JPH08127487A - エスカレータ用クシ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、乗客が乗降口の接近に気がつか
ない場合でも乗心地を損なうことのないエスカレータ用
クシを得る。 【構成】 移動する踏段のクリート溝と係合するように
乗降口に配置されたクシ歯を備え、回転面の一部がクシ
３の上面に突出し且つ踏段の進行方向と一致した方向Ｆ
に回転可能なローラ４と、ローラの逆回転を防止するラ
ッチ８とを設け、踏段上の乗客の足先が乗降口のクシに
乗り上げた場合に、ローラが回転することによりスムー
ズに乗降口の床板上に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、踏段のクリート溝と
係合するクシ歯を有するエスカレータ用クシに関し、特
に踏段上の乗客が乗降口の接近に気がつかない場合でも
乗心地を損なうことのないエスカレータ用クシに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エスカレータ装置においては、
乗客を乗せて移動する各踏段（ステップ）のクリート溝
の間に落下物が挟まることを防止するため、クリート溝
と係合するクシ（コム）が乗降口の床板に設けられてい
る。図５は従来のエスカレータ用クシをエスカレータ装
置全体とともに示す側面図である。図において、１はエ
スカレータ乗降口の床板、２はエスカレータの踏段、３
は床板１と踏段２との境目に設けられたエスカレータ用
のクシ、１０はエスカレータの手摺である。

【０００３】図６は図５内の一点鎖線Ｃ内のクシ３を拡
大して示す平面図、図７は図６内のＤ−Ｄ線による断面
図であり、各図において、２ａは踏段２の上面に形成さ
れたクリート溝、３ａはクシ３の先端部に設けられてク
リート溝２ａと係合するクシ歯である。従来のエスカレ
ータ用クシは、図５〜図７のように構成されており、ク
シ３の先端部のクシ歯３ａが踏段２上のクリート溝２ａ
と係合することにより、床板１の先端部と踏段２との隙
間に異物が落下して挟まることを防止している。

【０００４】また、エスカレータの乗客は、特に踏段２
から降りるときに、エスカレータの進行に伴うクシ３の
接近を事前に感知し、乗降口において踏段２と床板１と
の間でクシ３をまたいでいる。しかしながら、踏段２上
の乗客がクシ３の接近に気がつかなかった場合には、ク
シ歯３ａに足先が衝合して体の平衡を失い、乗心地を損
なうおそれがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のエスカレータ用
クシは以上のように、乗客の足先に衝合した場合の対策
が施されていないので、乗降口の接近に気がつかない場
合に乗心地を損なうおそれがあるという問題点があっ
た。

【０００６】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、エスカレータの乗客が乗降口の
接近に気がつかない場合でも乗心地を損なうことのない
エスカレータ用クシを得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１に係
るエスカレータ用クシは、移動する踏段のクリート溝と
係合するように乗降口に配置されたクシ歯を備え、回転
面の一部がクシの上面に突出し且つ踏段の進行方向と一
致した方向に回転可能なローラと、ローラの逆回転を防
止するラッチとを設けたものである。

【０００８】この発明の請求項２に係るエスカレータ用
クシは、請求項１において、ラッチの先端部と係合する
凹凸部をローラの外周表面に設けたものである。

【０００９】

【作用】この発明の請求項１においては、踏段上の乗客
が乗降口の接近に気付かず、乗客の足先がクシに乗り上
げた場合に、ローラが回転することによりスムーズに乗
降口の床板上に移動させる。

【００１０】また、この発明の請求項２においては、ロ
ーラ外周表面の凹凸部により不必要な滑りを防止すると
ともに、凹凸部をラッチと係合させて逆回転防止機構を
構成する。

【００１１】

【実施例】

実施例１．以下、この発明の実施例１を図について説明
する。図１はこの発明の実施例１を示す斜視図、図２は
この発明の実施例１を示す平面図、図３は図２内のＡ−
Ａ線による断面図、図４は図３内の一点鎖線Ｂ内を拡大
して示す断面図であり、各図において、２、２ａ、３お
よび３ａは前述と同様のものである。また、エスカレー
タ装置全体は図５に示した通りである。

【００１２】４はクシ３の先端部に枢着されたローラで
あり、回転面の一部がクシ３の上面から突出するように
配置されている。矢印Ｅは踏段２の進行方向、矢印Ｆは
ローラ４の回転可能な方向である。

【００１３】また、図４において、４ａはローラ４の回
転軸、４ｂはローラ４の外周表面に設けられた凹凸部、
５はローラ４の回転軸４ａを枢着して位置決めする軸
受、６は軸受５を固定する支持部、７は支持部６をクシ
３の裏面に一体に固定するボルト、８は凹凸部４ｂと係
合してローラ４の逆回転防止機構を構成するラッチであ
る。この場合、ローラ４の凹凸部４ｂは、滑り防止機能
を有するとともに、逆回転防止用の掛かり代としても機
能する。

【００１４】次に、図５を参照しながら、図１〜図４に
示したこの発明の実施例１の動作について説明する。い
ま、踏段２上の乗客が、不注意のためにクシ３の接近に
気付かず、クシ３の先端部に乗客の足先が衝合したとす
る。このとき、乗客の足先は、踏段２の移動速度に応じ
て、クシ３の上面から突出されたローラ４の回転面に乗
り上げ、スムーズにクシ３上に誘導されて移動する。し
たがって、体の平衡を失うなどによって乗客の乗心地を
損なうことは全くなく、乗降口の床板１上に乗り移るこ
とができる。

【００１５】また、凹凸部４ｂがラッチ８と係合してい
るので、ローラ４に対して回転方向Ｆとは逆方向の力が
印加されても、ラッチ８の先端部が凹凸部４ｂに引っ掛
かるため逆回転することはない。したがって、ローラ４
は、進行方向Ｅと一致した方向Ｆのみに回転可能であっ
て不必要な方向に逆回転することがないので、乗降口で
歩き出そうとする乗客の足を滑らせることがなく、乗客
の安全性を損なうことはない。

【００１６】さらに、凹凸部４ｂとラッチ８との間で適
度の回転負荷を有しているので、ローラ４が不必要に回
転し過ぎることがなく、踏段２から要乗降口に降りた乗
客が足を取られることもない。

【００１７】実施例２．なお、上記実施例１では、ロー
ラ４を一体的に構成したが、回転軸４ａ方向に沿って複
数に分割してもよい。また、ローラ４の外周表面に凹凸
部４ｂを設けてラッチ８と係合させたが、ローラ４が滑
りにくい材質で形成されていれば、特に凹凸部４ｂを設
ける必要はない。この場合、ラッチ８と係合する逆回転
防止機構を、たとえば回転軸４ａに設ければよい。

【００１８】

【発明の効果】以上のようにこの発明の請求項１によれ
ば、移動する踏段のクリート溝と係合するように乗降口
に配置されたクシ歯を備え、回転面の一部がクシの上面
に突出し且つ踏段の進行方向と一致した方向に回転可能
なローラと、ローラの逆回転を防止するラッチとを設
け、踏段上の乗客の足先が乗降口のクシに乗り上げた場
合に、ローラが回転することによりスムーズに乗降口の
床板上に移動させるようにしたので、乗客が乗降口の接
近に気がつかない場合でも乗心地を損なうことのないエ
スカレータ用クシが得られる効果がある。

【００１９】この発明の請求項２によれば、請求項１に
おいて、ラッチの先端部と係合する凹凸部をローラの外
周表面に設け、逆回転防止機構を構成するとともに不必
要な滑りを防止するようにしたので、簡単な構成でエス
カレータの乗客が乗降口の接近に気がつかない場合でも
乗心地を損なうことのないエスカレータ用クシが得られ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施例１を示す斜視図である。

【図２】 この発明の実施例１を示す平面図である。

【図３】 図２内のＡ−Ａ線による断面図である。

【図４】 図３内の一点鎖線Ｂ内を拡大して示す断面図
である。

【図５】 従来のエスカレータ用クシをエスカレータ装
置全体とともに示す側面図である。

【図６】 図５内の一点鎖線Ｃ内を拡大して示す平面図
である。

【図７】 図６内のＤ−Ｄ線による断面図である。

【符号の説明】

１ 床板、２ 踏段、２ａ クリート溝、３ クシ、３
ａ クシ歯、４ ローラ、４ａ 回転軸、４ｂ 凹凸
部、８ ラッチ、Ｅ 進行方向、Ｆ 回転方向。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動する踏段のクリート溝と係合するよ
   うに乗降口の床板に配置されたクシ歯を備えたエスカレ
   ータ用クシにおいて、 回転面の一部がクシの上面に突出し且つ前記踏段の進行
   方向と一致した方向に回転可能なローラと、 前記ローラの逆回転を防止するラッチとを設けたことを
   特徴とするエスカレータ用クシ。
2. 【請求項２】 前記ラッチの先端部と係合する凹凸部
   を、前記ローラの外周表面に設けたことを特徴とする請
   求項１のエスカレータ用クシ。