JPH0713163A - 光変調素子の製造方法 - Google Patents

光変調素子の製造方法

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JPH0713163A
JPH0713163A JP17231893A JP17231893A JPH0713163A JP H0713163 A JPH0713163 A JP H0713163A JP 17231893 A JP17231893 A JP 17231893A JP 17231893 A JP17231893 A JP 17231893A JP H0713163 A JPH0713163 A JP H0713163A
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JP17231893A
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Nobue Kataoka
延江 片岡
Akio Yasuda
章夫 安田
Keiichi Nito
敬一 仁藤
Eriko Matsui
恵理子 松居
Hidehiko Takanashi
英彦 高梨
Fumitomo Hide
史朝 秀
Eiho You
映保 楊
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一方の配向膜22の形成時に、ウォブリング方
向又はこれと直交する方向に対して実質的に22.5度の角
度δをなす方向90に配向処理を行い、かつ、前記一方の
配向膜22と対向する他方の配向膜23の配向処理方向90’
を前記一方の配向膜の配向処理方向に対して、前記ウォ
ブリング方向の軸又はこれと直交する軸に関し鏡像関係
をなすようにした、光変調素子3の製造方法。 【効果】 配向処理方向は常に再現性よく実現でき、同
方向に液晶を容易かつ確実に配向させることができるた
め、ウォブリングに必要なスイッチング状態を確実に実
現でき、高解像度化を効果的に達成でき、また、素子環
境温度に対する依存性も軽減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子に好適な光変調素
子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。ま
た、垂直方向の画素分解能が走査線数だけ実装できない
場合、走査線の情報を欠落するか、あるいは同一画素上
に上書きするために、輝度信号等の位置分解能(即ち、
ディスプレイの解像度)を低下させていた。
【0003】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic)の液晶
ビューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フ
レーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。現
状のTFTビューファインダーは、NTSC方式の走査
線数 525本を実装できないため、奇数フィールドと偶数
フィールドを同一画素に書き込む等の方法をとってい
る。このため、垂直分解能がNTSC方式の原理よりも
低下しているのが現状である。
【0004】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0005】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画像
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分解能を低下させていた。
【0006】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離散
的画素からなるディスプレイや、離散的受光画素からな
る固体撮像素子等に対して高速のウォブリング(絵素ず
らし)を可能にし、高解像度化を効果的に達成できる光
変調素子を確実に製造できる方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、光学的
に透明な電極と配向膜とをこの順に設けた光学的に透明
な基体の複数個が前記電極及び前記配向膜の側で互いに
所定の間隙を隔てて対向配置され、前記間隙内に液晶が
注入されており、光学的に透明な複屈折媒体と組み合わ
されることによって、入射光の光軸を所定方向にずらす
ためのウォブリングを行うのに用いられる光変調素子を
製造するに際し、一方の配向膜の形成時に、ウォブリン
グ方向又はこれと直交する方向に対して実質的に(即
ち、丁度22.5度は勿論、後記の許容範囲内であればよ
く、同等の効果を生じる値であればよいという意味であ
る。)22.5度の角度(この角度の許容範囲は22.5度±5
度とするのが好ましい。)をなす方向に配向処理を行
い、かつ、前記一方の配向膜と対向する他方の配向膜の
配向処理方向を前記一方の配向膜の配向処理方向に対し
て、前記ウォブリング方向の軸又はこれと直交する軸に
関し鏡像関係をなすようにした、光変調素子の製造方法
に係るものである。
【0009】本発明の方法においては、互いに対向した
配向膜の配向処理方向を互いに反平行又は平行とするこ
と、そして、無機系蒸着膜、有機系蒸着膜又は有機系ラ
ビング膜によって配向膜を形成することができる。
【0010】本発明の方法は、上記液晶として、カイラ
ルスメクチック液晶等、特に、強誘電性液晶(FLC)
と反強誘電性液晶(AFLC)と電傾効果を示すスメク
チック液晶とから選ばれた少なくとも1種の液晶が注入
されているウォブリング用の位相変調光学素子を製造す
るのに好適である。
【0011】特に、互いに対向する電極の少なくとも一
方をウォブリング方向に分割して設け、高解像度化され
るべき表示素子と観察位置との間の光路中で複屈折媒体
と組み合わせて用いられる位相変調光学素子を製造する
ことが望ましい。
【0012】また、被写体と高解像度化されるべき撮像
素子との間の光路中で偏光板及び複屈折媒体と組み合わ
せて用いられる位相変調光学素子を製造することが望ま
しい。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0014】光変調素子(位相変調光学素子)について まず、本発明の製造方法により製造可能な光変調素子
(位相変調光学素子)を組み込んだ光学装置の例を図18
〜図39について概略的に説明する。
【0015】この例は、本発明を液晶光学表示装置1に
適用したものであって、図14及び図15に示すように、同
一光路中に光の進行方向に沿って順次配置された液晶表
示素子(LCD)2と、位相変調光学素子としての強誘
電性液晶素子(FLC)3と、水晶板等の透明基板から
なる複屈折媒体4との組み合わせによって構成されてい
る。ここで、理解容易のために、各構成素子は、液晶表
示素子LCDの1つの構成表示画素5に対応した区画に
ついてそれぞれ示されている(以下、同様)。
【0016】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0017】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0018】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0019】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、カイラルス
メクチック液晶等が挙げられ、また、複屈折媒体4には
水晶板等が使用可能である。但し、後述するように、F
LCに代えて反強誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果
を示すスメクチック液晶(例えばスメクチックA)も有
効であり、また、水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可
能である。
【0020】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0021】まず、図18のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0022】一方、図19のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0023】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0024】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0025】即ち、図20に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。このコーン角は、以下に示すよう
に温度依存性を示すために、有効なウォブリング効果を
得るために例えば25℃でコーン角45度を得ていても、そ
の環境温度により低温側ではコーン角が大きく、高温側
ではコーン角が小さいという現象がある。
【0026】例えば、下記の表1及び図21に示すよう
に、チッソ石油化学社製のFLC液晶CS−1014を
用いたSiO斜方蒸着配向膜付きの反平行セルでは、25
℃近傍では見かけのコーン角は45度であるが、0℃では
49.6度と大きく、55℃では7度にまで低下している。ま
た、下記の表2及び図22に示すように、メルク社製のF
LC液晶ZLI−3774を用いた同様のセルでは、25
℃で見かけのコーン角は約45度であるが、低温側では−
10℃で54.8度と大きくなる。
【0027】
【0028】
【0029】このように、見かけのコーン角θ、即ちス
イッチング前後での液晶の異常光軸8のなす角が45度か
らずれると、上記した如き理想的な90度の偏光面の回転
は達成できず、種々の問題が生ずる。
【0030】更に、コーン角の効果を検討するため、25
℃でコーン角の大きな液晶としてチッソ石油化学社製の
CS−2003(コーン角60度)、CS−2002(コ
ーン角64度)、CS−2004(コーン角88度)が使用
可能である。これらはいずれも、Iso−N* −SmC
* −Crystを示す組成物である。そして、コーン角65〜
80度の組成物は、CS−2002(コーン角64度)とC
S−2004(コーン角88度)をブレンドすることによ
り調製する。
【0031】なお、コーン角の測定は、2つのスイッチ
状態における液晶ダイレクタのなす角を測定するもので
あり、具体的には、偏光子が直交した偏光顕微鏡下で液
晶セルを観察し、消光位(回転して暗くなる位置)での
ステージの回転角から求めた。
【0032】そこで、本発明者は鋭意努力の結果、次に
述べる光軸の組み合わせが有効であることを見出した。
【0033】素子環境温度のために見かけのコーン角が
45度から外れる(例えば45+γ度:ここでγは45>γ>
−45)場合、ウォブリング動作において、スイッチ状態
の片方の状態での液晶ダイレクタの光軸を理想的に表示
素子側偏光面に平行あるいは直交して合わせると、この
スイッチ状態では透過光の偏光面は変化しない。この場
合には、偏光面が回転していないため、例えば図18のよ
うに、水晶板4の異常光軸10の方向に 100%の光が屈折
し、光軸からのずれを与える。この時、Z軸上の成分は
ほとんどない。
【0034】そして、もう一方のスイッチ状態では45+
γ度となるために、γが正の場合は透過光の偏光面は90
度以上の回転をし、γが負の場合は偏光面は90度まで回
転しない。偏光面が完全に90度回転した時には、図19に
示したようにZ軸上の成分がほぼ 100%となるが、図23
に示したように、偏光面の回転が90度からγの角度ずれ
る場合、偏光成分としてY軸方向の成分も増加してくる
ので、Z軸上以外に、Y方向にずれた成分が含まれるよ
うになる。従って、この場合には、本来高解像度化する
べき画素ずらしの効果が減ぜられてしまう。
【0035】特に、高解像度化の効果を減ずる原因とし
ては、画素ずらし時の漏れ成分によるものであることが
わかった。
【0036】ここで、図24〜図29で液晶のコーン角につ
いて更に説明する。液晶のコーン角が45度でない場合、
図24に示すように、奇数フィールド、偶数フィールド間
での光の漏れ(即ち、クロストーク)が生じる。この結
果、例えば奇数フィールドが白、偶数フィールドが黒の
場合、完全にウォブリングが行われれば、十分なコント
ラストで縞が観察されるが、漏れ成分が存在すると白が
暗くなり、黒が明るくなり、コントラストが低下する。
例えば、本来の表示素子のコントラストが 100:1あれ
ば、フィールド間のクロストークが10%あると、 100%
白レベルは90.1%となり、0%白レベル(黒レベル)は
10.9%となり、90.1:10.9=8.27:1となり、コントラ
ストがかなり低下してしまう。
【0037】即ち、ディスプレイとして実用に耐えるに
はコントラスト8:1以上は必要なため、フィールド間
のクロストークを約10%以下に抑えることが重要となる
(コントラストが保証されてのみ、高解像度化の効果が
確認されるのである)。
【0038】そこで、このクロストーク量を評価するた
めの光学系を図25に示す。この光学システムは、偏光顕
微鏡(ニコン社製のOPTIPHOTO−POL)70、
可視分光光度計(大塚電子株式会社100)71、パーソ
ナルコンピュータとモニタ72から構成される。
【0039】ハロゲン光源73から出た光は偏光子74/F
LC素子7/検光子75を通り、石英ファイバー76を経由
して可視分光器71により分光され、そのスペクトルを得
ることができる。ここで、偏光子74と検光子75は平行に
設置してあり、FLC7により偏光面の回転を受けない
場合は、偏光子74を透過した光は 100%検光子75を透過
し、分光器71に導入される。しかし、FLC分子ダイレ
クタのY軸からのずれをζとし、ζがゼロでない場合、
偏光子74からの光は偏光面の回転を受ける。ζ=45度
で、さらにギャップを調整すると、偏光面を丁度90度回
転できるようになる。その結果、検光子75で透過せず、
透過率0%となる。
【0040】ここで、この液晶ダイレクタをコーン角の
変化に対応させて回転させたときの、偏光面の回転特性
を評価した。即ち、透過率が0%であれば、十分なウォ
ブリングが行え、透過率が例えば10%であれば、入射光
のうちの10%が反対側のフィールド成分に漏れることに
なるわけである。そこで、実際の実験結果を以下に示
す。
【0041】図26、図27はζを変えたときのスペクトル
変化を示している。さらに、最小透過率の波長に対し
て、ζを変えたときの透過率変化を最大透過率を 100%
としてプロットすると図28のようになる。
【0042】ここで、0度以下は0度で鏡像関係を、あ
るいは45度以上は45度で鏡像関係にある。コントラスト
8以上を確保するためには(即ち、透過率が10%以下、
或いは90%以上)、ζが約±10度以下、36度〜54度であ
ることが必要となる。
【0043】さらに、上記の方法でコントラスト40以上
とするには透過率 1.5%以下であることが必要となり、
そのためにはζが約±5度以下、41度〜49度であること
が必要となる。即ち、これを見かけのコーン角で換算す
ると、ウォブリングで高解像度化が可能な範囲はθが26
〜64度、さらに好ましくは36〜54度が必要であることが
判った。これは、図29に示す他の象限でも同様であるこ
とは明らかである。
【0044】そこで、図30に示すように、この画素ずら
し時の解像度の低下を改善するために、上記2つのスイ
ッチ状態のなす角の2等分線16が、表示素子からの光の
偏光面(Y方向、即ちウォブリング方向)あるいは偏光
面に対して直交した線(X方向)に対してなす角δが、
理想的には22.5度の角度をなしていれば良いことがわか
った。
【0045】このように、液晶ダイレクタ8の向きを配
置することにより、図31、図32に示されるように、両方
のスイッチ状態でクロストークを生じるようになるが、
各スイッチ状態でのクロストークは小さく、かつ、その
和は片側だけクロストークが生じる場合よりも平均化さ
れて少なくなるため、高解像度化の効果を減ずることは
ないことがわかった。しかも、このダイレクタの向きの
設定によって、上記した素子環境温度による影響が軽減
され、その温度依存性が小さくなる。
【0046】上記と同様の考え方でδ軸の範囲を考える
と、見かけのコーン角θが26度あるいは64度の場合はδ
=22.5度のみとなるが、見かけのコーン角θが45度の
時、δの範囲はδ=22.5±10度以下が良く、更に好まし
くはδ=22.5±5度以下が必要であることを示してい
る。
【0047】ここで、コーン角θの範囲、さらには、2
スイッチ状態の2等分線が表示素子からの光の偏光面或
いはそれに直交する線とのなす角δは、以下のウォブリ
ングの実験結果から明確となった。
【0048】即ち、片側の軸固定の検討では、θ=26〜
64度の範囲で、ウォブリング効果により高解像度化すべ
き元の液晶表示素子の 240TV本から 370TV本以上へと高
解像度化できた。さらに、θ=36〜54度の範囲で、色付
きの少ない高解像度化ができた。そして、θ=36〜54度
の範囲でδ軸の位置を検討した結果、δ=22.5±10度
で、色付きがほとんどなく、 370本以上へと高解像度化
できることがわかった。さらに、θ=36〜54度、δ=2
2.5±5度の範囲で、フィールド間のクロストークが少
なくなり、フィールド間のコントラスト比が高まるた
め、さらに 400本以上へと高解像度化することが目視に
より確認された。
【0049】なお、ここでの解像度評価は、NTSCの
解像度評価用パターン(ビデオシグナルパターンジェネ
レータ:ソニー社製MTSG−1000)からの信号を
ビデオ入力し、白黒のラインの解像性を観測により判別
した(以下、同様)。
【0050】次に、本発明が適用可能な液晶光学装置を
構成する各素子の具体的な組み合わせ例のスイッチ状態
を図33に示す。ここで組み合わせる液晶表示素子2とし
ては、アクティブマトリックスTN液晶、STN液晶表
示素子、強誘電性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素
子、SH表示素子等、その種類を問わない。ここではそ
の一例として、TN液晶との組み合わせ例を示す。
【0051】図34に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0052】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0053】図35に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0054】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、上記の素子を適用できることが明確である。
【0055】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、無偏光の表示素子にも勿論適用で
きる。
【0056】図36に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0057】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0058】上述した如く、ビデオレートで駆動可能な
カイラルスメクチック液晶をはじめとした位相変調素子
(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あるいは電傾効果を
有するスメクチックA液晶)3を用いたウォブリング素
子7を離散的な画素から構成される液晶、プラズマ、L
ED等のディスプレイと観測者の網膜とを結ぶ光路中に
配置し、ウォブリング(絵素ずらし)を行うことができ
るが、ここで、位相変調素子3としては下記の〔1〕、
複屈折媒体としては下記の〔2〕が挙げられる。
【0059】〔1〕ビデオレートで駆動可能な強誘電性
液晶、反強誘電性液晶あるいは電傾効果を有するスメク
チックA液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つ
の状態が存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常
光軸が26〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素
子で偏光面を回転できるように光学配置した素子。
【0060】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える透明基板であり、具体的には(a)ウォ
ブリング方向に等価的に一軸性の異常光軸の成分を有す
るように配置したもの(b)光が透過する基板対向面が
平行でない基板であり、見かけの異常光軸が両平面に垂
直な平面に平行あるいは垂直である素子。
【0061】次に、素子3の構成要素(セル)の具体的
な作製方法及び動作特性について記述する。
【0062】〔1〕強誘電性液晶スイッチング素子 セルの構成は図37に示す通りである。即ち、透明ガラス
基板20、21上に透明電極(例えば 100Ω/□のITO)
13、14を設け、さらにその上に、液晶配向膜としてSi
Oの斜方蒸着膜22、23を形成した。SiO斜方蒸着膜の
形成方法は、真空蒸着装置内に、SiO蒸着源から鉛直
上に基板を配し、鉛直の線と基板法線のなす角を85度と
して設置した。そして、後述するように本発明の方法に
基いて、SiOを基板温度 170℃で真空蒸着後、 300
℃、1時間の焼成を行った。
【0063】このようにして作製した配向膜付きの基板
を、その配向処理方向が対向面で反平行となるように組
み、そのスペーサとして、目的ギャップ長に応じたガラ
スビーズ(真糸球:直径 0.8〜3.0 μm(触媒化成
製))24を用いた。スペーサは、透明基板の大きさによ
り、小さい面積の場合は周囲を接着するシール材(UV
硬化型の接着材(フォトレック:セキスイ化学(株)
製))25中に例えば 0.3wt%程度分散させることによ
り、基板間のギャップを制御した。基板面積が大きい場
合には、上記真糸球を基板上に平均密度で 100個/mm2
散布したのち、ギャップをとり、セルの周囲に液晶の注
入孔を確保して上記シール材でセル周囲を接着した。
【0064】その後、強誘電性液晶(例えばチッソ
(株)製のCS−1014)を等方相温度あるいはカイ
ラルネマチック相温度の流動性を示す状態で減圧下で注
入した。液晶注入後、徐冷し、注入孔周囲のガラス基板
上の液晶を除去したのち、エポキシ系の接着剤で封止
し、強誘電性液晶素子を作製した。用いる強誘電性液晶
はチッソ(株)製、メルク(株)製、BDH、あるいは
例えば下記の強誘電性液晶化合物又は非カイラル液晶か
らなる組成物でも可能であるが、その制限はなく、ま
た、その相系列の制限も必要とせず、必要なのは使用温
度範囲でカイラルスメクチック液晶相をとることであ
る。
【0065】ここで用いたカイラルスメクチック液晶素
子の液晶層構造は、配向処理方向の組み合せにより、反
平行でブックシェルフ構造、平行でシェブロン構造ある
いは疑似ブックシェルフ構造を有していることがX線構
造解析により明確となった。
【0066】
【化1】
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】
【化4】
【0070】
【化5】
【0071】更に、カイラルスメクチック液晶以外で
も、スイッチングスピードが高速で有れば、例えば、下
記の反強誘電性液晶(AFLC)や電傾効果を示すスメ
クチックA相でも適用可能である。
【0072】<反強誘電性液晶>反強誘電性液晶は、C
handani らにより1988年に見出されたものであって、次
の3点を特徴としている。 (1)反強誘電状態と2つの強誘電状態の3安定状態間
のスイッチングを利用する。 (2)明確なしきい値特性を示し、マルチプレクス駆動
した時のコントラストを高くとれる。 (3)プラスとマイナスのヒステリシスを交互に使い、
内部分極の発生が抑えられるため、焼き付き現象が起こ
りにくい。
【0073】この反強誘電性液晶材料の特徴としては、
強誘電性液晶と異なり、カイラル液晶がその組成物のほ
とんどであるということ(自発分極が大きく、強誘電性
液晶のほぼ10倍)、不斉炭素に関する置換基はCH
3 基、CF3 基、C2 5 基をもつ化合物は容易に反強
誘電性を示し、コア構造が拡張する。例えば、チッソ社
製のCS−4000がある。
【0074】<電傾効果を示すスメクチック液晶>電傾
効果とは、カイラル分子によって構成されるスメクチッ
クA相において、温度を一定としたときに電場によって
配向ベクトルの傾き角が誘起される現象である。スメク
チックA相において、配向ベクトルはスメクチック層の
法線方向を向き、長軸回りに自由回転しているが、層に
沿った電場を印加することによって自由回転が阻害さ
れ、電場方向の分極Pが誘起される。
【0075】分極Pと傾き角θの線形結合をP=kθと
仮定すれば、 P=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε 従って、θ=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε/kのように、
印加電場Eに比例した傾き角が生じる。ここで、ε⊥*
とε⊥0は光学活性物質のラセミ体の誘電率、εO は真
空の誘電率である。このことから、カイラル液晶のラセ
ミ体のそれぞれの誘電率の差が大きいほど、大きな電傾
効果を現す。
【0076】複屈折率による位相差の調節:FLC素子
に用いた強誘電性液晶の複屈折率、相転移温度を下記の
表3に示す。
【0077】
【0078】上述したウォブリング動作にとって、液晶
の偏光面を90度回転させるためには位相を 180度ずらせ
ば良い。複屈折率(ne −no )、セルギャップdと位
相差δの間には以下の関係がある。 δ=2πd(ne −no )/λ
【0079】ここで、δ=πとすればよい。このために
は、セルギャップdを d=λ/2(ne −no ) とすれば良いことになる。しかし実際には、液晶分子の
基板とのなす角α(プレチルト角)は0度でないため
に、ne は小さくなり、ギャップ長dをさらに長くとら
なければならない。
【0080】ここで、常光no は入射角に依存せず、液
晶分子短軸方向の屈折率n⊥に等しい。即ち、no =n
⊥である。
【0081】具体的にはne はプレチルト角αの関数で
あり、
【数1】
【0082】dは次のようにプレチルト角αに依存す
る。 d=λ/2〔ne (α)−no
【0083】即ち、配向膜の種類によりαを求め、上記
関係式をもとに最適ギャップdを計算できる。従って、
配向膜はSiO等の様な無機系配向膜、あるいはポリイ
ミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール(PVA)な
どの有機系配向膜の種類を問わず使用できる。
【0084】さらに、プレチルト角αが90度では、上記
式によりギャップ長dは無限大となってしまうため、0
〜89度のプレチルト角が必要である。但し、プレチルト
角を45度を超えて制御するのは難しいため、実用的には
0〜45度のプレチルト角が好ましい。
【0085】これらの強誘電性液晶素子の駆動法は、従
来の一般的なFLCの駆動法を適用できる。図38に、1
フレーム、2フィールドの駆動波形の1例を示す。
【0086】図38(A)は、リセットパルス付きのパル
ス駆動であり、書込み直前にリセットパルスを加えてフ
ィールド内での電気的中性条件を保つ方法であり、液晶
に長時間の直流成分が印加されにくい。FLCの他、A
FLCにも使用できる。
【0087】図38(B)は、リセットパルス無しのパル
ス駆動であり、1フレーム内での電気的中性条件を保つ
方法である。FLCの他、AFLCにも使用できる。
【0088】図38(C)は、方形波駆動であり、1フレ
ームで電気的中性条件を保つ方法であって、パルス駆動
に比べDC電圧が印加されている時間が長いが、素子の
絶縁性が高い場合には信頼性の高い駆動法である。FL
Cの他、AFLC、電傾効果型スメクチックAにも使用
できる。
【0089】FLCの高速応答性:上記の駆動波形によ
るスイッチング特性として、立ち上がり(10−90%T)
及び立ち下がり(90−10%T)とも、いずれもμsec オ
ーダーの高速応答を示しており、1フィールド内での十
分な応答を保証し、ビデオレートでの有効な絵素ずらし
効果が初めて達成される。
【0090】特に、ウォブリング(絵素ずらし)では、
立ち上がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の
1/3以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間
との比が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0091】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。ツイストネマチックの絵素ずらし素
子では、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下が
り時間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSC
の2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。この点、強誘電性液晶素子を用いた
絵素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶より
も短いため、有効であることがわかる。ちなみに、強誘
電性液晶素子の立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オ
ーダーから、最も遅いものでも数ms以下である。
【0092】下記の表4には、各種液晶の応答時間を比
較して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著
しく早い。
【0093】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える複屈折性透明基板 (a)等価的に一軸性の異常光軸10が図18のようにZ軸
と同一面上に存在し、かつ、軸に対して平行でない素
子。
【0094】例えば水晶板での光学軸のずれLを下記の
式により計算する。図39のように、複屈折透明媒体4の
異常光軸10がウォブリング光学系の光軸となす角をβと
し、水晶板4の厚みをdとする。ここで、水晶板4の常
光の屈折率no と異常光の屈折率ne は、ne =1.5533
6 、no =1.54425 である。ここでは、 0.7インチ、1
0.3万画素のアクティブマトリックスTN液晶ディスプ
レイを垂直方向に高解像度化するために、L=24.5μm
のずれを与える値としてβ=45度、d=4.17mmとした。
【0095】
【数2】
【0096】ここで、光軸のずれLを発現させるのに効
果的なβの範囲は10〜80度であった。この光学軸のずれ
は、後述する構成画素ピッチにより異なる。
【0097】光変調素子(位相変調光学素子)の製造例 次に、本発明に基いて上記した光変調素子(液晶セル)
3を製造する方法、特に配向膜22、23の形成方法を図1
〜図17について説明する。
【0098】図30〜図32で述べたように、画素(絵素ず
らし)時の解像度の低下を防ぎ、解像度を改善するに
は、素子3の2つのスイッチ状態(状態1と状態2)で
の液晶ダイレクタ8のなす角の2等分線16が、表示素子
からの光の偏光面(Y方向、即ち、ウォブリング方向)
あるいは偏光面に対して直交した線(X方向)に対して
なす角δが、理想的には22.5度の角度をなしていること
が必要である。この角度δの方向に配向処理すれば、ス
イッチング時にこの配向処理方向を中心としてその両側
にほぼ等角度に液晶ダイレクタを位置せしめ、図30〜図
32で述べたスイッチングを行わせることができる。しか
も、この角度δの設定によって、素子環境温度に対する
依存性も軽減できることも既述した。
【0099】そこで、こうした角度δを実質的にδ=2
2.5度(許容範囲としては、22.5度±5度、即ち、17.5
度〜27.5度の範囲)を実現するため、本発明者は、配向
膜22、23の形成に際してその配向処理を上記のδに相当
した方向に行えばよいことをつきとめた。
【0100】SiO斜方蒸着膜:図1〜図4は、そうし
た配向膜をSiO斜方蒸着によって形成するための蒸着
装置を概略的に示すものである。
【0101】まず、図37に例示した如く、例えばスパッ
タ法により40nm厚の透明ITO膜(面抵抗 100Ω/cm2)
13又は14を形成したガラス基板20又は21を作製する。以
下の説明では、一方の基板、例えば20について主として
説明するが、他方の基板21も同様に処理可能である。
【0102】そして次に、真空槽80内で、SiO粉末
(純度 99.99%:フルウチ化学株式会社製)81を入れた
タンタルボート(日本バックスメタル株式会社製)82を
電源120 を用いて加熱(抵抗加熱)することにより、ボ
ート82上のITO膜付きのガラス基板20に対し真空蒸着
した。
【0103】この蒸着に際しては、基板20の法線83が蒸
着源の垂直線84となす角αを85度とし(図2(B)参
照)、基板温度 170℃、真空度8×10-6Torr、蒸着速度
0.1nm/sec 、基板方位角δを22.5度という条件で行っ
た。この斜方蒸着によるSiO配向膜を50nm厚に製膜
後、空気中で 300℃、 120分、アニール処理を行った。
【0104】ここで注目すべきことは、図1及び図2
(A)に明示するように、SiOの蒸着方向85に対して
基板20の向き86が予め角度δ、即ち、実質的に22.5度を
なすように、基板20をホルダ87上に固定していることで
ある。
【0105】基板20は複数枚がホルダ87の傾斜底面側に
図4のようにして固定する。また、真空槽80の内壁に沿
う案内レール88にホルダ87を連結杆89で取付け、案内レ
ール88に沿って任意の位置に周回できるようにしてい
る。
【0106】上記のように、蒸着方向に対して基板20の
向きを角度δ(=22.5度)傾斜させて配し、SiOの斜
方蒸着を行うことにより、得られたSiO配向膜22の配
向方向90は、図5に示すように蒸着方向(即ち、図30の
Y方向)に対して反時計方向へ角度δだけずれることに
なる。この配向方向90は、既述した液晶ダイレクタの2
つのスイッチ状態のなす角度の2等分線16に対応してい
る。
【0107】これと同様に、他方の基板21に対しては、
図6のように、基板20の場合とは鏡像の位置関係となる
ようにホルダ87に固定してSiO斜方蒸着を行うことに
より、図7に示すように、得られたSiO配向膜23の配
向方向90’はY方向に対して時計方向へ角度δだけずれ
たものとなる。
【0108】上記に得られた配向膜22、23の各配向処理
方向90、90’は、図8及び図9に示すように、ウォブリ
ング方向の軸(Y)に関して鏡像関係(図9)又はウォ
ブリング方向と直交方向の軸(X)に関して鏡像関係
(図8)をなしている。
【0109】そして、これらの各配向膜22、23の各配向
処理方向90、90’のヘッド(head)a、a’とテール(tai
l)とを図8のように互いに重ね合わせるように基板20、
21を対向させると、反平行配向のセルを作製できる。こ
れとは逆に、ヘッドaとa’同士を図9のように重ね合
わせると、平行配向のセルを作製できる。
【0110】図10〜図11は、上記したSiO斜方蒸着に
代えて、配向膜を下記の各種のポリイミド膜で形成する
例を示すものである。
【0111】JALS214、JALS246:液晶配
向膜として、20〜100nm 厚にポリイミド膜(JALS2
14、JALS246:日本合成ゴム株式会社製、濃度
1.5wt%)をスピンナー(協栄セミコンダクター株式会
社製)で塗布した。この時のスピンコートは、初め 100
0rpmで10秒、次に 3000rpmで30秒の条件で行い、その
後、空気中で 180℃、20分のアニール処理を行い、溶媒
を除去した。
【0112】サンエバー305:液晶配向膜として、20
〜100nm 厚にポリアミック酸(サンエバー305:日産
化学株式会社製、濃度 4.3wt%)をスピンナー(協栄セ
ミコンダクター株式会社製)で塗布した。この時のスピ
ンコートは、初め 1000rpmで4秒、次に 3500rpmで30秒
の条件で行い、その後、空気中で80℃、15分、更に 170
℃、60分の熱処理を行い、ポリイミド化させた。
【0113】サンエバー715:液晶配向膜として、20
〜100nm 厚にポリアミック酸(サンエバー715:日産
化学株式会社製、濃度 4.3wt%)をスピンナー(協栄セ
ミコンダクター株式会社製)で塗布した。この時のスピ
ンコートは、初め 1000rpmで4秒、次に 3500rpmで30秒
の条件で行い、その後、空気中で80℃、15分、更に 240
℃、60分の熱処理を行い、ポリイミド化させた。
【0114】AL1524:液晶配向膜として、20〜10
0nm 厚にポリアミック酸(オプトマーAL1524:日
本合成ゴム株式会社製、濃度12wt%)をスピンナー(協
栄セミコンダクター株式会社製)で塗布した。その際、
スピンコートは、初め 1000rpmで4秒、次に3500rpmで3
0秒の条件で行い、その後、空気中で50℃、20分、更に
180℃、 120分の熱処理を行い、ポリイミド化させた。
【0115】AL3046:液晶配向膜として、20〜10
0nm 厚にポリアミック酸(オプトマーAL3046:日
本合成ゴム株式会社製、濃度14wt%)をスピンナー(協
栄セミコンダクター株式会社製)で塗布した。その際、
スピンコートは、初め 1000rpmで4秒、次に3500rpmで3
0秒の条件で行い、その後、空気中で50℃、20分、更に
180℃、 120分の熱処理を行い、ポリイミド化させた。
【0116】上記のようにしてポリイミド膜を基板に形
成する際は、クリーンルーム内の温度20〜28℃、湿度45
%以下で作業を行うと、基板に膜がムラなく形成され
る。
【0117】このように、ポリイミド膜を形成した基板
は、液晶分子を一定方向に配向させる目的でラビング処
理を行う。このラビング処理には、図10及び図11に示す
ラビング装置を使用する。
【0118】この装置では、支持台107 上で上下に位置
調整可能なローラー100 にバフ材(ベンベルグCF:旭
化成株式会社製、レーヨン:吉川化成株式会社製など数
種)101 を巻付け、基板20の複数個を基準線105 に対し
て実質的にδ=22.5度傾け、角度調整用の回転台102 上
に真空チャックにより固定した。この回転台102 は、ポ
ンプ103 を駆動源としてローラー100 に対し案内レール
(図示せず)上で往復動可能なステージ104 上に設けら
れている。
【0119】ラビングの条件としては、ローラー100(実
際にはバフ材101)に対する基板の押し込み量を 0.1〜0.
2mm とし、ステージ104 の移動速度 150mm/分、ローラ
ー100 の回転速度95rpm の条件で2回行った。
【0120】このようなラビングによって、基板20上の
配向膜22は、図12に110 で示す方向(即ち、Y方向に対
しδ=22.5度をなして)配向処理される。他方、同様の
処理を基板21に行うと(但し、図13のように基準線105
に対して上記とは反対側に角度δだけ傾ける。)配向処
理方向110'はY方向に対しδ=22.5度をなし、上記の配
向処理方向110 とはX方向に関して鏡像関係となってい
る。
【0121】従って、これらの両基板20、21を図8又は
図9に示したと同様にして対向配置することにより、反
平行又は平行セルを作製することができる。
【0122】上記したように、本発明に基づく方法は、
実質的に角度δ=22.5度だけ基準線に対し予め傾けて基
板を配置し、SiO斜方蒸着、ポリイミド膜のラビング
を行うことに特徴を有するものであり、この処理後は常
法に従って対向基板を配置し、既述したようにしてセル
を組み立てるだけで、液晶分子を容易かつ確実に22.5度
傾けて配向させることができる。
【0123】これに反し、従来法によって配向方向にδ
=22.5度の傾きを付けようとした場合は、従来の蒸着ま
たはラビング方向のままで基板を設置することになるか
ら、セルの組み立てに際しては基板をビューファインダ
ーセルに対して22.5度傾けなければならない。これで
は、配向方向が所定方向からずれることがあり、また、
作業も面倒となる。
【0124】上記した本発明に基づく方法による配向処
理は、画面の垂直(Y)方向あるいは水平(X)方向へ
の絵素ずらしの場合に好適な方法であるが、その他にも
種々の配向処理方向がある。
【0125】例えば、垂直方向、水平方向の場合、図14
に示すように、絵素ずらし方向あるいはこれの直交方向
に対して理想的には22.5度傾けて配向処理を行うこと
(a、b、c又はd)、(a’、b’、c’又はd’)
が必要である。その許容範囲は22.5±5度の範囲が好ま
しい。また、各基板のセル作製時の、対向する基板の配
向膜の配向方向の組み合わせにより、平行配向(a、
a’を重ね合わせる)、反平行配向(a、a’をHeadと
Tailで重ね合わせる)の2種がある。
【0126】更に、図15のように、斜め方向に絵素をず
らす場合には、上記の絵素ずらし方向を基板面上で回転
した配置にすることが必要である。この場合、斜めの方
向は画素配列、画素密度あるいは画面の縦横比により規
定される。
【0127】これらの配向処理方向は、上記したよう
に、SiO等の無機材料の斜方蒸着の蒸着方向あるいは
ポリイミド、ポリアミド等の有機配向膜におけるラビン
グ方向により規定される。
【0128】光変調素子(位相変調光学素子)の構造例 後述する(図46や図51、図52で説明する)ように、画面
の透明電極を垂直方向に5分割することが効果的である
が、ここでは、そうした5分割電極を有するセルを上記
した配向処理との関連で説明する。
【0129】即ち、図16のように、セルの一方の電極13
は画面の垂直方向に5分割した。ここでは、垂直方向の
高解像度化を行うために、FLC分子の配向を電極長軸
方向に垂直の方向とこれから45度の間でスイッチングさ
せる必要があり、以下のような配向を行った。
【0130】即ち、5分割電極13に関しては、絵素ずら
し方向に対して左へ22.5度傾いた方向に蒸着時の方位角
を調節し、SiOの斜方蒸着を行った。その他、蒸着条
件及び蒸着後の熱処理に関しては前述した通りである。
また、対向電極14は図に示すように分割しておらず、こ
の対向電極上の配向処理方向は5分割電極側とは反対向
きに回転させたものが必要である。即ち、これらを組み
合わせるセルの配向処理方向90と90’とは、絵素ずらし
方向の軸あるいはこれと直交した軸に関して鏡像関係に
あることが必要である。
【0131】そして、こうした方向に配向処理を行い、
これらの配向方向が平行或いは反平行となるようにセル
を組み立てた。セルの作製に際しては、図37に示したよ
うに、直径 2.2μmの真し球(触媒化成株式会社製)24
を 0.3重量%含んだ紫外線硬化型接着剤(フォトレッ
ク:積水ファインケミカル株式会社製)25をスクリーン
印刷してガラス基板周囲にシールパターンを形成し、そ
の後、対向基板を所定の方向に合わせ、目的のセルギャ
ップをとり、UV照射により接着剤を硬化させた。
【0132】こうして作製したセルに上記シールパター
ンの切れ目(即ち、液晶注入孔)から、強誘電性液晶を
等方相温度で減圧下で注入し、徐冷後、注入孔周囲の付
着した液晶を除去後、紫外線硬化型接着剤(ソニーケミ
カル社製のUV1000)でシールし、FLCセルを完
成した。
【0133】このFLCセルの対向電極間に±30V、30
Hzの矩形波電圧を10秒間印加することにより、液晶の配
向を促した。また、このセルでは、電界印加時の各状態
での液晶ダイレクタの向き、あるいは電界印加した後に
電界を除去した時にメモリーされるメモリー時の液晶ダ
イレクタの向きを、偏光顕微鏡及び複屈折測定装置AD
R−60XY(オーク製作所株式会社製)を用いて決定
した。偏光顕微鏡では、偏光子と検光子とを直交に配置
してその間にセルを置き、ステージを回転させることに
より、消光位(暗くなる角度)からその向きを決定でき
る。しかし、その向きは液晶ダイレクタに平行か直交か
を区別することはできないので、さらに複屈折測定装置
により、その遅相軸の測定により厳密に決定できる。
【0134】この結果、図17に示すように、液晶ダイレ
クタ8は配向処理方向を中心として、その両側にほぼ等
しい角度で傾斜していることが確認された。この角度は
0±2度、45度±2度であった。これによって、既述し
たように偏光面を確実に90度回転させることができた。
【0135】以上に述べた配向処理方向以外にも、図16
において分割電極13の蒸着方位角を右へ22.5度の傾きと
し、対向電極の配向処理方向をそれの鏡像とすることに
より、電界印加時あるいはメモリー時の液晶ダイレクタ
の方向も鏡像関係となるが、絵素ずらし効果は上記した
場合と同等であった。さらに、それらの配向処理方向と
直交した方向の処理によっても、図14で述べたことか
ら、液晶ダイレクタの方向はそれらを90度回転したもの
となり、これらのセルにおいても絵素ずらし効果は同等
であった。また、配向膜を有機系のラビング膜とするこ
とによっても、同様の効果を得ることができた。
【0136】上記したセルは、ウォブリング(絵素ずら
し)用の光変調素子として有用であり、ディスプレイ等
の高解像度化を達成できる。また、上記の分割電極構造
でない場合には、撮像素子の高解像度化にも適用でき
る。以下、このウォブリングについて更に詳細に説明す
る。
【0137】液晶表示素子の高解像度化の駆動法と動作 NTSCの2:1線飛越走査方式では、2フィールドで
完全な一つの画面(1フレーム)ができる。そして、第
1(奇数)フィールドと第2(偶数)フィールドでは、
垂直方向の位置情報に関して互いに補間しあっており、
1秒間のフィールド枚数を多くして解像度を維持する方
法である。しかし、液晶表示素子の如く、特に垂直画素
数が少ない場合に、奇数フィールドと偶数フィールドを
同一走査線上に上書きしてしまうために、本来有してい
る解像度を低下させている。
【0138】ここでは、奇数フィールドと偶数フィール
ドで同期をとって絵素ずらしを行い、高速な映像の置き
換えによる残像効果を応用して、垂直方向の高解像度化
を図った。以下に、その絵素ずらしのシフト量について
述べる。実際には、液晶には点順次あるいは線順次走査
があり、時系列的に走査されるが、ここでの説明では原
理が理解し易いように同時刻で取り扱う。
【0139】モノクロマチック表示素子、3板式カラー
表示素子或いはカラーシーケンシャル表示素子の場合:
1つのスイッチング素子が1絵素に相当するので、単純
に1絵素の絵素ずらし方向の重心点間距離(構成表示画
素間の中心間距離)の半分の長さの光軸の絵素ずらし方
向へのシフトにより、高解像度化され、同時に画素間の
非表示部位(例えばブラックマトリックス)が目立たな
くなる。しかし、シフトは絵素の重心点間距離の正確に
半分でなくてもよい。
【0140】即ち、図40に示すように、ブラックマトリ
ックス部と構成画素部の口径の大きさの違いにより、そ
の有効なシフト量が異なる。ブラックマトリックス部が
構成画素口径と同じか大きい場合、高解像度化を行いた
い方向の構成画素ピッチの半分の長さのシフト(a)が
最適であるが、その許容度は画素位置のシフトが認識さ
れる構成画素口径の半分が必要である。さらに、ブラッ
クマトリックス部が構成画素口径よりも小さい場合、最
低限、ブラックマトリックス部の長さのシフトが有効と
なる(b、c)。
【0141】絵素ずらし方向の長さ成分に対して、ブラ
ックマトリックス部の長さをLB 、構成画素口径をLA
とすると、画素ピッチはLP =LA +LB となり、絵素
ずらし量Lは、 Min(LB 、LA /2)≦ L ≦ Max(LP −LB 、L
P −LA /2) で表される。
【0142】この式をLP とLA を用いて表せば、 Min(LP −LA 、LA /2)≦ L ≦ Max(LA 、L
P −LA /2) となる。なお、上記の各式におけるMin(x、y)、Max
(x、y)はそれぞれ、x、yの内の小さい値、大きい
値を与える関数とする。
【0143】ここでの例のように、垂直方向に絵素ずら
しを行えば、図41のように垂直方向が高解像度化され
る。同様にして、水平方向に絵素ずらしを行えば、水平
方向が高解像度化される(図42)。更に、斜め方向に絵
素ずらしを行えば、垂直及び水平方向が高解像度化され
る(図43)。
【0144】カラーフィルタを有するカラー液晶表示素
子の場合:通常のカラー表示素子では、R、G、Bカラ
ーフィルタのトリオにより1絵素を構成している。R、
G、Bの配置法は、インライン配列(図44)、デルタ配
列(図45)等があるが、ここでの光軸のシフト量は絵素
ずらし方向の最近接RGBトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。
【0145】このような絵素ずらし素子の絵素ずらし方
向は、垂直方向だけでなく、水平方向或いは斜め方向も
含む2次元の絵素ずらしにより、ずらした方向の解像度
を向上させることができる。更に、絵素ずらし範囲は、
絵素ずらし方向の長さ成分に対する構成画素口径LA
RGBの画素トリオのものとし、ブラックマトリックス
部の長さをLB とすることにより、上記したモノクロマ
チック表示素子と同様の条件とすることができる。
【0146】絵素ずらし動作における駆動電極分割数の
範囲:上述したような、高解像度化されるべき素子は、
原理的には、1画素当たりの各々のスイッチングに同期
させた絵素ずらしを必要とする。この場合には、点順次
走査の場合はTFT(Thin Film Transistor) のマトリ
ックスのように画素数分の絵素ずらし素子が必要とな
る。さらに、線順次走査の場合は、水平走査線の数の電
極分割が必要であることになる。
【0147】従って、高解像度化したい表示素子の水平
走査線数をNとした場合、線順次走査の時は透明電極を
垂直方向に1/N分割するのが理想的である。しかし、
高解像度化のためには、コスト的に同等の絵素ずらし素
子が必要となってしまう。そこで、本発明者は、ヒュー
マンファクタによりこの電極分割上限を低下させ、コス
トダウンを行えると考え、次に示す実験を行った。
【0148】上記のTFTカラー液晶表示素子と組み合
わせ、垂直同期信号に同期させて強誘電性液晶素子のス
イッチングのタイミングをとったところ、時系列データ
を考慮しないで、パネル全面のFLC素子のスイッチン
グを行っても、パネル垂直方向の約1/4が 240TV本
から 370TV本へと高解像度化された。
【0149】ここでの実験から、1/4程度までの垂直
方向の分割でも高解像度化が有効であることが判った。
即ち、高解像度化のためには、水平走査線数Nの表示素
子と組み合わせる絵素ずらし素子は垂直方向にN分割〜
1分割すれば良いが、パネル全面の高解像度化を行うた
めには、N分割〜3分割が好ましい。さらに、電極加工
精度、コスト等を考慮すれば、N/2或いは(N+1)
/2のうちのいずれかの整数分割以下が好ましい。
【0150】5分割電極構成によるFLC絵素ずらし素
子の高解像度化の具体例:図46に分割電極の組み合わせ
例を示す。この分割電極はガラス基板上に透明電極(I
TO)13、14を形成し、電極を5分割するようにエッチ
ングした。ITO電極間距離(エッチング部分)を10μ
mとした。この電極間距離はセルギャップよりも大きい
(更には、非表示部位よりは短い)ことが電極間電位差
による絶縁破壊防止、即ち、耐圧等の点で必要である。
ここでは、セルギャップは1μm〜3.0μmとした。分
割電極の組み合わせは、片側をコモン電極としてもよ
く、また、両側を分割電極としてもよいことは容易に判
る。
【0151】さらに、配向膜としてはSiO配向膜を用
い、セル組み立て方法及び液晶注入方法は単極セルの場
合と同様である。液晶配向方向については絵素ずらし方
向を考慮して設定した。
【0152】絵素ずらし素子の同期信号について: 飛越走査法(インターレース) 動画像、例えば映画では毎秒24こま、テレビでは毎秒25
枚または30枚の画像を送っている。しかし、毎秒24枚か
ら30枚ではフリッカー妨害が大きく、使用に絶えない。
このため、映画では1こまを2回ずつ照射し、毎秒48こ
まの繰り返しを行い、テレビでは飛越走査法を用いて伝
送帯域幅を増加しないで毎秒の繰り返し回数を増やして
いる。日本国内標準では2:1線飛越走査法を使用して
いる。
【0153】即ち、図47に示すように、a点から開始し
た走査はN/2回の水平走査でb点に達して、垂直帰線
期間にc点に移り、さらにN/2回の水平走査でd点に
達し、垂直基線期間に再びa点に戻る。dからbに至る
期間を第1(奇数)フィールドといい、bからdに至る
期間を第2(偶数)フィールドという。2:1線飛越走
査方式では2フィールドで完全な一つの画面(1フレー
ム)ができる。この他、3:1、5:1線飛越走査方式
などがある。
【0154】NTSC方式等の線順次走査の画面表示を
行う際に、現在のCRTではアナログ的なためにその解
像度においては問題が少ないが、液晶、プラズマ、EL
等の如く画素が離散的なディスプレイについては、離散
的画素配列のためにかなりの水平方向の位置情報が欠落
したり、走査線の情報を欠落するか、あるいは輝度信号
の位置分解能を低下させる(即ち、ディスプレイの解像
度を低下させる)ことについては、既述した通りであ
る。
【0155】ここで、絵素ずらし(ウォブリング)のタ
イミングをとる具体的方法を示す。テレビ信号は、図48
に示すように各フィールドの輝度信号と垂直同期パル
ス、水平同期パルス、色信号、色同期パルスから構成さ
れている。ここでは、奇数フィールド(第1フィール
ド)及び偶数フィールド(第2フィールド)の垂直同期
パルスを検出し、ここからFLCドライバに同期信号を
送り、続いて、ドライバ内で各チャンネル毎にディレイ
を与えたドライブ波形をFLCセルに送れば良い。
【0156】分割FLC素子とFLCドライブ回路とビ
デオ信号処理系との同期について:図49に、電極の構成
とドライブ回路、ビデオ信号処理系の接続と同期方法に
ついて示した。即ち、ビデオ信号処理装置40によって、
奇数フィールド(第1フィールド)及び偶数フィールド
(第2フィールド)の各同期パルスとRGB信号を表示
素子2に供給すると同時に、各フィールドの垂直同期パ
ルスを検出してFLCドライバ41に同期信号を送り、続
いて、ドライバ41内で各チャンネル毎にディレイを与え
たドライブ波形をFLCセル3に送る。
【0157】図50のようにし、全面ITOの側をコモン
電極とし、5分割電極側をCh1〜Ch5に分けて、図
示したようにパルス駆動した。即ち、検出した垂直同期
信号を基準とし、1フィールドの時間を5分割し、各チ
ャンネルでシーケンシャルに遅れを与えた。従って、T
N液晶表示素子2の駆動とFLC素子3の駆動は同期し
ていることが重要である。なお、これらの駆動波形は、
一般的なFLCの駆動法及び矩形波駆動を適用できる。
【0158】さらに、絵素ずらしの方向を変える具体的
方法を説明する。表示素子2の垂直方向を高解像度化す
る場合(図51)と、垂直、水平方向を高解像度化する方
法(図52)を示す。この結果、各目的とした方向の高解
像度化が確認できた。
【0159】上記の5分割FLC素子において、ドライ
ブ条件、光学的配置、絵素ずらし量を考慮して高解像度
化の検討を行ったところ、 0.7インチ、10.3万画素のア
クティブマトリックスTN液晶ディスプレイにおいてパ
ネル全面に亘って 240TV本から 370TV本以上へと高
解像度化し、更に、非表示部位であるブラックマトリッ
クスが目立たなくなり、高解像度でかつ滑らかな画面が
達成できた。
【0160】これらの高解像度化技術は直視型、反射
型、投射型等、様式を問わずに使用できる。このうち、
図53〜図54に投射型ディスプレイの二例をそれぞれ示し
た。
【0161】図53の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0162】図54はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0163】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0164】撮像素子への適用 本発明は、上述した表示素子2に限らず、離散的な画素
から構成されるCCD等の撮像素子と被写体とを結ぶ光
路中に上述したウォブリング素子7を配置する場合にも
適用される。
【0165】本発明を図55及び図56に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0166】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、例
えば1/3インチCCDを水平方向、垂直方向あるいは
水平及び垂直方向に同時に高解像度化するため、β=45
度として水晶板の厚さdを調整することにより、絵素ず
らしの量を調節した。1/3インチCCDの水平方向の
ピッチが6.35μm、垂直方向のピッチが 7.4μmである
ので、各方向への高解像度化のための絵素ずらし量は、
各ピッチの約1/2の3.18μm、 3.7μmとすれば良
い。更に、斜め方向の絵素ずらしの場合は水平、垂直方
向成分を各辺とした長方形の対角線の長さのシフトが必
要となり、この時は、4.88μmとすれば良い。
【0167】例えば、L=3.7 μmのずれを与えるた
め、β=45度、d=0.63mmとした。ここで、光軸のずれ
Lを発現させるのに効果的なβの範囲は10〜80度であっ
た。
【0168】撮像素子を使用する際、被写体と撮像素子
4を結ぶ光路中に、被写体−偏光子−FLC素子−複屈
折基板−撮像素子の順序で配置される。この場合、レン
ズ系、アイリス、波長制限フィルタは被写体と撮像素子
を結ぶ光路中のどこに配してもよい。
【0169】図55、図56に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0170】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができる。
【0171】素子環境温度のために、見かけのコーン角
が45度から外れる(例えば45+γ度:ここでγは45>γ
>−45)場合、ウォブリング動作において、スイッチ状
態の片方の液晶ダイレクタの光軸を理想的に偏光板の偏
光面に平行あるいは直交して合わせると、このスイッチ
状態では透過光の偏光面は変化しない。この場合には、
偏光面が回転していないため、例えば図55のように水晶
板4の異常光軸の方向に 100%の光が屈折し、光軸から
のずれを与える。この時、a点以外の成分はほとんどな
い。
【0172】もう一方のスイッチ状態では、45+γ度と
なるために、γが正の場合は透過光の偏光面は90度以上
の回転をし、γが負の場合は偏光面は90度まで回転しな
い。偏光面が完全に90度回転した時には、図56に示した
ようにa’の成分がほぼ 100%となる。しかし、図57に
示したように偏光面の回転が90度からγの角度ずれる場
合、偏光成分としてY軸方向の成分も増加して来るの
で、Y方向の隣接撮像画素に若干のもれが生じる。従っ
てこの場合には、本来高解像度化すべき画素ずらしの効
果が若干減ぜられてしまう。
【0173】そこで、図30で既述したと同様の理由か
ら、上記2つのスイッチ状態のなす角の2等分線が偏光
板の偏光面あるいは偏光面に対して直交した線に対して
なす角δが、理想的には22.5度の角度をなしていれば良
い。このように、液晶ダイレクタ8の向きを配置するこ
とにより、図58、図59に示されるように、両方のスイッ
チ状態でクロストークを生じるようになるが、各スイッ
チ状態でのクロストークは小さく、かつ、その和は片側
だけのクロストークよりも少ないため、高解像度化の効
果を減ずることはないことがわかった。
【0174】ここで、このθの範囲、さらに2スイッチ
状態の2等分線が光の偏光面或いはそれに直交する線と
なす角δは、以下のウォブリングの実験結果から明確と
なった。
【0175】即ち、片側の軸固定の検討では、θ=26〜
64度の範囲でウォブリング効果によりCCDの高解像度
化が確認できた。さらに、θ=36〜54度の範囲で色付き
の少ない高解像度化ができた。
【0176】さらに、θ=36〜54度の範囲でδ軸の位置
を検討した結果、δ=22.5±10度で色付きがほとんどな
く、高解像度化できることがわかった。さらに、θ=36
〜54度、δ=22.5±5度の範囲でフィールド間のクロス
トークが少なくなり、フィールド間のコントラスト比が
高まるため、さらに高解像度化した。
【0177】なお、ここでの解像度評価は、格子縞の解
像度評価用パネルを撮像し、ビデオ信号に変換後にCR
Tモニタに表示し、観測することにより判別した。
【0178】図60には、具体的な配置例を示した。ビデ
オカメラ、スチルビデオカメラ等の光学系の場合、外界
からの入射光は概ね偏光していないので、外界(被写
体)と強誘電性スイッチング素子の間に偏光板を入れる
ことを特徴とし、レンズ、絞りに対しての位置関係を問
わない。その他の光学配置は、被写体−レンズ−絞り−
偏光板−強誘電性スイッチング素子−一軸的な光学異方
性を有する透明基板−撮像素子の順である。ここで組み
合わせる撮像素子としては、CCD、MOS型素子等、
その種類を問わない。
【0179】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、
離散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0180】特に垂直解像度だけでなく、水平解像度も
向上させるためには、1フレームをさらに3フィール
ド、4フィールドとしなければならないが、このために
も強誘電性液晶素子の高速応答性が必要である。ツイス
トネマチックの絵素ずらし素子では、透過率変化0〜90
%での立ち上がり+立ち下がり時間は最小で15msec程度
(室温)でり、NTSCの2:1線飛越走査方式(1フ
ィールド当たり1/60秒((16.7ms))でもかなり実現
が困難であり、さらにフレーム数が同じで4:1線飛越
走査方式を適用すれば、1フィールド当たり1/120 秒
(8.3ms)であり、全く追従できなくなる。この点、強誘
電性液晶素子を用いた絵素ずらし法は、そのスイッチン
グ時間がTN液晶よりも短いため、有効であることがわ
かる。ちなみに、強誘電性液晶素子の立ち上がり+立ち
下がり時間はμsec オーダーから、最も遅いものでも数
ms以下である。
【0181】モノクロマチック撮像素子、3板式カラー
撮像素子の場合:1つのスイッチング素子単位が1絵素
に相当するので、単純に解像度改善方向の1絵素の重心
点間距離の半分の長さの光軸の解像度改善方向へのシフ
トにより、高解像度化される。さらに、その許容範囲は
シフト長の50%〜150 %が適当である。
【0182】カラーフィルタを有する撮像素子の場合:
R、G、Bカラーフィルタのトリオにより1絵素を構成
している。R、G、Bの配置法はデルタ配列、インライ
ン配列等があるが、ここでの光軸のシフト量は解像度改
善方向の最近接R、G、Bトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。さらに、その許容範囲はシフト
長の50〜150 %が適当である。
【0183】上記液晶素子のビデオカメラ:ハンディカ
ムTR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0184】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図61のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0185】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図61、図62)。
【0186】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0187】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0188】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図63に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図64
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0189】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0190】図65には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0191】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0192】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0193】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0194】例えば、上述した液晶素子をはじめ、各構
成部分の構造、材質や形状、組み立て方法等は種々変更
してよい。基板もガラス板ではなく、他の光学的に透明
な材質であればよい。配向膜については、上述のもの以
外に有機系の蒸着膜も使用してよく、またその配向処理
方法も様々に行ってよい。液晶についても、種々のもの
が採用可能である。
【0195】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムに組み込み可能なウ
ォブリング素子のみならず、他の用途の光変調素子とし
ても利用可能である。
【0196】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、光学的に透
明な複屈折媒体と組み合わされることによって、入射光
の光軸を所定方向にずらすためのウォブリングを行うの
に用いられる光変調素子を製造するに際し、一方の配向
膜の形成時に、ウォブリング方向又はこれと直交する方
向に対して実質的に22.5度の角度をなす方向に配向処理
を行い、かつ、前記一方の配向膜と対向する他方の配向
膜の配向処理方向を前記一方の配向膜の配向処理方向に
対して、前記ウォブリング方向の軸又はこれと直交する
軸に関し鏡像関係をなすようにした、光変調素子の製造
方法であるから、上記配向処理方向は常に再現性よく実
現でき、同方向に液晶を容易かつ確実に配向させること
ができる。
【0197】従って、ウォブリングに際するスイッチン
グ時に、上記配向処理方向を中心としてその両側にほぼ
等角度に液晶ダイレクタを位置せしめ、ウォブリングに
必要なスイッチング状態を確実に実現できるため、高解
像度化を効果的に達成できる。しかも、上記配向処理方
向を確実に設定できることによって、素子環境温度に対
する依存性も軽減された素子を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による配向処理時の真空蒸着装
置の概略断面図である。
【図2】同蒸着時の基板の配置状態を示す概略正面図及
び側面図である。
【図3】同蒸着装置の図1での III−III 線断面図であ
る。
【図4】図2(B)の基板及びそのホルダーの拡大断面
図である。
【図5】同蒸着による配向処理方向を示す概略正面図及
び平面図である。
【図6】他の基板に対する配向処理時の基板の配置状態
を示す概略正面図である。
【図7】同配向処理方向を示す概略正面図及び平面図で
ある。
【図8】反平行配向セルの説明図である。
【図9】平行配向セルの説明図である。
【図10】本発明の他の実施例による配向処理時のラビン
グ装置の概略斜視図である。
【図11】同ラビング装置の要部平面図である。
【図12】同ラビングによる配向処理方向を示す概略平面
図である。
【図13】他の基板に対するラビングによる配向処理方向
を示す概略平面図である。
【図14】種々の配向処理方向を示す概略図である。
【図15】他の配向処理方向を示す概略図である。
【図16】5分割電極を有するセルの配向処理方向を示す
概略平面図である。
【図17】同セルにおける液晶配向状態を説明する概略平
面図である。
【図18】本発明が適用可能な表示装置の状態1での概略
図である。
【図19】同表示装置の状態2での概略図である。
【図20】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図21】同コーン角の温度依存性を示すグラフである。
【図22】他の液晶での同コーン角の温度依存性を示すグ
ラフである。
【図23】同表示装置のFLCの異常光軸のずれを説明す
るための図19と同様の概略図である。
【図24】ウォブリング(絵素ずらし)時のフィールド間
でのクロストークを説明する図である。
【図25】ウォブリング時の偏光度測定用システムの概略
図である。
【図26】液晶の透過スペクトル変化を示すグラフであ
る。
【図27】図26と同様のグラフである。
【図28】同透過率の変化を示すグラフである。
【図29】液晶の好ましいコーン角を説明するための図で
ある。
【図30】改善された液晶ダイレクタ方向の説明図であ
る。
【図31】同液晶ダイレクタの状態2における図19と同様
の概略図である。
【図32】同液晶ダイレクタの状態1における図18と同様
の概略図である。
【図33】同表示装置の具体例の各スイッチ状態での概略
図である。
【図34】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図35】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図36】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図37】FLC液晶素子を用いた位相変調素子としての
液晶セルの断面図である。
【図38】同位相変調素子の各種駆動方法を示す波形図で
ある。
【図39】複屈折媒体による光軸のずれの説明図である。
【図40】ウォブリング(絵素ずらし)時のシフト量を各
場合で示す概略図である。
【図41】ウォブリング状態の説明図である。
【図42】他のウォブリング状態の説明図である。
【図43】更に他のウォブリング状態の説明図である。
【図44】RGBインライン配列表示素子のウォブリング
状態の説明図である。
【図45】RGBデルタ配列表示素子のウォブリング状態
の説明図である。
【図46】位相変調素子における分割電極を示す概略斜視
図である。
【図47】インターレース走査法の説明図である。
【図48】テレビの各フィールドでの同期信号の波形図で
ある。
【図49】上記表示装置の各素子間の接続関係を示すブロ
ック図である。
【図50】電極分割型の位相変調素子の駆動波形図であ
る。
【図51】同素子を用いた表示装置の概略図である。
【図52】同素子を用いた他の表示装置の概略図である。
【図53】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図54】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図55】本発明が適用可能な撮像装置の状態1での概略
図である。
【図56】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図57】同撮像装置のFLCの異常光軸のずれを説明す
るための図56と同様の概略図である。
【図58】改善された液晶ダイレクタの状態2における図
57と同様の概略図である。
【図59】同液晶ダイレクタの状態1における図55と同様
の概略図である。
【図60】同撮像装置の具体例の概略図である。
【図61】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図62】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図63】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図64】他の実装例の断面図である。
【図65】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】 1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 71・・・撮像装置 80・・・真空槽 81・・・蒸着源 85・・・蒸着方向 86・・・基板方向 87・・・ホルダー 88・・・案内レール 90、90’、110 、110'・・・配向処理方向 100 ・・・ローラー 101 ・・・バフ材 102 ・・・回転台 δ・・・傾斜角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松居 恵理子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 高梨 英彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 秀 史朝 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に透明な電極と配向膜とをこの順
    に設けた光学的に透明な基体の複数個が前記電極及び前
    記配向膜の側で互いに所定の間隙を隔てて対向配置さ
    れ、前記間隙内に液晶が注入されており、光学的に透明
    な複屈折媒体と組み合わされることによって、入射光の
    光軸を所定方向にずらすためのウォブリングを行うのに
    用いられる光変調素子を製造するに際し、 一方の配向膜の形成時に、ウォブリング方向又はこれと
    直交する方向に対して実質的に22.5度の角度をなす方向
    に配向処理を行い、かつ、 前記一方の配向膜と対向する他方の配向膜の配向処理方
    向を前記一方の配向膜の配向処理方向に対して、前記ウ
    ォブリング方向の軸又はこれと直交する軸に関し鏡像関
    係をなすようにした、光変調素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 ウォブリング方向又はこれと直交する方
    向に対して配向処理方向のなす角度の許容範囲を22.5度
    ±5度とする、請求項1に記載した方法。
  3. 【請求項3】 互いに対向した配向膜の配向処理方向を
    互いに反平行又は平行とする、請求項1又は2に記載し
    た方法。
  4. 【請求項4】 無機系蒸着膜、有機系蒸着膜又は有機系
    ラビング膜によって配向膜を形成する、請求項1〜3の
    いずれか1項に記載した方法。
  5. 【請求項5】 強誘電性液晶と反強誘電性液晶と電傾効
    果を示すスメクチック液晶とから選ばれた少なくとも1
    種の液晶が注入されているウォブリング用の位相変調光
    学素子を製造する、請求項1〜4のいずれか1項に記載
    した方法。
  6. 【請求項6】 互いに対向する電極の少なくとも一方を
    ウォブリング方向に分割して設け、高解像度化されるべ
    き表示素子と観察位置との間の光路中で複屈折媒体と組
    み合わせて用いられる位相変調光学素子を製造する、請
    求項1〜5のいずれか1項に記載した方法。
  7. 【請求項7】 被写体と高解像度化されるべき撮像素子
    との間の光路中で偏光板及び複屈折媒体と組み合わせて
    用いられる位相変調光学素子を製造する、請求項1〜5
    のいずれか1項に記載した方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6061103A (en) * 1995-01-20 2000-05-09 Olympus Optical Co., Ltd. Image display apparatus
JP2009080281A (ja) * 2007-09-26 2009-04-16 Citizen Holdings Co Ltd 液晶素子の製造方法

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US6061103A (en) * 1995-01-20 2000-05-09 Olympus Optical Co., Ltd. Image display apparatus
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