JPH0724684Y2 - ダンパ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車エンジンのクランクシャフト等、各種
の回転駆動系に生起される振動を吸収減衰するダンパの
改良に関するものである。

〔従来の技術〕 従来から、ダンパの一種として、第３図に示すように、
自動車エンジンのクランクシャフトに取り付けられる円
環形のハブ（11）を有し、このハブ（11）のリム部（11
a）の内周側と外周側にそれぞれダンパ部（12）（13）
を設けたダブルマス型のトーショナルダンパが知られて
いる。ダンパ部（12）（13）はそれぞれ、円環形のスリ
ーブ（14）（15）と円環形の質量体（16）（17）の間に
ゴム製の弾性体（18）（19）を加硫接着した成形品とし
て組み立てられており、この２組の成形品を前記リム部
（11a）の内周側と外周側にそれぞれ嵌着している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来のダンパにおいて、２組のダン
パ部（12）（13）は互いに別々に成形され、また別々に
リム部（11a）に嵌着されるものである。したがって上
記従来技術によると、ダンパ部（12）（13）を成形する
ための加硫型が２つ必要となる外、当該ダンパの構成部
品数が多いために、成形やその後の組立てに多大な手間
と時間がかかる問題があり、コスト的にもその改善が望
まれている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題
を解消することを目的とするもので、この目的を達成す
るため、リム部を有するハブと、断面略コ字形を呈し、
前記リム部に嵌着されたスリーブと、前記スリーブに接
着された２つの弾性体と、前記各弾性体に接着された２
つの質量体と、を備え、前記スリーブの径方向面部に、
径方向に伸縮するベローズ部を設けたことを特徴とする
ダンパを提供する。

〔作用〕

ハブのリム部に嵌着されるスリーブを断面略コ字形と
し、この一つのスリーブに２組のダンパ部を設定する。
これにより２組のダンパ部を纏めて１つの成形品として
成形することが可能となり、加硫型を１つにするととも
に部品数を削減することが可能となる。また、このスリ
ーブの径方向面部に径方向に伸縮するベローズ部を設け
たために、嵌着作業を容易化するとともに弾性体のキャ
リブレンを均一化することが可能となる。

〔実施例〕

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明する。

第１図において、符号（１）は自動車エンジンのクラン
クシャフトに取り付けられる円環形のハブを示してお
り、このハブ（１）のリム部（1a）に断面略コ字形のス
リーブ（２）が嵌着され、このスリーブ（２）の内筒部
（2a）の内周側と外筒部（2b）の外周側にそれぞれ、円
環形の質量体（５）（６）とゴム製の弾性体（７）
（８）とよりなるダンパ部（３）（４）が設定されてい
る。この構造は、２組のダンパ部（３）（４）が１つの
スリーブ（２）を共用している、と言うこともできる。

断面略コ字形のスリーブ（２）、２つの質量体（５）
（６）および２つの弾性体（７）（８）は、これらを纏
めて１つの成形品として成形する。すなわち、加硫型の
キャビティにスリーブ（２）および２つの質量体（５）
（６）を組み込んで２つの弾性体（７）（８）を同時に
加硫成形し、この加硫成形と同時に各弾性体（７）
（８）をスリーブ（２）および質量体（５）（６）に接
着させる。このようにすれば、加硫型の数を１つに減ら
し、また部品数を減らすことができるために、成形や組
立てにかかる手間や時間を削減することができる。

断面略コ字形のスリーブ（２）は板金をプレス加工する
ことにより成形されるもので、このスリーブ（２）をリ
ム部（1a）に嵌着したときに、弾性体（７）（８）に軸
方向に均一な予圧縮を与えることが要求される。このキ
ャリブレンについて、本願本考案者らは、先ず、以下の
ような対処法を考案した。

すなわち、第１図に示したように、リム部（1a）の板厚
に対してスリーブ（２）の内筒部（2a）と外筒部（2b）
の間隔を小さく設定し、スリーブ（２）をリム部（1a）
に嵌着した際に、内筒部（2a）を縮径させるとともに外
筒部（2b）を拡径させ、これにより各弾性体（７）
（８）を径方向に圧縮する。この場合、縮径または拡径
する内筒部（2a）および外筒部（2b）が軸方向の全体に
亙って直線的とならずに部分的に撓んだ状態となるが、
当該スリーブ（２）の内筒部（2a）および外筒部（2b）
の一端（径方向面部（2c）に近い側の端部）にリム部
（1a）に嵌着されない遊び部分（2a′）（2b′）を設
け、この遊び部分（2a′）（2b′）が嵌着時にテーパ状
になることを利用して、内筒部（2a）および外筒部（2
b）のリム部（1a）に嵌着される部分が直線的になるこ
とを確保する。したがって、これにより内外の弾性体
（７）（８）を軸方向の全長に亙って均一に径方向に圧
縮することができる。尚、この場合、スリーブ（２）
は、遊び部分（2a′）（2b′）を設定したことにより、
図上左側に延長された形状になっている。

これに対して、第２図に示すように、スリーブ（２）の
径方向面部（2c）に径方向に伸縮するベローズ部（2d）
（2e）を設け、嵌着時にこのベローズ部（2d）（2e）を
径方向に伸長させると、上記した遊び部分（2a′）（2
b′）を設ける必要がない上に、弾性体（７）（８）の
キャリブレンを旨く均一化することができる。

〔考案の効果〕

本考案のダンパは以上説明したように、ハブのリム部に
嵌着されるスリーブを断面略コ字形とし、この一つのス
リーブに２組のダンパ部を設定したもので、加硫型の数
を１つに減らし、また部品数を減らすことができるため
に、成形や組立てにかかる手間や時間を削減することが
できる。また、これに加えてスリーブの径方向面部に径
方向に伸縮するベローズ部を設けたために、弾性体のキ
ャリブレンを均一化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るダンパの半裁断面図、第
２図は本考案の他の実施例に係るスリーブの嵌着前後の
状態を示す要部断面図、第３図は従来例に係るダンパの
半裁断面図である。 （１）ハブ、（1a）リム部、（２）スリーブ、（2a）内
筒部、（2b）外筒部 （2c）径方向面部、（2d）（2e）ベローズ部、（2a′）
（2b′）遊び部分 （３）（４）ダンパ部、（５）（６）質量体、（７）
（８）弾性体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リム部（1a）を有するハブ（１）と、断面
   略コ字形を呈し、前記リム部（1a）に嵌着されたスリー
   ブ（２）と、前記スリーブ（２）に接着された２つの弾
   性体（７）（８）と、前記各弾性体（７）（８）に接着
   された２つの質量体（５）（６）と、を備え、前記スリ
   ーブ（２）の径方向面部（2c）に、径方向に伸縮するベ
   ローズ部（2d）（2e）を設けたことを特徴とするダン
   パ。