JP3414540B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体

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JP3414540B2
JP3414540B2 JP06798695A JP6798695A JP3414540B2 JP 3414540 B2 JP3414540 B2 JP 3414540B2 JP 06798695 A JP06798695 A JP 06798695A JP 6798695 A JP6798695 A JP 6798695A JP 3414540 B2 JP3414540 B2 JP 3414540B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性、機械的強度、
耐熱性、成形性、成形品の外観、耐薬品性及び寸法安定
性等のバランスが優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物およ
びその成形体に関するものである。詳しくは非晶性熱可
塑性樹脂、結晶性熱可塑性樹脂及び難燃剤からなり、非
晶性熱可塑性樹脂がマトリックス(連続相)を形成する
形態部分と、結晶性熱可塑性樹脂がマトリックスを形成
する形態部分とが分散して存在し、かつ難燃剤が非晶性
熱可塑性樹脂中に選択的に存在する難燃性熱可塑性樹脂
組成物において、繊維状及び/又は板状の無機フィラー
を特定の量存在させることにより、難燃性、機械的強
度、耐熱性、成形性、耐薬品性及び寸法安定性等に優れ
る難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】2種類以上の樹脂の組合せからなるポリ
マーブレンドは、それぞれの樹脂の持つ長所を生かし、
短所を補うことによりバランスのとれた組成物が得られ
ることを特徴としており、特に結晶性熱可塑性樹脂と非
晶性熱可塑性樹脂とからなる組合せは実用面でも効果が
大きく、様々な組合せが行われている。
【0003】非晶性熱可塑性樹脂は、一般に耐熱性及び
寸法安定性に優れる有用な樹脂である。例えば、ポリフ
ェニレンエーテル(以下「PPE」という)は、優れた
耐熱性と耐衝撃性とを有している。しかし、成形性が極
めて悪く、単品では、射出成形が著しく困難であるとい
う欠点を有している。このような欠点を改良するため
に、PPEにスチレン系樹脂をブレンドすることによ
り、成形性、耐衝撃性及び耐熱性の比較的バランスのと
れた材料が開発され、エンジニアリングプラスチックの
1つとして市販されている。たとえば、米国特許第33
83435号明細書には、PPEとハイインパクトポリ
スチレンとの組成物が開示されている。しかし、このも
のは、耐溶剤性が劣り、成形性は改良されているもの
の、耐熱性と耐衝撃性のバランスが十分とはいえない。
【0004】また、特開昭51−28659号公報に
は、PPEに、スチレン樹脂とゴム又はゴム変性スチレ
ン樹脂をブレンドし、ゴムの平均粒径を0.5〜2μm
にすることにより耐衝撃性を改良した組成物が、更に、
特開昭56−460号公報には、PPEにスチレン樹脂
とゴム又はゴム変性スチレン樹脂をブレンドし、そのゲ
ル分率を規定した組成物が開示されている。しかし、こ
れら組成物も、耐衝撃性等は改良されてはいるが、成形
後のひけ、反り量が多く、また実用的な強度である面衝
撃強度が十分であるとはいえない。
【0005】また、高剛性を求められる分野について
は、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状無機フィラーやタ
ルク、マイカ等の板状無機フィラーを充填することが行
なわれているが、この場合にも耐溶剤性が劣るといった
欠点は残されたままであり、更に成形性が悪いといった
欠点がより顕著になってくる。
【0006】一方、結晶性樹脂は、耐溶剤性及び成形性
に優れ、多方面で使用されている。例えばオレフィン系
樹脂は耐有機溶媒性及び成形性等が優れていることか
ら、例えばプロピレン系樹脂が、自動車部品、家電製
品、日用品等に幅広く用いられている。しかしながら、
耐熱剛性に劣ること、膨張係数が大きいことによる寸法
安定性不足のため、耐熱性が要求される大型部品、特に
自動車フェンダーやホイルカバー等には使用できず、用
途が制限されていた。これを解決するために、例えば無
機フィラーであるタルクを配合する研究がなされている
が、タルクを配合すると耐衝撃性が低下する問題が生じ
ていた。そのバランスを改良するため、タルクとエチレ
ン−プロピレンゴムを配合した組成物が、特開昭60−
3420号公報、さらにポリエチレンを添加し外観が改
良された組成物が特開昭59−49252号公報、同6
1−276840号公報及び同63−65223号公報
にそれぞれ開示されている。しかし、これらの組成物を
用いた成形体も、機械的強度、成形品外観、寸法安定性
のバランスにおいて必ずしも十分ではなく、また、表面
硬度が低い問題点を有していた。
【0007】また、高剛性を求められる分野については
ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状無機フィラーやタル
ク、マイカ等の板状無機フィラーを充填することが行な
われているが、結晶性熱可塑性樹脂にこのような無機フ
ィラーを充填した場合には、成形品に反りが生じるとい
った大きな欠点が出てくる。
【0008】他方、非晶性熱可塑性樹脂であるPPEの
優れた耐熱性や機械的性質と結晶性熱可塑性樹脂である
オレフィン系樹脂の優れた耐溶剤性や良好な成形性を兼
ね備えた材料を得る目的で、両者をブレンドした組成物
が提案されている。例えば、特開昭42−7069号公
報にはPPEとオレフィン系樹脂とのブレンドにより、
耐溶剤性、耐衝撃性を改良する試みがなされている。し
かしながら、この組成物においては、オレフィン系樹脂
の配合量が少ないため、マトリックスが実質的にPPE
であり、耐溶剤性や成形性の改良効果は十分ではない。
さらにオレフィン系樹脂の配合量を増加させると、両樹
脂の相溶性が十分ではなく、成形品の層状剥離が生じ機
械的性質が低下する問題点がある。この相溶性を改良す
る試みとして、スチレン−ブタジエンブロック共重合体
やその水素添加物を添加した組成物が、例えば特開昭6
3−225642号、同63−245353号、同64
−40556号及び特公平1−93647号各公報に開
示されている。
【0009】しかしながら、これらの組成物も、実質的
にマトリックスが、PPE又はこれとスチレン系ブロッ
ク共重合体との組み合わせからなるため、オレフィン系
樹脂の特性が十分発揮されない欠点を有している。
【0010】一方、オレフィン系樹脂をマトリックスと
して、耐熱性、寸法安定性が優れたPPEを分散させた
組成物も開示されている。例えば特開平2−18555
3号公報には、プロピレン重合体のマトリックス中にP
PEおよびゴムを特定の大きさで分散させ、成形加工
性、耐衝撃性及び成形品外観が優れた組成物が提案され
ている。しかしながら、マトリックスがプロピレン重合
体であることから、PPEの優れた剛性、耐熱性が十分
に発揮されず、また表面の硬度も低い組成物であり、近
年の高度な市場要求を満足させるものではない。
【0011】また、PPEとオレフィン系樹脂のブレン
ド物は、PPEが本来持っている優れた難燃性を失って
しまう。そこで、両者のブレンド物を難燃化するには多
量の難燃剤が必要であるが、得られる難燃性は必ずしも
満足のいくものではなく、また多量の難燃剤を配合した
結果として、機械的強度を著しく損なってしまうという
欠点があった。
【0012】また、高剛性を求められる分野について
は、これらのブレンド物にガラス繊維、炭素繊維等の繊
維状無機フィラーやタルク、マイカ等の板状無機フィラ
ーを充填することが行なわれているが、その場合には、
結晶性熱可塑性樹脂の欠点である成形品の反りが生じる
といった問題や、非晶性熱可塑性樹脂の欠点である耐溶
剤性及び成形性の問題を解決することが難しく、実用上
問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとに、結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹
脂、例えば、PPEとオレフィン系樹脂と難燃剤からな
る組成物を無機フィラーで強化し、それぞれの好ましい
性質を兼ね備えた材料、すなわち、難燃性及び成形加工
性が優れ、機械的強度、耐熱性、剛性、耐薬品性及び寸
法安定性のバランスが優れた材料を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な現状において、組成物中のマトリックスを形成する樹
脂が、各種の特性を主に支配していると考え、従来技術
にある非晶性熱可塑性樹脂、例えばPPEがマトリック
スであるか、又は結晶性熱可塑性樹脂、例えばオレフィ
ン系樹脂がマトリックスであるかの形態を有し、難燃剤
が少なくとも結晶性熱可塑性樹脂中に存在する組成物を
無機フィラーで強化したものでは、目的としている前記
の好ましい性質を有する材料の開発は困難であるとの考
えに至った。
【0015】そこで、全く新しい発想をもとに鋭意検討
を行った結果、非晶性熱可塑性樹脂、例えばPPEがマ
トリックスである形態部分と、結晶性熱可塑性樹脂、例
えば、オレフィン系樹脂がマトリックスである形態部分
とが、同じ組成物又は同じ成形体の中で共存し、かつ難
燃剤を非晶性熱可塑性樹脂中に選択的に存在させている
形態をとらせた樹脂組成物を無機フィラーで強化し、好
ましくは無機フィラーを特定の相に存在させることによ
り、従来の技術では達成できなかった極めて良好な難燃
性、成形加工性、機械的強度、耐熱性、剛性及び寸法特
性を有する組成物を見出し、本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明は、(a)非晶性熱可塑
性樹脂、(b)結晶性熱可塑性樹脂及び(c)難燃剤か
らなり、成分(a)がマトリックスを形成する形態部分
と、成分(b)がマトリックスを形成する形態部分とが
分散して存在し、成分(c)が成分(a)中に選択的に
存在していることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に対
して、(d)繊維状及び/又は板状の無機フィラーを全
組成物中5〜60重量%含有する難燃性熱可塑性樹脂組
成物及びその成形体である。以下、本発明を詳細に述べ
る。
【0017】<構成成分>本発明において、非晶性熱可
塑性樹脂(a)とは、一般にガラス様の性質をもち、加
熱した際にガラス転移温度のみを示す樹脂を意味する。
ガラス転移温度は50℃以上の非晶性熱可塑性樹脂が好
ましい。また、非晶性熱可塑性樹脂は明確な融点や測定
可能な融解熱を有しないことを示すが、本発明において
はゆっくり冷却する場合に多少の結晶性を示すものを含
み、本発明の効果を大きく損なわない範囲で結晶性を示
すものも含む。ガラス転移温度、融点及び融解熱は、示
差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。例
としてはPERKIN−ELMER社製 DSC−IIが
ある。この装置を用いて、1分間当り10℃の昇温速度
で融解熱を測定することができる。試料を予測される融
点以上の温度に加熱し、次に試料を1分間当り10℃の
速度で降温し、20℃まで冷却し、そのまま約1分間放
置した後1分間当り10℃の速度で加熱することにより
測定することができる。融解熱は最初以後のいずれかの
昇温と降温のサイクルにおいて測定しても実験誤差範囲
内で一定値となるものを採用する。本発明における非晶
性熱可塑性樹脂とは、上記方法により測定される融解熱
が1カロリー/グラム未満のものと定義する。
【0018】本発明の成分(a)として用いる非晶性熱
可塑性樹脂には、PPE、芳香族ビニル化合物重合体、
ゴム変性芳香族ビニル化合物重合体、ポリカーボネー
ト、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂などが挙げ
られ、これらの群から選択された少なくとも1つの非晶
性熱可塑性樹脂を含む組成物である。好適な非晶性熱可
塑性樹脂(a)の1つにPPEが挙げられる。PPE
は、下記の一般式(II)
【0019】
【化2】
【0020】(式中、Q1 、Q2 、Q3 及びQ4 は、各
々、水素原子、ハロゲン原子及び置換又は非置換の炭化
水素基からなる群から選択されたものであり、互いに同
一でも異なってもよい)で示される構造単位からなる単
独重合体又は共重合体である。
【0021】このPPEの具体例としては、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピル−1,4−
フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロ
ロメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジニトリル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,6−ジクロル−1,4−フェニレンエ
ーテル)、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)などが挙げられる。これらは、複数併用し
てもよい。
【0022】好適なPPEの単独重合体としては、たと
えば、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル
単位からなるものである。好適な共重合体としては、上
記単位と2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン
エーテル単位との組み合わせからなるランダム共重合体
である。
【0023】ここで使用するPPEはクロロホルム中で
測定した30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gで
あるものが好ましい。より好ましくは0.2〜0.5d
l/gのものであり、とりわけ好ましくは0.25〜
0.45dl/gのものである。本発明で非晶性熱可塑
性樹脂(a)として用いられる芳香族ビニル化合物重合
体は、下記一般式(III )
【0024】
【化3】
【0025】(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子又は
低級アルキル基を表し、Zは、水素原子、低級アルキル
基、ハロゲン原子又はビニル基を表し、nは1〜5の整
数を表す。)で示される構造単位からなる単独重合体又
は共重合体である。
【0026】芳香族ビニル化合物としては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、
メチルスチレン、ジメチルスチレン、2,4,6−トリ
メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、中
でもスチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレンが
好ましい。これらは各々単独又は2種以上を併用するこ
ともできる。
【0027】本発明で非晶性熱可塑性樹脂(a)として
用いられるポリカーボネートには、芳香族ポリカーボネ
ート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカ
ーボネート等が挙げられる。そのうちでも、2,2−ビ
ス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキ
シフェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)
スルホン、同スルフィド又は同スルホキサイド系等のビ
スフェノール類からなる芳香族ポリカーボネートが好ま
しい。また必要に応じてハロゲンで置換されたビスフェ
ノール類からなるポリカーボネートも用いることができ
る。
【0028】なお、ポリカーボネートの分子量には何ら
制限はないが、一般的には1万以上、好ましくは2万〜
4万のものである。その他の非晶性樹脂(a)として、
アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等も使用でき
る。
【0029】本発明において、一方成分(b)として用
いられる結晶性熱可塑性樹脂とは、加熱溶融できるもの
であり、かつ、はっきりした結晶構造又は分子構造を有
する非ガラス様特性のものであり、測定可能な融解熱を
有する明確な融点を示すものである。融点及び融解熱は
示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
例としては、非晶性熱可塑性樹脂の項に示した装置およ
び測定方法が挙げられる。本発明における結晶性熱可塑
性樹脂とは、この方法により測定される融解熱が1カロ
リー/グラム以上のものと定義する。
【0030】本発明で用いられる結晶性熱可塑性樹脂
(b)には、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリアセタール、ハロゲン含有熱可塑性樹脂、ポ
リスルホン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ
ーなどが挙げられ、これらの群から選択された少なくと
も1つの結晶性熱可塑性樹脂を含む組成物である。
【0031】好適な結晶性樹脂(b)であるオレフィン
系樹脂には、α−オレフィンの単独重合体またはこれら
α−オレフィンの共重合体、あるいはこれらα−オレフ
ィン(複数種でもよい)を主成分とし、必要により他の
不飽和単量体(複数種でもよい)を副成分とする共重合
体などである。ここで共重合体とはブロック、ランダム
又はグラフトあるいはこれらの複合物等のいかなる共重
合体でもよい。また、これらのオレフィン系重合体の塩
素化、スルフォン化、カルボニル化等による変性体も含
む。
【0032】上記α−オレフィンとしては、例えば、エ
チレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキ
セン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等であり、人手
の簡便さから炭素数2〜8のものが好ましい。また、上
記不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸等の不飽
和有機酸等またはその無水物、エステル等の誘導体が挙
げられる。
【0033】これらのオレフィン系樹脂の具体例として
は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン
−プロピレンブロック又はランダム共重合体などが挙げ
られる。これらは、複数併用してもよい。
【0034】これらの中で、オレフィン系樹脂として
は、結晶性オレフィン重合体、たとえば、エチレン又は
プロピレンの結晶性ホモポリマー、あるいは、エチレン
又はプロピレンを主たる構成成分とする、エチレン及び
/又はプロピレンと他のエチレン性不飽和単量体との結
晶性共重合体が好適である。これらの中で、特に好まし
い例は、低、中、高密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレンプロピレンブロック共重合体であり、なか
でも、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
プロピレンブロック共重合体が剛性の点から最も好まし
い。
【0035】本発明で使用するオレフィン系樹脂のメル
トフローレイト(以下「MFR」という;230℃、荷
重2.16kg)は0.01〜250g/10分の範囲
が好ましく、0.05〜200g/10分の範囲がより
好ましく、とりわけ0.1〜100g/10分の範囲が
好ましい。MFRの値がこれより低い範囲では成形加工
性に難点があり、これより高い範囲では機械的強度のレ
ベルが好ましくない。
【0036】また、本発明では、オレフィン系樹脂の一
部に該オレフィン系樹脂の官能基変性誘導体を用いるこ
とができる。ここで言う官能基変性誘導体とは、オレフ
ィン系樹脂を不飽和有機酸又はその無水物(例えば、ア
クリル酸、マレイン酸、イタコン酸又はそれらの無水
物)や不飽和有機シラン化合物(例えば、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン)等でグ
ラフト変性したもの、あるいは、その有機酸またはその
無水物でグラフト変性したオレフィン系樹脂のグラフト
鎖に結合しているカルボキシル基の一部を金属イオン化
したアイオノマー等である。さらに、オレフィン系樹脂
の官能基変性誘導体としては、ここに挙げた具体例のほ
かに、グラフト、ブロック又はランダム共重合の手法や
置換反応、酸化反応等で親水性の基が導入されたものも
用いることができる。
【0037】結晶性熱可塑性樹脂(b)の一例であるポ
リアミドは、ポリマー主鎖に−CO−NH−結合を有
し、加熱溶融できるものである。その代表的なものとし
ては、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−6,
6、ナイロン−4,6、ナイロン−12、ナイロン−
6,10等が挙げられ、その他の公知の芳香族ジアミ
ン、芳香族ジカルボン酸等のモノマー成分を含む低結晶
性及び非晶性のポリアミド等も用いることができる。
【0038】好ましいボリアミドは、ナイロン−6又は
ナイロン−6,6であり、中でもナイロン−6が特に好
ましい。本発明で使用するポリアミドは、相対粘度が
2.0〜8.0(25℃の98%濃硫酸中で測定)であ
るのが好ましい。
【0039】結晶性熱可塑性樹脂(b)の一例であるポ
リエステルには、例えば、通常の法法に従って、ジカル
ボン酸又はその低級アルキルエステル、酸ハライド若し
くは酸無水物誘導体と、グリコール又は2価フェノール
とを縮合させて製造する熱可塑性ポリエステルが挙げら
れる。
【0040】この熱可塑性ポリエステルを製造するのに
適した芳香族又は脂肪族ジカルボン酸の具体例として
は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、p,p′−ジカルボキシジフ
ェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p‐
カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフ
ェノキシ酪酸、p‐カルボキシフェノキシ吉草酸、2,
6−ナフタリンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジ
カルボン酸等あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙
げられる。
【0041】また熱可塑性ポリエステルの製造に適する
脂肪族グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アル
キレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3
‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、
1,6‐ヘキサンジオール、1,12‐ドデカメチレン
グリコール等が例示される。また、芳香族グリコール化
合物としては、p−キシリレングリコールが例示され、
2価フェノールとしては、ピロカテコール、レゾルシノ
ール、ヒドロキノン又はこれらの化合物のアルキル置換
誘導体が挙げられる。他の適当なグルコールとしては、
1,4‐シクロヘキサンジメタノールも挙げられる。
【0042】他の好ましい熱可塑性ポリエステルとして
は、ラクトンの開環重合によるポリエステルも挙げられ
る。例えば、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラ
クトン)等である。また、更に他の好ましい熱可塑性ポ
リエステルとしては、溶融状態で液晶を形成するポリマ
ー(Thermotropic Liquid Cry
stalPolymer;TLCP)としてのポリエス
テルがある。これらの区分に入るポリエステルとして
は、イーストマンコダック社のX7G、ダートコ社のX
ydar(ザイダー)、住友化学社のエコノール、セラ
ニーズ社のベクトラ等が代表的な商品である。
【0043】以上、挙げた熱可塑性ポリエステルの中で
も、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート)(PCT)又は液晶性ポリエステ
ル等が本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な熱可塑性ポ
リエステルである。
【0044】ここで使用する熱可塑性ポリエステルの粘
度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタ
ン=60/40重量%混合液中、20℃で測定した固有
粘度が0.5〜5.0dl/gの範囲が好ましい。更に
好ましくは、1.0〜4.0dl/g、とりわけ好まし
くは2.0〜3.5dl/gである。固有粘度が0.5
dl/g未満であると、耐衝撃性が不足し、5.0dl
/g超過では、成形性に難がある。
【0045】結晶性熱可塑性樹脂(b)の一例であるポ
リアセタールには、例えば、ホルムアルデヒド又はトリ
オキサンの重合によって製造される高分子量ポリアセタ
ールホモ重合体が挙げられる。ホルムアルデヒドから製
造されるポリアセタールは、高分子量であり、次式に示
す構造を有する。
【0046】
【化4】H−O−(CH2 −O−CH2 −O)x −H
【0047】〔式中、末端基は制御された量の水から導
かれたものであり、xは、頭−尾結合の形で結合したホ
ルムアルデヒドユニット(好ましくは約1500)を表
す〕 耐熱性及び化学的抵抗性を増加させるために、末端基を
エステル基又はエーテル基に変換することが一般に行わ
れている。ポリアセタールという語にはさらにポリアセ
タール共重合体も含まれる。これらの共重合体の例に
は、ホルムアルデヒドと、活性水素を提供することので
きる他種物質の単量体またはプレポリマー、たとえばア
ルキレングリコール、ポリチオール、ビニルアセテート
−アクリル酸共重合体または還元したブタジエン−アク
リロニトリルポリマーとのブロック共重合体が挙げられ
る。ホルムアルデヒド又はトリオキサンは、他のアルデ
ヒド、環状エーテル、ビニル化合物、ケテン、環状カー
ボネート、エポキシド、イソシアネート又はエーテルと
共重合させることが出来る。
【0048】これらの化合物の具体例には、エチレンオ
キサイド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセン、
エピクロロヒドリン、プロピレンオキサイド、イソブチ
レンオキサイド又はスチレンオキサイドが挙げられる。
結晶性熱可塑性樹脂(b)として、本発明で使用できる
ハロゲン含有熱可塑性樹脂には、テトラフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオロ
ライドなどの重合体が挙げられる。この他にもビニリデ
ンクロライドから導かれたホモ重合体又は共重合体も使
用することができる。中でも好ましいハロゲン含有熱可
塑性樹脂は、ビニリデンフルオロライドのホモ重合体若
しくは共重合体又は結晶性のビニリデンクロライドの共
重合体である。結晶性熱可塑性樹脂(b)として、本発
明で使用できるポリスルホンは、次式(IV)
【0049】
【化5】
【0050】(式中、Yは酸素、硫黄又は芳香族ジオー
ル残基を表す。)で示される繰返し単位を少なくともい
くつか持っているものであり、例えば下式
【0051】
【化6】
【0052】で示されるいずれかの繰り返し単位を有す
るものが挙げられる。その他の結晶性熱可塑性樹脂
(b)として、ポリフェニレンサルフィド、液晶ポリマ
ー等も使用できる。本発明において、添加できる他の成
分として、芳香族ビニル化合物重合体ブロックAと共役
ジエン化合物重合体ブロックBとからなるブロック共重
合体およびその水素添加物が挙げられる。ここで言うブ
ロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物に由来する連
鎖ブロックAと共役ジエンに由来するブロックBを、各
々少なくとも一個有する構造を持つ芳香族ビニル化合物
−共役ジエンブロック共重合体であり、ブロックAおよ
びBの配列は、線状構造、分枝構造又はテーパー構造を
なすものを含む。また、これらの構造のうちの一部に、
芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体
部分に由来するランダム鎖を含んでいてもよい。これら
のうちで線状構造をなすものが好ましく、トリブロック
構造をなすものがより好ましい。
【0053】また、ブロック共重合体の水素添加物と
は、ブロックBの脂肪族不飽和結合が水素添加により減
少したブロック共重合体であり、水素添加されずに残存
している不飽和結合の割合は、20%以下が好ましく、
10%以下がより好ましいが限定されるものでない。ま
た、水素添加していないブロック共重合体と併用しても
よい。
【0054】芳香族ビニル化合物としては、好ましく
は、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレ
ン、ビニルトルエン、ビニルキシレンであり、特に好ま
しくはスチレンである。共役ジエンとしては、好ましく
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−
1,3ブタジエンである。
【0055】ブロック共重合体の具体例として、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体等があり、こ
れらは複数種使用してもよい。芳香族ビニル化合物−共
役ジエンブロック共重合体の中で、芳香族ビニル化合物
に由来する繰返し単位の占める割合は、10〜80重量
%の範囲が好ましく、15〜65重量%の範囲がより好
ましい。
【0056】これらブロック共重合体又はその水素添加
物は、それらの分子量の目安として、25℃におけるト
ルエン溶液粘度の値が、30000〜10cpの範囲に
あるものが好ましく、より好ましくは10000〜30
cpである。30000cpを超えると最終組成物の成
形加工性に難点が生じ、また、10cp未満では、機械
的強度レベルが低く好ましくない。
【0057】次に本発明で用いる難燃剤(c)は特に限
定されず、有機リン化合物、リン・窒素結合を含む化合
物、元素状リン、ハロゲン化有機化合物、アンチモン化
合物又はそれらの2種類以上の混合物を使用してもよ
い。好ましくは、有機リン化合物であり、より好ましく
は次の一般式(I)であらわされるモノ又はポリリン酸
エステル化合物である。
【0058】
【化7】
【0059】(式中、Reはハイドロキノン、レゾルシ
ノール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF又はビスフェノールSから2つの水酸基を除いた
残基を表し、R1 、R2 、R3 及びR4 は、各々水素原
子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R1 、R2
3 及びR4 のそれぞれが2つ以上ある時、それらは互
いに異なっていてもよい。nは0〜10の整数を表し、
m1、m2、m3及びm4は各々1〜3の整数を表
す。)
【0060】一般式(I)におけるR1 、R2 、R3
びR4 のうち少なくとも1つがメチル基であることが好
ましく、すべてメチル基である場合がさらに好ましい。
一般式(I)におけるnの好ましい範囲は、耐熱性、加
工性の観点から0〜5である。また、一般式(I)の難
燃剤は異なるnを有する難燃剤の混合物であってもよ
い。
【0061】一般式(I)の化合物においてnが1以上
のものは、特定の2官能フェノールを結合基とし、アル
キル置換又は非置換単官能フェノールを構造の末端に有
す。特定の2官能フェノールとは、ハイドロキノン、レ
ゾルシノール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビス
フェノールF、ビスフェノールSを示す。アルキル置換
単官能フェノールとしては、モノアルキルフェノール、
ジアルキルフェノール、トリアルキルフェノールを単独
あるいは組み合わせて使用できる。この中でクレゾー
ル、ジメチルフェノール(混合キシレノール)、トリメ
チルフェノールが好ましい。
【0062】一般式(I)の化合物においてnが0であ
る1種以上のモノリン酸エステル化合物を用いることが
でき、具体的にはトリフェニルフォスフェート、トリク
レジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェ
ート、トリキシレニルフォスフェート、キシレニルジフ
ェニルフォスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)
フォスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルフォ
スフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルフォスフ
ェート、トリ(トリメチルフェニル)フォスフェート、
トリ(t−ブチルフェニル)フォスフェート等が挙げら
れる。この中でトリフェニルフォスフェート、トリクレ
ジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェー
トが好ましい。
【0063】また、これらの難燃剤は使用する樹脂に合
わせて表面処理を施したものを用いることも好ましい。
次にこれら難燃剤(c)を非晶性熱可塑性樹脂(a)中
に選択的に存在させる方法としては、非晶性熱可塑性樹
脂と相溶性のある難燃剤を使用する方法、難燃剤と非晶
性熱可塑性樹脂を予め混練する方法や、非晶性熱可塑性
樹脂に難燃剤と親和性を示す官能基を導入する方法、非
晶性熱可塑性樹脂と親和性を示す官能基を難燃剤に導入
する方法等が挙げられる。
【0064】本発明で用いる繊維状及び/又は板状無機
フィラー(d)とは種々の公知のものを用いることがで
きる。本発明で用いる繊維状無機フィラーは、補強効果
の観点から、繊維の直径(D)と長さ(L)の比で表わ
されるL/Dが5以上であることが好ましく、かかる繊
維状無機フィラーの一例としては、ガラス繊維、炭素繊
維、チタン酸カリウム等のウィスカー類、ワラストナイ
ト等が挙げられ、これらは2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0065】本発明で用いる板状無機フィラーは、補強
効果の観点から、板の平均厚み(D′)と平均粒径
(L′)の比で表わされるL′/D′が5以上であるこ
とが好ましく、かかる板状無機フィラーの一例として
は、マイカ、タルク、ガラスフレーク等が挙げられ、こ
れらは2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、
これらの無機フィラーは使用する樹脂に合わせて表面処
理を施したものを用いることも好ましい。
【0066】無機フィラーは、非晶性熱可塑性樹脂
(a)中に選択的に存在させることがより好ましい。こ
れら無機フィラーを非晶性熱可塑性樹脂成分中に選択的
に存在させる方法としては、無機フィラーと非晶性熱可
塑性樹脂を予め混練する方法や、非晶性熱可塑性樹脂に
無機フィラーと親和性を示す官能基を導入する方法が挙
げられる。非晶性熱可塑性樹脂に無機フィラーと親和性
を示す官能基を導入する方法としては、各種の公知の方
法を用いることができる。例えば該樹脂と同一分子内に
不飽和基と極性基を合わせ持つ官能化化合物を、溶液状
態もしくは溶融状態で、過酸化物の存在下もしくは非存
在下でクラフト反応させる方法や、これら樹脂を重合す
るさいに極性基を持つ官能化化合物を共重合させる方法
等が挙げられる。
【0067】これらの官能化樹脂(上記の官能基を導入
した非晶性熱可塑性樹脂)はそれ自体単独で用いても、
未官能化樹脂と混合して用いても良いが、混合後の樹脂
中の官能化化合物の割合が0.01重量%以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは0.05重量%以上、と
りわけ好ましくは0.1重量%以上である。
【0068】さらに、本発明組成物に必要に応じ添加し
うる他の成分として、例えば熱可塑性樹脂に周知の酸化
防止剤、耐候性改良剤、増核剤、難燃剤、耐衝撃性改良
剤、可塑剤、流動性改良剤等が使用できる。また、有機
充填剤、有機補強剤及び成分(c)以外の無機充填剤、
例えば、炭酸カルシウム、シリカ、クレー等の添加は、
剛性、耐熱性、寸法安定性等の向上に有効である。実用
のために、各種着色剤及びそれらの分散剤なども周知の
ものが使用できる。
【0069】<組成物及び成形体の形態>本発明は、非
晶性熱可塑性樹脂(a)、結晶性熱可塑性樹脂(b)及
び難燃剤(c)からなり、成分(a)がマトリックス
(連続相)を形成する形態部分と、成分(b)がマトリ
ックスを形成する形態部分とが、分散して存在すること
を特徴とするものである。
【0070】例えば、成分(a)がマトリックスを形成
し、成分(b)がドメイン(分散相)を形成する形態
〔形態部分(A)〕、また、成分(b)がマトリックス
を形成し、成分(a)がドメインを形成する形態〔形態
部分(B)〕、成分(a)、成分(b)が相互に連続相
をとる形態〔形態部分(c)〕が考えられ、成分(a)
がマトリックスを形成する形態部分と、成分(b)がマ
トリックスを形成する形態部分とが、分散して存在する
というのは、組成物およびその成形体の種々の場所で形
態部分(A)が出現したり、形態部分(B)が出現した
り、形態部分(C)が出現したりすることである。
【0071】例えば、成形体の表層付近は、形態部分
(A)で、その内側は形態部分(B)が出現するもの、
またその反対で、表層付近は形態部分(B)で、その内
側では形態部分(A)をとるというものが挙げられる。
勿論、形態部分(A)、(B)、(C)が成形体の厚み
方向で、2度以上出現してもかまわない。また(C)の
みの形態部分も考えられる。
【0072】ここで、この形態部分(A)、(B)、
(C)の確認は、組成物又は成形体を四酸化ルテニウム
により染色し、超薄切片を作り、透過型電子顕微鏡を用
いて観察を行う方法により実施できる。また、成分
(c)は形態部分(A)、(B)、(C)何れの場合で
も、成分(a)中に選択的に存在することを特徴とす
る。
【0073】<成分(a)及び(b)の溶融せん断粘度
比及び溶融せん断粘度比のせん断速度依存性>本発明で
用いる2種類以上の熱可塑性樹脂のうち、一成分を非晶
性熱可塑性樹脂(a)、他の一成分を結晶性熱可塑性樹
脂(b)とした時に、2種類以上の熱可塑性樹脂組成物
からなる本発明組成物中における形態は、成分(a)が
マトリックスを形成する形態部分と、成分(b)がマト
リックスを形成する形態部分とが、分散して存在するも
のである。
【0074】成分(a)及び(b)の溶融せん断粘度
は、基本的には、いずれの値をとっても差し支えない
が、上記の目的とする形態をより効率よく達成するため
には、成分(a)/成分(b)の280℃、せん断速度
30sec-1の溶融せん断粘度比の値(S)が、海−海
構造〔形態部分(c)〕における成分(a)/成分
(b)の280℃、せん断速度30sec-1の溶融せん
断粘度比(W1)よりも大きい場合には、成分(a)/
成分(b)の300℃、せん断速度300sec-1の溶
融せん断粘度比の値(T)が、海−海構造〔形態部分
(c)〕における成分(a)/成分(b)の300℃、
せん断速度300sec-1の溶融せん断粘度比(W2)
よりも小さいことが好ましく、またSがW1より小さい
場合には、TがW2より大きいことが好ましい。
【0075】好ましくは、成分(a)と成分(b)の体
積比が5:95〜95:5であり、SがW1より大きく
100以下である場合には、TはW2より小さいこと、
または成分(a)と成分(b)の体積比が5:95〜9
5:5であり、SがW1より小さく0.1以上である場
合には、TはW2より大きいことが満足されることであ
る。
【0076】より好ましくは成分(a)と成分(b)の
体積比が30:70〜90:10であり、SがW1より
大きく40以下である場合には、TはW2より小さいこ
と、または成分(a)と成分(b)の体積比が30:7
0〜90:10であり、SがW1より小さく0.3以上
である場合には、TはW2より大きいことが満足される
ことである。
【0077】ここで言う溶融せん断粘度とは、JIS
K7210の参考試験として記載されている方法、すな
わち、溶融した樹脂を一定速度で毛細管から押し出した
時のせん断粘度(ずり粘度)のことであり、具体的装置
としては、高化式フローテスター(インストロンキャピ
ラリーレオメーター)がある。この装置を用いて、例え
ば、種々の温度で、ノズル径は1mm、ノズル長さを1
0mmに設定し、押し出し速度を変化させて測定するこ
とができる。
【0078】<構成成分の組成比>以上に述べた成分
(a)及び(b)の組成比は、成分(a)と成分(b)
の合計量を100体積%とし、下記のとおりである。 成分(a):5〜95体積%、より好ましくは30〜9
0体積%、とりわけ好ましくは70〜90体積%であ
る。 成分(b):5〜95体積%、より好ましくは10〜7
0体積%、とりわけ好ましくは10〜30体積%であ
り、
【0079】成分(a)が5体積%未満では、成分
(a)がマトリックスになり難く、成分(a)のもつ長
所、例えば耐熱性、寸法特性が不満足となる。一方、成
分(b)が5体積%未満では、成分(b)がマトリック
スになり難く、成分(b)のもつ長所、例えば成形性、
耐溶剤性等が不満足となる。成分(a)と成分(b)の
合計量を100重量部として、 成分(c):1〜40重量部、より好ましくは3〜35
重量部、とりわけ好ましくは7〜25重量部である。
【0080】成分(c)が1重量部未満では難燃性が不
足し、40重量部超過では成形品の外観、物性が不満足
となる。成分(d)の含量は全組成物中5〜60重量%
であることが好ましく、より好ましくは7〜60重量
%、とりわけ好ましくは10〜60重量%である。無機
フィラーの含量が5重量%未満では補強効果が小さく、
60重量%を越えると成形性が不満足である。
【0081】<組成物の製造および成形法>本発明の熱
可塑性樹脂組成物を得るための方法としては、各種混練
機、例えば、一軸又は多軸混練機、バンバリーミキサ
ー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で上記成分
を混練した後、冷却固化する方法や、適当な溶媒、例え
ば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の炭化水素又はその誘導体に上記成分を添加し、溶
解する成分同志あるいは、溶解する成分と不溶解成分と
を懸濁状態でまぜる溶液混合法等が用いられる。工業的
コストからは、溶融混練法が好ましいが限定されるもの
ではない。本発明組成物の成形方法は特に限定されるも
のではなく、熱可塑性樹脂組成物について一般に用いら
れている成形法、例えば、射出成形、中空成形、押し出
し成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形等の
成形方法が適用できる。
【0082】
【実施例】以下に本発明を実施例によって、詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1〜6及び比較例1〜3 各成分として、次に示すものを用いた。 (1)PPE:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)(日本ポリエーテル社製、30℃のク
ロロホルム中で測定した固有粘度:0.41dl/g、
以下「PPE」と略記する)
【0083】(2)ポリカーボネート:三菱瓦斯化学社
製、ユーピロンS2000、粘度平均分子量2.5×1
4 以下「PC」と略記する。 (3)ポリスチレン:三菱化学社製、HF77、以下
「PS」と略記する。 (4)無水マレイン酸変性PPE(以下「M−PPE」
と略記する)
【0084】以下の方法により製造した。PPE100
重量部及び無水マレイン酸(試薬1級)1重量部をヘン
シェルミキサーを用いて良く混合した後、二軸押出機
(日本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度250
℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、冷却
後無水マレイン酸変性PPEのペレットを得た。無水マ
レイン酸のグラフト量は、赤外分光分析により測定した
結果0.4重量%であった。
【0085】(5)オレフィン系樹脂: (5−1)高密度ポリエチレン(三菱化学社製、三菱ポ
リエチHD HY330B、以下「PE−1」と略記す
る) (5−2)高密度ポリエチレン(三菱化学社製、三菱ポ
リエチHD EY40H、以下「PE−2」と略記す
る) (5−3)高密度ポリエチレン(三菱化学社製、三菱ポ
リエチHD JX20、以下「PE−3」と略記する)
【0086】(5−4)高密度ポリエチレン(昭和電工
社製、ショーレックススーパー4551H、以下「PE
−4」と略記する) (5−5)無水マレイン酸グラフト変性高密度ポリエチ
レン(以下「MM−HD」と略記する) 以下の方法により製造した。
【0087】上記のPE−2 100重量部に対して、
無水マレイン酸(試薬1級)1重量部をヘンシェルミキ
サーを用いて良く混合した後、二軸押出機(日本製鋼所
社製)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー
回転数250rpmで溶融混練し、冷却後無水マレイン
酸グラフト変性高密度ポリエチレンのペレットを得た。
無水マレイン酸のグラフト量は、赤外分光分析により測
定した結果0.8重量%であった。 (5−6)ポリプロピレン(三菱化学社製、三菱ポリプ
ロ TA8、以下「PP」と略記する)
【0088】(6)難燃剤: (6−1)芳香族リン酸エステル系の難燃剤として、大
八化学社トリフェニルフォスフェート(以下「P−1」
と略記する)。 (6−2)芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤として、
下記の構造を有する大八化学社製CR741C(以下
「P−2」)と略記する。
【0089】
【化8】
【0090】(6−3)無機化合物で被覆した赤燐とし
て、リン化学工業社製ノーバエクセル140(以下「P
−3」と略記する)。 (6−4)芳香族ハロゲン系難燃剤として、下記の構造
を有するブロム化エポキシオリゴマータイプ:大日本イ
ンキ化学工業社製EP−100 (分子量:約10,00
0以下「P−4」と略記する)および難燃助剤としてS
2 3
【0091】
【化9】
【0092】(7)繊維状無機フィラー:直径10μ
m、長さ3mmのガラス繊維 (8)板状無機フィラー:平均厚み2μm、平均粒径9
0μmのマイカ 組成物の混練及び成形を下記のとおり実施した。
【0093】 実施例1〜6及び比較例1〜2 非晶性熱可塑性樹脂成分と難燃剤成分を二軸押出機(日
本製鋼所社製)を用いて、シリンダー温度230℃、ス
クリュー回転数250rpmで溶融混練しつつ、シリン
ダー途中に設けたフィード口より、結晶性熱可塑性樹脂
成分と繊維状又は/及び板状無機フィラーを添加し、樹
脂組成物を得た。
【0094】 比較例3 結晶性熱可塑性樹脂成分と難燃剤成分を二軸押出機(日
本製鋼社製)を用いて、シリンダー温度230℃、スク
リュー回転数250rpmで溶融混練しつつ、シリンダ
ー途中に設けたフィード口より非晶性熱可塑性樹脂成分
及び繊維状又は/及び板状無機フィラーを添加し、樹脂
組成物を得た。次に上記及びの樹脂組成物を、それ
ぞれ射出成形機(日本製鋼所社製、型締め力100T)
を用い、シリンダー温度280℃、金型温度60℃で射
出成形し、成形品を作成した。
【0095】下記の評価方法に従って評価し、結果を表
−1に示した。 評価方法 (1)MFR JIS K7210に従い、280℃、5.0kg荷重
で測定した。 (2)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に従い、切り欠き付きアイゾット衝
撃試験を行った。
【0096】(3)曲げ弾性率 JIS K7203による曲げ試験法に従い、三点曲げ
試験を行った。 (4)熱変形温度 JIS K7207に従い、18.6kgの荷重で、荷
重たわみ試験を行った。 (5)反り量 インライン式射出成形機(日本製鋼所社製、型締め力1
50T)を用いて、シリンダー温度280℃、型温60
℃で図1に示した成形品を成形した。この成形品をフラ
ットな台の上に置き、水平面からの最大変位を測定し、
反り量とした。
【0097】(6)線膨張係数 JIS K6714に従い23〜80℃で測定を行っ
た。 (7)難燃性 UL94プラスチックマテリアルの燃焼性規格に従い、
1/16インチの厚さの試験片でテストした。
【0098】(8)形態観察 射出成形で得た成形片を切り出し、射出成形方向に、平
行、垂直に面だし操作を行い、四酸化ルテニウムにより
次のように染色した。密閉できる容器に、試料及び四酸
化ルテニウムを入れ、50℃1時間染色し、超薄切片ミ
クロトームにより、0.1μmの厚さの超薄切片を作成
する。これを透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子社製
JEM100CX)により観察した。
【0099】難燃剤の存在場所の確認も本方法で行っ
た。混在型とは成形品表面付近が非晶性熱可塑性樹脂
(a)がマトリックス、結晶性熱可塑性樹脂(b)がド
メインを形成する形態、すなわち形態部分(A)であ
り、該成形品の少し内部が結晶性熱可塑性樹脂(b)が
マトリックス、非晶性熱可塑性樹脂(a)がドメインを
形成する形態、すなわち形態部分(B)であるもの、P
PE/PSマトリックス型とは成形品のすべての部分
が、PPE/PS(a)がマトリックスであり、結晶性
熱可塑性樹脂(b)がドメインを形成する形態であるも
の、POマトリックス型とは、成形品のすべての部分が
オレフィン系樹脂(b)がマトリックスであり、非晶性
熱可塑性樹脂(a)がドメインを形成する形態であるも
のを示す。
【0100】
【表1】
【0101】
【発明の効果】上記評価試験の結果から、非晶性熱可塑
性樹脂(a)、結晶性熱可塑性樹脂(b)及び難燃剤
(c)からなり、成分(a)がマトリックスを形成する
形態部分と、成分(b)がマトリックスを形成する形態
部分とが、分散して存在し、難燃剤(c)が成分(a)
中に、選択的に存在する熱可塑性樹脂組成物において、
繊維状又は/及び板状の無機フィラーを特定の量含む本
発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、単
に成分(a)がマトリックスを形成し成分(b)がドメ
インを形成している熱可塑性樹脂組成物に無機フィラー
を充填した場合や、また単に成分(b)がマトリックス
を形成し、成分(a)がドメインを形成している熱可塑
性樹脂組成物に無機フィラーを充填した場合に比べ、機
械的強度、成形性、寸法安定性、耐溶剤性等のバランス
が非常に優れることがわかる。したがって、本発明の熱
可塑性樹脂組成物及びその成形体の用途は広く、工業的
に有用な材料となりうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で、反り量を測定した樹脂成形品の平面
図及び測定図である。寸法はmmである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−221244(JP,A) 特開 昭63−128076(JP,A) 特開 昭63−113075(JP,A) 特開 平1−98645(JP,A) 特開 平2−103243(JP,A) 特開 平2−248447(JP,A) 特開 平6−57159(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08 C08J 5/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)非晶性熱可塑性樹脂、(b)結晶
    性熱可塑性樹脂、(c)難燃剤、並びに(d)繊維状及
    び/又は板状の無機フィラーを含む難燃性熱可塑性樹脂
    組成物からなる成形体であって、該成形体が、 成分(a)がマトリックスを形成し、成分(b)がドメ
    インを形成する形態部分(A)と、 成分(b)がマトリックスを形成し、成分(a)がドメ
    インを形成する形態部分(B)とを有し、かつ 該成形体の表層付近が形態部分(A)であり、その内側
    が形態部分(B)であるか、又は表層付近が形態部分
    (B)であり、その内側が形態部分(A)であり、成分
    (c)が、成分(a)中に選択的に存在しており、かつ
    成分(d)を全組成物中5〜60重量%含有する、 成形体。
  2. 【請求項2】 成分(a)がポリフェニレンエーテルと
    芳香族ビニル化合物重合体との混合物であり、成分
    (b)がオレフィン系樹脂である、請求項1記載の成形
    体。
  3. 【請求項3】 成分(a)と成分(b)の合計100体
    積%に対して、成分(a)が5〜95体積%であり、成
    分(b)が95〜5体積%である、請求項1又は2記載
    の成形体。
  4. 【請求項4】 成分(d)が、成分(a)中に選択的に
    存在している、請求項1〜3のいずれか1項記載の成形
    体。
  5. 【請求項5】 成分(c)が、下記一般式(I): (式中、Reはハイドロキノン、レゾルシノール、ビフ
    ェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビ
    スフェノールSから二つの水酸基を除いた残基を表し、
    1、R2、R3及びR4は、各々水素原子又は炭素数1〜
    6のアルキル基を表す。R1、R2、R3及びR4のそれぞ
    れが2つ以上ある時、それらは互いに異なっていてもよ
    い。nは0〜10の整数を表し、m1、m2、m3及び
    m4は各々1〜3の整数を表す。)で示される難燃剤で
    ある、請求項1〜4のいずれか1項記載の成形体。
  6. 【請求項6】 成形体が、射出成形体である、請求項1
    〜5のいずれか1項記載の成形体。
  7. 【請求項7】 (a)非晶性熱可塑性樹脂、(b)結晶
    性熱可塑性樹脂、(c)難燃剤、並びに(d)繊維状及
    び/又は板状の無機フィラーを含む難燃性熱可塑性樹脂
    組成物であって、下記式(i)又は(ii): (i)S>wであり、かつT<wであるか、又は (ii)S<wであり、かつT>wである(式中、 Sは、280℃、せん断速度30sec-1での、成分
    (a)の成分(b)に対する溶融せん断粘度比であり、 wは、280℃、せん断速度30sec-1での、成分
    (a)及び成分(b)が相互に連続相をとる海海構造に
    おけるときの成分(a)の成分(b)に対する溶融せん
    断粘度比であり、 Tは、300℃、せん断速度300sec-1での、成分
    (a)の成分(b)に対する溶融せん断粘度比であり、 wは、300℃、せん断速度300sec-1での、成分
    (a)及び成分(b)が相互に連続相をとる海海構造に
    おけるときの成分(a)の成分(b)に対する溶融せん
    断粘度比である)の条件を満たし、 成分(c)が、成分(a)中に選択的に存在しており、
    かつ成分(d)を全組成物中5〜60重量%含有する、 難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 成分(a)がポリフェニレンエーテルと
    芳香族ビニル化合物重合体であり、成分(b)がオレフ
    ィン系樹脂である、請求項7記載の難燃性熱可塑性樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 成分(a)と成分(b)の合計100体
    積%に対して、成分(a)が5〜95体積%であり、成
    分(b)が95〜5体積%である、請求項7又は8記載
    の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 成分(d)が、成分(a)中に選択的
    に存在している、請求項7〜9のいずれか1項記載の難
    燃性熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 成分(c)が、下記一般式(I): (式中、Reはハイドロキノン、レゾルシノール、ビフ
    ェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビ
    スフェノールSから二つの水酸基を除いた残基を表し、
    1、R2、R3及びR4は、各々水素原子又は炭素数1〜
    6のアルキル基を表す。R1、R2、R3及びR4のそれぞ
    れが2つ以上ある時、それらは互いに異なっていてもよ
    い。nは0〜10の整数を表し、m1、m2、m3及び
    m4は各々1〜3の整数を表す。)で示される難燃剤で
    ある、請求項7〜10のいずれか1項記載の難燃性熱可
    塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 射出成形用である、請求項7〜11の
    いずれか1項記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項7〜11のいずれか1項記載の
    難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
  14. 【請求項14】 請求項7〜11のいずれか1項記載の
    難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体。
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