JPH1120563A - 自動車内装材用発泡積層シート - Google Patents

自動車内装材用発泡積層シート

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JPH1120563A
JPH1120563A JP17693097A JP17693097A JPH1120563A JP H1120563 A JPH1120563 A JP H1120563A JP 17693097 A JP17693097 A JP 17693097A JP 17693097 A JP17693097 A JP 17693097A JP H1120563 A JPH1120563 A JP H1120563A
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JP
Japan
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laminated sheet
foam
layer
foamed
resin
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JP17693097A
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English (en)
Inventor
Shuya Ozeki
修也 尾関
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量性、断熱性、成形加工性、リサイクル
性、優れた耐熱性(耐熱変形性)を有する自動車内装材
を提供する。 【解決手段】 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡
層の両面にポリスチレン系樹脂からなる非発泡層を積層
し、両非発泡層の厚さを好ましくは両非発泡層の厚さ比
が0.7以下となるよう差を設けた発泡積層シートを加
熱して2次発泡させ、これを金型を用いて成形し、自動
車用内装材、特に自動車用天井材として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車内装材用発泡
積層シートに関する。更に詳しくは、耐熱性、軽量性に
優れた自動車内装材を得ることのできる発泡積層シート
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車内装材、特に自動車天井材
として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタ
ンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン
酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸
共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状
に成形したものが広く用いられている。これらの自動車
内装材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れてい
るという特徴を有する。
【0003】しかしながら、前記自動車内装材は、特に
自動車天井材に使用し、高温に長時間さらされた場合に
は、耐熱性が不充分であるがため、自重で垂れ下がった
り、変形したりするなどの問題を生じることがある。
【0004】かかる問題を解決するために、無機質のガ
ラス繊維とプラスチックの複合材料を基材とする自動車
内装材が使用されてきている。しかし、この複合材料の
場合、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が
図れない上に、ガラス繊維が含まれているためにリサイ
クル性や作業性が悪く、またコスト高になるといった問
題がある。
【0005】そこで、耐熱性が改良され、しかも軽量で
リサイクル可能な自動車天井用内装材として、変性ポリ
フェニレンエーテル(PPE)系樹脂発泡層の両面に、
変性PPE系樹脂非発泡層を積層した発泡積層シートが
提案(実開平4−11162号公報)されている。この
変性PPE系樹脂を用いた自動車天井用発泡積層シート
は、耐熱性に優れ、軽量であるため、高温下での変形や
自重による垂れ下がりを改善することができるとされて
いるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
自動車内装材の耐熱性、軽量性、コストに対する要求は
更に厳しくなっているため、前記変性PPE系樹脂発泡
積層シートでもかかる市場要求を満たすには不充分であ
り、更なる改善が必要とされている。即ち、前記変性P
PE系樹脂発泡積層シートの成形体は耐熱性の点におい
て依然として満足いくものではなく、本発明者の研究に
よれば、成形時の残留歪みを有し、高温(例えば80℃
以上)の雰囲気中に長時間さらされた時に穏やかに残留
歪みが緩和され、その結果として変形を生じ、使用に耐
えなくなるという問題を含んでいる。
【0007】本発明は、かかる実状に鑑み、軽量性、断
熱性、成形加工性、リサイクル性などの特性に加えて、
更に優れた耐熱性(耐熱変形性)を有する自動車内装材
を得ることのできる発泡積層シートを、安価かつ容易に
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】通常、発泡積層シートの
構成は、成形加工性、断熱性、剛性など観点から、発泡
層の両面に積層される非発泡層の組成および厚さを同等
にしている。しかし、本発明者は、優れた耐熱性、軽量
性を有する、安価でかつ容易に製造可能な自動車内装材
用成形体を提供するために種々検討を重ねた結果、耐熱
性の高い変性PPE系樹脂を発泡層に用いて発泡シート
の耐熱性を確保する一方、発泡層の両面上に設けられる
2つの非発泡層に厚さ差を設け、好ましくは、両者の厚
さ比を0. 7以下にすることで、非発泡層の厚さ差によ
る熱容量差を利用し、成形オーブンから出た発泡積層シ
ートの自然放冷(冷却)による上下面の冷却差をバラン
スさせることで、従来にない高い耐熱性(耐熱変形
性)、良好な寸法安定性、成形加工性、耐衝撃性、遮音
性、断熱性、コスト競争力を有する自動車内装材を得る
ことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】即ち、本発明の第1は、変性ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂発泡層の両面にポリスチレン系樹脂か
らなる非発泡層を積層してなり、前記両非発泡層の厚さ
に差を設けたことを特徴とする自動車内装材用発泡積層
シートである(請求項1)。更に、本発明は、両非発泡
層の厚さ比が0.7以下である請求項1記載の自動車内
装材用発泡積層シート(請求項2)、発泡層の厚さが1
〜5mmである請求項1、または2記載の自動車内装材
用発泡積層シート(請求項3)、厚い側の非発泡層厚さ
が100〜350μmである請求項1〜3のいずれかに
記載の自動車内装材用発泡積層シート(請求項4)、少
なくとも片面の非発泡層のポリスチレン系樹脂がフェニ
レンエーテル成分を1重量%以上10重量%未満含有す
る請求項1〜4のいずれかに記載の自動車内装材用発泡
積層シート(請求項5)、非発泡層のポリスチレン系樹
脂が耐衝撃性改良剤を含有したものである請求項1〜5
のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シート(請
求項6)、非発泡層のポリスチレン系樹脂がハイインパ
クトポリスチレンである請求項1〜6のいずれかに記載
の自動車内装材用発泡積層シート(請求項7)、非発泡
層のアイゾット衝撃強さが120J/m以上である請求
項1〜7のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ
ート(請求項8)、発泡層の基材樹脂である変性ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂中のフェニレンエーテル成分の
含有量が35重量%より多く75重量%以下である請求
項1〜8のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シ
ート(請求項9)、である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の自動車内装材用発泡積層
シートは、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹
脂発泡層(1次発泡層)の両面にポリスチレン系樹脂か
らなり、互いの厚さの異なる非発泡層を形成してなる1
次発泡積層シートである。
【0011】変性PPE系樹脂発泡層は、自動車内装材
用発泡積層シートの基体となる層であり、この層が変性
PPE系樹脂から形成されているため、素材の耐熱性お
よび成形性が良好となり、2次発泡積層シート成形体を
容易に得ることができる。また、この層が発泡層で密度
が低いため、成形される自動車用内装材は、軽量で、遮
音性、断熱性に優れ、しかも使用樹脂量が少量で済むた
めコスト競争力を有するものとなる。
【0012】前記変性PPE系樹脂発泡層を形成する変
性PPE系樹脂とは、PPE系樹脂を、スチレン系単量
体を主体とする単量体またはその重合体で重合または混
合による変性を行ったものである。例えば、PPE系樹
脂とポリスチレン系樹脂(PS系樹脂)との混合樹脂、
PPE系樹脂にスチレン系単量体を重合させたグラフ
ト、ブロックなどの共重合体(以下、PPE−St共重
合体という)、該共重合体と、PS系樹脂およびPPE
系樹脂の少なくとも1種との混合物などが挙げられる。
これらのうちでは、PPE系樹脂とPS系樹脂との混合
物が、製造が容易である点から好ましい。
【0013】前記PPE系樹脂としては、例えば、ポリ
(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、
ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1,4−エ
ーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4
−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−n−プロピルフ
ェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6
−n−ブチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ
(2−メチル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−ブロムフェニレン−1,
4−エーテル)、ポリ(2−エチル−6−クロルフェニ
レン−1,4−エーテル)などが挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。これらのうちではポリ(2,6−ジメチルフェニレ
ン−1,4−エーテル)が、原料の汎用性、コストの点
から好ましい。また、難燃性を付与したい場合はハロゲ
ン系元素が含まれるポリ(2−メチル−6−クロルフェ
ニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−
ブロムフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2−エ
チル−6−クロルフェニレン−1,4−エーテル)が好
ましい。
【0014】前記PPE系樹脂やPPE−St共重合体
と混合物を形成するPS系樹脂は、スチレンまたはその
誘導体、例えばα−メチルスチレン、2,4−ジメチル
スチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、p
−メチルスチレン、エチルスチレンなどの誘導体を主成
分とする樹脂であり、スチレンまたはスチレン誘導体だ
けからなる単独重合体またはそれらの共重合体に限ら
ず、他の単量体と共重合することによって作られた共重
合体であってもよい。前記共重合体中のスチレンまたは
その誘導体の含有率は、通常60重量%以上、更には7
0重量%以上であり、スチレンまたはその誘導体と共重
合しうる他の単量体は0〜40重量%、更には0〜30
重量%である。また、例えばハイインパクトポリスチレ
ンのように、スチレンまたはスチレン誘導体を重合させ
る際に、合成ゴムまたはゴムラテックスを添加して重合
させたものであってもよい。
【0015】前記PS系樹脂の製造に使用されるスチレ
ンまたはその誘導体と共重合可能な他の単量体として
は、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
のニトリル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート
などのアルキル(メタ)アクリレート、無水マレイン
酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無
水物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2
種以上を組合わせて用いてもよい。
【0016】前記PS系樹脂の具体例としては、例え
ば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重
合体、ハイインパクトポリスチレンで代表されるスチレ
ン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体などが挙げられる。これらのうちでは、ポリス
チレンがその汎用性、コストの面から好ましい。
【0017】また、前記PPE系樹脂に重合、好ましく
はグラフト重合させるスチレン系単量体の具体例として
は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジ
メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレ
ン、p−メチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げら
れ、これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせ
てもよい。これらのうちではスチレンが、汎用性、コス
トの点から好ましい。
【0018】前記PPE系樹脂にスチレン系単量体を重
合させる際に、スチレン系単量体が主成分(60重量%
以上、更には70重量%以上)になる範囲でスチレン系
単量体と共重合可能な単量体、例えばアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)ア
クリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸またはその酸無水物などの1種または2種以
上を含有させてもよい。
【0019】前記PPE系樹脂にスチレン系単量体また
はスチレン系単量体を主成分とする単量体混合物を重合
させたグラフト共重合体を製造する方法としては、従来
周知の方法でよく、例えば特公昭52−30991号公
報、特公昭52−38596号公報などに開示されてい
る、PPE系樹脂にラジカル開始剤およびスチレン系単
量体または単量体混合物を加え、無水の状態で、有機溶
媒の存在下または不存在下、130〜200℃の温度範
囲で撹拌しながら単量体を重合するごとき方法によれば
よい。
【0020】前記混合樹脂におけるPPE系樹脂とPS
系樹脂との割合、およびPPE−St共重合体における
PPE系樹脂とスチレン系単量体成分(スチレン系単量
体と共重合可能な他の単量体を40重量%以下の範囲で
含み得る)との割合としては、PPE系樹脂が35重量
%より多量かつ75重量%以下、更には35重量%より
多量かつ60重量%以下、特には38重量%より多量か
つ58重量%以下に対して、PS系樹脂またはPPE系
樹脂に重合させたスチレン系単量体成分が25重量%よ
り多量かつ65重量%以下、更には40重量%より多量
かつ65重量%以下、特には42重量%より多量かつ6
2重量%以下が好ましい。また、PPE−St共重合体
をPPE系樹脂およびPS系樹脂の少なくとも1種と混
合して変性PPE系樹脂を得る場合も、PPE系樹脂成
分の合計(以下、フェニレンエーテル成分という。)お
よび共重合可能な他の単量体0〜40重量%と含むスチ
レン系単量体の含有量(以下、スチレン成分という。)
は前記と同じであり、例えばPPE系樹脂とPPE−S
t共重合体との混合物、PPE−St共重合体とPS系
樹脂との混合物、PPE系樹脂とPPE−St共重合体
とPS系樹脂との混合物において、フェニレンエーテル
成分は35重量%より多量かつ75重量%以下、更には
35重量%より多量かつ60重量%以下、特には38重
量%より多量かつ58重量%以下に対して、スチレン成
分が25重量%より多量かつ65重量%以下、更には4
0重量%より多量かつ65重量%以下、特には42重量
%より多量かつ62重量%以下が好ましい。変性PPE
系樹脂中のPPE系樹脂の使用割合が小さすぎると耐熱
性が劣る傾向にあり、またPPE系樹脂の使用割合が大
きすぎると加熱流動時の粘度が上昇し、発泡成形が困難
になる場合がある。
【0021】前記のごとき変性PPE系樹脂を基材樹脂
とする発泡層(1次発泡層)の厚さとしては、1〜5m
m、更には1.5〜3.5mm、発泡倍率としては3〜
20倍、更には5〜15倍、セル径が0. 05〜0. 9
mm、更には0.1〜0.5mm、独立気泡率が70%
以上、更には80%以上であるのが好ましい。また、1
次発泡層中の残存揮発成分の量は、発泡層全重量に対し
て1〜5重量%、更には2〜4重量%が好ましい。な
お、残存揮発成分の量は、例えば発泡層サンプルを変性
PPE系樹脂が軟化しはじめる温度以上で、かつ分解温
度以下に加熱して充分揮発成分を揮発させて、加熱前後
の重量差により測定されたり、ガスクロマトグラフィー
により測定される。
【0022】前記1次発泡層の厚さが1mm未満の場
合、強度および断熱性が不充分で自動車内装材用発泡積
層シートとして適当でないことがある。一方、5mmを
越える場合、成形加熱時に熱が変性PPE系樹脂発泡層
の厚さ方向の中心部まで伝わり難く、そのため充分な加
熱が行なえず、成形性が悪くなることがある。また、充
分な加熱を行うべく加熱時間を長くすると、発泡層表面
のセルに破泡などが生じ、製品として許容できるものが
得られ難くなることがある。また、1次発泡層の発泡倍
率が3倍未満の場合、柔軟性に劣り、曲げなどによる破
損が生じ易くなり、また軽量なものが得られ難くなる。
発泡倍率が20倍を越える場合、強度および中心部まで
加熱しにくいことによる成形性の悪化が生じる傾向があ
る。更にセル径が0.05mm未満の場合、充分な強度
が得られ難く、0.9mmを越える場合、断熱性に劣る
傾向がある。また、独立気泡率が70%未満の場合、断
熱性、剛性に劣るとともに成形加熱によっても目的とす
る2次発泡倍率が得難くなり、成形性に劣る傾向があ
る。また、残存揮発成分が1重量%を下回る場合は、2
次発泡倍率が低くなりすぎ良好に成形できないことがあ
り、5重量%を越える場合は、非発泡層との間に空気だ
まりが発生したり、経時による寸法安定性が悪くなるこ
とがある。
【0023】本発明における発泡積層シートの発泡層に
使用される変性PPE系樹脂には、必要に応じて気泡調
整剤、耐衝撃性改良剤、滑剤、酸化防止剤、静電防止
剤、顔料、難燃剤、安定剤、臭気低減剤などを添加して
もよい。
【0024】本発明の自動車内装材用発泡積層シートに
おいては、上記のような変性PPE系樹脂発泡層(1次
発泡層)の両面に、ポリスチレン系樹脂からなる非発泡
層を、両非発泡層の厚さが互いに異なるように形成され
る。従来の変性PPE系樹脂発泡積層シートの成形体
は、高温(例えば80℃以上)の雰囲気中に長時間さら
されると変形を生じ、例えば自動車の天井部に取付けら
れた成形体の場合、フロント部などに変形が発生する。
本発明者の研究によれば、かかる変形は成形時のひずみ
に起因し、得られた成形体の非発泡層に残留ひずみが存
在すると、高温下でその残留ひずみが緩和され、その結
果、成形体が変形していることがわかった。更に、本発
明者は、PS系樹脂非発泡層を発泡層の両面に積層する
際に、非発泡層の厚さを片面<片面となるように、即ち
両非発泡層の厚さに差を設けて積層することにより、成
形体の熱変形を著しく減少させることができることを見
いだした。なお、非発泡層に使用するPS系樹脂と発泡
層に使用する変性PPE系樹脂とは、接着性が高いの
で、高い層間接着強度が得られるという利点を有してい
る。
【0025】上記非発泡層に用いられるPS系樹脂は、
前記変性PPE系樹脂に用いられるものと同様であり、
ハイインパクトポリスチレンのように、スチレンまた
は、スチレン誘導体を重合させる際に合成ゴムまたはゴ
ムラテックスを添加して重合させたものであってもよ
い。ハイインパクトポリスチレンとしては、公知のもの
が使用でき、ゴム成分の含有量は通常1〜15重量%で
ある。また、このPS系樹脂中のスチレン系単量体以外
の共重合可能なその他の単量体は、40重量%以下、好
ましくは30重量%以下の範囲で用いられる。
【0026】非発泡層に用いられるPS系樹脂の具体例
としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチ
ルスチレンの共重合体、ハイインパクトポリスチレンで
代表されるスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらの
うちでは、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン
が、その汎用性、コストあるいは耐衝撃性の面から好ま
しい。耐熱性のより高いPS系樹脂としては、スチレン
とカルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げら
れ、例えばスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレ
ン−イタコン酸共重合体がある。前記PS系樹脂は単独
で用いてもよく2種類以上を組み合わせてもよい。ま
た、他の熱可塑性樹脂と混合してもよい。前記他の熱可
塑性樹脂との混合としては、例えばポリフェニレンエー
テル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン
やポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ルなどの塩化ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルホン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの中
でも、ポリフェニレンエーテルはポリスチレンとの相溶
性もよく好ましい一例である。非発泡層中に前記熱可塑
性樹脂が含まれる場合、樹脂成分中のPS系樹脂含有量
は60重量%以上、更には80重量%以上が好ましい。
ポリフェニレンエーテルと混合する場合はフェニレンエ
ーテル成分で1重量%以上10重量%未満含有するもの
が最も好ましい。
【0027】本発明の発泡積層シートにおいて、発泡層
の片面側に積層される非発泡層の厚さは、100〜35
0μm、更には120〜250μmが好ましく、成形体
の配置として自動車室内側になるように配置することが
最適である。他の片面側に積層される非発泡層の厚さ
は、前記反対面の非発泡層厚さに対して薄肉化してな
り、0. 7倍以下の範囲で薄肉化することがより好まし
く、成形体の配置として自動車室外側に配置することが
好ましい。自動車室外側非発泡層の厚さが室内側非発泡
層の厚さの0. 7倍以上の場合、成形体の残留歪が室外
側より室内側が大となり、その結果として所望の形状に
成形された成形体の先端部(天井材の場合にはフロント
部)の耐熱性は悪化する傾向にある。厚い側の非発泡層
の厚さが100μmより薄い場合には、発泡積層シート
の軽量化、コスト化が図れる反面、非発泡層(フィルム
状)の厚さが薄いので熱容量が小さく、自動車天井用成
形体のように発泡積層シートサイズが大きいものに使用
されると、発泡積層シート成形時に充分加熱された発泡
積層シートが成形プレスされるまでの間に放冷が起こ
り、成形に必要な温度に保持されにくい結果、成形体に
割れ等の問題が生じる。一方、350μmより厚い場合
には、輸送コストを下げるために発泡シートをロール巻
きする場合に、発泡積層シートの製造・ロール巻工程で
曲げによる折れが生じることがあり、また発泡積層シー
トの目付量が重くなり、自動車天井用成形体に要求され
る軽量化に不利となるとともに難燃性が悪化する傾向に
ある。
【0028】前記非発泡層を形成する場合、必要に応じ
て、PS系樹脂に耐衝撃性改良剤、難燃剤、充填剤、滑
剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、安定剤、臭気低減
剤などを単独で、または2種以上組み合わせて添加して
もよい。
【0029】前記耐衝撃性改良剤は、自動車内装材、特
に自動車天井材として成形する際のトリミング加工、パ
ンチング加工や発泡積層シートおよび成形体を輸送する
際に、非発泡層の割れなどを防止するのに有効である。
前記耐衝撃性改良剤としては、基材樹脂に混合すること
によってその効果を発揮するものであればとくに限定な
く使用することができ、重合によりPS系樹脂に導入し
て耐衝撃性改良効果を発揮しうる成分であってもよい。
前記耐衝撃性改良剤の例としては、天然ゴム、ジエン系
ゴムなどの合成ゴム、ゴム粒子のまわりにスチレン、メ
チルメタクリレートなどのオレフィン性不飽和単量体を
グラフト重合させたものなどが好適に使用される。
【0030】耐衝撃性改良剤の使用割合は、ゴム成分と
して非発泡層を形成するPS系樹脂に対して2〜25重
量%、更に5〜20重量%が好ましい。耐衝撃性改良剤
の使用割合が2重量%未満の場合には、非発泡層の柔軟
性や耐衝撃性の改善効果が充分に発現されなくなった
り、曲げや衝撃などによる破損が充分に防止ず、また、
25重量%を越える場合には、耐熱性や剛性に劣るよう
になる。なお、非発泡層の形成にハイインパクトポリス
チレンを使用する場合、ハイインパクトポリスチレンの
ゴム成分と耐衝撃性改良剤中のゴム成分の合計の割合が
非発泡層基材樹脂に対して2〜25重量%、更には5〜
20重量%になるのが、前記と同じ理由から好ましい。
【0031】また非発泡層を形成するPS系樹脂は、成
形工程におけるパンチング加工や輸送を行った際に発生
する非発泡層の割れなどを防止するためにアイゾット衝
撃強さが120J/m以上、好ましくは170J/m以
上であるものが好ましい。アイゾット衝撃強さはノッチ
付きでASTMD256に準じて測定した値である。
【0032】本発明の自動車内装材用発泡積層シートか
らなる成形体の難燃性を向上させるために、非発泡層に
有機系難燃剤、無機系難燃剤を使用してもよい。有機系
難燃剤の例としては、ハロゲン化合物、リン酸エステ
ル、含ハロゲンリン酸エステルなどが挙げられるが、汎
用性、コストの点からハロゲン化合物が好適である。無
機系難燃剤の例としては、例えばアンチモン化合物、水
酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、水酸化マ
グネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化
ケイ素、ホウ酸などが挙げられる。なかでも素材樹脂の
物性低下の抑制、微量添加による難燃効果の点からアン
チモン化合物が好適である。アンチモン化合物の具体例
としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが
挙げられる。 難燃剤は単独で用いてもよく2種以上組
み合わせて用いてもよいが、難燃性の効果などの点か
ら、ハロゲン化合物とアンチモン化合物の組み合わせが
好ましい。難燃剤の添加量は、PS系樹脂100重量部
に対して0. 2〜10重量部、更には0. 5〜7重量部
が好ましい。添加量が0. 2重量部より少ない場合は難
燃効果が充分に発揮されない場合があり、10重量部よ
り多い場合は、基材樹脂の物性、例えば耐熱性などの低
下が大きくなる場合がある。
【0033】前記充填剤は、成形体の強度、剛性、寸法
安定性などを向上させるのに有効であり、使用される充
填剤には特に制限はない。充填剤の具体例としては、タ
ルク(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム(重質、
軽質、膠質など)、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カ
ルシウム、シリカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボ
ン、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、ゼオライ
ト、モリブデンなどが挙げられる。これらの中では特に
タルク、炭酸カルシウム、マイカが好ましい。充填剤の
添加量は、PS系樹脂100重量部に対して1〜50重
量部、好ましくは5〜40重量部である。添加量が1重
量部未満の場合、充填剤を充填した明確な効果が得られ
ず、50重量部を越えて添加すると、樹脂組成物の粘度
が増加し、押出機に大きな負荷がかかるため好ましくな
く、また非発泡層の衝撃強度の低下が著しくなる。
【0034】本発明の変性PPE系樹脂発泡積層シート
には、成形後、自動車室内側に配置される厚さが厚い非
発泡層の上に必要に応じて表皮材が積層されていてもよ
い。表皮材の具体例としては、従来の自動車内装材に用
いられている表皮材を用いることができ、例えば織布、
不織布、発泡シート、樹脂フィルムなどが挙げられる。
これらは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリアクリロニト
リル、モダアクリルなどの合成樹脂や羊毛、木綿などの
天然素材から製造されたものであってもよく、それらを
組み合わせたものであってもよい。また、織布または不
織布と発泡積層シートとの間にウレタン、ポリオレフィ
ンなどの樹脂の発泡層が積層されていてもよい。更に、
本発明の発泡積層シートに難燃性が必要とされる場合に
は、難燃性が付与されている表皮材を使用してもよい。
【0035】表皮材を発泡積層シートに接着する具体的
な方法としては、あらかじめ表皮材に接着剤をつけてあ
るものを発泡積層シートに熱ロールなどを用いて接着す
る方法、接着剤を発泡積層シートにバインダーラミネー
ション法やあらかじめフィルム状に加工された接着剤を
熱ラミネーション法などにより積層したのち表皮材を熱
ロールなどを用いて接着する方法、発泡積層シートに接
着剤を介して表皮材を仮止めし、加熱成形時に成形と接
着を同時に行う方法、接着剤を発泡積層シートに積層す
る際に表皮材を同時に積層接着する方法などが挙げられ
る。
【0036】前記接着剤としては、熱可塑性接着剤、ホ
ットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モ
ノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然素材系接着剤
などが挙げられるが、容易に接着させることができる点
からホットメルト接着剤が好適である。ホットメルト接
着剤は、流動開始温度が90℃以上であるものが耐熱性
の点から好ましい。
【0037】本発明に係る自動車内装材用発泡積層シー
トは、前記のごとき1次発泡積層シートであり、該1次
発泡積層シートを加熱して発泡(2次発泡)させ、金型
を用いて成形し、得られた2次発泡積層シート成形体は
自動車用内装材、特に自動車用天井材として用いられ
る。
【0038】次に、本発明の自動車内装材用発泡積層シ
ート、およびこの発泡シートから自動車内装材を製造す
る方法について説明する。
【0039】本発明に係る発泡シートの発泡層(1次発
泡層)は、上記のような変性PPE系樹脂に、必要に応
じて各種の添加剤を加えたものを押出機により150℃
〜400℃、更には200〜350℃で溶融・混練し、
次いで150〜400℃、更には200〜350℃、圧
力3〜50MPa、更には5〜40MPaの高温高圧下
で樹脂100重量部に対して発泡剤1〜15重量部、更
には2〜10重量部を圧入し、発泡最適温度(150〜
300℃、更には180〜250℃)に調節して低圧雰
囲気中(通常大気中)に押出したのち、0. 5〜40m
/分の条件で引き取りながらマンドレルなどによってシ
ート状に成形するなどの方法により製造することができ
る。
【0040】前記変性PPE系樹脂発泡層を製造する際
に使用される発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペン
タン、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロフロロメタ
ン、ジクロロエタン、ジクロロジフロロエタンなどの炭
化水素系発泡剤、ハロゲン化炭化水素系発泡剤などが挙
げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上組
み合わせて使用してもよい。なかでも炭化水素系発泡剤
が汎用性、コストの面から好ましい。
【0041】前記1次発泡層にPS系樹脂非発泡層を積
層して本発明の自動車内装材用発泡積層シートを製造す
る方法としては、あらかじめフィルム状に成形したPS
系樹脂を、発泡成形され供給される1次発泡層の上に熱
ロールなどにより接着する方法、多層押出金型を用いて
行う共押出積層方法などが挙げられるが、あらかじめ発
泡成形して供給される1次発泡層の上に押出機から供給
したPS系樹脂組成物を層状に積層し、可塑状態にある
非発泡層を冷却ローラーなどによって固着する方法が好
ましい。なかでも、1次発泡層を製造する押出発泡シー
ト成形と非発泡層の押出をインラインで行って積層する
方法が、製造工程が減少しコスト的に好ましい。
【0042】得られた1次発泡積層シートから自動車内
装材である成形した2次発泡積層シートの成形体を製造
する方法としては、例えば上下にヒーターを持つ加熱炉
の中央に1次発泡積層シートをクランプして導き、成形
に適した温度、例えば110〜200℃に加熱して2次
発泡させたのち、引き続いて温度調節した金型にて真空
成形、圧空成形などの手段により成形する。加熱時間は
通常10〜90秒である。
【0043】この成形体においては、発泡層の発泡セル
の厚さ方向の長さおよび幅方向(成形体の幅方向)の長
さが、成形体の断面を電子顕微鏡(SEM)、光学顕微
鏡などで観察して任意のセル10個以上について測定
し、平均の長さを算出してセルの厚さ方向の長さをL
1、セルの幅方向の長さをL2としたとき比L1/L2
が0.3〜1.0、更には0.4〜1.0であることが
好ましい。L1/L2が0.3より小さい場合または
1.0より大きい場合は、セルが偏平で、加熱によりセ
ルが球状に変形するために、高温下で成形体の屈曲部の
変形が発生する。したがって、例えば自動車天井材用成
形体の場合、フロント部の変形につながり問題となる。
【0044】また、85℃で8時間加熱後の成形体につ
いて、厚さ方向のセル径L1を同様に測定し、計算式: (加熱前のL1−85℃で8時間加熱後のL1)/加熱
前のL1×100(%) にしたがって算出したL1の変形率が、20%以下、更
には15%以下、とくには10%以下であることが好ま
しい。L1の変形率が20%より大きい場合、成形体の
屈曲部において高温下で成形体の変形がおこり、例えば
自動車天井材用成形体の場合、耐熱試験後のフロント部
の変形につながり問題となる。
【0045】L1/L2を0.3〜1.0にし、L1の
変形率を20%以下にするには、1次発泡シートのセル
を大きく偏平させないこと、2次発泡積層シートの成形
時のフリー発泡時の厚さと金型クリアランスとをコント
ロールすることなどによって達成できる。フリー発泡時
の厚さとは、金型成形をおこなう場合と同様の条件で予
備加熱(2次発泡)を行ない、金型成形を行わずに得た
2次発泡積層シートの発泡層の厚さである。
【0046】自動車内装材は、前記のごとき1次発泡積
層シートを加熱し2次発泡させて金型を用いて成形して
得られた2次発泡積層シート(成形体)であるが、2次
発泡積層シート成形体の発泡層の厚さTは2次発泡時の
発泡層のフリー厚さt(非成形2次発泡積層シートの発
泡層の厚さ)に対して0.5t≦T、更には0.7t≦
Tであることが好ましい。成形体の発泡層の厚さTが
0.5tより小さい場合は、成形体の発泡層に大きな残
留ひずみが残り耐熱性が劣る。
【0047】前記2次発泡積層シート成形体の発泡層の
厚さTとは、耐熱性(耐熱変形性)が問題となる部分の
屈曲部の最も薄い部分の厚さのことをいう。例えば自動
車天井材用成形体の場合、フロント部屈曲部またはリア
部屈曲部である。前記2次発泡時の発泡層のフリー厚さ
tとは、1次発泡積層シートを金型を用いて成形する場
合と同じ条件で加熱して2次発泡し、金型による成形を
行わない(金型を用いない)で冷却したときの2次発泡
積層シートの厚さをいう。厚さが均一でない場合は、2
次発泡層の厚さTを測定した部分と同一の箇所を測定し
た値である。
【0048】前記2次発泡積層シート成形体の発泡層の
厚さTと2次発泡時の発泡積層シートの発泡層のフリー
厚さtとの関係は、成形時の金型クリアランスを変化さ
せて成形体のの厚さを変化させることにより調節するこ
とができる。なお、1次または2次発泡積層シートに表
皮材など積層した場合の金型クリアランスは、表皮材の
厚さを加えたクリアランスにすればよい。
【0049】また、前記関係は、1次発泡積層シートの
発泡層の厚さを変化させることにより、あるいは残存揮
発成分含量を調整することにより2次発泡倍率を変化さ
せるなどして、2次発泡時の発泡層のフリー厚さtを変
化させることにより調節することもできる。1次発泡積
層シートの厚さは、例えば1次発泡シート製造時の引取
速度を変化させるなどの方法により調節することができ
る。1次発泡積層シートの厚さを薄くすると、2次発泡
積層シートの発泡層のフリー厚さtは小さくなり、厚く
すると、フリー厚さtは大きくなる。また、残存揮発成
分含量の調整は、1次発泡シート製造時の発泡剤量を変
化させる方法、1次発泡積層シートを養生する方法(例
えば2次発泡が起こらないような温度下に数日〜数カ月
間放置する)などにより行いうる。残存揮発成分率が低
い場合、2次発泡倍率が抑えられ、2次発泡時のフリー
厚さtは小さくなる。
【0050】このように、2次発泡積層シートの発泡層
の厚さTを変化させなくても2次発泡時の発泡層のフリ
ー厚さtを変化させることにより0.5≦Tの関係を満
たす範囲で成形することができる。
【0051】また、真空成形のストレート成形のような
金型が1つしかない場合には、2次発泡積層シートの発
泡層の厚さTと2次発泡時の発泡層のフリー厚さtがほ
ぼ等しくなり好ましい。真空成形であるため成形型ぎま
りも良く好ましい方法の1つである。
【0052】真空成形、圧空成形の例としては、プラグ
成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッ
ジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレ
ート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアス
リップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバ
ースドロー成形などの方法が挙げられる。
【0053】成形は、前記2次発泡の加熱によって発泡
積層シートの表面にケロイド状態が発生する前の状態で
成形するのが好ましい。本発明者の研究の結果、加熱に
より表面にケロイド状態が発生した状態で成形を行なう
と、独立気泡率が低くなり、成形体の剛性が低下するこ
とが見出されている。ケロイド状態は発泡層の破泡によ
り生ずるものであり、そのため独立気泡率の低下が生じ
るためである。金型温度は通常40〜100℃である。
【0054】このようにして、自動車内装材用発泡積層
シート(2次発泡積層シート成形体)が製造される。こ
の2次発泡積層シート成形体の厚さとしては2.0〜1
0mm、更には3.0〜8mm、1次発泡シートに対す
る発泡倍率(2次発泡倍率)としては1.2〜4倍、更
には1.5〜3倍、平均セル径0.1〜2.0mm、更
には0.2〜1.6mm、独立気泡率としては60%以
上、更には70%以上である。
【0055】前記2次発泡積層シート成形体の厚さが
2.0mm未満の場合、強度および断熱性に劣り、自動
車内装材として適さない場合がある。一方、10mmを
越える場合、必要以上に嵩高くなり車内がせまくなる傾
向がある。また、2次発泡倍率が1.2倍未満の場合、
柔軟性に劣り、曲げなどによる破損が生じ易くなる。一
方、4倍を越える場合、強度が低下する傾向がある。更
に平均セル径が0.1mm未満の場合、発泡成形体とし
ての充分な強度が得られ難く、2.0mmより大きい場
合、断熱性に劣る傾向がある。更に、独立気泡率が60
%未満の場合、剛性が劣ることがある。
【0056】以上のように本発明の自動車内装材用発泡
積層シートは、2次発泡積層シート成形体の耐熱性を向
上させる手段として、成形時の残留歪をバランスさせる
ために、変性PPE系樹脂発泡層より低い耐熱性のPS
系樹脂非発泡層を片面に積層し、かつ該片面の非発泡層
より更に薄肉化(厚さ比0. 7倍以下)したPS系樹脂
非発泡層を他方の片面に積層して組み合わせにすること
で、より耐熱性を向上しており、熱変形を起こさない、
軽量でかつ安価な自動車内装材用成形体、とくに自動車
天井材用成形体を提供することができる。
【0057】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもの
でない。
【0058】実施例および比較例で用いた樹脂を表1に
示す。表1において、HIPSはハイインパクトポリス
チレンを表す。
【0059】
【表1】
【0060】また、実施例および比較例で行ったアイゾ
ット衝撃試験および実装耐熱性試験の方法を以下に示
す。
【0061】(アイゾット衝撃試験)非発泡層のポリス
チレン系樹脂のアイゾット衝撃強さ(ノッチ付き)をA
STM D256に準じて測定した。
【0062】(実装耐熱性試験)2次発泡積層シート成
形体の耐熱性試験として、以下の実装耐熱性試験を行な
った。即ち、図1に示すごとき自動車本体より屋根部分
(天井部)のみを切りだした自動車天井部(カットボデ
ィ)に、図2に示すごときアシストグリップ取付け穴
2、サンバイザー取付け穴3、ルームミラー取付け穴
4、室内灯取付け穴5を設けた自動車内装材用成形体1
を装着し、サンバイザー、ルームミラー、ルームラン
プ、ガニッシュ、ピラーを介して実車と同等となる様に
固定した。また、フロント部分に測定点を6点、成形体
の中心線と対称に120mm間隔で刻印した(図2中a
〜f)。フロント部の測定点付近に標線を設け、垂直方
向の距離を測定した。次に85±1℃に設定した恒温室
に成形体を取り付けたカットボディを24時間投入した
後、恒温室よりカットボディを取りだし1時間放冷し
た。次に成形体フロント部に刻印された測定点の垂直方
向の寸法変化量の絶対値を測定し、a〜fのうちの最大
値を記録した。
【0063】(実施例1)PPE系樹脂成分40重量%
およびPS系樹脂成分60重量%となるように、変性P
PE樹脂(A)72.7重量%とPS樹脂(B)27.
3重量%とを混合し、この混合樹脂100部に対してi
−ブタンを主成分とする発泡剤(i−ブタン/n−ブタ
ン=85/15)3重量部及びタルク0.32重量部を
加えて押出機により305℃で混練し、樹脂温度が19
8℃になるまで冷却し、サーキュラーダイスから押出
し、切り開いたシートを8m/分の速さの引き取りロー
ルを介して巻取りロールにロール状に巻き取った。得ら
れた1次発泡シートは、厚さ2.3mm、1次発泡倍率
10倍、独立気泡率85%、セル径0.19mm、目付
け量240g/m2 であった。この1次発泡シートをロ
ールより5m/分の速さで繰り出しながら、HIPS
(C)83.3重量%と耐衝撃性改良剤(D)16.7
重量%(全ゴム成分15重量%)とを混合した混合樹脂
を樹脂温度が270℃となるように押出機で溶融・混練
し、Tダイスを用いてフィルム状に押し出し、1次発泡
シートの片面に厚さ120μmの非発泡層を積層し、巻
取りロールにロール状に巻き取った。更に、前記PS系
樹脂非発泡層を積層したシートをロールから5m/分の
速さで繰り出しながら、同様のHIPS(C)と耐衝撃
性改良剤(D)との混合樹脂をTダイスを用いてフィル
ム状に押し出し、1次発泡積層シートの他方の片面に厚
さ65μmの非発泡層を積層し、非発泡層を両面に積層
した発泡積層シートを得た。得られた発泡積層シートを
カットした。次に得られた発泡積層シートの四方をクラ
ンプし、成形加熱オーブン炉に入れて発泡積層シートの
表面温度が145℃となるように60秒間加熱した後、
30℃に温調した金型にて金型クリアランス4.2mm
でプラグ成形を行った。成形体をトリミング加工、穴あ
け加工(パンチング加工)を行って自動車天井材用成形
体を得た。得られた自動車天井材用成形体を、PS系樹
脂非発泡層120μmがカットボディの室内側になるよ
うに装着し、実装耐熱性試験を行った。
【0064】(実施例2)発泡層両面のPS系樹脂非発
泡層の厚さをそれぞれ300μmおよび160μmとし
た以外は、実施例1と同様にして自動車天井材用成形体
を得た。得られた自動車天井材用成形体をPS系樹脂非
発泡層300μmがカットボディの室内側になるように
装着し、実装耐熱性試験を行った。
【0065】(実施例3)PPE系樹脂成分55重量%
およびPS系樹脂成分45重量%とからなる変性PPE
樹脂(A)100重量部に対してi−ブタンを主成分と
する発泡剤(i−ブタン/n−ブタン=85/15)3
重量部及びタルク0.32重量部を加えて押出機により
305℃で混練し、樹脂温度が205℃になるまで冷却
し、サーキュラーダイスから押出し、切り開いたシート
を8m/分の速さの引き取りロールを介して巻取りロー
ルにロール状に巻き取り、1次厚さ2.3mm、1次発
泡倍率10倍、独立気泡率87%、セル径0.19m
m、目付量240g/m2 の1次発泡シートを得た。得
られた1次発泡シートをロールより5m/分の速さで繰
り出しながら、HIPS(C)83.3重量%と耐衝撃
性改良剤(D)16.7重量%(全ゴム成分15重量
%)とを混合した混合樹脂を樹脂温度が270℃となる
ように押出機で溶融・混練し、Tダイスを用いてフィル
ム状に押し出し、1次発泡シートの片面に厚さ120μ
mの非発泡層を積層し、巻取りロールにロール状に巻き
取った。PS系樹脂非発泡層を積層したシートをロール
から5m/分の速さで繰り出しながら、同様のHIPS
(C)と耐衝撃性改良剤(D)との混合樹脂をTダイス
を用いてフィルム状に押し出し、1次発泡積層シートの
他方の片面に厚さ80μmの非発泡層を積層し、非発泡
層を両面に積層した発泡積層シートを得た。得られた発
泡積層シートをカットした。次に得られた発泡積層シー
トの四方をクランプし、成形加熱オーブン炉に入れて発
泡積層シートの表面温度が145℃となるように60秒
間加熱した後、30℃に温調した金型にて金型クリアラ
ンス4.2mmでプラグ成形を行った。成形体をトリミ
ング加工、穴あけ加工(パンチング加工)を行って自動
車天井材用成形体を得た。得られた自動車天井材用成形
体のPS系樹脂非発泡層120μmがカットボディの室
内側になるように装着し、実装耐熱性試験を行った。
【0066】(実施例4)発泡層両面のPS系樹脂非発
泡層の厚さをそれぞれ300μmおよび200μmとし
た以外は、実施例3と同様にして自動車天井材用成形体
を得た。得られた自動車天井材用成形体のPS系樹脂非
発泡層300μmがカットボディの室内側になるように
装着し、実装耐熱試験を行った。結果を表2に示す。
【0067】(比較例1)発泡層両面のPS系樹脂非発
泡層の厚さを両面とも90μmとした以外は、実施例1
と同様にして自動車天井材用成形体を得た。得られた自
動車天井材用成形体をカットボディに装着し、実装耐熱
試験を行った。
【0068】(比較例2)発泡層両面のPS系樹脂非発
泡層の厚さを両面とも300μmとした以外は、実施例
3と同様にして自動車天井材用成形体を得た。得られた
自動車天井材用成形体をカットボディに装着し、実装耐
熱試験を行った。
【0069】以上の実施例1〜4、および比較例1、2
の実装耐熱試験の結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】表2の結果から、比較例に比べて実施例
は、実装耐熱性試験の最大変形量が小さく、自動車天井
用内装材用成形体として優れていることがわかる。実施
例1、2、3、4のように発泡層におけるPPE成分の
比率、非発泡層の厚さを変更しても耐熱性は良好であ
る。
【0072】
【発明の効果】本発明の自動車内装材用発泡積層シート
によれば、耐熱性が改善され、しかも成形性、寸法安定
性、耐衝撃性、遮音性、断熱性などの特性が良好で軽量
な自動車用内装材を、容易かつ安価に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車天井材用成形体を自動車に装着した状
態を説明するための一部切欠説明図である。
【図2】 トリミング加工を施した自動車天井材用成形
体の一例の平面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車天井材用成形体 2 アシストグリップ取付穴 3 サンバイザー取付穴 4 ルームミラー取付穴 5 室内灯取付穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 25/04 C08L 25/04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡
    層の両面にポリスチレン系樹脂からなる非発泡層を積層
    してなり、前記両非発泡層の厚さに差を設けたことを特
    徴とする自動車内装材用発泡積層シート。
  2. 【請求項2】 両非発泡層の厚さ比が0.7以下である
    請求項1記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  3. 【請求項3】 発泡層の厚さが1〜5mmである請求項
    1、または2記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  4. 【請求項4】 厚い側の非発泡層厚さが100〜350
    μmである請求項1〜3のいずれかに記載の自動車内装
    材用発泡積層シート。
  5. 【請求項5】 少なくとも片面の非発泡層のポリスチレ
    ン系樹脂がフェニレンエーテル成分を1重量%以上10
    重量%未満含有する請求項1〜4のいずれかに記載の自
    動車内装材用発泡積層シート。
  6. 【請求項6】 非発泡層のポリスチレン系樹脂が耐衝撃
    性改良剤を含有したものである請求項1〜5のいずれか
    に記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  7. 【請求項7】 非発泡層のポリスチレン系樹脂がハイイ
    ンパクトポリスチレンである請求項1〜6のいずれかに
    記載の自動車内装材用発泡積層シート。
  8. 【請求項8】 非発泡層のアイゾット衝撃強さが120
    J/m以上である請求項1〜7のいずれかに記載の自動
    車内装材用発泡積層シート。
  9. 【請求項9】 発泡層の基材樹脂である変性ポリフェニ
    レンエーテル系樹脂中のフェニレンエーテル成分の含有
    量が35重量%より多く75重量%以下である請求項1
    〜8のいずれかに記載の自動車内装材用発泡積層シー
    ト。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009241266A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Sekisui Plastics Co Ltd 自動車内装材用積層シート、自動車内装材及びその製造方法

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