JPH10218095A - 船舶運行制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、特に１人で乗船する船舶における
安全性を確保する船舶運行制御装置を提供することを課
題とする。 【解決手段】運行者は送信機21を携帯するもので、この
送信機21からはＩＤコード発生部31からの識別コードを
変調した信号を高周波発信部33から発信する。この発信
信号は、送信制御タイマー34からの指令で特定周期で間
欠的に発信され、また非常釦35の操作に基づきエンコー
ダ32で非常信号が形成され、発信される。船舶の操縦装
置に設置される固定受信機11では、送信機21からの信号
を受信し、送信機21からの識別コードの間欠信号を受信
している状態で正常と判断し、また周期的な受信信号の
欠落を検出した場合には、送信機21を携帯する運行者に
異常が発生したと判断して、デコーダ46から非常信号が
発生され、リレー制御出力部49でエンジン停止指令が発
生され、運行者の安全性が確保される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば小型の漁
船等のように特に１人で乗船する船舶において効果的
な、緊急時に船舶の運行を停止させる船舶運行制御装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】１人だけで乗船する海、河川、湖沼等を
運行する漁船等の船舶において、この船舶を運行操作す
る運行者が正常である場合には、この運行者の意思にし
たがって運行できるものであるが、何等かの理由によっ
て運行者に障害が発生し、船外に転落したような場合、
その運行者を船外に残したまま無人で船舶が航行して、
運行者が船外に置き去りされる事態となる。また、運行
者が船外に転落しないまでも、運行装置から離れた位置
で作業をしているに際して、非常事態が生じて船舶の運
行を停止させたい場合が生ずる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のよう
な点に鑑みなされたもので、運行者が船外に置き去りさ
れた場合や非常事態に際して船舶の運行を停止させ、転
落した運行者の置き去りや非常事態に際して当該船舶が
確実に停止され、非常の事態に対処できるようにした船
舶運行制御装置を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明に係る船舶運行
制御装置は、運行者が携帯する固有の信号を送信する送
信装置と、前記運行者が乗船する船舶に搭載して固有の
信号を受信する固定受信装置とを備えるもので、この固
定受信装置は送信信号の受信を確認して船舶の運行装置
を継続運転させ、送信信号の受信感度の低下を検出する
ことで船舶のエンジンの動作を停止させてこの船舶が停
止されるようにする。ここで、例えば送信装置からは船
舶固有の識別コード信号を特定される周期で送信し、前
記受信装置では前記固有の識別コードを周期的に認識し
て前記船舶の運行装置の運転が継続され、前記識別コー
ドの周期的認識の欠落による受信感度の低下の検出に基
づき、前記船舶を運行するエンジンの動作が停止制御さ
れるようにする。また、送信装置には緊急操作釦が設け
られ、この緊急操作釦の操作に伴って停止指令信号が送
信されるようにする。

【０００５】この様に構成される船舶運行制御装置にお
いては、送信装置は常に運行者が携帯しているものであ
るため、この運行者が船外に転落するような事故が発生
した場合、この携帯された送信装置も水中に転落し、水
中に没すると共に船舶に装備された受信装置における受
信レベルが低下する。例えば、送信装置からその船舶特
有の識別コードを特定される周期で送信している場合、
受信装置で受信している周期的な識別コードに欠落が生
ずる状態となり、例えば２回欠落したことが検出された
ときに、運行者の異常を認識するようになり、この船舶
のエンジンの動作を停止させ、この船舶の運行が停止さ
れるようにする。したがって、船外に転落した運行者を
船外に置き去りにしたまま運行することがなく、転落し
た運行者の緊急避難に対処できるようになる。また、運
行者が運行装置から離れた位置で作業をしているに際し
て、非常事態が生じた場合においても、送信装置の緊急
釦を操作することでこの船舶の運行を緊急停止でき、安
全運行が確保できる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を
実施例に基づき説明する。図２の（Ａ）で示すように、
例えば小型の漁船等の船舶10に１人の運行者20が乗務し
ている場合が多い。この様な場合、何等かの理由によっ
て（Ｂ）図で示すように運行者20が船外に転落したよう
な場合、船舶はそのまま運行状態が継続され、転落した
運行者を置き去りするようになる。この様な場合に対処
するため、船舶10の運転装置に対しては、この運転装置
に指令を発生する固定受信装置11が設けられ、同時に運
行者20は送信機21を常時携帯させる。

【０００７】また、この運行者20が携帯する送信機21に
は、緊急事態に対処するための緊急釦が設けられてい
る、そして、例えば（Ｃ）図で示すように運行者20の乗
船状態で、且つこの運行者20が船舶10の操縦装置である
操縦席から離れた位置にいる場合に緊急事態が発生した
場合、運行者20は携帯する送信機21に装備された緊急釦
を操作する。この緊急釦操作によって、送信機21は緊急
信号を発信し、受信機11はこの緊急信号を受信し、船舶
10のエンジンに停止指令を発する。そして、この船舶10
は緊急停止され安全が確保される。

【０００８】図１の（Ａ）および（Ｂ）は、それぞれ送
信機21および固定受信機11の構成を示すもので、（Ａ）
図で示す送信機21は当該船舶20特有の識別コードを発生
するＩＤコード発生部31を備える。このＩＤコード発生
部31から発生された識別コードは、エンコーダ32に供給
され、このエンコーダ32からの出力は変調部を備えた高
周波発信部33に供給され、識別コードを変調した信号を
発信する。

【０００９】高周波発信部33に対しては、送信制御タイ
マー34からのタイミング信号が供給されるもので、例え
ば識別コードの変調信号を特定される周期で発生される
ように発信部33を制御する。例えば、５秒に毎に間欠的
に発生される信号が発信されるようにする。

【００１０】また、この送信機21には緊急釦35が設けら
れ、この緊急釦35からの信号が高周波発信部33と共に、
安全データもしくは非常データを発生するデータ発生部
36に対して供給される。そして、緊急釦35が操作されな
い非緊急状態にあっては、送信制御タイマー34から正常
な５秒間隔のタイミング信号を発生し、高周波発信部33
から５秒間隔で間欠的に所定の識別コードの信号が発信
される。

【００１１】またデータ発生部36からは、緊急釦35の非
操作状態で安全データが出力され、エンコーダ32から正
常状態に対応したエンコード信号が出力される。また緊
急釦35が操作された場合には、非常データがエンコーダ
32に供給され、緊急事態を報ずるエンコード信号が出力
され、高周波発信部33から非常信号が発生される。

【００１２】（Ｂ）図で示す固定受信機11は、送信機11
からの信号を受信するアンテナ41を備え、この受信され
た信号はＲＦ増幅部42で増幅され、復調部43で復調され
る。この復調された信号はＡＦ増幅部44で増幅し、波形
成型部45で波形成形した後にデコーダ46に入力してデコ
ードする。

【００１３】ここで、デコーダ46にはＩＤコード発生部
47からの識別（ＩＤ）コードが入力されて、エンコード
された受信信号と対比され、当該船舶10の識別コードが
受信されたことを認識する。そして、この認識コードが
所定の周期で受信されていることが、安全信号検出部48
において確認されたならば、安全運行が確認され、この
安全確認に基づいてリレー制御出力部49に制御指令が与
えられ、エンジンが継続運転される。また、安全信号検
出部48で安全確認が得られない場合には、その状態が置
き去り検出部50で確認されると共に、リレー制御出力部
49に指令を与えてエンジンの停止制御を行い、置き去り
検出部50では遭難信号を出力し、他の船舶に対して遭難
信号を発信する。

【００１４】デコーダ46で所定の周期信号を継続して受
信できない状態となった場合、また送信機11で非常釦35
が操作され、この送信機11から非常データが発振された
場合は、デコーダ46は非常信号を発生する。そして、こ
の非常信号はリレー制御出力部49に非常信号を出力す
る。

【００１５】リレー制御出力部49では安全信号が入力さ
れている通常状態では、当該船舶20のエンジンを正常動
作させる出力が得られ、また非常信号が入力されたとき
にはエンジンを停止制御する指令を出力する。また、こ
のエンジン停止出力に対応して適宜非常信号（ＳＯＳ）
が発生される。

【００１６】復調部43から復調信号は、さらに妨害波検
出部51に供給される。この妨害波検出部51では、当該船
舶10の送信機21からの発信信号に類似した信号、もしく
は妨害電波を受信した場合、その検出信号をリレー制御
出力部49に出力すると共にアラーム52に出力し、警報信
号を発生する。

【００１７】妨害電波が存在する状態では、船舶10や運
行者20に異常が無い正常運行状態において、安全信号検
出部48で安全を確認できないことがある。すなわち、運
行者20n が携帯する送信機21から正常に電波が発信され
ていても、受信機11デコーダ46においてこれを認知でき
ない状態となるもので、この様なときには、安全運行状
態にあるにもかかわらず、エンジンの停止制御がされて
しまう。

【００１８】このため、妨害波検出部51において妨害波
を検出したときには、その検出信号をリレー制御出力部
49に供給し、安全信号検出部48からの安全検出の確認が
無い状態であっても、エンジンの停止制御がされないよ
うにする。

【００１９】この様に構成される装置にあっては、近接
する僚船等に妨害を与えないように近距離をカバーする
程度の微弱電波を発信するように配慮される。そして、
当該船舶特有のＩＤコードを変調した信号を送信機21か
ら、例えば５秒間隔で間欠的に発信する。そして、操縦
装置に関連した受信装置11にあっては、この５秒間隔の
信号が正常に受信されているか否かを監視している。

【００２０】この様なＩＤコード信号を発信する送信機
21は、小型で且つ軽量で携帯に便利なように構成されて
防水型とされるもので、この送信機21を携帯する運行者
20が例えば船から転落したような場合には、送信機21が
水中に没して送信電波が弱められる。また、船舶のみが
航行して転落した運行者20が置き去りにされ、送信機21
と受信機11との距離が増大して、受信機11における受信
電波が弱められる。

【００２１】この様にして受信機11における受信電波の
強度が低下すると、間欠的に送信される送信機21からの
電波を安定して受信することが困難となり、間欠的な送
信信号の全てを受信することができなくなって、受信信
号に欠落が生ずる。例えば、周期的信号の２回連続した
欠落があった場合には、これがデコーダ46で検出され
て、安全信号検出部48における検出信号がなくなると共
に、デコーダ46から非常信号が出力され、この非常信号
がリレー制御出力部49に入力されて、エンジンを停止制
御する。したがって、過って転落した運行者20を置き去
りすることなく船舶は停止され、運行者20の安全性が保
たれる。

【００２２】また、運行者20がその船舶10の操縦装置か
ら離れている状態で、その船舶に緊急の状態が発生した
様な場合には、運行者20は携帯する送信機21の緊急釦35
を操作する。そして、この緊急釦35の操作に伴ってデー
タ発生部36から非常データが発生され、この非常データ
がエンコーダ32に供給されて、エンジン停止を指令する
非常信号を出力し、この非常信号が受信機11で受信され
る。そして、この非常信号の受信がデコーダ46で検出さ
れて非常信号が出力され、エンジンが非常停止される。

【００２３】

【発明の効果】以上のようにこの発明に係る船舶運行制
御装置によれば、特に１人で運行制御するような場合に
おいて、その運行者の非常状態において船舶の運行が停
止制御されるものであり、例えば運行者が海に転落した
ような場合において船舶が自動的に停止され、置き去り
の状態の発生を確実に防止する。また、操縦装置から運
行者が離れて自動運行しているような場合に、例えば漁
船において網が絡まったような緊急事態が生じた場合に
は、運行者が送信機の緊急釦を操作することにより、こ
の船舶が非常停止され、安全性が確保される。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）および（Ｂ）はこの発明の一実施の形態
を説明するための送信機および受信機それぞれを説明す
るための構成図。

【図２】（Ａ）〜（Ｃ）はそれぞれ船舶に運行状況を説
明するための図。

【符号の説明】

10…船舶、11…固定受信機、20…運行者、21…送信機、
31、47…ＩＤコード発生部、32…エンコーダ、33…高周
波発信部、34…送信制御タイマー、 35…非常釦、36…
データ発生部、41…アンテナ、42…ＲＦ増幅部、43…復
調部、44…ＡＦ増幅部、45…波形成型部、46…デコー
ダ、48…安全信号検出部、49…リレー制御出力部、50…
妨害波検出部、51…アラーム。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 運行者が携帯する固有の信号を送信する
   送信装置と、 前記運行者が乗船する船舶に搭載され、前記固有の信号
   を受信する固定受信装置とを具備し、 この固定受信装置は前記送信装置からの送信信号の受信
   を確認して、前記船舶の運行装置を継続運転させ、前記
   送信信号の受信感度の低下を検出して前記船舶を運行す
   るエンジンの動作を停止させ、前記船舶が停止されるよ
   うにしたことを特徴とする船舶運行制御装置。
2. 【請求項２】 前記送信装置では前記船舶固有の識別コ
   ード信号を送信し、前記受信装置では前記固有の識別コ
   ードを認識して前記船舶の運行装置の継続運転がされる
   ようにした請求項１記載の船舶運行制御装置。
3. 【請求項３】 前記送信装置では前記船舶固有の識別コ
   ード信号を特定される周期で送信し、前記受信装置では
   前記固有の識別コードを周期的に認識して前記船舶の運
   行装置の運転を継続し、前記識別コードの周期的認識の
   欠落による受信感度の低下の検出に基づき、前記船舶を
   運行するエンジンの動作が停止制御されるようにした請
   求項１記載の船舶運行制御装置。
4. 【請求項４】 前記受信装置は受信信号のレベル検出手
   段を備え、受信信号レベルの低下を検出して前記エンジ
   ンを停止制御するようにした請求項１記載の船舶運行制
   御装置。
5. 【請求項５】 前記送信装置には、携帯者の操作できる
   緊急操作釦が設けられ、この緊急操作釦の操作に伴って
   停止指令信号が送信され、前記受信装置はこの停止指令
   信号の認識に伴って前記エンジンを停止制御するように
   した請求項１記載の船舶運行制御装置。
6. 【請求項６】 前記受信装置には妨害波検出手段が設け
   られ、前記送信機からの信号の受信を阻害する妨害波の
   受信を検出したときに、エンジンの停止制御が回避され
   るようにした請求項１記載の船舶運行制御装置。