JPH0722331Y2 - 自動車用内装部品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、ドアトリム等に代表される自動車用内装部
品に関するもので、特に、車体パネルへの取付部分の構
造を簡単かつ見栄えよく仕上げることにより、意匠性を
向上させ、かつコストダウンを図るようにした自動車用
内装部品に関する。

〈従来の技術〉 例えば、第５図に示すドアトリム１を車体パネルに取付
ける構造を第６図において説明すると、ドアトリム１
は、所要形状に成形された芯材２と、この芯材２の表面
に貼着される表皮材３とにより大略構成されており、芯
材２の裏面側の所定箇所に樹脂成形体あるいは鉄板等か
らなるブラケット４がリベット５により固定されてお
り、このブラケット４にエンボス状に形成されたクリッ
プ取付座６に予め樹脂クリップ７を装着しておき、車体
パネル８の取付孔8a内にこの樹脂クリップ７を圧入嵌合
させることにより、ドアトリム１を車体パネル８に対し
て取付けるようにしている。

さらに、第７図に示すように芯材２を射出成形により成
形する場合、クリップ取付座６を一体に設けることも可
能であるが、その場合、型抜き上、リップ取付座６の上
面が開口6aとなるため、この開口6aを塞ぐスペーサ９と
して、別物鉄板等を設置して、製品表面にくぼみができ
ないようにしている。

さらに、第８図に示すように、クリップ取付座６の上面
が開口6aとならないように、第８図に示すように、芯材
２を成形することも可能であるが、この場合、射出成形
型としてスライドコアを使用する特殊な型構造が必要で
ある。

〈考案が解決しようとする課題〉 このように、ドアトリム１等の内装部品を一般に車体パ
ネル８に取付ける場合、通常、第６図に示すように、ク
リップ取付座６を形成したブラケット４を必要とし、部
品点数の増大を招き、コストアップを招来するととも
に、このブラケット４をリベット５により固定するた
め、このリベット５の頭部が製品表面に現われ、美観の
低下を招くという不具合が指摘されている。

同様に第７図に示すように、芯材２にクリップ取付座６
を一体に形成した場合においても、開口6aを塞ぐスペー
サ９が製品表面に凸部となって現われ、スペーサ９によ
る部品点数の増大や美観の低下という上述同様の不具合
がある。

また、樹脂芯材にスライドコアを使用してクリップ取付
座６を一体に形成する実施例においては、射出成形型費
が著しく高価なものとなり、製品コストを大幅に引き上
げるという欠点があった。

この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、
本考案の目的とするところは、車体パネルにクリップを
介して取付けられる内装部品において、クリップ取付部
分の構造を簡単なものにするとともに、製品表面に影響
を及ぼさないようにして、意匠性の向上ならびに大幅な
コストダウンを図るようにした自動車用内装部品を提供
することにある。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成するために、本考案に係る自動車用内装
部品は、本体側芯材と端末側芯材とを分割構成するとと
もに、端末側芯材の裏面に、車体パネル装着用のクリッ
プを保持させるクリップ取付座がエンボス状に突設形成
され、このクリップ取付座の上方を本体側芯材により覆
うように、端末側芯材と本体側芯材とを接合固定したこ
とを特徴とする。

〈作用〉 以上の構成から明らかなように、内装部品の芯材を本体
側芯材と端末側芯材とに分割構成し、クリップ取付座を
端末側芯材裏面に一体に設けるようにしたため、従来の
ようにクリップ取付座を形成したブラケットを別途接合
固定する必要がなく、ブラケットを廃止できる。

さらに、端末側に形成したクリップ取付座の上面を本体
側芯材により覆う構成であるため、製品表面にリベット
の頭部や、スペーサの凸部が現われることがない。

〈実施例〉 以下、本考案に係る自動車用内装部品の実施例につい
て、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

第１図は本考案に係る自動車用内装部品をドアトリムに
適用したもので、このドアトリムを示す正面図、第２図
は同ドアトリムの各メンバーを分解して示す分解斜視
図、第３図，第４図は各メンバーの接合部分を示す要部
断面図である。

第１図において、自動車用ドアトリム10は、４分割体か
ら構成されている。

すなわち、本体側メンバーを構成するアッパー側メンバ
ー20とロア側メンバー30と、端末側メンバーを構成する
フロント側メンバー40とリヤ側メンバー50とから大略構
成されている。

そして、各メンバー20,30,40,50の具体的な構成は第２
図に示すように、まず、アッパー側メンバー20は、芯材
21の表面に表皮材22が貼着されている。

さらに詳しくは、芯材21は、ポリプロピレン樹脂に木粉
フィラーを混入した複合ポリプロピレン樹脂をプレスモ
ールディング工法により所要形状に成形してなり、この
芯材21の成形時にクロス等の布地をベースとした表皮材
22を一体貼着して構成されている。

次に、ロア側メンバー30も同様に、複合ポリプロピレン
樹脂をプレスモールディング工法により所要形状に成形
してなり、表皮材32としては、アッパー側メンバー20と
外観を相違させ、バリエーションを付与するために、発
泡塩ビシートをベースとした表皮材32を使用している。

そして、上記アッパー側メンバー20とロア側メンバー30
とにより本体側メンバーが構成されている。

次いで、端末側メンバーであるフロント側メンバー40と
リヤ側メンバー50は、後述するクリップ取付座を形成す
るため、比較的複雑な形状を呈しているため、射出成形
により各芯材41,51が形成されており、芯材41,51の射出
成形時、PVCシート等の表皮材42,52が金型にインサート
され、インサートインジェクション工法によりフロント
側メンバー40,リヤ側メンバー50がそれぞれ成形されて
いる。

次に、これら各メンバー20,30,40,50の接合構造につい
て説明する。

本体側メンバーとしてのアッパー側メンバー20とロア側
メンバー30との接合は、第３図に示すように、アッパー
側メンバー20の芯材21の裏面に取付用ボス23が立設形成
されており、この取付用ボス23に対応するように、ロア
側メンバー30には取付孔33が開設されており、この取付
孔33と取付用ボス23を一致させて裏面側からビス60をネ
ジ止めすることにより、アッパー側メンバー20とロア側
メンバー30とは容易に一体化できる。

ところで、本考案の特徴は、内装部品の芯材を分割構成
し、クリップ取付座を端末側芯材に形成することにより
クリップ取付座を簡易かつ廉価に構成し、かつ本体側芯
材によりこの端末側芯材に形成されたクリップ取付座を
覆い、見栄えを良好なものにしたことが特徴である。

すなわち、本体側メンバーと端末側メンバーとの接合構
造を、第４図において、アッパー側メンバー20とリヤ側
メンバー50との接合を例にとり説明すると、まず、リヤ
側メンバー50は、上述したように射出成形により所要形
状に成形された芯材51と、この芯材51の表面に射出成形
時に貼着されるPVCシート等の表皮材52とから構成され
ているが、この芯材51の成形時、クリップ取付座53がそ
の裏面にエンボス状となるように形成されており、かつ
本体側メンバーと接合させるための取付孔54が開設され
ている。

それに対して、アッパー側メンバー20は、上述したよう
にプレスモールディング工法により所要形状に成形した
芯材21と、クロス等の表皮材22との積層構造体からなる
が、第４図に示すように、芯材21の裏面に立設形成した
取付用ボス23とリヤ側メンバー50に設けた取付孔54とを
一致させ、ビス60によりアッパー側メンバー20とリヤ側
メンバー50とは接合一体化される。

さらに、アッパー側メンバー20の側縁部分がリヤ側メン
バー50に設けたクリップ取付座53の上方を覆うようにラ
ップ構造に設定され、アッパー側メンバー20のフランジ
20aがリヤ側メンバー50の表面に当接する構造となる。
なお、クリップ取付座53に装着される樹脂クリップ61を
車体パネル62の取付孔62aに圧入嵌合させることによ
り、ドアトリム10を車体パネル62に取付けることができ
る。

したがって、本考案による構造によれば、リヤ側メンバ
ー50の芯材51の射出成形時、簡易にクリップ取付座53が
形成でき、このクリップ取付座53を覆うようにアッパー
側メンバー20を接合固定するものであるから、従来のよ
うに別途ブラケットを付設する必要がなく、部品点数の
削減が図れ、かつブラケットの固着手段であるリベット
等の頭部が表面に凸部となって現われることや、クリッ
プ取付座の開口を蓋するスペーサが表面に悪影響を及ぼ
すことがなく、製品の外観意匠性は極めて良好なものと
なる。

なお、ロア側メンバー30とリヤ側メンバー50との接合、
あるいはフロント側メンバー40に対するアッパー側メン
バー20、ロア側メンバー30の接合については、第４図に
示したアッパー側メンバー20とリヤ側メンバー50との接
合構造と同様であるため、その説明は省略する。

〈考案の効果〉 以上説明した通り、本考案による自動車用内装部品によ
れば、以下に記載する格別の作用効果を有する。

（１）本考案によれば、内装部品の芯材を本体側芯材と
端末側芯材とに分割構成し、端末側芯材の成形時、クリ
ップ取付座を一体に成形する構成であるため、従来のよ
うにクリップ取付座を形成したブラケットを芯材裏面に
接合固定する構造のものに比べ、部品点数の削減ならび
に取付工数の低減が図れ、大幅なコストダウンを招来す
るという効果を有する。

（２）本考案によれば、端末側芯材の裏面に設けたクリ
ップ取付座の上方を本体側芯材により覆うように両芯材
を接合固定する構成であるため、従来のようにリベット
の頭部やスペーサの凸部が製品表面に現われ、美観を著
しく低下させるという不具合を有効に解決できるという
効果を有する。

（３）本考案によれば、端末側芯材の裏面に形成するク
リップ取付座は、本体側芯材により被覆されるという構
成であるため、クリップ取付座の上面が開口される構成
でもよく、そのため、スライドコアを必要としないもの
であるから、簡易な射出成形金型において端末側芯材の
成形が可能であり、スライドコアを使用してクリップ取
付座を成形する従来例のものに比べ、コストダウンを図
れるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を自動車用ドアトリムに適用した実施例
を示すドアトリムの正面図、第２図は同ドアトリムの各
メンバーを分解して示す斜視図、第３図は第１図中III-
III線断面図、第４図は第１図中IV-IV線断面図、第５図
は従来のドアトリムを示す正面図、第６図は第５図中VI
-VI線断面図、第７図，第８図は従来のクリップ取付座
を示す断面図ならびに斜視図である。 10……自動車用ドアトリム 20……アッパー側メンバー 30……ロア側メンバー 40……フロント側メンバー 50……リヤ側メンバー 21,31,41,51……芯材 22,32,42,52……表皮材 23……取付用ボス 33,54……取付孔 53……クリップ取付座 61……ビス 61……樹脂クリップ 62……車体パネル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体側芯材（21,31）と端末側芯材（41,5
   1）とを分割構成するとともに、端末側芯材（41,51）の
   裏面に、車体パネル装着用のクリップ（61）を保持させ
   るクリップ取付座（43,53）がエンボス状に突設形成さ
   れ、このクリップ取付座（43,53）の上方を本体側芯材
   （21,31）により覆うように、端末側芯材（41,51）と本
   体側芯材（21,31）とを接合固定したことを特徴とする
   自動車用内装部品。