JPH0733919A - タルク含有ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

タルク含有ポリプロピレン樹脂組成物

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JPH0733919A
JPH0733919A JP17673193A JP17673193A JPH0733919A JP H0733919 A JPH0733919 A JP H0733919A JP 17673193 A JP17673193 A JP 17673193A JP 17673193 A JP17673193 A JP 17673193A JP H0733919 A JPH0733919 A JP H0733919A
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JP
Japan
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mfr
talc
ethylene
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JP17673193A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Miyanaga
俊明 宮永
Takeshi Fujikawa
健 藤川
Kazuto Okamura
一人 岡村
Kiichi Yonetani
起一 米谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高いMFRを有して優れた成形性を発揮し、
成形品外観に優れており、曲げ弾性率や耐衝撃性等の機
械的強度においても優れた特性を有するタルク含有ポリ
プロピレン樹脂組成物をはじめとして、優れた機械的強
度と低比重であって軽量化に優れているタルク含有ポリ
プロピレン樹脂組成物や、特に低温時のIZ値や常温時
の曲げ弾性率において優れた特性を有するタルク含有ポ
リプロピレン樹脂組成物等の優れた物性バランスを有す
るタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を提供する。 【構成】 メルトフロ−レイト(MFR)1〜60g/
10分の高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−50〜9
8重量%と、MFRが0.5〜3g/10分であってエ
チレン含有量が90重量%以下のエチレン成分含有エラ
ストマー、又は、MFRが0.1〜5g/10分であっ
てスチレン含有量が8〜70重量%のスチレン成分含有
水添ブロック共重合体18〜2重量%とを主体とする樹
脂成分100重量部に対して、平均粒子径10μm以下
のタルク0.5〜20重量部を配合したタルク含有ポリ
プロピレン樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、タルク含有ポリプロ
ピレン樹脂組成物に係り、更に詳しくは、優れた成形性
や、弾性率、耐衝撃性等の機械的強度において優れた特
性を有するタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車部品や家電製品用部品等に
おいては、その軽量化や経済性等の観点から、プラスチ
ック化が進んでおり、なかでもポリプロピレン系樹脂は
成形性、経済性、成形品の外観形状、更には剛性や耐衝
撃性等の機械的強度に優れていることから広範に使用さ
れている。
【0003】特に最近では、これらのポリプロピレン系
樹脂について、更に軽量化や高剛性化を進める目的で、
従来知られているポリプロピレン樹脂よりも更に結晶化
度が進んだ高結晶性ポリプロピレン(特開昭61-155,435
号公報、特開昭63-191,809号公報、特開平 2-138,351号
公報、特開平 3-280,208号公報等)が開発され、特に造
核剤等を添加する(特公昭39-1,809号公報、特開昭60-1
39,731号公報)ことなくポリプロピレン樹脂の結晶化度
を高めて、剛性や強度を向上させることが提案されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの高結晶性ポリプロ
ピレン樹脂では、剛性及び強度は向上するものの、結晶
化度の増加に伴うポリプロピレン樹脂の脆性化は避けら
れず、引張破断伸びやアイゾット衝撃値(以下、IZ値
と略称する)等の耐衝撃性が低下する、特に低温時の耐
衝撃性が著しく低下するという問題がある。
【0005】そこで、このような問題を解消する目的
で、例えば、共重合によって耐衝撃性を高めた高結晶性
エチレン−プロピレンブロック共重合樹脂に、更にスチ
レン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプ
レンブロック共重合体等を添加する方法(特公平3-55,5
07号公報)や、高結晶性ポリプロピレン樹脂にスチレン
−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体若し
くはスチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体
を添加する方法(特公平4-80,060号公報)等が提案され
ている。
【0006】しかしながら、このような方法において
は、IZ値に代表される耐衝撃性等の物性は向上するも
のの、ブロック共重合体の添加による剛性の低下やメル
トフローレイト(以下、MFRと略称する)の低下が大
きく、成形性が悪化するという問題があった。
【0007】また、このような欠点を補い、剛性及び耐
衝撃性のバランスを保つことを目的として、高結晶性エ
チレン−プロピレンブロック共重合樹脂にフィラーとし
てタルクを添加する方法(特開昭 63-97,654号公報)も
提案されているが、フィラ−の添加に伴って大幅な引張
破断伸びの低下が生じるばかりでなく、剛性や耐衝撃性
を高いレベルに維持することが困難になるという問題も
ある。
【0008】更に、このような高結晶性ポリプロピレン
樹脂を用いる場合において、その流動性向上のために、
過酸化物等を用いた反応押出の操作によって低分子量化
し、これによって高いMFRを有する樹脂とすることも
できるが、このような場合には、一般のポリプロピレン
樹脂に見られる場合以上に、MFRの上昇(分子量低
下)に伴う急激な引張破断伸びの低下〔高分子化学, 2
3, 799 (1966)、高分子化学, 22, 597 (1965)〕が大き
い等、耐衝撃性が一層低くなる傾向があり、実用上の大
きな障害になっていた。
【0009】このように、タルク含有ポリプロピレン樹
脂組成物において、高いMFR、すなわち良好な成形性
に加えて成形品外観に優れ、しかも、剛性や、耐衝撃性
及び引張破断伸び等の機械的強度の全てにおいて満足で
きる材料を得ることは非常に困難であり、未だそのよう
な材料は得られていないのが現状である。そして、成形
品が大型であるような場合には、特に高流動性と低比重
とが要求され、また、成形品の用途が自動車部品である
ような場合には、その機械的強度、特に常温時の曲げ弾
性率と低温時のIZ値とについてそれぞれある値以上の
優れた性能が要求されるが、このように、高流動性と低
比重とを満足し、あるいは、常温時の曲げ弾性率と低温
時のIZ値とを満足するような材料の開発も要請されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、これらの問題を解決するために鋭意検討した結果、
所定のMFRを有する高結晶性プロピレンホモポリマ−
と所定のMFRを有するエチレン成分含有エラストマー
又はスチレン成分含有水添ブロック共重合体とを主体と
する樹脂成分に、平均粒子径10μm以下のタルクを所
定の割合で配合したタルク含有ポリプロピレン樹脂組成
物が、上記問題を解決するうえで最適な組成物であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0011】従って、本発明の第一の目的は、高いMF
Rを有して優れた成形性を発揮し、成形品外観に優れて
いるほか、曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械的強度におい
て優れた特性を有するタルク含有ポリプロピレン樹脂組
成物を提供することにある。また、本発明の第二の目的
は、曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械的強度において優れ
た特性を発揮するだけでなく、比重の面においても低比
重であって樹脂本来の特性である軽量化に優れているタ
ルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を提供することにあ
る。更に、本発明の第三の目的は、特に常温時の曲げ弾
性率及び低温時のIZ値において優れた特性を有するタ
ルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、メ
ルトフロ−レイト(MFR)1〜60g/10分の高結
晶性ポリプロピレンホモポリマ−50〜98重量%と、
MFRが0.5〜3g/10分であってエチレン含有量
が90重量%以下のエチレン成分含有エラストマー、又
は、MFRが0.1〜5g/10分であってスチレン含
有量が8〜70重量%のスチレン成分含有水添ブロック
共重合体18〜2重量%とを主体とする樹脂成分100
重量部に対して、平均粒子径10μm以下のタルク0.
5〜20重量部を配合したタルク含有ポリプロピレン樹
脂組成物である。ここで、樹脂成分には、MFR3〜4
0g/10分のエチレン−プロピレンブロックコポリマ
ーを40〜1重量%の範囲で配合してもよく、また、M
FR1〜30g/10分の高密度ポリエチレンを20〜
1重量%の範囲内であって、この高密度ポリエチレンが
樹脂成分中に占める割合(a重量%)とエチレン成分含
有エラストマ−が樹脂成分中に占める割合(b重量%)
との比(a/b)が0.5〜2の範囲内となる割合で配
合してもよい。なお、本発明にいうMFRは、ASTM
D−1238に準拠して230℃、荷重2.16kg
及び滞留時間5分間の条件下で測定された値である。
【0013】本発明で主たる樹脂成分の1つとして用い
る高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−は、例えば、特
開昭61−155,435号公報、特開昭63−19
1,809号公報、特開平2−138,351号公報、
特開平3−280,208号等で開示されている一般的
な高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−である。ここ
で、「高結晶性」についてより詳しく説明すると、例え
ば、特開昭63−191,809号公報に開示されてい
るように、MFRと赤外線吸収スペクトル法による吸光
度比IR−τ(赤外線の波数997cm-1と973cm
-1における吸光度比、IR−τ=A997 /A973 )と
が、下記式(1)の関係 IR−τ≧0.0203×log(MFR)+0.950 (1) を満足し、かつ、MFRが1〜60g/10分であるポ
リプロピレンホモポリマ−であり、このポリプロピレン
ホモポリマ−を溶解したキシレンの希薄溶液を撹拌しな
がら徐冷した際に最初に析出してくる2〜3重量%の析
出成分のIR−τが0.97以上であって、この析出成
分の重量平均分子量(Mw1)とこのポリプロピレンホモ
ポリマ−の重量平均分子量(Mw0)との比(Mw1
w0)が3以上である点に代表される特徴を有すること
が挙げられる。従って、ポリプロピレンホモポリマーの
物性値が、上記記載の条件を外れる場合、いわゆる本発
明でいう「高結晶性」の性能を充分に発現できない可能
性がある。
【0014】ここで、高いMFRを有して優れた成形性
と成形品外観とを備え、曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械
的強度においても優れた特性を有するタルク含有ポリプ
ロピレン樹脂組成物を得るためには、使用する高結晶性
ポリプロピレンホモポリマ−は、好ましくはMFR5〜
30g/10分であるのがよい。また、優れた曲げ弾性
率や耐衝撃性等の機械的強度を備え、同時に低比重であ
って樹脂本来の特性である軽量化に優れているタルク含
有ポリプロピレン樹脂組成物を得るためには、使用する
高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−は、好ましくはM
FR1〜30g/10分、より好ましくはMFR5〜2
0g/10分である。更に、特に常温時の曲げ弾性率及
び低温時のIZ値において優れた特性を有するタルク含
有ポリプロピレン樹脂組成物を得るためには、使用する
高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−は、好ましくはM
FR1〜40g/10分、より好ましくはMFR2〜1
5g/10分である。
【0015】また、本発明で主たる樹脂成分の他の1つ
として用いるエチレン成分含有エラストマ−は、一般に
知られている弾性限界の大きい高分子材料(成沢郁夫著
オ−ム社発行「高分子材料強度学」第50頁記載)であ
り、より詳しくは、弾性限界値に対応する引張伸度が3
00%以上の高分子材料である。そして、このエチレン
成分含有エラストマ−については、そのMFRが0.5
〜3g/10分であってエチレン含有量が90重量%以
下である必要があり、好ましくはそのエチレン含有量が
30〜85重量%であるエチレン−プロピレン−ラバー
(EPR)であり、より好ましくはMFR0.8〜2g
/10分及びエチレン含有量45〜65重量%のEPR
である。エチレン成分含有エラストマ−のMFRが0.
5〜3g/10分の範囲を外れてMFRが0.5g/1
0分より小さくなると、エチレン成分含有エラストマ−
の粘性が高すぎることによるエラストマー成分の分散不
良が生じ、良好な物性が得られず、反対に、3g/10
分より大きくなると、エラストマーの靱性が低下して耐
衝撃性が急激に低下する等の問題が生じる。更に、エチ
レン含有量が45〜65重量%の範囲外であると、エチ
レン成分が有する物性発現性が低くなったり、あるい
は、ポリエチレンに近い物性発現性を示すようなことも
なく、物性バランスが好ましいものとなる。
【0016】更に、本発明で主たる樹脂成分の他の1つ
として用いるスチレン成分含有水添ブロック共重合体と
しては、一般に知られている汎用のものでよいが、より
詳しくは、スチレン系化合物重合体ブロックと共役ジエ
ン系化合物重合体ブロックからなる重合体であって、こ
のブロック共重合体中の二重結合の20重量%以上、好
ましくは50重量%以上が水素により飽和されている水
添ブロック共重合体である。ここで、スチレン系化合物
重合体ブロックを形成するスチレン系化合物としては、
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、p−tert−ブチルスチレン等が挙げられ、これ
らはその単独であっても、2種類以上の組合せであって
もよく、また、共役ジエン系化合物重合体ブロックを形
成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、これらはその
単独であっても、2種類以上の組合せであってもよく、
更に、これらの中で特に好ましいのは、スチレン系化合
物がスチレンであって、共役ジエン化合物がブタジエン
又はイソプレンである。
【0017】このようなスチレン成分含有水添ブロック
共重合体は、基本的には、次のようなスチレン系化合物
からなる重合体ブロックA(以下、Aと記載する)と共
役ジエンからなる重合体B(以下、Bと記載する)との
ブロック構造を有するものである。 (A−B)m 、(但し、mは1〜5の整数である)
のブロックを有するブロック共重合体を水素添加して得
られるもの。例えば、B−A、B−A−B−A、B−A
−B−A−B−A、B−A−B−A−B−A−B−A等
のブロック構造を有するブロック共重合体が水素添加さ
れたもの。 ポリマ−末端がスチレン系化合物である重合体ブロ
ック。例えば、A−B−A、A−B−A−B−A等のブ
ロック構造を有するブロック共重合体が水素添加された
もの。 ポリマ−末端が共役ジエン化合物である重合体ブロ
ック。例えば、B−A−B、B−A−B−A−B等のブ
ロック構造を有するブロック共重合体が水素添加された
もの。
【0018】本発明で用いるスチレン成分含有水添ブロ
ック共重合体は、そのMFRが0.1〜5g/10分の
範囲であってスチレン含有量8〜70重量%である必要
があり、好ましくは水添スチレン−ブチジエン共重合体
(S−EB)又は水添スチレン−イソプレン共重合体
(S−EP)であり、より好ましくはMFRが0.5〜
2g/10分であって、スチレン含有量が10〜40重
量%であるS−EB又はS−EPである。スチレン成分
含有水添ブロック共重合体のMFRが上記0.5〜2g
/10分の範囲内であれば、粘性が高すぎて分散不良が
生じたり、靱性が低下して耐衝撃性が急激に低下する等
の問題がなく、物性バランスも好ましいものとなる。ま
た、スチレン成分含有水添ブロック共重合体のスチレン
含有量8〜70重量%の範囲内であると、スチレン含有
共重合体としての特徴が損なわれたり、ポリスチレンに
近い物性発現性を示すこともなく、物性バランスに優れ
たものとなる。
【0019】上記樹脂成分中における高結晶性ポリプロ
ピレンホモポリマ−とエチレン成分含有エラストマ−又
はスチレン成分含有水添ブロック共重合体の割合は、通
常高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−が50〜98重
量%であって、エチレン成分含有エラストマ−又はスチ
レン成分含有水添ブロック共重合体が18〜2重量%で
あり、この樹脂成分中には、必要により、MFR3〜4
0g/10分のエチレン−プロピレンブロックコポリマ
ーが40〜1重量%の範囲で、あるいは、MFR1〜3
0g/10分の高密度ポリエチレンが20〜1重量%の
範囲で配合される。
【0020】ここで用いられるMFR3〜40g/10
分のエチレン−プロピレンブロックコポリマーとして
は、一般に知られている汎用のもの(高木謙行著日刊工
業新聞社発行「ポリプロピレン樹脂」第62〜64頁記
載)でよいが、好ましくは、ブロックコポリマ−中に占
めるエチレン含有量が20重量%以下であり、かつ、非
晶性成分量が25重量%以下であるエチレン−プロピレ
ンブロックコポリマ−である。また、MFR1〜30g
/10分の高密度ポリエチレンについては、密度が0.
95以上の汎用のポリエチレンポリマ−であり、好まし
くはMFRが2〜15g/10分のものである。ここ
で、使用するエチレン−プロピレンブロックコポリマー
のMFRが上記範囲を外れ、MFRが3g/10分より
小さくなると、樹脂組成物のMFRが低下し、高流動性
を保つことができなくなり、反対に、MFRが40g/
10分を越えると、靱性が低下し、樹脂組成物の耐衝撃
性が低下する等の問題が生じる。また、このエチレン−
プロピレンブロックコポリマー中のエチレン含有量や非
晶性成分量が上記記載の範囲内であれば、粘性が急激に
増加し、組成物のMFRが低下し、高流動性が保てなく
なるという問題がなく、好ましい物性バランスを発揮す
る。更に、高密度ポリエチレンのMFRと諸物性につい
ても、上記エチレン−プロピレンブロックコポリマーの
場合と同様の傾向がみられる。
【0021】これらMFR3〜40g/10分のエチレ
ン−プロピレンブロックコポリマー及びMFR1〜30
g/10分の高密度ポリエチレンは、目的とする樹脂組
成物に応じて樹脂成分中に必要により適宜配合されるも
のである。そして、本発明において、好ましい配合例と
しては、以下のものが挙げられる。
【0022】 高いMFR、具体的にはMFR10〜
60g/10分、好ましくは10〜40g/10分を有
して優れた成形性と成形品外観とを備え、曲げ弾性率や
耐衝撃性等の機械的強度においても優れた特性を有する
タルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を得るために、M
FR1〜60g/10分の高結晶性ポリプロピレンホモ
ポリマ−が80〜99重量%、好ましくは90〜98重
量%であって、MFR0.5〜3g/10分のエチレン
成分含有エラストマ−が18〜2重量%、好ましくは1
0〜2重量%であり、エチレン−プロピレンブロックコ
ポリマーや高密度ポリエチレンを含まないもの。なお、
ここで、タルク含有ポリプロピレン樹脂組成物のMFR
については、60g/10分を越えると良好な物性バラ
ンスを得るのが困難となり、反対に、10g/10分よ
り小さいと成形時の流動性が不十分であって、何れも樹
脂組成物として好ましくない。
【0023】 同様に、高いMFR、具体的にはMF
R10〜60g/10分を有して優れた成形性と成形品
外観とを備え、曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械的強度に
おいても優れた特性を有するタルク含有ポリプロピレン
樹脂組成物を得るために、MFR1〜60g/10分の
高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−が50〜97重量
%、好ましくは67〜93重量%であって、MFR0.
5〜3g/10分のエチレン成分含有エラストマ−が1
0〜2重量%、好ましくは8〜2重量%であり、かつ、
MFR3〜40g/10分のエチレン−プロピレンブロ
ックコポリマー40〜1重量%、好ましくは25〜5重
量%であるもの。
【0024】 優れた曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械
的強度を備え、同時に低比重、具体的には比重が1.0
以下であり、樹脂本来の特性である軽量化に優れている
タルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を得るために、M
FR1〜30g/10分の高結晶性ポリプロピレンホモ
ポリマ−が65〜97重量%、好ましくは75〜92重
量%であって、MFR0.5〜3g/10分のエチレン
成分含有エラストマ−が15〜2重量%、好ましくは7
〜2重量%であり、かつ、MFR1〜30g/10分の
高密度ポリエチレン20〜1重量%、好ましくは高密度
ポリエチレンのMFRが10〜30g/10分であって
この高密度ポリエチレンが樹脂成分中に占める割合(a
重量%)と上記エチレン成分含有エラストマ−が樹脂成
分中に占める割合(b重量%)との比(a/b)が0.
5〜2、より好ましくは0.8〜1.5の範囲となる割
合であるもの。
【0025】 特に優れた常温時の曲げ弾性率、具体
的には23℃でのASTM D−790に基づく曲げ弾
性率が20,000kgf/cm2 以上、及び、優れた
低温時のIZ値、具体的には−20℃でのASTM D
−256に基づくアイゾット衝撃値が3.0kg/cm
2 以上の特性を有するタルク含有ポリプロピレン樹脂組
成物を得るために、MFR1〜40g/10分の高結晶
性ポリプロピレンホモポリマ−が87〜98重量%、好
ましくは93〜97重量%であって、MFR0.1〜5
g/10分のスチレン成分含有水添ブロック共重合体が
13〜2重量%、好ましくは7〜3重量%であるもの。
【0026】本発明においては、上述した樹脂成分10
0重量部に対して、平均粒子径10μm以下、好ましく
は5μm以下のタルクを0.5〜20重量部の割合で配
合する。ここで、タルクの平均粒子径とは、図1に示さ
れる円盤状フィラ−の形状モデルにおいて記号μで示さ
れる長さであり、本発明において示されたタルクの平均
粒子径の数値は何れも光散乱法で測定された値である。
本発明で用いるタルクの種類については、上記の平均粒
子径を有するものであれば特に限定はなく、表面処理さ
れていないものでも、また、各種の表面処理剤によって
表面処理されたものでもよい。
【0027】このタルクの配合割合は、上記の通り、樹
脂成分100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲
であればよいが、好ましくは樹脂組成物に対して要求さ
れる種々の物性に応じて適宜決定する。例えば、MFR
10〜60g/10分という高いMFRを有して優れた
成形性と成形品外観とを備え、曲げ弾性率や耐衝撃性等
の機械的強度においても優れた特性を有するタルク含有
ポリプロピレン樹脂組成物を得るためには0.5〜20
重量部、好ましくは3〜15重量部であるのがよく、ま
た、優れた曲げ弾性率や耐衝撃性等の機械的強度を備
え、同時に比重1.0以下という低比重であり、樹脂本
来の特性である軽量化に優れているタルク含有ポリプロ
ピレン樹脂組成物を得るためには0.5〜15重量部で
あるのがよく、更に、特に優れた常温時の曲げ弾性率及
び低温時のIZ値を有するタルク含有ポリプロピレン樹
脂組成物を得るためには1〜15重量部、好ましくは4
〜10重量部であるのがよい。
【0028】本発明のタルク含有ポリプロピレン樹脂組
成物には、必要に応じて、通常ポリプロピレンに添加さ
れる種々の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電
防止剤、紫外線吸収剤、重金属安定剤(銅害防止剤)、
着色剤等を適宜併用使用することができる。また、本発
明のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物には、本発明
の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分、例
えば炭酸カルシウム、ガラス繊維、マイカ、ワラストナ
イト、ゼオライト等の無機充填剤や、難燃剤、難燃助剤
等を添加することもできる。なお、本発明のタルク含有
ポリプロピレン樹脂組成物を調製する方法については、
特に限定されるものではないが、好ましくは単軸押出機
や二軸押出機等を用いて混練する方法が挙げられる。
【0029】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較
例に限定されるものではない。
【0030】実施例1〜2、比較例1〜4 表1に示す組成のドライブレンド物を調製し、30mm
φの二軸押出機を用いてシリンダ−温度210℃の条件
で混練し、実施例1〜2及び比較例2〜4のタルク含有
ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。得られた
実施例1〜2及び比較例2〜4のペレットについて、M
FRを測定すると共に、射出成形機を用いてテストピ−
スを作成し、表1に示す機械的物性の測定を行った。な
お、比較例1については、混練を行わないこと以外は、
上記実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に
示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果から、良好な流動性が発現する
MFRが30〜35g/10分程度の領域において、高
結晶性ポリプロピレンホモポリマ−のみの比較例1では
引張破断伸びが低く、また、高結晶性ポリプロピレンホ
モポリマ−とタルクのみからなる比較例2では、曲げ弾
性率は向上するものの、引張破断伸びが一層低下し、更
に、高結晶性エチレン−プロピレンブロックコポリマ−
とタルクからなる比較例3では、引張破断伸びは若干向
上するものの、曲げ弾性率が低下し、良好な物性バラン
スが得られない。また、高結晶性ポリプロピレンホモポ
リマ−を一般のポリプロピレンホモポリマ−に代えた比
較例4では、曲げ弾性率が低く、良好な物性が得られな
い。
【0033】これに対して、高結晶性ポリプロピレンホ
モポリマ−、EPR及びタルクからなる実施例1におい
ては、曲げ弾性率、引張破断伸び及びIZ値の何れにお
いても良好な値を示して物性の良好なバランスが保たれ
ており、更に、高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−、
エチレン−プロピレンブロックコポリマ−、EPR及び
タルクからなる実施例2においては、IZ値がより一層
向上し、更に良好な物性バランスが得られている。以上
のことから、良好な物性バランスを達成するためには、
本発明の組成物のように、少なくとも高結晶性ポリプロ
ピレンホモポリマ−、EPR及びタルクの組合せが必要
であることがわかる。
【0034】実施例3〜5、比較例5〜6 樹脂成分としてMFRが10g/10分の高結晶性ポリ
プロピレンホモポリマ−とMFRが1g/10分であっ
てエチレン含有量が54重量%のEPRとを使用し、こ
の樹脂成分100重量部に対して平均粒子径2μmのタ
ルク8重量部を配合し、樹脂成分中のEPRの割合が
0.5〜25.0重量%の範囲であって、MFRが約1
1〜14g/10分である実施例3〜5及び比較例5〜
6のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を調製し、実
施例1と同様の物性について評価した。結果を表2に示
す。
【0035】
【表2】
【0036】この表2の結果から、EPRの配合量が
0.5重量%である比較例5の場合には引張破断伸び及
びIZ値が低下し、また、EPRの配合量が25.0重
量%である比較例6の場合には急激な曲げ弾性率の低下
が生じている。これに対して、EPRの配合量がそれぞ
れ3.0重量%、5.0重量%及び10.0重量%であ
る実施例3〜5の場合には、MFR、曲げ弾性率、引張
破断伸び及び耐衝撃性の何れの物性も良好であって物性
バランスに優れていることが判明した。
【0037】実施例6〜7、比較例7〜8 MFRが10g/10分の高結晶性ポリプロピレンホモ
ポリマ−を82重量%、MFRが30g/10分の一般
のエチレン−プロピレンブロックコポリマ−を15重量
%、及び、MFRが1g/10分であってエチレン含有
量が54重量%のEPRが3重量%の割合の樹脂成分を
使用し、この樹脂成分100重量部に対して平均粒子径
2μmのタルクを0.1〜25.0重量部の範囲で配合
し、実施例6及び7並びに比較例7及び8のタルク含有
ポリプロピレン樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組
成物について、実施例1と同様にそのMFR及び機械的
物性を測定した。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】この表3の結果から、タルクの配合量が
0.1重量部の比較例7では曲げ弾性率が低下し、ま
た、タルクの配合量が25.0重量部の比較例8では急
激な引張破断伸び及びIZ値の低下が観察された。これ
に対して、タルクの配合量が8.0重量部及び15.0
重量部である実施例6及び7の場合には、MFR、曲げ
弾性率、引張破断伸び及び耐衝撃性の何れの物性も良好
であり、物性バランスに優れていることが判明した。
【0040】実施例8〜9、比較例9〜10 樹脂成分としてMFRが10g/10分の高結晶性ポリ
プロピレンホモポリマ−92.2重量%及びEPR成分
7.8重量%の配合割合のものを使用し、この樹脂成分
100重量部に対して平均粒子径2μmのタルク11.
1重量部を配合し、この際にEPR成分としてMFR及
びエチレン含有量の異なるものを使用し、実施例8〜9
及び比較例9〜10のタルク含有ポリプロピレン樹脂組
成物を調製した。得られた樹脂組成物について、実施例
1と同様にそのMFR及び機械的物性を測定した。結果
を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】この表4の結果から、MFRが0.05g
/10分のEPRを使用した比較例9ではMFRと曲げ
弾性率が大幅に低下し、また、エチレン含有量が95重
量%のEPRを使用した比較例10では引張破断伸び及
びIZ値が大幅に低下しているのが観察された。これに
対して、EPRのMFRが0.8g/10分でエチレン
含有量が54重量%の実施例8及びEPRのMFRが
0.8g/10分でエチレン含有量が74重量%の実施
例9の場合には、MFR、弾性率、引張破断伸び及び耐
衝撃性の何れの物性も良好であり、物性バランスに優れ
ていることが判明した。
【0043】実施例10〜11、比較例11 樹脂成分としてMFRが10g/10分の高結晶性ポリ
プロピレンホモポリマ−94.7重量%及びMFRが1
g/10分であってエチレン含有量が74重量%のEP
Rが5.3重量%の配合割合のものを使用し、この樹脂
成分100重量部に対して平均粒子径が2μm、5μm
及び20μmの3種類のタルクをそれぞれ5.3重量部
配合して実施例10〜11及び比較例11のタルク含有
ポリプロピレン樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組
成物について、実施例1と同様にそのMFR及び機械的
物性を測定した。結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
【0045】この表5の結果から、平均粒子径20.0
μmのタルクを用いた比較例11では、弾性率、引張破
断伸び及びIZ値が大きく低下することが観察された。
これに対して、平均粒子径2.0μm及び5.0μmの
タルクを用いた実施例10及び11の場合には、MF
R、弾性率、引張破断伸び及び耐衝撃性の何れの物性も
良好であり、物性バランスに優れていることが判明し
た。
【0046】実施例12、比較例12〜14 30mmφの二軸押出機を用いて、表6に示す組成のド
ライブレンド物をシリンダ−温度210℃の条件で混練
し、実施例12及び比較例12〜14のタルク含有ポリ
プロピレン樹脂組成物のペレットを調製した。得られた
ペレットを用いて、MFRを測定すると共に、射出成形
機を用いてテストピ−スを作成し、表6に示す機械的物
性についての測定を行った。なお、樹脂成分として高結
晶性ポリプロピレンホモポリマーのみを用いた比較例1
については、混練を行わなかった。結果を表6に示す。
【0047】
【表6】
【0048】この表6の結果から、高結晶性ポリプロピ
レンホモポリマ−のみの比較例12の場合には引張破断
伸びが低く、また、高結晶性ポリプロピレンホモポリマ
−とタルクのみからなる比較例13では、曲げ弾性率は
向上するものの、引張破断伸びがより一層低下し、更
に、高結晶性エチレン−プロピレンブロックコポリマ−
とタルクからなる比較例14では、引張破断伸びは若干
向上するものの、曲げ弾性率は低下し、良好な物性バラ
ンスが得られない。これに対して、高結晶性ポリプロピ
レンホモポリマ−、EPR、高密度ポリエチレン(HD
PE)及びタルクからなる実施例12の場合には、弾性
率、引張破断伸び及び耐衝撃性の何れの物性も良好であ
り、物性バランスに優れていることが判明した。
【0049】実施例13〜14、比較例15〜17 樹脂成分としてMFRが10g/10分である高結晶性
ポリプロピレンホモポリマ−が{100−(a+b)}
重量%、MFRが1g/10分であってエチレン含有量
が54重量%であるEPRがa重量%、及び表7に示す
MFRのHDPEがb重量%の割合のものを使用し、こ
の樹脂成分100重量部に対して平均粒子径2μmのタ
ルク8重量部を配合して、実施例13〜14及び比較例
15〜17のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を調
製し、この際に、樹脂成分中に占めるEPRの配合量を
5重量%と一定にすると共に、HDPEの重量%(a)
とEPRの重量%(b)の比率(a/b)を表7に示す
ように0.1〜4.0の範囲で変化させ、実施例1と同
様にしてその機械的物性を評価した。結果を表7に示
す。
【0050】
【表7】
【0051】表7の結果からもわかるように、a/bが
0.1である比較例15の場合には引張破断伸び及びI
Z値が低下し、逆に、a/bが4.0である比較例17
の場合にも急激な曲げ弾性率の低下が生じ、更に、a/
bが1.0であっても用いるHDPEのMFRが40.
0g/10分である比較例16の場合においても引張破
断伸びの急激な低下が生じる。これに対して、a/bが
1.0であってHDPEのMFRが10.0g/10分
の実施例13及びa/bが1.6であってHDPEのM
FRが10.0g/10分の実施例14の場合には、曲
げ弾性率、引張破断伸び及びIZ値の何れの物性も良好
であり、物性バランスに優れていることが判明した。
【0052】実施例15、比較例18〜19 樹脂成分としてMFRが10g/10分の高結晶性ポリ
プロピレンホモポリマ−89重量%、MFRが10g/
10分のHDPE7重量%、及びMFRが1g/10分
であってエチレン含有量が54重量%であるEPR4重
量%の割合のものを使用し、この樹脂成分100重量部
に対して平均粒子径2μmのタルクを0.1重量部(比
較例18)、平均粒子径2μmのタルクを5.0重量部
(実施例15)及び平均粒子径20.0μmのタルクを
5.0重量部(比較例19)を配合し、実施例15及び
比較例18〜19のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成
物を調製した。得られた樹脂組成物について、上記実施
例1と同様にしてその機械的物性を測定した。結果を表
8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】この表8の結果から明らかなように、樹脂
成分100重量部に対するタルクの配合量が0.1重量
部の比較例18では曲げ弾性率が急激に低下しており、
反対に、タルクの配合量が15重量部よりも大きくなる
と、タルク含有樹脂組成物の比重が1よりも大きくなる
ため、本発明でいう比重1以下である低比重材料の条件
を満たさなくなる。また、樹脂成分100重量部に対す
るタルクの配合量が5重量部であっても、用いるタルク
の平均粒子径が20μmである比較例19の場合には、
曲げ弾性率、引張破断伸び及びIZ値が何れも大幅に低
下することが判明した。これに対して、平均粒子径2μ
mのタルクを5.0重量部用いる実施例15の場合に
は、曲げ弾性率、引張破断伸び及びIZ値の何れの物性
も良好であり、物性バランスに優れていることが判明し
た。
【0055】実施例16、比較例20〜21 樹脂成分としてMFRが10g/10分の高結晶性ポリ
プロピレンホモポリマ−92重量%、MFRが10g/
10分のHDPE5重量%、及びMFRが1g/10分
のEPR成分7重量%の割合のものを使用し、この樹脂
成分100重量部に対して平均粒子径2μmのタルク1
0重量部を配合し、この際に、EPRとしてMFR0.
3g/10分及びエチレン含有量54重量%のもの(比
較例20)、MFR0.8g/10分及びエチレン含有
量54重量%のもの(実施例16)及びMFR0.8g
/10分及びエチレン含有量95重量%のもの(比較例
21)のものを用い、実施例16及び比較例20〜21
のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を調製した。得
られた樹脂組成物について、上記実施例1と同様にして
その機械的物性を測定した。結果を表9に示す。
【0056】
【表9】
【0057】この表9の結果から明らかなように、MF
Rが0.3g/10分のEPRを使用した比較例20で
はMFRと曲げ弾性率が大幅に低下し、また、エチレン
含有量が95重量%のEPRを使用した比較例21では
引張破断伸び及びIZ値が大幅に低下している。これに
対して、MFR0.8g/10分及びエチレン含有量5
4重量%のEPRを用いた実施例16の場合には、MF
R、曲げ弾性率、引張破断伸び及び耐衝撃性の何れの物
性も良好であり、物性バランスに優れていることが判明
した。
【0058】実施例17〜18、比較例22〜31 表10〜12に示す割合で各種の樹脂成分及びタルクを
ドライブレンドし、得られたドライブレンド物を30m
mφの二軸押出機によりシリンダ−温度210℃で混練
し、各実施例及び比較例のタルク含有ポリプロピレン樹
脂組成物のペレットを調製した。得られたペレットを使
用し、ASTM D−256に準拠して8分の1インチ
厚みの成形ノッチ型IZ試験片を作成して−20℃の条
件下でのIZ値を測定すると共に、ASTM D−79
0に準拠して8分の1インチ厚みの曲げ試験片を作成し
て23℃の条件下での曲げ弾性率をそれぞれ測定した。
なお、上記各試験片の成形は、成形温度210℃、金型
温度50℃及び冷却時間30秒の条件で行い、成形され
た試験片は、成形後から物性測定までの間、一度もアニ
−ル等の熱処理を行うことなく、温度23℃で湿度50
%の雰囲気下に48時間放置したものを評価した。結果
を表10〜12に示す。
【0059】
【表10】
【0060】
【表11】
【0061】
【表12】
【0062】表10の結果から、S−EB及びS−EP
を添加しないかこれらS−EB及びS−EP以外の一般
のエチレン−プロピレンブロックコポリマーや超低密度
ポリエチレンを用いた比較例22〜24においては、−
20℃での低温IZ値が非常に低く、低温時の耐衝撃性
が改善されていない。これに対して、本発明の水添スチ
レン−ブタジエン共重合体又は水添スチレン−イソプレ
ン共重合体を用いる実施例17及び18においては、−
20℃での低温IZ値が著しく改善され、また、常温2
3℃での曲げ弾性率も良好であり、優れた物性バランス
を実現することが判明した。また、平均粒子径20.0
μmのタルクを用いる比較例25では、常温23℃での
曲げ弾性率及び−20℃での低温IZ値の何れも低下す
る。
【0063】また、表11の結果から、樹脂成分のS−
EBの配合割合が1.0重量%である比較例26では耐
衝撃性が充分に改善されず、−20℃での低温IZ値が
低くなり、また、樹脂成分のS−EBの配合割合が2
0.0重量%である比較例27では常温23℃での曲げ
弾性率が低下し、高剛性を維持することが困難になり、
更に、タルクの配合割合が0.2重量%である比較例2
8では常温23℃での曲げ弾性率が低下し、高剛性を維
持することが困難になり、また、タルクの配合割合が2
5.0重量%である比較例29では低温−20℃でのI
Z値が低くなることが判明した。
【0064】更に、表12の結果から、水添ブロック共
重合体として使用したS−EP中のスチレン含有量が
2.0重量%である比較例30では、常温23℃での曲
げ弾性率が低下し、反対に、このスチレン含有量が90
重量%の比較例31では、低温−20℃でのIZ値が急
激に低下することが判明した。
【0065】このように、高結晶性ポリプロピレンホモ
ポリマー中に水添ブロック共重合体とタルクとを配合し
たタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物において、水添
ブロック共重合体として用いるS−EBやS−EPの配
合量、タルクの配合量、タルクの粒子径、又は、水添ブ
ロック共重合体に含まれるスチレン含有量を適正な範囲
に調整することにより、低温−20℃でのIZ値のみで
なく常温23℃での曲げ弾性率についても良好な値を発
現させることができ、常温での曲げ弾性率と低温での耐
衝撃性とをバランス良く発揮させることができる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、高いMFRを有して優
れた成形性を発揮し、成形品外観に優れており、曲げ弾
性率や耐衝撃性等の機械的強度においても優れた特性を
有するタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物を提供する
ことができるほか、優れた機械的強度と低比重であって
軽量化に優れているタルク含有ポリプロピレン樹脂組成
物や、特に常温時の曲げ弾性率や低温時のIZ値におい
て優れた特性を有するタルク含有ポリプロピレン樹脂組
成物を提供することができる。このため、本発明のタル
ク含有ポリプロピレン樹脂組成物は、特に、自動車部品
や家電製品に使用するプラスチック材料として極めて有
用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はタルクの円盤状フィラーの形状モデル
を示す説明図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトフロ−レイト(MFR)1〜60
    g/10分の高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−50
    〜98重量%と、MFRが0.5〜3g/10分であっ
    てエチレン含有量が90重量%以下のエチレン成分含有
    エラストマー、又は、MFRが0.1〜5g/10分で
    あってスチレン含有量が8〜70重量%のスチレン成分
    含有水添ブロック共重合体18〜2重量%とを主体とす
    る樹脂成分100重量部に対して、平均粒子径10μm
    以下のタルク0.5〜20重量部を配合したことを特徴
    とするタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 樹脂成分が、MFR3〜40g/10分
    のエチレン−プロピレンブロックコポリマー40〜1重
    量%を含む請求項1記載のタルク含有ポリプロピレン樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂成分が、MFR1〜30g/10分
    の高密度ポリエチレンを、20〜1重量%の範囲内であ
    って、この高密度ポリエチレンが樹脂成分中に占める割
    合(a重量%)とエチレン成分含有エラストマ−が樹脂
    成分中に占める割合(b重量%)との比(a/b)が
    0.5〜2の範囲内となる割合で含有する請求項1記載
    のタルク含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 樹脂成分がMFR1〜60g/10分の
    高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−80〜98重量%
    及びMFR0.5〜3g/10分のエチレン成分含有エ
    ラストマ−18〜2重量%からなる請求項1記載のタル
    ク含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂成分がMFR1〜60g/10分の
    高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−50〜97重量
    %、MFR0.5〜3g/10分のエチレン成分含有エ
    ラストマ−10〜2重量%及びMFR3〜40g/10
    分のエチレン−プロピレンブロックコポリマー40〜1
    重量%からなる請求項1記載のタルク含有ポリプロピレ
    ン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂成分がMFR1〜30g/10分の
    高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−65〜97重量
    %、MFR0.5〜3g/10分のエチレン成分含有エ
    ラストマ−15〜2重量%及びMFR1〜30g/10
    分の高密度ポリエチレン20〜1重量%からなり、樹脂
    組成物の比重が1.0以下である請求項1記載のタルク
    含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 樹脂成分がMFR1〜40g/10分の
    高結晶性ポリプロピレンホモポリマ−87〜98重量%
    及びMFR0.1〜5g/10分のスチレン成分含有水
    添ブロック共重合体13〜2重量%からなり、23℃で
    のASTMD−790に基づく曲げ弾性率が20,00
    0kgf/cm2 以上で、−20℃でのASTM D−
    256に基づくアイゾット衝撃値が3.0kg/cm2
    以上である請求項1記載のタルク含有ポリプロピレン樹
    脂組成物。
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