JPH09249360A - エレベーターのリミットスイッチ動作点検装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はリミットスイッチの動作状態を、制
御装置側で簡便にチェックできるエレベーターのリミッ
トスイッチ動作点検装置を提供するものである。 【解決手段】 通常運転モードを解除し、一方の終端階
を越えて運転するよう制御器（１９、２０、２２）を制
御し、終端階の着床位置を越えて運転されたことをリミ
ットスイッチ１１、１３が検知してエレベーターを停止
させる。その停止したエレベーター停止位置をパルス発
生機６からの信号により検出し、その停止位置が正常範
囲内にあるかどうかをマイコン制御部５ａで判定した。
このように、本発明は、制御装置５側の操作で、リミッ
トスイッチ１１、１３機能が正常かどうかを判定できる
ようにしたので、従来のように、点検作業者がかごに乗
り込み作業する必要がなく、安全にしかも迅速に保守点
検作業を実施することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベーターのリ
ミットスイッチ動作点検装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ワイヤロープを主索とするいわゆ
るロープ式エレベーターでは、制御系統の故障等何らか
のトラブル発生により、乗りかごが最上階または最下階
の各最終端停止位置を過ぎてさらに走行しようとした場
合、安全のため過巻防止スイッチ等のリミットスイッチ
がそれを検出し、エレベーターを緊急停止させるよう構
成されている。

【０００３】リミットスイッチは非常時に備えた安全装
置であるから、少なくとも定期的な保守点検作業を必要
とする。リミットスイッチの点検作業は、リミットスイ
ッチ自体が正常な取り付け状態にあって、しかも正常な
スイッチング動作を行うかどうかの確認動作点検が必要
である。

【０００４】従って、点検作業に際しては、通常２人の
専門の技術者自らが点検作業者となってエレベーターに
乗り込み運転し、下降側では昇降路最下部のピット内
で、また上昇側では乗りかごの上でのリミットスイッチ
の保守点検作業が行なわれた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来のエ
レベーターのリミットスイッチの動作点検は、狭い昇降
路内やピット内、または乗りかごの上での作業となり、
しかも取り付け状態やスイッチング動作の確認等、人手
による複数かつ面倒な作業を要求されるので、多くの労
力と多大な時間を要した。

【０００６】また、昇降路内や乗りかご内外の狭い空間
にあって、実際にエレベーターを運行させながらの点検
作業となるので、点検作業者自身の安全上からも何らか
の改善が要望されていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の課
題に鑑みてなされたもので、エレベーターの通常運転モ
ードを解除し一方の終端階を越えて運転するよう制御す
る制御器と、この制御器の制御により前記エレベーター
の乗りかごが前記一方の終端階の着床位置を越えて運転
されたことを検知しエレベーターを停止させるように動
作するリミットスイッチと、このリミットスイッチの作
動により停止したエレベーターを他方の終端階に向け運
転させる起動スイッチと、前記リミットスイッチの作動
により停止したエレベーターの停止位置を検出する位置
検出手段とを具備することを特徴とする。

【０００８】本発明は、上記のように、制御器によりエ
レベーターの通常運転モードを解除し、少なくともいず
れか一方の終端階へ向け運転させ、リミットスイッチ動
作により停止したエレベーターの停止位置を検出するよ
う構成したものである。

【０００９】従って、点検作業者は、制御器を操作する
だけで、リミットスイッチ作動による停止位置情報を得
ることができるから、従来のように、点検作業者が直接
かご内に乗り込み、狭い昇降路内で作業することなく、
リミットスイッチの機能を点検することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明によるエレベーター
のリミットスイッチ動作点検装置の一実施の形態を図１
及び図２を参照し詳細に説明する。

【００１１】図１は本発明によるリミットスイッチ動作
点検装置の一実施の形態を適用したエレベーター装置の
構成を示したもので、エレベーターの乗りかご１は主索
（ロープ）２により巻き上げ機３を介して釣り合い重り
４と連結されており、制御装置５による巻き上げ機３の
制御により昇降移動する。

【００１２】巻き上げ機３にはパルス発生機６が接続さ
れ、巻き上げ機３の回転数を電気的パルス信号に変換
し、その変換されたパルス信号が制御装置５に供給され
ることにより、エレベーター、すなわち乗りかご１の昇
降路内における位置の検出が行われる。

【００１３】また、制御装置５は、通信端末装置７を介
して、遠隔監視センター内の監視装置８に接続されてお
り、監視装置８側からの信号伝送により、エレベーター
の遠隔運転制御も可能なように構成されている。

【００１４】そこで、昇降路下部の最終端部にはエレベ
ーターピット９が設けられているとともに、最下階停止
階床１０の下方に、エレベーターがその停止階床１０を
越えて運転された場合にそのことを検出し、エレベータ
ーを緊急停止させるための下降側リミットスイッチ１１
が設けられている。また、ピット９内には乗りかご１が
誤って最下階停止階床１０を越えて降下した場合の防護
安全装置として緩衝機１２が設けられている。

【００１５】また、昇降路の上方にも、同様に最上階停
止階床を越えて上昇した場合に備えて、上昇側のリミッ
トスイッチ１３が設けられている。これらリミットスイ
ッチ１１、１３の動作信号は、信号伝送ケーブル１４に
より制御装置５に伝達され、エレベーターを緊急停止さ
せ、乗客の安全を期すよう構成されている。

【００１６】このようなリミットスイッチ１１、１３
は、上記のようにエレベーターの通常の運転領域を越え
て昇降移動した場合、あらかじめ設定した位置にエレベ
ーターが達したことを検知して作動するものであり、ロ
ープ巻上げ又は巻き戻しによりかごを昇降させる巻胴式
エレベータに使用される過巻防止スイッチをもここでは
含むものとする。

【００１７】そこで、上記構成のエレベーター装置にお
いて、この発明のエレベーターのリミットスイッチ動作
点検装置の実施の形態は、図２に示すように構成され
る。

【００１８】すなわち、リミットスイッチ１１、１３に
それぞれ対応して接続された下降側運転制限リレー１
５、上昇側運転制限リレー１６が、電源ラインＡ、Ｂ間
に接続されている。

【００１９】通常の運転モードでは、制御装置５内のマ
イコン制御部５ａにより、上昇運転リレー１７及び下降
運転リレー１８が制御されるが、マイコン制御部５ａ自
体は上記電源ラインＡ、Ｂとは別の図示しない電源から
の電力供給により駆動される。

【００２０】従って、通常の運転モード時、各運転リレ
ー１７、１８は、前記運転制限リレー１５、１６の各ａ
接点１５ａ、１６ａを介した電源供給を受けるから、各
運転リレー１７、１８はマイコン制御部５ａの制御によ
り、エレベーターが通常運転で下降しているときは下降
運転リレー１８が、また上昇しているときは上昇運転リ
レー１７がそれぞれＯＮ作動し、エレベーターの各階着
床時にそれぞれＯＦＦ制御されるように構成される。

【００２１】このように、エレベーターはマイコン制御
部５ａの制御により、下降運転リレー１８または上昇運
転リレー１７のいずれかが制御されている状態にあり、
この各運転リレー１７、１８の動作信号によって、制御
装置５は巻き上げ機３を制御し、それに応じて乗りかご
の下降、または上昇運転が行われるから、通常運行時
は、最下階及び最上階の各階床停止位置を越えて、エレ
ベーターを運転することはできない。

【００２２】そこでこの実施の形態では、リミットスイ
ッチ１１、１３の動作点検作業を制御装置５側の操作で
実施できるように制御器を構成したものであり、各リミ
ットスイッチ１１、１３にそれぞれ対応するように、一
対の点検運転スイッチ１９（１９１、１９２）を介し
て、下降運転スイッチ２０及び点検用下降運転リレー２
１の直列回路及び上昇運転スイッチ２２及び点検用上昇
運転リレー２３の直列回路を、それぞれ下降側運転制限
リレー１５及び上昇側運転制限リレー１６に並列接続し
て構成した。なお、点検用下降運転リレー２１及び点検
用上昇運転リレー２３の各ｂ接点２１ｂ、２３ｂは前記
ａ接点１５ａ、１６ａと直列に、電源ラインＡに接続さ
れ、接点は閉じられた状態にある。また、点検運転スイ
ッチ１９及び各運転スイッチ２０、２２は、マイコン制
御部５ａと同様に、制御装置５内に設けられている。

【００２３】そこで、図２に示した回路構成において、
まず一方のリミットスイッチ１１の動作点検作業に際
し、まず点検運転スイッチ１９（１９１、１９２）をＯ
Ｎ操作し、次に一方の起動スイッチである下降運転スイ
ッチ２０をＯＮ操作することにより、点検用下降運転リ
レー２１がＯＮし、そのｂ接点２１ｂは開くから、下降
運転リレー１８及び上昇運転リレー１７の電源は断た
れ、エレベーターは通常運転モードから解除されるとと
もに、点検用下降運転リレー２１の前記ＯＮ信号によっ
て図示しない制御装置５は、低速の点検速度で最下階停
止階床１０を越えて降下運転を行うように制御する。

【００２４】このようにして、エレベーターの乗りかご
は下降を続け、一方の終端階の着床位置を越え、リミッ
トスイッチ１１が作動する位置に到達したとき、リミッ
トスイッチ１１がＯＦＦ作動し、これにより下降側運転
制限リレー１５がＯＦＦすることによってエレベーター
は緊急停止する。また、リミットスイッチ１１のＯＦＦ
作動により点検用下降運転リレー２１が０ＦＦし、その
ｂ接点２１ｂは閉じられるが、下降側運転制限リレー１
５のＯＦＦによりそのａ接点１５ａは開放されているか
ら、通常運転モードは依然として解除されたままであ
る。

【００２５】このエレベーターかご停止状態のとき、マ
イコン制御部５ａの位置検出部５ａ１はパルス発生機６
からの信号を受け、エレベーターの現在停止位置を算出
してて比較演算回路５ａ２に供給する。この比較演算回
路５ａ２では、前記位置検出部５ａ１のデータと停止位
置設定回路５ａ３に、予め設定された最下階の停止階床
からの適正なリミットスイッチ作動位置データ、すなわ
ち停止位置データとを比較し、その差がもしも予め許容
される一定値の範囲を越えたときには、下降側リミット
スイッチ１１の動作は異常であると判定して、警報出力
信号Ｃを導出する。勿論、位置検出部５ａ１のデータと
停止位置設定回路５ａ３の停止位置データとの比較によ
り、その差が予め許容される一定値の範囲内にあるとき
には、その下降側リミットスイッチ１１の動作は正常で
あると判定することで、リミットスイッチ１１の動作状
態の異常の有無の検知が行われる。

【００２６】次に、前記一方の起動スイッチである下降
運転スイッチ２０をＯＦＦ操作するとともに他方の起動
スイッチである上昇運転スイッチ２２をＯＮ操作する。
上昇運転スイッチ２２のＯＮ操作により点検用上昇運転
リレー２３が動作し、エレベーターは停止状態から上昇
運転に転ずる。

【００２７】上昇運転に転ずると、まず下降側のリミッ
トスイッチ１１は元の状態に復旧するので下降側運転制
限リレー１５はＯＮし、図示しない制御装置５の制御に
よりエレベーターは引き続き低速の点検速度で上昇運転
を継続する。

【００２８】このようにして、下降側リミットスイッチ
１１の動作の点検が制御器側の制御により、全て実施す
ることができる。

【００２９】上記説明は、下降側リミットスイッチ１１
の動作の点検作業の開始から終了を経て反転上昇するま
での工程を説明したが、上昇側リミットスイッチ１３の
動作点検についても、同様に行なうことができる。

【００３０】すなわち、上述のように、他方の起動スイ
ッチである上昇運転スイッチ２２のＯＮ操作により、点
検用上昇運転リレー２３がＯＮし、そのｂ接点２３ｂは
開くので引き続きエレベーターは通常運転モードから解
除された状態が維持され、図示しない制御装置５は低速
の点検速度で最上停止階を越えて上昇運転を行うように
制御する。

【００３１】エレベーターの乗りかごが他方の終端階の
着床位置を越えて運転されたときリミットスイッチ１３
がＯＦＦ作動し、上昇降側運転制限リレー１６がＯＦＦ
することによってエレベーターは緊急停止する。また、
リミットスイッチ１３のＯＦＦ作動により点検用上昇運
転リレー２３がＯＦＦし、そのｂ接点２３ｂは閉じられ
るが、上昇側運転制限リレー１６のＯＦＦによりそのａ
接点１６ａは開放されているから、引き続き通常運転モ
ードは解除状態にある。

【００３２】従って、このエレベーターかご停止状態の
とき、同様にマイコン制御部５ａの位置検出部５ａ１は
パルス発生機６からの信号を受け、エレベーターの現在
停止位置を算出して比較演算回路５ａ２に供給し、前記
位置検出部５ａ１のデータと、停止位置設定回路５ａ３
に予め設定された最上階の停止階床からの適正なリミッ
トスイッチ作動位置データ、すなわち停止位置データと
が比較され、もしもその差が予め許容される一定値の範
囲を越えたときには、上昇側リミットスイッチ１３は異
常であるとして警報出力信号Ｃを導出され、リミットス
イッチ１３動作点検が行われる。位置検出部５ａ１のデ
ータと停止位置データとの比較差が予め許容される一定
値の範囲内であれば、上昇側リミットスイッチ１３は正
常であると判断するものである。

【００３３】そこで、次に上昇運転スイッチ２２のＯＦ
Ｆ操作とともに、下降運転スイッチ２０をＯＮ操作する
ことにより点検用下降運転リレー２１が動作しエレベー
ターは停止状態から下降運転に転ずる。下降運転に入る
と、上昇側リミットスイッチ１３は元の状態に復旧し、
上昇側運転制限リレー１６はＯＮに転じ、図示しない制
御装置５の制御によりエレベーターは低速の点検速度で
下降運転する。

【００３４】なお、警報出力信号Ｃは、図示しないブザ
ー等の音による表示器や、表示灯に供給表示されること
により、点検作業者には目視により容易に確認できるよ
う構成することができる。

【００３５】このように、この実施の形態では、位置検
出手段によって検知されたエレベーターの停止位置と、
予め設定された停止位置とを比較しその差の値を導出す
る比較器とを備え、この比較器から導出された前記差の
値が所定値を越えたときに警報信号を導出する判定手段
により、簡易かつ確実な点検が可能である。

【００３６】なお、上記のようにして、リミットスイッ
チの動作点検作業終了後、通常運転モードに復帰させる
場合は、いうまでもなく下降側及び上昇側の各リミット
スイッチ１１、１３は閉じられた状態であり、運転制限
リレー１５、１６はＯＮしているので、点検運転スイッ
チ１９（１９１、１９２）をＯＦＦ操作すると、点検用
運転リレー２１、２３はＯＦＦするので、電源ラインＡ
のａ接点１５ａ、１６ａ及びｂ接点２１ｂ、２３ｂによ
り、運転リレー１７、１８の回路に電源が供給され、通
常運転モードとなる。

【００３７】また、このエレベーターのリミットスイッ
チの動作点検時は、かご内に乗客がいないことが安全上
望ましい。

【００３８】そこで、図２に示す点検運転スイッチ１９
に直列に、別途点検動作禁止スイッチを接続し、図示し
ないかご荷重検出器からの信号の有無に対応して、ＯＦ
Ｆ、ＯＮ動作するよう接続構成し、かご荷重検出器から
の信号により、かご内に乗客がいないときのみ、スイッ
チがＯＮし、そのときはじめて点検運転スイッチ１９操
作による点検作業が可能となるように構成することがで
きる。このように乗客の有無を確認した上で点検するこ
とにより、運転サービスの低下を招くことがなく、効率
の良いリミットスイッチ動作点検作業を実施することが
できる。

【００３９】なお、点検運転スイッチ１９、及び各上昇
下降運転スイッチ２２、２０は制御装置５内にあるか
ら、図１の通信端末装置７を介して、遠隔監視センター
装置８側から、遠隔制御によりＯＮ、ＯＦＦ操作による
作業も可能であり、従来のように点検作業者が直接エレ
ベーターかご内に乗り込んでリミットスイッチ１１、１
３の点検を行なう必要がなくなる。

【００４０】このように、本発明によれば、単なる制御
器によるスイッチング操作により、リミットスイッチの
動作状況を制御装置は勿論のこと遠隔操作が行われる監
視装置側にも通報できるものであり、従来、専門技術者
の手作業により行っていたリミットスイッチ点検作業
が、なんら高度な専門技術を必要とせず、確実にしかも
安全に点検できるようになった。

【００４１】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、リミッ
トスイッチ動作点検の制御回路を付加しただけで、エレ
ベーター昇降路内の上、下部の各リミットスイッチの動
作確認を遠隔制御等により行うことができ、作業者の負
荷の軽減と安全性が確保されるものであり、実用に際し
得られる効果大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるエレベーターのリミットスイッチ
動作点検装置の一実施の形態を適用したエレベーターの
全体構成図である。

【図２】図１に示す装置の詳細回路図である。

【符号の説明】 １ かご ３ 巻き上げ機 ５ 制御装置 ５ａ マイコン制御部 ５ａ１ 位置検出部 ５ａ２ 比較演算回路 ５ａ３ 停止位置設定回路 ６ パルス発生機 ７ 通信端末装置 ８ 監視装置 １１、１３ リミットスイッチ １４ 信号伝送ケーブル １５、１６ 運転制限リレー １７、１８ 運転リレー １９ 点検運転スイッチ ２０、２２ 運転スイッチ ２１、２３ 点検用運転リレー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベーターの通常運転モードを解除し
   一方の終端階を越えて運転するよう制御する制御器と、
   この制御器の制御により前記エレベーターの乗りかごが
   前記一方の終端階の着床位置を越えて運転されたことを
   検知しエレベーターを停止させるように動作するリミッ
   トスイッチと、このリミットスイッチの作動により停止
   したエレベーターを他方の終端階に向け運転させる起動
   スイッチと、前記リミットスイッチの作動により停止し
   たエレベーターの停止位置を検出する位置検出手段とを
   具備することを特徴とするエレベーターのリミットスイ
   ッチ動作点検装置。
2. 【請求項２】 前記位置検出手段によって検知されたエ
   レベーターの停止位置と、予め設定された停止位置とを
   比較しその差の値を導出する比較器と、この比較器から
   導出された前記差の値が所定値を越えたときに警報信号
   を導出する判定手段と具備することを特徴とする請求項
   １記載のエレベーターのリミットスイッチ動作点検装
   置。
3. 【請求項３】 前記制御器は、かご内乗客がいないとき
   に作動することを特徴とする請求項１または請求項２記
   載のエレベーターのリミットスイッチ動作点検装置。