JPH09136492A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

Info

Publication number
JPH09136492A
JPH09136492A JP23813396A JP23813396A JPH09136492A JP H09136492 A JPH09136492 A JP H09136492A JP 23813396 A JP23813396 A JP 23813396A JP 23813396 A JP23813396 A JP 23813396A JP H09136492 A JPH09136492 A JP H09136492A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
base paper
elastic modulus
heat
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23813396A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP23813396A priority Critical patent/JPH09136492A/ja
Publication of JPH09136492A publication Critical patent/JPH09136492A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とか
らなる感熱孔版印刷用原紙において、該原紙のタテ方向
の湿潤引張弾性率の湿潤前引張弾性率に対する保持率が
60%以上であることを特徴とする感熱孔版印刷用原
紙。 【効果】耐刷性に優れ、大量枚数印刷しても画像が歪む
ことのない感熱孔版印刷用原紙を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱孔版印刷用原
紙に関する。さらに詳しくはレーザー光線等のパルス的
照射あるいはサーマルヘッド等によって穿孔製版される
感熱孔版印刷用原紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より感熱孔版印刷に用いられる原紙
としては、アクリロニトリル系フィルム、ポリエステル
系フィルムあるいは塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑
性樹脂フィルムと、マニラ麻などの天然繊維からなる薄
葉紙や天然繊維と合成繊維とを混抄してなる薄葉紙等に
よって構成された多孔性支持体とを接着剤で貼り合わせ
た構造のものが知られている(例えば特開昭57−18
2495号公報、特開昭58−147396号公報、特
開昭59−115898号公報など)。
【0003】しかしながら、これら従来の感熱孔版用原
紙は耐刷性の点で、必ずしも満足のいくものではなかっ
た。すなわち、1000枚以上の大量枚数を印刷する場
合、印刷途中で印刷画像に歪みが生じたり、原紙が破れ
たりするなどの欠点があった。
【0004】耐刷性が十分でない理由としては種々考え
られるが、その一つは支持体に起因するものである。す
なわち、従来から最も多く使用されている天然繊維や合
成繊維を抄造してなる薄葉紙は、繊維同士をバインダー
で接着したものであるため、印刷インキに含まれる水分
などによってバインダーが変質して接着強度が低下した
り、天然繊維の場合には繊維自体が膨潤して、支持体の
強度や剛性が低下し、原紙が変形しやすくなるという欠
点があった。また、フィルムと支持体とを接着剤で接着
したものであるため、印刷インキに含まれる水分などに
よって、フィルムと支持体との接着力が次第に低下し
て、ついにはフィルムと支持体間で部分的に剥離を生じ
たりして、画像に歪みが発生するという欠点があった。
【0005】また、接着剤を使用しないものとして、我
々は未延伸のポリエステルフィルムと低配向度のポリエ
ステル不織布とを熱接着して共延伸してなる感熱孔版用
原紙を提案している(特開平7−186565号公
報)。該原紙は印刷性は良好なものの、耐刷性を満足す
るには不十分なものであった。例えば、低配向度不織布
としてメルトブロー不織布を用いた場合には、フィルム
との共延伸性の点からは用いるポリマー分子量は低い方
が好ましいが、ポリマーの分子量が低いと支持体として
の強度が不十分となり、また、分子量の高いポリマーは
延伸性が劣るため、フィルムとの共延伸が難しく、延伸
性を良くするために延伸温度を高くすると、支持体の水
掻きが増加し過ぎたり、フィルムの感度が低下して印刷
性が低下するという問題があった。また、低配向度不織
布としてスパンボンド不織布を用いた場合には、紡糸速
度によって配向度が異なり、紡糸速度の高い不織布では
延伸性が低下したりフィルムとの接着性が劣るという問
題があり、耐刷性の要求を満足するにはいまだ不十分な
ものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決し、耐刷性に優れた感熱孔版印刷用原紙を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは感熱孔版用原紙の印刷機内における走
行メカニズムと印刷メカニズムに着目して鋭意研究した
結果、原紙の湿潤引張弾性率の保持率を特定することに
よって、従来原紙の欠点を改良できることを見いだし、
本発明を完成したものである。
【0008】すなわち本発明の感熱孔版印刷用原紙は、
熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなる感熱孔
版印刷用原紙において、該原紙のタテ方向の湿潤引張弾
性率の湿潤前弾性率に対する保持率が60%以上である
ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の原紙は、タテ方向の湿潤
引張弾性率の湿潤前引張弾性率に対する保持率が60%
以上であり、好ましくは65%以上、より好ましくは7
0%以上である。保持率が60%未満では、大量枚数を
印刷した場合、印刷途中で原紙の変形が増大して印刷画
像に歪みが生じ、耐刷性が低下する。具体的範囲として
は60〜95%程度が実際的である。
【0010】また、本発明の原紙は、画像安定性の点か
らタテ方向の湿潤引張弾性率は1N/cm以上であるの
が好ましく、より好ましくは1.4N/cm以上、さら
に好ましくは1.8N/cm以上である。上限は、本発
明者らの知見によれば、10N/cm以下程度までであ
る。なお、タテ方向とは印刷機に原紙を供給する場合の
走行方向である。
【0011】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまた
はその共重合体などが好ましく用いられるが、穿孔感度
の点からポリエステルフィルムが特に好ましく用いられ
る。
【0012】ポリエステルフィルムに用いられるポリエ
ステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレ
ートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ヘキサメ
チレンテレフタレートとシクロヘキサンジメチレンテレ
フタレートとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート
とポリブチレンテレフタレートとのブレンド体等を用い
ることができる。穿孔感度の点から特に好ましくは、エ
チレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共
重合体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレートとの共重合体等を用いるこ
とができる。
【0013】本発明における熱可塑性樹脂フィルムは、
延伸された方が好ましく、Tダイ法やインフレーション
法等によって製造することができる。例えば、Tダイ法
では溶融ポリマーをキャストドラム上に押し出して未延
伸フィルムを作製し、次いで加熱ロール群により縦延伸
し、テンターに供給して横延伸することにより二軸延伸
フィルムを作製することができる。口金のスリット幅、
ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転数等を調整す
ることによって、未延伸フィルムの厚さを調整すること
ができ、また、加熱ロール群の回転速度を調整したり、
テンターの設定幅を変更することによって所望の延伸倍
率で延伸することができる。
【0014】本発明における熱可塑性樹脂フィルムには
必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワ
ックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤
等を配合してもよい。
【0015】さらには必要に応じて易滑性を付与するこ
ともできる。易滑性付与方法としては特に制限はない
が、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなど
の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とす
る有機粒子等を配合する方法、内部粒子による方法、界
面活性剤を塗布する方法等がある。
【0016】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚
さは、穿孔性と製膜安定性の観点から好ましくは0.1
〜5μmであり、より好ましくは0.1〜3μm、特に
好ましくは0.1〜2μmである。
【0017】本発明における多孔性支持体は、湿潤に対
する抵抗性の点で、合成繊維を主体としてなるものが好
ましい。ここで、合成繊維を主体としてなるとは、少な
くとも合成繊維が50%以上含まれてなることをいう。
【0018】合成繊維としては、例えばポリエステル繊
維、ポリアミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊
維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリプロピレン繊維、
ポリエチレン繊維またはその共重合体繊維などが好まし
く用いられる。
【0019】これら合成繊維は2種以上を併用してもよ
く、湿潤安定性を損なわない範囲で天然繊維や再生繊維
を含んでもよい。本発明においては湿潤安定性の点から
ポリエステル繊維が特に好ましく用いられ、少なくとも
50%以上がポリエステル繊維であるのがより好まし
い。
【0020】ポリエステルとして好ましくは、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレン
イソフタレートとの共重合体等を用いることができる。
湿潤安定性の点から特に好ましくは、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート等を用いること
ができる。これらのポリマーには必要に応じて、難燃
剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑
剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合してもよ
い。
【0021】本発明における多孔性支持体は、インキ透
過性を有するものであれば特にその形態は限定されない
が、湿潤時の形態安定性や強度安定性等の点で、不織布
や織物、スクリーン紗、あるいはこれらを組み合わせた
ものが好ましく用いられる。本発明においては、インキ
の透過性と保持性のバランスの点で不織布が特に好まし
く用いられる。
【0022】不織布はフラッシュ紡糸法、メルトブロー
紡糸法、スパンボンド紡糸法など直接溶融紡糸法よって
作製できるが、繊維径や目付の安定性の点でメルトブロ
ー紡糸法、スパンボンド紡糸法で作製したものがより好
ましい。
【0023】例えば、メルトブロー紡糸法では、溶融し
たポリマーを口金から吐出するに際して、口金周辺部か
ら熱風を吹き付け、該熱風によって吐出したポリマーを
細繊度化せしめ、ついで、しかるべき位置に配置したネ
ットコンベア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形成して
製造される。
【0024】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア状に捕集してウエブを形成して製造される。
【0025】これらの不織布は、ポリマー吐出量、コン
ベア速度を適宜設定することにより、ウエブの目付を任
意に設定できる。
【0026】本発明における多孔性支持体は、湿潤安定
性を損なわない範囲で、インキとの親和性を付与するた
めに必要に応じて構成する繊維の表面に酸、アルカリ等
の化学処理、コロナ処理、低温プラズマ処理等を施して
もよい。
【0027】本発明において多孔性支持体を不織布によ
り構成する場合には、繊維同士がその交絡点において互
いに不規則に融着した網状体を形成してなるものとす
る。特に好ましくは融着部の一部に薄い膜を形成してな
るものを用いるのがよい。つまり、支持体の繊維同士が
融着した網状体を形成することにより、支持体の強度が
安定し、原紙の耐刷性が良好なものとなるのである。ま
た、支持体をこのように構成することにより均一な開孔
形態を形成することができ、印刷インキの保持性と透過
性のバランスのとれた原紙とすることができる。
【0028】そのような不織布の場合、用いられる支持
体繊維の平均直径は原紙とした時のフィルム面の平面性
の観点から好ましくは1〜30μmであり、より好まし
くは1〜20μm、特に好ましくは1〜10μmであ
る。
【0029】該支持体繊維の目付量は、インキの透過性
の観点から好ましくは2〜20g/m2 であり、より好
ましくは2〜15g/m2 である。
【0030】本発明における多孔性支持体は、インキ透
過性の観点から支持体を平面的に観察した場合におい
て、支持体の形成する開孔部の面積分率が好ましくは5
〜80%、より好ましくは10〜50%である。なお、
本発明でいう開孔面積分率とは、支持体のある一定面積
を平面的に観察した場合に、開孔部の占める面積を百分
率で表したものである。
【0031】本発明における原紙は、上記の熱可塑性樹
脂フィルムと多孔性支持体とを積層一体化して作られ
る。一体化は、湿潤時の強度を低下しない範囲で接着剤
を用いて接着してもよいが、耐刷性の点からは接着剤を
用いることなくフィルムと支持体とを直接熱接着するの
がより好ましい。
【0032】熱接着は通常、熱可塑性樹脂フィルムと多
孔性支持体とを加熱しつつ加圧して直接貼り合わせるこ
とにより行うことができる。熱接着の方法は特に限定さ
れるものではないが、加熱ロールによる方法がプロセス
性の点から特に好ましい。
【0033】本発明においては、未延伸のポリエステル
フィルムと低配向度のポリエステル繊維からなる不織布
とを熱接着した状態で共延伸することが特に好ましい。
フィルムと不織布とを熱接着した状態で共延伸すること
により、支持体繊維はその交絡点で互いに融着した状態
で延伸され、融着部の一部に薄膜が形成された支持体と
して好適な網状体を形成することができる。このように
形成された支持体は、湿潤時に繊維同士がほぐれたりす
ることがないので、強度安定性に優れ、耐刷性に優れた
原紙とすることができる。また、両者を一体で共延伸す
ることにより、フィルムと支持体とが直接固着されるの
で、湿潤によってフィルムと支持体繊維が剥離したりす
ることがなく、耐刷性に優れた原紙とすることができ
る。
【0034】フィルムと不織布の共延伸の方法は特に限
定されないが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸は逐次二
軸延伸、同時二軸延伸のいずれの方法であってもよい。
逐次二軸延伸の場合、縦方向、横方向の順に延伸しても
よいし、逆に延伸してもよい。延伸倍率は特に限定され
るものではなく、用いる熱可塑性樹脂の種類や原紙に要
求される穿孔感度等によって決定されるが、縦、横それ
ぞれ3〜8倍程度が好ましい。また、二軸延伸後、縦ま
たは横あるいは縦横同時に再延伸してもかまわない。
【0035】さらに、二軸延伸後の本発明原紙を熱処理
するのが好ましい。熱処理温度は特に限定されるもので
はなく、用いる熱可塑性樹脂の種類によって決定され
る。
【0036】上記した未延伸ポリエステルフィルムと低
配向度のポリエステル繊維からなる不織布とを熱接着し
た状態で共延伸して本発明の原紙を作製する場合、原紙
のタテ方向の湿潤引張弾性率の湿潤前引張弾性率に対す
る保持率を60%以上とするには、用いる未延伸フィル
ムの組成や不織布のポリマーあるいは紡糸条件に応じ
て、熱接着温度、予熱条件、縦延伸温度と横延伸温度の
バランス、さらには縦延伸倍率と横延伸倍率、熱処理条
件等を適宜選択して組み合わせることによって達成され
る。
【0037】例えば、メルトブロー不織布の場合、用い
るポリマーの分子量によって延伸性が変わるので、分子
量に応じた延伸条件を設定する必要がある。本発明の原
紙を得るには分子量はできるだけ高い方が好ましく、高
分子量のポリマーを用いる場合は、延伸前の予熱温度を
できるだけ高くするのが望ましい。また、スパンボンド
不織布の場合は、エジェクターの牽引速度(紡糸速度)
によって、フィルムとの共延伸性や接着性が変化するの
で、できるだけ低速で紡糸したものが望ましい。紡糸速
度が1000m/分以上であると、繊維同士の接着力や
フィルムとの接着力が極端に低下するので好ましくな
い。また、フィルムと不織布との熱接着温度は延伸後の
水掻きが生成しない範囲で低い方が好ましく、延伸前の
予熱段階において、フィルム面が接するロール温度より
も不織布面が接するロール温度の方を高めにするのがよ
り好ましい。延伸倍率はできるだけ高い方が好ましく、
縦倍率よりも横倍率を大きくする方がより好ましい。延
伸時のニップ圧力はフィルムと不織布の接着力が損なわ
れない範囲でできるだけ低い方が好ましい。延伸後の熱
処理温度はフィルムの感度を低下しない範囲で、できる
だけ高い方が好ましい。
【0038】すなわち、用いる未延伸フィルムの組成や
不織布のポリマー分子量あるいは紡糸条件等に応じて、
熱接着温度、縦延伸温度と横延伸温度のバランス、さら
には縦延伸倍率と横延伸倍率、熱処理条件等を選択して
組み合わせることによって達成されるものである。
【0039】本発明の原紙を構成する熱可塑性樹脂フィ
ルムと多孔性支持体の剥離強度は、印刷安定性の点から
0.05N/25mm以上であるのが好ましく、より好
ましくは0.1N/25mm以上、特に好ましくは0.
2N/25mm以上である。
【0040】本発明の原紙を構成するフィルム面には穿
孔時のスティック防止のため離型剤を塗布するのが好ま
しい。離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン
系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等が好ましく用いら
れる。
【0041】また、離型剤中には、帯電防止剤、耐熱
剤、耐酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料など各種
添加剤を混合して併用することができる。
【0042】本発明の原紙は上記のごとく構成したの
で、原紙がインキ中の水分等によって湿潤しても、支持
体繊維が膨潤したり、繊維同士の接着力が低下したり、
フィルムと支持体繊維が剥離したりすることがない。し
たがって、本発明の原紙で大量枚数を印刷しても原紙が
変形したり破れたりすることがなく、印刷画像に歪みが
発生したり破れたりすることのない、耐刷性に優れた原
紙とすることができるものである。
【0043】
【特性の測定方法】
(1)湿潤引張弾性率(N/cm)および保持率(%) 原紙をタテ方向に片刃かみそりでカットして、幅2c
m、長さ15cmのサンプルを10枚採取した。該サン
プルを室温水中に1時間浸漬し、その後水中より取り出
し、表面の付着水を軽く拭き取った後、直ちにサンプル
を“テンシロン”引張試験機(東洋測器(株)製)のエ
アチャックに把持して弾性率を測定した。測定条件はチ
ャック間距離5cm、引張速度5cm/分とし、荷重−
伸び線図(S−Sカーブ)を記録計(記録計速度50c
m/分)に記録した。S−Sカーブの初期の立ち上がり
勾配から、伸度1%(伸び量で0.5mm)における引
張荷重をサンプル幅で除して弾性率とし、サンプル数1
0枚の平均値を求めた。
【0044】また、湿潤前の引張弾性率を同様の手順で
測定し、湿潤前後の弾性率から、下記式で保持率を求め
た。
【0045】 保持率=(湿潤後弾性率/湿潤前弾性率)×100%
【0046】(2)印刷性の評価 理想科学工業(株)製“リソグラフ”GR275を用い
て、「RISO TEST CHART NO.8」を
原稿にして製版と印刷を行い、穿孔性と印刷濃度を価し
た。
【0047】穿孔性 製版したマスターのべた部のフィルム面を電子顕微鏡で
観察し、倍率100倍の写真を撮り、面積1mm2 当た
りの未穿孔数を数え、次のように判定した。
【0048】 未穿孔が全くなかったものを◎ 未穿孔数が5個以下のものを○ 未穿孔数が6個から10個のものを△ 未穿孔数が11個以上のものを×
【0049】印刷濃度 印刷物の黒べた部10箇所の光学濃度を測定し、その平
均値を求め次のように判定した。
【0050】 濃度が1.2以上のものを◎ 濃度が1.0以上1.2未満のものを○ 濃度が0.8以上1.0未満のものを△ 濃度が0.8未満のものを×
【0051】(3)耐刷性の評価 次いで、印刷速度100枚/分で、枚数1000枚を印
刷し、1000枚印刷後の印刷物の基準画像のタテ方向
の長さを測定し、1枚目の印刷物の基準画像の長さに対
する変化量を伸び率(%)で表し、次のように判定し
た。
【0052】 伸び率が0.5%未満のものを◎ 伸び率が0.5以上1%未満のものを○ 伸び率が1%以上2%未満のものを△ 伸び率が2%以上のものを×
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】実施例1 孔径0.35mm、孔数100個の矩形口金を用いて、
口金温度290℃、熱風温度295℃、熱流流量400
Nm3 /hで、ポリエチレンテレフタレート原料
(〔η〕=0.60、Tm=257℃)をメルトブロー
法にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して目付1
20g/m2 の未延伸不織布を作製した。
【0055】次いで、エチレンテレフテレート86モル
%、エチレンイソフタレート14モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.7、Tm=218
℃)を押出機を用いて、Tダイ口金温度280℃で押出
し、冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製
した。
【0056】該未延伸フィルムと前記の未延伸不織布と
を重ねて縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過さ
せて熱接着した。予熱ロールの温度は入り口から順番に
75℃、80℃、85℃、90℃とし、不織布が接触す
るロール温度をフィルムが接触するロール温度よりも高
く設定した。次いで、温度90℃の延伸ロールで長さ方
向に3.5倍に延伸し、室温まで冷却した。延伸ロール
のニップ線圧は2N/cmとした。
【0057】次いで、テンター式延伸機に送り込み、予
熱温度95℃、延伸温度90℃で幅方向に4.5倍延伸
し、さらにテンター内部で温度120℃で加熱処理して
ロール状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤
を塗布して、本発明の原紙を作製した。得られた原紙の
支持体繊維の目付は8.2g/m2 、支持体繊維の平均
直径は4.7μmであった。また、フィルムの厚さは
1.2μmであった。
【0058】該原紙のタテ方向の湿潤引張弾性率は1.
7N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保持率は88%
であった。
【0059】比較例1 実施例1において、目付80g/m2 の未延伸不織布を
作製した。また、実施例1と同一の原料を用いて、同様
の条件で未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルム
と未延伸不織布を重ねて縦延伸機に供給し、4本の予熱
ロールを通過させて熱接着した。予熱ロールの温度は4
本とも80℃に設定した。次いで、延伸温度90℃で長
さ方向に3倍に延伸し、室温まで冷却した。次いで、テ
ンター式延伸機に送り込み、予熱温度、延伸温度とも9
5℃で幅方向に3.5倍に延伸し、テンター内部で温度
160℃で熱処理してロール状に巻き取った。フィルム
面にシリコン系離型剤を塗布して原紙を作製した。得ら
れた原紙の支持体繊維の目付は5.5g/m2 、支持体
繊維の平均直径は8.2μmであった。また、フィルム
の厚さは2μmであった。
【0060】該原紙のタテ方向の湿潤引張弾性率は1.
2N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保持率は58%
であった。
【0061】実施例2 孔径0.2mm、孔数50個の口金を用いて、口金温度
290℃でポリエチレンテレフタレート原料(〔η〕=
0.65、Tm=254℃)を紡出し、エアエジェクタ
ーにて、紡糸速度700m/分でコンベア上に分散捕集
して繊維目付120g/m2 の不織布を作製した。
【0062】次いで、エチレンテレフテレート86モル
%、エチレンイソフタレート14モル%からなる共重合
ポリエステル樹脂原料(〔η〕=0.7、Tm=228
℃)を押出機を用いて、Tダイ口金温度280℃で押出
し、冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製
した。
【0063】該未延伸フィルムと前記の不織布とを重ね
て縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過させて熱
接着した。予熱ロールの温度は入り口から順番に80
℃、85℃、90℃、95℃とし、不織布が接触するロ
ール温度をフィルムが接触するロール温度よりも高く設
定した。次いで、温度90℃の延伸ロールで長さ方向に
3.5倍に延伸し、室温まで冷却した。延伸ロールのニ
ップ線圧は5N/cmとした。また、延伸ロール直前に
おいて赤外線ヒーターにより設定電力1.5kWで不織
布面側を加熱した。
【0064】次いで、テンター式延伸機に送り込み、予
熱温度95℃、延伸温度90℃で幅方向に3.7倍延伸
し、さらにテンター内部で温度120℃で加熱処理して
ロール状に巻き取った。フィルム面にシリコン系離型剤
を塗布して、本発明の原紙を作製した。得られた原紙の
支持体繊維の目付は9.8g/m2 、支持体繊維の平均
直径は9.7μmであった。また、フィルムの厚さは
1.2μmであった。
【0065】該原紙のタテ方向の湿潤引張弾性率は2.
5N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保持率は83%
であった。
【0066】比較例2 実施例2において、紡糸速度1000m/分で繊維目付
120g/m2 の不織布を作製した。また、実施例2と
同一の原料を用いて、同様の押し出し条件で未延伸フィ
ルムを作製した。該未延伸フィルムと前記不織布を重ね
て縦延伸機に供給し、4本の予熱ロールを通過させて熱
接着した。予熱ロールの温度は4本とも90℃に設定し
た。次いで、延伸温度80℃で長さ方向に3.5倍に延
伸し、室温まで冷却した。延伸ロール直前での赤外線ヒ
ーターによる加熱は行わなかった。次いで、テンター式
延伸機に送り込み、予熱温度、延伸温度とも90℃で幅
方向に3.5倍に延伸し、テンター内部で温度160℃
で熱処理してロール状に巻き取った。フィルム面にシリ
コン系離型剤を塗布して原紙を作製した。得られた原紙
の支持体繊維の目付は10g/m2 、支持体繊維の平均
直径は10μmであった。また、フィルムの厚さは1.
2μmであった。
【0067】該原紙のタテ方向の湿潤引張弾性率は1.
5N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保持率は56%
であった。
【0068】比較例3 マニラ麻を原料とした天然繊維100%、目付8.2g
/m2 の薄葉紙と、厚さ1.7μmのポリエステルフィ
ルムとを酢酸ビニル系接着剤を用いて貼り合わせ、フィ
ルム面にシリコン系離型剤を塗布して、印刷用原紙を作
製した。
【0069】該原紙のタテ方向の湿潤引張弾性率は2.
1N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保持率は54%
であった。
【0070】比較例4 実施例1で作製した不織布をフィルムストレッチャを用
い、温度80℃で縦横3.5倍に延伸して目付8.2g
/m2 の支持体を作製した。該支持体と厚さ1.7μm
のポリエステルフィルムとを酢酸ビニル系接着剤を用い
て貼り合わせ、フィルム面にシリコン系離型剤を塗布し
て印刷用原紙を作製した。該原紙のタテ方向の湿潤引張
弾性率は1.6N/cm、湿潤前引張弾性率に対する保
持率は59%であった。
【0071】
【表1】 表1の結果からわかるように、原紙のタテ方向の湿潤引
張弾性率の湿潤前引張弾性率に対する保持率が60%以
上である本発明の感熱孔版印刷用原紙は、印刷性と耐刷
性に優れる。
【0072】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷用原紙は、湿潤引
張弾性率の保持率を特定したので、印刷インキ中の水分
などによって原紙が湿潤しても、支持体繊維が膨潤した
り、繊維同士の接着力が低下したり、フィルムと支持体
繊維が剥離したりすることがない。したがって、本発明
の原紙で大量枚数を印刷しても原紙が変形したり破れた
りすることがなく、耐刷性に優れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体と
    からなる感熱孔版印刷用原紙において、該原紙のタテ方
    向の湿潤引張弾性率の湿潤前引張弾性率に対する保持率
    が60%以上であることを特徴とする感熱孔版印刷用原
    紙。
  2. 【請求項2】 タテ方向の湿潤引張弾性率が1N/cm
    以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版
    印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体と
    が接着剤を介することなく接着されてなることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の感熱孔版印刷用原
    紙。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂フィルムがポリエステル系
    樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 多孔性支持体が主としてポリエステル系
    樹脂繊維からなることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれかに記載の感熱孔版印刷用原紙。
JP23813396A 1995-09-12 1996-09-09 感熱孔版印刷用原紙 Pending JPH09136492A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23813396A JPH09136492A (ja) 1995-09-12 1996-09-09 感熱孔版印刷用原紙

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23397895 1995-09-12
JP7-233978 1995-09-12
JP23813396A JPH09136492A (ja) 1995-09-12 1996-09-09 感熱孔版印刷用原紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09136492A true JPH09136492A (ja) 1997-05-27

Family

ID=26531295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23813396A Pending JPH09136492A (ja) 1995-09-12 1996-09-09 感熱孔版印刷用原紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09136492A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000085257A (ja) 孔版原紙及びその製版方法
JPH09136492A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
US6357347B1 (en) Stencil sheet
US6811866B1 (en) Heat-sensitive stencil sheet
JPH0867080A (ja) 感熱孔版用原紙
JP3355750B2 (ja) 感熱孔版用原紙の製造方法
JPH09150496A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH09142054A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH0867081A (ja) 感熱孔版用原紙
JPH09277734A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH08310149A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
US6326078B1 (en) Heat-sensitive sheet for stencil printing
JPH08332786A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP3329144B2 (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2003011542A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH0867079A (ja) 感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法
JP2000085258A (ja) 感熱孔版原紙
JP2001130162A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH07186565A (ja) 感熱孔版印刷用原紙およびその製造方法
JPH07237368A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP3830791B2 (ja) 感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム
JP2001310383A (ja) フィルム−不織布複合シートおよびその製造方法
JPH09272272A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JP2001030648A (ja) 感熱孔版印刷用原紙
JPH08164683A (ja) 感熱孔版印刷用原紙

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040712

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040810

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050104