JPH11187525A - 電線引留クランプ用電線保護カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線と共に引留クランプが金車を通過する際
に、引留クランプの口元で電線が損潰されるのを回避す
る、着脱の容易な電線保護カバーを提供する。 【解決手段】 弾性合成樹脂製で筒状の電線保護カバー
５を引留クランプ１に隣接して電線Ｅの外周に装着す
る。保護カバー５には、引留クランプ１に隣接する一端
側に、この引留クランプ１の隣接端部とほぼ同外径の大
径部５ａを設け、この大径部５ａに連続して他端側に向
かって徐々に縮小するテーパ部５ｂを設け、テーパ部５
ｂに連続して他端まで伸びる円筒部５ｃを設ける。ま
た、電線挿入のための軸線方向の切目５ｄを全長にわた
って設けると共に、この切目５ｄに対向する内側に断面
円弧状の条溝５ｅと、この条溝５ｅによって形成された
薄肉部５ｆとを設け電線の挿入を容易にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋼心アルミ撚り線
から成る電線をその延線途上において鉄塔に引留めるた
めのクランプに隣接して電線に装着して延線作業時に用
いられる電線保護カバーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】引留クランプは、電線の両端を鉄塔へ引
留めるためのもので、鋼スリーブと、アルミスリーブ
と、金車通過後に装着されるジャンパソケットとを備え
ている。電線端部のアルミ撚り線を切断して露出させた
鋼心線を鋼スリーブへ挿入圧着し、アルミスリーブをそ
の上へ被せてこれも圧着し、電線と両スリーブを一体化
する。両端に鋼スリーブとアルミスリーブを装着した電
線の複数をワイヤで連結し、鉄塔に吊り下げた金車と称
される滑車を通して複数鉄塔間に延線する。後でアルミ
スリーブの外側にジャンパソケットを装着し、これにジ
ャンパ線を接続する。このような延線工法はプレハブ延
線工法と呼ばれている。

【０００３】プレハブ延線工法においては、引留クラン
プが金車を通過する際に、アルミスリーブの口元で電線
が無理に曲げられ、アルミ素線が損潰されるのを回避す
るため、円筒型のプロテクタで引留クランプ全体を包む
ことが行われている。このプロテクタは金車通過後に取
り外しを必要とするが、これが難作業となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、電線と共に
引留クランプが金車を通過する際に、アルミスリーブの
口元で電線が無理に曲げられ、アルミ素線が損潰される
のを回避し、また引留クランプが金車を通過した後、電
線が金車に叩き付けられて損傷を受けるのを回避するこ
とができる電線保護カバーを提供することを課題として
いる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、弾性合成樹脂製で筒状の電線保護カバー５を引留ク
ランプ１に隣接して電線Ｅの外周に装着するようにし
た。電線保護カバー５には、引留クランプ１に隣接する
一端側に、この引留クランプ１の隣接端部とほぼ同外径
の大径部５ａを設け、この大径部５ａに連続して他端側
に向かって徐々に縮小するようにテーパ部５ｂを設け、
テーパ部５ｂに連続して他端まで伸びる円筒部５ｃを設
けた。また、電線挿入のための軸線方向の切目５ｄを全
長にわたって設けると共に、この切目５ｄに対向する内
側に断面円弧状の条溝５ｅと、この条溝によって形成さ
れた薄肉部５ｆとを設けた。

【０００６】

【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形
態を説明する。図１は電線保護カバーと引留クランプの
正面図、図２は電線保護カバーの斜視図、図３は電線保
護カバーの断面図、図４は金車通過時のアルミスリーブ
と電線保護カバーの正面図である。

【０００７】図１において、引留クランプ１は、鋼スリ
ーブ２と、アルミスリーブ３と、ジャンパソケット４と
を備えている。ジャンパソケット４は、金車通過後に装
着される。電線Ｅの端部のアルミ撚り線を切断して露出
させた鋼心線を鋼スリーブ２へ挿入圧着し、アルミスリ
ーブ３をその上へ被せてこれも圧着し、電線Ｅと両スリ
ーブ２，３が一体化される。

【０００８】鋼スリーブ２は、引手２ａ、鋼心線圧縮部
２ｂ、段付部２ｃ、延伸部２ｄを有する。鋼スリーブ２
に電線Ｅの鋼心線を挿入したうえ、鋼心線圧縮部２ｂを
圧縮して一体化する。

【０００９】アルミスリーブ３は、ジャンパソケット接
続部３ａ、圧縮部３ｂ、非圧縮部３ｃを備える。挿通孔
３ｄに電線Ｅと鋼スリーブ２を挿通させたうえ、圧縮部
３ｂを圧縮して一体化する。

【００１０】電線保護カバー５は、アルミスリーブ３の
口元側の電線Ｅ上に被せられる。電線保護カバー５は、
弾性合成樹脂製の筒状体で、アルミスリーブ３に隣接す
る一端側から順次、大径部５ａ、テーパ部５ｂ、円筒部
５ｃを有する。大径部５ａは、隣接するアルミスリーブ
３の端部とほぼ同じかやや大きい外径を有する。図示の
実施形態においては、金車通過時に金車Ｐに押し当てら
れた圧縮状態でアルミスリーブ３の外径とほぼ等しくな
るように、アルミスリーブ３より外径がやや大きく構成
されている。テーパ部５ｂは、大径部５ａに連続して、
他端側に向かって徐々に外径を縮小している。円筒部５
ｃは、テーパ部５ｂに連続して他端まで伸びる。電線保
護カバー５は、電線挿入のための全長にわたる軸線方向
の切目５ｄを備えている。また、大径部５ａからテーパ
部５ｂまでの肉厚部位には、切目５ｄに対向する内側
に、軸線方向に延びる断面円弧状の条溝５ｅと、この条
溝５ｅの外側に残された薄肉部５ｆとを備える。必要な
弾性と剛性とを持つ弾性合成樹脂、例えばウレタンで電
線保護カバー５を構成する場合、大径部５ａの所要の直
径を得るための当該部分の肉厚では、人力のみで切目５
ｄを拡開することができない。そこで、条溝５ｅと薄肉
部５ｆが必要となる。条溝５ｅと薄肉部５ｆとにより、
所要の柔軟性が得られ、人力のみで切目５ｄを拡開して
電線Ｅに被せることができ、延線作業完了後には、容易
に取り外して再使用することができる。

【００１１】この実施形態においては、鋼スリーブ２と
アルミスリーブ３とを電線端部に圧着一体化した後、電
線保護カバー５の切目５ｄを弾性的に拡開して電線Ｅに
被せる。そして、アルミスリーブ３の非圧縮部３ｃから
電線保護カバー５まで図示しないゴムチューブを巻き付
けて固定する。

【００１２】電線の延線作業において、引留クランプ１
が電線Ｅと共に金車Ｐを通過するとき、図４に示すよう
に、アルミスリーブ３の口元に位置する電線部分が屈曲
するが、アルミスリーブ３と電線Ｅとの間に電線保護カ
バー５が介在するので、電線Ｅがアルミスリーブ３の開
口縁に直接接触することがなく、また屈曲も緩やかにな
る。このため、電線に無理な負担がかからず、損傷が回
避される。電線Ｅが屈曲すると、電線Ｅの曲がりに沿っ
て電線保護カバー５のテーパ部５ｂの曲がりの内側がア
ルミスリーブ３側へ押し付けられるように作用し、アル
ミスリーブ３と密着する。

【００１３】金車通過時に、アルミスリーブ３の端部近
傍の電線は、アルミスリーブ３の肉厚分だけ金車Ｐの外
周から離れているが、保護カバー５の大径部が金車Ｐに
押し当たって圧縮され、ほぼ同じ肉厚となるため、アル
ミスリーブ３から保護カバー５にかけて電線Ｅの屈曲が
連続して緩やかになり、電線Ｅに無理な負担がかからな
い。

【００１４】引留クランプ１が電線Ｅより先に金車Ｐを
通過する場合には、引留クランプ１が棒状で、金車Ｐの
外周の湾曲になじまないため、通過後に電線Ｅが金車Ｐ
に叩き付けられる現象が生じる。保護カバー５はその衝
撃も緩衝する。

【００１５】なお、本発明は図示の実施形態に限定され
るものではなく、例えば保護カバー５を、電線Ｅを被覆
する弾性合成樹脂製の他の保護部材（図示せず）と共に
電線上に装着して用いることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、本発明においては、電線
保護カバー５の引留クランプ１に隣接する一端側に、こ
の引留クランプ１の隣接端部とほぼ同外径の大径部５ａ
を設け、この大径部５ａに連続して他端側に向かって徐
々に縮小するようにテーパ部５ｂを設け、テーパ部５ｂ
に連続して他端まで伸びる円筒部５ｃを設けた。また、
全長にわたって電線挿入のための軸線方向の切目５ｄを
設けると共に、この切目５ｄに対向する内側に断面円弧
状の条溝５ｅと、この条溝によって形成された薄肉部５
ｆとを設けたため、電線Ｅの延線工事における金車Ｐ通
過時に、引留クランプ１の口元付近での電線Ｅの屈曲角
度が鈍化され、引留クランプ１の先端縁との圧接が回避
されるため、電線Ｅに無理な負担がかからず、損傷を防
止することができる。また、保護カバー５は、条溝５
ｅ、薄肉部５ｆの作用により電線Ｅへの着脱が容易で、
確実に引留クランプ１に装着され、延線工事を円滑に進
めることができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る引留クランプと電線保護カバーの
正面図である。

【図２】電線保護カバーの斜視図である。

【図３】電線保護カバーの断面図である。

【図４】金車通過時のアルミスリーブと電線保護カバー
の正面図である。

【符号の説明】

１ 引留クランプ ２ 鋼スリーブ ３ アルミスリーブ ５ 電線保護カバー ５ａ 大径部 ５ｂ テーパ部 ５ｃ 円筒部 ５ｄ 切目 ５ｅ 条溝 ５ｆ 薄肉部 Ｅ 電線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線の端部に圧縮固定された引留クラン
   プを電線と共に金車を通して鉄塔間に延線する際に、引
   留クランプに隣接して電線の外周に装着される弾性合成
   樹脂製で筒状の電線保護カバーであって、 引留クランプに隣接する一端側に、この引留めクランプ
   の隣接端部とほぼ同外径の大径部を備えると共に、この
   大径部に連続して他端側に向かって徐々に縮小するテー
   パ部と、このテーパ部に連続して他端まで伸びる円筒部
   とを備え、かつ電線挿入のための全長にわたる軸線方向
   の切目と、この切目に対向する内側に形成された断面円
   弧状の条溝と、この条溝によって形成された薄肉部とを
   備えることを特徴とする金車通過型引留クランプ用電線
   保護カバー。
2. 【請求項２】 前記断面円弧状の条溝が、前記大径部か
   らテーパ部までの肉厚部位に形成されていることを特徴
   とする請求項１に記載の金車通過型引留クランプ用電線
   保護カバー。