JPH07217174A - 床材およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】特に表面に凹凸を有する連続気泡型の発泡体か
らなる緩衝材を用いた床材の防音性能を高めること。 【構成】少なくとも表面側に防音空間を形成するための
凹凸３ｂ，３ａを有する緩衝材３とシート状物２とを、
緩衝材３表面の凹部３ｂにおいてシート状物２がブリッ
ジ状になるように貼着して緩衝体４とし、次に床基板１
の裏面に接着剤５を塗布し前記緩衝体４のシート状物２
が床基板１と接するように載置し、圧締接着する床材の
製造方法および該製造方法により得た床材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は床材およびその製造方法
に関する。

【０００２】

【従来技術】従来、床基板の裏面に合成樹脂系あるいは
ゴム系発泡体等の緩衝材を貼着し、防音性能および施工
下地面の不陸吸収性能を付与した直貼り床材が知られて
いる。

【０００３】また、緩衝材に用いる発泡体としては、独
立気泡型の発泡体と連続気泡型の発泡体に大別され、独
立気泡型の発泡体を緩衝材として用いた場合、表面の床
基板に衝撃が加えられ緩衝材が収縮変形することにより
この衝撃を吸収するものであるが、独立気泡中の空気が
この収縮時に逃げる場所がなく、空気ばね現象を起こす
こととなり防音性能が低下するが、連続気泡型の発泡体
を緩衝材として用いた場合は、気泡が連通しているため
気泡中の空気が自由に移動することができ空気ばね現象
は起きず、優れた防音性能を得ることができるものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】これらの床基板と緩衝
材は、一般的に床材裏面全体に接着剤を塗布した後、緩
衝材を載置し圧締することにより接着するものである
が、緩衝材として発泡体を用いた場合、この圧締により
緩衝材が収縮変形している間に接着剤が発泡体の気泡内
に浸透し硬化するため、接着剤が浸透硬化した部分は圧
締を解除した後も収縮した状態のままとなってしまい、
床材設計時の緩衝材の厚さより薄くなってしまい防音性
能が低下するという問題を有するものである。

【０００５】特にこの現象は気泡が連通している連続気
泡型の発泡体を用いた場合に生じ易い問題であった。さ
らに緩衝材として床基板との接着面に凹凸を形成したも
のを使用しようとしても、圧締時に緩衝材の凹部が床基
板の裏面に接地し接着されてしまうこととなり、緩衝材
の凹凸がない緩衝材を接着したものと同じ状態となって
しまい、設計した防音性能が得られないという問題を生
じるものであった。

【０００６】さらに、圧締条件を調整して、緩衝材表面
の凹部と床基板の裏面とが接触しなように圧締したとし
ても、圧締が完了し得られた床材を重ねて保存する際
に、床材の自重によって緩衝材が伸縮し緩衝材の凹部が
床材裏面に接触してしまい、未だ完全に硬化していなか
った基板裏面の接着剤により凹部が接着されてしまう等
の問題も生ずるものであった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者はこのような問
題点を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、本発明に
到達したものである。

【０００８】すなわち本発明は、少なくとも表面に凹凸
を有する緩衝材３の表面に、凹部３ｂにおいてブリッジ
状になるようにシート状物２を貼着してなる緩衝体４
を、床基板１の裏面にシート状物２が床基板１と接する
ように貼着した床材および少なくとも表面側に凹凸３
ｂ，３ａを有する緩衝材３とシート状物２とを、緩衝材
３表面の凹部３ｂにおいてシート状物２がブリッジ状に
なるように貼着して緩衝体４とし、次に床基板１の裏面
に接着剤５を塗布し前記緩衝体４のシート状物２が床基
板１と接するように載置し、圧締接着する床材の製造方
法に関する。

【０００９】以下、その詳細について説明する。図１
は、本発明の床材の断面図を示すものである。本発明の
床材は、必要に応じ表面に化粧層１ａを形成した床基板
１の裏面側に、シート状物２と緩衝材３からなる緩衝体
４が貼着されたものである。また、緩衝材３の表面側に
は凹凸３ｂ，３ａが形成され、緩衝材３の凹部３ｂにお
いてシート状物２がブリッジ状になるように貼着されて
いる。

【００１０】本発明の床材を形成する床板基板１として
は、例えば、合板、木削片板、木質繊維板、単板積層
板、セメント板、スラグ石膏板を単独でまたは任意組み
合わせ複合したもの、あるいは板材と板材との間に緩衝
効果の優れた合成樹脂シート、発泡合成樹脂シートある
いは遮音シート等を挟み込むように積層したものを用い
ることができる。

【００１１】また、基板表面には任意化粧層１ａを形成
することができる。この化粧層は、天然木材を切削して
得られる天然突板、人工突板、および不織布、紙、合成
樹脂シートを裏打ちした突板シート、または、化粧紙、
樹脂含浸紙、不織布、紙、合成樹脂シート等の化粧シー
トを、接着剤を用い接着することにより形成するか、あ
るいは化粧板表面に直接塗装または印刷を施すことによ
り形成される。

【００１２】また、化粧層の表面に、上塗り層を設ける
こともできる。このような化粧層を設けることにより、
表面側からの水分の浸透も防止されることとなり、湿度
変化に伴う反り、結露、腐食等の問題を解決することが
できたものである。

【００１３】さらに、床基板１裏面側から、溝１ｂを形
成することにより、床基板１の剛性成を下げ床材表面に
衝撃が加わった際に、床基板自体の変形によりこの衝撃
を吸収することができ防音性能を向上させることができ
る。

【００１４】本発明の緩衝材３は、床基板１の表面に加
えられた衝撃を取縮変形することにより吸収する緩衝機
能を有するものであり、例えばポリエチレン系樹脂、ポ
リプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの合成樹脂発泡体ある
いはゴム発泡体等を用いることができる。好ましくは発
泡形態が連続気泡型のものを用いた方が空気ばね現象も
生ずることなく、床材としての優れた防音性能を示すこ
とができる。

【００１５】また、連続気泡とすることにより、長期荷
重により収縮した状態から開放したときの復元力も優れ
た性能が得られる。さらに、緩衝材３の少なくとも表面
には凹凸３ｂ，３ａを形成することにより、緩衝材３の
凸部３ａが収縮する際に、凹部３ｂ空間が凸部３ａ気泡
内の空気の移動場所として確保されることとなり、より
防音性能の優れた床材が得られる。図１の床材の緩衝材
３は、表面側だけでなく裏面側にも裏凹凸３ｃ，３ｄを
形成したものが示されており、裏面側においても同様の
機能が発揮され一段と優れた防音性能を示すものであ
る。

【００１６】シート状物２としては、合成繊維あるいは
天然繊維を用いた織布や不織布、および紙を用いること
ができる。好ましくは、シート状物２が床基板裏面に貼
着されることにより床基板の曲げヤング率を高めること
なく、平面方向に優れた伸縮能力を有するものが好まし
く、例えば合成繊維あるいは天然繊維を用いた不織布が
好ましく用いられる。

【００１７】また、このシート状物は、接着剤を用いて
緩衝材と接着する際、緩衝材に必要以上の接着剤が浸透
するのを防ぐため十分な接着剤の吸収能力を持ち、ま
た、予め緩衝材３とシート状物２とを貼着して緩衝体を
得た後、床基板１裏面に接着剤５を塗布し緩衝体４を接
着する際に、床基板１裏面からシート状物２に浸透した
接着剤５が裏面側の緩衝材３側まで浸透しない接着剤含
浸保持能力をもったものが好ましく用いられる。具体的
には、合成繊維あるいは天然繊維の不織布を用いる場
合、目付けが２５ｇ／ｍ^２以上のものを用いることによ
り、接着剤５を十分に吸収し、逆側に浸透させることが
ない。

【００１８】図２は本発明の緩衝材３、シート状物２お
よび床基板１との積層一体化された状態の拡大図であ
り、それぞれ接着剤を介して積層一体化された状態を示
している。図中６は接合接着剤層を、６ａはシート状物
２と緩衝材３とを接着する際にシート状物２に含浸され
た接合接着剤含浸部を示す。図に示すように本発明の緩
衝材３とシート状物２との接着において、接着剤のほと
んどはシート状物２に含浸され、緩衝材３においてはそ
の表面近傍に含浸されるだけで緩衝材３内にはほとんど
含浸されない状態で接着される。また、緩衝材３とシー
ト状物２との貼着は、接着剤を介することなく緩衝材３
表面の熱融着により貼着することもできる。

【００１９】また、５は床基板１とシート状物２とを接
着する接着剤層を、５ａはシート状物２に含浸された接
着剤含浸部を示す。

【００２０】さらに、図２において接着剤含浸部５ａと
接合接着剤含浸部６ａとは、シート状物２内において重
なることなく分離された状態が示されているが、シート
状物２の接着剤含浸保持能力が若干小さいものを用いる
ことにより、前記接着剤含浸部５ａと６ａが重なった状
態で硬化した床材を得ることができるが、このような状
態とすることにより、シート状物２の厚さ方向中心部に
おいて剥離する等の問題もなくなり剥離強度が向上し好
ましい。

【００２１】また、シート状物として接着剤含浸保持能
力の小さい合成樹脂シート等を用いた場合には、まず、
緩衝材３とシート状物２を接合接着剤６により接着する
際、接合接着剤６がシート状物２に含浸されずに緩衝材
３の表面側凸部３ａ内の深部まで吸収され硬化してしま
うため、緩衝材表面側の凸部の緩衝性能がほとんど発揮
されないこととなり好ましくない。

【００２２】さらに、床基板１の裏面にシート状物２を
接着する際のシート状物３に含浸される接着剤含浸部５
ａがシート状物２の裏面側まで広がり、緩衝材３の表面
側に形成された凹凸の凹部３ｂまで接着する原因となり
好ましくない。

【００２３】さらにシート状物２を用いずに直接床基板
の裏面に接着剤により緩衝材３を接着した場合も、接着
剤が床基板１裏面にほとんど含浸されないため、緩衝材
凸部３ａの深部まで接着剤が含浸されてしまい、同様の
問題が生ずる。

【００２４】本発明の床材の製造方法の一例を説明する
と、まず緩衝材３の表面側に形成された凹凸の凸部３ａ
表面に接合接着剤６を塗布し、その上にシート状物２を
載置し、圧締することにより接着し、表面に凹凸を有す
る緩衝材３の表面に、凹部３ｂにおいてブリッジ状にな
るようにシート状物２が貼着された緩衝体４が得られ
る。

【００２５】この際、接着剤５のほとんどがシート状物
２に含浸されるため、緩衝材３の内部に接着剤５が含浸
されるのが防止される。

【００２６】また、緩衝材３とシート状物２との貼着
は、緩衝材３とシート状物２を積層し、緩衝材３の凸部
３ａ表面を熱融着させることにより貼着することもでき
る。

【００２７】熱融着により緩衝材３とシート状物２とを
貼着すれば、接合接着剤６により緩衝材３とシート状物
２とを貼着する際の、接合接着剤６が緩衝材３に含浸す
る問題は生じないものの、緩衝材凸部３ａ表面を溶融さ
せるため、その部分の緩衝材３としての機能が失われる
こととなり、接合接着剤６により緩衝材３とシート状物
２を貼着した場合と結果的にほぼ同等の緩衝機能を有す
る緩衝体が得られる。

【００２８】次いで、床基板１裏面全面に水性エマルジ
ョンタイプの接着剤５を塗布量５〜２０ｇ／尺^２塗布
し、緩衝体４のシート状物２が床基板１の裏面に接着す
るよう載置した後、圧締することにより接着する。この
際、シート状物２として例えばポリエチレン等の合成繊
維の不織布を用いる場合、目付けが２５ｇ／ｍ^２以上の
不織布を用いることにより、床基板１の裏面に塗布した
接着剤５が裏面側まで浸透することがなく、緩衝材３の
表面に形成された凹凸の凹部３ｂにおいてブリッジ状に
なるような状態でシート状物２が貼着された床材が得ら
れる。

【００２９】また、このように予め緩衝材３とシート状
物２とを貼着した緩衝体４を得た後に床基板１裏面に接
着することにより、図２において緩衝材３とシート状物
２を貼着するための接合接着剤含浸部６ａが硬化した後
に、床基板１とシート状物２を接着するための接着剤含
浸部５ａが浸透して来るが、緩衝材３の凸部３ａと貼着
しているシート状物２内にはすでに硬化した接合接着剤
含浸部６ａがあるため、この接合接着剤含浸部６ａより
裏面側に接着剤５が含浸され、緩衝材３の凸部３ａにま
で接着剤５が浸透することも防止することができ好まし
い。

【００３０】

【実施例】

実施例１ 床基板として７ｍｍ厚中比重繊維板の裏面に深さ４ｍｍ
の溝を形成したものを用い、緩衝体としてポリエステル
繊維からなる目付け５０ｇ／ｍ^２の不織布からなるシー
ト状物と、ポリウレタン樹脂系連続気泡型発泡シート
（平均発泡倍率１５倍）の表裏面に凸部高さ１．５ｍｍ
の凹凸を形成した４ｍｍ厚の緩衝材とを、緩衝材の凸部
表面において熱融着により貼着一体化したものを用い、
床基板の裏面全体に水性ビニルウレタン接着剤１０ｇ／
尺^２を塗布した後、緩衝体の不織布が床材裏面に接着す
るように重ね冷圧することにより床材を得た。

【００３１】実施例２ 実施例１の緩衝材とシート状物を、緩衝材の表面側凸部
表面に接着剤を塗布した後、その上にシート状物を載置
し冷圧することにより接着し緩衝体としたものを用いた
以外は同様に行ない床材を得た。

【００３２】試験例１ 実施例１および実施例２で得た床材と、比較例１として
実施例１の緩衝材として表面側に凹凸が形成されてない
ものを用いた以外は同様の床材を用い、床衝撃音レベル
の測定を行なった。実施例１および２の床材はＬ−４５
の性能に合格したが、比較例のものは不合格であった。

【００３３】

【発明の効果】本発明の床材は、少なくとも表面に凹凸
３ｂ，３ａを有する緩衝材３の表面に、凹部３ｂにおい
てブリッジ状になるようにシート状物２を貼着してなる
緩衝体４が床基板１の裏面にシート状物２が床基板１と
接するように貼着された構成であるため、床材表面に衝
撃が加えられ、緩衝材３表面側の凸部３ａが収縮変形す
る際に、凹部３ｂ空間が凸部３ａ気泡内の空気の移動場
所として確保されることとなり防音性能の優れた床材が
得られる。特に、緩衝材３として連続気泡型の発泡体を
用いることにより顕著な効果を示す。

【００３４】さらに、緩衝材３と床基板１との間にシー
ト状物２が介在した構成とすることにより、緩衝材３の
凸部３ａ表面のみで貼着され、接合接着剤６を用いて緩
衝材３を接着する際も接合接着剤６が凸部３ａ内部に浸
透することが防止され、緩衝材３の本来もっている緩衝
機能を十分に発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明床材の断面図、

【図２】 図１の部分拡大図、

【符号の説明】

１：床基板、１ａ：化粧層、１ｂ：溝、２：シート状
物、３：緩衝材、３ａ，３ｂ：凸部、凹部、３ｃ，３
ｄ：裏凸部、裏凹部、４：緩衝体、５：接着剤あるいは
接着剤層、５ａ：接着剤含浸部、６：接合接着剤あるい
は接合接着剤層、６ａ：接合接着剤含浸部。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも表面に凹凸を有する緩衝材の
   表面に、凹部においてブリッジ状になるようにシート状
   物を貼着してなる緩衝体を、床基板の裏面にシート状物
   が床基板と接するように貼着したことを特徴とする床
   材。
2. 【請求項２】 シート状物として不織布を用いる請求項
   １記載の床材。
3. 【請求項３】 緩衝材として連続気泡型の発泡体シート
   を用いる請求項１記載の床材。
4. 【請求項４】 シート状物として目付けが２５ｇ／ｍ^２
   以上の不織布を用いる請求項１記載の床材。
5. 【請求項５】 床基板として表面に溝を形成したものを
   用いる請求項１記載の床材。
6. 【請求項６】 少なくとも表面側に凹凸を有する緩衝材
   とシート状物とを、緩衝材表面の凹部においてシート状
   物がブリッジ状になるように貼着して緩衝体とし、次に
   床基板の裏面に接着剤を塗布し前記緩衝体のシート状物
   が床基板と接するように載置し、圧締接着することを特
   徴とする床材の製造方法。