JPH07237368A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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JPH07237368A
JPH07237368A JP32451394A JP32451394A JPH07237368A JP H07237368 A JPH07237368 A JP H07237368A JP 32451394 A JP32451394 A JP 32451394A JP 32451394 A JP32451394 A JP 32451394A JP H07237368 A JPH07237368 A JP H07237368A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
heat
base paper
film
sensitive stencil
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Application number
JP32451394A
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English (en)
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Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Kenji Kida
健次 喜田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】熱可塑性樹脂フィルムに熱可塑性樹脂繊維から
なる多孔性支持体が積層されてなる感熱孔版印刷用原紙
であって、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶融解エネルギ
ーをΔHu1 (cal/g)、厚さをt(μm)とし、
該熱可塑性樹脂繊維の結晶融解エネルギーをΔHu2
(cal/g)、平均繊維径をd(μm)とした時、Δ
Hu1 ×t<ΔHu2 ×dであることを特徴とする感熱
孔版印刷用原紙。 【効果】フィルムの穿孔感度を向上せしめて、なおかつ
支持体の耐熱安定性を満足することができ、印刷性能の
優れた原紙を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲンランプ、キセ
ノンランプ、フラッシュバルブなどによる閃光照射や赤
外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、あるいはサ
ーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版用原紙
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より感熱孔版印刷に用いられる感熱
孔版印刷用原紙としては、アクリロニトリル系フィル
ム、ポリエステル系フィルム、塩化ビニリデン系フィル
ム等の熱可塑性樹脂フィルムと、天然繊維や合成繊維か
らなる薄葉紙、不織布、スクリーン紗等によって構成さ
れた多孔性支持体とを接着剤で貼り合わせた構造のもの
が知られている(例えば特開昭51−2512号公報、
特開昭51−2513号公報、特開昭57−18249
5号公報、特開昭58−147396号公報、特開昭5
9−115898号公報など)。
【0003】しかしながら、これら従来の感熱孔版印刷
用原紙は印刷された画像の鮮明性の点で、必ずしも満足
のいくものではなかった。
【0004】なお本発明でいう感熱孔版印刷とは、印刷
原稿の文字や図形に対応して前記のサーマルヘッド等に
より感熱孔版印刷用原紙のフィルムを溶融穿孔させてマ
スターを作成し、該マスターの支持体側から印刷用イン
キを供給してフィルムの穿孔部分を通して浸出せしめ、
該マスターのフィルム面に接した印刷用紙に印刷するも
のである。
【0005】従来の感熱孔版印刷用原紙を用いた印刷物
の画像鮮明性が十分でない理由としては種々考えられる
が、その一つは支持体を構成する繊維に起因するもので
ある。例えば、従来から最も多く使用されている天然繊
維からなる薄葉紙は繊維の太さが太く、かつ不均一であ
るため、インキの透過性が不均一になり、印刷がかすれ
たり、また、フィルムの穿孔部分に存在する繊維によっ
てベタ印刷での白抜けが発生するなどの欠点があった。
【0006】これらの欠点を改良するため、支持体の繊
維の太さを細くしたり均一化する目的で、ポリエステル
繊維やポリプロピレン繊維などの合成繊維を主体とする
抄造紙や不織布を用いた感熱孔版印刷用原紙が提案され
ている(特開昭59−2896号公報、特開昭59−1
6793号公報、特開平2−67197号公報など)。
【0007】しかしながら、これら合成繊維を主体とす
る抄造紙や不織布は、天然繊維からなる薄葉紙に比較し
て画像鮮明性は向上するものの、サーマルヘッド等によ
って原紙のフィルムが穿孔される時の加熱によって、支
持体の繊維が熱変形して原紙にしわが発生したり、印刷
された画像がひずむという欠点があった。
【0008】また、従来の感熱孔版印刷用原紙の印刷画
像の鮮明性が十分でないもう一つの原因は、原紙を構成
するフィルムの穿孔感度に起因するものである。すなわ
ち、フィルムの穿孔感度が低いと、印刷原稿の文字や図
形に対応した穿孔が不完全となり、場合によっては未穿
孔部分が発生する。フィルムの穿孔が不完全であると当
然のことながらインキの透過が不完全となり、結果とし
て印刷物の文字や図形が欠落したものとなってしまうと
いう欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、穿孔感度が良好で、かつ穿孔時の温度によ
って支持体が熱変形することのない画像鮮明性に優れた
感熱孔版印刷用原紙を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは感熱孔版印刷用原紙(以下、原紙とい
う)の穿孔メカニズムについて鋭意研究した結果、フィ
ルムと支持体との熱特性を特定化することによって、従
来原紙の欠点を改良できることを見いだし、本発明を完
成したものである。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂フ
ィルムに熱可塑性樹脂繊維からなる多孔性支持体が積層
されてなる感熱孔版印刷用原紙であって、該熱可塑性樹
脂フィルムの結晶融解エネルギーをΔHu1 (cal/
g)、厚さをt(μm)とし、該熱可塑性樹脂繊維の結
晶融解エネルギーをΔHu2 (cal/g)、平均繊維
径をd(μm)とした時、ΔHu1 ×t<ΔHu2 ×d
であることを特徴とする感熱孔版印刷用原紙に関するも
のである。
【0011】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまた
はその共重合体など従来公知のものが用いられるが、穿
孔感度の点からポリエステルフィルムが特に好ましく用
いられる。
【0012】ポリエステルフィルムに用いられるポリエ
ステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレート
との共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を挙
げることができる。穿孔感度を向上するために特に好ま
しくは、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレ
ートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシ
クロヘキサンジメチレンテレフテレートとの共重合体等
を挙げることができる。
【0013】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
通常延伸された方が好ましく、従来公知のTダイ法、イ
ンフレーション法等によって製造することができる。例
えば、Tダイ法ではポリマーをキャストドラム上に押し
出すことによって未延伸フィルムを作製し、次いで加熱
ロール群により縦延伸し、また必要に応じてテンター等
に供給して横延伸することにより製造することができ
る。口金のスリット幅、ポリマーの吐出量、キャストド
ラムの回転数等を調整することによって、未延伸フィル
ムの厚さを調整することができ、また、加熱ロール群の
回転速度を調整したり、テンターの設定幅を変更するこ
とによって、所望の延伸倍率で延伸することができる。
【0014】なお、ポリエステルフィルムを製造する場
合には、ポリマーの固有粘度は通常好ましくは0.6以
上、より好ましくは0.65以上である。固有粘度が
0.6以上であると製膜安定性が高く、特に薄物のキャ
ストを容易に行うことができる。
【0015】本発明における熱可塑性樹脂フィルムには
必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワ
ックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤
等を配合することができる。さらには必要に応じて易滑
性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特
に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは
乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレン等
を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、内部粒子
による方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
【0016】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚
さ(t)は、通常好ましくは0.1〜10μmであり、
より好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.1
〜3μmである。厚さが10μm以下であれば穿孔性が
良好であり、0.1μm以上であれば製膜安定性が良好
となる。
【0017】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
結晶融解エネルギー(ΔHu1 )が好ましくは3〜11
cal/g、より好ましくは5〜10cal/gであ
る。ΔHu1 が3cal/g以上であるとフィルムの穿
孔形状が安定して、良好な印刷画像を得ることができ
る。また、ΔHu1 が11cal/g以下であると穿孔
感度が良好である。
【0018】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
通常好ましくは結晶融解エネルギー(ΔHu1 )とフィ
ルム厚さ(t)との積(ΔHu1 ×t)が25cal・
μm/g以下であり、より好ましくは20cal・μm
/g以下、特に好ましくは15cal・μm/g以下で
ある。ΔHu1 ×tが25cal・μm/g以下であれ
ば穿孔感度が良好であり、印刷画像に欠落部分を生じた
りすることがなく、またベタ印刷での濃淡の表現性に優
れたものとなる。
【0019】本発明における熱可塑性樹脂繊維は、例え
ばポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエ
チレンまたはその共重合体など従来公知のものが用いら
れるが、原紙の穿孔時の熱安定性の点からポリエステル
が特に好ましく用いられる。ポリエステルとして好まし
くは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフテレー
ト、エチレンテレフテレートとエチレンテレフタレート
との共重合体等を挙げることができる。穿孔時の熱寸法
安定性の点から特に好ましくは、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることがで
きる。これらのポリマーには必要に応じて難燃剤、熱安
定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、
染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいは
ポリシロキサン等の消泡剤等を配合することができる。
【0020】本発明における熱可塑性樹脂繊維からなる
多孔性支持体の形態は、特に限定されるものではなく、
支持体としての強度とインキの保持性と透過性を具備し
たものであればよい。例えば、短繊維を抄紙した抄造紙
であってもよいし、不織布や織物であってもよいし、あ
るいはスクリーン紗などを用いることができる。中でも
インキの透過性と保持性の点で不織布がより好ましく用
いられる。
【0021】不織布はフラッシュ紡糸法、メルトブロー
紡糸法、スパンボンド紡糸法など従来公知の直接溶融紡
糸法よって製造することができる。用いるポリマーがポ
リエステルの場合、その固有粘度は通常好ましくは0.
4以上、より好ましくは0.5以上、特に好ましくは
0.6以上である。例えば、メルトブロー紡糸法では、
溶融したポリマーを口金から吐出するに際して、口金周
辺部から熱風を吹き付け、該熱風によって吐出したポリ
マーを細繊度化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置
したネットコンベア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形
成して製造される。ポリマー吐出量、熱風温度、熱風流
量、コンベア移動速度等を調整することにより、ウエブ
の目付や単糸繊度を任意に設定することができる。
【0022】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア上に捕集してウエブを形成して製造される。ポ
リマー吐出量、コンベア速度を適宜設定することによ
り、繊度やウエブの目付を任意に設定することができ
る。
【0023】本発明における多孔性支持体は、インキと
の親和性を付与するために必要に応じて構成する繊維の
表面に酸、アルカリ等の化学処理、コロナ処理、低温プ
ラズマ処理等を施してもよい。
【0024】本発明の多孔性支持体を構成する熱可塑性
樹脂繊維の直径(d)は、通常好ましくは0.5〜60
μm、より好ましくは0.5〜30μm、特に好ましく
は1〜20μmである。直径が0.5μm以上であると
支持体としての強度が十分であり、直径が60μm以下
であると支持体の厚みと目付量が均一となり、インキの
透過が均一になる。
【0025】なお、本発明でいう繊維直径とは等価円直
径であり、繊維断面は必ずしも円形でなくてもよく、楕
円、偏平、多角形状であってもよい。異なる断面形状の
繊維が混合されていてもよい。また、繊維は全て同一直
径であってもよいし、異なる直径の繊維が混繊されたも
のであってもよい。異なる直径の繊維が混繊された場
合、繊維直径はそれらの平均直径をいう。また、本発明
にあっては直径の異なる繊維を段階的に積層した多層構
造としてもよい。多層構造の場合、少なくともフィルム
に面した層を直径の小さい繊維で構成し、残りの層を直
径の大きい繊維で構成すると画像鮮明性と支持体強度と
のバランスの点でより好適である。
【0026】本発明の多孔性支持体を構成する熱可塑性
樹脂繊維の結晶融解エネルギー(ΔHu2 )は通常5c
al/g以上が好ましく、より好ましくは7cal/g
以上、特に好ましくは9cal/g以上である。結晶融
解エネルギーが5cal/g以上であると支持体として
の耐熱性が良好である。
【0027】本発明の多孔性支持体は、熱可塑性樹脂繊
維の結晶融解エネルギー(ΔHu2)と平均繊維径
(d)との積(ΔHu2 ×d)が通常好ましくは5ca
l・μm/g以上、より好ましくは10cal・μm/
g以上である。
【0028】本発明の多孔性支持体を構成する熱可塑性
樹脂繊維は延伸配向されているのが好ましい。通常、複
屈折(Δn)は0.1以上が好ましく、より好ましくは
0.12以上、特に好ましくは0.14以上である。複
屈折が0.1以上であると、繊維強度が高く、十分な支
持体強度が得られる。
【0029】本発明の多孔性支持体を構成する繊維の結
晶化度は、通常好ましくは20%以上であり、より好ま
しくは30%以上、特に好ましくは35%以上である。
結晶化度が20%であると、支持体としての十分な耐熱
性が得られる。
【0030】本発明における多孔性支持体の繊維目付量
は、通常好ましくは1〜20g/m2 であり、より好ま
しくは1〜16g/m2 、特に好ましくは1〜14g/
2である。目付量が20g/m2 以下であるとインキ
の透過性が良好となり、画像鮮明性に優れたものとな
る。また目付量が1g/m2 以上であると支持体として
十分な強度が得られる。
【0031】本発明における多孔性支持体は、好ましく
は繊維同士がその交絡点や接点において、互いに融着し
た融着点を有する網状体を形成してなる。特に好ましく
は、網状体中の融着点のうちの一部に、2本以上の繊維
間にまたがる薄膜を形成してなる。つまり、支持体の繊
維同士が、薄膜を形成してなる融着点を持つた網状体を
形成することにより、支持体の強度が安定するととも
に、均一な開孔形態を形成することができるので、搬送
性に優れ、かつ印刷インキの保持性と透過性のバランス
のとれた原紙とすることができるものである。
【0032】本発明でいう融着点の薄膜とは、いわゆる
「あひるの足の水掻き」状、あるいは「蛙の足の水掻
き」状、または「ひだ」状のものを言い、通常2本以上
の繊維間にまたがって形成され、その厚さは繊維の平均
径より薄いものである。また、該薄膜の大きさは特に限
定されないが、通常、面積で1μm2 以上、好ましくは
5μm2 以上である。
【0033】本発明では、融着点の全てにおいてこのよ
うな「あひるの足の水掻き」状あるいは「蛙の足の水掻
き」状または「ひだ」状の薄膜が形成される必要はな
く、支持体の平均的な面において、前記のような薄膜を
形成してなる融着点が、通常好ましくは1mm2 当たり
1個以上、より好ましくは10個以上、特に好ましくは
50個以上あるのが望ましい。薄膜を形成してなる融着
点が1mm2 当たり1個以上あると、支持体の強度が安
定するとともに、支持体の開孔形状が均一になり、イン
キの保持性が良好となり、印刷画像の裏写りが生じにく
い。
【0034】本発明の多孔性支持体面を直接、光学顕微
鏡の明視野透過法で観察して求めた網状体の形成する開
孔部の面積分率は通常好ましくは5〜80%、より好ま
しくは5〜50%、特に好ましくは5〜30%である。
開孔面積分率が5%以上であればインキの透過性が高
く、80%以下であればインキの保持性が良好である。
また、光学顕微鏡の明視野透過法で観察される網状体の
形成する開孔部を円とみなした場合、その等価円直径の
平均値は好ましくは5〜100μm、より好ましくは5
〜60μm、特に好ましくは5〜30μmである。平均
直径が5μm以上あればインキの透過性が良好で、10
0μm以下であればインキの保持性が良好である。
【0035】本発明の原紙は、前記熱可塑性樹脂フィル
ムの結晶融解エネルギー(ΔHu1)と厚さ(t)との
積を(ΔHu1 ×t)とし、上記熱可塑性樹脂繊維の結
晶融解エネルギー(ΔHu2 )と平均繊維径(d)との
積を(ΔHu2 ×d)とした時、通常好ましくはΔHu
1 ×t<ΔHu2 ×dである。より好ましくは、ΔHu
1 ×tとΔHu2 ×dとの差は2cal・μm/g以
上、特に好ましくは4cal・μm/g以上である。す
なわち、多孔性支持体の熱容量を熱可塑性樹脂フィルム
の熱容量より大きくすることにより、サーマルヘッド等
によってフィルムが溶融穿孔された場合でも、支持体の
繊維は熱的に安定な状態に保つことができるので、繊維
が溶融したり、変形したりすることがない。つまり、多
孔性支持体の繊維がフィルムの穿孔形状を確実に保持す
ることができるので、該原紙を用いた印刷物は、文字や
画像がつぶれたり歪んだりすることがなく、鮮明な文字
や画像を得ることができるのである。
【0036】本発明の原紙を構成する熱可塑性樹脂フィ
ルムの融点(Tm1 )と多孔性支持体を形成する熱可塑
性樹脂繊維の融点(Tm2 )とは、好ましくはTm1 ≦
Tm2 であり、より好ましくはその温度差が5℃以上、
特に好ましくは20℃以上である。Tm1 ≦Tm2 であ
ると、フィルムの穿孔性が良好であり、支持体の耐熱性
も十分である。
【0037】本発明の原紙を構成する熱可塑性樹脂フィ
ルムと多孔性支持体間の剥離強度は好ましくは1g/2
5mm以上、より好ましくは5g/25mm以上、特に
好ましくは10g/25mm以上である。剥離強度が1
g/25mm以上であると、原紙を印刷機に供給搬送す
る際にシワが発生することがない。
【0038】本発明における原紙は、上記の熱可塑性樹
脂フィルムと熱可塑性樹脂繊維からなる多孔性支持体と
を積層一体化して作られる。積層はフィルムの穿孔感度
を低下させない条件で接着剤を用いて接着してもよい
し、接着剤を用いることなくフィルムと支持体繊維とを
直接固着してもよい。
【0039】直接固着するには、通常、熱可塑性樹脂フ
ィルムと支持体繊維とを加熱しつつ直接貼り合わせる熱
圧着により行うのが好ましい。熱圧着の方法は特に限定
されるものではないが、加熱ロールやダブルベルトプレ
スによる熱圧着がプロセス性の点から特に好ましい。熱
圧着温度は通常、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温
度(Tg)と融点(Tm)との間であるのが好ましく、
より好ましくはTgと冷結晶化温度(Tcc)との間で
あり、特に好ましくはTg+10℃〜Tg+50℃の範
囲である。
【0040】本発明の好ましい実施態様としては、未延
伸の熱可塑性樹脂フィルムに、同じく未延伸の熱可塑性
樹脂繊維からなる多孔性支持体を積層して熱圧着し、共
延伸するのが特に好ましい。熱圧着した状態で共延伸す
ることにより、フィルムと支持体とは一体で剥離するこ
となく好適に延伸することができ、また、両者を一体で
共延伸することにより、熱可塑性樹脂繊維が補強体とし
て作用するので、フィルムの厚さが薄くても破れたりす
ることがなく、極めて製膜安定性に優れ、結果として製
造コストの安価な原紙を得ることができる。この時、支
持体の繊維はその交絡点や接点において互いに融着し
て、融着点を有する網状体が形成される。さらに、これ
ら融着点のうちの一部の融着点において、2本以上の繊
維間にまたがる薄い膜が形成される。
【0041】共延伸の方法は特に限定されるものではな
く、一軸延伸、二軸延伸いずれの方法でもよい。フィル
ムの配向性および支持体繊維の均一分散性の点で二軸延
伸がより好ましい。二軸延伸は逐次二軸延伸、同時二軸
延伸のいずれの方法であってもよい。逐次二軸延伸の場
合、縦方向、横方向の順に延伸するのが一般的である
が、逆に延伸してもよい。延伸温度は熱可塑性樹脂フィ
ルムのガラス転移温度(Tg)と冷結晶化温度(Tc
c)との間であるのが好ましい。延伸倍率は特に限定さ
れるものではなく、用いる熱可塑性ポリマーの種類や原
紙に要求される感度等によって適宜決定されるが、通常
好ましくはは縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは
3〜8倍が適当である。また、二軸延伸後、縦または
横、あるいは縦横に再延伸してもかまわない。
【0042】さらに、二軸延伸後の本発明原紙を熱処理
してもよい。熱処理することにより、フィルムの穿孔感
度を向上することができ、また、支持体に耐熱性を付与
することができる。熱処理条件は特に限定されるもので
はなく、用いる熱可塑性ポリマーの種類によって適宜決
定されるが、ポリエステル樹脂の場合、通常、熱処理温
度は100〜240℃、時間は0.5〜60秒程度が適
当である。
【0043】熱処理して得られた原紙を一旦室温程度ま
で冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温で、5
分から1週間程度エージングすることもできる。このよ
うなエージングを採用すると、原紙の保管時あるいは印
刷機内でのカールやシワの発生がなく特に好ましい。
【0044】本発明の原紙を構成するフィルム面には穿
孔時のスティック防止のため離型剤を塗布するのが好ま
しい。離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン
系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等からなる従来公知
のものを用いることができるが、以下に示す離型剤が特
に好ましい。
【0045】すなわち、水に溶解、乳化または懸濁する
石油系ワックス(A)、植物性ワックス(B)およびオ
イル状物質(C)の混合物を主成分とする離型剤が特に
好適である。ここで、主成分とは上記(A)、(B)お
よび(C)の混合物の占める重量比率が50%以上、好
ましくは60%以上であることを言う。
【0046】石油系ワックスとしてはパラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス等を
挙げることができる。中でも酸化ワックスの使用が特に
好ましい。
【0047】また、植物性ワックスとしてはキャンデラ
ワックス、カルナウパワックス、木ロウ、オリキューリ
ーワックス、さとうきびロウ等が挙げられるが、本発明
においては特に下記化合物からなる組成物が好ましい。
【0048】すなわち、{ロジンまたは不均化ロジン、
または水添ロジン・α、β置換エチレン(α置換基:カ
ルボキシル、β置換基:水素、メチルまたはカルボキシ
ル)添加物}・アルキルまたはアルケニル(各炭素数1
〜8)ポリ(繰り返し単位:1〜6)アルコールのエス
テル添加物を用いるのが特に好ましい。
【0049】石油系ワックスと植物性ワックスとの混合
比率は10/90〜90/10重量%、好ましくは20
/80〜80/20重量%、さらに好ましくは30/7
0〜70/30重量%とするのが好ましい。植物性ワッ
クスを10重量%以上とするのは、水に乳化あるいは懸
濁させる場合の均一分散性が良好で、均一な塗布膜を得
るのに好適であることによる。また、石油系ワックスを
10重量%以上とすると塗布膜の易滑性が良好で、高速
穿孔時の走行性がよい。
【0050】また、本発明においては上記石油系ワック
ス(A)と植物性ワックス(B)にさらにオイル状物質
を加えた混合物を用いるが、ここでオイル状物質とは常
温で液体あるいはペースト状のオイルであり、植物油、
油脂、鉱物油、合成潤滑油等を挙げることができる。植
物油としてはアマニ油、カヤ油、サフラー油、大豆油、
シナギリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、糠
油、綿実油、オリーブ油、サザンカ油、椿油、ヒマシ
油、落花生油、バーム油、椰子油等が挙げられる。油脂
としては、牛脂、豚油、羊油、カカオ油等、鉱物油とし
てはマシン油、絶縁油、タービン油、モーター油、ギヤ
油、切削油、流動パラフィン等を挙げることができる。
合成潤滑油としては、化学大事典(共立出版社)に記載
の要件を満たすものを任意に使用することができ、例え
ばオレフィン重合油、ジエステル油、ポリアルキレング
リコール油、シリコーン油等を挙げることができる。こ
れらの中でも鉱物油、合成潤滑油が好適である。また、
これらの混合系であっても良い。
【0051】上記オイル状物質(C)は前記石油系ワッ
クス(A)と植物性ワックス(B)の混合物100重量
部に対し1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部
添加する必要がある。オイル状物質が1重量部以上であ
ると、高印加エネルギー領域での走行性が良好である。
また、100重量部以下であると低印加エネルギー領域
での走行性が良好である。
【0052】植物性ワックス、石油系ワックスまたはオ
イル状物質の混合物を用いると、これらのいずれかを単
独で用いた場合に比べ、均一な塗布膜が得られやすく、
走行性が良好でスティックが発生しにくい。
【0053】上記組成物中には、本発明の効果を阻害し
ない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例え
ば、帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無
機粒子、顔料等が挙げられる。
【0054】また、塗剤中には水への分散性を向上させ
る目的で各種添加剤、例えば分散助剤、界面活性剤、防
腐剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0055】離型剤層の厚みは0.005μm以上0.
4μm以下、好ましくは0.01μm以上0.4μm以
下である。離型剤層の厚みが0.4μm以下であれば穿
孔時の走行性が良好でヘッドの汚染も少ない。
【0056】本発明において離型剤層を塗布する場合に
は塗液は防爆性や環境汚染の点で水に溶解、乳化または
懸濁した塗液が好ましい。
【0057】離型剤の塗布は、フィルムの延伸前または
延伸後、あるいは縦延伸後横延伸前いずれの段階で行っ
てもよいが、横延伸前に塗布するのがプロセス的に特に
好ましい。塗布方法は特に限定されないが、ロールコー
ター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコー
ター等を用いて塗布するのが好ましい。
【0058】また、離型剤を塗布する前に必要に応じ
て、塗布面に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電
処理を施しても良い。
【0059】
【特性の測定方法】
(1)融点(Tm、℃) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0060】(2)結晶融解エネルギー(ΔHu) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、フィルムまたは繊維の融解時の面積から求
める。この面積は、昇温することによりベースラインか
ら吸収側にずれ、さらに昇温を続けるとベースラインの
位置まで戻るまでの面積であり、融解開始温度位置から
終了位置までを直線で結び、この面積(a)を求める。
同じDSCの条件でIn(インジウム)を測定し、この
面積(b)を6.8cal/gとして次式により求め
る。
【0061】ΔHu=6.8×a/b(cal/g) ■● (3)繊維直径(μm) サンプルの任意な10箇所を電子顕微鏡で倍率2000
倍で10枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき任意の
15本の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真につ
いて行い、合計150本の繊維径を測定し、その平均値
で表した。
【0062】(4)繊維目付(g/m2 ) 試験片20cm×20cmを取り、その重量を測定して
2 当たりの重量に換算した。
【0063】(5)固有粘度〔η〕 試料を105℃×20分乾燥した後、o−クロロフェノ
ール中で160℃×15分間撹拌して溶解した。冷却
後、ヤマトラボティックAVM−10S型自動粘度測定
器により25℃における粘度を測定した。
【0064】(6)結晶化度(%) n−ヘプタンと四塩化炭素の混合液からなる密度勾配管
に試料を投入し、10時間以上経過後の値を読んで密度
を求めた。結晶化度0%の密度を1.335g/c
3 、結晶化度100%の密度を1.455g/cm3
として、サンプルの結晶化度を算出した。
【0065】(7)複屈折(Δn) 偏光顕微鏡により、光源にナトリウムランプを用い、試
料をα−プロムナフタリン浸漬下で、Berekコンペ
ンセーター法からレターデーションを求めて算出した。
【0066】(8)繊維融着点の薄膜の形成 サンプルを(株)トプコン走査型電子顕微鏡DS130
を用いて倍率100〜300倍で観察した。
【0067】(9)支持体の開孔部の面積分率(%) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、開孔部の面積分率を
求めた。任意の測定点10箇所について開孔面積分率を
求め、その平均値を算出した。
【0068】(10)支持体の開孔部の等価円直径の平
均値(μm) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、白黒反転処理して開
孔部の等価円直径を求め、算術平均した。測定点10箇
所の平均値を求めた。
【0069】(11)剥離強度(g/25mm) JIS−K−6854に準拠した180度剥離試験法に
より測定した。
【0070】(12)フィルムの穿孔感度および支持体
の熱安定性の評価 東芝製ワープロ“ルポ”(JW05V)を用いて、サー
マルヘッド式製版方式で、印字濃度(穿孔エネルギー)
を6段階に変更して、原紙に直径2.5mmの●印を穿
孔し、該穿孔部を位相差顕微鏡で倍率200倍で観察
し、次のように評価した。
【0071】フィルムの穿孔感度 フィルムの穿孔部において、サーマルヘッドのドット数
に対応する90%以上が穿孔されたものを◎、ドット数
の80%以上90%未満が穿孔されたものを○、ドット
数の70%以上80%未満が穿孔されたものを△、ドッ
ト数の70%未満が穿孔のものを×とした。
【0072】支持体の熱安定性 上記フィルム穿孔部において、支持体繊維が熱変形する
ことなく安定であったものを◎、一部の繊維が熱変形し
たが、穿孔形状が保持されたものを○、繊維の熱変形が
大きく、穿孔形状が歪んだものを△、繊維の一部が溶融
して、穿孔形状が崩れたものを×とした。
【0073】(13)印刷性評価 東芝製ワープロ“ルポ”(JW05V)を用いて、サー
マルヘッド式製版方式により、印字濃度(穿孔エネルギ
ー)を6段階に変更して、JIS第1水準の文字で文字
サイズ2mm角のものと5mm角のものおよび●(丸で
中が黒く塗りつぶされたもの)で2〜10mmφのも
の、また、太さの異なる罫線を原稿として製版した。製
版原稿を用いて印刷したものを目視判定により、次のよ
うに評価した。
【0074】文字の鮮明さ 文字が鮮明なものを◎、文字がやや不鮮明なものを○、
文字が不鮮明だが判読できるものを△、文字が不鮮明で
ほとんど判読できないものを×とした。
【0075】罫線の太さムラ 罫線の太さが均一なものを◎、罫線の太さがやや不均一
なものを○、罫線の太さが明らかに不均一なものを△、
罫線にカスレや切れのあるものを×とした。
【0076】黒ベタ部の濃度 黒ベタ部の濃度(OD値)をマクベス濃度計で測定し、
OD値が1.2以上のもの◎、OD値が1以上1.2未
満のものを○、OD値が0.8以上1未満のものを△、
OD値が0.8未満のものを×とした。
【0077】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0078】実施例1 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、口金温度300℃でポリエチレンナフタレート原料
(〔η〕=0.63、Tm=272℃)を紡出し、エア
エジェクターにて、紡糸速度2000m/分でコンベア
上に分散捕集して繊維目付100g/m2 の未延伸不織
布を作製した。該不織布の結晶化度は8%、複屈折(Δ
n)は0.006であった。
【0079】次いで、ポリエチレンテレフテレート86
モル%、ポリエチレンイソフタレート14モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.7、Tm
=228℃)をスクリュ径40mmの押出機を用いて、
Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mmの冷
却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。
【0080】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0081】該積層シートを95℃の加熱ロール間で、
長さ方向に4倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に5倍延伸し、さらにテンター内部
で160℃×5秒間熱処理して、感熱孔版用原紙を作製
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥
後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0082】得られた原紙の繊維目付量は6g/m2
平均繊維径は5μm、結晶融解エネルギーは11.5c
al/g、複屈折(Δn)は0.17であった。また、
フィルムの厚さは2μm、結晶融解エネルギーは7.7
cal/gであった。
【0083】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0084】実施例2 実施例1で、紡糸速度を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍とした以外は実施例1と同じ条件で、感
熱孔版用原紙を作製した。
【0085】該原紙の繊維目付量は10g/m2 、平均
繊維径は4μm、結晶融解エネルギーは11.5cal
/g、複屈折(Δn)は0.16であった。また、フィ
ルムの厚さは3μm、結晶融解エネルギーは7.7ca
l/gであった。
【0086】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0087】実施例3 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、口金温度290℃でポリエチレンテレフタレート原
料(〔η〕=0.65、Tm=257℃)を紡出し、エ
アエジェクターにて、紡糸速度2000m/分でコンベ
ア上に分散捕集して繊維目付100g/m2 の未延伸不
織布を作製した。該不織布の結晶化度は8%、複屈折
(Δn)は0.009であった。
【0088】次いで、ポリエチレンテレフテレート82
モル%、ポリエチレンイソフタレート18モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.68、T
m=212℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0089】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱
圧着して、積層シートを作製した。
【0090】該積層シートを95℃の加熱ロールで、長
さ方向に4倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込み、
95℃で幅方向に5倍延伸した。さらにテンター内部で
160℃、5秒間熱処理し、感熱孔版用原紙を作製し
た。また、テンター入口部において、フィルム面にワッ
クス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥後の重さ
で0.1g/m2 塗布した。
【0091】得られた原紙の繊維目付量は8g/m2
平均繊維径は5μm、結晶融解エネルギーは9cal/
g、複屈折(Δn)は0.165であった。また、フィ
ルムの厚さは2μm、結晶融解エネルギーは6.8ca
l/gであった。
【0092】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0093】実施例4 実施例3で、紡糸速度を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍とした以外は実施例3と同じ条件で感熱
孔版用原紙を作製した。
【0094】該原紙の繊維目付量は12g/m2 、平均
繊維径は4μm、結晶融解エネルギーは9cal/g、
複屈折(Δn)は0.155であった。また、フィルム
の厚さは3μm、結晶融解エネルギーは6.8cal/
gであった。
【0095】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0096】実施例5 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度280℃でポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.6、Tm=254℃)をメルトブロー法
にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して目付10
0g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の結晶
化度は7%、複屈折(Δn)は0.008であった。
【0097】次いで、ポリエチレンテレフテレート82
モル%、ポリエチレンイソフタレート18モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.68、T
m=212℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0098】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0099】該積層シートを90℃の加熱ロール間で、
長さ方向に4倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に5倍延伸し、さらにテンター内部
で160℃×5秒間熱処理して、感熱孔版用原紙を作製
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥
後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0100】得られた原紙の繊維目付量は6g/m2
平均繊維径は3μm、結晶融解エネルギーは11.2c
al/g、複屈折(Δn)は0.145であった。ま
た、フィルムの厚さは3.5μm、結晶融解エネルギー
は6.8cal/gであった。
【0101】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0102】実施例6 孔径0.25mm、孔数1000個の矩形口金を用い
て、口金温度290℃でポリエチレンテレフタレート原
料(〔η〕=0.65、Tm=257℃)を紡出し、エ
アエジェクターにて、紡糸速度2000m/分でコンベ
ア上に分散捕集して繊維目付100g/m2 の未延伸不
織布を作製した。該不織布の結晶化度は8%、複屈折
(Δn)は0.009であった。
【0103】次いで、ポリエチレンテレフテレート75
モル%、ポリエチレンイソフタレート25モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.72、T
m=195℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0104】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度90℃で熱
圧着して、積層シートを作製した。
【0105】該積層シートを95℃の加熱ロールで、長
さ方向に4倍延伸した後、テンタ式延伸機に送り込み、
95℃で幅方向に5倍延伸した。さらにテンター内部で
160℃、5秒間熱処理し、感熱孔版用原紙を作製し
た。また、テンター入口部において、フィルム面にワッ
クス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥後の重さ
で0.1g/m2 塗布した。
【0106】得られた原紙の繊維目付量は7g/m2
平均繊維径は5μm、結晶融解エネルギーは9cal/
g、複屈折(Δn)は0.15であった。また、フィル
ムの厚さは2μm、結晶融解エネルギーは5.9cal
/gであった。
【0107】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0108】実施例7 実施例6で、紡糸速度を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍とした以外は実施例6と同じ条件で感熱
孔版用原紙を作製した。
【0109】該原紙の繊維目付量は12g/m2 、平均
繊維径は4μm、結晶融解エネルギーは9cal/g、
複屈折(Δn)は0.14であった。また、フィルムの
厚さは3μm、結晶融解エネルギーは5.9cal/g
であった。
【0110】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0111】実施例8 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度280℃、吐出量50g/分で、ポリエチレン
テレフタレート原料(〔η〕=0.6、Tm=254
℃)をメルトブロー法にて紡出し、コンベア上に繊維を
分散捕集して目付100g/m2 の未延伸不織布を作製
した。該不織布の結晶化度は5%、複屈折(Δn)は
0.005であった。
【0112】次いで、ポリエチレンテレフテレート75
モル%、ポリエチレンイソフタレート25モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.72、T
m=195℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0113】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0114】該積層シートを90℃の加熱ロール間で、
長さ方向に4倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に5倍延伸し、さらにテンター内部
で160℃×5秒間熱処理して、感熱孔版用原紙を作製
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥
後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0115】得られた原紙の繊維目付量は6.5g/m
2 、平均繊維径は3μm、結晶融解エネルギーは11.
2cal/g、複屈折(Δn)は0.16であった。ま
た、フィルムの厚さは3.5μm、結晶融解エネルギー
は5.9cal/gであった。
【0116】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0117】比較例1 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度300℃でポリエチレンナフタレート原料
(〔η〕=0.5、Tm=270℃)をメルトブロー法
にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して目付10
0g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の結晶
化度は6%、複屈折(Δn)は0.005であった。
【0118】次いで、ポリエチレンテレフテレート86
モル%、ポリエチレンイソフタレート14モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.7、Tm
=228℃)をスクリュ径40mmの押出機を用いて、
Tダイ口金温度280℃で押出し、直径300mmの冷
却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。
【0119】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度95℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0120】該積層シートを95℃の加熱ロール間で、
長さ方向に4倍延伸した後、テンター式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に5倍延伸し、さらにテンター内部
で160℃×5秒間熱処理して、感熱孔版用原紙を作製
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥
後の重さで0.1g/m2 塗布した。
【0121】得られた原紙の繊維目付量は6.5g/m
2 、平均繊維径は2.4μm、結晶融解エネルギーは1
1cal/gであった。また、フィルムの厚さは3.5
μm、結晶融解エネルギーは7.7cal/gであっ
た。
【0122】比較例2 比較例1で、紡糸条件を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍とした以外は比較例1と同じ条件で感熱
孔版用原紙を作製した。
【0123】該原紙の繊維目付量は13g/m2 、平均
繊維径は2μm、結晶融解エネルギーは11cal/g
であった。また、フィルムの厚さは4μm、結晶融解エ
ネルギーは7.7cal/gであった。
【0124】比較例3 実施例5で、紡糸条件を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍とした以外は比較例5と同じ条件で感熱
孔版用原紙を作製した。
【0125】該原紙の繊維目付量は12.5g/m2
平均繊維径は2μm、結晶融解エネルギーは11.2c
al/gであった。また、フィルムの厚さは4μm、結
晶融解エネルギーは6.8cal/gであった。
【0126】比較例4 実施例8で、紡糸条件を変更し、縦延伸倍率を3倍、横
延伸倍率を4倍として感熱孔版用原紙を作製した。
【0127】該原紙の繊維目付量は14.5g/m2
平均繊維径は2μm、結晶融解エネルギーは11.2c
al/gであった。また、フィルムの厚さは4.5μ
m、結晶融解エネルギーは5.9cal/gであった。
【0128】実施例9 実施例3で、紡糸速度5000m/分で繊維目付15g
/m2 の不織布を作製した。該不織布の平均繊維径は2
0μm、結晶融解エネルギーは9cal/g、複屈折
(Δn)は0.17であった。
【0129】同じく実施例3で、厚さ2μmのフィルム
を作製した。該フィルムの結晶融解エネルギーは6.8
cal/gであった。
【0130】次いで、該不織布とフィルムとを酢酸ビニ
ル系樹脂接着剤を用いて貼り合わせた。接着剤塗布量は
1g/m2 とした。さらに、接着後のフィルム面にワッ
クス系離型剤を乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布して
感熱孔版用原紙とした。
【0131】実施例10 実施例3で、紡糸速度を1000m/分として、目付1
50g/m2 の不織布を作製した。該不織布の結晶化度
は6%、複屈折(Δn)は0.008であった。
【0132】次いで、実施例3と同じ原料で、ポリマー
吐出量を下げて未延伸フィルムを作製した。該未延伸フ
ィルムに上記不織布を重ね、縦延伸倍率を3倍、横延伸
倍率を4倍として、実施例3と同じ条件で原紙を作製し
た。
【0133】該原紙の繊維目付量は11g/m2 、平均
繊維径は10μm、結晶融解エネルギーは9cal/
g、複屈折(Δn)は0.13であった。また、フィル
ムの厚さは2μm、結晶融解エネルギーは6.8cal
/gであった。
【0134】実施例11 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度280℃でポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.51、Tm=252℃)をメルトブロー
法にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して目付1
00g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の結
晶化度は5%、複屈折(Δn)は0.005であった。
【0135】次いで、ポリエチレンテレフテレート84
モル%、ポリエチレンイソフタレート16モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.66、T
m=210℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度275℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0136】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度85℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0137】該積層シートを87℃の加熱ロール間で、
長さ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、93℃で幅方向に4倍延伸し、さらにテンター
内部で150℃×10秒間熱処理して、感熱孔版用原紙
を作製した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部に
おいて、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて
乾燥後の重さで0.05g/m2 塗布した。
【0138】得られた原紙の繊維目付量は7.2g/m
2 、平均繊維径は5μm、結晶融解エネルギーは11.
0cal/g、複屈折(Δn)は0.12であった。ま
た、フィルムの厚さは1.5μm、結晶融解エネルギー
は7.0cal/gであった。
【0139】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0140】実施例12 実施例11において、長さ方向の延伸倍率を3.7倍、
幅方向の延伸倍率を4.2倍とし、その他は実施例11
と同じ条件で感熱孔版用原紙を作製した。
【0141】得られた原紙の繊維目付量は6.4g/m
2 、平均繊維径は4μm、結晶融解エネルギーは11.
0cal/g、複屈折(Δn)は0.13であった。ま
た、フィルムの厚さは1.0μm、結晶融解エネルギー
は7.0cal/gであった。
【0142】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0143】実施例13 同じく実施例11において、長さ方向の延伸倍率を4
倍、幅方向の延伸倍率を4.5倍とし、その他は実施例
11と同じ条件で感熱孔版用原紙を作製した。
【0144】得られた原紙の繊維目付量は5.6g/m
2 、平均繊維径は3μm、結晶融解エネルギーは11.
0cal/g、複屈折(Δn)は0.14であった。ま
た、フィルムの厚さは0.5μm、結晶融解エネルギー
は7.0cal/gであった。
【0145】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0146】実施例14 孔径0.2mm、孔数200個の矩形口金を用いて、口
金温度280℃でポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.48、Tm=253℃)をメルトブロー
法にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して目付1
60g/m2 の未延伸不織布を作製した。該不織布の結
晶化度は5%、複屈折(Δn)は0.006であった。
【0147】次いで、ポリエチレンテレフテレート80
モル%、ポリエチレンイソフタレート20モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.68、T
m=205℃)をスクリュ径40mmの押出機を用い
て、Tダイ口金温度275℃で押出し、直径300mm
の冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0148】該未延伸フィルム上に、前記の未延伸不織
布を重ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱
圧着し、積層シートを作製した。
【0149】該積層シートを85℃の加熱ロール間で、
長さ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機に送
り込み、90℃で幅方向に4倍延伸し、さらにテンター
内部で170℃×10秒間熱処理して、感熱孔版用原紙
を作製した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部に
おいて、ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて
乾燥後の重さで0.08g/m2 塗布した。
【0150】得られた原紙の繊維目付量は11.4g/
2 、平均繊維径は2μm、結晶融解エネルギーは1
0.8cal/g、複屈折(Δn)は0.13であっ
た。また、フィルムの厚さは1.5μm、結晶融解エネ
ルギーは6.4cal/gであった。
【0151】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0152】実施例15 実施例14において、長さ方向の延伸倍率を3.7倍、
幅方向の延伸倍率を4.2倍とし、その他は実施例14
と同じ条件で感熱孔版用原紙を作製した。
【0153】得られた原紙の繊維目付量は10.3g/
2 、平均繊維径は1μm、結晶融解エネルギーは1
0.8cal/g、複屈折(Δn)は0.14であっ
た。また、フィルムの厚さは1.0μm、結晶融解エネ
ルギーは6.4cal/gであった。
【0154】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0155】実施例16 同じく実施例14において、長さ方向の延伸倍率を4
倍、幅方向の延伸倍率を4.5倍とし、その他は実施例
14と同じ条件で感熱孔版用原紙を作製した。
【0156】得られた原紙の繊維目付量は8.9g/m
2 、平均繊維径は0.5μm、結晶融解エネルギーは1
0.8cal/g、複屈折(Δn)は0.15であっ
た。また、フィルムの厚さは0.5μm、結晶融解エネ
ルギーは6.4cal/gであった。
【0157】該原紙を光学顕微鏡で観察したところ、支
持体の繊維同士が融着した網状体を形成し、かつ融着点
の一部に繊維間にまたがって薄膜が形成されていた。
【0158】実施例17 実施例14で作製した不織布を、フィルムストレッチャ
ーで予熱温度90℃、予熱時間30秒で4×4倍に逐次
二軸延伸し、トンネルオーブン中で160℃×10秒間
熱処理を施し、多孔性支持体を作製した。得られた支持
体の繊維目付量は9.8g/m2 、平均繊維径は1.5
μm、結晶融解エネルギーは10.8cal/g、複屈
折(Δn)は0.15であった。また、該支持体を光学
顕微鏡で観察したところ、支持体の繊維同士が融着した
網状体を形成し、かつ融着点の一部に繊維間にまたがっ
て薄膜が形成されていた。
【0159】次いで、実施例14と同じ条件で厚さ1.
5μmの二軸延伸フィルムを作製した。該フィルムの結
晶融解エネルギーは6.4cal/gであった。
【0160】次いで、前記の不織布とフィルムとを酢酸
ビニル系樹脂接着剤を用いて貼り合わせた。接着剤塗布
量は1g/m2 とした。さらに、接着後のフィルム面に
ワックス系離型剤を乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布
して感熱孔版用原紙とした。
【0161】実施例18 多孔性支持体として、縦、緯とも繊維径45μmのポリ
エステル繊維からなる300メッシュのスクリーン紗を
準備した。該繊維の結晶融解エネルギーは12.5ca
l/g、複屈折(Δn)は0.17であった。
【0162】次いで、実施例14と同じ条件で厚さ1.
5μmの二軸延伸フィルムを作製した。該フィルムの結
晶融解エネルギーは6.4cal/gであった。
【0163】次いで、前記の不織布とフィルムとを酢酸
ビニル系樹脂接着剤を用いて貼り合わせた。接着剤塗布
量は1g/m2 とした。さらに、接着後のフィルム面に
ワックス系離型剤を乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布
して感熱孔版用原紙とした。
【0164】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 表1、表2、表3、表4の結果からわかるように、熱可
塑性樹脂フィルムの結晶融解エネルギーΔHu1 とフィ
ルム厚さtとの積(ΔHu1 ×t)が、多孔性支持体を
構成する熱可塑性樹脂繊維の結晶融解エネルギーΔHu
2 と繊維径dとの積(ΔHu2 ×d)より小さい本発明
の感熱孔版用原紙は、フィルムの穿孔感度に優れ、支持
体の熱安定性にも優れるため、結果として印刷性能が優
れたものとなっている。
【0165】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、熱可塑
性樹脂フィルムの結晶融解エネルギーとフィルム厚さと
の積(ΔHu1 ×t)と、多孔性支持体を構成する熱可
塑性樹脂繊維の結晶融解エネルギーと繊維径との積(Δ
Hu2 ×d)とにおいて、 ΔHu1 ×t<ΔHu2 ×d となるように構成したので、フィルムの穿孔感度を向上
せしめて、なおかつ支持体の耐熱安定性を満足すること
ができ、印刷性能の優れた原紙を得ることができる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムに熱可塑性樹脂繊
    維からなる多孔性支持体が積層されてなる感熱孔版印刷
    用原紙であって、該熱可塑性樹脂フィルムの結晶融解エ
    ネルギーをΔHu1 (cal/g)、厚さをt(μm)
    とし、該熱可塑性樹脂繊維の結晶融解エネルギーをΔH
    u2 (cal/g)、平均繊維径をd(μm)とした
    時、ΔHu1 ×t<ΔHu2 ×dであることを特徴とす
    る感熱孔版印刷用原紙。
  2. 【請求項2】 ΔHu1 ×tとΔHu2 ×dの差が2c
    al・μm/g以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 多孔性支持体が、繊維同士が融着した融
    着点を有する網状体を形成しており、かつ該網状体中の
    融着点のうちの一部の融着点において、繊維間にまたが
    る薄膜が形成されてなることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の感熱孔版印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂繊
    維が接着剤を介することなく、直接固着してなることを
    特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂フィルムの融点(Tm1 )
    と多孔性支持体を形成する熱可塑性樹脂繊維の融点(T
    m2 )が、Tm1 ≦Tm2 であることを特徴とする請求
    項1〜請求項4のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原
    紙。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂フィルムの融点(Tm1 )
    と多孔性支持体を形成する熱可塑性樹脂繊維の融点(T
    m2 )が、Tm1 <Tm2 であり、かつその温度差が5
    ℃以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂フィルムの厚さが0.1〜
    10μmであることを特徴とする請求項1〜請求項6の
    いずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂フィルムの厚さが0.1〜
    5μmであることを特徴とする請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂フィルムの結晶融解エネル
    ギーが3〜11cal/gであることを特徴とする請求
    項1〜請求項8のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原
    紙。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂繊維の平均直径が0.5
    〜60μmであることを特徴とする請求項1〜請求項9
    のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂繊維の平均直径が1〜2
    0μmであることを特徴とする請求項1〜請求項9のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  12. 【請求項12】 熱可塑性樹脂繊維の結晶融解エネルギ
    ーが5cal/gであることを特徴とする請求項1〜請
    求項11のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂繊維の複屈折(Δn)が
    0.1以上であることを特徴とする請求項1〜請求項1
    2のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  14. 【請求項14】 熱可塑性樹脂フィルムがポリエステル
    系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜請求項13
    のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  15. 【請求項15】 熱可塑性樹脂繊維がポリエステル系樹
    脂からなることを特徴とする請求項1〜請求項14のい
    ずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
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