JPH10132696A - 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法 - Google Patents

液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法

Info

Publication number
JPH10132696A
JPH10132696A JP29215196A JP29215196A JPH10132696A JP H10132696 A JPH10132696 A JP H10132696A JP 29215196 A JP29215196 A JP 29215196A JP 29215196 A JP29215196 A JP 29215196A JP H10132696 A JPH10132696 A JP H10132696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stroke
brake
brake pedal
pedal
detecting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29215196A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Sato
國男 佐藤
Toshinori Mori
俊伯 森
Katsumi Takamura
勝実 高村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP29215196A priority Critical patent/JPH10132696A/ja
Publication of JPH10132696A publication Critical patent/JPH10132696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Examining Or Testing Airtightness (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は自動車用液圧ブレーキシステムの異
常を製造ライン内で検出する検査装置に関し、ブレーキ
フルードを徐々に漏出させる気密異常のみならずブレー
キフルードを多量に漏出させる気密異常をも検出するこ
とを目的とする。 【解決手段】 エアシリンダ40によりブレーキペダル
12に所定の踏力を付与する。ブレーキペダル12にそ
の踏力に応じたストロークが生じた時点でエアシリンダ
40をロックし、ストロークを固定する。ストロークを
固定した後3sec後および17sec 後のペダル反力RF
1,RF2を、それぞれロードセル48を用いて検出す
ると共に、ロックされたストロークをストロークセンサ
50を用いて検出する。ペダル反力が大幅に減少してい
る場合、および、ストロークが不当に大きい場合に、ブ
レーキシステムに気密異常が生じていると判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液圧ブレーキシス
テムの検査装置および検査方法に係り、特に、自動車用
液圧ブレーキシステムの異常を製造ライン内で検出する
装置または方法として好適な、液圧ブレーキシステムの
検査装置および検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば発明協会公開技報95
−6156号に開示される如く、液圧ブレーキシステム
の異常検査装置が知られている。上記従来の異常検査装
置は、自動車の製造ライン中で、自動車の液圧ブレーキ
システムの気密性を検査するために用いられる。
【0003】上記従来の異常検査装置は、車両のフロア
上に設置され、ブレーキペダルに対して所定のブレーキ
踏力を付与するエアシリンダを備えている。エアシリン
ダのロッドには、ブレーキペダルに生ずる反力を測定す
るためのロードセルが配設されている。また、エアシリ
ンダは、そのストロークを固定するためのロック機構を
備えている。
【0004】上記従来の異常検査装置を用いた検査工程
においては、先ず、エアシリンダが、そのロッドがブレ
ーキペダルに当接するように、車両のフロアに設置され
る。次に、エアシリンダが前進方向に駆動される。エア
シリンダが前進方向に駆動されると、ブレーキペダルに
は、エアシリンダの発する所定の押圧力がブレーキ踏力
として付与される。その結果、ブレーキペダルには、そ
の踏力に応じたストロークが生ずる。エアシリンダのロ
ッドは、前進方向に駆動された後、所定時間が経過した
時点でロックされる。エアシリンダのロッドがロックさ
れると、以後、ブレーキペダルのストロークが、その時
点で生じていたストロークに固定される。
【0005】ブレーキシステムに気密異常が生じている
場合に、ブレーキペダルに踏力が付与されると、気密異
常の生じている箇所においてブレーキフルードの漏出が
生ずる。上記の如く、ブレーキペダルのストロークが固
定されている状況下で、ブレーキフルードの漏出が生ず
ると、ブレーキペダルに生ずるペダル反力は時間の経過
と共に減少する。一方、ブレーキシステムに気密異常が
生じていない場合は、ブレーキペダルのストロークが固
定された後、ペダル反力がさほど大きく減少することは
ない。
【0006】上記従来の異常検査装置は、ブレーキペダ
ルのストロークを固定した後、ロードセルによって検出
されるブレーキ反力が、所定値を超える変化率で減少す
るか否かを判別する。その結果、ブレーキ反力が所定値
を超える変化率で減少する場合は、ブレーキシステムに
気密異常が生じていると判断し、一方、ブレーキ反力が
所定値を超える変化率で減少しない場合は、ブレーキシ
ステムが正常であると判断する。上記の手法によれば、
ブレーキシステムに、ブレーキフルードを徐々に漏出さ
せる程度の気密異常が生じている場合に、その異常を確
実に検出することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ブレーキシ
ステムには、ブレーキペダルに踏力が付与された際に、
多量のブレーキフルードを漏出させるような気密異常が
生ずることがある。このような気密異常が生じているブ
レーキシステムを、上記の異常検査装置を用いて検査し
た場合、ブレーキペダルに踏力が付与された段階で多量
のブレーキフルードが漏出して、ブレーキペダルに、そ
の機械的な構造上生じ得る最大のストローク(以下、最
大ストロークと称す)が発生する。
【0008】ブレーキペダルに最大ストロークが生じて
いる場合、ペダル反力は、ブレーキシステムの油圧によ
ってではなく、ブレーキペダルの機械的な構造によって
発生される。機械的に生ずるペダル反力は、ブレーキフ
ルードが漏出すると否とに関わらずほぼ一定値に維持さ
れる。このため、ブレーキペダルのストロークが最大ス
トロークに達している場合、そのストロークが固定され
た後に、ペダル反力が大きく減少することはない。
【0009】上記従来の異常検出装置は、ストロークが
固定された後、ペダル反力が所定値を超える変化率で減
少しない場合には、ブレーキシステムに気密異常が生じ
ていないと判断する。このため、上記従来の異常検出装
置によっては、ブレーキシステムに、多量のブレーキフ
ルードを漏出させる気密異常が生じている場合に、その
異常を検出することができなかった。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、ブレーキフルードを徐々に漏出させる気密異常
のみならず、ブレーキフルードを多量に漏出させる気密
異常をも検出することのできる液圧ブレーキシステムの
検査装置を提供することを第1の目的とする。また、本
発明は、ブレーキフルードを徐々に漏出させる気密異常
のみならず、ブレーキフルードを多量に漏出させる気密
異常をも検出することのできる液圧ブレーキシステムの
検査方法を提供することを第2の目的とする。
【0011】更に、本発明は、ブレーキフルードへのエ
アの混入状態を精度良く検出することのできる液圧ブレ
ーキシステムの検査装置を提供することを第3の目的と
する。また、本発明は、ブレーキフルードへのエアの混
入状態を精度良く検出することのできる液圧ブレーキシ
ステムの検査方法を提供することを第4の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、請求
項1に記載する如く、ブレーキペダルに所定の踏力を付
与する踏力付与手段と、前記ブレーキペダルに前記所定
の踏力が付与された後に、前記ブレーキペダルに生ずる
ストロークを固定するストローク固定手段と、前記スト
ロークが固定された後に、前記ペダル反力に生ずるペダ
ル反力を検出するペダル反力検出手段と、前記ペダル反
力検出手段の検出値に所定値を超える変化率が生じた場
合に気密異常の発生を判定する第1判定手段と、前記所
定の踏力が付与された後に、前記ストロークを検出する
ストローク検出手段と、前記ストローク検出手段の検出
値が所定値を超える場合に気密異常の発生を判定する第
2判定手段と、を備える液圧ブレーキシステムの検査装
置により達成される。
【0013】上記第2の目的は、請求項2に記載する如
く、ブレーキペダルに所定の踏力を付与する踏力付与ス
テップと、前記ブレーキペダルに前記所定の踏力が付与
された後に、前記ブレーキペダルに生ずるストロークを
固定するストローク固定ステップと、前記ストロークが
固定された後に、前記ペダル反力に生ずるペダル反力を
検出するペダル反力検出ステップと、前記ペダル反力検
出手段の検出値に所定値を超える変化率が生じた場合に
気密異常の発生を判定する第1判定ステップと、前記所
定の踏力が付与された後に、前記ストロークを検出する
ストローク検出ステップと、前記ストローク検出手段の
検出値が所定値を超える場合に気密異常の発生を判定す
る第2判定ステップと、を備える液圧ブレーキシステム
の検査方法により達成される。
【0014】請求項1記載の発明および請求項2記載の
発明において、ブレーキペダルに踏力が付与されると、
ブレーキペダルにはその踏力に応じたストロークが生ず
る。ブレーキシステムに、徐々にブレーキフルードを漏
出させる気密異常が生じている場合は、ストロークが固
定された後、ペダル反力が所定値を超える変化率で減少
する。従って、このような気密異常は第1判定手段また
は1第1判定ステップで検出される。また、ブレーキシ
ステムに、多量にブレーキフルードを漏出させる気密異
常が生じている場合は、ブレーキペダルに踏力が付与さ
れた後、ブレーキペダルのストロークがほぼ最大ストロ
ークまで増加する。従って、このような気密異常は第2
判定手段または第2判定ステップで検出される。このよ
うに、本発明によれば、ブレーキフルードを徐々に漏出
させる異常と、ブレーキフルードを多量に漏出させる異
常の双方が確実に検出される。
【0015】上記第3の目的は、請求項3に記載する如
く、ブレーキペダルに、所定回数繰り返して所定の踏力
を付与する踏力付与手段と、前記ブレーキペダルに前記
所定の踏力が付与される毎に、その踏力に起因して前記
ブレーキペダルに生ずるストロークを検出するストロー
ク検出手段と、前記ストローク検出手段によって順次検
出されるストロークの変化傾向を検出する変化傾向検出
手段と、前記変化傾向検出手段の検出結果に基づいて、
エア混入異常の有無を判定するエア混入異常判定手段
と、を備える液圧ブレーキシステムの検査装置により達
成される。
【0016】また、上記第4の目的は、請求項4に記載
する如く、ブレーキペダルに、所定回数繰り返して所定
の踏力を付与する踏力付与ステップと、前記ブレーキペ
ダルに前記所定の踏力が付与される毎に、その踏力に起
因して前記ブレーキペダルに生ずるストロークを検出す
るストローク検出ステップと、前記ストローク検出手段
によって順次検出されるストロークの変化傾向を検出す
る変化傾向検出ステップと、前記変化傾向検出手段の検
出結果に基づいて、エア混入異常の有無を判定するエア
混入異常判定ステップと、を備える液圧ブレーキシステ
ムの検査方法により達成される。
【0017】請求項3記載の発明および請求項4記載の
発明において、ブレーキペダルに踏力が付与されると、
ブレーキペダルにはその踏力に応じたストロークが生ず
る。ブレーキフルードにエアが混入していると、ブレー
キフルードが昇圧された際にエアの体積が減少する。ブ
レーキフルード内のエアに体積の減少が生ずると、ブレ
ーキペダルには、その体積変化に伴って大きなストロー
クが生ずる。ブレーキフルード内のエアは、そのエアが
大きな気泡として存在するほど体積変化を示す。従っ
て、ブレーキフルード内にエアが混入している場合、そ
のエアが大きな気泡として存在するほど、ブレーキペダ
ルには大きなストロークが生ずる。
【0018】本発明において、ブレーキペダルに対して
繰り返し踏力が付与されると、ブレーキフルードが昇圧
および降圧を繰り返す。ブレーキフルード内にエアが混
入している場合、そのエアは、ブレーキフルードが昇圧
および降圧を繰り返すに連れて小さな気泡に分散する。
その結果、ブレーキペダルのストロークは、踏力が繰り
返し付与されるに連れて小さな値に変化する。請求項3
記載の発明および請求項4記載の発明においては、ブレ
ーキペダルに対して繰り返し踏力が付与されるに連れ
て、ブレーキペダルのストロークが大きく減少する場合
に、ブレーキフルードにエアが混入していると判断され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
液圧ブレーキシステムの検査装置の全体構成図を示す。
本実施例の検査装置は、車両の製造ライン内で、車両に
搭載される液圧ブレーキシステムが正常であるか否かを
検査するために用いられる。図1に示す車両10は、ブ
レーキシステムの組み付け工程、および、ブレーキフル
ードの注入工程が終了した後、ブレーキシステムの検査
工程に搬送されてきた車両である。
【0020】車両10は、ブレーキペダル12を備えて
いる。ブレーキペダル12は、ブレーキブースタ14の
入力軸に連結されている。ブレーキブースタ14には、
マスタシリンダ16が固定されている。ブレーキブース
タ14は、外部から供給される負圧を動力源としてアシ
スト力を発生する装置である。ブレーキブースタ14
は、ブレーキペダル12に加えられる踏力と、その踏力
に対して所定の倍力比を有するアシスト力との合力をマ
スタシリンダに伝達する。
【0021】マスタシリンダ16は、ブレーキブースタ
14から伝達される合力に応じた油圧を発生する装置で
ある。マスタシリンダ16には、油圧配管および油圧ホ
ースを介して、車両10の各輪に配設されるホイルシリ
ンダが連通している。従って、マスタシリンダ16から
各車輪のホイルシリンダに至る油圧経路内には、ブレー
キフルードが充填されている。
【0022】車両10には、検査工程において、検査ユ
ニット18がセットされる。検査ユニット18は、車両
10の前後方向に変位するシャフト20を備えている。
検査ユニット18には、所定圧力の高圧エアが供給され
ている。検査ユニット18のシャフト20は、高圧エア
を駆動源として作動する。シャフト20は、検査ユニッ
ト18が車両10にセットされる時点では、後退側の変
位端に保持されている。検査ユニット18は、シャフト
20の先端がブレーキペダル12のペダル部に当接する
ように車両10にセットされる。
【0023】検査ユニット18には、制御装置22が接
続されている。本実施例の検査装置は、制御装置22に
よって制御されている。制御装置22には、ブレーキシ
ステムの異常が検出された際に、その異常を表示するた
めの警報ランプ24および警報ブザー26が設けられて
いる。ブレーキシステムの検査工程には、負圧発生源2
8が設置されている。負圧発生源28は、負圧供給孔3
0を備えている。負圧供給孔30には、エアホース32
の一端が接続されている。エアホース32の他端は、車
両10が検査工程に搬入された後、バキュームブースタ
14に接続される。負圧供給孔30には、圧力センサ3
4が配設されている。圧力センサ34の出力信号は、制
御装置22に供給されている。制御装置22は、圧力セ
ンサ34の出力信号に基づいて、負圧供給源28からバ
キュームブースタ14に供給される負圧の大きさを検出
する。
【0024】負圧供給孔30には、2つの圧力スイッチ
と、ポンプとが内蔵されている。一方の圧力スイッチ
は、負圧発生源28に蓄えられている負圧が上限値に達
するとオン出力を発生する。また、他方の圧力スイッチ
は、負圧発生源28に蓄えられている負圧が下限値に達
するとオン出力を発生する。ポンプは、これらの圧力ス
イッチの出力に基づいて、蓄えられている負圧が下限値
に達したことが認められた場合に作動を開始し、その
後、負圧の値が上限値に達したことが認められた場合に
作動を停止する。ポンプが上記の如く作動する結果、負
圧供給源28に蓄えられている負圧は、常に下限値と上
限値との間に制御されている。
【0025】図2は、図1に示す検査ユニット18およ
び制御装置22の詳細図を示す。尚、図2において上記
図1に示す構成部分と同一の部分については、同一の符
合を付してその説明を省略する。図2に示す如く、検査
ユニット18は、その後方側の端面が車両10のフロア
36に設けられた規制部材38に当接するようにフロア
36上にセットされる。このため、フロア36上にセッ
トされた検査ユニット18の、車両10の後方へ向かう
変位は、規制部材38によって規制される。
【0026】検査ユニット18は、エアシリンダ40を
備えている。エアシリンダ40は、その内部にピストン
を備えている。また、エアシリンダ40には、前進ポー
ト42および後退ポート44が設けられている。エアシ
リンダ40に内蔵されるピストンは、前進ポート42側
に後退ポート44側に比して高圧のエアが供給されるこ
とにより前進方向(図2に於ける左方向)に変位し、ま
た、後退ポート44側に前進ポート42側に比して高圧
のエアが供給されることにより後退方向(図2に於ける
右方向)に変位する。
【0027】エアシリンダ40に内蔵されるピストンに
は、ピストンロッド46が連結されている。エアシリン
ダ40には、ピストンロッド46をロックするロック機
構(ピストンロッド46を機械的に固定して車両に対す
る相対移動を禁止する機構)が内蔵されている。エアシ
リンダ40は、制御装置22から供給されるロック指令
を受けて、ピストンロッド46をロックする。本実施例
のシステムにおいてピストンロッド46がロックされる
と、以後、ブレーキペダル12のストロークが固定され
る。
【0028】ピストンロッド46には、ロードセル48
を挟んで、シャフト20が連結されている。ロードセル
48は、ピストンロッド46とシャフト20との間に生
ずる押圧力に応じた電気信号を発生するデバイスであ
る。ロードセル48から発せられる信号は制御装置22
に供給される。制御装置22は、ロードセル48の出力
信号に基づいてブレーキペダル12に生ずるペダル反力
を検出する。
【0029】検査ユニット18は、ストロークセンサ5
0を備えている。ストロークセンサ50は、シャフト2
0のストロークに応じた電気信号を発生する。尚、本実
施例において、シャフト20のストロークは、シャフト
20が後退側変位端に位置する場合に“0”であるもの
とする。ストロークセンサ50の出力信号は、制御装置
22に供給されている。制御装置22は、ストロークセ
ンサ50の出力信号に基づいて、ブレーキペダル12の
ストロークを検出する。
【0030】本実施例の検査装置は、電磁弁52を備え
ている。電磁弁52は、5つのポートを備えると共に、
制御装置22に制御されることにより、後述する3つの
状態を実現する弁機構である。電磁弁52が備える2つ
のポートには、それぞれエアシリンダ40の前進ポート
42および後退ポート44が接続されている。また、電
磁弁52が備える他の3つのポートには、2つのサイレ
ンサ54,56および高圧通路58が連通されている。
高圧通路58には、レギュレータ60が連通している。
また、レギュレータ60には、所定圧力以上に昇圧され
た工場エアが供給されている。レギュレータ60は、工
場エアを所定圧力に減圧して高圧通路58に供給してい
る。
【0031】電磁弁52は、第1の状態、第2の状態、
および、第3の状態を実現する。第1の状態は、図2に
おいて電磁弁52の右側に表されているブロックを、電
磁弁52の中央側に変位させることにより実現される。
第1の状態が実現されると、エアシリンダ40の前進ポ
ート42が高圧通路58に連通されると共に、エアシリ
ンダ40の後退ポート44がサイレンサ56を介して大
気に開放される。この場合、エアシリンダ40は、前進
方向に駆動される。尚、本実施例において、レギュレー
タ60は、前進時にエアシリンダ40が50kgの押圧力
を発生するように調整されている。
【0032】電磁弁52の第2の状態は、図2に示す状
態により実現される。第2の状態が実現されると、エア
シリンダ40の前進ポート42と後退ポート44とが導
通状態とされる。この場合、エアシリンダ40に内蔵さ
れるピストンの両側に作用する圧力が等しくなり、ピス
トンが保持される状態が形成される。電磁弁52の第3
の状態は、図2において電磁弁52の左側に表されてい
るブロックを、電磁弁52の中央側に変位させることに
より実現される。第3の状態が実現されると、エアシリ
ンダ40の後退ポート44が高圧通路58に連通される
と共に、エアシリンダ40の前進ポート42がサイレン
サ54を介して大気に開放される。この場合、エアシリ
ンダ40は、後退方向に駆動される。
【0033】図3および図4は、ブレーキシステムの検
査を行うべく制御装置が実行する制御ルーチンの一例の
フローチャートである。図3および図4に示すルーチン
は、図1および図2に示す検査装置の起動スイッチがオ
ンされることにより開始される。本ルーチンが起動され
ると、先ずステップ100の処理が実行される。ステッ
プ100では、エアシリンダ40を前進方向に駆動する
処理、すなわち、電磁弁52を第1の状態とする処理が
実行される。本ステップ100の処理が実行されると、
ブレーキペダル12には、踏力50kgに対応するストロ
ークが生ずる。本ステップ100の処理が終了すると、
次にステップ102の処理が実行される。
【0034】ステップ102では、ストロークセンサ5
0の出力信号に基づいて検出されるブレーキペダル12
のストロークが、ST1として記憶される。本ステップ
102の処理が終了すると、次にステップ104の処理
が実行される。ステップ104では、エアシリンダ40
を後退方向に駆動する処理、すなわち、電磁弁52を第
3の状態とする処理が実行される。本ステップ104の
処理が実行されると、シャフト20が原位置に復帰し、
ブレーキペダル12のストロークが“0”となる。本ス
テップ100の処理が終了すると、次にステップ106
の処理が実行される。
【0035】ステップ106〜110、および、ステッ
プ112〜116では、上述したステップ100〜10
4と実質的に同様の処理が繰り返される。この際、ステ
ップ108では、ブレーキペダル12のストロークがS
T2として記憶され、また、ステップ114では、ブレ
ーキペダル12のストロークがST3として記憶され
る。上述の如く、本実施例の検査装置では、起動スイッ
チがオンされて後、ブレーキペダル12に、3回繰り返
して50kgの踏力が付与される。以下、この工程を空踏
み工程と称す。
【0036】ブレーキシステムの構成要素には、油圧ホ
ース等、ブレーキフルードの液圧の上昇に伴って膨張を
生ずる要素が含まれている。また、ブレーキシステムの
組み付けが終了した直後は、例えば、ディスクブレーキ
におけるディスクとパッドとの間、または、ドラムブレ
ーキにおけるドラムとライニングとの間にギャップが形
成されている。
【0037】ブレーキシステムにブレーキフルードが充
填された後、ブレーキペダル12に所定の踏力が付与さ
れた場合、油圧ホース等に大きな膨張が生ずるほど、ま
た、ディスクとパッドとの間、または、ドラムとライニ
ングとの間に大きなギャップが形成されているほど、ブ
レーキペダル12に大きなストロークが生ずる。一方、
上述した油圧ホースの膨張量や、ディスクとパッドとの
間、または、ドラムとライニングとの間のギャップの大
きさには、一般に大きなバラツキが含まれている。
【0038】このため、ブレーキフルードが充填された
直後の状態では、すなわち、車両10がブレーキシステ
ムの検査工程に搬送されてきた直後の状態では、ブレー
キペダル12に生ずるストロークとその踏力との関係
に、大きなバラツキが含まれている。これに対して、上
記の如く、検査工程が開始された直後にブレーキペダル
12の空踏み工程を行うこととすれば、ブレーキペダル
12に生ずるストロークとブレーキペダル12に付与さ
れる踏力との関係を安定化させることができる。従っ
て、本実施例の検査装置によれば、ストロークと踏力と
の関係からバラツキを排除した後、ステップ118以降
の処理を実行することができる。
【0039】ステップ118では、再びエアシリンダ4
0を前進方向に駆動する処理が実行される。本ステップ
118の処理が終了すると、次にステップ120の処理
が実行される。ステップ120では、タイマTがスター
トされる。タイマTは、上記ステップ118でエアシリ
ンダ40が前進側に駆動された後の経過時間を計数する
ためのタイマである。本ステップ120の処理が終了す
ると、次にステップ122の処理が実行される。
【0040】ステップ122では、タイマTの計数値が
20sec に達しているか否かが判別される。本ステップ
122の処理は、T≧20sec が成立すると判別される
まで繰り返し実行される。その結果、T≧20sec が成
立すると判別されると、次にステップ124の処理が実
行される。上記の処理によれば、ブレーキペダル12に
は、50kgの踏力が20sec 継続して付与され続ける。
【0041】ステップ124では、エアシリンダ40の
ロッド46をロックするための処理が実行される。具体
的には、本ステップ124では、エアシリンダ40に向
けてロック指令が発せられる。本ステップ124の処理
が実行されると、以後、ロッド46の変位が禁止され、
ブレーキペダル12のストロークが固定される。上記の
処理が終了すると、次にステップ126の処理が実行さ
れる。
【0042】ステップ126では、エアシリンダ40を
保持状態とする処理、すなわち、電磁弁52第2の状態
とする処理が実行される。本ステップ126の処理が実
行されると、ロッド46の変位が、ロック機構とエアシ
リンダ40の双方により禁止される状態が実現される。
本ステップ126の処理が終了すると、次に図4に示す
ステップ128の処理が実行される。
【0043】ステップ128では、タイマTの計数値が
23sec に達しているか否か、すなわち、ブレーキペダ
ル12のストロークの固定が図られた後、3sec の時間
が経過しているか否かが判別される。本ステップ128
の処理は、T≧23sec が成立すると判別されるまで繰
り返し実行される。その結果、T≧23sec が成立する
と判別されると、次にステップ130の処理が実行され
る。
【0044】ステップ130では、その時点でロードセ
ル48によって検出されているペダル反力が、RF1と
して記憶される。本ステップ130の処理が終了する
と、次にステップ132の処理が実行される。ステップ
132では、その時点でストロークセンサ50よって検
出されているストロークが、ST4として記憶される。
本ステップ132の処理が終了すると、次にステップ1
34の処理が実行される。
【0045】ステップ134では、タイマTの計数値が
37sec に達しているか否か、すなわち、ブレーキペダ
ル12のストロークの固定が図られた後、17sec の時
間が経過しているか否かが判別される。本ステップ13
4の処理は、T≧37sec が成立すると判別されるまで
繰り返し実行される。その結果、T≧37sec が成立す
ると判別されると、次にステップ136の処理が実行さ
れる。
【0046】ステップ136では、その時点でロードセ
ル48によって検出されているペダル反力が、RF2と
して記憶される。本ステップ136の処理が終了する
と、次にステップ138の処理が実行される。ステップ
138では、タイマTの計数値が40sec に達している
か否か、すなわち、ブレーキペダル12のストロークの
固定が図られた後、20sec の時間が経過しているか否
かが判別される。本ステップ138の処理は、T≧40
sec が成立すると判別されるまで繰り返し実行される。
その結果、T≧40sec が成立すると判別されると、次
にステップ140の処理が実行される。
【0047】ステップ140では、エアシリンダ40の
ロッド46のロックが解除される。本ステップ140の
処理が終了すると、次にステップ142の処理が実行さ
れる。ステップ142では、エアシリンダ40を後退方
向に駆動する処理、すなわち、電磁弁52を第3の状態
とする処理が実行される。本ステップ104の処理が実
行されると、シャフト20が原位置に復帰し、ブレーキ
ペダル12のストロークが“0”となる。本ステップ1
42の処理が終了すると、検査工程において必要とされ
る一連の処理が終了される。
【0048】図5は、上記図3および図4に示す制御ル
ーチンの実行に伴ってブレーキペダル12に生ずるペダ
ル反力の変化を表す図を示す。図5中に実線で示す波形
は、ブレーキシステムが正常である場合に実現される波
形を表している。また、図5中に一点鎖線で示す波形
は、ブレーキシステムに徐々にブレーキフルードを漏出
させる気密異常が生じている場合に実現される波形を表
している。
【0049】本実施例の検査装置によって、タイマTの
計数値が20sec に達した時点でブレーキペダル12の
ストロークが固定されると、以後、油圧ホースの膨張、
弾性部材の変形、および、機械的部材のなじみ等に起因
して、ペダル反力は減少し始める。この際、ブレーキシ
ステムに気密異常が生じていると、ペダル反力を減少さ
せる要因に、ブレーキフルードの漏出が加わる。このた
め、ストロークが固定された後にペダル反力に生ずる減
少率は、ブレーキシステムが正常である場合に小さく、
ブレーキシステムに気密異常が生じている場合に大きく
なる。
【0050】上述の如く、本実施例においては、ストロ
ークが固定された後3sec の時間が経過した時点、およ
び、17sec の時間が経過した時点で、それぞれペダル
反力RF1,RF2を検出している。従って、それらの
値に基づいて、ストロークが固定された後のペダル反力
の変化率を求めることができる。本実施例の検査装置
は、後述の如く、ブレーキペダル12のストロークが固
定された後、所定値を超える変化率でペダル反力が減少
している場合に、ブレーキシステムに上述した気密異常
が生じていると判断する。
【0051】図6は、上記図3および図4に示す制御ル
ーチンの実行に伴ってブレーキペダル12に生ずるスト
ロークの変化を表す図を示す。図6中に実線で示す波形
は、ブレーキシステムが正常である場合に実現される波
形を表している。また、図6中に一点鎖線で示す波形
は、ブレーキシステムに多量にブレーキフルードを漏出
させる気密異常が生じている場合に実現される波形を表
している。
【0052】ブレーキシステムには、ブレーキペダル1
2にブレーキ踏力が付与されることにより、多量にブレ
ーキフルードを漏出させるような気密異常が生ずること
がある。このような気密異常の生じているシステムを本
実施例の検査装置で検査した場合、ブレーキペダル12
のストロークが固定されるに先立ってブレーキペダル1
2のストロークが機械的に生じ得る最大のストロークS
MAX に達することがある。
【0053】ブレーキペダル12に50kgの踏力が付与
されている段階で、そのストロークが最大ストロークS
MAX に達すると、以後、ストロークが固定された後
に、ペダル反力に減少が生じない。従って、このような
気密異常は、ペダル反力の変化に基づいて検出すること
はできない。ところで、ブレーキペダル12のストロー
クは、ブレーキシステムに多量のブレーキフルードを漏
出させる気密異常が生じていない場合は、最大ストロー
クSTMAX に比して十分に小さな値で収束する。従っ
て、ブレーキペダル12に踏力が付与された後、ブレー
キペダル12に、不当に大きなストロークが発生する場
合には、ブレーキシステムに、ブレーキフルードを多量
に漏出させる気密異常が生じていると判断することがで
きる。本実施例の検査装置は、後述の如く、ブレーキペ
ダル12のストロークが固定された後、所定値を超える
ストロークが検出される場合には、ブレーキシステムに
上述した気密異常が生じていると判断する。
【0054】図7は、上記の機能を実現すべく制御装置
22によって実行される異常判定ルーチンの一例のフロ
ーチャートを示す。図7に示すルーチンは、上記図3お
よび図4に示す制御ルーチンが終了した後に実行され
る。本ルーチンにおいては、先ずステップ144の処理
が実行される。ステップ144では、上記ステップ13
0で検出されたペダル反力RF1が読み込まれる。本ス
テップ144の処理が終了すると、次にステップ146
の処理が実行される。
【0055】ステップ146では、上記ステップ136
で検出されたペダル反力RF2が読み込まれる。本ステ
ップ146の処理が終了すると、次にステップ148の
処理が実行される。ステップ148では、ブレーキペダ
ル12のストロークが固定された後、3sec 後の時点か
ら17sec 後の時点にかけて生じたペダル反力の変化率
αが、次式に従って演算される。変化率αの演算が終了
すると、次にステップ150の処理が実行される。
【0056】 α=(RF1−RF2)/RF1 ・・・(1) ステップ150では、変化率αが所定のしきい値TH1
を超えているか否かが判別される。しきい値TH1 は、
ブレーキシステムが正常である場合と、ブレーキシステ
ムに気密異常が生じている場合とを判別するために、統
計的手法を用いて実験的に決定された値である。本ステ
ップ150で、α>TH1 が成立しないと判別された場
合は、ブレーキシステムに、ブレーキフルードを徐々に
漏出させる気密異常が生じていないと判断することがで
きる。この場合、次にステップ152の処理が実行され
る。
【0057】ステップ152では、上記ステップ132
で記憶されたストロークST4が読み込まれる。本ステ
ップ152の処理が終了すると、次にステップ154の
処理が実行される。ステップ154では、ST4が所定
のしきい値TH2 を超えているか否かが判別される。し
きい値TH2 は、ブレーキシステムが正常である場合
と、ブレーキシステムに、多量のブレーキフルードを漏
出させる気密異常が生じている場合とを判別するため
に、統計的手法を用いて実験的に決定された値である。
本ステップ154で、ST4>TH2 が成立しないと判
別された場合は、ブレーキシステムに、上記の気密異常
が生じていないと判断することができる。この場合、次
にステップ156の処理が実行される。
【0058】ステップ156では、ブレーキシステムが
正常であることを表すための処理、具体的には、警報ラ
ンプ24を用いてブレーキシステムが正常であることを
表示する処理等が実行される。本ステップ156の処理
が終了すると、今回のルーチンが終了される。一方、上
記ステップ150でα>TH1 が成立すると判別された
場合、および、上記ステップ154でST4>TH2
成立すると判別された場合は、次にステップ158の処
理が実行される。
【0059】ステップ158では、ブレーキシステムに
気密異常が生じていることを表示するための処理、具体
的には、警報ランプ24および警報ブザー26を用いて
ブレーキシステムに異常が生じていることを表示する処
理等が実行される。本ステップ158の処理が終了する
と、今回のルーチンが終了される。尚、上記ステップ1
50でα>TH1 が成立する場合を「フルードが徐々に
漏出している異常」と、また、上記ステップ154でS
T4>TH2 が成立する場合を「多量のブレーキフルー
ドが漏出する異常」と、それぞれ区別して警報または記
憶し、異常の特定を容易ならしめてもよい。
【0060】上述の如く、本実施例のシステムによれ
ば、車両10のブレーキシステムに、ブレーキフルード
を徐々に漏出させる気密異常が生じている場合、およ
び、ブレーキフルードを多量に漏出させる気密異常が生
じている場合に、適切にその異常を検出することができ
る。従って、本実施例の検査装置によれば、自動車の製
造ライン上で、精度良くブレーキシステムの異常検出を
行うことができる。
【0061】尚、上記の実施例においては、制御装置2
2が、上記ステップ118の処理を実行することにより
前記請求項1記載の「踏力付与手段」および前記請求項
2記載の「踏力付与ステップ」が、上記ステップ124
の処理を実行することにより前記請求項1記載の「スト
ローク固定手段」および前記請求項2記載の「ストロー
ク固定ステップ」が、上記ステップ130および136
の処理を実行することにより前記請求項1記載の「ペダ
ル反力検出手段」および請求項2記載の「ペダル反力検
出ステップ」が、上記ステップ148および150の処
理を実行することにより前記請求項1記載の「第1判定
手段」および前記請求項2記載の「第1判定ステップ」
が、上記ステップ132の処理を実行することにより前
記請求項1記載の「ストローク検出手段」および前記請
求項2記載の「ストローク検出ステップ」が、また、上
記ステップ154の処理を実行することにより前記請求
項1記載の「第2判定手段」および「第2判定ステッ
プ」が、それぞれ実現されている。
【0062】次に、図8乃至図10を参照して、本実施
例の検査装置が実行する第2の検査内容について説明す
る。ブレーキシステムのブレーキフルードには、その充
填工程においてエアが混入する場合がある。ブレーキフ
ルード内にエアが混入していると、ブレーキペダル12
が踏み込まれた際にそのエアに体積収縮が生ずる。この
ため、ブレーキフルードにエアが混入している場合は、
エアが混入していない場合に比して、所望の制動力を得
るために、ブレーキペダル12に大きなストロークを付
与することが必要となる。従って、ブレーキフルードに
多量のエアが混入している場合には、その状態を異常と
して捉えることが必要である。
【0063】エアの混入に関する検査は、一般に従来よ
り検査作業者による官能試験により行われていた。本実
施例の検査装置は、上記の如く気密異常を正確に検出し
得ることに加え、エアの混入をも異常として検出し得る
点に特徴を有している。図8および図9は、ブレーキホ
ース62の断面図を示す。図8は、ブレーキフルード6
4の充填工程で、その内部にエア66が混入した状態を
表している。また、図9は、図8に示すブレーキフルー
ド64が繰り返し昇降圧された結果、エア66が小さな
気泡68に***した後の状態を示す。図8に示す如くブ
レーキフルード64にエア66が混入しているブレーキ
システムが、本実施例の検査にふされると、上述した空
踏み工程(上記ステップ100〜116の処理)が実行
されることにより、ブレーキフルード64内のエア66
は、図9に示すような気泡68に変化する。
【0064】ブレーキフルード64の昇圧が図られた場
合、その内部に混入しているエアは、そのエアが大きな
気泡として存在するほど大きな体積変化を示す。従っ
て、空踏み工程が実行されることにより、ブレーキフル
ードに混入しているエアが小さな気泡に変化すると、そ
の変化が進行するに連れてブレーキペダル12のストロ
ークが小さくなる。
【0065】換言すると、ブレーキペダル12のストロ
ークは、ブレーキフルード中にエアが混入している場合
には、空踏み工程の進行に伴って大幅な減少を示し、一
方、ブレーキフルード中にエアが混入していない場合に
は、空踏み工程中に大きな変化を示さない。本実施例の
検査装置では、空踏み工程中に、ブレーキペダルのスト
ロークに大幅は減少が生じた場合に、ブレーキシステム
にエア混入異常が生じていると判断される。
【0066】図10は、上記の機能を実現すべく制御装
置22が実行する制御ルーチンの一例のフローチャート
を示す。図10に示すルーチンは、上記図3および図4
に示すルーチンが終了した後に起動される。本ルーチン
が起動されると、先ずステップ160の処理が実行され
る。ステップ160では、上記ステップ102および1
32で記憶されたストロークST1およびST4が読み
込まれる。本ステップ160の処理が終了すると、次に
ステップ162の処理が実行される。
【0067】ステップ162では、上記の如く読み込ま
れたST1およびST4に基づいて、次式に従ってスト
ローク変化率βが演算される。ストローク変化率βの演
算が終了すると、次にステップ164の処理が実行され
る。 β=(ST1−ST4)/ST4 ・・・(2) ステップ164では、変化率βが所定のしきい値TH3
を超えているか否かが判別される。しきい値TH3 は、
ブレーキシステムが正常である場合と、ブレーキシステ
ムに、エア混入異常が生じている場合とを判別するため
に、統計的手法を用いて実験的に決定された値である。
本ステップ164で、β>TH3 が成立しないと判別さ
れた場合は、ブレーキシステムが正常であると判断する
ことができる。この場合、次にステップ166の処理が
実行される。一方、β>TH3 が成立すると判別された
場合は、ブレーキシステムにエア混入異常が生じている
と判断することができる。この場合、次にステップ16
8の処理が実行される。
【0068】ステップ166では、ブレーキシステムシ
ステムが正常であることを表すための処理が実行され
る。一方、ステップ168では、ブレーキシステム15
6にエア混入異常が生じていることを表すための処理が
実行される。上記ステップ166または168の処理が
終了すると、今回のルーチンが終了される。上述の如
く、本実施例のシステムによれば、車両10のブレーキ
システムに、エア混入異常が生じている場合は、適切に
その異常を検出することができる。従って、本実施例の
検査装置によれば、自動車の製造ライン上で、精度良く
ブレーキシステムの異常検出を行うことができる。
【0069】ところで、上記の実施例においては、ST
1とST4とに基づいて、ストローク変化率βを求め、
そのβがTH3 を超えているか否かに基づいてエア混入
異常の有無を判断することとしているが、判断の具体的
手法はこれに限定されるものではなく、例えば、ST1
〜ST4の全てに基づいてストロークの減少傾向を検出
し、その減少傾向に基づいてエア混入異常の有無を判断
することとしても、また、ST1〜ST4のうち他の2
つの値に基づいてストローク変化率βを求め、そのβと
所定のしきい値とを比較することで、エア混入異常の有
無を判断することとしても良い。
【0070】尚、上記の実施例においては、制御装置2
2が、上記ステップ100,106,112,118の
処理を実行することにより前記請求項3記載の「踏力付
与手段」および前記請求項4記載の「踏力付与ステッ
プ」が、上記ステップ102,108,114,132
の処理を実行することにより前記請求項3記載の「スト
ローク検出手段」および前記請求項4記載の「ストロー
ク検出ステップ」が、上記ステップ162の処理を実行
することにより前記請求項3記載の「変化傾向検出手
段」および前記請求項4記載の「変化傾向検出ステッ
プ」が、上記ステップ164の処理を実行することによ
り前記請求項3記載の「エア混入異常判定手段」および
前記請求項4記載の「エア混入異常判定ステップ」が、
それぞれ実現されている。
【0071】次に、図11を参照して、本実施例の検査
装置が実行する第3の検査内容について説明する。ブレ
ーキシステムの構成要素であるブレーキブースタ14の
内部には、ダイヤフラムによって隔成される負圧室と変
圧室とが形成されている。ブレーキブースタ14の作動
時において、その負圧室には、常に所定の負圧が導かれ
ている。一方、変圧室には、ブレーキペダル12の踏み
込む状態に応じて、大気または負圧が導かれる。
【0072】ブレーキブースタ14は、ブレーキペダル
14に加えられた踏力に応じて、変圧室に負圧または大
気を導入するエアバルブを備えている。エアバルブは、
ダイヤフラムによって隔成される負圧室と変圧室とに、
ブレーキペダル14に加えられた踏力に応じた差圧を発
生させるように構成されている。その結果、エアバルブ
が正常に機能する場合には、ブレーキブースタ14によ
って、ブレーキ踏力に応じたアシスト力が発生される。
【0073】ブレーキブースタ14のエアバルブには、
負圧室と大気とを適切に遮断できない異常が生ずること
がある。この場合、ブレーキブースタ14は正常にアシ
スト力を発生することができない。従って、このような
場合には、その状態を異常として検出することが適切で
ある。本実施例の検査装置は、かかる状態をも異常とし
て検出することができる。
【0074】図11は、上記の機能を実現すべく制御装
置22が実行するエアバルブ判定ルーチンの一例のフロ
ーチャートを示す。図11に示すルーチンは、本実施例
の検査装置の起動スイッチがオンされることにより開始
される。本ルーチンが開始されると、先ずステップ17
0の処理が実行される。ステップ170では、上記図3
および図4に示す一連の処理が終了しているか否かが判
別される。その結果、それらの処理が既に終了している
と判別される場合は、次にステップ182の処理が実行
される。一方未だそれらの処理が実行中であると判別さ
れる場合は、次にステップ172の処理が実行される。
【0075】ステップ172では、負圧発生源28が備
える圧力センサ34の出力が増加傾向から減少傾向に、
または、減少傾向から増加傾向に反転したか否かが判別
される。圧力センサ34の出力は、負圧発生源28に蓄
えられている負圧が上限値に達してポンプの駆動が開始
されたとき、および、負圧発生源28に蓄えられている
負圧が下限値に達してポンプの駆動が停止されたときに
反転する。本ステップ172で、圧力センサ34の出力
が反転していないと判別される場合は、再び上記ステッ
プ170の処理が実行される。一方、圧力センサ34の
出力が反転していると判別される場合は、次にステップ
174の処理が実行される。
【0076】ステップ174では、圧力センサ34の出
力反転回数を計数するためのカウンタがインクリメント
される。本ステップ174の処理が終了すると、次にス
テップ176の処理が実行される。ステップ176で
は、カウンタの計数値Cが、所定値C0 を超えているか
否かが判別される。本実施例のシステムにおいて、負圧
発生源28に蓄えられている負圧は、ブレーキブースタ
14のエアバルブが正常である場合には、さほど大量に
消費されることはない。また、負圧発生源28の負圧が
大量に消費されなければ、圧力センサ34の出力が反転
を繰り返すことはない。本ステップ176でしきい値と
して用いられる所定値C0 は、ブレーキブースタ14が
正常である場合には発生することのない反転回数に設定
されている。従って、C≧C0 が成立する場合には、ブ
レーキブースタ14のエアバルブに異常が生じていると
判断することができる。この場合、次にステップ178
の処理が実行される。一方、C≧C0 が成立しないと判
別された場合は、次にステップ180の処理が実行され
る。
【0077】ステップ178では、ブレーキブースタ1
4に異常が生じていることを表示するための処理が実行
される。本ステップ178の処理が終了すると、今回の
ルーチンが終了される。ステップ180では、上記ステ
ップ170と同様に、上記図3および図4に示す一連の
処理が終了しているか否かが判別される。その結果、そ
れらの処理が既に終了していると判別される場合は、次
にステップ182の処理が実行される。一方、未だそれ
らの処理が実行中であると判別される場合は、次に、再
び上記ステップ172の処理が実行される。
【0078】ステップ182では、ブレーキブースタ1
4が正常であることを表示するための処理が実行され
る。本ステップ182の処理が終了すると、今回のルー
チンが終了される。上述の如く、本実施例の検査装置に
よれば、ブレーキシステムの気密異常およびエア混入異
常に加え、ブレーキブースタ14のエアバルブの異常を
も正確に検出することができる。従って、本実施例の検
査装置によれば、自動車の製造ライン上で、精度良くブ
レーキシステムの異常検出を行うことができる。
【0079】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明および
請求項2記載の発明によれば、ブレーキフルードを徐々
に漏出させる気密異常、および、ブレーキフルードを多
量に漏出させる気密異常の双方と、確実に異常として検
出することができる。また、請求項3記載の発明および
請求項4記載の発明によれば、ブレーキペダルのストロ
ークに基づいて、ブレーキフルードへのエアの混入状態
を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液圧ブレーキシステム
の検査装置の全体構成図である。
【図2】図1に示す検査装置の要部の詳細図である。
【図3】本実施例の検査装置において実行される制御ル
ーチンの一例のフローチャート(その1)である。
【図4】本実施例の検査装置において実行される制御ル
ーチンの一例のフローチャート(その2)である。
【図5】図3および図4に示す処理の実行に伴って検出
されるペダル反力のタイムチャートである。
【図6】図3および図4に示す処理の実行に伴って検出
されるブレーキペダルのストロークのタイムチャートで
ある。
【図7】本実施例の検査装置において気密異常を検出す
るために実行される異常判定ルーチンの一例のフローチ
ャートである。
【図8】ブレーキフルード内にエアが大きな気泡として
存在する状態を表した図である。
【図9】ブレーキフルード内にエアが小さな気泡として
点在する状態を表した図である。
【図10】本実施例の検査装置においてエア混入異常を
検出するために実行される異常判定ルーチンの一例のフ
ローチャートである。
【図11】本実施例の検査装置においてブレーキブース
タの異常を検出するために実行される異常判定ルーチン
の一例のフローチャートである。
【符号の説明】 10 車両 12 ブレーキペダル 14 ブレーキブースタ 16 マスタシリンダ 18 検査ユニット 22 制御装置 28 負圧発生源 34 圧力センサ 40 エアシリンダ 48 ロードセル 50 ストロークセンサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキペダルに所定の踏力を付与する
    踏力付与手段と、 前記ブレーキペダルに前記所定の踏力が付与された後
    に、前記ブレーキペダルに生ずるストロークを固定する
    ストローク固定手段と、 前記ストロークが固定された後に、前記ペダル反力に生
    ずるペダル反力を検出するペダル反力検出手段と、 前記ペダル反力検出手段の検出値に所定値を超える変化
    率が生じた場合に気密異常の発生を判定する第1判定手
    段と、 前記所定の踏力が付与された後に、前記ストロークを検
    出するストローク検出手段と、 前記ストローク検出手段の検出値が所定値を超える場合
    に気密異常の発生を判定する第2判定手段と、 を備えることを特徴とする液圧ブレーキシステムの検査
    装置。
  2. 【請求項2】 ブレーキペダルに所定の踏力を付与する
    踏力付与ステップと、 前記ブレーキペダルに前記所定の踏力が付与された後
    に、前記ブレーキペダルに生ずるストロークを固定する
    ストローク固定ステップと、 前記ストロークが固定された後に、前記ペダル反力に生
    ずるペダル反力を検出するペダル反力検出ステップと、 前記ペダル反力検出手段の検出値に所定値を超える変化
    率が生じた場合に気密異常の発生を判定する第1判定ス
    テップと、 前記所定の踏力が付与された後に、前記ストロークを検
    出するストローク検出ステップと、 前記ストローク検出手段の検出値が所定値を超える場合
    に気密異常の発生を判定する第2判定ステップと、 を備えることを特徴とする液圧ブレーキシステムの検査
    方法。
  3. 【請求項3】 ブレーキペダルに、所定回数繰り返して
    所定の踏力を付与する踏力付与手段と、 前記ブレーキペダルに前記所定の踏力が付与される毎
    に、その踏力に起因して前記ブレーキペダルに生ずるス
    トロークを検出するストローク検出手段と、 前記ストローク検出手段によって順次検出されるストロ
    ークの変化傾向を検出する変化傾向検出手段と、 前記変化傾向検出手段の検出結果に基づいて、エア混入
    異常の有無を判定するエア混入異常判定手段と、 を備えることを特徴とする液圧ブレーキシステムの検査
    装置。
  4. 【請求項4】 ブレーキペダルに、所定回数繰り返して
    所定の踏力を付与する踏力付与ステップと、 前記ブレーキペダルに前記所定の踏力が付与される毎
    に、その踏力に起因して前記ブレーキペダルに生ずるス
    トロークを検出するストローク検出ステップと、 前記ストローク検出手段によって順次検出されるストロ
    ークの変化傾向を検出する変化傾向検出ステップと、 前記変化傾向検出手段の検出結果に基づいて、エア混入
    異常の有無を判定するエア混入異常判定ステップと、 を備えることを特徴とする液圧ブレーキシステムの検査
    方法。
JP29215196A 1996-11-01 1996-11-01 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法 Pending JPH10132696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29215196A JPH10132696A (ja) 1996-11-01 1996-11-01 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29215196A JPH10132696A (ja) 1996-11-01 1996-11-01 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10132696A true JPH10132696A (ja) 1998-05-22

Family

ID=17778208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29215196A Pending JPH10132696A (ja) 1996-11-01 1996-11-01 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10132696A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102967423A (zh) * 2012-11-19 2013-03-13 浙江达峰汽车技术有限公司 汽车尾气催化净化器气密检测装置
JP2019528431A (ja) * 2016-07-14 2019-10-10 アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト 自動車の少なくとも1つの部品のための診断方法
CN113295351A (zh) * 2021-06-21 2021-08-24 湖南行必达网联科技有限公司 一种整车气密性检测方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102967423A (zh) * 2012-11-19 2013-03-13 浙江达峰汽车技术有限公司 汽车尾气催化净化器气密检测装置
JP2019528431A (ja) * 2016-07-14 2019-10-10 アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト 自動車の少なくとも1つの部品のための診断方法
US11279337B2 (en) 2016-07-14 2022-03-22 Ipgate Ag Diagnostic method for at least one component of a motor vehicle
CN113295351A (zh) * 2021-06-21 2021-08-24 湖南行必达网联科技有限公司 一种整车气密性检测方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6494545B2 (en) Apparatus for diagnosing accumulator based on fluid pressure in its fluid-tightly sealed state
JP4064483B2 (ja) 車両ブレーキ装置の検査方法および装置
JP2952798B2 (ja) 流体圧システムおよび車両用流体圧ブレーキシステムにおける故障検出方法
US6431662B2 (en) Vehicle braking pressure source device wherein fluid communication between pressurizing and back-pressure chambers of master cylinder is controlled based on vehicle running state and/or road surface condition
JPH09216556A (ja) 車両ブレーキ装置の検査方法および装置
KR101872679B1 (ko) 차량 배력 장치의 진공 압력 센서 불량 여부 검사 방법 및 검사장치
JPH10129446A (ja) 車両ブレーキ装置の制御方法及び装置
JP2001055135A (ja) ブレーキブースタシステム,ブレーキブースタシステムの駆動方法,及びその回路
CN101970269A (zh) 用以识别液压制动***的刚性的变化的方法
KR102040472B1 (ko) 차량 배력 장치의 진공도 누설 여부 검사 방법 및 검사 장치
JP4479125B2 (ja) 圧力関連ユニット検査方法および圧力関連ユニット検査システム
JPH10132696A (ja) 液圧ブレーキシステムの検査装置および検査方法
JPH09207763A (ja) 車両ブレーキ装置の検査方法および装置
JPH0732278Y2 (ja) 流体圧力源の故障診断装置
JP4023797B2 (ja) 付加的油圧ブーストを備えた空圧ブレーキブースタ及びそのようなブースタを使って制動をブーストするための方法
JPH11278228A (ja) ブレーキ装置
KR102295763B1 (ko) 배력 브레이크용 진공펌프의 이상 판단 방법
WO2019189656A1 (ja) 車両用制動装置
JPH11286271A (ja) 液圧ブレーキ装置
JPH10181573A (ja) ブレーキ制御装置
JP3384295B2 (ja) アンチロックブレーキシステムの検査方法
US20240059267A1 (en) Electronic brake system and operating method thereof
JP2000177551A (ja) ブレーキ圧制御装置
KR100494669B1 (ko) 차량의 브레이크
KR20030088951A (ko) 자동차용 브레이크 배력장치 구조