JPH09272272A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JPH09272272A
JPH09272272A JP8370996A JP8370996A JPH09272272A JP H09272272 A JPH09272272 A JP H09272272A JP 8370996 A JP8370996 A JP 8370996A JP 8370996 A JP8370996 A JP 8370996A JP H09272272 A JPH09272272 A JP H09272272A
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JP
Japan
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base paper
heat
support layer
fibers
film
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JP8370996A
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English (en)
Inventor
Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
Yukichi Deguchi
雄吉 出口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とか
らなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支持体が
少なくともA/B2層の繊維構造体からなり、支持体層
(A)が不規則に配列された繊維で構成され、支持体層
(B)が規則的に配列された繊維で構成されていること
を特徴とする感熱孔版印刷用原紙。 【効果】サーマルヘッドとの密着性がよいので、製版時
の未穿孔がなくなり、またインキの透過性と保持性がよ
いので、黒ベタ印刷部の白抜けがなく印刷鮮明性に優
れ、大量枚数を印刷してもインキがかすれることがな
い。さらに、支持体の強度と剛性が高いので、大量枚数
を印刷しても原紙にシワや剥離や破れが発生することが
なく、耐刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙とすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版印刷用原
紙に関する。さらに詳しくは、ハロゲンランプ、キセノ
ンランプ、フラッシュバルブなどによる閃光照射や赤外
線照射、レーザー光線等のパルス的照射、あるいはサー
マルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版印刷用原
紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より感熱孔版印刷に用いられる原紙
としては、アクリロニトリル系フィルム、ポリエステル
系フィルムあるいは塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑
性樹脂フィルムにインキ透過性を有する多孔性支持体を
接着剤等で貼り合わせたものが知られている。多孔性支
持体としては、天然繊維からなる薄葉紙(例えば特公昭
55−47997号公報)や天然繊維と合成繊維を混抄
してなる薄葉紙(例えば特開昭59−33196号公
報、特開昭60−217197号公報)、あるいは合成
繊維からなる不織布(例えば特公昭63−59394号
公報、特開平2−107488号公報)、さらにはスク
リーン紗(例えば特開昭51−2513号公報、特開平
7−299966号公報)等を接着剤等で貼り合わせた
構造のものが知られている。
【0003】しかしながら、これら従来の感熱孔版印刷
用原紙(以下、原紙)には以下のような欠点があった。
【0004】(1)天然繊維を主体としてなる薄葉紙を
支持体とした原紙は、湿度による強度低下が大きいた
め、耐刷性が劣る。
【0005】(2)合成繊維からなる不織布を支持体と
した原紙は、腰の強さが不十分なためしわが発生しやす
い。
【0006】(3)スクリーン紗を支持体とした原紙
は、インキの保持性に劣るため、インキが過剰に供給さ
れて印字がにじみやすく、また、大量枚数の印刷におい
ては、インキのカスレが発生しやすい。
【0007】(4)熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持
体との間に接着剤層が形成されているため、フィルムの
穿孔性が阻害されやすく、また、接着剤によってインキ
の透過性が低下して、印刷品位が劣る。
【0008】(5)インキに含まれる有機溶剤等によっ
て接着強度が低下して、フィルムと支持体とが剥離しや
すく、原紙の耐刷性が低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決し、特にサーマルヘッドによる穿孔製版性に優
れ、かつ印刷性と耐刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは感熱孔版用原紙の支持体構造を特定す
ることによって、従来原紙の欠点を改良できることを見
いだし、本発明を完成したものである。
【0011】すなわち本発明は、熱可塑性樹脂フィルム
と多孔性支持体とからなる感熱孔版印刷用原紙におい
て、該多孔性支持体が少なくともA/B2層の繊維構造
体からなり、支持体層(A)が不規則に配列された繊維
で構成され、支持体層(B)が規則的に配列された繊維
で構成されていることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙
である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の原紙は、多孔性支持体が
少なくともA/B2層の繊維構造体からなり、支持体層
(A)が不規則に配列された繊維で構成され、支持体層
(B)が規則的に配列された繊維で構成されている。
【0013】支持体層(A)と支持体層(B)は、その
順番や層の枚数を任意に組み合わせて構成することがで
きるが、好ましくはフィルムに接する側に支持体層
(A)を配し、フィルムに接しない側に支持体層(B)
を配してなる。
【0014】本発明の支持体層(A)は、繊維が不規則
に配列されてなる。繊維が不規則に配列されてなると
は、支持体を平面的に観察した場合、繊維が2次元状に
分散された状態をいう。好ましくは繊維同士がその交絡
点において、互いに不規則に融着した網状体を形成して
なる。特に好ましくは融着部の一部に薄い膜を形成して
なる。つまり、支持体の繊維同士が、薄膜を形成してな
る融着部を持った網状体とすることにより、均一な開孔
形態を形成することができ、印刷インキの保持性と透過
性のバランスのとれた支持体とすることができるからで
ある。
【0015】本発明の支持体層(A)としては、例えば
短繊維を抄造してなる抄造紙や不織布状のものが好まし
く用いられる。使用される繊維は、短繊維であってもよ
いし、連続繊維であってもよく、両者を併用したもので
あってもよいが、これら繊維が不規則に配列されてなる
ことが肝要である。用いる繊維の断面形状等は特に限定
されないが、円形または楕円形状のものが好ましい。
【0016】本発明においては、繊維径や目付のコント
ロールの点で不織布形態のものがより好ましく用いられ
る。
【0017】不織布はフラッシュ紡糸法、メルトブロー
紡糸法、スパンボンド紡糸法など従来公知の直接溶融紡
糸法よって作製することができる。例えば、メルトブロ
ー紡糸法では、溶融したポリマーを口金から吐出するに
際して、口金周辺部から熱風を吹き付け、該熱風によっ
て吐出したポリマーを細繊度化せしめ、ついで、しかる
べき位置に配置したネットコンベア上に吹き付けて捕集
し、ウエブを形成して製造される。得られる繊維の平均
直径や目付の調整は、ポリマー吐出量、熱風吹付け量、
コンベアの移動速度等を変更することにより行う。
【0018】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア状に捕集してウエブを形成して製造される。ポ
リマー吐出量、エジェクターの牽引速度、コンベア速度
を適宜設定することにより、ウエブの繊維径や目付を調
整することができる。
【0019】本発明の支持体層(A)を構成する繊維
は、好ましくはその平均直径が10μm以下であり、よ
り好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下
である。平均直径を10μm以下とすることにより、フ
ィルム面側に配置することにより、フィルム面の平滑度
が良好となるので、サーマルヘッドとの密着性が向上し
て、穿孔性に優れた原紙とすることができる。また、支
持体層(A)の目付は15g/m2 以下が好ましく、よ
り好ましくは目付10g/m2 以下、特に好ましくは8
g/m2 以下である。目付を15g/m2 以下とするこ
とにより、インキの透過性と保持性がバランスされ、印
字鮮明性が向上するとともに、インキのにじみやカスレ
のない印刷品位の高い印刷物を得ることができる。
【0020】繊維径、目付ともに小さい方が穿孔性や印
刷性の点で好ましいが、その下限は本発明者らの知見に
よれば、繊維径が0.01μm、目付が0.5g/m2
の付近であると考えられる。
【0021】本発明の支持体層(A)を構成する繊維
は、インキ透過性を有するものであれば特に限定される
ことはなく、従来の天然繊維や合成繊維、あるいは化学
繊維や再生繊維、無機繊維等を用いることができるが、
特に、熱可塑性樹脂繊維が好ましく用いられる。
【0022】熱可塑性樹脂繊維としては、例えばポリエ
ステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレンま
たはその共重合体などが用いられる。これら熱可塑性樹
脂繊維は単体で用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。本発明においては穿孔時の熱安定性の点からポリ
エステル系樹脂繊維が特に好ましく用いられる。
【0023】ポリエステルとして好ましくは、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、エチレンテ
レフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体等
を挙げることができる。穿孔時の熱寸法安定性の点から
特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート等を挙げることができる。これらの
ポリマーには必要に応じて難燃剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エ
ステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン
等の消泡剤等を配合することができる。
【0024】本発明の支持体層(B)は、繊維が規則的
に配列されてなる。規則的に配列されてなるとは、例え
ば、支持体となる繊維が原紙の長手方向あるいは幅方
向、または長手方向と幅方向に一定間隔で並べられた状
態をいう。本発明にあっては、少なくとも原紙の長手方
向(走行方向)に一定間隔で配列されてなるのが好まし
い。支持体となる繊維を少なくとも原紙の長手方向に配
列することにより、原紙の強度と剛性を安定したものと
することができるので、原紙が印刷機内を走行する際
に、原紙にシワが発生したりすることがない。また、大
量枚数を印刷しても原紙が伸びることがないので、画像
が歪んだりすることがなく、原紙が破れたりすることも
ない。
【0025】本発明の支持体層(B)は、具体的にはモ
ノフィラメントを原紙の長手方向あるいは幅方向に配列
したものや、織物や編物、スクリーン紗などが好ましく
用いられる。また、不織布などを一軸延伸して、繊維を
引きそろえたものであってもよい。本発明にあっては、
支持体としての強度と剛性の点で、スクリーン紗が特に
好ましく用いられる。
【0026】支持体層(B)を構成する繊維としては、
絹などの天然繊維、ナイロンやポリエステルなどの合成
繊維、ガラスなどの無機繊維、あるいは金属繊維などを
用いることができる。中でも、強度と柔軟性の点から、
ポリエステル系樹脂繊維が好ましく用いられる。
【0027】支持体層(B)は、低融点成分を鞘とし、
高融点成分を芯とする芯鞘構造の複合繊維を全部または
一部に用いて構成してもよい。芯鞘構造の複合繊維を用
いる場合、鞘成分は支持体層(A)と親和性を有する成
分で構成されるのが好ましい。支持体層(A)と親和性
を有する成分とは、熱圧着等の手段により十分な接合力
を有し、容易に剥離しない成分をいう。このような成分
は支持体層(A)と同一のものでもよい。鞘成分の融点
は、熱可塑性樹脂フィルムおよび複合繊維の芯成分より
低いものが好ましい。例えば、支持体層(A)にポリエ
チレンテレフタレート樹脂を用いた場合には、鞘成分と
してはこれより融点の低い共重合ポリエステルなどが好
ましく用いられ、共重合成分としてはイソフタル酸、ア
ジピン酸、ダイマー酸などのジカルボン酸、ジエチレン
グリコール、ブタンジオールなどの低分子量グリコール
などを挙げることができる。
【0028】複合繊維の芯成分としては、熱圧着時に溶
融しないものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエ
チレンテレフタレートが好ましく用いられる。鞘成分の
割合は、通常、鞘成分/芯成分の断面積比で5/95〜
50/50の範囲が好ましい。
【0029】複合繊維は芯鞘複合用紡糸ノズルを用いて
作製することができる。また、得られたフィラメント状
の複合繊維を織成することにより、本発明に有用なスク
リーン紗を作製することができる。該スクリーン紗は複
合繊維のみで構成されてもよいが、タテ糸またはヨコ糸
のみに複合繊維を用いてもよい。また、タテ糸またはヨ
コ糸の一部に等間隔に配列して用いてもよい。この場
合、繊維本数の少なくとも20%以上が複合繊維である
のが好ましい。
【0030】支持体層(B)を構成する繊維の直径は1
0μm以上であるのが好ましく、より好ましくは10μ
m〜200μmであり、さらに好ましくは20μm〜1
00μmである。繊維径を10μm以上とすることによ
り支持体として十分な強度と剛性が得られるので、原紙
を印刷機内を走行するに際し、原紙にシワが発生したり
することがなく、大量部数を印刷しても印刷画像にゆが
みが発生することがない。また、印刷ドラム(版胴)と
の密着性が良くなり、原紙にシワが発生したり、破れた
りすることがなく耐刷性に優れた原紙とすることができ
る。
【0031】本発明における支持体層(A)および
(B)に用いる繊維には、インキとの親和性を付与する
ために必要に応じて構成する繊維の表面に酸、アルカリ
等の化学処理、コロナ処理、低温プラズマ処理等を施し
てもよい。また、制電性を付与するために、帯電防止剤
を繊維表面に付与してもよい。
【0032】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまた
はその共重合体などが用いられるが、穿孔感度の点から
ポリエステルフィルムが特に好ましく用いられる。
【0033】ポリエステルフィルムに用いられるポリエ
ステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレート
との共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙
げることができる。穿孔感度を向上するために特に好ま
しくは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレ
ートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等
を挙げることができる。
【0034】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
未延伸であってもよいが、通常、一軸または二軸延伸フ
ィルムが好ましく用いられる。これら熱可塑性樹脂フィ
ルムは、Tダイ法、インフレーション法等によって製造
することができる。例えば、Tダイ法ではポリマーをキ
ャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルム
を作製することができるし、該未延伸フィルムを速度の
異なる加熱ロール群に供給して長手方向に延伸して一軸
延伸フィルムを作製し、また必要に応じてテンター等に
供給して横延伸することにより二軸延伸フィルムを作製
することができる。この場合、口金のスリット幅、ポリ
マーの吐出量、キャストドラムの回転数を調整すること
によって、未延伸フィルムの厚さを調整することができ
るし、また、加熱ロール群の回転速度を調整したり、テ
ンターの設定幅を変更したりすることによって、厚さや
延伸倍率の異なるフィルムを作製することができる。
【0035】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚
さは、通常好ましくは0.1〜10μmであり、より好
ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.1〜2μ
mである。フィルムの厚さを10μm以下とすることに
より穿孔性に優れた原紙とすることができ、また、フィ
ルム厚さを0.1μm以上とすることにより、製膜や支
持体とのラミネートを安定して行うことができる。
【0036】本発明における熱可塑性樹脂フィルムに
は、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステ
ル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の
消泡剤等を配合することができる。
【0037】さらには必要に応じて易滑性を付与するこ
ともできる。易滑性付与方法としては特に制限はない
が、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなど
の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とす
る有機粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界
面活性剤を塗布する方法等がある。
【0038】本発明における原紙は、上記の熱可塑性樹
脂フィルムと持体層(A)、支持体層(B)を貼り合わ
せて作られる。貼り合わせの方法および貼り合わせ順序
は特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂フィルムと
支持体層(A)とを接着した後、支持体層(B)を接着
してもよいし、支持体層(A)と支持体層(B)とを接
着した後、フィルムを接着してもよく、フィルムと支持
体層(A)、支持体層(B)を同時に接着してもよい。
接着は、フィルムの穿孔感度を低下させない条件で接着
剤を用いて接着してもよいし、接着剤を用いることなく
直接熱接着してもよい。より好ましくは穿孔感度および
印刷性の点から、接着剤を用いず直接熱接着するのが好
ましい。
【0039】熱接着の方法は特に限定されるものではな
いが、加熱ロールによる方法がプロセス性の点から特に
好ましい。
【0040】支持体層(A)と芯鞘構造の複合繊維から
なる支持体層(B)とを熱接着する場合には、通常、シ
リコンゴムロールと金属ロールを組み合わせたニップロ
ール等により行われる。熱接着温度および圧力は、熱可
塑性樹脂フィルムや支持体層(A)および支持体層
(B)の材質に応じて適宜決められるが、通常、温度と
しては複合繊維の鞘成分のガラス転移点以上融点以下の
温度であるのが好ましく、ニップ圧力はロールの線圧で
0.1〜10kg/cmの範囲が好ましい。
【0041】本発明の好ましい実施態様としては、熱可
塑性樹脂フィルムと支持体層(A)が接着剤を用いるこ
となく熱接着され、共延伸して一体化されたものが特に
好ましい。共延伸とは、熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑
性樹脂繊維からなる支持体層(A)とを熱接着した状態
で、一軸または二軸に延伸することをいう。例えば、未
延伸の熱可塑性樹脂フィルムと未延伸の熱可塑性樹脂繊
維からなる不織布形態の支持体層(A)を熱接着した
後、通常の二軸延伸製膜機に供給することにより、フィ
ルムと支持体層(A)との共延伸構造体を得ることがで
きる。このような共延伸構造体とすることにより、熱可
塑性樹脂フィルムと支持体層(A)とが直接固着され、
接着剤を用いることなく一体化される。また、この時、
支持体層(A)の繊維は不規則に配列され、かつ交絡点
で互いに融着した状態で延伸されるため、多孔性支持体
として好適な網状体を形成することができ、インキの透
過性と保持性に優れたものとすることができ、得られた
フィルムの穿孔感度も良好なものとなる。
【0042】共延伸の方法は特に限定されないが、通
常、二軸延伸が好ましい。二軸延伸は逐次二軸延伸、同
時二軸延伸のいずれの方法であってもよい。逐次二軸延
伸の場合、縦方向、横方向の順に延伸するのが一般的で
あるが、逆に延伸してもよい。延伸倍率は特に限定され
るものではなく、用いる熱可塑性樹脂の種類や原紙に要
求される穿孔感度等によって適宜決定されるが、通常は
縦、横それぞれ2〜8倍程度が適当である。また、二軸
延伸後、縦または横、あるいは縦横同時に再延伸しても
かまわない。
【0043】さらに、共延伸した熱可塑性樹脂フィルム
と支持体層(A)とは熱処理するのが好ましい。熱処理
温度は特に限定されるものではなく、用いる熱可塑性樹
脂の種類によって適宜決定される。
【0044】本発明の原紙を構成するフィルム面には穿
孔時のスティック防止のため離型剤を塗布するのが好ま
しい。離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン
系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等を用いることがで
きる。
【0045】また、離型剤中には、帯電防止剤、耐熱
剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料など各種
添加剤を混合して併用することができる。
【0046】
【特性の測定方法】
(1)繊維の平均直径(μm) 支持体層の任意の10箇所をサンプリングし、イオンコ
ート処理を行った後、電子顕微鏡で倍率2000倍で1
0枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき任意の20本
の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真について行
い、合計200本の繊維径を測定し、その平均値を求め
た。断面が円形でない繊維にあっては、平面的に観察し
た場合の繊維の幅を直径と見なして求めた。
【0047】(2)印刷性の評価 作製した原紙を理想科学工業(株)製“リソグラフ”G
R275に供給してサーマルヘッド式製版方式により、
文字サイズ6ポ〜10.5ポのものおよび●(丸で中が
黒く塗りつぶされたもの)で直径1〜15mmのもの、
太さ0.5〜2mmの罫線を原稿として、A4版の原紙
を製版した。次いで、印刷枚数1000枚を印刷し、次
のように製版性と印刷性および耐刷性を評価した。
【0048】<製版性>製版した原紙のベタ部分をサン
プリングし、フィルム面を走査型電子顕微鏡で倍率10
0倍で写真撮影し、サーマルヘッドのドット150個
(縦10個×横15個)に対応する穿孔数を数え、次の
ように判定した。
【0049】全く未穿孔数がないものを○、未穿孔数が
1個以上〜10個未満のものを△、未穿孔数が10個以
上のものを×とした。
【0050】<印刷性>印刷100枚目の印刷物の黒ベ
タ部をマクベス光学式濃度計により印刷濃度を測定し、
次のように判定した。
【0051】濃度が1.0以上のものを○、濃度が0.
8以上1.0未満のものを△、濃度が0.8未満のもの
を×とした。
【0052】<耐刷性>印刷枚数1000枚を印刷し、
印刷後の原紙の状態を目視で確認して、次のように判定
した。
【0053】原紙にシワ、剥離、破れが発生しなかった
ものを○、原紙にシワが発生したものを△、原紙に剥離
や破れが発生したものを×とした。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】実施例1 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度285℃でポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.6、Tm=256℃)をメルトブロー法
にてネットコンベア上に紡出し、未延伸不織布を作製し
た。
【0056】次いで、エチレンテレフテレート85モル
%、エチレンイソフタレート15モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.65、Tm=21
0℃)を押出機を用いて、Tダイ口金温度270℃で押
出し、冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作
製した。
【0057】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度75℃で熱圧着
し、積層シートを作製した。
【0058】該積層シートを90℃の加熱ロール間で、
長さ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、90℃で幅方向に4倍延伸し、さらにテンター
内部で140℃で熱処理して、ポリエステルフィルムと
支持体層(A)との積層体をを作製した。ポリエステル
フィルムの厚さは、1.8μmであった。走査型電子顕
微鏡で観察したところ、支持体層(A)は、繊維が不規
則に配列されており、繊維同士が網状体を形成してい
た。また、繊維の平均直径は6μmであり、目付は8g
/m2 であった。
【0059】次に、支持体層(B)として、直径40μ
mの繊維がタテ・ヨコに規則的に配列された、目開き2
00メッシュ、厚さ70μmのスクリーン紗を準備し
た。該スクリーン紗をポリ酢酸ビニル樹脂を接着剤とし
て前記積層体とラミネートした。フィルム面にシリコー
ンオイルを塗布して感熱孔版印刷用原紙を作製した。
【0060】該原紙は穿孔性、印刷性、耐刷性すべてに
おいて○であった。
【0061】実施例2 実施例1において、芯成分にポリエチレンテレフタレー
ト樹脂、鞘成分にエチレンテレフテレート80モル%、
エチレンイソフタレート20モル%からなる共重合ポリ
エステル樹脂を用い、複合紡糸機を用いて同心円状の芯
鞘複合繊維(芯鞘断面積比=80:20)を紡糸し、該
繊維を製織して平織りスクリーン紗(繊維径40μm、
200メッシュ)を作製して、支持体層(B)とした。
該スクリーン紗と実施例1で得た熱可塑性樹脂フィルム
と支持体層(A)との積層体とを積層し、金属ロールと
硬質ゴムロールとからなるカレンダロールにより、温度
120℃、圧力5kgf/cm2 で熱接着した。フィル
ム面にシリコーンオイルを塗布して感熱孔版印刷用原紙
を作製した。
【0062】該原紙は、穿孔性、印刷性、耐刷性すべて
において○であった。
【0063】実施例3 実施例1において、テンター出口でフィルムと支持体層
(A)の積層体をロール状に巻き取った。次いで、実施
例2で紡出した芯鞘複合繊維をボビンに巻き取った。該
ボビンをクリールスタンドにセットし、ロール状の支持
体層(A)面の長手方向に1cm当たり200本の割合
で配列し、両者を同時にカレンダーロールに供給して熱
接着した。次いでフィルム表面にシリコーンオイルを塗
布して感熱孔版印刷用原紙を作製した。
【0064】該原紙は、穿孔性、印刷性、耐刷性すべて
において○であった。
【0065】実施例4 マニラ麻70%とポリエステル繊維30%とを混抄し
て、繊維が不規則に配列した支持体層(A)を作製し
た。該支持体層(A)と厚さ2μmのポリエステルフィ
ルムをポリエステル系接着剤で接着した。次いで、実施
例2で作製した平織りスクリーン紗を支持体層(B)と
して、カレンダーロールにより、熱接着し、フィルム面
にシリコーンオイルを塗布して感熱孔版用原紙を作製し
た。
【0066】該原紙は、穿孔性○、印刷性△、耐刷性は
○であった。
【0067】実施例5 実施例1で作製したポリエステルフィルムと、実施例2
で作製したスクリーン紗と、繊維径8μm、目付10g
/m2 のポリエステル不織布とをカレンダーロールに供
給し、フィルム面側にスクリーン紗を配した状態で、温
度120℃、圧力5kgf/cm2 で同時に熱接着し
た。次いで、フィルム面にシリコーンオイルを塗布して
感熱孔版用原紙を作製した。
【0068】該原紙は、穿孔性△、印刷性○、耐刷性は
○であった。
【0069】比較例1 マニラ麻80%とポリエステル繊維20%とを混抄して
目付10g/m2 の薄葉紙を作製し、該薄葉紙と厚さ2
μmのポリエステルフィルムとを接着剤で張り合わせ、
フィルム面にシリコーンオイルを塗布して感熱孔版印刷
用原紙を作製した。
【0070】該原紙は、穿孔性○、印刷性△、耐刷性は
×であった。
【0071】比較例2 通常のメルトブロー紡糸により、直径2μm、目付16
g/m2 のポリプロピレン製不織布を作製し、多孔性支
持体とした。該支持体に厚さ2μmのポリエステルフィ
ルムを、ポリ酢酸ビニル樹脂を接着剤としてラミネート
した。フィルム面にシリコーンオイルを塗布して感熱孔
版印刷用原紙を作製した。
【0072】該原紙は、穿孔性○、印刷性×、耐刷性は
×であった。
【0073】比較例3 通常のスパンボンド紡糸法により、紡糸速度5000m
/分で、ポリエチレンテレフタレート原料を紡出して不
織布を作製し、ロール温度220℃でエンボス加工を施
して繊維径14μm、目付12g/m2 の多孔性支持体
を作製した。該支持体に厚さ2μmのポリエステルフィ
ルムを、ポリ酢酸ビニル樹脂を接着剤としてラミネート
した。フィルム面にシリコーンオイルを塗布して感熱孔
版印刷用原紙を作製した。
【0074】該原紙は、穿孔性×、印刷性×、耐刷性は
△であった。
【0075】比較例4 繊維径40μm、目開き200メッシュ、厚さ70μm
のポリエステルスクリーン紗と、厚さ2μmのポリエス
テルフィルムとをポリ酢酸ビニル樹脂を接着剤としてラ
ミネートした。フィルム面にシリコーンオイルを塗布し
て感熱孔版印刷用原紙を作製した。
【0076】該原紙の穿孔性は△、印刷性×、耐刷性は
△であった。
【0077】
【発明の効果】本発明の原紙は上記のように構成したの
で、以下の効果を奏する。
【0078】(1)原紙の支持体を少なくとも2層構造
とし、そのうちの1層を不規則に配列した繊維で構成し
たので、インキの透過性と保持性がバランスされ、印字
鮮明性が良好で、大量枚数を印刷しても印字がかすれた
りすることがない。
【0079】(2)原紙の支持体を2層構造とし、その
うちの1層を規則的に配列した繊維で構成し、該繊維を
少なくとも原紙の長手方向に配列するようにしたので、
支持体の強度と剛性が向上し、大量枚数を印刷しても原
紙にシワが発生したり、原紙が破れたりすることがな
く、耐刷性に優れる。
【0080】(3)繊維径の小さい繊維をフィルムと接
する面に不規則に配列したので、フィルム表面の平滑性
が良好となり、サーマルヘッドとの密着性が向上し、フ
ィルムの穿孔性が良好となる。
【0081】(4)フィルムとフィルムに接する支持体
層を接着剤を用いることなく接着したので、印刷インキ
中の有機溶剤等でフィルムと支持体とが剥離したりする
ことがない。また、接着剤によりインキの透過が阻害さ
れることがない。
【0082】(5)支持体層(A)と支持体層(B)と
を接着剤を用いることなく一体化したので、インキ中の
溶剤等によって支持体層が剥離することがなく、耐刷性
に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/36 B32B 27/36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体と
    からなる感熱孔版印刷用原紙において、該多孔性支持体
    が少なくともA/B2層の繊維構造体からなり、支持体
    層(A)が不規則に配列された繊維で構成され、支持体
    層(B)が規則的に配列された繊維で構成されてなるこ
    とを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】 感熱孔版印刷用原紙において、支持体層
    (A)をフィルムに接する側に配し、支持体層(B)を
    フィルムに接しない側に配してなることを特徴とする請
    求項1に記載の感熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 支持体層(A)が繊維径10μm以下の
    繊維で構成されてなることを特徴とする請求項1または
    請求項2のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 支持体層(B)が繊維径10μm以上の
    繊維で構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求
    項3のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 支持体層(A)を構成する繊維がポリエ
    ステル系繊維であることを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂フィルムと支持体層(A)
    とが接着剤を介することなく接着されてなることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱孔版印刷用
    原紙。
  7. 【請求項7】 支持体層(A)と支持体層(B)とが接
    着剤を介することなく接着されてなることを特徴とする
    請求項1〜請求項6のいずれかに記載の感熱孔版印刷用
    原紙。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002240454A (ja) * 2000-10-31 2002-08-28 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスター、孔版印刷方法及び孔版印刷装置

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