JPH09150111A - 建築板の塗装方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築板の継ぎ目部分の塗装色に違和感を生じ
ることがなく、建築板の継ぎ目を意識させない美しい壁
面に仕上げることができるようにする。 【解決手段】 建築板１１の周辺部に位置する凸模様ブ
ロック１２については、建築板１１を壁面に複数枚貼り
合わせたときに建築板１１の継ぎ目１４に跨がって連続
する凸模様ブロック１２の塗装色が同一になるように、
建築板１１の周辺部の塗装色の塗り分けのデータを予め
人為的に設定してコンピュータのメモリに記憶させ、塗
装時にメモリに記憶されたデータに基づいて塗装装置を
制御して建築板１１の周辺部の塗装色を塗り分ける。そ
して、建築板１１の周辺部以外の部分の凸模様ブロック
１２については、塗装色の塗り分けのデータをコンピュ
ータによってランダムに自動作成し、様々なバリエーシ
ョンの塗装パターンを塗装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築板の表面にカ
ラー模様をコンピュータで制御された塗装装置で塗装す
る建築板の塗装方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、建築板の表面に塗装する模様のバ
リエーションを増加させるために、特開平７−２２８０
３６号公報に示すように、コンピュータを用いて模様の
塗装パターンデータをランダムに自動作成し、その塗装
パターンデータに基づいて建築板の表面にランダムな色
分けの模様を塗装することが考えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記塗装方法
では、建築板の表面全体の塗装パターンがランダムにな
るため、図７に示すように、複数枚の建築板１を壁面に
貼り合わせたときに、建築板１の各辺の継ぎ目２で、本
来連続すべき凸模様ブロックの塗装色が違ってきて不自
然な仕上がりとなったり、逆に、図８に示すように、芋
目地のレンガ調、タイル調の模様で塗装パターンをラン
ダムに設定するものでは、建築板３の継ぎ目４で、本来
ランダムであるべき左右の塗装パターンが似通ってきて
ランダム性が損なわれることがあり、違和感を生じるこ
とがある。

【０００４】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、建築板の継ぎ目部分
の塗装色に違和感を生じることがなく、建築板の継ぎ目
を意識させない美しい壁面に仕上げることができる建築
板の塗装方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１の建築板の塗装方法は、建築板の
表面にカラー模様をコンピュータで制御された塗装装置
で塗装する方法であって、前記建築板の周辺部の塗装色
の塗り分けのデータを予め人為的に設定して前記コンピ
ュータのメモリに記憶し、塗装時に前記メモリに記憶さ
れたデータに基づいて前記建築板の周辺部の塗装色を塗
り分けると共に、前記建築板の周辺部以外の部分の塗装
色の塗り分けのデータを、前記コンピュータによってラ
ンダムに自動作成する。この塗装方法では、コンピュー
タによるランダム模様自動作成機能により様々なバリエ
ーションの塗装パターンを塗装しながら、建築板の周辺
部を塗装する色の塗り分けのデータを予め人為的に設定
することで、従来の塗装方法で問題となっていた建築板
の継ぎ目部分における塗装色の違和感を無くすことがで
きる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の第１の実施形態を
図１乃至図３に基づいて説明する。まず、製造される建
築板１１を図１に基づいて説明する。建築板１１は、セ
メント系成形材料を型板（図示せず）によってプレス成
形して形成したものであり、その表面に形成された凹凸
模様パターンは、自然石風の大きさの異なる種々の形状
の凸模様ブロック１２を化粧目地１３を挟んで配列した
模様となっている。そして、この建築板１１を壁面に複
数枚貼り合わせたときに各建築板１１の上下・左右の４
辺部の凸模様ブロック１２と化粧目地１３がそれに突き
合わされた他の建築板１１の凸模様ブロック１２と化粧
目地１３と連続するように当該各辺部の凸模様ブロック
１２と化粧目地１３が形成されている。換言すれば、各
建築板１１の下辺の凸模様ブロック１２と化粧目地１３
が上辺のそれに連続するように形成され、左辺の凸模様
ブロック１２と化粧目地１３が右辺のそれに連続するよ
うに形成されている。

【０００７】また、建築板１１表面の塗装は、凸模様ブ
ロック１２単位で塗装色が塗り分けられ、建築板１１の
周辺部に位置する凸模様ブロック１２については、建築
板１１を壁面に複数枚貼り合わせたときに建築板１１の
継ぎ目１４（突き合わせ部分）に跨がって連続する凸模
様ブロック１２の塗装色が同一になるように、建築板１
１の周辺部の塗装色の塗り分けのデータを予め人為的に
設定している。また、建築板１１の周辺部以外の部分の
凸模様ブロック１２については、塗装色の塗り分けのデ
ータをコンピュータ３２（図２参照）の乱数発生機能に
よってランダムに自動作成し、様々なバリエーションの
塗装パターンを塗装できるようにしている。尚、化粧目
地１３は凸模様ブロック１２と異なる色で塗装されてい
る。

【０００８】次に、建築板１１の塗装に使用する塗装装
置２１の構成を図２に基づいて説明する。被塗装物であ
る建築板１１を搬送するコンベア２２の上方に塗装ヘッ
ダ２３が配置され、この塗装ヘッダ２３の下面には、多
数の噴射ノズル２４がバルブ２５を介して下向きに取り
付けられている。各噴射ノズル２５は搬送されてくる建
築板１１の全幅をカバーするようにその幅方向（つまり
搬送方向に対し直角方向）に一列に配列されている。上
記塗装ヘッダ２３は、塗料供給管２６を介して塗料タン
ク２７の下部に接続されている。この塗料タンク２７の
上部には、コンプレッサ２８から低圧エアーをレギュレ
ータ２９を通して圧力調整しながら供給するエアー供給
管３０が接続され、塗料タンク２７内に貯溜されている
塗料を低圧エアーによって塗料供給管２６から塗装ヘッ
ダ２３へ圧送し、各噴射ノズル２４から建築板１１の表
面に塗料を噴射するようになっている。

【０００９】図１に示すように、建築板１１表面の凸模
様ブロック１２を２色に塗り分ける場合には、図３に示
すように、上述したインクジェット式の塗装装置２１を
塗装色別に２台設置し、２回の塗装工程で全ての凸模様
ブロック１２を塗装する。尚、建築板１１表面の凸模様
ブロック１２を３色以上で塗り分ける場合には、その色
分けの数に応じた台数の塗装装置２１を設置し、その台
数分の回数の塗装工程で全ての凸模様ブロック１２を塗
装すれば良い。

【００１０】上述したコンベア２２によって搬送されて
くる建築板１１の前端が塗装開始位置の直前の位置に到
達すると、該建築板１１が光センサ３１により検出さ
れ、その検出信号が塗装制御用のコンピュータ３２に入
力される。このコンピュータ３２は、上記複数台の塗装
装置２１を制御し、建築板１１の表面にカラー塗装を施
す。このコンピュータ３２のメモリ３３には、建築板１
１の継ぎ目１４（突き合わせ部分）に跨がって連続する
凸模様ブロック１２の塗装色を合致させるように建築板
１１の周辺部の塗装色の塗り分けを予め人為的に設定し
たデータ（以下「周辺部塗装パターンデータ」という）
が記憶されている。

【００１１】コンピュータ３２は、１枚の建築板１１の
塗装を終了する毎に、乱数発生ルーチンを起動して建築
板１１の周辺部以外の部分の塗装色の塗り分けのデータ
をランダムに自動作成し、そのランダム塗装パターンデ
ータをメモリ３３に記憶する。従って、塗装時には、メ
モリ３３に記憶されている、予め人為的に設定された周
辺部塗装パターンデータと、コンピュータ３２によって
自動作成されたランダム塗装パターンデータとを合成し
て１枚の建築板１１全体の塗装パターンデータを作り上
げる。

【００１２】コンピュータ３２は、光センサ３１から検
出信号が入力されると、駆動ローラ１２に設けられたエ
ンコーダ３４から出力されるパルス信号をカウントし、
そのカウント値が所定値に達した時点（つまり建築板１
１の前端が模様塗装開始位置に到達した時点）で、当該
パルス信号に同期させてメモリ３３に記憶されている塗
装パターンデータに従って制御信号をバルブ制御装置３
５に出力し、その制御信号によって各噴射ノズル２４の
バルブ２５の開閉タイミング（塗料噴射タイミング）を
個別に制御して建築板１１の各凸模様ブロック１２を塗
装する。

【００１３】尚、上記塗装工程に先だって、予め、建築
板１１の表面全面にシーラーを塗布してシーラー塗膜を
形成し、更に、このシーラー塗膜の全面にフローコータ
ー等で下塗り塗装を施す。この下塗り塗装は、化粧目地
１３にも施され、これが化粧目地１３の塗装色となる。
この後、建築板１１の表面の凸模様ブロック１２のみに
ロールコーターで中塗り塗装を施した後、上塗り塗装と
して、上述したインクジェット式の塗装装置２１による
ランダムなブロック塗装を施す。

【００１４】以上説明した第１の実施形態では、コンピ
ュータ３２によるランダム模様自動作成機能により様々
なバリエーションの塗装パターンを塗装しながら、建築
板１１の周辺部の塗装色の塗り分けのデータを予め人為
的に設定することで、建築板１１を壁面に複数枚貼り合
わせたときに建築板１１の継ぎ目１４に跨がって連続す
る凸模様ブロック１２の塗装色を合致させることができ
て、従来の塗装方法（図７参照）で問題となっていた建
築板１１の継ぎ目１４部分における塗装色の違和感を無
くすことができ、建築板１１の継ぎ目１４を意識させな
い美しい壁面に仕上げることができる。

【００１５】一方、図４に示す本発明の第２の実施形態
では、建築板４１の表面に、芋目地の例えばタイル調、
レンガ調の凹凸模様パターンを形成している。このよう
な模様では、建築板４１の周辺の継ぎ目４２で凸模様ブ
ロック４３の塗装色が同一になる箇所が多くなると、該
継ぎ目４２で、本来ランダムであるべき左右の塗装パタ
ーンが似通ってきてランダム性が失われ、違和感を生じ
る（図８参照）。

【００１６】それ故、図４に示す第２の実施形態では、
建築板４１の周辺の継ぎ目４２で凸模様ブロック４３の
塗装色が同一になる箇所が多くならないように、建築板
４１の周辺部の塗装色の塗り分けのデータを予め人為的
に設定してコンピュータ３２のメモリ３３に記憶し、建
築板４１の周辺部以外の部分については、塗装色の塗り
分けのデータをコンピュータ３２によってランダムに自
動作成し、様々なバリエーションの塗装パターンを塗装
する。

【００１７】また、図５に示す本発明の第３の実施形態
では、建築板４５の表面に、馬目地（破れ目地）の例え
ば割石調、石積調の凹凸模様パターンを形成している。
このような模様では、建築板４５の左右両辺の継ぎ目４
６では、凸模様ブロック４７が連続するため、異なる色
に塗装すると模様が不連続となって、違和感を生じ、ま
た、建築板４５の上下両辺の継ぎ目４８では、上下の凸
模様ブロック４７の塗装色が同一になる箇所が多くなる
と、ランダム性が失われて違和感を生じる。

【００１８】それ故、図５に示す第３の実施形態では、
建築板４５の左右両辺の継ぎ目４６では、凸模様ブロッ
ク４７を同じ色に塗装し、建築板４５の上下両辺の継ぎ
目４８では、上下の凸模様ブロック４７の塗装色ができ
るだけ同一にならないように、建築板４５の周辺部の塗
装色の塗り分けのデータを予め人為的に設定してコンピ
ュータ３２のメモリ３３に記憶し、建築板４５の周辺部
以外の部分については、塗装色の塗り分けのデータをコ
ンピュータ３２によってランダムに自動作成し、様々な
バリエーションの塗装パターンを塗装する。

【００１９】また、図６に示す本発明の第４の実施形態
では、建築板５１の表面に形成された凹凸模様パターン
は、馬目地（破れ目地）の例えば割石調、石積調の模様
で、幅の広いブロック５２と幅の狭いブロック５３とを
交互に積み上げた模様となっている。この実施形態で
は、建築板５１の左右両辺の継ぎ目５４において、幅の
狭いブロック５３が連続しているため、幅の狭いブロッ
ク５３を同じ色に塗装し、幅の広いブロック５２は、継
ぎ目５４の左右で同じ色に塗装すると、同じ色の部分が
集まり過ぎて違和感を生じるため、継ぎ目５４の左右で
異なる色に塗装するように、建築板５１の周辺部の塗装
色の塗り分けのデータを予め人為的に設定してコンピュ
ータ３２のメモリ３３に記憶し、建築板５１の周辺部以
外の部分については、塗装色の塗り分けのデータをコン
ピュータ３２によってランダムに自動作成し、様々なバ
リエーションの塗装パターンを塗装する。

【００２０】尚、前記各実施形態は、いずれも本発明を
横長（横貼り）の建築板に適用したものであるが、縦長
（縦貼り）の建築板に適用しても良いことは言うまでも
ない。その他、本発明は、前記各実施形態の凹凸模様パ
ターンに限定されず、種々の模様パターンの建築板に適
用できる等、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施
できる。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、建築板の周辺部の塗装色の塗り分けのデータ
を予め人為的に設定し、周辺部以外の部分の塗装色の塗
り分けのデータをコンピュータによってランダムに自動
作成するようにしたので、様々なバリエーションの塗装
パターンを塗装しながら、従来の塗装方法で問題となっ
ていた建築板の継ぎ目部分における塗装色の違和感を無
くすことができ、建築板の継ぎ目を意識させない美しい
壁面に仕上げることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態における建築板の施工
例を示す正面図

【図２】塗装装置の正面図

【図３】塗装装置の側面図

【図４】本発明の第２の実施形態における建築板の施工
例を示す正面図

【図５】本発明の第３の実施形態における建築板の施工
例を示す正面図

【図６】本発明の第４の実施形態における建築板の施工
例を示す正面図

【図７】従来の建築板の施工例を示す正面図

【図８】従来の他の建築板の施工例を示す正面図

【符号の説明】

１１…建築板、１２…凸模様ブロック、１３…化粧目
地、１４…継ぎ目、２１…塗装装置、２２…コンベア、
２３…塗装ヘッダ、２４…噴射ノズル、２７…塗料タン
ク、２８…コンプレッサ、３２…コンピュータ、３３…
メモリ、３５…バルブ制御装置、４１…建築板、４２…
継ぎ目、４３…凸模様ブロック、４５…建築板、４６…
継ぎ目、４７…凸模様ブロック、４８…継ぎ目、５１…
建築板、５２，５３…凸模様ブロック、５４…継ぎ目。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築板の表面にカラー模様をコンピュー
   タで制御された塗装装置で塗装する方法であって、前記
   建築板の周辺部の塗装色の塗り分けのデータを予め人為
   的に設定して前記コンピュータのメモリに記憶し、塗装
   時に前記メモリに記憶されたデータに基づいて前記建築
   板の周辺部の塗装色を塗り分けると共に、前記建築板の
   周辺部以外の部分の塗装色の塗り分けのデータを、前記
   コンピュータによってランダムに自動作成することを特
   徴とする建築板の塗装方法。