JP5282980B2 - 歯列矯正部材用接着材 - Google Patents

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Description

本発明は、主に歯列矯正治療において歯列矯正部材を歯面に固定するために用いられ、硬化後も長期に亘って蛍光が保持される歯列矯正部材用接着材に関する。
一般的な歯列矯正治療では、歯列矯正用部材(ブラケットなど)と歯面とを矯正用接着材で接着させ、前記部材にアーチワイヤーと呼ばれる針金を固定させる。一定の期間が経過して歯列が整えられた後、ディボンディングと呼ばれる部材の除去操作によりワイヤーや矯正用部材は取り外される。ディボンディング後、歯面に残存する接着材は専用器具にて除去され、治療が終了する。ディボンディング後に行われる接着材の除去は、審美回復及びう蝕回避のために必要とされる。また、歯列矯正用部材を歯面に接着させる際に、誤った箇所に該接着材を塗布することも決して珍しいことではない。その場合には、硬化した接着材をすぐに歯面から除去し、再度正しい箇所に接着材を塗布し直すことが必要になる。さらに、歯列矯正用部材の歯面への接着後に、該歯列矯正用部材の周囲に硬化した余剰の接着材が広がっている場合には、これを除去しておくことが望まれる。
ところが、このような歯列矯正治療で行われている、硬化した接着材の歯面からの除去操作は、次のような理由から治療術者に大きなストレスを与えている。現在使われている接着材の多くは、歯冠色に近い色を有している。デンタルライトの射光下においては歯面に残存する接着材を判別しにくく、これを効率的に除去することが難しくなっている。
こうした状況から、歯列矯正部材用接着材においては、硬化物を歯面から除去するに際して、その存在箇所の判別が容易なものが求められている。
接着材の着色に関する従来技術としては、光退色性染料が添加された接着材がある(特許文献1参照)。この接着材は、歯列矯正用部材を接着材を用いて歯面に固定させる際に発生する未硬化の余剰接着材の除去を容易にすることを目的としている。
余剰接着材は、通常接着材が完全に硬化する前に除去されるが、除去に際しては接着材が歯冠色と異なる色を呈する方が接着材の判別には有利である。その一方、歯冠色と判別しやすい色の接着材は、歯列矯正期間において接着材を目立たせてしまい、審美性を損なう問題がある。特許文献1に記載された接着材は、光退色性染料が配合されている。硬化前は染料により歯冠と異なる色を示すが、硬化後には染料が速やかに退色して歯冠色に近い色を示す。この接着材は、接着材の硬化に伴い染料が退色するので、硬化後においてはもはや歯面に残存するその硬化物を歯冠から判別することは困難である。
一方、冷却することにより色を呈する色素を配合した接着材も市販されている。この接着材の硬化物は、体温付近の温度域では、歯牙と同様の白色を呈している。エアブローや流水により冷却されることにより、この硬化物は歯牙とは異なる色を呈す。この接着材は、歯面に残存するその硬化物を冷却して呈色させることにより判別しやすくしたものである。しかしながら、冷却によって呈色させるには時間が掛かり、更に冷水等により冷却され刺激を受けることによる歯質神経の疼痛の原因にもなる。更に通常の飲食よって、歯牙表面温度は色素の発色温度域まで容易に低下し、ディボンディング時以外でも呈色してしまい、審美性に劣ってしまう可能性がある。
他方、光を照射すると蛍光や燐光を発する、ブラケットやアーチワイヤー等の矯正部材がある(特許文献2参照)。この矯正部材は、暗所で矯正部材が発光するものであり、審美的に発光を楽しむことが目的とされる。発光源としては、無機顔料のみが開示されている。無機顔料の添加量は部材の質量あたり10質量%〜15質量%と非常に高濃度となっている。特許文献2に記載された従来技術は、矯正部材自体が発光する点で後述する本発明とは根本的に思想が異なっている。
したがって、矯正部材の装着時には歯冠との区別がつきにくく、ディボンディング時等において、残存接着材を瞬時に識別し、その除去を容易にする接着材は、未だ提供されていない。
特表2004−510796号公報(特許請求の範囲) US5692895
本発明が解決しようとする課題は、歯列矯正用部材の装着時においては無色透明又は歯冠色に近い色を有しており、ディボンディング等に際しては、歯冠と容易に判別することができる歯科用接着材組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、重合性単量体、蛍光性色素および重合開始剤を含む特定の組成物を歯列矯正部材用接着材として用いれば、通常の使用状態では歯冠との区別がつきにくく、光照射することにより蛍光を発するので容易に歯冠と判別することが可能な歯列矯正部材用接着材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)重合性単量体、
(B)有効量の光重合開始剤、
(C)有効量の蛍光性色素
を含んでなることを特徴とする、歯列矯正部材用接着材に関する。
更に本発明は、(A)重合性単量体、
(B)有効量の重合開始剤、
(D)少なくとも(E)重合性単量体の重合体と(C)有効量の蛍光性色素とを含む有機フィラー、又は、少なくとも(E)重合性単量体の重合体と(C)有効量の蛍光性色素と無機フィラーとを含む有機複合フィラー、
を含有する、歯列矯正部材用接着材に関する。
本発明の歯列矯正部材用接着材は、歯牙のような生体硬組織と歯列矯正部材などの金属、無機材料とを接着させるのに好適に使用することができる。本発明の接着材は、蛍光性色素を含有し、接着材が硬化した、少なくともその直後においてその蛍光性が失われていない。したがって、歯列矯正治療において、歯列矯正用部材を歯面に接着させる際に、たとえ誤った箇所に該接着材を塗布しても、歯科用光照射器を用いて光照射することによりこの接着材の塗布面は蛍光を発するので、容易に判別を行うことができ、その除去が簡単である。また、接着した歯列矯正用部材の周囲に余剰の接着材が広がっている場合においても、その除去が簡単に実施できる。さらに、この蛍光の発色は長期にわたって維持されるため、歯列矯正治療のディボンディングに際しても、歯列矯正用部材を取り外された歯面に残存する該接着材を効率的に除去でき、治療術者に与えるストレスを大幅に低減できる。
本発明の接着材において、蛍光性色素以外の染料等の配合は任意であるので、歯列矯正用部材の装着時の審美性と、歯冠との判別し易さとは両立できる。
本発明の歯列矯正部材用接着材の特徴は、歯列矯正治療におけるディボンディング時に、歯科用光照射器を用いて光照射することにより硬化後の接着材が蛍光を発し、それにより残存接着材を容易に見分けることが可能である点である。これを達成するために、本発明の接着材は、(A)重合性単量体、(B)重合開始剤、及び(C)蛍光性色素を含む。これにより、歯列矯正治療におけるディボンディング時の残存接着材の判別が容易になる。
本発明が目的とする硬化後においても蛍光を発する接着材を得るためには、硬化の際に重合開始剤と蛍光性色素の反応がほとんど起こらないか、反応が起こっても、接着材全体としてはなお蛍光性を維持している必要がある。残存接着材の判別を容易にするためには、接着材の硬化直後に測定した蛍光強度が、480nmの光照射に対して、少なくとも下記(a)〜(e)成分
(a)2,2’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
(b)トリエチレングリコールジメタクリレート
(c)カンファーキノン
(d)ジメチルアミノ安息香酸エチル
(e)エオシンY
からなる参照用硬化性組成物であって、(a)59.9質量%、(b)39.9質量%、(c)0.1質量%、(d)0.1質量%を含む(a)〜(d)成分の100質量部に対して(e)0.001質量部を配合してなる参照用硬化性組成物を光硬化させた硬化直後の参照用硬化物よりも強い蛍光強度を有する必要がある。
接着材の硬化物と参照用硬化物の蛍光強度の比較は、以下の方法により行う。まず、接着材と上記(a)〜(e)成分からなる参照用硬化性組成物とを、型を用いてそれぞれ厚さ1.0±0.1mmの板状に硬化させ、接着材硬化物と参照用硬化物を得る。次いで硬化直後の接着材硬化物と参照用硬化物について蛍光強度を測定する。硬化直後とは、接着材又は参照用硬化性組成物が完全に硬化した後1時間以内と定義する。蛍光強度の測定は、蛍光分光光度計にて行う。硬化物に対してその厚さ方向に波長480nmの励起光を照射し、硬化物から放出される400〜800nmの蛍光スペクトルを測定する。
一般的に口腔内で用いることのできる光照射器は、コンポジットレジン等の光重合に用いられる歯科用光照射器であり、これらは安全性の点から可視光照射器が用いられている。その照射光の波長は、コンポジットレジンの光重合開始剤として、汎用的に用いられるカンファーキノンの極大吸収波長域である480nm付近に調整されているのが一般的である。したがって、本発明の接着材においても、歯面上に存在する硬化物の確認は、該480nm付近の波長の光を照射することにより行う。この波長の光の照射は、上述したように歯科用光照射器を用いて実施できるので、歯科治療において特に簡便であり且つ効率的である。この理由により、本発明の接着材が硬化直後に蛍光強度の測定に使用する励起光は、上記480nmの波長を採用する。この励起光が照射されて放出される接着材硬化物の蛍光スペクトルを、前記参照用硬化物の蛍光スペクトルと対比して、その蛍光強度を評価する。
硬化物に含まれる蛍光性色素の極大励起波長はその種類により種々異なっている。少なくとも、硬化物に含まれる蛍光性色素が480nmに吸収を有し、該480nmの光照射によって、400〜800nmの可視領域に蛍光スペクトルのピークが観測されるものであれば、本発明の接着材の(C)成分として使用することが可能である。なお、参照用硬化性組成物に蛍光性色素として配合されている(e)エオシンYは、極大吸収波長が525nmであって、480nmにも十分な吸収を有している。この色素は、480nmの光照射によって、500〜560nmの領域に蛍光スペクトルのピークが観測される色素である。
接着材硬化物と、参照用硬化物の蛍光強度の比較は、以下の手順により行う。まず、400〜800nmの可視領域に蛍光スペクトルのピークが観察された接着材硬化物について、得られたスペクトルの最大ピークの高さを最大蛍光強度として読み取る。参照用硬化物についても同様にして最大蛍光強度を読み取った後、接着材硬化物と参照用硬化物とで該最大蛍光強度の値を比較する。接着材硬化物について測定された最大蛍光強度の値が参照用硬化物の最大蛍光強度より大きい値であれば、当該接着材硬化物の硬化前組成物は本発明の蛍光性を有してなる歯列矯正用接着材である。なお、蛍光スペクトルのピークは、上記400〜800nmの可視領域に一部が含まれていれば良く、必ずしもそのピークの極大点(ピークトップ)がこの領域に存在していなくても良い。
上記参照用硬化物は、実際に歯列矯正部材の接着のために歯面に塗布される程度のわずかな量であっても、480nm付近(好適には420〜520nmの範囲)の波長の光を照射したときに、十分に肉眼で識別できる程度の蛍光を放出する。従って、420〜520nmの範囲に波長域を有するLED照射器やハロゲン照射器等の光照射器を照射したときに、歯冠と十分に区別することが可能である。従って、400〜800nmの蛍光スペクトルにおける最大蛍光強度の値が参照用硬化物の該値よりも大きい接着材硬化物は、歯冠上でその有無を容易に判別することが可能である。
特に、歯列矯正部材用接着材の硬化物の最大蛍光強度は、参照用硬化性組成物の硬化物の最大蛍光強度に対する相対値(以下、相対蛍光強度と称する)で110%以上が好ましい。上記強度以上の場合に歯冠上で蛍光を視認し易くなる。相対蛍光強度は300%以上がより好ましい。一方着色の点から、相対蛍光強度は700%以下が好ましい。更には、歯列矯正部材用接着材の硬化物を、4℃の水槽に1分間浸漬後、60℃の水槽に移し1分間浸漬し、再び4℃の水槽に戻す操作を、3000回繰り返した後においても、相対蛍光強度が上記範囲内にあるのが好ましい。かかる接着剤硬化物は、接着材として歯列矯正治療に長期間供した後であっても、歯冠と充分区別できる程度に蛍光強度を維持していると考えられる。従って、接着剤硬化物を歯面から除去する際に有利である。
本発明の歯列矯正用接着材を得るためには、基本的には硬化物について測定した蛍光強度が上述の条件を満たすようにその組成を調製すれば良い。このためには使用する蛍光性色素として、前記した少なくとも、上記480nmに吸収を有し、該480nmの光照射によって、400〜800nmの可視領域に蛍光スペクトルのピークが観測されるものを用いる必要がある。しかしながら、該条件を満足する蛍光性色素を用いても、重合開始剤との組み合わせにより、硬化物の蛍光性が損なわれる場合がある。そのため、蛍光性色素と重合開始剤との組み合わせを充分考慮して用いる必要がある。特に重合開始剤に光重合開始剤を使用する場合、重合開始剤と蛍光性色素との組み合わせによっては蛍光性色素が殆ど失活し、接着材の色(蛍光性)が著しく損なわれる場合が多い。光重合開始剤により蛍光性色素が失活する機構は、以下のとおりである。
蛍光性色素が増感剤として働き、光照射により光励起された増感剤(蛍光剤)から光重合開始剤が電子を受け取る(あるいは電子を増感剤に与える)2分子反応により中間体が生成する。該中間体、或いは該中間体からの2次反応により生成した活性種から重合が開始される一方で、色素自身は電子を失い(あるいは受け取り)分解され、蛍光性が失活する。特に開始剤として強い電子受容体を用いた場合、蛍光性色素の蛍光性はほぼ完全に失活する。
このように、開始剤機構の中で蛍光性が失われる系もあるので、本発明が目的とする接着材を得るためには、次のI)〜IV)の4つの系を好ましいものとして挙げることができる。
I)(C)蛍光性色素として、光励起による電子の授受を行っても蛍光性が失活しない(蛍光性色素が分解されにくい)ものを使用する系
II)(B)重合開始剤として、電子受容体(もしくは供与体)としての能力が強くないものを使用する系
III)(B)重合開始剤として、ラジカルの生成に増感剤を必要としないものを使用する系
IV)(A)重合性単量体、(B)重合開始剤、(D)少なくとも(E)重合性単量体の重合体と、(C)蛍光性色素と、を含む有機フィラーを使用する系
上述したI)〜IV)の4つの系のうち、IV)の系は、蛍光性色素が有機フィラー内に分散した状態で存在するので、(B)重合開始剤と(C)蛍光性色素との間で蛍光性を失活させる反応が生じない。そのため、(C)蛍光性色素と(B)重合開始剤とは、最終的に得られる接着材硬化物が上述した蛍光強度を有することを条件に、どのような組み合わせのものであってもよい。
上述した系I)〜III)の系と、IV)の系とは、使用できる蛍光性色素、重合開始剤の組み合わせ等の条件が大きく異なっている。そこで、I)〜III)の系と、IV)の系との2つの形態に大別して、以下各系について説明する。
<第1の形態>
本発明の第1の形態は、蛍光性色素が有機フィラーに配合されることなく(A)重合性単量体及び(B)重合開始剤に直接添加される接着材組成物である。具体的には以下のI)〜III)の系の組成物である。
I)(C)蛍光性色素として、光励起による電子の授受を行っても蛍光性が失活しない(蛍光性色素が分解されにくい)ものを使用する系
I)の系においては、(C)成分の蛍光性色素として、例えばペリレン系色素、アントラキノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素等の縮合多環化合物類等を挙げることができる。縮合多環化合物類は電子の授受を伴う反応による化合物の分解が起こりにくい。したがって、重合開始剤との間で電子の授受を行っても蛍光性が失活しにくいので、接着材の硬化後においても強い蛍光を保持している。
(C)成分として配合する縮合多環化合物類は蛍光性が失活しにくいので、組み合わせる光重合開始剤としては通常歯科用接着材に使用される公知の組成物を使用することができる。
II)(B)重合開始剤として、電子受容体(もしくは供与体)としての能力が弱いものを使用する系
II)の系は、開始剤の電子受容体が、電子を受け取ったり(あるいは電子を増感剤に与えたり)する作用が弱いため、(C)蛍光性色素が電子を失い(あるいは受け取り)分解されることが生じ難いものである。具体的には、(B)成分が、2成分間で水素の授受を行うことによりラジカルを生成させる重合開始剤であって、飽和カロメル電極に換算した還元電位が−0.6V以上、より好適には−1.0V以上の電子受容体は実質的に含有していない系を挙げることができる。かかる(B)成分としては、例えば、カンファーキノン等のα−ジケトンとアミン類の組み合わせ等が挙げられる。これらの重合開始機構では、光照射により励起したα−ジケトンがアミン類から水素を引き抜くことによりラジカル種が発生する。光励起したα−ジケトンは電子受容体としても機能するがその能力は低く、アミンのような水素供与体が存在する場合、電子引き抜きよりも水素引き抜きが優先して起こる。したがって、蛍光性色素の蛍光性は保持される。
水素引き抜き反応によりラジカル種を生成する化合物としては、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類;2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等のα−アミノアセトフェノン類等を挙げることができる。その中でもカンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類がより好ましく、さらには活性の点からカンファーキノンが最も好ましい。
また、上述の水素引き抜き型重合開始剤と組み合わせたときに水素供与体として作用する重合促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等のメルカプト化合物を挙げることができる。上記の化合物以外にも水素供与体として作用する公知の重合促進剤が何ら制限なく使用できる。これらの中でも第三級アミン類が特に好ましい。
II)の系には、上述した重合開始剤、重合促進剤以外に、特開2005−89729号公報に記載の、ボレート化合物等の他の重合を促進する化合物が、硬化後に(C)成分の蛍光性を失活させない範囲において、何ら制限なく使用できる。
ところで、II)の系において、(B)成分に、光酸発生剤に代表されるような、強い電子受容体を用いると、重合活性の面からは該活性が向上し好ましいのが普通であるが、一方で、前述のように強すぎる電子受容体の作用により、蛍光性色素の蛍光強度が顕著に損なわれる虞が高まる。したがって、本発明の接着材を得るためには、光酸発生剤に代表されるような強い電子受容体は実質的に含有させないか、加えるとしても、飽和カロメル電極に換算した還元電位−0.6Vより小さいものに、使用を留めるのが好ましい。
こうした還元電位−0.6Vより小さい電子受容体としては、後述する本発明の第2の形態でIV)の系において、(B)重合開始剤の説明で好適な光酸発生剤として詳述する一般式(3)で示されるトリハロメチル基置換s−トリアジン化合物を挙げることができる。
II)の系では(B)成分からラジカル種が生成する際に、電子の授受に優先して水素の引抜きが起こるので、電子の授受をほとんど必要としない。そのため、(C)成分の蛍光性色素としては、公知のもののほとんどが制限無く使用できる。例えば、フロキシンB、エオシンY等の酸性染料、クマリン系色素、ペリレン系色素、アントラキノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素等の縮合多環化合物類、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ソルベントレッド73、C.I.アシッドイエロー73、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ソルベントグリーン7、C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.アシッドイエロー40、カプサンシン、C.I.ナチュラルレッド25、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトレッド23、等を挙げることができる。
その他、特開2003−277424号公報に記載の色素のうち蛍光性を示す色素が何ら制限なく使用できる。
III)(B)重合開始剤として、ラジカル種の生成に増感剤を必要としないものを使用する系
III)に関しては、重合開始剤として、分子内開裂によりラジカル種を生成させるものを使用できる。かかる重合開始剤としては、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド誘導体等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、自身が光励起により解裂することによりラジカルを生成させ、このラジカルが重合性単量体と反応することにより重合が開始する。そのため、組成物中に蛍光性色素が存在しても、該蛍光性色素は上記重合開始剤の重合開始機構に関与しない。したがって、蛍光性色素は消費されず、硬化後に接着材の蛍光強度が低下することもない。
III)の系の重合開始剤としては、上述した増感剤を必要としない開始剤以外に、上述の第三級アミン類、特開2005−89729号公報に記載の、ボレート化合物等の他の重合を促進する化合物の中で、蛍光性色素の失活を伴わないものを何ら制限なく使用できる。
このIII)の系においても、上述したように蛍光性色素は、重合開始剤の重合開始機構に関与しないため、公知のもののほとんどが制限無く使用できる。
上記のI)〜III)の系においては、蛍光性色素の利用範囲が広い点から、II)又はIII)の系が好ましく採用される。後述するように、本発明の歯列矯正部材用接着材には、(A)重合性単量体の少なくとも一部として酸性基含有重合性単量体を配合させる等して、酸性成分を含有させるのが、歯質への接着力を向上させる上において有利である。しかし、蛍光性色素の多くは斯様な酸性条件下では、その蛍光性が損なわれるものが多い。したがって、(A)成分として酸性基含有重合性単量体を配合する場合には、できるだけ耐酸性を有する蛍光性色素を用いるのが好ましい。
上記耐酸性を有する蛍光性色素としては、上記II)、III)の系で使用可能なクマリン系色素が好適である。すなわち、クマリン系色素を用いれば、接着材に前記酸性成分を含有させ、歯列矯正部材を歯面に強固に接着し、歯列矯正に長期間使用した後に、該歯列矯正部材を歯面より取り外して、残余の接着材を除去する場合においても、該残余の接着材には強い蛍光性が保持されているため判別が容易である。
本発明において使用するクマリン系色素は、下記式(1)
Figure 0005282980
{式中、R、RおよびRはそれぞれ同種あるいは異種の水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノ基、または置換もしくは非置換のアルケニルアミノ基であり、ここでR、RおよびRの内何れか2個は互いに連結して縮合環を形成していてもよく、Xは水素原子またはシアノ基であり、Yは炭素数5〜9の複素環基または下記基(2)
Figure 0005282980
(但し、Zは炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、アルケニル基または3'−クマリノ基である)である}
で表される化合物である。
クマリン系色素の具体例としては、3−チエノイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)クマリン、3−チエノイル−7−メトキシクマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−7−メトキシクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−シアノベンゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)クマリン、3−シンナモイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(p−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3−カルボキシ−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−カルボキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3'−カルボニルビスクマリン、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン、3,3'−カルボニルビス(5,7−)ジメトキシ−3,3'−ビスクマリン、3−(2'−ベンズイミダゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2'−ベンズオキサゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(5'−フェニルチアジアゾイル−2')−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2'−ベンズチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3'−カルボニルビス(4−シアノ−7−ジエチルアミノ)クマリン等が挙げられる。
このうち、歯科用可視光照射器の照射波長域の光照射において少量添加で強い蛍光を発生し、さらに耐酸性も強いという観点から、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン、3−(2'−ベンズイミダゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2'−ベンズオキサゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(5'−フェニルチアジアゾイル−2')−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2'−ベンズチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3'−カルボニルビス(4−シアノ−7−ジエチルアミノ)クマリンが好ましく、特に耐酸性により優れるという観点から、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジンが最適である。
以上は、(B)重合開始剤として光重合開始剤を用いた系について説明したが、各系の該重合開始剤としては、光重合開始剤以外のものを用いても良い。光重合開始剤以外の開始剤としては、有機過酸化物とアミン化合物に代表される、所謂、化学重合開始剤を挙げることができる。化学重合開始剤を使用する接着材は光照射の必要がない。そのため、(A)成分が重合する際に(C)蛍光性色素は消費されず、硬化後に接着材の蛍光強度は低下しない。
本発明の歯列矯正部材用接着材に使用する(B)成分の重合開始剤のうち、化学反応により重合を開始する重合開始剤は、以下に示すものである。化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。
該アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物が例示される。
有機過酸化物としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される有機過酸化物が好ましい。その他、特開2007−8972号公報に記載の化学重合開始剤を何ら制限なく使用できる。
(B)成分の重合開始剤としては、歯面への接着操作において、矯正部材のポジショニング後すぐに硬化可能であるという、良好な操作性の観点から、光重合開始剤が好ましい。
(B)成分の配合量は、接着材を硬化できるだけの有効量であれば特に限定されず適宜設定すれば良い。好ましくは、後述する(A)成分との合計100質量%中において0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。(B)成分の配合量が0.01質量%未満では重合が不十分となりがちである。他方、(B)成分の配合量が10質量%を越えると硬化物の強度が低下する傾向があり好ましくない。
これに対し、(C)成分の配合量は、使用する重合開始剤等により異なり一義的に決定することは難しいが、接着材が硬化後に参照用硬化物より強い蛍光強度を示すように配合量を調整する。通常は、蛍光強度と着色の観点から、(C)蛍光性色素の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.0001〜0.5質量部とすることが好ましく、0.0005〜0.1質量部とすることがより好ましい。この(C)成分の配合量が0.0001質量部より少ないと、ディボンディング時に残存接着材を判別しにくくなり、効果が薄れ易くなる。また、(C)成分の配合量が0.5質量部より多いと、硬化後に着色が認められるようになるので、審美性の面から好ましくない。
(A)成分である重合性単量体は、分子中に少なくとも一つの重合性不飽和基を持つ物で有れば、公知の化合物を何等制限無く使用できる。(A)成分の単量体分子中に存在する重合性不飽和基としては、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、エチニル基、スチリル基等を挙げることができる。特に、アクリルオキシ基、およびメタクリルオキシ基が接着材の硬化性を向上させる観点から好ましい。
(A)成分として好適に使用できる化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート(メチルアクリレート又はメチルメタアクリレートの意である。以下も同様に表記する。)、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
更に、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を混合して重合することも可能である。これらの他の重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、α−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。これらの重合性単量体は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明の接着材では、より強固に歯質と接着させるために、酸性成分を含有させても良い。この態様は、上記(A)重合性単量体の少なくとも一部として、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を持つ酸性基含有重合性単量体を配合させることにより実現するのが好ましい。酸性基含有重合性単量体の配合量は、(A)重合性単量体中において、少なくとも5質量%であるのが好ましく、10〜50質量%であるのが、より効果的である。
こうした酸性基含有重合性単量体は、その分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を持つ化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。酸性基含有重合性単量体が含有する酸性基としては、(ジ)ハイドロジェンリン酸エステル基、ホスホン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基を挙げることができる。なお、フタル酸無水物基等の酸無水物基についても、接着材の使用時には酸性基に加水分解されているのが通常であるため、本発明では、上記酸性基に含める。
酸性基含有重合性単量体として好適に使用できるものを例示すれば、下記式に示す化合物の他、ビニル基に直接リン酸基が結合したビニルホスホン酸類や、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸等を挙げることができる。
Figure 0005282980
Figure 0005282980
Figure 0005282980
Figure 0005282980
上記化合物中、Rは水素原子またはメチル基を表す。これらの化合物は単独で又は二種以上を混合して(A)成分の重合性単量体として用いることができる。
本発明の接着材において、上記(A)成分の配合量は、(B)成分との合計100質量%中において、好ましくは99.99〜90質量%、より好ましくは99.9〜95質量%である。この(A)成分の配合量が99.99質量%を超えると重合が不十分となりがちである。他方、この(A)成分の配合量が90質量%未満では硬化物の強度が低下する傾向があり好ましくない。
上述したI)〜III)の系には、接着材硬化物の強度を向上させるために、必要に応じてフィラー成分が配合できる。こうしたフィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーおよび無機フィラーと有機フィラーとの複合フィラーなど公知のものが制限無く使用できる。
無機フィラーとしては、シリカ;カオリン、クレー、雲母、マイカ等のシリカを基材とする鉱物;シリカを基材とし、Al23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、La23、SrO2、CaO、P25などを含有する、セラミックスおよびガラス類が例示される。ガラス類としては、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラスが好ましい。これらの外、結晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウムも好ましい。
有機フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムが例示される。
無機フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することにより重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。疎水化の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが好適に用いられる。
無機フィラーと有機フィラーとの複合フィラーとしては、有機フィラーに無機フィラーを分散させたもの、無機フィラーを種々の重合性単量体の重合体からなる有機フィラーにてコーティングしたものが例示される。
この中でも、余剰ペーストの除去性を高めるなど良好な操作性を得られるという点において、シランカップリング剤を用いて表面処理された、石英などの不定形シリカを用いることが好ましい。不定形の表面処理シリカと、ヒュームドシリカとを併用することは、更に好ましい。不定形の表面処理シリカとヒュームドシリカの併用により、(A)成分の重合性単量体と表面処理シリカとのなじみを良くすることができ、より良好な操作性を得ることができる。
上記フィラーは、1種単独を配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。その配合量は、接着材の硬化物に十分な強度を付与する観点から、(A)、(B)、(C)成分の合計100質量部に対して、60〜900質量部の範囲が好ましく、100〜400質量部の範囲がより好ましい。
本発明の接着材には、その他の成分としてさらに重合禁止剤を添加してもよい。添加に際しては公知の重合禁止剤を際限なく使用できる。その際、接着材中に添加できる重合禁止剤の量は0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%である。接着材中における重合禁止剤の配合量が10質量%を超えると、接着材の硬化の際に阻害を起こすため、好ましくない。
さらに、本発明の歯列矯正部材用接着材にはその性能を低下させない範囲で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。また、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を必要に応じて選択して使用することもできる。
以上説明したI)〜III)の系の各成分は、1剤に混合して接着材とする。その混合方法は、公知の歯質用接着材の製造方法に従えばよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、重合性単量体、蛍光性色素、重合開始剤を量り取り、混合すればよい。その後、フィラー成分と、必要により任意成分とを量り取り、上記組成物を計量して混合し、練り混ぜることで本発明第1の形態の接着材を得ることができる。
<第2の形態>
本発明の第2の形態は、蛍光性色素が有機フィラーの一成分として配合される接着剤組成物であって、具体的には以下のIV)の系の組成物である。
IV)(A)重合性単量体、(B)重合開始剤に、さらに(D)少なくとも(E)重合性単量体の重合体と、(C)蛍光性色素と、を含む有機フィラーを使用する系
(D)成分の有機フィラーは、少なくとも(E)重合性単量体の重合体と(C)蛍光性色素とを含む、平均粒径1〜100μm程度の固体粒子である。
IV)の系は、(C)蛍光性色素が(D)有機フィラーの一部として内部に閉じ込められているため、(A)重合性単量体および(B)重合開始剤のラジカル重合には関与しない。したがって、(A)重合性単量体と、(B)重合開始剤の重合反応により(C)蛍光性色素の蛍光性が失われることが無いため、(B)重合開始剤と(C)蛍光性色素との組み合わせを考慮する必要はない。しかしながら、(D)有機フィラーの製造は、(E)成分の原料である重合性単量体と、重合開始剤と、(C)蛍光性色素とを混合し、重合性単量体を重合させる工程を含む。そのため、(D)有機フィラー製造時に使用する重合開始剤と、(C)蛍光性色素の組み合わせについては、前記したI)〜III)の系の組成物とする等して、重合により(C)蛍光性色素の蛍光性が失われないように考慮して選択する必要がある。
(D)有機フィラーに含まれる(E)重合性単量体の重合体を構成する重合性単量体に特に限定はないが、例えば下記i)〜iv)に示す各モノマーが挙げられる。
i)単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート; あるいはアクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイドロジェンフェニルフォスフォネート等。
ii)二官能性ビニルモノマー
ii)−1芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル) プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル) プロパン、2,2− ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのよう
な−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
ii)−2 脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH 基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト; 無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
iii)三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
iv)四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加から得られるジアダクト等。
これら重合性単量体は、単独で使用しても、異なる種類のものを混合して用いてもよい。
(D)成分を構成する(E)重合性単量体の重合体は、重合開始剤を用いて重合性単量体を重合させることにより形成するのが好ましい。その重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーを用いた光重合、過酸化物と促進剤との化学反応による化学重合、加熱による熱重合等がある。採用する重合方法に応じて下記に示す各種重合開始剤を適宜選択して使用する。接着材硬化物の審美性を維持する観点から、着色の少ない触媒系を選択することが望ましい。
例えば、光重合開始剤としては、上述したII)、III)の系の(B)成分と同様の光重合開始剤、即ちα−ジケトンとアミン類の組み合わせ、又は分子内開裂によりラジカル種を生成させるものを使用することができる。なお、II)、III)の系の(B)成分と同様の光重合開始剤を使用する場合には、(C)成分の蛍光性色素には公知のものをほとんど使用することが可能である。他の光重合開始剤を使用する場合には、(C)成分の蛍光性色素としては、I)の系と同様の縮合多環化合物を使用することが可能である。
熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル) ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。これらの中でも、アゾビスイソブチロニトリルは有機フィラーそのものが着色しにくいため好適である。
化学重合開始剤としては、上述したI)〜III)の系と同様のものを挙げることができる。
これら重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の添加量は適宜選択されるが、通常、重合性単量体100重量部に対して0.01〜30重量部の割合であり、より好ましくは0.1〜5重量部の割合である。
重合開始剤として光重合開始剤以外の重合開始剤を使用する場合、(C)成分の蛍光性色素としては、公知のもののほとんどが制限無く使用できる。例えば、フロキシンB、エオシンY等の酸性染料、クマリン系色素、ペリレン系色素、アントラキノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素等の縮合多環化合物類、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ソルベントレッド73、C.I.アシッドイエロー73、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ソルベントグリーン7、C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.アシッドイエロー40、カプサンシン、C.I.ナチュラルレッド25、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトレッド23、等を挙げることができる。中でも、クマリン系色素は400〜800nmの可視領域に発光のピークトップを有するものが多く、少量の添加で臨床上効果のある発光を得やすいため好ましい。その中でも、480nmに吸収極大波長を有する2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジンを使用することは特に好ましい。
その他、特開2003−277424号公報に記載の色素のうち蛍光性を示す色素が何ら制限なく使用できる。
IV)の系においては、(C)成分は、(D)有機フィラーの一成分として配合する。(C)成分の配合量は、歯列矯正部材用接着材に配合する(D)成分の量により異なり一義的に決定することは難しいが、接着材が硬化後に参照用硬化物より強い蛍光強度を示すように配合量を調整する。通常は、蛍光強度の観点から、(C)蛍光性色素の配合量は、(D)成分中の(E)成分100質量部に対して0.01〜2.0質量部とすることが好ましく、0.02〜1.0質量部とすることがより好ましい。この(C)成分の配合量が0.01質量部より少ないと、ディボンディング時に残存接着材を判別しにくくなり、効果が薄れ易くなる。また、(C)成分の配合量が2.0質量部より多いと、接着材の色調が歯冠色からかけ離れる傾向にあるため、審美性の面から好ましくない。
(D)成分には、(E)成分および(C)成分のほか、必要に応じて無機フィラー成分を配合できる(以下、無機フィラー成分が配合された(D)成分を有機複合フィラーと呼ぶ)。無機フィラーとしては、公知のものが制限無く使用でき、上述したI)〜III)の系において例示されるものと同様のものを挙げることができる。無機フィラーの表面は、シランカップリング剤等の表面処理剤により、疎水化処理されたものであってもよい。
無機フィラーの平均粒径は、0.005〜100μmとすることが好ましく、0.01〜50μmとすることがより好ましい。また、有機複合フィラーにおける無機フィラーの配合量は、有機複合フィラー100質量部中、10〜95質量部とすることが好ましく、30〜90質量部とすることがより好ましい。
有機複合フィラーは、(E)成分の重合性単量体の重合体と(C)成分の蛍光性色素との混合物に無機フィラーを分散させたもの、無機フィラーを(E)成分と(C)成分との混合物にてコーティングしたもののいずれの形態であってもよい。
(D)成分には、上述した(E)成分、(C)成分、無機フィラー以外に、増粘剤、帯電防止剤、染料、顔料等の添加剤が含まれていてもよい。
上述の(D)成分は、例えば以下の方法にて製造することができる。
すなわち、(E)成分の原料である重合性単量体と、重合開始剤と、(C)成分と、必要により任意の添加剤とを混合した後、重合性単量体を重合させる。これにより、(E)成分と(C)成分と任意の添加剤とを含む硬化体を作製した後、該硬化体を所望の粒径の粒子になるまで粉砕する。粉砕には、例えば、振動ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いることが可能である。粉砕後、必要に応じて、フルイ、エアー分級機、あるいは水ひ分級等による分級を行ってもよい。分級工程を行うことによって目的の平均粒径、粒度分布を有する(D)有機フィラーを得ることができる。この(D)成分の平均粒径に特に限定はないが、べたつきが少ないペーストが得られ易いことから好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは5〜50μmである。
(D)成分を有機複合フィラーとする場合、(E)成分の原料である重合性単量体と、重合開始剤と、(C)成分と、無機フィラーと、必要により任意の添加剤とを混合し、硬化、粉砕することにより有機複合フィラーを得ることができる。この方法により得られる有機複合フィラーは、(E)成分と(C)成分との混合物の中に無機フィラーが均一に分散した有機複合フィラーである。
一方、無機フィラーの表面が(E)成分と(C)成分との混合物でコーティングされた有機複合フィラーは、特開2008−37952号公報に記載の方法により得ることができる。
接着材組成物における(D)成分の配合量は、後述する(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して5〜500質量部とすることが好ましく、10〜250質量部とすることがより好ましい。5質量部未満では接着材の硬化物の蛍光強度が不十分となり、500質量部を超えると硬化後に歯冠と異なる着色が認められる場合がある。
(D)成分として有機複合フィラーを用いる場合にも、配合量を上述した範囲内とする。また、(D)成分として使用する有機複合フィラーの好ましい平均粒径も、上述した有機フィラーの平均粒径と同様である。
本発明の第2の形態であるIV)の系において使用する(A)成分は、I)〜III)の系で使用する(A)成分と同様である。
(B)重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することが可能である。例えば上述したII)の系で使用する、2成分間で水素の授受を行うことによりラジカルを生成させるカンファーキノン等のα−ジケトンとアミン類の組み合わせや、III)の系で使用する分子内開裂によりラジカル種を生成させる光重合開始剤を挙げることができる。それ以外に、光酸発生剤に代表されるような電子受容体に関しても公知のものが制限なく使用できる。特に、こうした光酸発生剤に代表される電子受容体は重合活性を大きく向上させ好ましい反面、前記したようにその電子受容能が強いものが多く、前記第1の形態のII)の系では蛍光性色素を失活させる原因になることから、使用できなかったり、限定的な使用に控えなければならないが、本形態においてはこのような制限なく使用でき好適である。
光酸発生剤に代表される電子受容体としては、下記一般式(3)に代表される、置換基としてトリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005282980
( 式中、R及びRは、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、またはアルコキシ基であり、Xはハロゲン原子である。)
上記一般式(3)中、Xで表されるハロゲン原子は、塩素、臭素及びヨウ素の何れでもよいが、塩素が一般的であり、従って、トリアジン環に結合した置換基(CX)としては、トリクロロメチル基が一般的である。
及びRは、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基、アルキル基及びアルコキシ基の何れでもよい。保存安定性を高める観点からは、R及びRの少なくとも一方が、トリアジン環と共役可能な不飽和結合を有する有機基であることが好ましい。他方、より良好な重合活性を得る観点からは、R及びRの少なくとも一方が、ハロゲン置換アルキル基である方が好ましい。R及びRが共にハロゲン置換アルキル基であると、特に重合活性が良好である。
トリアジン環と共役可能な不飽和結合により結合した有機基としては、公知の如何なる有機基でもよいが、好ましくは炭素数2〜30、特に炭素数2〜14の有機基である。このような有機基を具体的に例示すると、フェニル基、メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基、ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等の炭素数6〜14のアリール基; ビニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のアルケニル基等が例示される。なお、上記置換フェニル基の有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基; メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等の炭素数1〜6のアルキルチオ基;フェニル基;ハロゲン原子等が例示される。
また、R及びRにおいて、アルキル基及びアルコキシ基は、置換基を有するものであってもよく、このようなアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等の非置換のアルキル基; トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、α,α,β−トリクロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。さらに、アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の非置換のアルコキシ基;2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ基、2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ基、2−{ N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ基、2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ基等のアミノ基により置換されたアルコキシ基等が例示される。
上記のような一般式(3)で表されるトリハロメチル基置換s−トリアジン化合物を具体的に例示すると、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4 ,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s −トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
上記で例示したトリアジン化合物の中で特に好ましいものは、重合活性の点で、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンであり、また保存安定性の点で、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。これらトリアジン化合物は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
他方、好ましい光酸発生剤としては、飽和カロメル電極に換算した還元電位が通常−0.6V以上の、強い電子受容体であるアリールヨードニウム塩類も使用可能であり、公知の該化合物が何ら制限なく使用される。本発明で好適に使用できるアリールヨードニウム塩を具体的に例示すると、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなる塩が挙げられる。
これらアリールヨードニウム塩の中でも、ラジカル重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス( ペンタフルオロフェニル)ガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が好ましく、さらに保存安定性の観点から、テトラキス( ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス( ペンタフルオロフェニル)ガレート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が特に好適である。これらアリールヨードニウム塩は1種又は2種以上を混合して用いても構わない。
この他、飽和カロメル電極に換算した還元電位が通常−0.6V以上の、強い電子受容体である2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン等も好適に使用できる。
(B)成分としては、熱重合開始剤や、化学重合開始剤を使用することも可能である。
(B)成分の配合量は、接着材を硬化できるだけの有効量であれば特に限定されず適宜設定すれば良い。好ましくは、(A)成分との合計100質量%中において0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。(B)成分の配合量が0.01質量%未満では重合が不十分となりがちである。他方、(B)成分の配合量が10質量%を超えると硬化物の強度が低下する傾向があり好ましくない。

IV)の系には、(D)成分として添加される有機フィラー又は有機複合フィラーとは別に、公知のフィラーを配合することが可能である。(D)成分以外のフィラーとしては、I)〜III)の系と同様の無機フィラー、有機フィラー、複合フィラーを挙げることができる。(D)成分以外のフィラーは、1種類のみを単独で配合してもよいし、複数種類を組み合わせて配合してもよい。その配合量は、接着材の硬化物に十分な強度を付与する観点から、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分として配合される有機フィラー又は有機複合フィラーと、(D)成分以外のフィラーの合計量として、60〜900質量部の範囲が好ましく、100〜400質量部の範囲がより好ましい。
IV)の系においても、上述した成分以外の任意成分、例えば、重合禁止剤、有機増粘剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、香料等の各種添加剤を使用することが可能である。
以上説明したIV)の系の各成分は、1剤に混合して接着材とする。その混合方法は、公知の歯質用接着材の製造方法に従えばよい。一般的には、まず最初に、赤色光などの不活性光下に、重合性単量体、重合開始剤を量り取り、混合する。その後、フィラー成分と、必要により任意成分を量り取り、上記組成物を計量して混合し、練り混ぜることで本発明第2の形態の接着材を得ることができる。

本発明の接歯列矯正部材用接着材において、その硬化物を歯面から除去する際には、蛍光性色素から蛍光を発生させるために、光照射器により、該蛍光性色素を励起させる波長を含む光を照射する必要がある。このような際に用いる光照射器としては、ハロゲンライト、LEDライトおよびキセノンライト等、公知のものが制限なく使用できる。
本発明の歯列矯正部材用接着材は、その使用に際して、リン酸エッチング剤および/またはプライマー、歯面清掃剤等と組み合わせて用いてもよい。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。尚、実施例中に示した、略称、略号については以下のとおりである。
略称および略号
[重合性単量体]
Bis−GMA:2,2’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
D−2,6E:2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン](エトキシ部分の繰返しの平均が約2.6の混合物)
PM:2−メタクリロイロキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイロキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
DMBE:ジメチルアミノ安息香酸エチル
MDEOA:N−メチルジエタノールアミン
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
TCT:2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
(飽和カルメロ電極換算還元電位:−0.78V)
DPIP:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート
(飽和カルメロ電極換算還元電位:−0.26V)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
[蛍光性色素およびその他色素]
CM1:2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン
Figure 0005282980
CM2:3,3'−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン
Figure 0005282980
EY:エオシンY
FS:フルオレセイン
EYB:エリトロシンイエローブレンド(エリトロシン(90):エオシンY(10)の混合物)
[有機フィラー]
YF1:下記製造例1にしたがって、表1の組成の有機フィラーを作製した。
製造例1
ラジカル重合性単量体(Bis−GMA/3G=60/40)を計量し、その中に予めCM1、AIBNを表1の組成で添加し撹拌、混合して溶解させた。これを、95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって、重合硬化させた。この硬化体を、振動ボールミルを用いて粉砕し、平均粒径30μmの有機フィラーYF1を得た。製造例1に用いた有機フィラーの組成を表1に示した。
YF2およびYF4:下記製造例2および4にしたがって、表1の組成の有機複合フィラーを作製した。
製造例2および4
ラジカル重合性単量体(Bis−GMA/3G=60/40)を計量し、その中に予めCM1またはFS、AIBNを表1の組成で添加し撹拌、混合して溶解させた。このマトリックス100質量部と、表面処理シリカ−ジルコニアフィラー300質量部を添加混合し、乳鉢でペースト化した。これを、95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって、重合硬化させた。この硬化体を、振動ボールミルを用いて粉砕し、平均粒径30μmの有機複合フィラーYF2およびYF4を得た。製造例2および4に用いた有機複合フィラーの組成を表1に示した。
YF3:下記製造例3にしたがって、表1の組成の有機複合フィラーを作製した。
製造例3
シリカ−ジルコニアフィラー100gを200gの水に入れ、循環型粉砕機SCミルを用いて無機粉体を分散させた分散液を得た。
ついで、4g(0.016mol)のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと0.003gの酢酸を80gの水に加え、1時間30分撹拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記分散液に添加し、均一に混合した。その後、軽く混合しながら上記分散液を高速で回転するディスク上に供給して遠心力で噴霧化する噴霧乾燥機(坂本技研(株)製スプレードライヤーTSR−2W)を用いて、ディスクの回転速度を10000rpm、空気の温度を200℃とし、噴霧乾燥法により乾燥した。その後、噴霧乾燥した無機粉体を60℃、18時間真空乾燥して無機凝集粒子を71g得た。上記方法によって得られた無機凝集粒子の平均粒子径は40.0μmであった。
次いで、上記無機凝集粒子10.0gを激しく攪拌する中に、ラジカル重合性単量体(Bis−GMA/3G=60/40)を計量し、その中に予めCM1、AIBNを表1の組成で添加し撹拌、混合して溶解させたマトリックス1.785gを、5ヘクトパスカルでの減圧下で滴下した。この滴下は、重合性単量体の1/3量を10分かけて滴下した後、滴下を中断して10〜20秒かけて常圧に復圧し、次いで、再び5ヘクトパスカルに減圧して、残余の重合性単量体を用いて、上記の減圧下での滴下と復圧操作を2回繰り返して、合計30分間あまりをかけて実施した。滴下終了後、反応容器内を窒素で置換し、60分撹拌した。その後、重合性単量体の侵入した無機凝集粒子を100℃に加熱して1時間撹拌し、上記マトリックスを重合硬化させて有機複合フィラーを8.5g得た。
上記有機複合フィラーの平均粒子径は36.2μmであった。
[その他成分;無機フィラー]
石英:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて表面処理した、平均粒径4μmの石英
ヒュームドシリカ:メチルトリクロロシランを用いて表面処理した、平均1次粒径15nmの無定形ヒュームドシリカ
表面処理シリカ−ジルコニアフィラー(製造例2で使用のもの):γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて表面処理した、平均粒径0.2μmのゾルゲル法で製造した球状シリカ−ジルコニア
シリカ−ジルコニアフィラー(製造例3で使用のもの):平均粒径0.2μmのゾルゲル法で製造した球状シリカ−ジルコニア
(1)歯列矯正部材用接着材の硬化物における最大蛍光強度の測定と、参照用硬化性組成物の硬化物の最大蛍光強度との対比
〔耐久試験前〕
歯列矯正部材用接着材を、厚さ1.0mm、直径20mmの円筒状ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)モールドに充填し、ハロゲン照射器(パワーライト、トクヤマデンタル社製)用いて両面から各60秒づつ光照射し、完全に硬化させ、厚さ1.0±0.1mmの試料を作製した。得られた試料について、速やかに分光蛍光光度計(FP−770型、日本分光社製)を用いて、480nmの波長の光にて試料中の蛍光性成分を励起させ、480〜800nmの領域において得られる蛍光スペクトルを測定し、最大ピークの高さ(最大蛍光強度)を測定した。励起光は硬化物の厚さ方向から照射し、硬化物から放出された蛍光について蛍光スペクトルを測定した。
他方、(a)2,2’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン、(b)トリエチレングリコールジメタクリレート、(c)カンファーキノン、(d)ジメチルアミノ安息香酸エチル、(e)エオシンYからなり、(a)59.9質量%、(b)39.9質量%、(c)0.1質量%、(d)0.1質量%からなる(a)〜(d)成分の100質量部に対して(e)0.001質量部を配合してなる参照用硬化性組成物についても、同様に厚さ1.0±0.1mmの硬化物からなる試料を作製し、その蛍光の最大ピークの高さを測定した。
そうして、これら歯列矯正部材用接着材と参照用硬化性組成物の各試料から得られた上記蛍光の最大ピークの高さを比較し、参照用硬化性組成物の試料のピーク高さに対する歯列矯正部材用接着材の試料のピーク高さの相対蛍光強度(%)を算出した。
〔耐久試験後〕
耐久試験前の場合と同様に作成した、歯列矯正部材用接着材の硬化物からなる試験片を熱衝撃試験器に入れ、4℃の水槽に1分間浸漬後、60℃の水槽に移し1分間浸漬し、再び4℃の水槽に戻す操作を、3000回繰り返した。
その後、耐久試験前の場合と同様の方法により蛍光の最大ピークの高さを測定し、参照用硬化性組成物の試料のピーク高さに対する歯列矯正部材用接着材の試料のピーク高さの相対蛍光強度(%)を算出した。
(2)歯列矯正部材用接着材の硬化物の蛍光による視認性
歯列矯正部材用接着材を、抜去した人の大臼歯面に対して、厚さがおよそ0.3mmとなるように築盛し、重合硬化させた。この歯面上の接着材の硬化物に対して、速やかに歯科用照射器(パワーライト、トクヤマデンタル社製、照射光の波長380〜530nm)で光照射し、その蛍光の発光状態を観察した。評価は、以下の基準で行った。
×:歯科用照射器付属のオレンジ色の遮光板越しに見ても、歯質と区別が容易にできないもの
○:直視では蛍光性を視認できないが、歯科用照射器付属のオレンジ色の遮光板越しに見ることで、蛍光により歯質と容易に区別できるもの、
◎:歯科用照射器付属のオレンジ色の遮光板を使用せずとも、直視することで歯質と容易に区別できるもの
実施例1〜16、比較例1〜7
表2、表3および表5に記載の重合性単量体、蛍光性色素、重合開始剤を暗所にて均一になるまで攪拌混合し、得られた組成物100質量部に対し、石英136質量部およびヒュームドシリカ34質量部を混合し、真空下脱泡することにより歯列矯正部材用接着材をそれぞれ得た。得られた各接着材について、その硬化物の耐久試験前、及び耐久試験後の最大蛍光強度を測定し、得られた値を参照用硬化性組成物の硬化物の最大蛍光強度と対比した。また、硬化物の蛍光による視認性も評価した。結果を併せて表6および表7に示した。
実施例17〜22
表4に記載の重合性単量体、重合開始剤を暗所にて均一になるまで攪拌混合し、得られた組成物100質量部に対し、有機フィラー51質量部、石英85質量部およびヒュームドシリカ34質量部を混合し、真空下脱泡することにより歯列矯正部材用接着材をそれぞれ得た。得られた各接着材について、その硬化物の耐久試験前、及び耐久試験後の最大蛍光強度を測定し、得られた値を参照用硬化性組成物の硬化物の最大蛍光強度と対比した。また、硬化物の蛍光による視認性も評価した。結果を併せて表6に示した。
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Claims (3)

  1. 下記(A)、(B)および(D)成分
    (A)重合性単量体、
    (B)重合開始剤、
    (D)少なくとも(E)重合性単量体の重合体と、(C)蛍光性色素と、を含む有機フィラー、又は、少なくとも(E)重合性単量体の重合体と、(C)蛍光性色素と、無機フィラーと、を含む有機複合フィラー、
    を含有する歯列矯正部材用接着材であって、当該歯列矯正部材用接着材を硬化させた直後の厚さ1.0±0.1mmの硬化物に、波長480nmの光を照射することにより放出される蛍光を測定するときに、400〜800nmにピークを有する蛍光スペクトルが観測され、かつ蛍光スペクトルの最大蛍光強度が、同一条件で測定された下記参照用硬化性組成物の硬化物の最大蛍光強度より大きいことを特徴とする歯列矯正部材用接着材。
    〔参照用硬化性組成物〕
    (a)2,2’−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
    (b)トリエチレングリコールジメタクリレート
    (c)カンファーキノン
    (d)ジメチルアミノ安息香酸エチル
    (e)エオシンY
    からなり、(a)59.9質量%、(b)39.9質量%、(c)0.1質量%、(d)0.1質量%を含む(a)〜(d)成分の100質量部に対して(e)0.001質量部を配合してなる硬化性組成物
  2. (B)重合開始剤が、置換基としてトリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物および/若しくはアリールヨードニウム塩、又は分子内開裂によりラジカル種を生成させるものを含む請求項1に記載の歯列矯正部材用接着材。
  3. (C)蛍光性色素が2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,11H,−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジンである請求項1に記載の歯列矯正部材用接着材。
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