JPH11130465A - 多価金属イオン溶出性フィラー及びその製造方法 - Google Patents

多価金属イオン溶出性フィラー及びその製造方法

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JPH11130465A
JPH11130465A JP9289366A JP28936697A JPH11130465A JP H11130465 A JPH11130465 A JP H11130465A JP 9289366 A JP9289366 A JP 9289366A JP 28936697 A JP28936697 A JP 28936697A JP H11130465 A JPH11130465 A JP H11130465A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯科用接着材等に用いて、使用時における操
作性と接着性能を両立させることができる多価金属イオ
ン溶出性フィラーを提供する。 【解決手段】 フルオロアルミノシリケートガラス粉末
を酸の非存在下で加熱処理することにより、または有機
スルホン酸で処理することにより得られる、初期多価金
属イオン溶出量が1〜20meq/gと低く制御され、
且つ最終多価金属イオン溶出量が23〜50meq/g
と高く保持された多価金属イオン溶出性フィラー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に歯科用接着材、
グラスアイオノマーセメント等の歯科材料に使用される
多価金属イオン溶出性フィラーに関する。
【0002】
【従来の技術】歯科用グラスアイオノマーセメントは多
価金属イオン溶出性フィラーとしてのフルオロアルミノ
シリケートガラス粉末とポリカルボン酸とを水の存在下
で練和し、硬化させることによって得られる。このグラ
スアイオノマーセメントに必要な特性として歯質との接
着性の良さ、硬化体強度の高さや崩壊率の低さおよび操
作性の良さ等が挙げられる。ここで操作性とは臨床での
使い易さのことであり、具体的にはガラス粉末とポリカ
ルボン酸の水溶液とを練和し始めてから操作に支障を来
すような粘度に達するまでの時間(操作余裕時間)で評
価される。実際の臨床では医師や歯科衛生士が余裕をも
って作業を行うために操作余裕時間は可能な限り長く、
一方口腔内に装入した時点で急激に硬化するようなセメ
ントが望まれている。
【0003】また、このフルオロアルミノシリケートガ
ラス粉末は、酸性基含有重合性単量体、水及び重合開始
剤等と組み合わせることによって、歯科用接着材として
応用できる。そして、該歯科用接着材においても上記グ
ラスアイオノマーセメントと同様に、ガラス粉末を含む
液体と酸性基含有重合性単量体を含む液体とを混合して
からの操作余裕時間が長いこと、歯質との接着性が良い
こと、及び硬化体物性が優れることが求められる。
【0004】上記の歯科用グラスアイオノマーセメント
及び歯科用接着材の操作性及び物性は、多価金属イオン
溶出性フィラーとしてのフルオロアルミノシリケートガ
ラス粉末からの多価金属イオンの溶出量及び溶出速度に
大きく影響を受ける。即ち、フルオロアルミノシリケー
トガラス粉末から溶出した多価金属イオンはポリカルボ
ン酸や酸性基含有重合性単量体若しくはその重合物とキ
レート架橋することにより歯質との接着性や硬化体物性
を向上させる反面、操作時にこのキレート架橋が起こる
と練和物の粘度上昇が起こり操作余裕時間が短くなる。
このため、操作性を良くするためには多価金属イオン溶
出性フィラーからの多価金属イオンの溶出速度を遅くす
ればよいと考えられ、これまでに幾つかの手法が試みら
れてきた。
【0005】例えば、ガラス粉末表面を塩酸等の酸で処
理し、表面のカルシウムを除去することによってポリカ
ルボン酸との硬化反応を実質的に遅延させる方法(特公
昭59−5536)が提案されている。しかし、この方
法ではカルシウムを必要以上に除いてしまう為、硬化
時、または硬化後に溶出する最終的なイオン量が少なく
なり接着性や硬化体の諸物性が低下することがあるばか
りでなく、ガラス粉末中に残存する酸またはその塩がし
ばしば硬化体物性の低下を招くことがあった。また、上
記後者の問題を避けるために、残存する酸またはその塩
を取り除こうとする場合には、多量の水を用いて水洗処
理を繰り返さなければならないという問題も抱えてい
た。
【0006】また、他の方法としてガラス塊をカルボン
酸の存在下で微粉砕し表面処理する方法(特開昭63−
225567)、ガラス粉末をカルボン酸の存在下で加
熱する方法(特開平5−97622)、及びガラス粉末
をカルボン酸と水の存在下で加熱する方法(特開平5−
97623)等が提案されている。しかしながら、これ
ら何れの方法ともガラス表面に塩を形成させる為、最終
的に溶出する多価金属イオンの総量が減少することに起
因する上記問題の発生は避けられなかった。
【0007】このように、これら上述した方法では操作
性を改良することはできるが、歯質との接着性や硬化体
の物性が低くなる傾向があり、操作性とこれら物性を両
立させることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明では操作性が良
く、しかも歯質との接着性や硬化体の物性に優れる歯科
用アイオノマーセメントや歯科用接着材を与える多価金
属イオン溶出性フィラーを開発することを課題としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記技術課
題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、フルオロアルミ
ノシリケートガラス粉末を酸の非存在下で加熱処理す
る、または有機スルホン酸で処理することにより、最終
的な多価金属イオン溶出量を保持したまま初期の多価金
属イオン溶出量を少なくできることを見いだした。そし
てさらにこのような処理を行ったフルオロアルミノシリ
ケートガラス粉末を多価金属イオン溶出性フィラーとし
て歯科用接着材等に用いた場合には、操作余裕時間を長
くすることができ、しかもその時の接着性や硬化体の機
械的物性は良好であることを見いだし、本発明を提案す
るに至った。
【0010】即ち、初期多価金属イオン溶出量が1〜2
0meq/gであり、最終多価金属イオン溶出量が23
〜50meq/gであることを特徴とする多価金属イオ
ン溶出性フィラーである。
【0011】なお、多価金属イオン溶出量とはフィラー
0.1gを温度23℃、10wt%マレイン酸水溶液1
0mlに浸漬した時にフィラー中から溶出する多価金属
イオンの総溶出量であり、フィラー1gに対しての量
(meq/g)で表される値である。ここで、多価金属
イオンとは2価以上の金属イオンのことであり、代表的
なものを例示すれば、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム、アルミニウム、亜鉛、ランタノイド等の金属イ
オンであり、その溶出イオン量はICP発光分光分析や
原子吸光分析等で測定することができる。また、初期多
価金属イオン溶出量とは上記条件下でフィラーを浸漬し
てから1分後の多価金属イオン溶出量であり、最終多価
金属イオン溶出量とはフィラー浸漬後24時間後の多価
金属イオン溶出量である。
【0012】また、他の発明はフルオロアルミノシリケ
ートガラス粉末を酸の非存在下に加熱処理する上記多価
金属イオン溶出性フィラーの製造方法である。
【0013】この方法では、加熱処理によってガラス表
面のフッ素が除去される為、カルシウムイオン等の溶出
速度が遅くなるものと推測され、これまで行われてきた
方法と異なり、多価金属イオンの総溶出量を低減させる
ことなく溶出速度を遅らせることができる。その為、該
方法で得られた多価金属イオン溶出性フィラーを歯科用
接着材等に使用した場合には、接着性や硬化体の機械的
物性を損なわずに操作性を高めることができる。また、
上記方法では酸を必要としない為、前述したように残存
酸またはその塩による影響の懸念がなく、多量の水洗等
の後処理も必要ない為、製造工程も大幅に簡略化でき
る。
【0014】さらに、他の発明は、フルオロアルミノシ
リケートガラス粉末を有機スルホン酸で処理する上記多
価金属イオン溶出性フィラーの製造方法である。
【0015】フルオロアルミノシリケートガラス粉末を
有機スルホン酸で処理した場合には、塩酸等の他の酸で
処理した場合と異なり、最終多価金属イオン溶出量を保
持したまま容易に多価金属イオン溶出量を制御できるば
かりでなく、処理により発生する塩や残存する処理剤と
しての酸が容易に除去できるため、歯科用接着材等に用
いた場合には操作性と接着性及び硬化体物性の両立が可
能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の多価金属イオン溶出性フ
ィラーは酸性水溶液の存在下でカルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、アルミニウム等の多価金属イオンを溶
出するフルオロアルミノシリケートガラスフィラーであ
り、その初期多価金属イオン溶出量は1〜20meq/
gであり、最終多価金属イオン溶出量は23〜50me
q/gである。
【0017】ここで初期多価金属イオン溶出量とは、多
価金属イオン溶出性フィラー0.1gを温度23℃、1
0wt%マレイン酸水溶液10mlに浸漬した時に、浸
漬してから1分間に溶出するフィラー1g当たりの多価
金属イオンの総量であり、最終多価金属イオン溶出量と
はフィラーを浸漬してから24時間に溶出するフィラー
1g当たりの多価金属イオンの総量である。初期多価金
属イオン溶出量が1meq/g未満の場合は硬化物の物
性が低下し、20meq/gを超える場合には硬化時間
が速すぎ、操作性が悪くなる。また、最終多価金属イオ
ン溶出量が23meq/g未満の場合は必要な溶出量に
達せず硬化体の物性が低下する。また50meq/gを
超える場合には、フィラーの大部分が溶解してしまい硬
化物の強度が低下する。本発明の多価金属イオン溶出性
フィラーにおけるより好ましい初期多価金属イオン溶出
量は2〜15meq/gであり、より好ましい最終多価
金属イオン溶出量は23〜40meq/gである。
【0018】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーの
粒子径は特に限定されないが、本発明の多価金属イオン
溶出性フィラーを歯科用接着材に用いる場合には、モノ
マー等に分散させて用いることが望まれる為、フィラー
の平均粒子径が0.01μm〜2μmが好ましく、0.
05μm〜1.5μmがより好ましく、さらに0.1μ
m〜1μmの範囲のものが最も好ましい。粒子径が0.
01μm〜2μmの範囲の場合には、組成物の粘度上昇
や凝集などの問題が起こり難く、操作性が良好となるば
かりでなく、モノマー中でフィラーの沈降も起こらない
為硬化物の物性が良好となる。
【0019】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーの
平均粒子径を、上記の範囲内まで小さくする為には、湿
式または乾式のボールミル、湿式で連続型のボールミル
であるウルトラビスコミル、フィラー同士を衝突させて
粉砕するナノマイザー等が用いられる。
【0020】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーの
製造方法は特に限定されないが、フルオロアルミノシリ
ケートガラス粉末を酸の非存在下に加熱処理することに
より、または有機スルホン酸で処理することにより好適
に得ることができる。
【0021】この時用いられるフルオロアルミノシリケ
ートガラスはアルミニウム及び珪素の酸フッ化物ガラス
であれば特に限定されず、歯科用接着材等においてイオ
ン溶出性フィラーとして一般に使われているものが何等
制限なく使用できる。例えば、その組成は、イオン重量
%で、珪素10〜33重量%;アルミニウム4〜30重
量%;アルカリ土類金属5〜36重量%;アルカリ金属
0〜10重量%;リン0.2〜16重量%;フッ素とし
ては2〜40重量%で残量酸素のものが好適に使用され
る。上記アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグ
ネシウム、ストロンチウム、バリウムが好ましい。ま
た、上記アルカリ金属としてはナトリウム、リチウム、
カリウムが好適であり、中でもナトリウムが特に好適で
ある。更に必要に応じて、上記アルミニウムの一部をチ
タン、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、タン
タル、ランタン等で置き換えることも可能である。この
様なフルオロアルミノシリケートガラスはとしては、ト
クソーアイオノマー{(株)トクヤマ製}、フジアイオ
ノマータイプII{(株)ジーシー製}、及びハイボンド
グラスアイオノマーF{(株)松風}等が市販されてお
り、工業的に入手可能である。
【0022】本発明に用いられるフルオロアルミノシリ
ケートガラス粉末の形状は特に限定されず、通常の粉砕
により得られるような粉砕形粒子でもよくゾルゲル法に
より製造される球状粒子でもよい。その大きさも特に限
定されないが、歯科用接着材に用いる場合には、加熱処
理または有機スルホン酸による処理前に予め本発明の多
価金属イオン溶出性フィラーの好適な粒子径として前記
した範囲となるようにしておくのが好適である。
【0023】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーを
上記フルオロアルミノシリケートガラス粉末を酸の非存
在下に加熱処理することにより製造する場合、上記フル
オロアルミノシリケートガラス粉末の加熱処理方法は特
に限定されない。但し、このとき加熱処理は酸の非存在
下に行う必要がある。酸の存在下で加熱処理を行った場
合には、ガラス表面のカルシウム等と塩を形成してしま
う為、最終的に溶出するイオン量が減少したり、酸が残
存したりして本発明の効果が得られない。具体的には、
予め所望の粒子径に粉砕したルオロアルミノシリケート
ガラス粉末をるつぼ等の容器に入れ、加熱器に入れて加
熱を行うことにより好適に本発明の多価金属イオン溶出
性フィラーを得ることができる。このときの加熱温度
は、要求される多価金属イオン溶出速度等を勘案して適
宜決定すれば良いが、一般に加熱温度が低いと初期多価
金属イオン溶出量を十分抑制することができず、また、
あまり高温で加熱処理すると粒子が焼結して再粉砕する
必要が生じる為、200℃〜ガラス転移点、特に400
℃〜ガラス転移点の温度範囲に加熱するのが好適であ
る。また、上記加熱処理における加熱時間はフルオロア
ルミノシリケートガラス粉末の処理量、容器の形状等に
影響されるが、本発明の効果の再現性の観点から1時間
以上とするのが好適である。
【0024】上記加熱処理に使用される加熱器は、電気
炉、インキュベーター等温度を調節できるものであれば
特に制限されないが、加熱器内の温度を均一に保つこと
ができるものが好ましい。
【0025】次に、本発明の多価金属イオン溶出性フィ
ラーを前記フルオロアルミノシリケートガラス粉末を有
機スルホン酸で処理して製造する方法について説明す
る。
【0026】該方法で使用する有機スルホン酸はスルホ
ン酸基を有する有機化合物であれば特に限定されず公知
の化合物が制限なく用いられる。該方法で使用できる有
機スルホン酸の具体例を示すと、メタンスルホン酸、エ
タンスルホン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホ
ン酸、ベンゼンスルホン酸一水和物、p−クロロベンゼ
ンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、
2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸二水和物、4−ヒ
ドラジノベンゼン−1−スルホン酸、3−メチルアニリ
ン−4−スルホン酸、3−ピリジンスルホン酸、フェニ
ルヒドラジン−p−スルホン酸、p−トルエンスルホン
酸一水和物、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸
一水和物、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスル
ホン酸、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタン
スルホン酸、アニリン−o−スルホン酸、アニリン−m
−スルホン酸、アニリン−p−スルホン酸、2−クロロ
−4−アミノトルエン−5−スルホン酸、m−トルイジ
ン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホ
ン酸、N−2−ヒドロキシルエチルピペラジン−N’−
2−エタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸等が挙げられる。これら有機スル
ホン酸の中でも、残存有機スルホン酸及び処理により形
成された塩の除去の容易さ、処理後のイオン溶出性フィ
ラーの凝集性や濾過のし易さの観点からメタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸一水和物、p−トルエンスルホ
ン酸一水和物を使用するのが好適である。
【0027】上記有機スルホン酸による処理の方法は、
フルオロアルミノシリケートガラス粉末と有機スルホン
酸とが接触するような方法であれば特に限定されない
が、フルオロアルミノシリケートガラス粉末を有機スル
ホン酸水溶液に撹拌下浸漬することにより好適に行われ
る。
【0028】この時使用する有機スルホン酸水溶液の濃
度及び量は特に限定されないが、処理効率、処理の均一
性の観点から有機スルホン酸の濃度は一般的には1wt
%〜15wt%の範囲、特に3wt%〜10wt%の範
囲であるのが好ましい。また、有機スルホン酸水溶液の
使用量は、撹拌効率や操作性の観点から処理するフルオ
ロアルミノシリケートガラス粉末の重さに対して3倍〜
30倍、特に10倍〜20倍の重さとなる量であるのが
好ましい。
【0029】上記有機スルホン酸による処理において、
処理温度、処理時間等は特に限定されるものでないが、
本発明の効果の高さ及び処理効率等の観点から25℃〜
60℃の温度範囲で温度を制御して1時間〜5時間処理
するのが好ましい。
【0030】上記処理後、有機スルホン酸水溶液を濾過
等により除去し、さらに水洗を行って余剰の有機スルホ
ン酸またはその塩を取り除いた後、乾燥器等で乾燥させ
ることにより本発明の多価金属イオン溶出性フィラーを
得ることができる。
【0031】本発明の多価金属イオン溶出性フィラー
は、酸性基含有重合性単量体、水及び重合開始剤等と組
み合わせる事によって歯科用接着材として使用する事が
できる。このときの好適な組成としては、酸性基含有重
合性単量体を5重量%以上含む重合性単量体を100重
量部、本発明の多価金属イオン溶出性フィラーを2〜3
0重量部、水を3〜30重量部、及び重合開始剤を0.
01〜10重量部である。
【0032】この歯科用接着材に用いられる酸性基含有
重合性単量体としては、1分子中に少なくとも1つの酸
性基と少なくとも1つの重合性基を持つ化合物であれば
特に限定されず、公知の化合物を用いる事ができる。具
体例を例示すれば、2−メタクリロイルオキシエチルジ
ハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−メタクリロ
イルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート等の
リン酸系の基を含有している重合性単量体、11−メタ
クリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、
4−メタクリロイロキシエチルトリメリテートアンヒド
ライド等のカルボン酸系の基を含有している重合性単量
体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸等のスルホン酸系の基を含有している重合性単量体等
が挙げられる。
【0033】前記歯科用接着材に用いられる重合性単量
体は、分子中に少なくとも1つの重合性基を持つもので
あれば公知の化合物を何ら制限なく使用できる。好適に
使用できる化合物の具体例を示すと、メチル(メタ)ア
クリレート(メチルアクリレートまたはメチルメタクリ
レートの意である。以下も同様に表記する。)、エチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’
−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェ
ニル]プロパン等の多官能(メタ)アクリレート系単量
体が挙げられる。
【0034】前記歯科用接着材に用いられる重合開始剤
としては公知のものが制限なく使用できる。このような
重合開始剤は通常、化学重合開始剤と光重合開始剤に大
別される。化学重合開始剤としては、t−ブチルヒドロ
ペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ベン
ゾイル等の有機過酸化物とN,N−ジメチル−p−トル
イジン、N−ジメチルアニリン等のアミン化合物からな
るレドックス型の重合開始剤、また、5−ブチルバルビ
ツール酸/ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド
/アセチルアセトン銅等のバルビツール酸誘導体/第四
級アンモニウムハライド/銅化合物の組み合わせからな
るレドックス型の重合開始剤や、さらに接着強度を向上
させる目的で、上記したレドックス型の重合開始剤に酸
性化合物によって分解し、重合可能なラジカル種を生成
することができるベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p
−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩
類やモノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルト
リ(p−フロロフェニル)ホウ素、テトラフェニルホウ
素、テトラキス(m−メトキシフェニル)ホウ素(アル
キル基はn−ブチル、n−ドデシル基等)のナトリウム
塩、テトラメチルアンモニウム塩、メチルキノリニウム
塩等のボレート類を添加した系も好適に使用できる。ま
た、酸素や水と反応して重合を開始するトリフェニルボ
ラン等の有機ホウ素化合物、チタノセン誘導体等の有機
金属型の重合開始剤も挙げられる。
【0035】光重合開始剤としては、化合物そのもの自
身が光照射にともない分解して重合可能なラジカル種を
生成するカンファキノン、ベンジル、2,4−ジエチル
チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルフォスフィンオキシド等が好適に使用され、こ
れにN,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノア
セトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエス
テル等の重合促進剤を加えることも好適である。さら
に、色素/光酸発生剤/ボレート類、及び色素/光酸発
生剤/スルフィン酸塩類の3元系からなるものが挙げら
れる。これに使用される色素としては、3−チエノイル
クマリン、3−ベンゾイルクマリン、3,3’−カルボ
ニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジ
エチルアミノ)クマリン等のクマリン系色素が好適に用
いられる。また、光酸発生剤としては、2,4,6−ト
リス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチ
ル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジ
ン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基置換
−s−トリアジン誘導体が好適に用いられる。ボレート
類やスルフィン酸塩類は、前記レドックス型の重合開始
剤の項で具体的に例示されたものが同様に使用できる。
【0036】上記重合開始剤の中でも、操作性に優れる
点から光重合開始剤の使用が好ましい。特に、色素/光
酸発生剤/ボレート類の組合せ、又は色素/光酸発生剤
/スルフィン酸塩類の組合せからなる光重合開始剤を使
用するのが重合性の点から好ましい。
【0037】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーを
歯科用接着材に用いる場合には、保存安定性を損なわな
い為に、酸性基含有重合性単量体、重合性単量体及び触
媒の一成分を含む液体(A液)と多価金属イオン溶出性
フィラー、重合性単量体、水及び触媒の一成分を含む液
体(B液)とを別々に調整し使用直前に混合して用いる
ことが好ましい。この時多価金属イオン溶出性フィラー
を重合性単量体に分散させる方法としては、撹拌、超音
波、撹拌と超音波との組み合わせ等が挙げられる。さら
に、重合性単量体と一緒に上記の粉砕機に短時間かける
方法もある。使用に際しては、齲蝕部分を取り除いた歯
の窩洞に上記A液及びB液を混合したものを塗布する。
次いで光重合開始剤を使用した場合には光照射して接着
材を硬化させる。また、化学重合開始剤を用いた場合に
は接着材が硬化するまで数分間放置する。その上に、歯
科用コンポジットレジン等の修復材料を充填することに
より歯と修復材料を良好に接着することができる。
【0038】また、本発明の多価金属イオン溶出性フィ
ラーはポリカルボン酸と水の存在下で混合することによ
り、歯科用グラスアイオノマーセメントとして使用でき
る。この時使用するポリカルボン酸としては、水に可溶
なものが好ましく、代表的なものを例示すればアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコ
ン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロトン酸等の不飽和
カルボン酸の単独重合体およびこれらの不飽和カルボン
酸の共重合体が挙げられる。また、ポリカルボン酸の分
子量も特に限定されないが、一般には平均分子量で50
00〜500000の範囲のものが好ましい。
【0039】本発明の多価金属イオン溶出性フィラーを
歯科用グラスアイオノマーセメントとして使用する際に
は、ポリカルボン酸30wt%〜70wt%、水70w
t%〜30wt%からなる液と多価金属イオン溶出性フ
ィラーからなる粉とを使用直前に液1重量部に対して粉
1重量部〜3重量部の割合で混合し、良く練和したもの
を、齲蝕部分を取り除いた歯の窩洞に充填し、その上に
金属等の補綴物を装着することにより歯と補綴物を良好
に接着することができる。
【0040】
【実施例】以下本発明を具体的に説明する為に、実施
例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより
何等制限されるものではない。
【0041】(1)略号 PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイ
ドロジェンホスフェート MAC−10:11−メタクリロイルオキシ−1,1−
ウンデカンジカルボン酸 D26E:2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキ
シ)フェニル)プロパン MMA:メチルメタクリレート HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート TCT:2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン CDAC:3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルア
ミノ)クマリン PBNa:ナトリウムテトラフェニルホウ素 (2)接着材組成 実施例または比較例中、操作余裕時間測定及び接着強度
測定に用いた接着材の組成を表1に示す。尚、B液には
以下に示す実施例または比較例で製造した多価金属フィ
ラーを分散させて用いた。
【0042】
【表1】
【0043】(3)操作余裕時間測定方法 操作性の評価の為に、実施例または比較例で得られた多
価金属フィラーを用いて接着材を調整し操作余裕時間を
測定した。接着材A液0.46gとB液0.67gを混
和皿に取り、混合開始から糸引きが見られる時間までを
測定し、これを操作余裕時間とした。
【0044】(4)エナメル質、象牙質接着強度測定法 屠殺後24時間以内牛前歯を抜去し、注水下、#800
のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル
質または象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧
縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に
直径3mmの孔のあいた両面テープを固定し、次に厚さ
0.5mm、直径6mmの孔のあいたパラフィンワック
スを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩
洞を形成した。この模擬窩洞内に使用直前に調整した各
実施例および比較例の接着材を塗布し、30秒間放置し
た。可視光線照射器(トクソーパワーライト、(株)ト
クヤマ社製)にて30秒間光照射し接着材を硬化させ
た。その上に歯科用コンポジットレジン(パルフィーク
ライトポステリア、(株)トクヤマ社製)を充填し、可
視光線照射器により30秒間光照射して接着試験片を作
製した。
【0045】上記接着試験片を37℃の水中に24時間
浸漬した後、引っ張り試験機(オートグラフ、島津製作
所製)を用いてクロスヘッドスピード5mm/minに
て引っ張り、歯牙とコンポジットレジンの引っ張り接着
強度(単に「接着強度」ともいう。)を測定した。
【0046】尚、各実施例および比較例においては、そ
れぞれ同一条件で作製した4本の試験片について引っ張
り接着強度を測定し、その時の引っ張り接着強度の平均
値および標準偏差(S.D.)を以って接着強度とし
た。
【0047】(5)フルオロアルミノシリケートガラス
の製造 以下に示す2種のガラスを実施例及び比較例で使用し
た。
【0048】F−1:フルオロアルミノシリケートガラ
ス粉末(トクソーアイオノマー、トクヤマ社製)をウル
トラビスコミル(ニューマイミル、三井鉱山社製)を用
いて平均粒子径0.35μmまで粉砕してF−1とし
た。示差熱分析の結果、このガラスのガラス転移点は5
80℃であった。
【0049】F−2:二酸化珪素60.1g、氷晶石1
0.4g、フッ化アルミニウム10.0g、水酸化アル
ミニウム66.5g、リン酸カルシウム2水和物17.
2g、フッ化カルシウム14.5gを乳鉢で均一に混合
し、1400℃40分間溶融し透明なガラスを得た。そ
のガラスをウルトラビスコミルで平均粒径0.5μmま
で粉砕し、F−2を得た。示差熱分析の結果、このガラ
スのガラス転移点は630℃であった。
【0050】実施例1 10gのフルオロアルミノシリケートガラス粉末(F−
1)をアルミナ製るつぼに計りとり、電気炉にて300
℃で4時間加熱して本発明の多価金属イオン溶出性フィ
ラー(HF−1)を得た。ICP発光分光分析によりこ
のフィラーの初期多価金属イオン溶出量は19.7me
q/g(アルミニウムイオン14.2meq/g、カル
シウムイオン4.7meq/g、ランタンイオン0.8
meq/g)で最終多価金属イオン溶出量は25.0m
eq/g(アルミニウムイオン17.3meq/g、カ
ルシウムイオン6.5meq/g、ランタンイオン1.
2meq/g)であった。なお、上記加熱処理によりフ
ィラーの平均粒子径は変化していなかった。
【0051】実施例2〜6 実施例1と同様に表2に示す温度及び時間で加熱し本発
明の多価金属イオン溶出性フィラーであるHF−2〜H
F−6を得た。それぞれのフィラーの多価金属イオン溶
出量を表2に示す。いずれのフィラーも初期多価金属イ
オン溶出量は1〜20meq/gの範囲内であり、最終
多価金属イオン溶出量は23〜50meq/gの範囲内
であった。また、何れのフィラーも処理前後で平均粒子
径の変化は見られなかった。
【0052】比較例1 F−1を加熱処理せずにそのまま用いた。ICP発光分
光分析によりこのフィラーの初期多価金属イオン溶出量
は22.0meq/gで最終多価金属イオン溶出量は2
5.1meq/gであった。
【0053】比較例2 10gのF−1と0.1gのマレイン酸をアルミナ製る
つぼに計りとり、電気炉にて400℃で4時間加熱して
多価金属イオン溶出性フィラー(HF−7)を得た。I
CP発光分光分析によりこのフィラーの初期多価金属イ
オン溶出量は6.3meq/gで最終多価金属イオン溶
出量は17.2meq/gであり、初期イオン溶出量は
十分であるが、最終イオン溶出量が少ない結果となっ
た。酸を加えたことでガラス表面のカルシウム等と塩を
形成した為最終的な溶出量が減少したと考えられる。
【0054】
【表2】
【0055】実施例7〜10 フルオロアルミノシリケートガラス粉末としてF−1に
替えてF−2を用いる以外は実施例1と同様にして表3
に示す温度及び時間で加熱し本発明の高いオン溶出性フ
ィラーであるHF−8〜HF−11を得た。それぞれの
フィラーの多価金属イオン溶出量を表3に示す。いずれ
のフィラーも初期多価金属イオン溶出量は1〜20me
q/gの範囲内であり、最終多価金属イオン溶出量は2
3〜50meq/gの範囲内であった。また、何れのフ
ィラーも処理前後で平均粒子径の変化は見られなかっ
た。
【0056】比較例3 F−2を加熱処理せずにそのまま用いた。ICP発光分
光分析によりこのフィラーの初期イオン溶出量は26.
3meq/gで最終イオン溶出量は35.9meq/g
であった。
【0057】比較例4 F−1に替えてF−2を用いる以外は比較例2と同様に
して多価イオン溶出性フィラーであるHF−12を得
た。ICP発光分光分析によりこのフィラーの初期多価
金属イオン溶出量は7.2meq/gで最終多価金属イ
オン溶出量は19.1meq/gであり、HF−7と同
様に、酸を加えたことでガラス表面のカルシウム等と塩
を形成した為最終的な溶出量が減少したと考えられる。
【0058】
【表3】
【0059】実施例11 10gのF−1にメタンスルホン酸5g及び水95gを
加えて(酸濃度5wt%、水溶液量10g/g−フィラ
ー)、温度50℃にて2時間撹拌した。その後遠心濾過
によりフィラーを濾過した後、1回につき40mlの水
でフィラーの水洗、濾過を行いこれを4回繰り返しpH
を中性にした。その後130℃で5時間乾燥して多価金
属イオン溶出性フィラーであるAF−1を得た。ICP
発光分光分析によりこのフィラーの初期多価金属イオン
溶出量は9.2meq/gで最終多価金属イオン溶出量
は24.4meq/gであった。なお、処理前後でフィ
ラーの平均粒子径は変化しなかった。
【0060】実施例12〜19 表4に示す酸、酸濃度、水溶液量、温度及び時間で酸処
理を行い、後処理は実施例11と同様に行い、本発明の
多価金属イオン溶出性フィラーであるAF−2〜AF−
9を得た。それぞれのフィラーのイオン溶出量を表4に
示す。いずれのフィラーも初期イオン溶出量は1〜20
meq/gの範囲内であり、最終イオン溶出量は23〜
50meq/gの範囲内であった。また、何れのフィラ
ーも処理前後で平均粒子径の変化は見られなかった。
【0061】比較例5 10gのF−1に濃塩酸4.2gと水95.8gを加え
て(酸濃度1.4wt%、水溶液量10g/g−フィラ
ー)、温度40℃にて3時間撹拌した。その後遠心濾過
によりフィラーを濾過した後、1回につき40mlの水
でフィラーの水洗、濾過を行いこれを8回繰り返しpH
を中性にした。その後130℃で5時間乾燥して多価金
属イオン溶出性フィラーであるAF−10を得た。IC
P発光分光分析によりこのフィラーの初期多価金属イオ
ン溶出量は1.5meq/gで最終多価金属イオン溶出
量は15.3meq/gであり、初期多価金属イオン溶
出量は1〜20meq/gの範囲内であったが最終イオ
ン溶出量は少なかった。
【0062】また、酸処理後の水洗に要した水の量は実
施例17と比べて、酸のモル数はどちらも同程度である
にもかかわらず2倍であった。
【0063】
【表4】
【0064】実施例20接着材A液0.46gと本発明
の多価金属イオン溶出性フィラーであるHF− 2を分散させたB液0.67gを使用直前に混合し、上
述した方法に従って操作余裕時間及び接着強度の測定を
行った。結果を表5に示す。操作余裕時間は2分05秒
と臨床的に十分な時間であった。さらに接着強度もエナ
メル質、象牙質とも高い値であった。これらの破断面は
歯と接着材の界面または歯の凝集破壊が主である為、接
着材硬化体の強度も十分なものであるといえる。
【0065】実施例21〜28 実施例20と同様に表5に示す本発明の多価金属イオン
溶出性フィラーを用いて操作余裕時間と接着強度を測定
した。結果を表5に示す。いずれのフィラーを用いた場
合でも、操作余裕時間、接着強度とも良好であった。
【0066】比較例6〜8 実施例20と同様に表5に示す多価金属イオン溶出性フ
ィラーフィラーを用いて操作余裕時間と接着強度を測定
した。結果を表5に示す。
【0067】比較例6は加熱処理を行っていない為、初
期多価金属イオン溶出量が多すぎる例であり、操作余裕
時間が短く操作性が悪かった。また、接着強度も低下し
た。比較例7は酸存在下で加熱処理を行ったものであ
り、最終多価金属イオン溶出量が少なすぎる為接着強度
が低下した。比較例8は塩酸で処理を行ったものであ
り、最終多価金属イオン溶出量が少なすぎる為接着強度
が低下した。
【0068】
【表5】
【0069】
【発明の効果】本発明の多価金属イオン溶出性フィラー
は、初期多価金属イオン溶出量が1〜20meq/gと
低い為、ポリカルボン酸や酸性基含有重合性単量体と混
合した場合に急激な粘度上昇が起こらない。この為歯科
用グラスアイオノマーセメントや歯科用接着材として使
用した場合の操作性が良好となる。また、本発明の多価
金属イオン溶出性フィラーは最終多価金属イオン溶出量
が23〜50meq/gと高い為、歯科用グラスアイオ
ノマーセメントや歯科用接着材として使用した場合、硬
化体強度や歯質に対する接着強度等の硬化後の物性が優
れたものとなる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期多価金属イオン溶出量が1〜20m
    eq/gであり、最終多価金属イオン溶出量が23〜5
    0meq/gであることを特徴とする多価金属イオン溶
    出性フィラー。
  2. 【請求項2】 フルオロアルミノシリケートガラス粉末
    を酸の非存在下に加熱処理することを特徴とする請求項
    1記載の多価金属イオン溶出性フィラーの製造方法。
  3. 【請求項3】 フルオロアルミノシリケートガラス粉末
    を有機スルホン酸で処理することを特徴とする請求項1
    記載の多価金属イオン溶出性フィラーの製造方法。
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