JPH0812768A - 熱可塑性樹脂組成物成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物成形体

Info

Publication number
JPH0812768A
JPH0812768A JP14901894A JP14901894A JPH0812768A JP H0812768 A JPH0812768 A JP H0812768A JP 14901894 A JP14901894 A JP 14901894A JP 14901894 A JP14901894 A JP 14901894A JP H0812768 A JPH0812768 A JP H0812768A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
component
resin
matrix
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14901894A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Kurasawa
義博 倉沢
Koji Nishida
耕治 西田
Hiroshige Sano
博成 佐野
Tomoyo Miwa
知代 三輪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP14901894A priority Critical patent/JPH0812768A/ja
Publication of JPH0812768A publication Critical patent/JPH0812768A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)非晶性熱可塑性樹脂、(b)結晶性熱
可塑性樹脂及び(c)導電性フィラーからなり、成分
(a)がマトリックスを形成する形態部分と、成分
(b)がマトリックスを形成する形態部分とが、共存す
る成形体であって、かつ、導電性フィラー(c)が成形
体最外層形態部分においてマトリックスを形成する樹脂
成分中に実質的に存在している熱可塑性樹脂組成物成形
体。特に、成分(a)がポリフェニレンエーテル又はポ
リフェニレンエーテルと芳香族ビニル化合物重合体との
混合物であり、成分(b)がオレフィン系樹脂である上
記の樹脂組成物成形体。 【効果】 機械的強度、成形性、耐熱性、寸法安定性、
導電性等のバランスが非常に優れた成形体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度、耐熱性、
成形性、成形品の外観、寸法安定性、導電性等のバラン
スが優れた熱可塑性樹脂組成物成形体に関する。詳しく
は、非晶性熱可塑性樹脂及び結晶性熱可塑性樹脂からな
り、非晶性熱可塑性樹脂がマトリックス(連続相)を形
成する形態部分と、結晶性熱可塑性樹脂がマトリックス
を形成する形態部分とが共存する樹脂組成物成形体に対
して、導電性フィラーを特定の相に存在させることによ
り、機械的強度、耐熱性、成形性、寸法安定性、導電性
が優れた熱可塑性樹脂組成物成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】2種類以上の樹脂の組合せからなるポリ
マーブレンドは、それぞれの樹脂が持つ長所を生かし、
短所を補うことによりバランスのとれた組成物が得られ
ることを特徴としており、特に結晶性熱可塑性樹脂と非
晶性熱可塑性樹脂とからなる組合わせは実用面でも効果
が大きく、様々な組合わせが行われている。
【0003】非晶性熱可塑性樹脂は、一般に耐熱性及び
寸法安定性が優れた有用な樹脂である。例えば、ポリフ
ェニレンエーテル(以下「PPE」という)は優れた耐
熱性と耐衝撃強度とを有している。しかし、成形性が極
めて悪く、単品では射出成形が著しく困難であるという
欠点を有している。このような欠点を改良するために、
PPEにスチレン系樹脂をブレンドすることにより、成
形性、耐衝撃性及び耐熱性の比較的バランスのとれた材
料が開発され、エンジニアリングプラスチックの1つと
して市販されている。
【0004】例えば米国特許第3383435号明細書
には、PPEとハイインパクトポリスチレンとの組成物
が開示されている。しかし、このものは、耐溶剤性が劣
り、成形性は改良されているものの、耐熱性と耐衝撃性
のバランスが十分とはいえない。また、特開昭51−2
8659号公報には、PPEに、スチレン樹脂とゴム又
はゴム変性スチレン樹脂とをブレンドし、ゴムの平均粒
径を0.5〜2μm にすることにより耐衝撃性を改良し
た組成物が、更に、特開昭56−460号公報には、P
PEにスチレン樹脂とゴム又はゴム変性スチレン樹脂を
ブレンドし、そのゲル分率を規定した組成物が開示され
ている。しかし、これらの組成物も耐衝撃性等は改良さ
れてはいるが、流動性が十分であるとはいい難く、成形
後のひけ、反り量が多く、また実用的な強度である面衝
撃強度が十分であるとはいえない。
【0005】また、近年電気・電子分野を中心に高耐熱
性、寸法安定性及び導電性が求められる分野が増加して
いるが、本来樹脂製品は絶縁性のため、この分野では導
電性カーボンや金属繊維等の導電性フィラーを充填する
ことが行われている。しかしながら、この場合には導電
性フィラーを多量に配合するため、成形性が悪化すると
いう欠点がより顕著になり、また成形品の反りが大き
く、耐衝撃強度の低下が大きいという欠点もあり、実用
上問題であった。
【0006】一方、結晶性熱可塑性樹脂は、耐溶剤性及
び成形性が優れ、多方面で使用されている。例えばオレ
フィン系樹脂は耐有機溶媒性及び成形性等が優れている
ことから、例えばプロピレン系樹脂が、自動車部品、家
電製品、日用品等に幅広く用いられている。しかしなが
ら、耐熱剛性が劣ること、熱膨張係数が大きいことによ
る寸法安定性不足のため、耐熱性が要求される大型部
品、特に自動車フェンダーやホイルカバー等には使用で
きず、用途が制限されていた。
【0007】これを解決するために、例えば無機フィラ
ーであるタルクを配合する研究がなされているが、タル
クを配合すると耐衝撃性が低下するという問題が生じ
た。そのバランスを改良するため、タルクとエチレン−
プロピレンゴムを配合した組成物が特開昭60−342
0号公報に、更にポリエチレンを添加し外観が改良され
た組成物が特開昭59−49252号、同61−276
840号及び同63−65223号各公報にそれぞれ開
示されている。しかし、これらの組成物を用いた成形体
も、機械的強度、成形品の外観、寸法安定性のバランス
において必ずしも十分ではなく、また、表面硬度が低い
という問題点を有していた。
【0008】また、導電性が求められる分野について
は、結晶性熱可塑性樹脂についても、導電性カーボンや
金属繊維等の導電性フィラーを充填することが行われて
いる。しかしながら、この場合には導電性フィラーを多
量に配合するため、成形品の反りが大きいという欠点が
より顕著になり、耐衝撃強度の低下が大きく、また成形
性が低下するという欠点があり実用上問題であった。
【0009】他方、PPEの優れた耐熱性や機械的性質
とオレフィン系樹脂の優れた耐溶剤性や良好な成形性を
兼ね備えた材料を得る目的で、両者をブレンドした組成
物が提案されている。例えば、特開昭42−7069号
公報にPPEとオレフィン系樹脂とのブレンドにより、
耐溶剤性、耐衝撃性を改良する試みがなされている。し
かしながら、この組成物においては、オレフィン系樹脂
の配合量が少ないため、マトリックスが実質的にPPE
であり、耐溶剤性や成形性の改良効果は十分ではない。
【0010】更にオレフィン系樹脂の配合量を増加させ
ると、両樹脂の相溶性が十分ではないため、成形品の層
状剥離が生じて機械的性質が低下するという問題点があ
る。この相溶性を改良する試みとして、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体やその水素添加物を添加した組
成物が、例えば特開昭63−225642号、同63−
245353号、同64−40556号及び特開平1−
93647号各公報に開示されている。しかしながら、
これらの組成物も、実質的にマトリックスが、PPE又
はこれとスチレン系ブロック共重合体との組合わせから
なるため、オレフィン系樹脂の特性が十分発揮されない
という欠点を有している。
【0011】一方、オレフィン系樹脂をマトリックスと
して、耐熱性及び寸法安定性が優れたPPEを分散させ
た組成物も開示されている。例えば特開平2−1855
53号公報には、プロピレン重合体のマトリックス中に
PPE及びゴムを特定の大きさで分散させ、成形加工
性、耐衝撃性及び成形品の外観が優れた組成物が提案さ
れている。しかしながら、マトリックスがプロピレン重
合体であることから、PPEの優れた剛性、耐熱性が十
分に発揮されず、また表面の硬度も低い組成物であり、
近年の高度な市場要求を満足させるものではない。
【0012】また、導電性が求められる分野について
は、これらのブレンド組成物についても、導電性カーボ
ンや金属繊維等の導電性フィラーを充填することが行わ
れている。しかしながら、この場合にも導電性フィラー
を多量に配合するため、結晶性熱可塑性樹脂の欠点であ
る成形品に反りが生じるという問題、非晶性熱可塑性樹
脂の欠点である成形性が悪いという問題や、両者に共通
の問題点である耐衝撃強度の低下を解決することが難し
く、実用上問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況のもと、非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹
脂、例えば、PPEとオレフィン系樹脂からなる組成物
に導電性フィラーを配合し、それぞれの好ましい性質を
兼ね備えた材料、すなわち、成形加工性が優れ、機械的
強度、耐熱性、剛性、寸法安定性のバランスが優れた導
電性材料を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このため
鋭意検討を重ねた結果、組成物中のマトリックスを形成
する樹脂が、各種の特性を主として支配していると考
え、したがって、非晶性熱可塑性樹脂、例えばPPEが
マトリックスであるか、又は結晶性熱可塑性樹脂、例え
ば、オレフィン系樹脂がマトリックスである等の一定の
形態を有する組成物に導電性フィラーを配合したもので
は、目的としている前記の好ましい性質を有する材料の
開発は困難であるとの考えに至った。
【0015】そこで、全く新しい発想のもとに鋭意検討
を行った結果、非晶性熱可塑性樹脂、例えばPPEがマ
トリックスである形態部分と、結晶性熱可塑性樹脂、例
えばオレフィン系樹脂がマトリックスである形態部分と
が同じ組成物又は同じ成形体の中で共存している形態を
とらせる樹脂組成物に導電性フィラーを配合し、かつ導
電性フィラーを特定の相に存在させることにより、従来
の技術では達成できなかった極めて良好な導電性、成形
加工性、機械的強度、耐熱性、剛性、寸法安定性を有す
る導電性樹脂組成物成形体を見出し、本発明に到達し
た。
【0016】すなわち、本発明は、(a)非晶性熱可塑
性樹脂、(b)結晶性熱可塑性樹脂及び(c)導電性フ
ィラーからなり、成分(a)がマトリックスを形成する
形態部分と、成分(b)がマトリックスを形成する形態
部分とが、共存する成形体であって、かつ、導電性フィ
ラー(c)が成形体最外層形態部分においてマトリック
スを形成する樹脂成分中に実質的に存在していることを
特徴とする熱可塑性樹脂組成物成形体である。
【0017】特に、非晶性熱可塑性樹脂(a)がPPE
又はPPEと芳香族ビニル化合物重合体の混合物であ
り、結晶性熱可塑性樹脂(b)がオレフィン系樹脂であ
る上記の熱可塑性樹脂組成物成形体である。
【0018】以下、本発明を詳細に述べる。 (1)構成成分 (a)非晶性熱可塑性樹脂 本発明において、非晶性熱可塑性樹脂(a)とは、一般
にガラス様の性質をもち、加熱した際にガラス転移温度
を示すのみであり、かつガラス転移温度は50℃以上の
非晶性熱可塑性樹脂が好ましい。また、非晶性熱可塑性
樹脂(a)は明確な融点や測定可能な融解熱を示さない
が、本発明においてはゆっくり冷却する場合に多少の結
晶性を示すものを含み、本発明の効果を大きく損なわな
い範囲で結晶性を示すものも含む。
【0019】ガラス転移温度、融点及び融解熱は、示差
走差熱量測定装置(例えば、PERKIN−ELMER
社製 DSC−II)を用いて測定することができる。こ
の装置を用いて、試料を予測される融点以上の温度に加
熱し、次に試料を1分間当り10℃の速度で降温して2
0℃まで冷却し、そのまま約1分間放置した後、1分間
当り10℃の速度で加熱することにより測定することが
できる。融解熱は最初以後のいずれかの昇温と降温のサ
イクルにおいて測定した値が、実験誤差範囲内で一定値
となるものを採用する。本発明における非晶性熱可塑性
樹脂とは、上記方法により測定される融解熱が1cal/g
未満のものと定義する。
【0020】本発明で用いる非晶性熱可塑性樹脂(a)
の例としては、PPE、芳香族ビニル化合物重合体、ゴ
ム変性ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニト
リル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン系樹脂などが挙げられ、これらの群から
選択される少なくとも1つの非晶性熱可塑性樹脂を含む
ものである。
【0021】好適な非晶性熱可塑性樹脂(a)の1つに
PPEが挙げられる。PPEは一般式(I)
【0022】
【化1】
【0023】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は各々
水素原子、ハロゲン原子及び置換又は非置換の炭化水素
基からなる群から選択されたものであり、互いに同一で
も異なっていてもよい)で示される構造単位からなる単
独重合体又は共重合体である。
【0024】上記PPEの具体例としては、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピル−1,4−
フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロ
ロメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジニトリル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,6−ジクロル−1,4−フェニレンエ
ーテル)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)などが挙げられる。これらは、複数併用し
てもよい。
【0025】好適なPPEの単独重合体としては、例え
ば、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単
位からなるものである。好適な共重合体としては、上記
単位と2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル単位との組合わせからなるランダム共重合体であ
る。ここで使用するPPEはクロロホルム中で測定した
30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gであるものが好
ましい。より好ましくは0.2〜0.5dl/gのものであ
り、とりわけ好ましくは0.25〜0.45dl/gのもの
である。
【0026】好適な非晶性熱可塑性樹脂(a)の他の例
である芳香族ビニル化合物重合体は一般式(II)
【0027】
【化2】
【0028】(式中、Rは水素原子、低級アルキル基又
はハロゲン原子を表し、R5 は水素原子、低級アルキル
基、ハロゲン原子又はビニル基を表し、nは1〜5の整
数を表す)で示される構造単位からなる単独重合体又は
共重合体である。
【0029】芳香族ビニル化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリ
メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレ
ン、シアノスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げら
れ、中でもスチレン、α−メチルスチレン、メチルスチ
レンが好ましい。これらは各々単独又は2種以上を併用
して用いることができる。
【0030】非晶性熱可塑性樹脂(a)の更に他の一例
であるポリカーボネートには、芳香族ポリカーボネー
ト、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカー
ボネート等が挙げられる。そのうちでも、2,2−ビス
(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシ
フェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)ス
ルホン、同スルフィド又は同スルホキシド系等のビスフ
ェノール類からなる芳香族ポリカーボネートが好まし
い。また必要に応じてハロゲンで置換されたビスフェノ
ール類からなるポリカーボネートも用いることができ
る。
【0031】なお、ポリカーボネートの分子量には何ら
制限はないが、一般的には1万以上、好ましくは2万〜
4万のものである。その他の非晶性熱可塑性樹脂(a)
として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合樹脂も使用できる。
【0032】(b)結晶性熱可塑性樹脂 本発明において、結晶性熱可塑性樹脂(b)とは、加熱
溶融できるものであり、かつ、はっきりした結晶構造を
有する非ガラス様特性のものであり、測定可能な融解熱
を有する明確な融点を示すものである。本発明における
結晶性熱可塑性樹脂(b)とは、示差走差熱量測定装置
を用いて前記の方法で測定される融解熱が1cal/g を超
えるものと定義する。本発明で用いる結晶性熱可塑性樹
脂(b)の例としては、オレフィン系樹脂、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリアセタール、ハロゲン含有熱可
塑性樹脂、ポリスルホンなどが挙げられ、これらの群か
ら選択される少なくとも1つの結晶性熱可塑性樹脂を含
むものである。
【0033】好適な結晶性熱可塑性樹脂(b)であるオ
レフィン系樹脂には、α−オレフィンの単独重合体又は
これらα−オレフィンの共重合体、あるいはこれらα−
オレフィン(複数種でもよい)を主成分とし、必要によ
り他の不飽和単量体(複数種でもよい)を副成分とする
共重合体などである。ここで共重合体とは、ブロック、
ランダム又はグラフトあるいはこれらの複合物等のいか
なる共重合体でもよい。また、これらのオレフィン重合
体の塩素化、スルホン化、カルボニル化等による変性さ
れたものを含む。
【0034】上記α−オレフィンとしては、例えば、エ
チレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキ
セン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等であり、入手
の簡便さから炭素数2〜8のものが好ましい。また、上
記の他の不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸メチル、マレイン酸等の不飽
和有機酸等又はそのエステル若しくは酸無水物等が挙げ
られる。
【0035】これらのオレフィン系樹脂の具体例として
は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン
−プロピレンブロック又はランダム共重合体などが挙げ
られる。これらは、複数のものを併用してもよい。これ
らの中で、結晶性オレフィン重合体、例えば、エチレン
又はプロピレンの結晶性ホモポリマー、あるいはエチレ
ン又はプロピレンを主たる構成成分とする、他のエチレ
ン性不飽和単量体との結晶性共重合体が好適である。こ
れらの中で、特に好ましい例は、低、中、高密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体であり、特に、高密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体が
剛性の点から最も好ましい。
【0036】これらのオレフィン系樹脂のメルトフロー
レイト(以下「MFR」という;230℃、荷重2.1
6kg)は0.01〜250g/10分の範囲が好ましく、
0.05〜200g/10分の範囲がより好ましく、0.1
〜100g/10分の範囲がとりわけ好ましい。MFRの値
が0.01g/10分未満では成形加工性に難点があり、2
50g/10分超過では機械的強度のレベルが好ましくな
い。
【0037】また、本発明では、オレフィン系樹脂の一
部に、オレフィン系樹脂の官能基変性誘導体を用いるこ
とができる。ここでいう官能基変性誘導体とは、オレフ
ィン系樹脂を不飽和有機酸又はその無水物(例えばアク
リル酸、マレイン酸、イタコン酸又はそれらの無水物)
や不飽和有機シラン化合物(例えばビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、プロペニルトリメトキシシラン)等でグラフト
変性したもの、あるいは、その有機酸又はその無水物で
グラフト変性したオレフィン系樹脂のグラフト鎖に結合
しているカルボキシル基の一部を金属イオン化したアイ
オノマー等である。更に、オレフィン系樹脂の官能基変
性誘導体としては、ここに挙げた具体例のほかに、グラ
フト、ブロック又はランダム共重合の手法や置換反応、
酸化反応等で親水性の基が導入されたものも用いること
ができる。
【0038】結晶性熱可塑性樹脂(b)の一例として、
ポリアミドは、ポリマー主鎖に−CONH−結合を有
し、加熱溶融できるものである。その代表的なものとし
ては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイ
ロン4,6、ナイロン12、ナイロン6,10等が挙げ
られ、その他の芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸等
のモノマー成分を含む低結晶性又は非晶性のポリアミド
等も用いることができる。好ましいポリアミドは、ナイ
ロン6又はナイロン6,6、であり、中でもナイロン6
が特に好ましい。本発明で使用するポリアミドは、相対
粘度が2.0〜8.0(25℃の98%濃硫酸中で測
定)であるのが好ましい。
【0039】結晶性熱可塑性樹脂(b)の他の一例とし
て、熱可塑性ポリエステルには、例えば、通常の方法に
従って、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、
酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、グリコール又は
2価フェノールとを縮合させて製造する熱可塑性ポリエ
ステルが挙げられる。
【0040】この熱可塑性ポリエステルを製造するのに
適した芳香族又は脂肪族ジカルボン酸の具体例として
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、p,p´−ジカルボキシジフ
ェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−
カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフ
ェノキシ酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,
6−ナフタリンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジ
カルボン酸等あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙
げられる。
【0041】また熱可塑性ポリエステルの製造に適する
脂肪族グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アル
キレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3
−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオー
ル等が例示される。また、芳香族グリコール化合物とし
てはp−キシリレングリコールが例示され、2価フェノ
ールとしては、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒド
ロキノン又はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙
げられる。他の適当なグリコールとしては、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールも挙げられる。
【0042】他の好ましい熱可塑性ポリエステルとして
は、ラクトンの開環重合によるポリエステルも挙げられ
る。例えば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラ
クトン)等である。
【0043】また、更に他の好ましい熱可塑性ポリエス
テルとしては、溶融状態で液晶を形成するポリマー(The
rmotropic Liquid Crystal Polymer;TLCP)としてのポリ
エステルがある。これらの区分に入るポリエステルとし
ては、イーストマンコダック社のX7G、ダートコ社の
ザイダー(Xydar) 、住友化学社のエコノール、セラニー
ズ社のベクトラ等が代表的な製品である。
【0044】以上、挙げた熱可塑性ポリエステルの中で
も、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート)(PCT)又は液晶性ポリエステ
ル等が本発明の熱可塑性樹脂成形体に好適な熱可塑性ポ
リエステルである。
【0045】ここで使用する熱可塑性ポリエステルの粘
度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタ
ン=60/40重量%混合液中、20℃で測定した固有
粘度が0.5〜5.0dl/gの範囲が好ましい。より好ま
しくは1.0〜4.0dl/g、とりわけ好ましくは2.0
〜3.5dl/gである。固有粘度が0.5dl/g未満である
と耐衝撃性が不足し、5.0dl/g超過では、成形性に難
がある。
【0046】結晶性熱可塑性樹脂(b)の他の例である
ポリアセタールには、例えば、ホルムアルデヒド又はト
リオキサンの重合によって製造される高分子量アセター
ルホモ重合体が挙げられる。ホルムアルデヒドから製造
されるポリアセタールは、高分子量であり、次式で示さ
れる構造を有し、 H−O−(CH2 −O−CH2 −O)x−H 〔式中、末端基は制御された量の水から導かれたもので
あり、xは頭−尾結合の形で結合したホルムアルデヒド
ユニット数(好ましくは約1500)を表す〕
【0047】ポリアセタールの耐熱性及び化学的抵抗性
を増加させるために、末端基をエステル基又はエーテル
基に変換することが一般に行われている。本発明ではポ
リアセタールにはポリアセタール共重合体も含む。これ
らの共重合体の例には、ホルムアルデヒドと、活性水素
を提供することのできる他種物質の単量体又はプレポリ
マー、例えばアルキレングリコール、ポリチオール、ビ
ニルアセテート−アクリル酸共重合体又は水素添加され
たブタジエン−アクリロニトリルポリマーとのブロック
共重合体が挙げられる。ホルムアルデヒド又はトリオキ
サンは、他のアルデヒド、環状エーテル、ビニル化合
物、ケテン、環状カーボネート、エポキシド、イソシア
ネート又はエーテルと共重合させることができる。これ
らの化合物の具体例には、エチレンオキシド、1,3−
ジオキサン、1,3−ジオキセン、エピクロルヒドリ
ン、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド又はス
チレンオキシドが挙げられる。
【0048】結晶性熱可塑性樹脂(b)として、本発明
で使用できるハロゲン含有熱可塑性樹脂には、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン、ポリビニリデンフルオリドなどの重合体が挙げられ
る。この他にもビニリデンクロリドから導かれたホモ重
合体又は共重合体も使用することができる。中でも好ま
しいハロゲン含有熱可塑性樹脂は、ビニリデンフルオリ
ドのホモ重合体若しくは共重合体又は結晶性のビニリデ
ンクロリドの共重合体である。
【0049】結晶性熱可塑性樹脂(b)として、本発明
で使用できるポリスルホンには、次式(III)
【0050】
【化3】
【0051】(式中、Zは酸素、硫黄又は芳香族ジオー
ル残基を表す)で示される繰返し単位を少なくともいく
つか持っているものであり、例えば、下式
【0052】
【化4】
【0053】で示されるいずれかの繰返し単位を有する
ものが挙げられる。その他の結晶性熱可塑性樹脂(b)
として、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマーも使
用できる。
【0054】(c)導電性フィラー 本発明で用いる導電性フィラー(c)とは、カーボンブ
ラック;グラファイト;カーボン繊維;カーボンウイス
カー;アルミニウム、ニッケル、銅、鉄、ステンレス等
の金属の繊維、薄片又は粒子状物;これらの金属で表面
をコートした繊維状、ウイスカー状、薄片状又は粒子状
のフィラー等が挙げられるが、カーボンブラックが特に
好ましい。本発明ではカーボンブラックとして、アセチ
レンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラッ
ク、チャンネルブラック等の種々のカーボンブラックを
用いることができるが、少量の添加で導電性を向上させ
る点で、アセチレンブラック、ファーネスブラック又は
ケッチェンブラックが好ましい。これら導電性フィラー
(c)は単独で用いても、2種類以上組み合わせて用い
てもよい。
【0055】次にこれら導電性フィラー(c)を目的の
樹脂成分中に実質的に存在させる方法としては、導電性
フィラーと親和性を示す樹脂を用いる方法、導電性フィ
ラーと目的の樹脂を予め混練する方法や、目的の樹脂に
導電性フィラーと親和性を示す官能基を導入する方法が
挙げられる。目的の樹脂に導電性フィラーと親和性を示
す官能基を導入する方法としては各種の公知の方法を用
いることができる。例えば同樹脂と同一分子内に不飽和
基と官能基を併せ持つ化合物を、溶液状態若しくは溶融
状態で、過酸化物の存在下若しくは非存在下でグラフト
反応させる方法や、これら樹脂を重合するさいに官能基
を持つ化合物を共重合させる方法等が挙げられる。
【0056】これらの官能化樹脂はそれ自体単独で用い
ても、未官能化樹脂と混合して用いてもよいが、混合後
の樹脂中の官能基を有する化合物の割合が0.01重量
%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05
重量%以上、とりわけ好ましくは0.1重量%以上であ
る。
【0057】導電性フィラーが成形体最外層形態部分に
おいて実質的にマトリックスを形成する樹脂成分中に存
在するということは、該最外層形態部分に存在する導電
性フィラーの80体積%、好ましくは85体積%、より
好ましくは90体積%、最も好ましくは95体積%以上
がマトリックス中に存在するということである。
【0058】(d)付加的成分 本発明において、添加できる他の成分として、芳香族ビ
ニル化合物重合体ブロックAと共役ジエン化合物重合体
ブロックBとからなるブロック共重合体及びその水素添
加物が挙げられる。ここでいうブロック共重合体とは、
芳香族ビニル化合物に由来する重合体ブロックAと共役
ジエンに由来する重合体ブロックBを、各々少なくとも
1個有する構造を持つ芳香族ビニル化合物−共役ジエン
ブロック共重合体であり、ブロックA及びBの配列は、
線状構造、分枝構造又はテーパー構造をなすものを含
む。また、これらの構造のうちの一部に芳香族ビニル化
合物と共役ジエンとのランダム共重合体部分に由来する
ランダム鎖を含んでいてもよい。これらのうちで線状構
造をなすものが好ましく、トリブロック構造をなすもの
がより好ましい。
【0059】また、ブロック共重合体の水素添加物と
は、ブロックBの脂肪族不飽和結合が水素添加により減
少したブロック共重合体であり、水素添加されずに残存
している不飽和結合の割合は20%以下が好ましく、1
0%以下がより好ましいが限定されるものではない。ま
た、水素添加されていないブロック共重合体と併用して
もよい。
【0060】芳香族ビニル化合物としては、好ましくは
スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、
ビニルトルエン、ビニルキシレンであり、特に好ましく
はスチレンである。共役ジエンとしては、好ましくは
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3
−ブタジエンである。ブロック共重合体の具体例とし
て、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体
等があり、これらは複数種使用してもよい。芳香族ビニ
ル化合物−共役ジエンブロック共重合体の中で、芳香族
ビニル化合物に由来する繰返し単位の占める割合は、1
0〜80重量%の範囲が好ましく、15〜65重量%の
範囲がより好ましい。
【0061】これらのブロック共重合体又はその水素添
加物は、それらの分子量の目安として、25℃における
トルエン溶液粘度の値が、30,000〜10cPの範
囲にあるものが好ましく、より好ましくは10,000
〜30cPである。30,000cPを超えると最終組成物
の成形加工性に難点が生じ、また10cP未満では機械的
強度レベルが低く好ましくない。
【0062】更に、本発明の組成物に必要に応じ添加し
うる他の成分としては、例えば熱可塑性樹脂に周知の酸
化防止剤、耐候性改良剤、増核剤、難燃剤、耐衝撃性改
良剤、可塑剤、流動性改良剤等が使用できる。また、有
機充填剤、補強剤及び他の無機充填剤、例えば、ガラス
繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、クレ
ー等の添加は、剛性、耐熱性、寸法安定性等の向上に有
効である。実用のために、各種着色剤及びそれらの分散
剤なども周知のものが使用できる。
【0063】(2)成形体の組織形態 本発明の成形体の組織形態は、非晶性熱可塑性樹脂
(a)と結晶性熱可塑性樹脂(b)とを含む組成物から
なり、成分(a)がマトリックスを形成する形態部分と
成分(b)がマトリックスを形成する形態部分とが、共
存することを特徴とするものである。
【0064】例えば、成分(a)がマトリックスを形成
し、成分(b)がドメインを形成する「形態部分
(A)」、また、成分(b)がマトリックスを形成し、
成分(a)がドメインを形成する「形態部分(B)」、
成分(a)及び成分(b)が相互にマトリックスをとる
「形態部分(C)」が考えられ、成分(a)がマトリッ
クスを形成する形態部分と、成分(b)がマトリックス
を形成する形態部分とが、共存するということは、組成
物又はその成形体の色々な場所で形態部分(A)が出現
したり、形態部分(B)が出現したり、形態部分(C)
が出現したりすることである。
【0065】例えば、成形体の表層付近は形態部分
(A)で、その内側では形態部分(B)が出現するも
の、またその反対に、表層付近は形態部分(B)で、そ
の内側では形態部分(A)をとるというものが挙げられ
る。もちろん、形態部分(A)、(B)又は(C)が成
形体の厚み方向で、2度以上出現してもかまわない。ま
た、形態部分(C)のみも考えられる。ここで、この形
態部分(A)、(B)又は(C)の確認は、組成物又は
成形体を四酸化ルテニウムにより染色し、超薄切片を作
り、透過型電子顕微鏡を用いて観察する。
【0066】(3)成分(a)及び(b)の溶融せん断
粘度比 本発明の熱可塑性樹脂組成物の形態を好適にとり得る条
件は、280℃、せん断速度30sec-1 において成分
(a)の成分(b)に対する溶融せん断粘度比(S)が
同組成物の海海構造〔形態部分(C)〕におけるときの
成分(a)の成分(b)に対する溶融せん断粘度比(w
1)より大きく、かつ300℃、せん断速度300sec-1
において成分(a)の成分(b)に対する溶融せん断粘
度比(T)が同組成物の海海構造におけるときの成分
(a)の成分(b)に対する溶融せん断粘度比(w2)よ
り小さく;あるいは(S)が(w1)より小さく、かつ
(T)が(w2)より大きいことである。
【0067】本発明の形態をとり得るより好ましい条件
は、成分(a)の成分(b)に対する体積比が10/9
0〜90/10の範囲内であり、かつ(S)が(w1)よ
り大きく100より小さいときは、(T)が(w2)より
小さく;あるいは(S)が(w1)より小さく0.1より
大きいときは、(T)が(w2)より大きいことである。
本発明の形態をとり得る更により好ましい条件は、成分
(a)の成分(b)に対する体積比が10/90〜85
/15の範囲内であり、かつ(S)が(w1)より大きく
50より小さいときは、(T)が(w2)より小さく;あ
るいは(S)が(w1)より小さく0.2より大きいとき
は、(T)が(w2)より大きいことである。なお、成分
(a)及び成分(b)からなる、通常の熱可塑性樹脂組
成物においては、多くの場合w1 とw2 とは実質的に近
似した値を示す。
【0068】ここでいう溶融せん断粘度とは、JIS
K 7210の参考試験として記載されている方法、す
なわち、溶融した樹脂を一定速度で毛細管から押出した
ときのせん断粘度(ずり粘度)のことであり、具体的装
置としては、高化式フローテスター(インストロンキャ
ピラリーレオメーター)がある。この装置を用いて、例
えば種々の温度で、ノズル径を1mm、ノズル長さを10
mmに設定し、押出し速度を変化させて測定することがで
きる。
【0069】(4)構成成分の組成比 本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(a)及び成
分(b)の組成比は、成分(a)と成分(b)の合計量
を100体積%とし、下記のとおりである。 成分(a):15〜95体積%、好ましくは25〜95
体積%、より好ましくは35〜90体積%である。成分
(a)が15体積%未満では、成分(a)がマトリック
スとなり難く、成分(a)のもつ長所、例えば成分
(a)が非晶性熱可塑性樹脂の場合には耐熱性、寸法安
定性が不満足となる。 成分(b):5〜85体積%、好ましくは5〜75体積
%、より好ましくは10〜65体積%である。成分
(b)が5体積%未満では、成分(b)がマトリックス
となり難く、成分(b)のもつ長所、例えば成分(b)
が結晶性熱可塑性樹脂の場合には、成形性、耐溶剤性等
が不満足となる。
【0070】本発明の熱可塑性樹脂組成物における導電
性フィラー(c)の含有量は、全組成物中1〜40重量
%であることが好ましく、より好ましくは3〜35重量
%、とりわけ好ましくは5〜30重量%である。導電性
フィラー(c)の含有量が1重量%未満では導電性が不
満足であり、40重量%を超えると成形性、耐衝撃性が
不満足となる。
【0071】(5)組成物の製造及び成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための方法として
は、各種混練機、例えば、一軸又は多軸混練機、バンバ
リーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ等
で上記成分を混練した後、冷却固化する方法や、適当な
溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素及びその誘導体に上記成分を
添加し、溶解する成分同士又は溶解する成分と不溶解成
分とを懸濁状態で混ぜる溶液混合法等が用いられる。工
業的コストからは、溶融混練法が好ましいが、限定され
るものではない。
【0072】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法は
特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂組成物につい
て一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、中
空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積
層成形等の各種成形方法が適用できる。
【0073】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。使
用した各成分は、次のとおりである。 (a−1)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(日本ポリエーテル社製)30℃のクロロ
ホルム中で測定した固有粘度:0.34dl/g(以下「P
PE−1」という) (a−2)ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)(日本ポリエーテル社製)30℃のクロロ
ホルム中で測定した固有粘度:0.41dl/g(以下「P
PE−2」という) (a−3)ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製、商品
名:ユーピロンS2000)粘度平均分子量:2.5×
104 (以下「PC」という) (a−4)ポリスチレン(三菱化成社製、商品名:HF
77)(以下「PS」という)
【0074】(b−1)高密度ポリエチレン(三菱油化
社製、商品名:三菱ポリエチ−HDEY40H)MFR
(190℃、2.16kg荷重):1.4g/10分(以下
「PE−1」という) (b−2)高密度ポリエチレン(昭和電工社製、商品
名:ショーレックススーパー4551H)MFR(19
0℃、2.16kg荷重):0.02g/10分(以下「PE
−2」という) (b−3)線状低密度ポリエチレン(三菱油化社製、商
品名:三菱ポリエチ−LL DNDB1077)MFR
(190℃、2.16kg荷重):90g/10分(以下「P
E−3」という) (b−4)ポリプロピレン(三菱油化社製、商品名:三
菱ポリプロTA8)MFR(230℃、2.16kg荷
重):0.7g/10分(以下「PP」という)
【0075】(c−1)導電性無機フィラー(ケッチェ
ンブラックインターナショナル社製、商品名:ケッチェ
ンブラックEC)
【0076】(d−1)スチレン−ブタジエン−スチレ
ンブロック共重合体の水添加物(旭化成社製、商品名:
タフテックH1041)スチレン単位含有量30重量%
(以下「SEBS」という) (d−2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体の水添加物(クラレ社製、商品名:セプトン21
04)スチレン単位含有量65重量%(以下「SEP
S」という)
【0077】参考例1:無水マレイン酸変性PPE/P
S/カーボンブラックの予備混練 PPE−1 48重量部、PS 12重量部、無水マレ
イン酸(試薬1級)1部及びケッチェンブラックEC
15重量部を、ヘンシェルミキサーを用いてよく混合し
た後、二軸押出機(日本製鋼所社製)を用いて、シリン
ダー温度250℃、スクリュー回転数250rpm で溶融
混練し、冷却後ペレット(以下「MPPE−1」とい
う)を得た。得られた組成物中の無水マレイン酸グラフ
ト量は、赤外分光分析により、0.4重量%であった。
【0078】参考例2:同上 PPE−2 64重量部、PS 16重量部、無水マレ
イン酸(試薬1級)1部及びケッチェンブラックEC
15重量部を用いた以外は参考例1と同様にしてペレッ
ト(以下「MPPE−2」という)を得た。
【0079】参考例3:同上 PPE−1 64重量部、PS 16重量部、無水マレ
イン酸(試薬1級)1部及びケッチェンブラックEC
15重量部を用いた以外は参考例1と同様にしてペレッ
ト(以下「MPPE−3」という)を得た。
【0080】表1に示した各成分を、それぞれ同表に示
した配合組成に従って、二軸混練押出機(日本製鋼所社
製)を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回
転数250rpm で、溶融混練し、それぞれ樹脂組成物を
得た。次にこの樹脂組成物を、射出成形機(日本製鋼所
社製、型締め力100T)を用い、シリンダー温度30
0℃、金型温度60℃の条件で射出成形し、成形品を作
成して以下の評価方法に従って評価し、結果を表1に示
した。
【0081】なお、実施例1で得られた成形体の射出方
向に垂直の方向から観察した透過型電子顕微鏡写真(倍
率:75,000倍)を図2、図4及び図5に、また比
較例1で得られた成形体の同写真を図3に示した。 図
中、白く見える部分がPPE/PSであり、黒く見える
部分がPOである。
【0082】図2では、カーボンブラックが表面部分の
PPE/PS中に存在していることが、また図3では、
カーボンブラックは表面部分のPPE/PSではなく、
PO中に存在していることが分かる。
【0083】図4は表層より0.5mm内側、図5は1.
0mm内側の部分を観察したものである。図4はPOがマ
トリックスであることを示し、図5はPPE/PSがマ
トリックスであることを示す。これから成分(a)マト
リックスと成分(b)マトリックスとが共存しているこ
とが分かる。
【0084】評価方法 (1)MFR測定 JIS K 7210に従い、280℃、5.0kg荷重
で測定した。 (2)アイゾット衝撃試験 JIS K 7110に従い、切欠き付きアイゾット衝
撃試験を行った。
【0085】(3)曲げ弾性率 JIS K 7203による曲げ試験法に従い、3点曲
げ試験を行った。 (4)熱変形温度 JIS K 7207に従い、4.6kgの荷重で、荷重
たわみ試験を行った。
【0086】(5)反り量 インライン式射出成形機(日本製鋼所社製、型締め力1
50T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度
60℃で図1に示した成形品を成形した。この成形品を
フラットな台の上に置き、水平面からの最大変位を測定
し、反り量とした。 (6)導電性 インジェクションシートを用いて、抵抗計により印加電
圧500Vにて表面固有抵抗を測定した。
【0087】(7)形態観察 射出成形で得た成形片を切り出し、射出成形方向に、平
行及び垂直に面だし操作を行い、四酸化ルテニウムによ
り次のように染色した。密閉できる容器に、試料及び四
酸化ルテニウムを入れ、50℃、1時間染色し、超薄切
片ミクロトームにより、0.1μm の厚さの超薄切片を
作成する。これを透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子
社製、JEM100CX)により観察した。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】上記評価試験の結果から、本発明の熱可
塑性樹脂組成物成形体は、単に成分(a)がマトリック
スを、成分(b)がドメインを形成している熱可塑性樹
脂組成物に導電性フィラーを充填した場合、あるいは単
に成分(b)がマトリックスを形成し、成分(a)が分
散相を形成している熱可塑性樹脂組成物に導電性フィラ
ーを充填した場合に比べ、機械的強度、成形性、耐熱
性、寸法安定性、導電性等のバランスが非常に優れた成
形体が得られることがわかる。したがって、本発明の熱
可塑性樹脂組成物成形体の用途は広く、工業的に有用な
材料となり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で、反り量を測定した樹脂組成物成形品
の平面図及び側面図である。数値の単位はmmである。
【図2】実施例1で得た樹脂組成物成形体の射出方向に
垂直の方向から観察した、各成分の分散状態が粒子構造
及び/又は繊維形状を示す透過型電子顕微鏡写真(倍
率:75,000倍)である。
【図3】比較例1で得た樹脂組成物成形体の射出方向に
垂直の方向から観察した、各成分の分散状態が粒子構造
及び/又は繊維形状を示す透過型電子顕微鏡写真(倍
率:75,000倍)である。
【図4】実施例1で得た樹脂成形体の表面から0.5mm
内側の部分を射出方向に垂直の方向から観察した、各成
分の分散状態が粒子構造及び/又は繊維形状を示す透過
型電子顕微鏡写真(倍率:75,000倍)である。
【図5】実施例1で得た樹脂成形体の表面から1.0mm
内側の部分を射出方向に垂直の方向から観察した、各成
分の分散状態が粒子構造及び/又は繊維形状を示す透過
型電子顕微鏡写真(倍率:75,000倍)である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/12 LQP (72)発明者 三輪 知代 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)非晶性熱可塑性樹脂、(b)結晶
    性熱可塑性樹脂及び(c)導電性フィラーからなり、成
    分(a)がマトリックスを形成する形態部分と、成分
    (b)がマトリックスを形成する形態部分とが、共存す
    る成形体であって、かつ、導電性フィラー(c)が成形
    体最外層形態部分においてマトリックスを形成する樹脂
    成分中に実質的に存在していることを特徴とする熱可塑
    性樹脂組成物成形体。
  2. 【請求項2】 非晶性熱可塑性樹脂(a)がポリフェニ
    レンエーテル又はポリフェニレンエーテルと芳香族ビニ
    ル化合物重合体との混合物であり、結晶性熱可塑性樹脂
    (b)がオレフィン系樹脂である請求項1の熱可塑性樹
    脂組成物成形体。
JP14901894A 1994-06-30 1994-06-30 熱可塑性樹脂組成物成形体 Pending JPH0812768A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14901894A JPH0812768A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 熱可塑性樹脂組成物成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14901894A JPH0812768A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 熱可塑性樹脂組成物成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0812768A true JPH0812768A (ja) 1996-01-16

Family

ID=15465877

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14901894A Pending JPH0812768A (ja) 1994-06-30 1994-06-30 熱可塑性樹脂組成物成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0812768A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284832B1 (en) 1998-10-23 2001-09-04 Pirelli Cables And Systems, Llc Crosslinked conducting polymer composite materials and method of making same
US6315956B1 (en) 1999-03-16 2001-11-13 Pirelli Cables And Systems Llc Electrochemical sensors made from conductive polymer composite materials and methods of making same
JP2002238831A (ja) * 2001-02-16 2002-08-27 Fuji Photo Optical Co Ltd 内視鏡
JP2002256143A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Riken Technos Corp 導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6284832B1 (en) 1998-10-23 2001-09-04 Pirelli Cables And Systems, Llc Crosslinked conducting polymer composite materials and method of making same
US6417265B1 (en) 1998-10-23 2002-07-09 Pirelli Cables And Systems Llc Crosslinked conducting polymer composite materials and method of making same
US6315956B1 (en) 1999-03-16 2001-11-13 Pirelli Cables And Systems Llc Electrochemical sensors made from conductive polymer composite materials and methods of making same
JP2002238831A (ja) * 2001-02-16 2002-08-27 Fuji Photo Optical Co Ltd 内視鏡
JP2002256143A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Riken Technos Corp 導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品
JP4567218B2 (ja) * 2001-03-02 2010-10-20 リケンテクノス株式会社 導電性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物及びその成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0627468B1 (en) Thermoplastic resin composition and molded product thereof
JP4078537B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US8092717B2 (en) Thermoplastic poly(arylene ether) / polyester blends and articles thereof
EP0569980B1 (en) Process for preparing thermoplastic resin composition
EP0388925B1 (en) Resin composition
JPH0776301B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US20070049690A1 (en) Impact modified poly(arylene ether)/polyester blends and method
JP2003064255A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2974039B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2002105343A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法および自動車用成形品
JP3414540B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JPH0812768A (ja) 熱可塑性樹脂組成物成形体
US8536272B2 (en) Thermoplastic poly(arylene ether)/polyester blends and method of making
JP2797015B2 (ja) 樹脂成形体
JP4608151B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH073083A (ja) ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造法
JP3414482B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JP2000119454A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS63122757A (ja) ポリフエニレンエ−テル樹脂組成物
JP3764905B2 (ja) 密閉形蓄電池用合成樹脂電槽・ふた
JP3290761B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3335477B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH08259796A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JPS6383149A (ja) 樹脂組成物
JPH11349788A (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Effective date: 20031224

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02