JPH07207147A - 芳香族ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリアミド樹脂組成物

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JPH07207147A
JPH07207147A JP467594A JP467594A JPH07207147A JP H07207147 A JPH07207147 A JP H07207147A JP 467594 A JP467594 A JP 467594A JP 467594 A JP467594 A JP 467594A JP H07207147 A JPH07207147 A JP H07207147A
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JP
Japan
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copolymer
weight
cyclic olefin
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ethylene
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JP467594A
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English (en)
Inventor
Takashi Yamanaka
中 隆 志 山
Shizuo Yanagii
井 志津男 楊
Hiroshi Koizumi
泉 寛 小
Yoshikatsu Amimoto
本 良 勝 網
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、剛性に優れるとともに靱性にも優
れた芳香族ポリミド樹脂組成物を提供する。 【構成】本発明に係るポリミド樹脂組成物は、 [I]芳香族ポリアミド樹脂:60〜90重量部、 [II][A]エチレン・環状オレフィンランダム共重合
体と、[B]エラストマーと、[C]結晶性ポリオレフ
ィンとの混合物に、[D]グラフトモノマーをグラフト
重合してなるグラフト変性物:5〜40重量部、および
必要に応じて [III]上記の[A]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体、 [IV]上記の[B]エラストマーおよび [V]上記の[C]結晶性オレフィンとからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、剛性および靱性に優れた
芳香族ポリアミド系樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、コネクタなどを製造す
るための熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリ
フェニレンエーテル、アクリロニトリル・ブタジエン・
スチレン樹脂およびナイロン6、ナイロン66などの脂
肪族ポリアミド樹脂などが知られている。これらの熱可
塑性樹脂のうちでも、ポリアミド樹脂は、耐熱性、耐薬
品性、剛性および成形性などの諸特性のバランスに優れ
ており、広く用いられている。
【0003】このようなポリアミド樹脂としては、上記
のような脂肪族ポリアミド以外にも、ジカルボン酸とし
ての芳香族ジカルボン酸とジアミンとから製造される芳
香族ポリアミドが知られており、この芳香族ポリアミド
は、脂肪族ポリアミドに比べて吸水率が小さいという特
性を有している。しかしながら芳香族ポリアミドは、靱
性に劣るという問題点があった。
【0004】従来、このような芳香族ポリアミドの靱性
を向上させるためには、芳香族ポリアミドに変性結晶性
ポリオレフィンあるいは変性α-オレフィン弾性共重合
体などを配合していた。たとえば特開昭60−1443
62号公報には、芳香族ポリアミドと特定の変性α-オ
レフィン弾性共重合体とを含む組成物が開示されてい
る。
【0005】しかしながらこのような芳香族ポリアミド
樹脂組成物には、より一層靱性の向上が望まれている。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、剛性に優れるとともに靱性に
も優れた芳香族ポリアミド樹脂組成物を提供することを
目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る芳香族ポリアミド樹脂組成
物は、 [I]芳香族ポリアミド樹脂:60〜90重量部、 [II][A]下記[A-1]、[A-2]および[A-3]から
なる群から選ばれる環状オレフィン樹脂と、 [B][B-1]α−オレフィン共重合体、[B-2]芳香族
ビニル化合物・共役ジエン共重合体および[B-3]上記
の[B-2]の水素化物から選ばれる少なくとも1種のエ
ラストマーと、 [C]結晶性ポリオレフィンとの混合物に、 [D]グラフトモノマーをグラフト重合してなるグラフ
ト変性物:5〜40重量部、 [III]上記の[A]エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体:0〜40重量部、 [IV]上記の[B]エラストマー:0〜20重量部、お
よび [V]上記の[C]結晶性オレフィン:0〜20重量部
(ただしこれら成分[I]、[II]、[III]、[IV]
および[V]の合計を100重量部とする。)からなる
ことを特徴としている; [A-1]エチレンと下記一般式[I]で表される環状オ
レフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレ
フィンランダム共重合体、
【0008】
【化2】
【0009】(式中、nは0または1であり、mは0ま
たは正の整数であり、qは0または1であり、R1 〜R
18ならびにRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ば
れる原子または基を表し、R15〜R18は、互いに結合し
て単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環ま
たは多環が二重結合を有していてもよく、またR15〜R
16とで、またはR17とR 18とでアルキリデン基を形成し
ていてもよい。)、[A-2]上記式[I]で表される環
状オレフィンの開環重合体または開環共重合体、および
[A-3]上記式[I]で表される環状オレフィンの開環
重合体または開環共重合体[A-2]の水添物。
【0010】本発明に係る芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、芳香族ポリアミドと、環状オレフィン樹脂を含む特
定のグラフト変性物とを含み、剛性に優れるとともに靱
性にも優れている。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る芳香族ポリア
ミド樹脂組成物について具体的に説明する。本発明に係
る芳香族ポリアミド樹脂組成物は、 [I]芳香族ポリアミド樹脂と、 [II][A]環状オレフィン樹脂と[B]エラストマー
と[C]結晶性ポリオレフィンとからなる混合物に、
[D]グラフトモノマーをグラフト変性してなるグラフ
ト変性物とからなるか、あるいは上記のような[I]芳
香族ポリアミド樹脂と[II]グラフト変性物とに加え
て、 [III]上記の未変性[A]エチレン・環状オレフィン
ランダム共重合体と、 [IV]上記の未変性[B]エラストマーと、 [V]上記の未変性[C]結晶性ポリオレフィンとから
なるからなる群から選ばれる少なくとも一種の成分とか
らなっている。
【0012】以下、まず本発明で用いられる各成分につ
いて説明する。[I]芳香族ポリアミド樹脂 本発明で用いられる芳香族ポリアミド樹脂[I]は、特
定のジカルボン酸成分単位[a]と、特定の脂肪族ジア
ミン成分単位または脂環族ジアミン成分単位[b]とか
らなる繰返し単位から構成されている。
【0013】このポリアミドを構成する特定のジカルボ
ン酸成分単位[a]は、必須成分単位としてテレフタル
酸成分単位(a-1)を有している。このようなテレフタル
酸成分単位(a-1)を有する繰返し単位は、次式[I-a]で
表わすことができる。
【0014】
【化3】
【0015】ただし、上記式[I-a]において、R1は、
二価の炭化水素基、好ましくは炭素原子数4〜18のア
ルキレン基を表わす。この特定のジカルボン酸成分単位
[a]は、全部が上記[I-a]で表される成分単位であ
る必要はなく、上記のようなテレフタル酸成分単位(a-
1)の一部が他のジカルボン酸成分単位であってもよい。
【0016】このテレフタル酸成分以外の他のカルボン
酸成分単位としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカル
ボン酸成分単位(a-2)と脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-
3)とが挙げられる。
【0017】テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位(a-2)の例としては、イソフタル酸成分単位、2-
メチルテレフタル酸成分単位およびナフタレンジカルボ
ン酸成分単位を挙げることができ、このような成分単位
としては、特にイソフタル酸成分単位が好ましい。
【0018】このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(a-2)のうち、本発明において特に好
ましいイソフタル酸成分単位を有する繰返し単位は、次
式[I-b]で表わすことができる。
【0019】
【化4】
【0020】ただし、上記式[I-b]において、R1は二
価の炭化水素基、好ましくは炭素原子数4〜18のアル
キレン基を表わす。脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)
は、通常は炭素原子数4〜20、好ましくは6〜12の
アルキレン基を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導され
る。このような脂肪族ジカルボン酸成分単位(a-3)を誘
導するために用いられる脂肪族ジカルボン酸の例として
は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシ
ン酸を挙げることができる。
【0021】このような脂肪族ジカルボン酸成分単位と
しては、特にアジピン酸成分単位およびセバシン酸成分
単位が好ましい。 ジカルボン酸成分単位[a]を構成
する他のジカルボン酸成分単位として、脂肪族ジカルボ
ン酸成分単位(a-3)を有する繰返し単位は、次式[II-
a]で表わすことができる。
【0022】
【化5】
【0023】ただし、上記式[II-a]において、R
1は、上記と同じ意味であり、nは通常2〜18、好ま
しくは4〜10の整数を表わす。本発明で使用されるポ
リアミドを構成する繰返し単位は、上述のようにジカル
ボン酸成分単位[a]とジアミン成分単位[b]とから
形成されている。
【0024】ここでジアミン成分単位[b]は、炭素原
子数4〜18の脂肪族アルキレンジアミンおよび/また
は脂環族ジアミンから誘導することができる。このよう
な脂肪族アルキレンジアミンの具体的な例としては、1,
4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、トリメチル
-1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-
ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミ
ノデカン、1,11-ジアミノウンデカンおよび1,12-ジアミ
ノドデカンを挙げることができる。また、脂環族ジアミ
ンの具体的な例としては、ジアミノシクロヘキサンを挙
げることができる。
【0025】特に本発明においてジアミン成分単位とし
ては、直鎖脂肪族アルキレンジアミンから誘導された成
分単位が好ましく、これらの中でも、1,6-ジアミノヘキ
サン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、
1,12-ジアミノドデカンおよびこれらの混合物などから
誘導された成分単位が好ましい。さらに、これらの中で
も、1,6-ジアミノヘキサンから誘導された成分単位が特
に好ましい。
【0026】本発明で使用される芳香族ポリアミド
[I]を構成する全ジカルボン酸成分単位(100モル
%)中におけるテレフタル酸成分単位(a-1) の含有率は
50〜100モル%、好ましくは50〜80モル%、さ
らに好ましくは50〜70モル%であり、テレフタル酸
以外の芳香族ジカルボン酸成分単位(a-2) の含有率は0
〜50モル%、好ましくは0〜40モル%、さらに好ま
しくは0〜20モル%であり、そして、脂肪族ジカルボ
ン酸成分単位(a-3) の含有率は0〜50モル%、好まし
くは10〜50モル%、さらに好ましくは20〜50モ
ル%、特に好ましくは30〜50モル%である。
【0027】なお上記ポリアミドは、ジカルボン酸成分
単位として、上記の主成分単位であるテレフタル酸成分
単位、さらにイソフタル酸成分単位に代表されるテレフ
タル酸以外の二価の芳香族カルボン酸から誘導される成
分単位および上述の脂肪族ジカルボン酸成分単位を有す
る繰返し単位の外に、少量のトリメリット酸あるいはピ
ロメリット酸のような三塩基性以上の多価カルボン酸か
ら誘導される成分単位を含有していてもよい。芳香族ポ
リアミド[I]中に、このような多価カルボン酸から誘
導される成分単位は、通常は0〜5モル%含有されてい
る。
【0028】さらに芳香族ポリアミド[I]は、前記式
[I-a]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とす
る芳香族ポリアミドと、前記式[I-b]表わされる繰返
し単位を主な繰返し単位とする芳香族ポリアミドとから
なる混合物であってもよい。この場合、式[I-a]で表
わされる繰返し単位を主な繰返し単位とする芳香族ポリ
アミドの含有率は、通常は50重量%以上、好ましくは
55重量%以上である。
【0029】本発明で使用される芳香族ポリアミド
[I]は、濃硫酸中30℃の温度で測定した極限粘度
[η]が、通常は0.5〜3.0dl/g、好ましくは0.
5〜2.8dl/g、特に好ましくは0.6〜2.5dl/g
である。本発明で使用される芳香族ポリアミドのアミノ
基含有量(メタクレゾール溶液中でパラトルエンスルホ
ン酸を用いて中和滴定により測定した値)は、通常は
0.04〜0.2ミリ当量/g、好ましくは0.045〜
0.15ミリ当量/g、特に好ましくは0.5〜0.1ミ
リ当量/gである。
【0030】上記のような組成を有する芳香族ポリアミ
ド[I]は、従来から使用されている脂肪族ポリアミド
よりも高い融点を示す。すなわち本発明で使用される芳
香族ポリアミド[I]は300℃を超える融点を有して
おり、この融点が好ましくは305〜340℃、さらに
好ましくは310〜330℃である芳香族ポリアミドが
特に優れた耐熱性を有している。さらに芳香族ポリアミ
ド[I]の非晶部におけるガラス転移温度は通常は80
℃以上である。
【0031】この芳香族ポリアミドは、特定の構造を有
するため、従来の脂肪族ポリアミドの問題点とされてい
た吸水性に関しても低い値を示す。[II] グラフト変性物 本発明で用いられる[II]グラフト変性物は、[A]環
状オレフィン樹脂と、[B]エラストマーと、[C]結
晶性ポリオレフィンとの混合物(組成物)に、[D]グ
ラフトモノマーをグラフト重合してなる。
【0032】本発明で用いられる環状オレフィン樹脂
[A]としては、[A-1]エチレンと下記式[I]で表
される環状オレフィンとの共重合体であるエチレン・環
状オレフィンランダム共重合体、[A-2]下記式[I]
で表される環状オレフィンの開環重合体または開環共重
合体、または[A-3]下記式[I]で表される環状オレ
フィンの開環重合体または開環共重合体[A-2]の水添
物が挙げられる。
【0033】環状オレフィン
【0034】
【化6】
【0035】ただし上記式[I]において、nは0また
は1であり、mは0または正の整数であり、qは0また
は1である。なおqが1の場合には、Ra およびR
b は、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基で
あり、qが0の場合には、それぞれの結合手が結合して
5員環を形成する。
【0036】上記式[I]において、R1 〜R18ならび
にRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、ハロ
ゲン原子または炭化水素基である。ここでハロゲン原子
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
である。
【0037】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基が挙げられる。より具体
的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基
が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられる。
【0038】上記のようなアルキル基またはシクロアル
キル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。さら
に上記式[I]において、R15とR16とが、R17とR18
とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18
が、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに
共同して)、単環または多環を形成していてもよく、し
かもこのようにして形成された単環または多環は二重結
合を有していてもよい。
【0039】上記の式[I]で表される環状オレフィン
としては、具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-
エン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3- デセン誘導
体、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3- ウンデセン誘導体、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3- ドデセン誘導
体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3- ペン
タデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.0
9,13]-4- ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.
12,3.19,12.08,13]-3- ヘキサデセン誘導体、ペンタシ
クロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4- ヘキサデセン誘導
体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ヘキサシク
ロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4- ヘプタデンセ
ン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.0
2,7.011,16 ]-4- エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-
エイコセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.
111,18.113,16.03,8.012,17]-5- ヘンエイコセン誘導
体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012,17]-5- ドコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.
1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]-5-
ペンタコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.1
14,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]-5-ヘキサコ
セン誘導体などが挙げられる。
【0040】以下に上記のような式[I]で表される環
状オレフィンの具体的な例を示す。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】上記のような一般式[I]で表される環状
オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有
するオレフィン類とを、ディールス・アルダー反応させ
ることによって製造することができる。
【0057】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。[A-1]エチレン・環状オレフィンランダム共重合体 本発明で用いられるエチレン・環状オレフィンランダム
共重合体は、通常、エチレンから誘導される構成単位を
通常40〜85モル%、好ましくは50〜75モル%の
量で、上記のような環状オレフィンから誘導される構成
単位を15〜60モル%、好ましくは25〜50モル%
の量で含有している。
【0058】本発明で用いられるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範
囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導さ
れる構成単位を含有していてもよい。
【0059】このような他のモノマーとしては、上記の
ようなエチレンまたは一般式[I]で表される環状オレ
フィン以外のオレフィンが挙げられ、具体的に、プロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1
-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテ
ン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-
ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エ
チル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、
1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセ
ン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数3〜2
0のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、
シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチ
ルシクロヘキセン、2-(2- メチルブチル)-1-シクロヘキ
セン、シクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-
メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン、2-ノルボ
ルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボ
ルネン、5-イソプロピル-2-ノルボルネン、5-n-ブチル-
2-ノルボルネン、5-イソブチル-2-ノルボルネン、5,6-
ジメチル-2-ノルボルネン、5-クロロ-2-ノルボルネン、
5-フルオロ-2-ノルボルネンなどのノルボルネン類、1,4
-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル
-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペン
タジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-
ノルボルネンなどの非共役ジエン類が挙げられる。
【0060】これらの他のモノマーは、単独であるいは
2種以上組み合わせて用いることができる。エチレン・
環状オレフィンランダム共重合体において、上記のよう
な他のモノマーから誘導される構成単位は、通常、20
モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有され
ていてもよい。
【0061】このエチレン・環状オレフィンランダム共
重合体では、上記のようなエチレンおよび環状オレフィ
ンそれぞれの単量体から誘導される構成単位が、ランダ
ムに配列して結合し、実質的にゲル状架橋重合体を含有
せず、分岐構造を有していてもよい実質的に線状構造を
有している。この共重合体が実質的に線状構造を有して
いることは、該共重合体が有機溶媒に溶解し、不溶分を
含まないことにより確認することができる。たとえば極
限粘度[η]を測定する際に、該共重合体が135℃の
デカリンに完全に溶解することにより確認することがで
きる。
【0062】本発明で用いられるエチレン・環状オレフ
ィンランダム共重合体[A-1]において、上記環状オレ
フィンから誘導される構成単位は、実質的に下記構造式
[II]で示される。
【0063】
【化22】
【0064】ただし上記式[II]において、n、m、
q、R1 〜R18ならびにRa 、Rb は式[I]と同じ意
味である。上記のようなエチレン・環状オレフィンラン
ダム共重合体[A-1]は、エチレンと式[I]で表され
る環状オレフィンとさらに必要に応じて他の共重合可能
なモノマーとを、炭化水素溶媒中で共重合させることに
より製造される。この際、該炭化水素溶媒に可溶性のバ
ナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成
される触媒あるいはメタロセン触媒を用いることが好ま
しい。
【0065】なお上記のような触媒を用いてエチレン・
環状オレフィンランダム共重合体を製造する方法は、本
出願人が提案した特開昭60−168708号公報、特
開昭61−120816号公報、特開昭61−1159
12号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭
61−271308号公報、特開昭61−272216
号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62
−252407号公報などに詳細が記載されている。
【0066】[A-2]環状オレフィンの開環重合体また
は開環共重合体 本発明で用いられる環状オレフィンの開環重合体または
開環共重合体は、上記式[I]で表される環状オレフィ
ンから誘導される構成単位からなり、該構成単位は、実
質的に下記式[III]で表される。
【0067】
【化23】
【0068】ただし上記式[III]において、n、m、
q、R1 〜R18ならびにRa 、Rbは式[I]と同じ意
味である。本発明で用いられる環状オレフィンの開環重
合体または開環共重合体は、サーマル・メカニカルアナ
ライザーで測定した軟化温度(TMA)が通常70℃以
上、好ましくは70〜300℃、さらに好ましくは90
〜250℃であり、ガラス転移点(Tg)が通常50〜
250℃、好ましくは70〜230℃である。
【0069】このような開環重合体または開環共重合体
は、前記式[I]で表される環状オレフィンを開環重合
触媒の存在下に、開環重合または開環共重合させること
により製造することができる。
【0070】このような開環重合触媒としては、ルテニ
ウム、ロジウム、オスミウム、インジウム、白金、モリ
ブテンおよびタングステンから選ばれる金属のハロゲン
化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、アルコ
ール類またはスズ化合物などの還元剤とからなる触媒、
あるいはチタン、バナジウム、ジルコニウム、タングス
テンおよびモリブテンから選ばれる金属のハロゲン化物
またはアセチルアセトン化合物と、アルミニウム化合物
とからなる触媒を用いることができる。
【0071】なお本発明で用いられる環状オレフィンの
開環重合体または開環共重合体[A-2]は、本発明の目
的を損なわない範囲で式[I]で表される環状オレフィ
ン以外の他の環状オレフィンから誘導される構成単位を
含有していてもよい。
【0072】このような他の環状オレフィンとしては、
炭素数4以上の単核式環状オレフィンが挙げられ、具体
的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテ
ン、シクロノネン、メチルシクロペンテン、メチルシク
ロヘプテン、メチルシクロオクテン、メチルシクロノネ
ン、メチルシクロデセン、エチルシクロペンテン、エチ
ルシクロヘプテン、エチルシクロオクテン、エチルシク
ロノネン、ジメチルシクロヘプテン、ジメチルシクロオ
クテン、ジメチルシクロノネン、ジメチルシクロデセ
ン、ジメチルシクロオクタデセン、シクロデカジエンな
どが挙げられる。
【0073】[A-3]開環重合体または開環共重合体の
水添物 本発明で用いられる水添物[A-3]は、上記のような開
環重合体または開環共重合体[A-2]の主鎖中に存在す
る二重結合が、通常50%以上、好ましくは80%以
上、さらに好ましくは90%以上の割合で水素添加され
ている。
【0074】本発明で用いられる開環重合体または開環
共重合体の水添物[A-3]において、式[I]で表され
る環状オレフィンから誘導される構成単位は、実質的に
下記式[IV]で表される。
【0075】
【化24】
【0076】ただし上記式[IV]において、n、m、
q、R1 〜R18ならびにRa 、Rb は式[I]と同じ意
味である。本発明で用いられる環状オレフィンの開環重
合体または開環共重合体の水添物[A-3]は、サーマル
・メカニカルアナライザーで測定した軟化温度(TM
A)が通常70℃以上、好ましくは70〜300℃、さ
らに好ましくは90〜250℃であり、ガラス転移点
(Tg)が通常50〜250℃、好ましくは70〜23
0℃である。
【0077】このような水添物[A-3]は、上記のよう
な環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体[A-
2]を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素還元さ
せることによって得られる。このような水素添加触媒と
しては、オレフィン系化合物を水素添加する際に一般的
に用いられている不均一触媒または均一触媒などの水素
添加触媒が用いられる。具体的には、不均一触媒として
は、ニッケル、パラジウム、白金などの金属、またはこ
れらの金属をたとえばカーボン、シリカ、ケイソウ土、
アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた固体触媒
が挙げられる。担体型触媒としては、ニッケル/シリ
カ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、パ
ラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウ
ム/アルミナなどが挙げられる。
【0078】均一触媒としては、周期律表第VIII族金属
を基体とする触媒が挙げられる。たとえば、ナフテン酸
コバルト/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバル
ト/n-ブチルリチウムまたはニッケルアセチルアセトネ
ート/トリエチルアルミニウムなどのニッケル化合物な
どが挙げられる。またコバルト化合物と周期律表第I〜
III 族金属とから形成される有機金属化合物を用いても
よく、さらにロジウム(Rh)化合物を用いてもよい。
【0079】上記のような水素添加触媒を用いる水素添
加反応は、触媒の種類に応じて適宜不均一系または均一
系いずれかの系で行なわれる。水素添加反応は、通常1
〜150気圧の水素圧下に、通常0〜180℃、好まし
くは20〜100℃の温度で行なわれる。
【0080】このような反応条件下における水素添加率
は、水素圧、反応温度、反応時間、触媒濃度などの条件
を適宜設定することにより調整される。上記のような環
状オレフィン樹脂[A-1]、[A-2]および[A-3]は、
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通
常0.01〜20dl/g、好ましくは0.05〜10dl
/g、さらに好ましくは0.08〜8dl/gであること
が望ましい。
【0081】また本発明で用いられる環状オレフィン樹
脂[A-1]、[A-2]および[A-3]は、以下のような物
性を有していることが望ましい。密度は、通常0.86
〜1.10g/cm3、好ましくは0.88〜1.08g
/cm3であることが望ましい。
【0082】本発明で用いられる環状オレフィン樹脂の
熱的性質としては、ガラス転移温度(Tg)および軟化
温度(TMA)が高いことが挙げられる。サーマルメカ
ニカル・アナライザーで測定される軟化温度(TMA)
は、通常70℃以上、好ましくは70〜200℃、さら
に好ましくは90〜180℃であることが望ましい。
【0083】ガラス転移点(Tg)は、通常230℃以
下、好ましくは50〜230℃、さらに好ましくは70
〜200℃であることが望ましい。X線回折法によって
測定される結晶化度は、通常0〜20%であって低結晶
性または非晶性であるが、好ましくは0〜7%さらに好
ましくは0〜5%であって、実質的に非晶性であること
が望ましい。したがって示差走査型熱量計(DSC)に
よって融点を測定しても通常観察されないものが多い。
このような環状オレフィン樹脂は、透明性に優れてい
る。
【0084】熱分解温度は、通常350〜420℃、好
ましくは370〜400℃であることが望ましい。また
環状オレフィン樹脂の機械的性質としては、この樹脂自
体の引張り弾性率は、通常1×104〜5×104kg/cm
2 であり、引張り強度が通常300〜1500kg/cm2
であることが望ましい。
【0085】さらに曲げ弾性率は、通常1×104 〜5
×104 kg/cm2 であり、曲げ強度が、通常300〜1
500kg/cm2 であることが望ましい。本発明では、グ
ラフト変性物を調製する際に用いられる環状オレフィン
樹脂[A]として、上記のような[A-1]、[A-2]およ
び[A-3]からなる群から選ばれる樹脂が用いられ、こ
れらは2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0086】[B]エラストマー 本発明で用いられる[B]エラストマーとしては、[B-
1]α−オレフィン共重合体、[B-2]芳香族ビニル化合
物・共役ジエン共重合体および[B-3]上記の[B-2]の
水素化物から選ばれる少なくとも1種が用いられ、これ
らを組合わせて用いることもできる。
【0087】上記のような[B-1]α−オレフィン共重
合体は、異なるα-オレフィンから誘導される構成単位
がランダムに配置された共重合体である。[B-1]α−
オレフィン共重合体は、低結晶性または非晶性の共重合
体であるが、実質的に非晶性であることが好ましい。具
体的に、X線回折法により測定される結晶化度が10%
以下、好ましくは5%以下であり、特に好ましくは0%
である。従ってこの[B-1]α−オレフィン共重合体に
は、明確な融点を示さないものが多い。またこのように
結晶化度が低いため、[B-1]α−オレフィン共重合体
は軟質であり、その引張りモジュラスは、通常、0.1
kg/cm2 〜20000kg/cm2 、好ましくは1kg/cm2
〜15000kg/cm2 である。
【0088】また[B-1]α−オレフィン共重合体は、
メルトインデックス(230℃で測定)が、通常、0.
1〜30g/10分、好ましくは1.0〜20g/10分、
特に好ましくは2.0〜15g/10分であり、GPCに
より測定されるMw/Mnの値が、通常、5.5以下、
好ましくは4.5以下、特に好ましくは3.5以下であ
ることが望ましい。
【0089】ガラス転移温度(Tg)は、通常、−15
0〜+50℃、好ましくは−80〜−20℃であり、1
35℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]は、通
常、0.2〜10dl/g、好ましくは1〜5dl/gであ
ることが望ましい。
【0090】密度は、通常、0.82〜0.96g/c
m3、好ましくは0.84〜0.92g/cm3であることが
望ましい。このような特性を有する[B-1]α−オレフ
ィン共重合体としては、たとえば、(イ)エチレン・α
-オレフィン共重合体ゴム、(ロ)プロピレン・α-オレ
フィン共重合体ゴムが挙げられる。
【0091】上記のエチレン・α-オレフィン共重合体
ゴム(イ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、
炭素数3〜20のα-オレフィン、たとえばプロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物
を挙げることができる。このうち特にプロピレンおよび
/または1-ブテンが好ましい。
【0092】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体ゴム(イ)の具体例としては、エチレン・プロピレ
ン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・
4-メチルペンテン-1共重合体、エチレン・ヘキセン-1共
重合体、エチレン・オクテン-1共重合体およびエチレン
・デセン-1共重合体などの2成分系の共重合体、エチレ
ン・プロピレン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン
・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレ
ン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合
体、エチレン・プロピレン・ 2,5- ノルボルナジエン共
重合体、エチレン・ブテン-1・ジシクロペンタジエン共
重合体、エチレン・ブテン-1・1,4-ヘキサジエン共重合
体、エチレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体などの多成分系の共重合体が挙げられる。
【0093】エチレン・α-オレフィン共重合体(イ)
では、エチレンとα-オレフィンとのモル比(エチレン
/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種類によっても
異なるが、通常、10/90〜99/1、好ましくは5
0/50〜95/5である。上記モル比は、α-オレフ
ィンがプロピレンである場合には、50/50〜90/
10であることが好ましく、α-オレフィンが炭素数4
以上のα-オレフィンである場合には80/20〜95
/5であることが好ましい。
【0094】またプロピレン・α-オレフィン共重合体
ゴム(ロ)を構成するα-オレフィンとしては、通常、
炭素数4〜20のα-オレフィン、たとえば1-ブテン、1
-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オク
テン、1-デセンおよびこれらの混合物を挙げることがで
きる。このうち特に1-ブテンが好ましい。
【0095】このようなプロピレン・α-オレフィン共
重合体ゴム(ロ)の具体例としては、プロピレン・ブテ
ン-1共重合体、プロピレン・4-メチルペンテン-1共重合
体、プロピレン・ヘキセン-1共重合体、プロピレン・オ
クテン-1共重合体、プロピレン・デセン-1共重合体、プ
ロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、プロピレン
・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、プロピレン・
2,5-ノルボルナジエン共重合体などの2成分系の共重合
体、プロピレン・ブテン-1・ジシクロペンタジエン共重
合体、プロピレン・ブテン-1・1,4-ヘキサジエン共重合
体およびプロピレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノル
ボルネン共重合体などの多成分系の共重合体が挙げられ
る。
【0096】プロピレン・α-オレフィン共重合体
(ロ)では、プロピレンとα-オレフィンとのモル比
(プロピレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種
類によっても異なるが、一般には50/50〜95/5
の範囲内にある。さらに、上記モル比は、α-オレフィ
ンが1-ブテンである場合には、50/50〜90/10
であることが好ましく、α-オレフィンが炭素数5以上
である場合には80/20〜95/5であることが好ま
しい。
【0097】なお本発明で用いられるα−オレフィン共
重合体[B-1]は、その特性を損なわない範囲内で、α
−オレフィンと共重合しうる他のモノマーから誘導され
る構成単位を含有していてもよい。
【0098】このような他のモノマーとしては、具体的
に、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-
1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエンおよび7
-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン、シ
クロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテト
ラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデ
ン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イ
ソプロピリデン-2-ノルボルネンおよび6-クロロメチル-
5-イソプロペニル-2-ノルボルネンなどの環状非共役ジ
エン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エ
チリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-
プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどのジエンが挙げ
られる。α-オレフィン共重合体[B-1]は、上記のよう
なジエンから誘導される構成単位を、10モル%以下、
好ましくは5モル%以下の量で含有していてもよい。
【0099】本発明では、上記のようなエチレン・α-
オレフィン共重合体ゴム(イ)とプロピレン・α-オレ
フィン共重合体ゴム(ロ)とを組み合わせて用いること
もできる。
【0100】本発明で用いられる芳香族ビニル化合物・
共役ジエン共重合体[B-2]は、芳香族ビニル化合物と
共役ジエン系化合物とのランダムあるいはブロック共重
合体である。
【0101】また芳香族ビニル化合物・共役ジエン共重
合体の水素化物[B-3]は、芳香族ビニル化合物と共役
ジエン系化合物とのブロック共重合体中に残存する二重
結合の一部または全部が水素化されたものが挙げられ
る。
【0102】このような芳香族ビニル化合物・共役ジエ
ン共重合体[B-2]またはその水素化物[B-3]として
は、具体的に、スチレン・ブタジエンブロック共重合体
ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合
体ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体ゴム、
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴ
ム、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック
共重合体(SEBS)、水素添加スチレン・イソプレン
・スチレンブロック共重合体ゴムおよびスチレン・ブタ
ジエンランダム共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0103】このような芳香族ビニル化合物・共役ジエ
ン共重合体[B-2]またはその水素化物[B-3]におい
て、芳香族ビニル化合物から誘導される構成単位と共役
ジエンから誘導される構成単位とのモル比(芳香族ビニ
ル化合物/共役ジエン)は、通常、10/90〜70/
30であることが望ましい。
【0104】この芳香族ビニル化合物・共役ジエン共重
合体[B-2]またはその水素化物[B-3]は、135℃の
デカリン中で測定される極限粘度[η]が、通常、0.
01〜10dl/g、好ましくは0.08〜7dl/gであ
り、ガラス転移温度(Tg)が、通常0℃以下、好まし
くは−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下であ
る。またX線回折法により測定される結晶化度は、0〜
10%、好ましくは07%、特に好ましくは0〜5%で
ある。
【0105】本発明では、エラストマー[B]として、
上記のようなα−オレフィン共重合体[B-1]、芳香族
ビニル化合物・共役ジエン共重合体[B-2]およびその
水素化物[B-3]は、組み合わせて用いてもよい。
【0106】本発明では、エラストマー[B]としてこ
れらのうちでもSEBSが好ましく用いられる。[C]結晶性ポリオレフィン 本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン[C]は、結
晶性を有しており、X線回折法により測定される結晶化
度は通常は20%以上、好ましくは30〜80%であ
る。
【0107】この結晶性ポリオレフイン[C]は、13
5℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、通
常、0.1〜30dl/g、好ましくは1〜20dl/g、
特に好ましくは1.5〜15dl/gである。
【0108】本発明では、結晶性ポリオレフィン[C]
として、引張弾性率が、通常2000kg/cm2を超える
ポリオレフィン、好ましくは3000〜30000kg/
cm2であるポリオレフィンが用いられる。
【0109】このような結晶性ポリオレフィン[C]と
しては、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重
合体またはα-オレフィンの共重合体が挙げられる。具
体的にたとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、線状
低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度線状ポリ
エチレン(VLDPE)、ポリブテン-1、ポリ3-メチル
ブテン-1およびポリ4-メチルペンテン-1などが挙げられ
る。
【0110】[D]グラフトモノマー 本発明でグラフト変性物[II]を調製する際に用いられ
る[D]グラフトモノマーとしては、不飽和カルボン酸
またはその誘導体が挙げられる。
【0111】このような不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テト
ラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エン
ドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-ジカルボン
酸(ナジック酸TM)およびメチル-エンドシス-ビシクロ
[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,5-ジカルボン酸(メチルナジ
ック酸TM)などが挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体
としては、上記の不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物
(塩化マレイルなど)、イミド化合物(マレイミドな
ど)、エステル化合物(マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど)、酸無水物
(無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸
および無水メチルナジック酸)などが挙げられる。
【0112】上記のようなグラフトモノマーは、組み合
わせて用いることもできる。これらのうち、不飽和カル
ボン酸無水物、特に、無水マレイン酸、無水ナジック酸
が好ましく用いられる。
【0113】[II]グラフト変性 本発明で用いられる[II]グラフト変性物は、上記のよ
うな[A]環状オレフィン樹脂と[B]エラストマーと
[C]結晶性ポリオレフィンとの混合物(組成物)に、
[D]グラフトモノマーをグラフト重合(反応)させる
ことにより得られる。
【0114】[A]環状オレフィン樹脂と[B]エラス
トマーと[C]結晶性ポリオレフィンと[D]グラフト
モノマーとの混合物に、グラフトモノマーをグラフト重
合させるグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で
行われる。
【0115】[A]環状オレフィン樹脂と[B]エラス
トマーと[C]結晶性ポリオレフィンとの混合物に
[D]グラフトモノマーを重合させるには、[A]環状
オレフィン樹脂と[B]エラストマーと[C]結晶性ポ
リオレフィンとをともに溶媒に懸濁または溶解させて、
[A]と[B]と[C]との混合物の懸濁液または溶液
を調製し、この懸濁液または溶液に[D]グラフトモノ
マーを添加してグラフト反応させる方法(溶液法)、あ
るいは[A]環状オレフィン樹脂と[B]エラストマー
と[C]結晶性ポリオレフィンとの混合物を溶融させた
状態で[D]グラフトモノマーをグラフト反応させる方
法(溶融法)などが挙げられる。
【0116】これらのうち、溶融法によって、成分
[A]、[B]、[C]および[D]を、180〜28
0℃、好ましくは200〜240℃の温度で溶融混練す
ることが好ましい。
【0117】溶融混練は、一般的に樹脂を溶融混練する
際に用いられる装置たとえば一軸押出機、二軸押出機、
ニーダー、バンバリーミキサなどを用いて行うことがで
きる。押出機より押出されるグラフト変性物中には、未
反応物が含有されていることがあるので、乾燥装置、ベ
ントタイプの押出機によりベント真空などの方法によっ
て、未反応物を除去することが好ましい。
【0118】本発明において、[II]グラフト変性物を
調製する際には、[A]環状オレフィン樹脂は、30〜
80重量%、好ましくは40〜60重量%、[B]エラ
ストマーは20〜70重量%、好ましくは40〜60重
量部の量で、[C]結晶性ポリオレフィンは、5〜40
重量%、好ましくは20〜40重量%の量で用いられる
ことが好ましい。
【0119】また[D]グラフトモノマーは、その反応
性を考慮して適宜量用いられるが、通常、[A]環状オ
レフィン樹脂、[B]エラストマーおよび[C]結晶性
ポリオレフィンの合計100重量部に対して、通常0.
01〜10重量部好ましくは0.05〜5重量部さらに
好ましくは0.1〜3重量部の量で用いられる。
【0120】上記のようなグラフト反応は、(i)ラジカ
ル開始剤の存在下に行われることが好ましい。このよう
な(i)ラジカル開始剤としては、たとえば有機過酸化物
が挙げられ、具体的に、メチルエチルケトンペルオキシ
ド、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオ
キシド類、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキ
サン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメ
チルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)
オクタン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)
バレラート、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタンな
どのペルオキシケタール類、t-ブチルヒドロペルオキシ
ド、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン
-2,5-ジヒドロペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブ
チルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒド
ロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類、ジ-t-ブ
チルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチル
ペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブ
チルペルオキシ)ヘキシン-3、ジクミルペルオキシド、
t-ブチルクミルペルオキシド、1,4-ビス(t-ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼンなどのジ(アル)アルキ
ルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリ
ルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイ
ルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5-トリ
メチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキ
シド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、m-トルオ
イルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、t-ブ
チルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブ
チレート、t-ブチルペルオキシ-sec-オクトエート、t-
ブチルペルオキシラウリレート、t-ブチルペルオキシフ
ェニルアセテート、t-ブチルペルオキシピバレート、ク
ミルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシジエチ
ルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-t
-ブチルペルオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-
ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペル
オキシマレイックアシッド、t-ブチルペルオキシイソプ
ロピルカーボネート、クミルペルオキシオクテートなど
のペルオキシエステル類などが挙げられる。
【0121】さらに(i)ラジカル開始剤として、アゾビ
スイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートな
どのアゾ化合物を用いることもできる。これらの(i)ラ
ジカル開始剤は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0122】これらのうち、ベンゾイルペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5
-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-
3、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベ
ンゼンなどが好ましく用いられる。
【0123】また本発明では、電離放射線あるいは紫外
線などのエネルギー線をラジカル発生源として用いてグ
ラフト重合を行なうこともできる。さらに上記のように
ラジカル開始剤の存在下に行なわれる反応系に、エネル
ギー線を照射しながらグラフト重合を行なってもよい。
【0124】本発明で用いられる[II]グラフト変性物
では、[A]環状オレフィン樹脂と[B]エラストマー
と[C]結晶性ポリオレフィンとに対するグラフトモノ
マー付加量(変性率)が、通常0.01〜10重量%好
ましくは0.05〜5重量%さらに好ましくは0.1〜
3重量%であることが望ましい。
【0125】また[II]グラフト変性物中に残存する未
反応グラフトモノマー量は、0.5重量%以下であるこ
とが望ましい。このように[A]環状オレフィン樹脂と
[B]エラストマーと[C]結晶性ポリオレフィンと
を、同時に[D]グラフトモノマーによって変性するこ
とによって得られる[II]グラフト変性物は、[A]環
状オレフィン樹脂、[B]エラストマー、[C]結晶性
ポリオレフィンをそれぞれ別々にグラフト変性して得ら
れるグラフト変性物と比べて、未反応グラフトモノマー
の残存率が小さいと考えられる。このように本発明で用
いられる特定の[II]グラフト変性物では、使用された
グラフトモノマーのほとんどが反応してグラフトモノマ
ーの残存量が少ない。
【0126】なお本発明では、上記のような[A]環状
オレフィン樹脂と[B]エラストマーと[C]結晶性ポ
リオレフィンとの混合物(組成物)は、グラフト反応に
供される前に上記のような(i)ラジカル開始剤の存在下
に架橋処理されていてもよい。
【0127】この架橋処理の際には、(i)ラジカル開始
剤は、[A]と[B]と[C]との混合物100重量部
に対して、通常0.01〜1重量部好ましくは0.05
〜0.5重量部の量で用いられることが望ましい。
【0128】さらにグラフト反応前に行われる混合物の
架橋処理は、(ii)分子内にラジカル重合性の官能基を2
個以上有する化合物の共存下に行ってもよい。このよう
な(ii)分子内にラジカル重合性の官能基を2個以上有す
る化合物としては、たとえばジビニルベンゼン、アクリ
ル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、トリアリールイソシ
アヌレート、ジアリルフタレート、エチレンジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレートな
どが挙げられる。
【0129】芳香族ポリアミド樹脂組成物 本発明に係る芳香族ポリアミド樹脂組成物は、上記のよ
うな[I]芳香族ポリアミド樹脂と、[II]上記のよう
なグラフト変性物とからなるか、あるいはこれら[I]
芳香族ポリアミド樹脂と上記のようなグラフト変性物と
に加えて、[III]上述したような未変性[A]環状オ
レフィン樹脂と、[IV]上述したような未変性[B]エ
ラストマーと、[V]上述したような未変性[C]結晶
性ポリオレフィンとからなる群から選ばれる少なくとも
一種の成分とからなっている。
【0130】このような本発明に係る芳香族ポリアミド
樹脂組成物では、成分[I] 、[II]、[III]、[I
V]および[V]の合計を100重量部とするとき、
[I]芳香族ポリアミド樹脂は、60〜90重量部好ま
しくは70〜80重量部さらに好ましくは40〜85重
量部の量で、[II]グラフト変性物は、5〜40重量部
好ましくは10〜30重量部の量で、[III]未変性
[A]環状オレフィン樹脂は、0〜40重量部好ましく
は0〜20重量部の量で、[IV]未変性[B]エラスト
マーは、0〜20重量部好ましくは5〜15重量部の量
で、[V]未変性[C]結晶性ポリオレフィンは、0〜
20重量部好ましくは2〜10重量部の量で含有されて
いる。
【0131】このような本発明に係る芳香族ポリアミド
樹脂組成物は、剛性に優れるとともに靱性にも優れてい
る。本発明に係る芳香族ポリアミド樹脂組成物は、上記
のような各成分を機械的に一括混合した後、たとえば二
軸押出機などの溶融混練装置により上記混合物を加熱し
て溶融状態にして混練する方法、あるいは成分[I]を
除く上記のような各成分を機械的に混合した後、たとえ
ば二軸押出機などの溶融混練装置により該混合物を加熱
して溶融状態にし、溶融状態にある該混練物に、成分
[I]を添加して混練する方法などにより適宜製造する
ことができる。
【0132】この際、上記各成分中最も高い融点を有す
る樹脂、通常は[I]芳香族ポリアミドの融点以上で混
練されることが好ましい。本発明に係る芳香族ポリアミ
ド樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上
記のような各成分とともに、無機充填剤、有機充填剤、
熱安定剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、スリップ防止
剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染
料、天然油、合成油およびワックスなどの添加剤を含有
していてもよく、これらの添加剤、充填剤は常法に従っ
て任意の段階で添加することができる。
【0133】
【発明の効果】本発明に係る芳香族ポリアミド樹脂組成
物は、従来の芳香族ポリアミド樹脂と比較して特に靱性
に優れている。
【0134】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0135】なお以下の実施例においては、下記の芳香
族ポリアミド[I]を用いた。1,6-ジアミノヘキサン、
テレフタル酸、アジピン酸(テレフタル酸とアジピン酸
のモル比は45:55)からなる芳香族ポリアミド:極
限粘度(30℃濃硫酸中で測定)は1.10dl/gであ
る。
【0136】
【製造例1】グラフト変性物([II]-1)の調製 エチレン含量63モル%、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]が0.6dl/g、TMAが150℃で
ある、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.1 7,10]ド
デセン-3(以下、「TCD−3」と略記することもあ
る)とのランダム共重合体(A−1)を57重量部と、
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体を水
素添加することにより得られる水素化スチレン・ブタジ
エン・スチレンブロックコポリマー(SEBS)(スチ
レン含量30重量%、旭化成工業(株)製:商品名タフ
テックH1041)(B−1)を28重量部と、メルト
フローレート(MFR;荷重2.16kg、温度190
℃)が、0.03g/10分のポリエチレン(C−1)を
15重量部と、これら樹脂成分の合計100重量部に対
して1.2重量部の無水マレイン酸を0.72重量部の
アセトンに溶解した溶液および0.24重量部の2,5-ジ
メチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3
(日本油脂(株)製、パーヘキシン25B)を加えてヘ
ンシェルミキサーにて充分に混合した後、二軸押出機
(プラスチツク工学研究所製、BT−40)によりシリ
ンダー温度230℃で溶融下に反応を行い、ペレタイザ
ーを用いてペレット化してグラフト変性物([II]-1)
を得た。
【0137】得られたグラフト変性物([II]-1)の無
水マレイン酸付加量(変性率)は、1.1重量%であっ
た。またこのグラフト変性物([II]-1)中に残存する
未反応無水マレイン酸は、0.05重量%であった。
【0138】
【製造例2】グラフト変性物([II]-2)の調製 製造例1において、環状ポリオレフィンランダム共重合
体(A−1)を40重量部と、SEBS(B−1)を4
0重量部と、結晶性ポリオレフィン(C−1)を20重
量部とを混合した以外は、製造例1と同様にしてグラフ
ト変性物([II]-2)を得た。
【0139】得られたグラフト変性物([II]-2)の無
水マレイン酸付加量(変性率)は、1.1重量%であっ
た。またこのグラフト変性物([II]-2)中に残存する
未反応無水マレイン酸は、0.05重量%であった。
【0140】
【実施例1】製造例1で得られたグラフト変性物([I
I]-1)35重量部と、芳香族ポリアミド[I]65重
量部とを、上記押出機を用いて310℃で混練し、ペレ
タイザーを用いてペレット化した。
【0141】上記のようにして得られた樹脂組成物を用
いて射出成形試験片を調製し、この試験片について、以
下の項目を測定した。結果を表1に示す。 曲げ弾性率(FM):ASTM−D−790により測定
した。
【0142】引張強度(TS):ASTM−D−638
により測定した。 破断点伸度(EL):ASTM−D−638により測定
した。 アイゾット衝撃強度(IZ):ASTM−D−256、
測定温度23℃、ノッチ有りにより測定した。
【0143】
【実施例2】製造例2で得られた、グラフト変性物
([II]-2)25重量部と、芳香族ポリアミド[I]7
5重量部とを、上記押出機を用いて310℃で混練し、
ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0144】この樹脂組成物を実施例1と同様に評価し
た。結果を表1に示す。
【0145】
【比較例1】変性物の製造 製造例1で用いた環状オレフィンランダム共重合体(A
−1)、水素化スチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
クコポリマー(B−1)、ポリエチレン(C−1)それ
ぞれ100重量部に対して、無水マレイン酸を(A−
1)には1.0重量部、(B−1)には2.0重量部、
(C−1)には1.0重量部添加して、別々に変性した
以外は実施例1と同様にして、変性環状オレフィンラン
ダム共重合体、変性SEBS、および変性ポリエチレン
を製造した。
【0146】これら各変性物の無水マレイン酸付加量
(変性率)は、変性環状オレフィンランダム共重合体で
は0.65重量%、変性SEBSでは1.8重量%、変
性ポリエチレンでは0.95重量%であった。
【0147】次いで、上記のようにして得られた変性環
状オレフィンランダム共重合体20重量部、変性SEB
S 10重量部、変性ポリエチレン5重量部および芳香
族ポリアミド[I]65重量部とを、上記押出機を用い
て310℃で混練し、ペレタイザーを用いてペレット化
した。
【0148】この樹脂組成物を実施例1と同様に評価し
た。結果を表1に示す。
【0149】
【比較例2】比較例1で製造した変性環状オレフィンラ
ンダム共重合体10重量部、変性SEBS 10重量
部、変性ポリエチレン5重量部、芳香族ポリアミド
[I]75重量部とを、上記押出機を用いて310℃で
混練し、ペレタイザーを用いてペレット化した。
【0150】この樹脂組成物を実施例1と同様に評価し
た。結果を表1に示す。
【0151】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 網 本 良 勝 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[I]芳香族ポリアミド樹脂:60〜90
    重量部、 [II][A]下記[A-1]、[A-2]および[A-3]から
    なる群から選ばれる環状オレフィン樹脂と、 [B][B-1]α−オレフィン共重合体、 [B-2]芳香族ビニル化合物・共役ジエン共重合体およ
    び [B-3]上記の[B-2]の水素化物から選ばれる少なくと
    も1種のエラストマーと、 [C]結晶性ポリオレフィンとの混合物に、 [D]グラフトモノマーをグラフト重合してなるグラフ
    ト変性物:5〜40重量部、 [III]上記の[A]エチレン・環状オレフィンランダ
    ム共重合体:0〜40重量部、 [IV]上記の[B]エラストマー:0〜20重量部、お
    よび [V]上記の[C]結晶性オレフィン:0〜20重量部
    (ただしこれら成分[I] 、[II]、[III]、[I
    V]および[V]の合計を100重量部とする。)から
    なることを特徴とする芳香族ポリミド樹脂組成物; [A-1]エチレンと下記一般式[I]で表される環状オ
    レフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレ
    フィンランダム共重合体、 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、qは0または1であり、R1 〜R18ならびにR
    a およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン
    原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子また
    は基を表し、R15〜R18は、互いに結合して単環または
    多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二
    重結合を有していてもよく、またR15〜R16とで、また
    はR17とR 18とでアルキリデン基を形成していてもよ
    い。)、 [A-2]上記式[I]で表される環状オレフィンの開環
    重合体または開環共重合体、および [A-3]上記式[I]で表される環状オレフィンの開環
    重合体または開環共重合体[A-2]の水添物。
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