JPH07237839A - エレベータの保守時報知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 かご上におけるエレベータ保守点検作業時の
かご上手動昇降運転時に、作業者が昇降路頂部と激突し
または釣合おもりと衝突することを抑止し、作業中にお
ける事故発生を未然に防止するエレベータの保守時報知
装置を得る。 【構成】 かご上手動運転スイッチ９の操作に基づく保
守点検運転時に、かご４と釣合おもりが接近することを
検出する上部釣合おもり接近検出スイッチ１１と下部釣
合おもり接近検出スイッチ１２を昇降路内に設けると共
に、作業者１に危険を報知する危険報知装置１３をかご
上に設け、エレベータ制御盤８により、上記手動運転ス
イッチに基づく保守点検運転時に、上部強制停止スイッ
チ２の作動信号に基づく昇方向への運転停止制御を解除
して手動運転スイッチ９に基づく手動運転制御を可能に
し、上部強制停止スイッチ２の作動信号または検出スイ
ッチ１１、１２による検出信号との入力に基づき危険報
知装置１３を報知させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、かご上でのエレベー
タ保守点検運転時における作業者の事故発生を未然に防
止するためのエレベータの保守時報知装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来のエレベータ昇降路内の各機
器構成を示すものである。図４において、２は昇降路内
上部に取り付けられた上部強制停止スイッチで、配線ケ
ーブル２ａを介してエレベータ制御盤８に接続されてお
り、かご４に取り付けられたスイッチ作動用カム５と接
触することにより作動して、その作動信号を上記配線ケ
ーブル２ａを介してエレベータ制御盤８に入力して、エ
レベータ制御盤８により上記かご４が上部強制停止スイ
ッチ２の作動位置より昇方向へ運転しないよう制御され
る。

【０００３】また、６は巻上機７を介して主ロープ８に
より上記かご４と連結された釣合おもりで、かご４の昇
降動作に伴いこの釣合おもり６も昇降する構造となって
おり、かご４が昇方向に走行すると釣合おもり６は降方
向に動き、逆に、かご４が降方向に走行すると釣合おも
り６は昇方向に動くことから、上記かご４と釣合おもり
６は昇降路の中間地点で交差する構成となっている。

【０００４】さらに、９は上記かご４の上部に取り付け
られてエレベータの保守運転作業時にかご４の上部でエ
レベータを操作するためのかご上手動運転スイッチで、
その操作信号は接続ケーブル３を介してエレベータ制御
盤８に入力される。また、１０ａないし１０ｃは昇降路
頂部付近及びかご４の昇降運転に伴い釣合おもり６がか
ご４と接近する付近の昇降路壁に貼り付けられて作業者
１へ危険を報知するための注意ラベルである。

【０００５】次に上記構成に係る動作について説明す
る。エレベータ保守点検作業時は、かご上でかご上手動
運転スイッチ９の操作に基づいて手動昇降運転が行われ
るが、かご４の昇降運転に伴い、かご４が昇降路頂部付
近または釣合おもり６がかご４と接近する付近の昇降路
壁に接近すると、注意ラベル１０ａないし１０ｃによ
り、作業者１は危険を認知することができる。また、か
ご４が最上階に停止したとき、かご４の上部と昇降路頂
部の距離が極端に短い場合においては、作業者１による
かご上手動運転スイッチ９の操作に基づく手動運転時
に、上部強制停止スイッチ２が作動した場合には、その
作動信号を入力するエレベータ制御盤８は、かご上手動
運転スイッチ９が操作されても上部強制停止スイッチ２
の作動位置より昇方向へ運転しないよう制御して、作業
者１が昇降路頂部へ衝突することを防止する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た構成において、かご上におけるエレベータ保守点検作
業時のかご上手動昇降運転時において、上記注意ラベル
１０ａ、１０ｂ、１０ｃについては、作業中の見落とし
等により作業者１が昇降路頂部あるいは釣合おもり６と
の接近による危険を認知できなかった場合は、作業者１
が昇降路頂部あるいは釣合おもり６と衝突することにな
り、事故発生に結び付くことがあった。また、上部強制
停止スイッチ２によりかご４を昇方向へ運転しないよう
制御して、作業者１が昇降路頂部へ衝突することを防止
する機能については、昇降路内頂部付近の機器類の保守
点検作業ができなくなるので、昇降路内頂部付近保守す
る場合のみ上部強制停止スイッチ２の機能を短絡等によ
って等価的に取り外した状態にしている。この場合は、
昇降路頂部への衝突事故抑止の手段として、やはり上記
注意ラベルによる注意喚起の方法しかなく、注意ラベル
の見落としに対する防護策がない。

【０００７】この発明は上述した従来例に係る問題点を
解消するためになされたもので、かご上におけるエレベ
ータ保守点検作業時のかご上手動昇降運転時において、
作業者が昇降路頂部と激突しまたは作業者が釣合おもり
と衝突することを抑止し、作業中における事故発生を未
然に防止することができるエレベータの保守時報知装置
を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１に係
るエレベータの保守時報知装置は、エレベータのかご上
に設けられて保守点検運転時にかごを手動運転させるた
めの手動運転スイッチと、エレベータの昇降路内に設け
られてかごの最上階より昇方向への運転を阻止するため
の上部強制停止スイッチと、上記手動運転スイッチの操
作信号の入力に基づいてかごを運転制御すると共に上記
上部強制停止スイッチの作動信号の入力に基づいてかご
が上部強制停止スイッチの作動位置より昇方向へ運転し
ないよう制御するエレベータ制御盤とを備えたエレベー
タにおいて、上記手動運転スイッチの操作に基づく保守
点検運転時に、上記かごと釣合おもりが接近することを
検出する検出手段と、エレベータのかご上に設けられて
かご上の作業者に危険を報知する報知手段とを備え、上
記エレベータ制御盤は、上記手動運転スイッチに基づく
保守点検運転時に、上記上部強制停止スイッチの作動信
号に基づく昇方向への運転停止制御を解除して上記手動
運転スイッチに基づく手動運転制御を可能にすると共
に、上記上部強制停止スイッチの作動信号または上記検
出手段による検出信号との入力に基づいて上記報知手段
を報知させることを特徴とするものである。

【０００９】また、請求項２に係るエレベータの保守時
報知装置は、上記エレベータ制御盤により、上記報知手
段の報知制御後、タイマカウントを開始し規定時間に達
した場合にエレベータを停止制御させることを特徴とす
るものである。

【００１０】

【作用】この発明の請求項１に係るエレベータの保守時
報知装置においては、手動運転スイッチの操作に基づく
保守点検運転時に、エレベータ制御盤により、上部強制
停止スイッチの作動信号に基づく昇方向への運転停止制
御を解除して上記手動運転スイッチに基づく手動運転制
御を可能にすると共に、上記上部強制停止スイッチの作
動信号またはかごと釣合おもりが接近することを検出す
る検出手段による検出信号が入力されたときに報知手段
を報知させることによって、かご上の作業者に危険を報
知して注意を喚起し、作業者に確実に危険を認知させる
ことができ、かご上におけるエレベータ保守点検作業時
のかご上手動昇降運転時において、作業者が昇降路頂部
と激突しまたは作業者が釣合おもりと衝突することを抑
止し、作業中における事故発生を未然に防止する。

【００１１】また、請求項２に係るエレベータの保守時
報知装置においては、上記エレベータ制御盤により、上
記報知手段の報知制御後、タイマカウントを開始し規定
時間に達した場合にエレベータを停止制御させることに
より、上記報知手段の報知制御にも拘わらず作業者によ
り危険に対応する処置がなされない場合にエレベータを
強制的に停止制御して、かご上におけるエレベータ保守
点検作業時のかご上手動昇降運転時において、作業者が
昇降路頂部と激突しまたは作業者が釣合おもりと衝突す
ることを抑止し、作業中における事故発生を未然に防止
する。

【００１２】

【実施例】

実施例１．次に、この発明を図示実施例に基づいて説明
する。図１は実施例１に係るエレベータの保守時報知装
置を示す構成図である。図１において、図４に示す従来
例と同一符号は同一部分を示し、その説明は省略する。
新たな符号として、１１と１２は例えば昇降路内の主レ
ールなどの機器に着脱可能な構造を有して取り付けら
れ、作業者１と図示しない釣合おもりが接近することを
検出するための上部釣合おもり接近検出スイッチと下部
釣合おもり接近検出スイッチで、上記上部釣合おもり接
近検出スイッチ１１は、かご４が下方向に走行している
際に、例えばかご４と釣合おもり６が交差する約２００
０mm程度前で動作する位置に取り付けられ、また、上記
下部釣合おもり接近検出スイッチ１２は、かご４が昇方
向に走行している際に、例えばかご４と釣合おもり６が
交差する約２０００mm程度前で動作する位置に取り付け
られており、かご４がこれらスイッチに近づくとスイッ
チ作動用カム５によりスイッチが作動し、その作動信号
はそれぞれ配線ケーブル１１ａ、１２ａを介してエレベ
ータ制御盤８に入力される。

【００１３】また、１３はかご４の上部に着脱自在な構
造を有して取り付けられたブザーまたはランプ等の危険
報知装置１３で、この危険報知装置１３は、接続ケーブ
ル３を介して上記エレベータ制御盤８に接続されて、エ
レベータ制御盤８により、手動運転による保守点検運転
時に、上記上部釣合おもり接近検出スイッチ１１または
下部釣合おもり接近検出スイッチ１２が釣合おもりの接
近を検出した場合、あるいはかご４が昇降路頂部に接近
して上部強制停止スイッチ２が作動した場合に、上記エ
レベータ制御盤８の制御に基づいて動作して作業者に危
険を認知させるようになされている。

【００１４】なお、上記エレベータ制御盤８は、上記上
部釣合おもり接近検出スイッチ１１または下部釣合おも
り接近検出スイッチ１２が作動している場合において、
かご上作業者１がかご上手動運転装置９を操作し続ける
ことによりエレベータを断続的にのみ運転させるように
している。また、同様に、上部強制停止スイッチ２の作
動信号が出力された場合にその作動信号に基づく昇方向
への運転停止制御を解除して上記手動運転スイッチ９に
基づく手動運転制御を可能にしてエレベータを断続的に
のみ運転させるようにしている。

【００１５】ここで、上記エレベータ制御盤８の内部構
成としては、図２に示す構成を有する。すなわち、ＣＰ
Ｕ８ａと、上部強制停止スイッチ２、上部釣合おもり接
近検出スイッチ１１、下部釣合おもり接近検出スイッチ
１２、及びかご上手動運転スイッチ９に配線ケーブル２
ａ、１１ａ、１２ａや接続ケーブル３を介して接続され
たインターフェース８ｂと、巻上機７及び危険報知装置
１３に接続されたインターフェース８ｃとを備えてい
る。

【００１６】次に、上記構成を備える実施例１に係るエ
レベータの保守時報知装置の動作について、図３に示す
上記ＣＰＵ８ａの制御動作のフローチャートを参照して
説明する。今、図１において、作業者１によるかご上手
動運転装置９の操作に基づきかご４が昇方向で走行中
に、かご４が昇降路頂部に接近し、かご４に取り付けら
れているスイッチ作動用カム５により上部強制停止スイ
ッチ２が作動した場合、または下部釣合おもり接近検出
スイッチ１２がスイッチ作動用カム５により作動した場
合は、上部強制停止スイッチ２または下部釣合おもり接
近検出スイッチ１２が作動したことをＣＰＵ８ａが認識
する（ステップＳ３０、Ｓ３１、Ｓ３２、Ｓ３３）。こ
のとき、ＣＰＵ８ａは、危険報知装置１３に対しブザー
等を鳴動させる指令を出力する（ステップＳ３４）。

【００１７】上記危険報知装置１３の鳴動処理後、さら
に、昇方向への運転が継続されると、上記ＣＰＵ８ａは
昇方向運転時間のタイマカウントを開始し、タイマが規
定値に達すると、危険報知装置１３の鳴動中止処置を行
うとともにエレベータの停止処置を行う（ステップＳ３
５、Ｓ３６、Ｓ３７、Ｓ３８、Ｓ３９）。なお、図３に
おいて、ステップＳ３７の規定時間は、図１において、
かご４が約３００mm程度走行できるよう設定する。ま
た、図３において、ステップＳ４５で規定時間に達する
以前に、かご上手動運転スイッチ９の操作を中止した場
合は、ステップＳ３８、３９に基づき即刻危険報知装置
１３の鳴動中止処置並びにエレベータの停止処置を行う
（ステップＳ４５）。

【００１８】また、図１において、作業者１によるかご
上手動運転装置９の操作に基づきかご４が降方向で走行
中に、上部釣合おもり接近検出スイッチ１１がスイッチ
作動用カム５により作動した場合は、図３において、ス
テップＳ３０、Ｓ３１、Ｓ３２、Ｓ４０、Ｓ４３、Ｓ４
４、Ｓ３６、Ｓ３７、Ｓ３８、Ｓ３９を経て、上述した
昇方向で走行中に下部釣合おもり接近検出スイッチ１２
が作動した場合と同様な処理を行う。

【００１９】なお、これらの運転は、図３において、ス
テップＳ３０で手動運転時のみ有効となり、また、図１
において、昇方向運転時は、上部強制停止スイッチ２、
上部釣合おもり検出スイッチ１１、降方向運転時は下部
釣合おもり検出スイッチ１２が作動していない場合は、
図３において、ステップＳ４３、Ｓ４４、Ｓ３４、Ｓ３
５、Ｓ３６、Ｓ３７、Ｓ３８、Ｓ４５の処置は行われな
い。

【００２０】従って、上記実施例１によれば、作業者１
が昇降路頂部あるいは釣合おもりに接近した場合、作業
者１の近傍で危険報知装置１３からエレベータ運転の都
度ブザー等が鳴動し、かつ連続運転が抑止されるため、
より高い危険認知が可能となる。これにより、作業者１
が昇降路頂部あるいは釣合おもりと衝突する事故を防止
することができる。また、エレベータ制御盤８により、
上記危険報知装置１３の報知制御後、タイマカウントを
開始し規定時間に達した場合にエレベータを停止制御さ
せることにより、上記報知制御にも拘わらず作業者によ
り危険に対応する処置がなされない場合に、エレベータ
を強制的に停止制御して、作業者が昇降路頂部と激突し
または作業者が釣合おもりと衝突することを確実に抑止
し、作業中における事故発生を未然に防止することがで
きる。

【００２１】実施例２．なお、図１に示す実施例１にお
ける上部釣合おもり接近検出スイッチ１１並びに下部釣
合おもり接近検出スイッチ１２の代わりに、巻上機７に
取り付けられた巻上機の回転検出器を利用したかご位置
検出器によってかご位置を検出するようにして、作業者
が昇降路頂部と激突しまたは作業者が釣合おもりと衝突
することを抑止することもでき、実施例１と同様な効果
を得ることができる。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、この発明の請求項１によ
れば、手動運転スイッチの操作に基づく保守点検運転時
に、エレベータ制御盤により、上部強制停止スイッチの
作動信号に基づく昇方向への運転停止制御を解除して上
記手動運転スイッチに基づく手動運転制御を可能にする
と共に、上記上部強制停止スイッチの作動信号またはか
ごと釣合おもりが接近することを検出する検出手段によ
る検出信号が入力されたときに報知手段を報知させるこ
とによって、かご上の作業者に危険を報知して注意を喚
起し、作業者に確実に危険を認知させることができ、か
ご上におけるエレベータ保守点検作業時のかご上手動昇
降運転時において、作業者が昇降路頂部と激突しまたは
作業者が釣合おもりと衝突することを抑止し、作業中に
おける事故発生を未然に防止するすることができるとい
う効果を奏する。

【００２３】また、請求項２に係るエレベータの保守時
報知装置においては、上記エレベータ制御盤により、上
記報知手段の報知制御後、タイマカウントを開始し規定
時間に達した場合にエレベータを停止制御させることに
より、上記報知手段の報知制御にも拘わらず作業者によ
り危険に対応する処置がなされない場合にエレベータを
強制的に停止制御して、かご上におけるエレベータ保守
点検作業時のかご上手動昇降運転時において、作業者が
昇降路頂部と激突しまたは作業者が釣合おもりと衝突す
ることを確実に抑止し、作業中における事故発生を未然
に防止することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１によるエレベータの保守時
報知装置を示す全体構成図である。

【図２】この発明の実施例１に係るエレベータ制御盤の
構成図である。

【図３】この発明の実施例１に係るエレベータ制御盤の
保守用危険報知用制御フローチャートである。

【図４】従来のエレベータの保守用危険報知手段を示す
全体構成図である。

【符号の説明】

２ 上部強制停止スイッチ ４ かご ９ かご上手動運転スイッチ １１ 上部釣合おもり接近検出スイッチ １２ 下部釣合おもり接近検出スイッチ １３ 危険報知装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータのかご上に設けられて保守点
   検運転時にかごを手動運転させるための手動運転スイッ
   チと、エレベータの昇降路内に設けられてかごの最上階
   より昇方向への運転を阻止するための上部強制停止スイ
   ッチと、上記手動運転スイッチの操作信号の入力に基づ
   いてかごを運転制御すると共に上記上部強制停止スイッ
   チの作動信号の入力に基づいてかごが上部強制停止スイ
   ッチの作動位置より昇方向へ運転しないよう制御するエ
   レベータ制御盤とを備えたエレベータにおいて、上記手
   動運転スイッチの操作に基づく保守点検運転時に、上記
   かごと釣合おもりが接近することを検出する検出手段
   と、エレベータのかご上に設けられてかご上の作業者に
   危険を報知する報知手段とを備え、上記エレベータ制御
   盤は、上記手動運転スイッチに基づく保守点検運転時
   に、上記上部強制停止スイッチの作動信号に基づく昇方
   向への運転停止制御を解除して上記手動運転スイッチに
   基づく手動運転制御を可能にすると共に、上記上部強制
   停止スイッチの作動信号または上記検出手段による検出
   信号との入力に基づいて上記報知手段を報知させること
   を特徴とするエレベータの保守時報知装置。
2. 【請求項２】 上記エレベータ制御盤は、上記報知手段
   の報知制御後、タイマカウントを開始し規定時間に達し
   た場合にエレベータを停止制御させることを特徴とする
   請求項１記載のエレベータの保守時報知装置。