JPH09123634A - 感熱孔版印刷用原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷用原紙

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Publication number
JPH09123634A
JPH09123634A JP28881695A JP28881695A JPH09123634A JP H09123634 A JPH09123634 A JP H09123634A JP 28881695 A JP28881695 A JP 28881695A JP 28881695 A JP28881695 A JP 28881695A JP H09123634 A JPH09123634 A JP H09123634A
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JP
Japan
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porous support
film
base paper
birefringence
heat
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Application number
JP28881695A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
Yukio Kawazu
幸雄 河津
Kenji Kida
健次 喜田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】熱可塑性ポリエステルフィルム(A)の片面に
合成繊維からなる多孔性支持体(B)と合成繊維からな
る多孔性支持体(C)がこの順に接着剤を介することな
く接着されてなり、かつ該多孔性支持体(B)を構成す
る合成繊維の複屈折ΔnBおよび該多孔性支持体(C)
を構成する合成繊維の複屈折ΔnCが下記一般式(1)
(2)(3)を全て満足することを特徴とする感熱孔版
印刷用原紙。 ΔnC−ΔnB≧0.01 (1) 1×10−4 ≦ΔnB≦5×10−1 (2) 1×10−4 ≦ΔnC≦5×10−1 (3) 【効果】本発明の感熱孔版印刷原紙は、耐久性、高精細
印刷性に優れ、特に低エネルギー大量印刷用に好適に使
用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲンランプ、
キセノンランプ、フラッシュランプなどによる閃光照射
や赤外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、あるい
はサーマルヘッド等によって穿孔製版される感熱孔版印
刷用原紙に関し、特に強度が高く、印刷時の耐久性が良
好であり、印刷性が優れた感熱孔版印刷用原紙を得るも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より感熱孔版印刷用原紙としては、
塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレンフィル
ム等の熱可塑性樹脂フィルムに天然繊維、化学繊維また
は合成繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、
紗等によって構成された多孔性支持体を接着剤で貼り合
わせた構造のものが知られている(例えば、特開昭51
−2513号公報、特開昭57−182495号公報な
ど。)。しかしながら、これら従来の感熱孔版用原紙は
次のような欠点を有していた。
【0003】即ち、 (1)フィルムと多孔性支持体とを接着剤を用いて貼り
合わせているため、接着剤によってインキの透過が阻害
され、画像鮮明性が劣る。
【0004】(2)また、使用される接着剤自体につい
ても、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂接着
剤は印刷インキによって軟化、膨潤、溶解しやすいた
め、耐インキ性に劣り、熱硬化性接着剤を使用する場合
には、未硬化物が残存しやすいために製版時にサーマル
ヘッドに融着を生じ易く、また、塩素系接着剤を使用す
る場合にはサーマルヘッドの加熱によって有毒な塩素を
放出するなどの問題がある。
【0005】(3)さらに、薄葉紙の強度が不十分であ
るために数千枚におよぶ大量印刷時に原紙が伸び、印刷
性が不良になる。
【0006】(4)接着剤や溶剤を使用するため、作業
環境が悪化する。また、地球環境保護の面から好ましく
ない。
【0007】これらの欠点を改良するため、使用する接
着剤の量をできるだけ少なくする提案がなされてきた
(例えば、特開昭58−147396号公報、特開平4
−232790号公報など)が上記の欠点を完全に解消
するには至っていないのが現状である。
【0008】また、接着剤を用いない方法として、特開
平4−212891号公報においては、熱可塑性樹脂フ
ィルムの片面に合成繊維が散布され熱圧着されてなる繊
維層が形成されていることを特長とする感熱性孔版原紙
が提案されている。しかしながら、この方法は、長さ5
0mm以下の合成繊維を風力または静電気によって散布
する方法であるため、繊維の分散が不均一となり、した
がってインキの透過性にムラが生じ、画像鮮明性が不十
分となる。また、この方法では樹脂フィルムと繊維層の
接着性が必ずしも十分ではないため、フィルム搬送時に
シワや破れが発生し易いという問題がある。接着性を完
全にするため、繊維層にバインダー繊維を混入したり、
フィルム面に粘着剤を微量塗布することが提案されてい
るが、バインダー繊維や粘着剤を使用するとインキの透
過性が阻害され、結果的に画像鮮明性が低下してしまう
という欠点が有った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、画像鮮明性に優れ、特に強度が高
く、耐久性が良好で製版性、印刷性が優れた感熱孔版印
刷用原紙を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性ポリ
エステルフィルム(A)の片面に合成繊維からなる多孔
性支持体(B)と合成繊維からなる多孔性支持体(C)
がこの順に接着剤を介することなく接着されてなり、か
つ該多孔性支持体(B)を構成する合成繊維の複屈折Δ
nBおよび該多孔性支持体(C)を構成する合成繊維の
複屈折ΔnCが下記一般式(1)(2)(3)を全て満
足することを特徴とする感熱孔版印刷用原紙。
【0011】 ΔnC−ΔnB≧0.01 (1) 1×10−4 ≦ΔnB≦5×10−1 (2) 1×10−4 ≦ΔnC≦5×10−1 (3)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における熱可塑性ポリエステルフィルム(A)に
用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸また
は脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とす
るポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸と
して例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボ
ン酸成分としては例えばアジピン酸、スベリン酸、セバ
シン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることができる。中
でも好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸を挙げるこ
とができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香
酸等のオキシ酸等を一部共重合しても良い。また、ジオ
ール成分としては例えば、エチレングリコール、1,2
−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、
2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)
プロパン等を挙げることができる。中でもエチレングリ
コールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は
1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0013】本発明の熱可塑性ポリエステルフィルム
(A)に用いられるポリエステルとして好ましくは、ポ
リエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートと
エチレンイソフタレートとの共重合体、ポリブチレンテ
レフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタ
レートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレ
ンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチ
レンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることが
できる。
【0014】また、本発明の多孔性支持体(B)および
多孔性支持体(C)を構成する合成繊維としては、ポリ
オレフィン、ポリアミド、ポリエステルからなるものが
挙げられ、ポリエステルが特に好ましい。このポリエス
テルは、前記熱可塑性ポリエステルフィルム(A)に用
いられるポリエステルと同じであっても良い。特に好ま
しいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエ
チレンイソフタレートとの共重合体等を挙げることがで
きる。穿孔時の熱寸法安定性の点から特に好ましくは、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト等を挙げることができる。
【0015】本発明におけるポリエステルは従来公知の
方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオー
ル成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成
物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ
重縮合させることによって製造する方法や、酸成分とし
てジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とで
エステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させる
ことによって製造する方法等がある。この際、必要に応
じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、
ゲルマニウム、チタン化合物を用いることもできる。
【0016】本発明におけるポリエステルには、必要に
応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の
有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合す
ることができる。
【0017】さらには用途に応じて易滑性を付与するこ
ともできる。易滑性付与方法としては特に制限はない
が、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなど
の無機粒子、アクリル酸系ポリマ類、ポリスチレン等を
構成成分とする有機粒子等を配合する方法、ポリエステ
ル重合反応時に添加する触媒等が失活して形成される、
いわゆる内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方
法等がある。
【0018】本発明における多孔性支持体(B)は、メ
ルトブロー紡糸法により好ましく製造できる。複屈折を
本発明の範囲にするには、熱風温度、熱風流量、捕集コ
ンベア速度等を適宜調整することにより任意に設定する
ことが可能である。
【0019】また、本発明原紙の多孔性支持体(C)
は、スパンボンド法により好ましく製造できる。複屈折
を本発明の範囲にするには、エアエジェクタの牽引速度
を変更することにより任意に設定することが可能であ
る。
【0020】本発明原紙の多孔性支持体(B)および
(C)を構成する合成繊維の複屈折は、強度、製版・印
刷性から5×10−1 〜1×10−4 である。ここで複
屈折とは、Jobin Yvon/愛宕物産製“Ram
anor”U−1000Iを用いて、原紙を断面方向に
切断した試料の多孔性支持体(B)および多孔性支持体
(C)部分の合成繊維の単糸1本のラマンスペクトルを
測定し、既知のPETフィルムの配向度から換算した。
測定は、合成繊維10本の単糸について行ない平均値で
表わした。複屈折がこの範囲を外れると強度が低下し、
製版性や印刷性が不良になるため好ましくない。
【0021】本発明多孔性支持体(B)及び多孔性支持
体(C)は、フィルムとの接着性や耐久性からフィルム
上に多孔性支持体(B)、多孔性支持体(C)の順に積
層されている。積層順が逆になるとフィルムとの接着性
が低下したり耐久性が低下して好ましくない。
【0022】また、多孔性支持体(B)の複屈折(Δn
B)と多孔性支持体(C)の複屈折(ΔnC)は、製版
性や印刷時の耐久性からΔnC−ΔnB≧0.01の関
係である。複屈折の関係がこの範囲を外れると大量印刷
時に原紙が伸びて印刷性が不良になる。
【0023】さらに、多孔性支持体(B)と多孔性支持
体(C)の複合割合は、多孔性支持体の全厚みに対して
多孔性支持体(B)が少なくとも5〜95%、好ましく
は10〜70%、特に好ましくは20〜50%である。
複合割合が上記範囲を外れると原紙の耐久性が低下し、
大量印刷時に原紙が伸びて印刷性が不良になるために好
ましくない。
【0024】本発明の多孔性支持体の繊度は、強度、印
刷性から好ましくは0.1〜10デニール、より好まし
くは0.1〜5デニールの延伸配向繊維からなる不織布
である。ここで繊度とは、多孔性支持体の任意の10箇
所を電子顕微鏡で倍率2000倍で10枚の写真撮影を
行ない、1枚の写真につき任意の15本の繊維の直径を
測定し、これを10枚の写真について行ない、合計15
0本の繊維径を測定した。密度を1.38g/cm3
して繊度を求め、その平均値で表わした。繊維目付量
は、強度、印刷性から好ましくは2〜20g/m2 、よ
り好ましくは5〜20g/m2 である。ここで繊維目付
量とは、多孔性支持体を20cm×20cmに切り取
り、その重量を測定してm2 当たりの重量に換算した値
である。繊度、目付量がこの範囲を外れると強度が低下
したりインキの透過性が不良となり、製版性や印刷性が
不良になる。
【0025】本発明の熱可塑性ポリエステルフィルムの
厚さは、製版性や印刷性から好ましくは0.1〜10μ
m、より好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは
0.1〜3μmの二軸延伸フィルムである。熱可塑性ポ
リエステルフィルムの厚みは、本発明原紙の任意の10
箇所を断面方向に切り出し電子顕微鏡で倍率2000倍
で10枚の写真撮影を行い、フィルムの厚みを測定し
た。これを10枚の写真について行い、その平均値で表
わした。また、結晶融解エネルギー(ΔHu)は、製版
性から好ましくは3〜11cal/g、より好ましくは
5〜10cal/gである。ここで結晶融解エネルギー
(ΔHu)とは、セイコー電子(株)製示差走査熱量計
RDC220型を用いて、フィルムの溶融時の面積から
求める。この面積は、昇温することによりベースライン
から吸収側にずれ、さらに昇温を続けるとベースライン
の位置まで戻るまでの面積であり、溶融開始温度位置か
ら終了位置までを直線で結び、この面積(a)を求め
る。同じDSCの条件でIn(インジウム)を測定し、
この面積(b)を6.8cal/gとして式(ΔHu=
6.8×a/b(cal/g))により求めた値であ
る。フィルム厚み、結晶融解エネルギーがこの範囲を外
れると製版性や印刷性が不良となるため好ましくない。
【0026】本発明の積層体の熱可塑性ポリエステルフ
ィルム及び多孔性支持体の複屈折を上記範囲にするため
に任意の方法が採用できるが、特に熱可塑性フィルムと
合成繊維からなる多孔性支持体を特定の条件で接着し、
共延伸することにより最も好ましく達成できる。
【0027】本発明における合成繊維からなる多孔性支
持体は、従来公知のメルトブロー法やスパンボンド法な
どの直接溶融紡糸法によって製造することができる。用
いられるポリマの固有粘度は、通常好ましくは0.30
以上、より好ましくは0.40以上である。
【0028】メルトブロー紡糸法では、溶融したポリマ
ーを口金から吐出するに際して、口金周辺部から熱風を
吹き付け、該熱風によって吐出したポリマーを細繊度化
せしめ、ついで、しかるべき位置に配置したネットコン
ベア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形成して製造され
る。該ウエブはネットコンベアに設けた吸引装置によっ
て熱風と一緒に吸引されるので、繊維が完全に固化する
前に捕集される。つまりウエブの繊維同士は互いに融着
した状態で捕集される。口金とネットコンベア間の捕集
距離を適宜設定することによって、繊維の融着度合いを
調整することができる。また、ポリマー吐出量、熱風温
度、熱風流量、コンベア移動速度等を適宜調整すること
により、ウエブの繊維目付量や単糸繊度を任意に設定す
ることができる。メルトブロー紡糸された繊維は、熱風
の圧力で細繊度化されるが、延伸はされず、いわゆる無
配向に近い状態で固化される。繊維の太さは均一ではな
く、太い繊維と細い繊維がほどよく分散した状態でウエ
ブを形成する。
【0029】また、口金から吐出されたポリマーは、溶
融状態から室温雰囲気下に急冷されるため、非晶質に近
い状態で固化する。
【0030】同様にスパンボンド法では、口金から吐出
したポリマーをエアエジェクターによって牽引し、得ら
れたフィラメントを衝突板に衝突させて繊維を開繊し、
コンベア状に捕集してウエブを形成して製造される。ポ
リマー吐出量、コンベア速度を適宜設定することによ
り、ウエブの繊維目付量を任意に設定できる。また、エ
ジェクターの圧力と流量を適宜調整することにより、フ
ィラメントの分子配向状態を任意に調整できる。圧力と
流量を絞って紡糸速度を遅くすることにより、分子配向
度の低い繊維ウエブを得ることができる。また、吐出し
たポリマーの冷却速度を調整することにより、結晶性の
異なる繊維ウエブを得ることができる。
【0031】例えば本発明に好ましく用いる未延伸ポリ
エステル繊維の結晶化度は、フィルムとの融着を十分に
するため通常好ましくは20%以下、より好ましくは1
5%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0032】本発明における熱可塑性ポリエステルフィ
ルム(A)は、同様に上記ポリエステルを用いて、従来
公知の方法によって製造することができる。例えば、T
ダイ押出法によってポリマーをキャストドラム上に押し
出すことによって未延伸フィルムを製造できる。口金の
スリット幅、ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転
数を調整することによって、所望の厚さの未延伸フィル
ムを作ることができる。熱可塑性ポリエステルフィルム
(A)に用いられるポリエステルの固有粘度は、通常好
ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上であ
る。固有粘度が0.5未満であると製膜安定性が低下
し、特に薄物のキャストが困難となる。
【0033】本発明における熱可塑性ポリエステルフィ
ルム(A)と合成繊維からなる多孔性支持体(B)、
(C)とは、互いに融着していることが好ましい。融着
させるには、通常、熱可塑性ポリエステルフィルム
(A)と多孔性支持体(B)、(C)とを加熱しつつ直
接貼り合わせる熱圧着処理を行なうことが好ましい。熱
圧着の方法は特に限定されるものではないが、加熱ロー
ルによる熱圧着がプロセス性の点から特に好ましい。本
発明における熱圧着は熱可塑性ポリエステルフィルム
(A)をキャスト化した後に、延伸工程の前段階で行な
うのが好ましい。熱圧着温度は熱可塑性ポリエステルフ
ィルム(A)のガラス転移点(Tg)と冷結晶化温度
(Tcc)との間が好ましく、Tg〜Tg+50℃が特
に好ましい。
【0034】本発明において、熱可塑性ポリエステルフ
ィルム(A)と多孔性支持体とは熱圧着した状態で共延
伸することが好ましい。熱圧着した状態で共延伸するこ
とにより、フィルムと支持体とが一体となって延伸する
ことができる。また、両者を一体で共延伸することによ
り、多孔性支持体が補強体の役目をなし、フィルムが破
れたりすることがなく、極めて製膜安定性に優れ、結果
として低コストの原紙を得ることができる。
【0035】延伸方法は特に限定されないが、フィルム
の穿孔感度向上および多孔性支持体を形成する繊維の均
一分散性の点で二軸延伸が好ましい。二軸延伸は逐次二
軸延伸法または同時二軸延伸法のいずれの方法であって
も良い。逐次二軸延伸法の場合、縦方向、横方向の順に
延伸するのが一般的であるが、逆に延伸しても良い。延
伸温度は熱可塑性ポリエステルフィルム(A)のガラス
転移温度(Tg)と冷結晶化温度(Tcc)との間であ
るのが好ましい。延伸倍率は特に限定されるものではな
く、用いる熱可塑性ポリエステルフィルム(A)用ポリ
マーの種類や原紙に要求される感度等によって適宜決定
されるが、通常は縦、横それぞれ2〜5倍程度が適当で
ある。また、二軸延伸後、縦または横、あるいは縦横に
再延伸してもかまわない。
【0036】さらに、二軸延伸後の本発明原紙に熱処理
を施すことが好ましい。熱処理温度は、熱可塑性ポリエ
ステルフィルム(A)ポリマのガラス転移点(Tg)以
上多孔性支持体(B)ポリマの融点(Tm)以下の温度
で時間は0.5〜60秒間行なう。
【0037】本発明の多孔性支持体を平面的に観察した
場合において、網状体の形成する開孔部の面積分率は好
ましくは5〜80%、より好ましくは5〜50%であ
る。また、網状体の形成する開孔部を円とみなした場
合、その等価円直径の平均値はインキの透過性、保持性
から好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜
60μm、特に好ましくは10〜30μmである。
【0038】本発明の多孔性支持体を構成する繊維は全
て同一繊度であってもよいし、異なる繊度の繊維が混繊
されたものであってもよい。
【0039】本発明の多孔性支持体を構成する繊維の結
晶化度は、耐熱性の点から通常好ましくは20%以上で
あり、より好ましくは30%以上である。
【0040】本発明の原紙を構成する熱可塑性ポリエス
テルフィルム(A)は、二軸延伸フィルムである。
【0041】本発明の原紙を構成する離型剤層に用いる
離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン系樹
脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等からなる従来公知のも
のを用いることができるが、以下に示す離型剤が特に好
ましい。すなわち、水に溶解、乳化または懸濁する石油
系ワックス(a)、植物系ワックス(b)およびオイル
状物質(c)の混合物を主成分とする離型剤が特に好適
である。ここで、主成分とは上記(a)、(b)および
(c)の混合物の占める重量比率が50%以上、好まし
くは60%以上であることを言う。ワックス系組成物と
は市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植物
系ワックス、鉱物系ワックス、動物系ワックス低分子量
ポリオレフィン類などを使用することができ、特に制限
されるものではないが、本発明においては石油系ワック
スとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、酸化ワックスなどが挙げられるがこれらの中
でも酸化ワックスの使用が突起形成性の点で特に好まし
い。また植物性ワックスとしてはキャンデリラワック
ス、カルナウバワックス、木ロウ、オリキューリーワッ
クス、さとうきびロウ、ロジン変成ワックスなどが挙げ
られるが本発明においては特に下記化合物から成る組成
物が好ましい。
【0042】{ロジン又は不均一ロジン、又は水添ロジ
ン・α、β置換エチレン(α置換基:カルボキシル、β
置換基:水素又はメチル又はカルボキシル)付加物}・
アルキル又はアルケニル(各炭素数1〜8)ポリ(繰り
返し単位:1〜6)アルコールのエステル付加物を用い
るのが易滑性や離形性の点で好ましく、更に上記酸化ワ
ックスとの混合系で用いるとより好ましい。すなわち本
発明は上記組成物を塗布後、一方向に延伸することによ
り微細な細長い突起を形成させることを特徴とするもの
であり、突起形成性の点、および防爆性、環境汚染防止
の点から水に溶解、乳化、懸濁させたワックスが特に好
ましいのである。
【0043】石油系ワックス/植物性ワックスの混合重
量比率は10/90〜90/10、好ましくは20/8
0〜80/20、更に好ましくは30/70〜70/3
0とするのが好ましい。植物性ワックスを10重量%以
上とするのは高温時における易滑性、および離形性の付
与、および水に乳化あるいは懸濁させる場合の均一分散
性が良好で均一な塗布膜を得るのに好適であることによ
る。また石油系ワックスを10重量%以上とするのは塗
布膜の突起形成による易滑性が良好で、高速印字時の走
行性が良いことによる。
【0044】また、本発明では上記ワックス系組成物に
更にオイル状物質を加えた混合物とした時には印字走行
性が特に優れたものとすることができる。ここでオイル
状物質とは常温で液体あるいはペースト状のオイルであ
り、植物油、油脂、鉱物油、合成潤滑油などを挙げるこ
とができる。植物油としてはアマニ油、カヤ油、サフラ
ー油、大豆油、シナギリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、
ナタネ油、ヌカ油、綿実油、オリーブ油、サザンカ油、
つばき油、ヒマシ油、落花生油、バーム油、椰子油など
が挙げられる。油脂としては牛脂、豚油、羊油、カカオ
油などであり、鉱物油としてマシン油、絶縁油、タービ
ン油、モーター油、ギヤ油、切削油、流動パラフィンな
どが挙げられる。合成潤滑油としては化学大辞典(共立
出版社)に記載の要件を満たすものを任意に使用するこ
とが出来、例えばオレフィン重合油、ジエステル油、ポ
リアルキレングリコール油、シリコーン油などが挙げる
ことができる。これらの中でも高パルス幅領域での走行
性の良好な鉱物油、合成潤滑油が好適である。またこれ
らの混合系であって良い。
【0045】上記オイル状物質は前期ワックス系組成物
100重量部に対し1〜100重量部添加するのが好ま
しく、特に好ましくは3〜50重量部である。オイル状
物質が1重量部未満の場合には昇華型プリンターのよう
な高パルス幅領域での走行性が低下する傾向にあり、1
00重量部を超える場合には逆に低パルス幅領域での走
行性が低下する傾向にある。上記範囲とした場合には広
範囲のパルス幅の印刷機でスティックが起こらず走行性
が良好となり特に好ましいのである。
【0046】上記組成物中には本発明の効果を阻害しな
い範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば
帯電防止剤、耐熱剤、耐酸化防止剤、有機、無機の粒
子、顔料などが挙げられる。
【0047】また塗料中には水への分散性を向上した
り、塗布性を向上させる目的で各種添加剤、例えば分散
助剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤などを添加しても良
い。
【0048】ワックス系組成物を主成分とする層を設け
た面の中心線平均粗さ(Ra1 )はスティック性、ヘッ
ド汚染、印字の鮮明度の点から0.03〜0.4μm、
好ましくは0.05〜0.2μmであるのが望ましく、
積層膜の厚みは0.005μm以上Ra1 以下、好まし
くは0.01μm以上Ra1 以下であるのが望ましい。
【0049】本発明の熱可塑性ポリエステルフィルムの
表面に形成される離型剤層の塗布は、フィルムの延伸前
あるいは延伸後、いずれの段階で行なっても良い。本発
明の効果をより顕著に発現させるためには、延伸前に塗
布するのが特に好ましい。塗布方法は特に限定されない
が、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコー
ター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。
【0050】また、塗布する前に必要に応じて、塗布面
に空気中その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施し
ても良い。
【0051】本発明の原紙を構成するポリエステルフィ
ルムと多孔性支持体間の剥離強度は、フィルム搬送時の
シワ発生、製膜安定性の点から好ましくは1g/cm以
上、より好ましくは5g/cm以上、特に好ましくは1
0g/cm以上である。
【0052】
【特性の測定方法】
(1)融点(℃) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20
℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求め
た。
【0053】(2)結晶融解エネルギー(ΔHu) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220
型を用いて、フィルムの溶融時の面積から求める。この
面積は、昇温することによりベースラインから吸収側に
ずれ、さらに昇温を続けるとベースラインの位置まで戻
るまでの面積であり、溶融開始温度位置から終了位置ま
でを直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSC
の条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)
を6.8cal/gとして次式により求める。
【0054】ΔHu=6.8×a/b(cal/g) (3)多孔性支持体の結晶化度(%) Jobin Yvon/愛宕物産製“Ramanor”
U−1000Iを用いて、多孔性支持体の単糸1本のラ
マンスペクトルを測定し、PET一軸延伸フィルムの結
晶化度から推定した。測定は、10本の単糸について行
ない平均値で表わした。
【0055】(4)配向度(Δn) Jobin Yvon/愛宕物産製“Ramanor”
U−1000Iを用いて、多孔性支持体の単糸1本のラ
マンスペクトルを測定し、PET一軸延伸フィルムの配
向度から推定した。測定は、10本の単糸について行な
い平均値で表わした。
【0056】(5)繊度(デニール) サンプルの任意な10箇所を電子顕微鏡で倍率2000
倍で10枚の写真撮影を行ない、1枚の写真につき任意
の15本の繊維の直径を測定し、これを10枚の写真に
ついて行ない、合計150本の繊維径を測定した。密度
を1.38g/cm3 として繊度を求め、その平均値で
表わした。
【0057】(6)繊維目付量(g/m2 ) 試料片20cm×20cmを取り、その重量を測定して
2 当たりの重量に換算した。
【0058】(7)固有粘度[η] 試料を105℃×20分乾燥した後、0.8±0.00
5gを秤量し、o−クロロフェノール中で160℃×1
5分間撹拌して溶解した。冷却後、ヤマトラボティック
AVM−10S型自動粘度測定器により25℃における
粘度を測定した。
【0059】(8)熱可塑性ポリエステルフィルムの厚
み(μm) サンプルの任意の10箇所を断面方向に切り出し電子顕
微鏡で倍率2000倍で10枚の写真撮影を行い、フィ
ルムの厚みを測定した。これを10枚の写真について行
い、その平均値で表わした。
【0060】(9)熱可塑性ポリエステルフィルムの結
晶化度(%) n−ヘプタンと四塩化炭素の混合液からなる密度勾配管
に試料を投入し、10時間以上経過後の値を読んで密度
を求めた。結晶化度0%の密度を1.335g/c
3 、結晶化度100%の密度を1.455g/cm3
として、サンプルの結晶化度を算出した。
【0061】(10)支持体の開孔面積分率(%) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、開孔面積分率を求め
た。任意の測定点10箇所について開孔面積分率を求
め、その平均値で表わした。
【0062】(11)支持体の開孔部の等価円直径の平
均値(μm) 原紙の支持体面を直接、光学顕微鏡の明視野透過法で観
察し、(株)ピアス製ハイビジョン対応画像解析装置を
用いて、モニター倍率240倍で、白黒反転処理して開
孔部の等価円直径を求め、算術平均した。測定点10箇
所の平均値を求めた。
【0063】(12)搬送性(取り扱い性) 理想科学工業(株)製“RISOGRAPH”RA20
5を使用して、実際に製版を行ない評価した。作製した
原紙を幅270mmにカットし、その原紙を恒温恒湿槽
に40℃90%RHの条件で24時間放置した後にテス
トパターンを10枚製版した。
【0064】 7枚以上しわ、破れなしに製版できた :○ しわ、破れなしに製版できたのが6枚未満:×
【0065】(13)印刷性評価 作成した原紙を理想科学工業(株)製“RISOGRA
PH”RA205に供給して、サーマルヘッド式製版方
式により、JIS第1水準の文字サイズ2mm角のもの
と5mm角のものおよび●(丸で中が黒く塗りつぶされ
たもの)で2〜10mmφのもの、又、太さの異なる罫
線を原稿として製版した。
【0066】製版原稿を用いて印刷したものを目視判定
により、次のように評価した。
【0067】文字が鮮明で、罫線に太さムラがなく、黒
ベタ部で白抜けのないものを○印、文字が不鮮明で、罫
線が切れており、黒ベタ部で白抜けがめだつものを×
印、○と×の中間程度で、実用上なんとか使用できるレ
ベルのものを△印とした。
【0068】(14)耐久性 作成した原紙を理想科学工業(株)製“RISOGRA
PH”RA205に供給して、サーマルヘッド式製版方
式により、JIS第1水準の文字サイズ2mm角のもの
と5mm角のものおよび●(丸で中が黒く塗りつぶされ
たもの)で2〜10mmφのもの、又、太さの異なる罫
線を原稿として製版した。
【0069】製版原稿を用いて3000枚印刷し、印刷
後の原紙を取出し機械方向の伸び長さを測定した。
【0070】 伸び長さが3mm未満 :○ 伸び長さが3mm以上10mm未満:△ 伸び長さが10mm以上 :×
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0072】実施例1 多孔性支持体(B)を得るための不織布(不織布Bとす
る)として孔径0.33mm、孔数100個の矩形紡糸
口金を用いて、口金温度290℃、吐出量35g/分
で、ポリエチレンテレフタレート原料([η]=0.4
79、Tm=263℃)をメルトブロー法にて紡出し、
コンベア上に繊維を捕集し、更に70℃に加熱された金
属ロール間で10秒間カレンダ処理して繊維目付量15
0g/m2の未延伸不織布を作成した。該不織布の平均
繊維径は1.4デニール、結晶化度は3.0%、複屈折
(Δn)は0.0069であった。
【0073】次いで多孔性支持体(C)を得るための不
織布(不織布Cとする)として孔径0.35mm、孔数
100個の矩形紡糸口金を用いて、口金温度290℃、
吐出量35g/分でポリエチレンテレフタレート原料
(「η」=0.5、Tm=265℃)をスパンボンド法
にて紡出し、コンベア上に繊維を巻取り、繊維目付量1
50g/m2 の不織布を作成した。該不織布の平均繊維
径は2.3デニール、結晶化度は5.0%、複屈折(Δ
n)は、0.018であった。
【0074】次いで、ポリエチレンテレフタレート86
モル%、ポリエチレンイソフタレート14モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂原料([η]=0.645、
Tm=228℃)をスクリュウ径40mmの押出機を用
いて、Tダイ口金温度275℃で押出し、直径600m
mの冷却ドラム(25℃)上にキャストして未延伸フィ
ルムを作成した。
【0075】該未延伸フィルム上に、前記の不織布B、
不織布Cの順に重ね、加熱ロールに供給してロール温度
80℃で熱圧着した。こうして得られた積層シートを9
2℃の加熱ロールで、長さ方向に3.6倍延伸した後、
テンター式延伸機に送り込み、100℃で幅方向に4.
2倍延伸し、さらにテンター内で120℃×5秒間熱処
理した後、テンター出で220℃に加熱されたロールで
不織布面を10秒間熱処理して、厚さ75μmの感熱孔
版用原紙を作成した。該原紙のフィルム面にはテンター
入口部において、ワックス系離型剤をグラビアコーター
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。得ら
れた原紙の多孔性支持体(B)の繊維目付量は9.9g
/m2 、平均繊維径は0.35デニール、複屈折(Δn
B)は0.2であった。また、多孔性支持体(C)の繊
維目付量は9.0g/m2 、平均繊維径0.40デニー
ル、複屈折(ΔnC)は0.3であり、多孔性支持体
(B)と(C)の複屈折の関係はΔnC−ΔnB=0.
1であった。フィルム単独の厚さは1.0μm、結晶融
解エネルギーは6.9cal/gであった。得られた原
紙の熱可塑性ポリエステルフィルムの複屈折は、1.5
×10−1 であり、耐久性、印刷性は○であった。
【0076】実施例2 ポリエチレンテレフタレート75モル%、ポリエチレン
イソフタレート25モル%からなる共重合ポリエステル
樹脂原料(「η」=0.650、Tm=190℃)をス
クリュウ径40mmの押出機を用いて、Tダイ口金温度
270℃で押出し、直径600mmの冷却ドラム(25
℃)上にキャストして未延伸フィルムを作成した。
【0077】該未延伸フィルム上に、実施例1で作成し
た不織布(B)、(C)をこの順に重ね、加熱ロールに
供給してロール温度85℃で熱圧着して積層シートを作
成した。
【0078】該シートを95℃の加熱ロール間で、長さ
方向に3.5倍延伸した。更にテンター式延伸機に送り
込み、100℃で幅方向に4.0倍延伸した。更にテン
ター内部で120℃×5秒間熱処理して、厚さ70μm
の感熱孔版用原紙を作成した。また、テンター入口部に
おいて、フィルム面にワックス系離型剤をグラビアコー
ターを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。
得られた原紙の多孔性支持体(B)の繊維目付量は9.
8g/m2 、平均繊維径は0.34デニール、複屈折
(ΔnB)は0.22であった。また、多孔性支持体
(C)の繊維目付量は8.9g/m2 、平均繊維径は
0.38デニール、複屈折(ΔnC)は0.33であ
り、多孔性支持体(B)と(C)の複屈折の関係はΔn
C−ΔnB=0.11であった。また、フィルム単独の
厚さは1.0μm、結晶融解エネルギーは5.5cal
/gであった。得られた原紙の熱可塑性ポリエステルフ
ィルムの複屈折(Δn)は、1.3×10−1 であり、
耐久性、印刷性は○であった。
【0079】実施例3 実施例1で作成した未延伸フィルムを準備した。次い
で、該未延伸フィルム上に、実施例1で作成した不織布
(B)、(C)をこの順に重ね、加熱ロールに供給して
ロ−ル温度90℃で熱圧着した。こうして得られた積層
シートをテンター内で85℃の温度で縦方向に4.0
倍、横方向に4.0倍同時二軸延伸した後、100℃×
5秒間熱処理して、厚さ70μmの感熱孔版原紙を作成
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコータを用いて乾燥後
の重さで0.1g/m2 塗布した。得られた原紙の多孔
性支持体(B)の繊維目付量は9.7g/m2 、平均繊
維径は0.33デニール、複屈折(ΔnB)は0.20
であった。また、多孔性支持体(C)の繊維目付量は
8.8g/m2 、平均繊維径は0.36デニール、複屈
折(ΔnC)は0.32であり、多孔性支持体(B)と
(C)の複屈折の関係はΔnC−ΔnB=0.16であ
った。また、フィルム単独の厚さは1.0μm、結晶融
解エネルギーは5.5cal/gであった。得られた原
紙の熱可塑性ポリエステルフィルムの複屈折(Δn)
は、1.4×10−1 であり、耐久性、印刷性は○であ
った。
【0080】実施例4 実施例1でポリエチレンテレフタレートとポリブチレン
テレフタレートを50:50の割合で混合し、ホッパー
に供給した後スクリュウ径40mmの押出機を用いて、
Tダイ口金温度275℃で押出し、直径600mmの冷
却ドラム(30℃)上にキャストして未延伸フィルムを
作成した。
【0081】次いで、該未延伸フィルム上に、実施例1
で作成した不織布(B)、(C)を重ね、加熱ロールに
供給してロ−ル温度90℃で熱圧着した。該シートを8
5℃の加熱ロール間で、長さ方向に4.0倍延伸した。
更にテンター式延伸機に送り込み、90℃で幅方向に
4.2倍延伸した。更にテンター内部で100℃×5秒
間熱処理して、厚さ70μmの感熱孔版用原紙を作成し
た。該原紙のフィルム面にはテンター入口部において、
ワックス系離型剤をグラビアコータを用いて乾燥後の重
さで0.1g/m2 塗布した。得られた原紙の多孔性支
持体(B)の繊維目付量は9.6g/m2 、平均繊維径
は0.34デニール、複屈折(ΔnB)は0.26であ
った。また、多孔性支持体(C)の繊維目付量は9.0
g/m2 、平均繊維径は0.35デニール、複屈折(Δ
nC)は0.35であり、多孔性支持体(B)と(C)
の複屈折の関係はΔnC−ΔnB=0.09であった。
また、フィルム単独の厚さは1.0μm、結晶融解エネ
ルギーは5.5cal/gであった。得られた原紙の熱
可塑性ポリエステルフィルムの複屈折(Δn)は、1.
7×10−1 であり、耐久性、印刷性は○であった。
【0082】実施例5 実施例1で作成した不織布(C)を70℃に加熱された
ロールで加熱処理を行った。次いで実施例1で作成した
未延伸フィルム上に実施例1で作成した不織布(B)を
重ね、更に上記加熱処理を行った不織布(C)を重ねて
実施例1と同様に延伸・熱処理して厚さ75μmの感熱
孔版用原紙を作成した。該原紙のフィルム面にはテンタ
ー入口部において、ワックス系離型剤をグラビアコータ
を用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。得ら
れた原紙の多孔性支持体(B)の繊維目付量は9.9g
/m2 、平均繊維径は0.35デニール、複屈折(Δn
B)は0.2であった。また、多孔性支持体(C)の繊
維目付量は9.0g/m2、平均繊維径は0.40デニ
ール、複屈折(ΔnC)は0.25であり、多孔性支持
体(B)と(C)の複屈折の関係はΔnC−ΔnB=
0.05であった。また、フィルム単独の厚さは1.0
μm、結晶融解エネルギーは6.9cal/gであっ
た。得られた原紙の熱可塑性ポリエステルフィルムの複
屈折(Δn)は、1.5×10−1 であり、耐久性、印
刷性は○であった。
【0083】比較例1 実施例1で作成した未延伸フィルムを準備した。次いで
該未延伸フィルムを90℃の加熱ロール間で、長さ方向
に3.8倍延伸した。更にテンター式延伸機に送り込
み、95℃で幅方向に4.0倍延伸した。更にテンター
内部で100℃×5秒間熱処理して、厚さ1.5μmの
二軸延伸フィルムを作成した。更に該二軸延伸フィルム
上に繊維目付量150g/m2 、平均繊維径は1.4デ
ニール、結晶化度は1.5%、Δnが7×10−5 のポ
リエチレンテレフタレート不織布を90℃に加熱された
ロールで熱圧着して厚さ70μmの感熱孔版原紙を作成
した。該原紙のフィルム面にはテンター入口部におい
て、ワックス系離型剤をグラビアコータを用いて乾燥後
の重さで0.1g/m2 塗布した。得られた原紙の多孔
性支持体の繊維目付量は150g/m2 、平均繊維径は
1.4デニール、結晶化度は1.5%、複屈折(Δn)
が7×10−5 であり、熱可塑性ポリエステルフィルム
の複屈折(Δn)は、1.8×10−1 であり、耐久性
は×、印刷性は△であった。
【0084】比較例2 実施例1において不織布(B)を2枚重ねて不織布
(C)は用いずに実施例1と同様に厚さ74μmの感熱
孔版用原紙を作成した。該原紙のフィルム面にはテンタ
ー入口部において、ワックス系離型剤をグラビアコータ
ーを用いて乾燥後の重さで0.1g/m2 塗布した。得
られた原紙の多孔性支持体(B)、(C)(フィルムか
ら遠い方の多孔性支持体をCとする)の繊維目付量は各
々10g/m2 、平均繊維径はどちらも0.33デニー
ル、複屈折(ΔnB、ΔnC)はともに0.23であっ
た。多孔性支持体(B)と(C)の複屈折の関係はΔn
C−ΔnB=0であった。フィルム単独の厚さは1.0
μm、結晶融解エネルギーは6.8cal/gであっ
た。得られた原紙の熱可塑性ポリエステルフィルムの複
屈折は、1.6×10−1 であり、耐久性は×、印刷性
は△であった。
【0085】比較例3 マニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量1
2g/m2 の薄葉紙と、実施例1で作成した厚さ1.0
μmのポリエステルフィルムとを酢酸ビニル樹脂を用い
て貼りあわせた。接着剤塗布量は1g/m2 とした。次
に、フィルム面にワックス系離型剤を乾燥後の重さで
0.1g/m2 塗布し、感熱孔版原紙を作成した。得ら
れた原紙の薄葉紙の複屈折(Δn1 )は、1.0×10
−3 であり、耐久性は×、印刷性は×であった。
【0086】
【発明の効果】本発明の感熱孔版印刷原紙は、耐久性、
高精細印刷性に優れ、特に低エネルギー大量印刷用に好
適に使用される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステルフィルム(A)の
    片面に合成繊維からなる多孔性支持体(B)と合成繊維
    からなる多孔性支持体(C)がこの順に接着剤を介する
    ことなく接着されてなり、かつ該多孔性支持体(B)を
    構成する合成繊維の複屈折ΔnBおよび該多孔性支持体
    (C)を構成する合成繊維の複屈折ΔnCが下記一般式
    (1)(2)(3)を全て満足することを特徴とする感
    熱孔版印刷用原紙。 ΔnC−ΔnB≧0.01 (1) 1×10−4 ≦ΔnB≦5×10−1 (2) 1×10−4 ≦ΔnC≦5×10−1 (3)
  2. 【請求項2】 多孔性支持体(B)および多孔性支持体
    (C)が繊度0.1〜10デニールの延伸配向繊維から
    なる不織布であることを特徴とする請求項1に記載の感
    熱孔版印刷用原紙。
  3. 【請求項3】 多孔性支持体(B)および多孔性支持体
    (C)の繊維目付量が各々2〜20g/m2 であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱孔版
    印刷用原紙。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステルフィルム(A)が
    厚さ0.1〜10μmの二軸延伸フィルムであることを
    特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱
    孔版印刷用原紙。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリエステルフィルム(A)の
    結晶融解エネルギー(ΔHu)が3〜11cal/gで
    あることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに
    記載の感熱孔版印刷用原紙。
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