JPH0827221B2 - 車輌診断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、車輌診断装置における複数の機種別コント
ロールプログラムを、車載の電子制御装置に記憶されて
いる機種コードに対応して選択固定する車輌診断装置に
関する。

【従来の技術】

近年、車輌に搭載されているエンジンは、電子制御装
置により空燃比などを電子的に制御して、快適なドライ
ビバリティの現出、排気ガスの浄化、省燃費、エンジン
出力の向上などが図られている。 このため、エンジン状態を検出する各種センサ類およ
びスイッチ類から電子制御装置に入力される入力信号、
あるいはインジェクタなどの各種アクチュエータ類に対
する出力信号が正確でないとエンジンを的確に制御する
ことが困難となり、ドライバビリティの低下、排気エミ
ッションあるいは燃費の悪化、および、エンジンの出力
低下を招く。 最近の複雑化した電子制御系では、電子制御装置内
部、センサ類、スイッチ類、アクチュエータ類に故障が
発生しても故障原因を直ちに解明することは困難であ
り、ディーラのサービス工場などでは、車載の電子制御
装置に接続して、電子制御装置におけるこれらの入出力
データをチェックする車輌診断装置、いわゆる、ハンド
コンピュータの装備が不可欠である。 ところで、車輌に搭載されている電子制御装置のメモ
リアドレス、通信システムなどは機種毎に相違し、実開
昭61−127054号公報、特開昭61−253512号公報、特開昭
62−214254号公報等に示されるように電子制御装置には
予め機種コードが記憶されている。そして、上記車輌診
断装置における機種の認識は、車載の電子制御装置に記
憶されている機種コードによって行っている。 そのため、例えば、特開昭58−12848号公報に開示さ
れている車輌診断装置のように、専用チェッカで各種セ
ンサ類、アクチュエータ類の動作状態を診断するもので
は、機種コードの相違する電子制御装置が搭載された車
輌に対しては使用することができず、対応機種が限定さ
れてしまう。 なお、特開昭57−22530号公報には、オペレーション
コンソールの点検種類選定装置は操作することにより被
点検自動車の要求されている点検整備の種類を入力する
と共に、車種番号検索表を使用して被点検自動車の車
種、諸元から該当する車種番号を索引してこの番号を車
種番号入力装置を操作して入力すると、中央制御装置を
介して点検項目選別回路により、その自動車の車種、諸
元に対応し且つ点検種類に対応する点検項目を点検項目
記憶回路から順次選出して表示装置に表示させること
で、診断作業者が表示装置の表示に従って点検作業を行
うことにより点検作業を容易とすると共に、点検項目選
別回路からの指令により測定機器を自動的に運転させ、
その点検項目に関する測定を自動的に行わせることで、
点検作業を容易とし、また、点検項目選別回路により所
要の点検項目のみを選出することで、点検項目記憶回路
の容量を最小限とする技術が開示されている。

【発明が解決しようとする課題】

しかし、この先行例では、単に入力された点検整備の
種類、及び被点検自動車の車種番号に応じて、順次、点
検項目が表示され、且つ、測定機器が自動運転されるに
過ぎず、車輌に搭載された電子制御装置との双方向通信
により電子制御装置内部の入出力データを診断するもの
でないため、電子制御装置内部のデータ診断を行うこと
ができず、電子制御系システム全体に亘る故障診断を行
うことができない。 また、故障診断に際し、車種番号検索表を使用して被
点検自動車の車種、諸元から該当する車種番号を索引し
てこの番号を車種番号入力装置を操作して入力しなけれ
ばならず、診断作業が煩雑となる。 尚、特開昭62−214254号公報には、車載の電子制御装
置に予め機種コードを記憶させておき、生産ラインにお
ける完成車検査の際に、電子制御装置にラインエンドチ
ェッカを接続し、双方向通信によってラインエンドチェ
ッカにより電子制御装置に記憶されている機種コードを
読み出して、エンジンあるいは車種を判別し、その種類
別に定められている検査手順をラインチェッカより検査
員に指示する技術が開示されている。 しかし、上記ラインエンドチェッカは、機種毎に相違
する検査手順を検査員に指示し、検査員による検査結果
を入力して正常か否かを判別して表示するものであり、
車載の電子制御装置の入出力データを診断するものでは
ない。 また、車輌診断装置に機種に対応した複数の故障診断
のためのコントロールプログラムが記憶されているもの
では、車輌に搭載されている電子制御装置に対応するコ
ントロールプログラムを選択すべく、機種コードを入力
する必要があり、車載の電子制御装置に対応する機種コ
ードをいちいち確認して入力しなければならず、煩雑な
作業を要求され、また、機種コードを入力ミスした場合
には、異なるプログラムが呼び出されてしまい、正しい
診断ができなくなる。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、車載の
電子制御装置に記憶されている機種コードに応じて車輌
診断装置における複数のコントロールプログラム中から
対応するコントロールプログラムが自動的に選択固定さ
れ、診断作業の円滑化を図ることが可能な車輌診断装置
を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本発明による車輌診断装置
は、予め機種コードが記憶されている車載の電子制御装
置に接続し、双方向通信により上記電子制御装置の入出
力データを診断する車輌診断装置において、機種コード
毎に相違する複数のコントロールプログラムを記憶する
記憶手段と、上記車載の電子制御装置に記憶されている
機種コードを読込み、該機種コードに応じ上記記憶手段
に記憶されているコントロールプログラムのいずれかを
選択固定する処理手段とを備えることを特徴とする。

【作用】

上記構成により、車載の電子制御装置に車輌診断装置
を接続して電子制御装置の入出力データを診断する際、
双方向通信により車載の電子制御装置に記憶されている
機種コードが車輌診断装置に読込まれ、車輌診断装置の
記憶手段に記憶されている機種コード毎に相違する複数
のコントロールプログラムから上記機種コードに対応す
るコントロールプログラムが選択固定される。

【実施例】

以下、本発明の実施例を図面を参照して具体的に説明
する。 図面は本発明の一実施例を示し、第１図は車輌の概略
側面図および車輌診断装置の正面図、第２図は車載の電
子制御装置および車輌診断装置の回路構成図、第３図は
車輌診断装置における動作手順を示すフローチャートで
ある。 第１図において、符号１は自動車などの車輌、２は車
輌１に搭載されて空燃比制御などを行う電子制御装置
（以下、「車載ECU」）であり、第２図に示すように車
載ECU2は、中央処理装置（CPU）３、RAM4、ROM5、入力
インターフェイス６、及び出力インターフェイス７がバ
スライン８を介して接続されたマイクロコンピュータ、
及び、バッテリBVに接続されて各部に安定化電圧を供給
する定電圧回路等の周辺機器から構成されている。 また、上記入力インターフェイス６に、冷却水温サン
サ９の水温信号TW、02センサ10の空燃比信号02、吸入空
気量センサ11の吸入空気量信号Ｑ、車速センサ13の車速
信号Ｓ、スロットル開度センサ15のスロットル開度信号
Trθ、エンジン回転数センサ17の回転数信号Ｎなどの各
センサ信号と、エアコンスイッチ12のエアコン動作信号
SWa、アイドルスイッチ14のアイドル動作信号SWi、ニュ
ートラルスイッチ16のニュートラル動作信号SWnなどの
各スイッチ信号が各々入力される。 上記車載ECU2では、上記各種信号を、ROM5に格納され
ているプログラムに従ってデータ処理し、RAM4に一旦格
納した後、CPU3で、この格納されたデータに基づき種々
の演算処理を行い、この演算処理されたデータに基づ
き、出力インターフェイス７、駆動回路18を介して、キ
ャニスタ制御装置19、EGRアクチュエータ20、アイドル
制御アクチュエータ21、イグニッションコイル22、及び
インジェクタ23に制御信号を出力する。 なお、上記ROM5には、その車輌１の機種コード及び年
式などの固定データも記憶されている。 また、上記車載CPU2には外部接続用コネクタ24が設け
られており、この外部接続用コネクタ24に、車輌診断装
置25の車輌診断装置本体25aに設けられた入出力コネク
タ26がアダプタハーネス27を介して接続される。 この車輌診断装置25は、ディーラ等のサービス工場に
備えるもので、車輌診断装置本体25aの内部にはマイク
ロコンピュータから構成される処理手段としての制御部
28、及び電源回路29などが設けられ、また、外部にはイ
ンジケータ部30、ディスプレイ31、キーボード32などが
設けられている。さらに、上記制御部28には接続コネク
タ33を介して外部から接続自在なメモリカートリッジ34
が接続されている。 上記制御部28には、互いにバスライン35を介して接続
するCPU36、RAM37、周波数カウンタ等からなるタイマ3
8、第1,第２のI/Oポート39,40が設けられている。 そして、第１のI/Oポート39の入力側に、上記キーボ
ード32からのモード選択信号と、上記車載ECU2の出力イ
ンターフェイス７から駆動回路18へ出力される各種制御
信号に対応する車載ECU2内の出力データ、及び上記各種
センサ類から入力された車載ECU2内の入力データとが入
力される。また、第１のI/Oポート39の出力側が上記車
載ECU2の入力インターフェイス６と上記ディスプレイ31
とに接続されている。 また、第２のI/Oポート40の入力側には、上記各種ス
イッチ類から入力された車載ECU2内の入力データが車載
ECU2の出力インターフェイス７を経て入力され、出力側
がインジケータ部30に接続されている。 また、上記メモリーカートリッジ34は、車種毎に異な
る上記車載ECU2のプログラムに対し、車輌診断装置本体
25a自体が互換性を有するように、接続コネクタ33を介
して選択的に接続できるようにしたものであり、内部
に、車輌１ごとの機種コードに対応する複数の機種別コ
ントロールプログラム及び固定データを記憶する記憶手
段としてのROM41が格納されている。 すなわち、上記ROM41に格納されている複数のテーブ
ルには、機種コード毎に相違するコントロールプログラ
ムが記憶されており、その各コントロールプログラム
の、診断モードにより特定される領域には、例えば、機
種に対応するメモリアドレス、通信システム、及び診断
プログラムなどの各種データが記憶されている。 診断作業時、車載ECU2に車輌診断装置25を接続し、電
源を投入すると、車載ECU2に記憶されている機種コード
に対応してコントロールプログラムが選択固定され、作
業者が所望の診断モードをキーボード32にて入力するこ
とにより、固定されたコントロールプログラム内の、診
断モードに対応する診断プログラムが選択され、その診
断プログラムに従ってプログラムが実行され、ディスプ
レイ31上に計測値等が表示される。 また、上記タイマ38には同期信号を出力するクロック
パルス発振素子42が設けられている。 さらに、上記制御部28に接続する上記電源回路29が、
前記車輌１のバッテリBVに電源スイッチ43を介して接続
されている。 次に、車輌診断装置25の動作手順を第３図に示すフロ
ーチャートに基づき説明する。 車輌診断装置本体25aにメモリカートリッジ34を装着
し、且つ、入出力コネクタ26を車載ECU2の外部接続用コ
ネクタ24にアダプタハーネス27を介して接続した後、電
源スイッチ43をONし、車輌診断装置25に電源投入する。 すると、先ず、ステップS102で車輌診断装置25がシス
テムイニシャライズされ、次いで、ステップS103に進
み、車載ECU2のROM5に記憶されている機種コードを読出
すため、車載ECU2に対し機種コード要求信号を出力す
る。そして、ステップS104で車載ECU2が応答して車載EC
U2から送信された機種コードが受信でき、受信された機
種コードに対応するコントロールプログラムを、ROM41
に記憶されている複数のテーブルの中から検索し、該当
機種コードに対応するコントロールプログラムがあるか
否かを判別する。 そして、該当機種コードに対応するコントロールプロ
グラムがあり、機種コードが判別できた場合には、ステ
ップS105へ進み、該当機種コードに対応するコントロー
ルプログラムがなく、機種コードが判別できない場合に
はステップ104を繰り返すと共に、ディスプレイ31にエ
ラー表示する。 機種コードが判別できないために車輌診断装置25のデ
ィスプレイ31にエラー表示された場合、作業者は、別の
新たなメモリカートリッジ34を装着し、車輌診断装置25
を再実行させる。 機種コードが判別されてステップ105へ進むと、機種
コードを上記車輌診断装置本体25aのRAM37の所定アドレ
スにストアすると共に、ディスプレイ31に機種コードを
表示し、ステップ106で、このストアされた機種コード
に対応するコントロールプログラムが、車輌診断装置25
のROM41に記憶されている複数のテーブルの中から自動
的に選択固定される。その結果、上記車載ECU2のプログ
ラムに対応したコントロールプログラムが特定され、以
後、このコントロールプログラムに従って、ステップ10
7以降の診断手順が実行される。 ステップ107では、キーボード32からの入力待ちとな
り、例えば、冷却水温センサ９の出力信号に基づく車載
ECU2の冷却水温データを診断する場合、診断作業者は、
キーボード32に該当する診断モードを、例えばＦ→０→
７→ENTと入力する。すると、この診断モードが車輌診
断装置本体25aのCPU36で読み取られてRAM37に一時格納
され、その後、RAM37に格納された診断モードが読出さ
れ、その内容が解釈される。そして、上記ステップ106
で選択固定されたテーブル中の該当モードに記憶されて
いる診断プログラム、例えば、モード07に対応する領域
に記憶されている冷却水温センサ出力データ表示プログ
ラムが特定される。 そして、ステップ108で、この特定された診断プログ
ラムに従い、上記診断モード対応したデータの送信要求
信号TXが車輌診断装置25から車載ECU2に出力される。す
ると、上記車載ECU2から車輌診断装置25へ上記データ送
信要求信号TXに対応したデータ信号RXが出力され、ステ
ップ109で受信される。 次いで、ステップ110へ進み、受信されたデータを演
算処理し、２進数データを10進数データに物理量変換
し、ステップ111へ進む。 ステップ111では、この物理量変換した演算データを
第１のI/Oポート39を介してディスプレイ31へ出力する
と共に、該当モードに対応した単位の表示信号を第２の
I/Oポート40を介してインジケータ部30に出力する。す
ると、このディスプレイ31に、上記演算結果に基づく数
値表示（例えば、70.5）がなされると共に、該当モード
に対応した単位（例えば、℃）がインジケータ30に点灯
表示され（第１図参照）、ステップ107へ戻り、キーボ
ード32からの入力待ちとなる。 これにより、作業者は、車輌診断装置25におけるディ
スプレイ31に表示された水温値が所定範囲に収まってい
るか否かを判断することにより、冷却水温センサ系に対
する診断を容易に行うことができる。 そして、さらに、新たな診断項目を実行する場合に
は、所望の診断モードをキーボード32に入力すること
で、上述のステップ107ないしステップ111により、対応
診断モードに従い、故障診断プログラムが実行される。
その結果、他のセンサ類、アクチュエータ類の入出力デ
ータの数値を上記ディスプレイ31に表示させることがで
きる。

【発明の効果】

以上詳述したように本発明によれば、車載の電子制御
装置に車輌診断装置を接続して電子制御装置の入出力デ
ータを診断する際、双方向通信により車載の電子制御装
置に記憶されている機種コードが車輌診断装置に読込ま
れ、車輌診断装置に記憶手段に記憶されている機種コー
ド毎に相違する複数のコントロールプログラムから上記
機種コードに対応するコントロールプログラムが選択固
定されるので、診断の際に機種コードをいちいち操作入
力して車載の電子制御装置に対応したコントロールプロ
グラムを選択する必要がなく、診断作業の円滑化を図る
ことができ、機種コードの操作入力ミスに伴う誤診断を
防止することができ、また、車輌診断装置を機種ごとに
準備することが抑制され汎用性に優れる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は車輌の概略側
面図および車輌診断装置の正面図、第２図は車載の電子
制御装置および車輌診断装置の回路構成図、第３図は車
輌診断装置における動作手順を示すフローチャートであ
る。 １……車輌、２……車載の電子制御装置、25……車輌診
断装置、28……制御部（処理手段）、41……ROM（記憶
手段）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】予め機種コードが記憶されている車載の電
   子制御装置に接続し、双方向通信により上記電子制御装
   置の入出力データを診断する車輌診断装置において、 機種コード毎に相違する複数のコントロールプログラム
   を記憶する記憶手段と、 上記車載の電子制御装置に記憶されている機種コードを
   読込み、該機種コードに応じ上記記憶手段に記憶されて
   いるコントロールプログラムのいずれかを選択固定する
   処理手段とを備えることを特徴とする車輌診断装置。