフェニレンエーテル樹脂の割合が5〜70重量%でありポリスチレンの割合が30〜95重量%であり、
    かつ該ポリスチレン系樹脂 (III) がハイインパクトポリスチレンである
    自動車内装材用発泡積層シート。
  2. 非発泡層(P)または非発泡層(S)、天然ゴムまたは合成ゴムである耐衝撃性改良剤を含有したものである請求項1記載の自動車内装材用発泡積層シート。
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