JPH07311581A - 車両騒音低減装置及び制御信号設定方法 - Google Patents

車両騒音低減装置及び制御信号設定方法

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JPH07311581A
JPH07311581A JP6103097A JP10309794A JPH07311581A JP H07311581 A JPH07311581 A JP H07311581A JP 6103097 A JP6103097 A JP 6103097A JP 10309794 A JP10309794 A JP 10309794A JP H07311581 A JPH07311581 A JP H07311581A
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noise
vehicle
noise reduction
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tunnel
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正人 廣川
Hiroshi Uchida
博志 内田
Norihiko Nakao
憲彦 中尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両騒音低減装置において、良好な騒音源信
号(リファレンス信号)を得ることが困難なロードノイ
ズ等の騒音を、トンネル内外や走行路の状態等、車両外
部の環境状態が変化した場合でも効果的に低減できるよ
うにする。 【構成】 マイク信号を受けたときに、スピーカ及びマ
イクロフォン間の音の伝達特性をモデル化してなる制御
音伝達特性モデルHについて定めたモデル化誤差値Wu
と、騒音源及びマイクロフォン間の騒音伝達特性Gの低
減騒音レベルを示すために定めた騒音低減用しきい値b
とに基づいてスピーカ信号を設定するCPUを設ける。
また、車両外部の環境状態を検出する検出部の検出結果
に基づいて上記モデル化誤差値Wu及び騒音低減用しき
い値bの少なくとも一方を変更するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の走行に伴って発
生するロードノイズ等の騒音を騒音低減音により低減す
る装置及び該騒音低減音を発生させるための制御信号を
設定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の騒音低減装置では、例えば実開
昭61−1739号公報で知られているように、騒音と
してのエンジン騒音を低減する場合に、制御手段により
エンジン騒音に関する騒音源信号(リファレンス信号)
に基づいて制御信号を生成し、この制御信号を加振機に
入力して該加振機によりエンジン騒音とは逆位相でかつ
同振幅の反転音を発生させる一方、上記エンジン騒音を
低減すべき箇所にエンジン騒音と加振機からの反転音と
の合成音を検出する加速度センサを設置し、この加速度
センサの出力信号が小さくなるように上記制御手段にお
いて制御信号のゲイン調整及び位相調整を行うようにし
たものがある。このものでは、上記加速度センサの出力
信号が外乱に起因してゲインや位相が収束しなくなった
場合に加振機に過大な加振力が生じて安全性が損なわれ
ることを回避するために、上記出力信号の値が所定値以
上になったときに制御信号のゲイン調整及び位相調整を
やり直すようになされている。
【0003】一方、本出願人が先に出願したもの(特開
平5−232969号公報)では、例えばエンジン騒音
を所定箇所において低減するために、該所定箇所でのエ
ンジン騒音を低減させるアンチ騒音を発生するためのス
ピーカと、上記所定箇所での合成音を検出するマイクロ
フォンと、このマイクの出力信号をエンジン騒音の周期
及びマイク/スピーカ間の音の伝達特性に基づいて補正
する制御手段とを備え、この制御手段の制御信号により
スピーカでアンチ騒音を発生させるようにしている。こ
のものでは、マイクの出力信号を利用することでエンジ
ン騒音とのコヒーレンスが良好な制御信号を容易に得ら
れることから、上記制御手段での演算量を従来のLMS
(Least Mean Square Method〔=最小二乗法〕)アルゴ
リズムの数分の1以下に削減して演算時間の大幅な短縮
化が図れるという利点がある。
【0004】これらのものは、何れも騒音とのコヒーレ
ンスが良好な騒音源信号を利用して騒音を低減する、い
わゆるフィードフォワード制御による騒音低減装置であ
り、騒音検出手段の出力信号を効果的に小さくできるも
のとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の走行
に伴うロードノイズ等のように騒音源が特定できず、か
つその騒音が不規則に変化するものである場合には、上
記フィードフォワード制御による騒音低減装置では良好
な騒音源信号を得ることが難しく、騒音の低減が困難で
ある。
【0006】したがって、上記のような騒音を低減する
には、騒音検出手段の出力信号が小さくなるように制御
信号をフィードバック制御するしかないのであるが、こ
のようなフィードバック制御の場合には、音響特性が変
化すると不安定になるという問題がある。
【0007】しかも、車両の場合には、その運転状態が
一定であっても、例えばトンネル内とそうでないときや
走行路の状態等、外部の環境状態によって騒音自体の特
性や車室内での音響特性が特に大きな変化を受けるた
め、上記従来の技術を基に騒音を効果的に低減するのは
一層困難となる。
【0008】本発明は上記に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、良好な騒音源信号を得ることが困難な
ロードノイズ等の騒音を、車両外部の環境状態が変化し
た場合でも効果的に低減できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明では、低減音発生手段及び騒音検出
手段間の音の制御音伝達特性モデルについてのモデル化
誤差値と、騒音源及び騒音検出手段間の騒音伝達特性の
低減すべき騒音レベルを示す騒音低減用しきい値とをそ
れぞれ定め、これらモデル化誤差値及び騒音低減用しき
い値に基づいて制御信号を設定するとともに、上記騒音
自体の特性や車室内での音響特性が車両の環境状態に起
因して変化したときには上記モデル化誤差値及び騒音低
減用しきい値の少なくとも一方を変更することで、車両
外部の環境状態に応じて騒音低減制御の安定化を図りつ
つ効果的に騒音を低減できるようにした。
【0010】具体的には、本発明では、車室内に設置さ
れて該設置位置における騒音源からの騒音を検出する騒
音検出手段と、この騒音検出手段の出力信号を受け、上
記騒音源及び騒音検出手段間の騒音伝達特性を低下させ
て乗員に対する騒音を低減するための制御信号を設定す
る制御手段と、この制御手段からの制御信号を受けて騒
音低減音を発生する低減音発生手段とを備えた車両騒音
低減装置が前提である。
【0011】そして、車両外部の環境状態を検出する検
出手段を備えるようにする。また、制御手段は、低減音
発生手段及び騒音検出手段間の音の伝達特性をモデル化
してなる制御音伝達特性モデルについて定められたモデ
ル化誤差値と、上記騒音伝達特性の低減騒音レベルを示
すために定められた騒音低減用しきい値とに基づいて制
御信号を設定し、かつ上記検出手段により検出された環
境状態に基づいて、上記モデル化御差値及び騒音低減用
しきい値の少なくとも一方を変更するように構成されて
いるものとする。
【0012】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、検出手段は、車両がトンネル内に入ったこと
を検出するものとする。また、制御手段は、上記検出手
段により車両のトンネル内に入ったことが検出されたと
きと、検出されないときとで騒音低減用しきい値を変更
するように構成されているものとする。
【0013】請求項3の発明では、上記請求項2の発明
において、制御手段は、検出手段により車両のトンネル
内に入ったことが検出されたときに、車両がトンネル外
にあるときの周波数帯域よりも高い周波数帯域の騒音が
低減されるように騒音低減用しきい値を変更する構成と
されているものとする。
【0014】請求項4の発明では、上記請求項2の発明
において、車両がトンネル内外にある状態を切り換えて
手動入力可能な切換手段を設ける。そして、制御手段
は、上記切換手段の出力信号に基づいて騒音低減用しき
い値を変更するように構成されているものとする。
【0015】請求項5の発明では、上記請求項2の発明
において、検出手段は、騒音の周波数特性の変化に基づ
いて車両がトンネル内に入ったことを検出するように構
成されているものとする。
【0016】請求項6の発明では、上記請求項1の発明
において、検出手段は、車両の走行路の状態を検出する
ものとする。また、制御手段は、上記検出手段により検
出された走行路の状態に基づいて騒音低減用しきい値を
変更するように構成されているものとする。
【0017】請求項7の発明では、上記請求項6の発明
において、制御手段は、検出手段により走行路の悪路で
あることが検出されたときに、良路であるときと比べて
騒音伝達特性におけるピーク付近の周波数帯域の騒音レ
ベルが低下するように騒音低減用しきい値を変更する構
成とされているものとする。
【0018】請求項8の発明では、上記請求項6の発明
において、走行路の状態を切り換えて手動入力可能な切
換手段を設ける。そして、制御手段は、上記切換手段の
出力信号に基づいて騒音低減用しきい値を変更するよう
に構成されているものとする。
【0019】請求項9の発明では、上記請求項6の発明
において、検出手段は、騒音の周波数特性の変化に基づ
いて走行路の状態を検出するように構成されているもの
とする。
【0020】請求項10の発明では、上記請求項2又は
6の発明において、複数の騒音低減用しきい値を定めて
おく。そして、制御手段は、検出手段の検出結果に基づ
いて上記騒音低減用しきい値を選択するように構成され
ているものとする。
【0021】請求項11の発明では、車室内に設置され
て該設置位置における騒音源からの騒音を検出する騒音
検出手段を設け、この騒音検出手段の出力信号に基づ
き、上記騒音源及び騒音検出手段間の騒音伝達特性を低
下させて乗員に対する騒音を低減するための制御信号を
設定し、この制御信号を低減音発生手段に出力して騒音
低減音を発生させるようにした車両騒音低減装置におけ
る上記制御信号の設定方法として、上記低減音発生手段
及び騒音検出手段間の音の伝達特性をモデル化してなる
制御音伝達特性モデルについてのモデル化誤差値と、上
記騒音伝達特性の低減騒音レベルを示すための騒音低減
用しきい値とをそれぞれ定め、これらモデル化誤差値及
び騒音低減用しきい値に基づいて制御信号を設定する際
に、車両外部の環境状態に基づいてモデル化御差値及び
騒音低減用しきい値の少なくとも一方を変更するように
する。
【0022】請求項12の発明では、上記請求項11の
発明において、車両がトンネル内に入ったときと、トン
ネル外にあるときとで騒音低減用しきい値を変更する。
【0023】請求項13の発明では、上記請求項12の
発明において、車両がトンネル内に入ったときに、トン
ネル外にあるときの周波数帯域よりも高い周波数帯域の
騒音が低減されるように騒音低減用しきい値を変更す
る。
【0024】請求項14の発明では、上記請求項12の
発明において、騒音の周波数特性の変化に基づいて、車
両がトンネル内に入ったことを検出するようにする。
【0025】請求項15の発明では、上記請求項11の
発明において、車両の走行路の状態に基づいて、騒音低
減用しきい値を変更する。
【0026】請求項16の発明では、上記請求項15の
発明において、走行路が悪路であるときには、良路であ
るときと比べて騒音伝達特性におけるピーク付近の周波
数帯域の騒音レベルが低下するように騒音低減用しきい
値を変更する。
【0027】請求項17の発明では、上記請求項15の
発明において、騒音の周波数特性の変化に基づいて走行
路の状態を検出する。
【0028】請求項18の発明では、上記請求項12又
は15の発明において、複数の騒音低減用しきい値を定
めておき、車両の走行路の状態に応じて上記騒音低減用
しきい値を選択するようにする。
【0029】
【作用】請求項1又は11の発明では、車室内におい
て、騒音検出手段により騒音源からの騒音が検出され
る。そして、上記騒音検出手段の出力信号を受けた制御
手段により制御信号が設定され、該制御信号を受けた低
減音発生手段により騒音低減音が発生される。この騒音
低減音により、上記騒音源及び騒音検出手段間の騒音伝
達特性が低下され、このことで、乗員への騒音が低減さ
れる。このとき、上記制御手段では、低減音発生手段及
び騒音検出手段間の音の伝達特性をモデル化してなる制
御音伝達特性モデルについてのモデル化誤差値と、上記
騒音伝達特性の低減騒音レベルを示す騒音低減用しきい
値とに基づいて制御信号が設定される。すなわち、上記
制御音伝達特性モデルが用いられることにより、騒音検
出手段の設置位置における騒音低減音の騒音に対する低
減効果が高められる。また、上記モデル化誤差値及び騒
音低減用しきい値が考慮されることにより、騒音発生手
段の出力信号が小さくなるように制御信号をフィードバ
ック制御する際の外乱に対する安定性が確保される。
【0030】さらに、検出手段により車両外部の環境状
態が検出され、この環境状態に基づいて制御手段により
上記モデル化誤差値及び騒音低減用しきい値の少なくと
も一方が変更される。これにより、車両外部の環境状態
の変化に応じて効果的に騒音を低減することができる。
【0031】請求項2又は12の発明では、車両のトン
ネル内に入ったことが上記検出手段により検出される。
そして、制御手段において、車両がトンネル内に入った
ことが検出されたときとそうでないときとで騒音低減用
しきい値が変更される。したがって、車両がトンネルに
入ったときと、そうでないときとでの騒音伝達特性の変
化が補償され、効果的に騒音が低減される。
【0032】請求項3又は13の発明では、上記検出手
段により車両のトンネル内に入ったことが検出されたと
きに、車両がトンネル外にあるときの周波数帯域よりも
高い周波数帯域の騒音を低減するように制御手段により
騒音低減用しきい値が変更される。よって、トンネル内
に入ったときに生じる高い周波数帯域での騒音のピーク
が効果的に低減される。
【0033】請求項4の発明では、上記車両のトンネル
内外にある状態は、切換手段により切り換えて手動入力
される。そして、この切換手段の出力信号に基づき、制
御手段により騒音低減用しきい値が変更される。よっ
て、乗員がトンネル内外での騒音低減用しきい値は、乗
員により任意に変更される。
【0034】請求項5又は14の発明では、上記車両が
トンネル内に入ったことは、騒音の周波数特性の変化に
基づいて検出手段により検出される。したがって、車両
がトンネルに入ったことを検出するための情報が容易に
得られる。
【0035】請求項6又は15の発明では、上記検出手
段により、車両の走行路の状態が検出される。そして、
検出された走行路の状態に基づいて、制御手段により騒
音低減用しきい値が変更される。これにより、車両の走
行路に起因して騒音伝達特性が変化する際に、該騒音伝
達特性の変化が補償されて騒音が効果的に低減される。
【0036】請求項7又は16の発明では、上記検出手
段により、走行路の悪路であることが検出されたとき
に、騒音低減用しきい値は、良路であるときと比べて騒
音伝達特性におけるピーク付近の周波数帯域の騒音レベ
ルが低下するように制御手段により変更される。したが
って、走行路が悪路であるときに発生する騒音のピーク
が落とされ、効果的な騒音低減がなされる。
【0037】請求項8の発明では、上記走行路の状態
は、切換手段により手動入力可能に切り換えられる。そ
して、この切換手段の出力信号に基づき、制御手段によ
り騒音低減用しきい値が変更される。よって、走行路に
関する騒音低減用しきい値は、乗員により任意に変更さ
れる。
【0038】請求項9又は17の発明では、上記走行路
の状態が騒音の周波数特性の変化に基づいて検出手段に
より検出される。したがって、走行路を検出するための
情報が容易に得られる。
【0039】請求項10又は18の発明では、上記検出
手段により車両がトンネル内に入ったことが検出された
とき、騒音低減用しきい値は複数の騒音低減用しきい値
から制御手段により選択される。よって、騒音低減用し
きい値の変更に要する制御手段での演算量が少なく抑え
られる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0041】(実施例1)図2及び図3は、本発明の実
施例1に係る騒音低減装置の全体構成を概略的に示し、
この騒音低減装置は、自動車(車両)における各座席の
乗員に対するロードノイズ等、数十〜数百Hzの騒音を
騒音源信号(リファレンス信号)を用いずに低減するた
めのものである。
【0042】同各図において、1は自動車の車体、2は
車体1の前後中央部に位置する車室、3,4は車室2を
開閉する前後のドアであって、上記車室2内には前後に
座席5,6が設置され、前部座席5(図2及び図3のそ
れぞれ左側の座席)は右側の運転席5a及び左側の助手
席5bで、また後部座席6(図2及び図3のそれぞれ右
側の座席)は左右2つの後席6a,6aでそれぞれ構成
されている。7は、運転席5aの前方位置に設置された
ステアリングホイールである。また、9は、車体の左右
両側の前後に配置された車輪のホイールである。
【0043】そして、本実施例1では、運転席5a,助
手席5b及び後席6aにおける各ヘッドレスト8の左右
何れかの側(着座した乗員の左右何れかの耳に近い位
置)がそれぞれ騒音低減箇所とされ、これらの箇所にそ
れぞれ騒音検出手段としてのマイクロフォン10が1個
ずつ合計4個取り付けられ、これらのマイクロフォン1
0,10,…により車室2内の音を乗員の耳近くで検出
するようにしている。一方、上記車体1左右の前側ドア
3,3の車室2内側面、及び車室2後端のパッケージト
レイ11の左右両側部にはそれぞれ車室2内に騒音低減
音を発生させる低減音発生手段としてのスピーカ12,
12,…が配置され、これら4個のスピーカ12,1
2,…はオーディオシステムと兼用されている。
【0044】上記スピーカ12,12,…及びマイクロ
フォン10,10,…は、例えば助手席5b側のインス
トルメントパネル13内に配置したコントローラ14に
接続されている。尚、図示はしないが、このコントロー
ラ14による騒音制御システムとオーディオシステムと
の作動を切り換えるための操作スイッチが例えば車室2
内のルーフ部分に配置されている。そして、上記車室2
内での騒音と各スピーカ12から発せられる騒音低減音
との合成音を各マイクロフォン10で検出し、そのマイ
クロフォン10から出力されるマイク信号uをコントロ
ーラ14に入力するとともに、各スピーカ12にマイク
信号uとは逆位相である制御信号としてのスピーカ信号
yを出力することにより、各マイクロフォン10の設置
位置で各スピーカ12からの騒音低減音を騒音と干渉さ
せて、各マイクロフォン10により検出される音を低減
するようにしている。さらに、上記コントローラ14に
は、インストルメントパネル13の左右中央に配置した
切換手段としてのマニュアルスイッチ15や外界の光量
を検出する光センサ24等、各種センサ及びスイッチ類
が後述する環境状態検出部を介してそれぞれ接続されて
いる。
【0045】上記コントローラ14は、図4に詳しく示
すように、デジタル信号処理によりマイク信号uを小さ
くするためのスピーカ信号yを出力する制御手段として
のCPU16(セントラル・プロセシング・ユニット)
を有し、該CPU16の入力段には、各マイクロフォン
10からのマイク信号uを増幅するマイクアンプ17
と、増幅されたマイク信号uの低周波部分(例えば50
0〜1000Hz以下)を瀘波するローパスフィルタ1
8と、瀘波されたアナログのマイク信号uをデジタル信
号に変換するA/D変換部19とがそれぞれマイクロフ
ォン10,10,…の個数と同じ数だけ順に接続されて
いる。一方、CPU16の出力段には、デジタルのスピ
ーカ信号yをアナログ信号に変換するD/A変換部20
と、アナログ信号に変換されたスピーカ信号yの低周波
部分を瀘波するローパスフィルタ21と、瀘波されたス
ピーカ信号yを増幅するスピーカアンプ22とがそれぞ
れスピーカ12,12,…の個数と同じ数だけ順に接続
されている。上記CPU16、A/D変換部19及びD
/A変換部20の各作動は、図外のサンプリングクロッ
ク発生部で発生したサンプリング周期信号により互いに
同期して行われる。
【0046】上記マイク信号uは、図5に示すようにn
個(ここではn=4)のマイク信号u1〜unからなる
列ベクトルであり、これらマイク信号u1〜unに基づ
いて、CPU16に設けられた演算ブロック40の持つ
定数Kによりm個(ここではm=4)のスピーカ信号y
1〜ymからなる列ベクトルとしてのスピーカ信号yが
演算される。上記定数Kは、図6に示すように、A〜D
の4つのマトリクス成分からなる行列であり、その演算
処理は、図7に示すフローチャートのように行われる。
すなわち、ステップSa1でマイク信号uを入力した
後、ステップSa2では、前回のマイク信号xにC成分
が乗算された値と、今回のマイク信号uにD成分が乗算
された値とを加算して、スピーカ信号yを求める。そし
て、ステップSa3で上記スピーカ信号yをスピーカ1
2に出力し、次いでステップSa4に移る。このステッ
プSa4では、前回のマイク信号xにA成分が乗算され
た値と、今回のマイク信号uにB成分が乗算された値と
を加算して、上記ステップSa2で処理する際に前回の
マイク信号xとなる値を求め、その後、上記ステップS
a1に戻る。
【0047】本発明の特徴として、上記CPU16は、
図1(a)に示すように、スピーカ12からマイクロフ
ォン10に達する騒音低減音の伝達特性をモデル化して
なる制御音伝達特性モデルHについて定められたモデル
化誤差値Wu(UncertaintyWeight)と、図1(b)に
示すように、騒音源Sから上記マイクロフォン10に入
ってくる騒音伝達特性Gの低減すべき騒音レベルを示す
ために定められた騒音低減用しきい値b(Performance
Objective )とによりそれぞれ決定される定数Kに基づ
いてスピーカ信号yを設定するようになされている
(尚、説明の簡単化のためにスピーカ12,12,…及
びマイクロフォン10,10,…はそれぞれ1個として
いる)。さらに、図4に示すように、上記コントローラ
14は、自動車外部の環境状態を検出する検出手段とし
ての環境状態検出部23を備えていて、この検出部23
には上記したような各種環境状態が入力される一方、該
検出部23の出力が上記CPU16に入力されるように
なっている。そして、上記CPU16では、検出部23
により検出された環境状態に基づいて上記モデル化誤差
値Wu及び騒音低減用しきい値bの少なくとも一方を変
更し、このことで定数Kを変更して該変更された定数K
に基づきスピーカ信号yを設定するようになっている。
【0048】具体的には、図8及び図9に示すように、
上記制御音伝達特性モデルHは、CPU16からスピー
カ信号yを出力した後に該スピーカ信号yによりスピー
カ12,12,…がそれぞれ駆動制御されて車室2内の
音に変化があり、この音の変化がマイクロフォン10に
より検出されてそのマイク信号uがCPU16に入力さ
れるまでの音の伝達特性を実際の測定結果H′に基づい
てモデル化したものである。そして、その際のモデル化
誤差を考慮して、上記演算ブロック40の定数Kを決定
する際に誤差量の絶対値|H−H′|に対するモデル化
誤差値Wuを定めている。一方、上記騒音伝達特性Gに
対し騒音低減用しきい値bを定めておいて、コントロー
ラ14を含むクローズドループの伝達関数のピークを集
中的にラインb以下に落とすようになされている。つま
り、騒音低減用しきい値Wp(Performance Weight)
を、Wp=1/bとすると、全ての周波数に対して、
【数1】
【0049】つまり、
【数2】
【0050】|T・b|<1の関係式が成り立つように
する。そして、これらモデル化誤差値Wu及び騒音低減
用しきい値bを定めることが、上記定数Kを決定してス
ピーカ信号yを設定することになる。
【0051】このとき、上記モデル化誤差値Wuと騒音
低減用しきい値bとは互いに独立には決められない。例
えば、モデル化誤差値Wuを小さくして騒音低減効果を
高めようとすると車室2内の音響特性の変化を受け易く
なって騒音低減制御が不安定になることから、モデル化
誤差値Wuを大きくすると、今度は、騒音低減用しきい
値bを下げることができなくなる。そこで、ロバスト制
御の1つであるH∞制御理論においてフィードバック特
性の場合の混合感度問題として知られている次式を満
たすようなモデル化誤差値Wu及び騒音低減用しきい値
bを選択して定数Kを決定していく。
【0052】
【数3】
【0053】尚、上記式において、‖Q‖はクロー
ズドループにおける目標値から制御量までの伝達関数Q
の最大のゲインであって、supw ‖Q(jw)‖によ
り定義されるものである。また、‖・‖は行列のノルム
を表わしている。
【0054】一方、上記検出部23には、上記光センサ
24及びマニュアルスイッチ15の他、例えば車載時計
や自動車の走行路の状態を検出する図示しない路面セン
サ等からの各信号が入力されている。そして、この検出
部23では、光センサ24及び車載時計からの信号によ
り自動車がトンネル内外のどちらを走行中か、また路面
センサからの信号により走行路の状態がそれぞれ検出さ
れる。このとき、上記マニュアルスイッチ15は、検出
部23の検出結果を手動入力により切り換えることがで
きるようになされている。そして、上記CPU16に
は、図5に示すように、各々、自動車外部の環境状態に
応じたモデル化誤差値Wu及び騒音低減用しきい値bか
らなるl個の定数K1〜Klを格納するサブメモリ41
が備えられていて、上記検出部23の検出結果に基づい
て定数Kを変更するようになされている。
【0055】ここで、上記定数Kの具体例について説明
する。上記モデル化誤差値Wuは、図10に示すよう
に、略同じ周波数特性を持つ2つが予め定められてい
る。そして、上記検出部23による環境状態の検出結果
に基づき、制御音伝達特性モデルHに対する誤差成分が
増大するときには全体にゲインの大きい同図上側のモデ
ル化誤差値Wuに、また誤差成分が減少するときには下
側のモデル化誤差値Wuにそれぞれ変更されるような定
数Kが選択される。一方、上記騒音低減用しきい値b
は、図11に示すように、50〜200Hz及び150
〜400Hzの2箇所にピークが見られる騒音伝達特性
Gに対し、略同じ周波数特性を持つ2つが予め定められ
ている。そして、車室2内の騒音レベルの変化に基づい
て変更されるように定数Kが選択される。つまり、本実
施例1の場合では、モデル化誤差値Wu及び騒音低減用
しきい値bがそれぞれ2つずつ定められているので、サ
ブメモリ41には4種類の定数Kが格納されていること
になる。
【0056】したがって、本実施例1によれば、車室2
内の運転席5a、助手席5b及び後席6aにおいて、マ
イクロフォン10により騒音源Sからの騒音dが検出さ
れる。そして、マイク信号uを受けたCPU16により
スピーカ信号yが設定され、このスピーカ信号yを受け
たスピーカ12により騒音低減音が発生される。この騒
音低減音により、上記騒音源S及びマイクロフォン10
間の騒音伝達特性Gが低下され、このことで、乗員への
騒音dが低減される。このとき、上記CPU16におい
て制御音伝達特性モデルHが用いられることにより、マ
イクロフォン10の設置位置での騒音dに対する騒音低
減音の低減効果を高めることができる。さらに、上記制
御音伝達特性モデルHのモデル化誤差値Wuと騒音伝達
特性Gに対する騒音低減用しきい値bとが考慮されてい
ることにより、外乱に対する騒音低減制御の安定性を確
保することができる。
【0057】また、環境状態検出部23により自動車外
部の環境状態が検出され、その検出結果に基づいてCP
U16によりモデル化誤差値Wu及び騒音低減用しきい
値bの少なくとも一方が変更されるので、環境状態の変
化に起因して上記騒音伝達特性Gが変化したり、上記制
御音伝達特性モデルHに対する誤差成分が変化したとき
等に、騒音低減制御の安定化を図りつつ効果的に騒音d
を低減することができる。
【0058】尚、上記実施例1では、各々、予め定めら
れた複数のモデル化誤差値Wu及び騒音低減用しきい値
bを選択して変更するようにしているが、各々、1つの
特性値のみを予め定めておき、この特性値のゲインや周
波数特性を自動車の環境状態に基づいてリニアに変化さ
せて変更するようにしてもよい。
【0059】(実施例2)図12及び図13は、本発明
の実施例2に係る車両騒音低減装置において環境状態の
変化に対応する騒音低減用しきい値bをそれぞれ示し、
この車両騒音低減装置では、自動車がトンネルに入って
いるときと、そうでないときとで上記騒音低減用しきい
値bが変更される。尚、本実施例2のその他の構成は上
記実施例1と同じであるので、同じ部分には同じ符号を
付して示し、その説明は省略する。
【0060】すなわち、本発明の特徴として、検出部2
3は、自動車がトンネル内に入ったことを検出するよう
になされている。また、CPU16は、上記検出部23
により自動車のトンネル内に入ったことが検出されたと
きと、検出されないときとで騒音低減用しきい値bを変
更するように構成されている。これは、トンネル外であ
れば空気中に拡散し易いタイヤのパターンノイズ等の騒
音が、トンネル内では該トンネルの壁面で反射して車室
2側に強いレベルで帰って来るために騒音伝達特性Gが
変化することへの対策である。さらに、上記検出部23
によるトンネル内外についての検出結果は、マニュアル
スイッチ15により手動入力可能に切り換えることがで
きるようになされている。
【0061】具体的には、トンネル外では図12に示す
低減騒音レベルの低い騒音低減用しきい値bに変更され
る一方、トンネル内では図13に示す低減騒音レベルの
高い騒音低減用しきい値bに変更される。
【0062】次に、図14のフローチャートに基づい
て、上記騒音低減用しきい値bを変更する処理、つまり
CPU16の定数Kを変更する処理について説明する。
先ず、ステップSb1で光センサ24及び車載時計から
の各信号情報を検出部23に入力する。そして、ステッ
プSb2では、自動車がトンネル外にあることを判定す
る。判定がYESのときにはステップSb3に移る一
方、判定がNOのときにはステップSb4に移る。上記
ステップSb3では、CPU16においてK〔トンネル
外〕を選択する。これにより、騒音低減用しきい値bが
図12のものに変更される。一方、上記ステップSb4
ではK〔トンネル内〕を選択し、このことで、騒音低減
用しきい値bが図13のものに変更される。尚、上記判
定の際に車載時計の信号情報を考慮するのは、夜間に外
界が暗い状態をトンネル内と取り違えるのを回避するた
めである。
【0063】したがって、本実施例2によれば、検出部
23により、自動車がトンネル内に入ったことが検出さ
れる。そして、自動車がトンネル内に入ったときとそう
でないときとで、CPU16により騒音低減用しきい値
bが変更されるので、トンネル内外での騒音伝達特性G
の変化を補償して効果的に騒音を低減することができ
る。
【0064】また、上記検出部23による検出結果をマ
ニュアルスイッチ15により切り換えることができるの
で、トンネル内外での騒音低減用しきい値bを乗員によ
り任意に切り換えることもできる。
【0065】尚、上記実施例1では、トンネル内に入っ
たことを車載時計及び光センサ24からの各信号に基づ
いて検出するようにしているが、マイクロフォン10に
より検出された騒音の周波数特性を分析し、該周波数特
性の変化に基づいて検出するようにしてもよい。
【0066】(実施例3)図15及び図16は、実施例
3の車両騒音低減装置においてトンネル内外で変更され
る騒音低減用しきい値bをそれぞれ示し、この車両騒音
低減装置では、自動車がトンネルに入ったときに生じる
騒音伝達特性Gの特徴的なピークを効果的に低減するよ
うになっている。
【0067】すなわち、本発明の特徴として、CPU1
6は、検出部23により自動車のトンネル内に入ったこ
とが検出されたときに、自動車がトンネル外にあるとき
の周波数帯域よりも高い周波数帯域の騒音を低減するよ
うに騒音低減用しきい値bを変更する構成となってい
る。
【0068】具体的には、上記騒音伝達特性Gは一般に
50〜200Hz及び150〜400Hzの2箇所にピ
ークを持つが、トンネル外では、図15に示すように車
体を振動として車室2内に伝わってくる低い周波数帯域
のレベルが高い一方、そうでない高い周波数帯域の騒音
は大気中に拡散して低いレベルを示す。したがって、こ
のときには、全体に低くかつ高い帯域側のレベルが低い
帯域側よりもさらに低い騒音低減用しきい値bに変更さ
れる。これに対し、トンネル内では、図16に示すよう
に、高い周波数帯域での騒音レベルが顕著に高まるの
で、周波数の高い側のピークを集中的に落とすような騒
音低減用しきい値bに変更される。
【0069】したがって、本実施例3によれば、検出部
23により自動車がトンネル内に入ったことを検出され
たときに、高い周波数帯域の騒音を低減するようにCP
U16により騒音低減用しきい値bが変更されるので、
トンネル内に入ったときに生じる高い周波数帯域での騒
音のピークを効果的に低減することができる。
【0070】(実施例4)図17及び図18は、本発明
の実施例4に係る車両騒音低減装置において環境状態の
変化に基づいて変更される騒音低減用しきい値bをそれ
ぞれ示し、この車両騒音低減装置では、上記環境状態と
しての走行路の状態に基づいて騒音低減用しきい値bを
変更するようになされている。
【0071】すなわち、本発明の特徴として、検出部2
3は、自動車の走行路の状態を検出するようになされて
いる。また、CPU16は、上記検出部23により検出
された走行路の状態に基づいて騒音低減用しきい値bを
変更するようになっている。これは、走行路が悪路のと
きでは、良路であるときに比べてロードノイズ等の騒音
が強調されることで騒音伝達特性Gが変化することへの
対応であって、良路では図17に示す騒音低減用しきい
値bに変更される一方、悪路では図18に示す騒音低減
用しきい値bに変更される。
【0072】次に、図19に示すフローチャートに基づ
いて、騒音低減用しきい値bを変更するための定数Kの
変更処理を説明する。先ず、ステップSc1で路面セン
サからの信号を検出部23に入力する。そして、ステッ
プSc2では、自動車の走行路が良路であることを判定
する。判定がYESのときにはステップSc3に移る。
一方、判定がNOのときにはステップSc4に移る。上
記ステップSc3では、コントローラ14においてK
〔良路〕を選択する。これにより、騒音低減用しきい値
bが図17のものに変更される。一方、上記ステップS
c4ではK〔悪路〕を選択して、図18の騒音低減用し
きい値bに変更される。
【0073】したがって、本実施例4によれば、検出部
23により、自動車の走行路の状態が検出される。そし
て、検出された走行路の状態に基づいて、CPU16に
より騒音低減用しきい値bが変更される。よって、走行
路の状態に起因して騒音伝達特性Gが変化する際に、該
騒音伝達特性Gの変化を補償して騒音を効果的に低減す
ることができる。
【0074】尚、上記実施例4では、路面センサの信号
に基づいて走行路の状態を検出するようにしているが、
実施例1と同様に騒音の周波数特性を分析するように
し、該周波数特性の変化に基づいて検出してもよい。
【0075】また、上記実施例4においても、実施例1
で述べたように、マニュアルスイッチで手動入力するこ
とにより走行路の状態についての検出結果を切り換える
ことができるようにしてもよい。
【0076】(実施例5)図19及び図20は、実施例
5に係る車両騒音低減装置において自動車の走行路の状
態に基づいて変更される騒音低減用しきい値bをそれぞ
れ示し、この車両騒音低減装置では、走行路が例えば比
較的平坦でかつ大きな凹凸のない砂利道のような粗粒面
である悪路のときには、アスファルト道路のような良路
のときに比べてピーク付近の騒音がより低減できるよう
になされる。
【0077】すなわち、本発明の特徴として、CPU1
6は、検出部23により走行路の悪路であることが検出
されたときに、良路であるときと比べて騒音伝達特性G
におけるピーク付近の周波数帯域の騒音レベルが低下す
るように騒音低減用しきい値bを変更する構成とされて
いる。これは、走行路が粗粒面のときには、低い周波数
部分(例えば150Hz付近)のピークが顕著になるこ
とに対応するもので、良路のときには図20に示す騒音
低減用しきい値bに変更される一方、悪路であるときに
は図21に示す騒音低減用しきい値bに変更される。
【0078】したがって、本実施例5によれば、検出部
23により、走行路が悪路であると検出されたときに、
騒音低減用しきい値bは、良路であるときと比べて騒音
伝達特性Gにおけるピーク付近の周波数帯域の騒音レベ
ルが低下するようにCPU16により変更されるので、
走行路が悪路であるときに発生する騒音のピークを集中
的に落として効果的な騒音低減を行うことができる。
【0079】尚、上記各実施例では、トンネル内外及び
走行路の一方の環境状態要因に基づいてのみ騒音低減用
しきい値bを変更するようにしているが、複数の環境状
態要因に基づいて変更してもよい。
【0080】また、上記各実施例では、環境状態とし
て、トンネル内外及び走行路のみを例示しているが、騒
音伝達特性Gや制御音伝達特性モデルHに対する誤差成
分が変化するようなその他の環境状態に基づいて騒音低
減用しきい値bを変更してもよい。
【0081】さらに、上記実施例2〜実施例5では、騒
音低減用しきい値bのみを変更するようにしているが、
モデル化誤差値Wuのみ又はモデル化誤差値Wu及び騒
音低減用しきい値bの両方を変更するようにしてもよ
い。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は11
の発明によれば、車室内に設置されて該設置位置におけ
る騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段の出力信号
に基づき、騒音源及び騒音検出手段間の騒音伝達特性を
低下させて乗員に対する騒音を低減するための制御信号
を設定し、この制御信号を低減音発生手段に出力して騒
音低減音を発生させるようにした車両騒音低減装置にお
いて、上記低減音発生手段及び騒音検出手段間の音の伝
達特性をモデル化してなる制御音伝達特性モデルについ
てのモデル化誤差値と、上記騒音伝達特性の低減騒音レ
ベルを示すための騒音低減用しきい値とをそれぞれ定
め、これらモデル化誤差値及び騒音低減用しきい値に基
づいて制御信号を設定するとともに、車両外部の環境状
態に基づいてモデル化御差値及び騒音低減用しきい値の
少なくとも一方を変更するようにしたので、良好な騒音
源信号を得ることが困難なロードノイズ等の騒音を、環
境状態が変化した場合でも効果的に低減することができ
る。
【0083】請求項2又は12の発明によれば、上記車
両外部の環境状態として、車両がトンネル内に入ったこ
とを検出するようにし、車両のトンネル内に入ったこと
が検出されたときと、検出されないときとで騒音低減用
しきい値を変更するようにしたので、車両がトンネルに
入ったときと、そうでないときとでの騒音伝達特性の変
化を補償して効果的に騒音を低減することができる。
【0084】請求項3又は13の発明によれば、上記車
両のトンネル内に入ったことが検出されたときに、車両
がトンネル外にあるときの周波数帯域よりも高い周波数
帯域の騒音が低減されるように騒音低減用しきい値を変
更する構成としたので、トンネル内に入ったときに生じ
る騒音の高い周波数帯域でのピークを効果的に低減する
ことができる。
【0085】請求項4の発明によれば、上記車両がトン
ネル内外にある状態を切り換えて手動入力可能な切換手
段を設け、この切換手段の出力信号に基づいて騒音低減
用しきい値を変更するようにしたので、トンネル内外で
の騒音低減用しきい値を乗員により任意に変更すること
ができる。
【0086】請求項5又は14の発明によれば、上記車
両がトンネル内に入ったことを騒音の周波数特性の変化
に基づいて検出するようにしたので、車両がトンネルに
入ったことの情報を容易に得ることができる。
【0087】請求項6又は15の発明によれば、上記車
両外部の環境状態として、車両の走行路の状態を検出す
るようにし、検出された走行路の状態に基づいて騒音低
減用しきい値を変更するようにしたので、車両の走行路
に基づいて騒音伝達特性が変化する際に、該騒音伝達特
性の変化を補償して騒音を効果的に低減することができ
る。
【0088】請求項7又は16の発明によれば、上記走
行路の悪路であることが検出されたときに、良路である
ときと比べて騒音伝達特性におけるピーク付近の周波数
帯域の騒音レベルが低下するように騒音低減用しきい値
を変更する構成としたので、走行路が悪路であるときに
発生する騒音のピークを落として効果的な騒音低減を行
うことができる。
【0089】請求項8の発明によれば、上記走行路の状
態を切り換えて手動入力可能な切換手段を設け、この切
換手段の出力信号に基づいて騒音低減用しきい値を変更
するようにしたので、走行路に関する騒音低減用しきい
値を乗員により任意に変更することができる。
【0090】請求項9又は17の発明によれば、上記走
行路の状態を、騒音の周波数特性の変化に基づいて検出
するようにしたので、上記走行路についての情報を容易
に得ることができる。
【0091】請求項10又は18の発明によれば、上記
騒音低減用しきい値を複数定めておき、車両の環境状態
の検出結果に基づいて上記騒音低減用しきい値を選択す
るようにしたので、騒音低減用しきい値の変更に要する
演算量を少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る車両騒音低減装置にお
いてスピーカ信号を設定するために定められるモデル化
誤差値及び騒音低減用しきい値をそれぞれ示す特性図で
ある。
【図2】車両騒音低減装置の各機器の配置構成を概略的
に示す平面図である。
【図3】マイクロフォン及びスピーカの設置位置を示す
側面図である。
【図4】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図5】コントローラにおけるCPUの構成を示すブロ
ック図である。
【図6】CPUにおける演算ブロックの構成を示す行列
式の図である。
【図7】CPUにおけるスピーカ信号の設定処理動作を
示すフローチャート図である。
【図8】車両騒音低減装置の基本構成を示す概略図であ
る。
【図9】車両騒音低減装置の基本構成を示すブロック図
である。
【図10】モデル化誤差値の変更状態を示す特性図であ
る。
【図11】騒音低減用しきい値の変更状態を示す特性図
である。
【図12】本発明の実施例2に係る車両騒音低減装置に
おけるトンネル外のときの騒音低減用しきい値を示す特
性図である。
【図13】トンネル内のときの騒音低減用しきい値を示
す特性図である。
【図14】トンネルの内外に基づく騒音低減用しきい値
の変更処理を示すフローチャート図である。
【図15】本発明の実施例3に係る車両騒音低減装置に
おけるトンネル外のときの騒音低減用しきい値を示す特
性図である。
【図16】トンネル内のときの騒音低減用しきい値を示
す特性図である。
【図17】本発明の実施例4に係る車両騒音低減装置に
おける良路のときの騒音低減用しきい値を示す特性図で
ある。
【図18】悪路のときの騒音低減用しきい値を示す特性
図である。
【図19】走行路に基づく騒音低減用しきい値の変更処
理を示すフローチャート図である。
【図20】本発明の実施例5に係る車両騒音低減装置に
おける良路のときの騒音低減用しきい値を示す特性図で
ある。
【図21】悪路のときの騒音低減用しきい値を示す特性
図である。
【符号の説明】
2 車室 10 マイクロフォン(騒音検出手段) 12 スピーカ(低減音発生手段) 15 マニュアルスイッチ(切換手段) 16 CPU(制御手段) 23 環境状態検出部(検出手段) u マイク信号(出力信号) y スピーカ信号(制御信号) S 騒音源 d 騒音 H 制御音伝達特性モデル Wu モデル化誤差値 G 騒音伝達特性 b 騒音低減用しきい値

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室内に設置されて該設置位置における
    騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段と、 上記騒音検出手段の出力信号を受け、上記騒音源及び騒
    音検出手段間の騒音伝達特性を低下させて乗員に対する
    騒音を低減するための制御信号を設定する制御手段と、 上記制御手段からの制御信号を受けて騒音低減音を発生
    する低減音発生手段とを備えた車両騒音低減装置におい
    て、 車両外部の環境状態を検出する検出手段を備え、 上記制御手段は、低減音発生手段及び騒音検出手段間の
    音の伝達特性をモデル化してなる制御音伝達特性モデル
    について定められたモデル化誤差値と、上記騒音伝達特
    性の低減騒音レベルを示すために定められた騒音低減用
    しきい値とに基づいて制御信号を設定し、かつ上記検出
    手段により検出された環境状態に基づいて、上記モデル
    化御差値及び騒音低減用しきい値の少なくとも一方を変
    更するように構成されていることを特徴とする車両騒音
    低減装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両騒音低減装置におい
    て、 検出手段は、車両がトンネル内に入ったことを検出する
    ものであり、 制御手段は、上記検出手段により車両のトンネル内に入
    ったことが検出されたときと、検出されないときとで騒
    音低減用しきい値を変更するように構成されていること
    を特徴とする車両騒音低減装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の車両騒音低減装置におい
    て、 制御手段は、検出手段により車両のトンネル内に入った
    ことが検出されたときに、車両がトンネル外にあるとき
    の周波数帯域よりも高い周波数帯域の騒音が低減される
    ように騒音低減用しきい値を変更する構成とされている
    ことを特徴とする車両騒音低減装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の車両騒音低減装置におい
    て、 車両がトンネル内外にある状態を切り換えて手動入力可
    能な切換手段を設け、 制御手段は、上記切換手段の出力信号に基づいて騒音低
    減用しきい値を変更するように構成されていることを特
    徴とする車両騒音低減装置。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の車両騒音低減装置におい
    て、 検出手段は、騒音の周波数特性の変化に基づいて車両が
    トンネル内に入ったことを検出するように構成されてい
    ることを特徴とする車両騒音低減装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の車両騒音低減装置におい
    て、 検出手段は、車両の走行路の状態を検出するものであ
    り、 制御手段は、上記検出手段により検出された走行路の状
    態に基づいて騒音低減用しきい値を変更するように構成
    されていることを特徴とする車両騒音低減装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の車両騒音低減装置におい
    て、 制御手段は、検出手段により走行路の悪路であることが
    検出されたときに、良路であるときと比べて騒音伝達特
    性におけるピーク付近の周波数帯域の騒音レベルが低下
    するように騒音低減用しきい値を変更する構成とされて
    いることを特徴とする車両騒音低減装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の車両騒音低減装置におい
    て、 走行路の状態を切り換えて手動入力可能な切換手段を設
    け、 制御手段は、上記切換手段の出力信号に基づいて騒音低
    減用しきい値を変更するように構成されていることを特
    徴とする車両騒音低減装置。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の車両騒音低減装置におい
    て、 検出手段は、騒音の周波数特性の変化に基づいて走行路
    の状態を検出するように構成されていることを特徴とす
    る車両騒音低減装置。
  10. 【請求項10】 請求項2又は6記載の車両騒音低減装
    置において、 複数の騒音低減用しきい値が定められており、 制御手段は、検出手段の検出結果に基づいて上記騒音低
    減用しきい値を選択するように構成されていることを特
    徴とする車両騒音低減装置。
  11. 【請求項11】 車室内に設置されて該設置位置におけ
    る騒音源からの騒音を検出する騒音検出手段を設け、 上記騒音検出手段の出力信号に基づき、騒音源及び騒音
    検出手段間の騒音伝達特性を低下させて乗員に対する騒
    音を低減するための制御信号を設定し、 上記制御信号を低減音発生手段に出力して騒音低減音を
    発生させるようにした車両騒音低減装置における上記制
    御信号の設定方法であって、 上記低減音発生手段及び騒音検出手段間の音の伝達特性
    をモデル化してなる制御音伝達特性モデルについてのモ
    デル化誤差値と、上記騒音伝達特性の低減騒音レベルを
    示すための騒音低減用しきい値とをそれぞれ定め、これ
    らモデル化誤差値及び騒音低減用しきい値に基づいて制
    御信号を設定する際に、車両外部の環境状態に基づいて
    モデル化御差値及び騒音低減用しきい値の少なくとも一
    方を変更することを特徴とする制御信号設定方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の制御信号設定方法に
    おいて、 車両がトンネル内に入ったときと、トンネル外にあると
    きとで騒音低減用しきい値を変更することを特徴とする
    制御信号設定方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の制御信号設定方法に
    おいて、 車両がトンネル内に入ったときに、トンネル外にあると
    きの周波数帯域よりも高い周波数帯域の騒音が低減され
    るように騒音低減用しきい値を変更することを特徴とす
    る制御信号設定方法。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の制御信号設定方法に
    おいて、 騒音の周波数特性の変化に基づいて車両がトンネル内に
    入ったことを検出することを特徴とする制御信号設定方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項11記載の制御信号設定方法に
    おいて、 車両の走行路の状態に基づいて騒音低減用しきい値を変
    更することを特徴とする制御信号設定方法。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の制御信号設定方法に
    おいて、 走行路が悪路であるときには、良路であるときと比べて
    騒音伝達特性におけるピーク付近の周波数帯域の騒音レ
    ベルが低下するように騒音低減用しきい値を変更するこ
    とを特徴とする制御信号設定方法。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の制御信号設定方法に
    おいて、 騒音の周波数特性の変化に基づいて走行路の状態を検出
    することを特徴とする制御信号設定方法。
  18. 【請求項18】 請求項12又は15記載の制御信号設
    定方法において、 複数の騒音低減用しきい値を定めておき、 車両外部の環境状態に基づいて上記騒音低減用しきい値
    を選択することを特徴とする制御信号設定方法。
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