JP3431708B2 - 液晶材料及び光変調素子 - Google Patents

液晶材料及び光変調素子

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JP3431708B2
JP3431708B2 JP34008494A JP34008494A JP3431708B2 JP 3431708 B2 JP3431708 B2 JP 3431708B2 JP 34008494 A JP34008494 A JP 34008494A JP 34008494 A JP34008494 A JP 34008494A JP 3431708 B2 JP3431708 B2 JP 3431708B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子のウォブリングに
好適な液晶材料及び光変調素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。
【0003】また、垂直方向の画素分解能が走査線数だ
け実装できない場合、走査線の情報を欠落するか、ある
いは同一画素上に上書きするために、輝度信号等の位置
分解能(即ち、ディスプレイの解像度)を低下させてい
た。
【0004】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic)の液晶
ビューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フ
レーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。
【0005】現状のTFTビューファインダーは、NT
SC方式の走査線数 525本を実装できないため、奇数フ
ィールドと偶数フィールドを同一画素に書き込む等の方
法をとっている。このため、垂直分解能がNTSC方式
の原理よりも低下しているのが現状である。
【0006】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0007】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画素
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分解能を低下させていた。
【0008】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0009】しかし、これまで提案されているウォブリ
ング素子に使用される位相変調光学素子では、応答速度
が遅く、ビデオレートでは駆動できないため、実用的で
はなく、また、高解像度化及び高画質化に十分に対応で
きないものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離散
的画素からなるディスプレイや、離散的受光画素からな
る固体撮像素子等に対して高速のウォブリング(絵素ず
らし)を可能にし、高解像度化及び高画質化を効率よく
達成できる上記位相変調光学素子の如き光変調素子に好
適な液晶材料、及びこの液晶材料を用いた光変調素子を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記の
一般式1〜10で表される各化合物を混合した強誘電性液
晶(FLC)組成物からなる液晶材料(以下、本発明の
第1の発明による液晶材料と称することがある。)に係
るものである。
【化5】 (但し、上記の各一般式において、R1 及びR2 は、炭
素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
含んでいてもよく、R3 及びR4 は、炭素数2〜14で同
一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
又はアルコキシ基であり、xは0〜8を示し、C*は不
斉炭素原子を示す。)
【0012】本発明者は、上記した一般式1〜10で表さ
れる特定の10種類の各化合物を組み合わせて混合するこ
と(各一般式に含まれる具体的な化合物を複数併用する
ことは勿論可能:以下、同様)によって、光変調素子用
として好適な特性を有する液晶材料が得られることを見
出し、本発明の第1の発明を完成させたものである。
【0013】この本発明の第1の発明による液晶材料
は、−41〜74℃の温度範囲内にカイラルスメクチックC
相を示す強誘電性液晶(FLC)組成物であって、特に
−10〜72℃の温度範囲内で電場の存在により駆動され、
ウォブリング動作に好適なものである。
【0014】また、本発明の第1の発明による液晶材料
は、等方相、カイラルネマチック相、スメクチックA
相、カイラルスメクチックC相、結晶の順(I−N*
SmA−SmC* −Cry)で相転移する強誘電性液晶
である。
【0015】こうした特性を効果的に発揮するには、上
記した10種類の化合物の混合物(即ち、一般式1〜10で
表される化合物の混合物)において、その全体の重量に
対して一般式1の化合物の混合割合が9〜19重量%であ
り、一般式2の化合物の混合割合が1〜11重量%であ
り、一般式3の化合物の混合割合が17〜27重量%であ
り、一般式4の化合物の混合割合が3〜13重量%であ
り、一般式5の化合物の混合割合が2〜12重量%であ
り、一般式6の化合物の混合割合が16〜26重量%であ
り、一般式7の化合物の混合割合が5〜15重量%であ
り、一般式8の化合物の混合割合が1〜10重量%であ
り、一般式9の化合物の混合割合が1〜9重量%であ
り、一般式10の化合物の混合割合が1〜9重量%である
ことが望ましい。
【0016】本発明の第1の発明による液晶材料は、上
記した液晶成分の特定の組み合わせによって、そのカイ
ラルスメクチックC相を発現する温度範囲が−41〜74℃
(特に−10〜72℃)に拡大されていることが、従来の強
誘電性液晶材料にはなく、特にウォブリング素子用とし
て広範囲な温度条件での効果的な使用をはじめて可能に
したものである。
【0017】特に、上記温度範囲は、その下限(低温
側)が−41℃(特に−10℃)にまで下げられており、ま
たその上限(高温側)が74℃(特に72℃)にまで高めら
れていることが極めて重要である。従って、この液晶材
料を使用したデバイス(ウォブリング素子用の光変調素
子)は、温度差が大きくても、世界的な地域において十
二分に使用できるものとなる。
【0018】しかも、本発明の第1の発明による液晶材
料は、実際には、各温度により上記した等方相、カイラ
ルネマチック相、スメクチックA相、カイラルスメクチ
ックC相を発現することも重要である。即ち、液晶分子
は、ネマチック相においてその1軸配向が決まり、ピッ
チのキャンセルによって均一な配向性が得られるものと
なっている。従って、強誘電性液晶であっても容易に均
一な配向を得ることができる。これによって、ウォブリ
ング素子用の液晶材料として、コントラストが向上する
ため、偏光した光の無駄がなく、より高解像度が得られ
る。
【0019】本発明はまた、下記の構造式11〜16で表さ
れる各化合物を混合した強誘電性液晶(FLC)組成物
からなる液晶材料(以下、本発明の第2の発明による液
晶材料と称することがある。)に係るものである。
【化6】 (但し、上記の各一般式において、R5 及びR6 は、炭
素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
含んでいてもよく、R7 及びR8 は、炭素数2〜14で同
一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
又はアルコキシ基を示し、yは0〜8を示し、C*は不
斉炭素原子を示す。)
【0020】本発明者は、上記した一般式11〜16で表さ
れる特定の6種類の化合物を組み合わせて混合すること
によって、光変調素子用として好適な特性を有する液晶
材料が得られることも見出し、本発明の第2の発明を完
成させたものである。
【0021】この本発明の第2の発明による液晶材料
は、−31〜78℃の温度範囲内にカイラルスメクチックC
相を示す強誘電性液晶(FLC)組成物であって、特に
−10〜75℃の温度範囲内で電場の存在により駆動され、
ウォブリング動作に好適なものである。
【0022】また、本発明の第2の発明による液晶材料
は、等方相、カイラルネマチック相、スメクチックA
相、カイラルスメクチックC相、結晶の順(I−N*
SmA−SmC* −Cry)で相転移する強誘電性液晶
である。
【0023】こうした特性を効果的に発揮するには、上
記した6種類の化合物の混合物(即ち、一般式11〜16で
表される化合物の混合物)において、その全体の重量に
対して一般式11の化合物の混合割合が28〜47重量%であ
り、一般式12の化合物の混合割合が3〜13重量%であ
り、一般式13の化合物の混合割合が29〜39重量%であ
り、一般式14の化合物の混合割合が1〜11重量%であ
り、一般式15の化合物の混合割合が1〜11重量%であ
り、一般式16の化合物の混合割合が1〜9重量%である
ことが望ましい。
【0024】本発明の第2の発明による液晶材料は、上
記した液晶成分の特定の組み合わせによって、そのカイ
ラルスメクチックC相を発現する温度範囲が−31〜78℃
(特に−10〜75℃)に拡大されていることが、従来の強
誘電性液晶材料にはなく、特にウォブリング素子用とし
て広範囲な温度条件での効果的な使用をはじめて可能に
したものである。
【0025】特に、上記温度範囲は、その下限(低温
側)が−31℃(特に−10℃)にまで下げられており、ま
たその上限(高温側)が78℃(特に75℃)にまで高めら
れていることが極めて重要である。従って、この液晶材
料を使用したデバイス(ウォブリング素子用の光変調素
子)は、温度差が大きくても、世界的な地域において十
二分に使用できるものとなる。
【0026】しかも、本発明の第2の発明による液晶材
料は、実際には、各温度により上記した等方相、カイラ
ルネマチック相、スメクチックA相、カイラルスメクチ
ックC相を発現することも重要である。即ち、液晶分子
は、ネマチック相においてその1軸配向が決まり、ピッ
チのキャンセルによって均一な配向性が得られるものと
なっている。従って、強誘電性液晶であっても容易に均
一な配向を得ることができる。これによって、ウォブリ
ング素子用の液晶材料として、コントラストが向上する
ため、偏光した光の無駄がなく、より高解像度が得られ
る。
【0027】更に、本発明は、下記の一般式17〜26で表
される各化合物を混合した強誘電性液晶(FLC)組成
物からなる液晶材料(以下、本発明の第3の発明による
液晶材料と称することがある。)に係るものである。
【化7】
【化8】 (但し、上記の各一般式において、R9 及びR10は、炭
素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
含んでいてもよく、R11及びR12は、炭素数2〜14で同
一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
又はアルコキシ基を示し、zは0〜8を示し、C*は不
斉炭素原子を示す。)
【0028】本発明者は、上記した一般式17〜26で表さ
れる特定の10種類の化合物を組み合わせて混合すること
によって、光変調素子用として好適な特性を有する液晶
材料が得られることも見出し、本発明の第3の発明を完
成させたものである。
【0029】この本発明の第3の発明による液晶材料
は、−33〜86℃の温度範囲内にカイラルスメクチックC
相を示す強誘電性液晶(FLC)組成物であって、特に
−10〜82℃の温度範囲内で電場の存在により駆動され、
ウォブリング動作に好適なものである。
【0030】また、本発明の第3の発明による液晶材料
は、等方相、カイラルネマチック相、スメクチックA
相、カイラルスメクチックC相、結晶の順(I−N*
SmA−SmC* −Cry)で相転移する強誘電性液晶
である。
【0031】こうした特性を効果的に発揮するには、上
記した10種類の化合物の混合物(即ち、一般式17〜26で
表される各化合物の混合物)において、その全体の重量
に対して一般式17の化合物の混合割合が15〜25重量%で
あり、一般式18の化合物の混合割合が15〜25重量%であ
り、一般式19の化合物の混合割合が5〜15重量%であ
り、一般式20の化合物の混合割合が15〜25重量%であ
り、一般式21の化合物の混合割合が1〜10重量%であ
り、一般式22の化合物の混合割合が7〜17重量%であ
り、一般式23の化合物の混合割合が1〜8重量%であ
り、一般式24の化合物の混合割合が1〜7重量%であ
り、一般式25の化合物の混合割合が1〜8重量%であ
り、一般式26の化合物の混合割合が1〜10重量%である
ことが望ましい。
【0032】本発明の第3の発明による液晶材料は、上
記した液晶成分の特定の組み合わせによって、そのカイ
ラルスメクチックC相を発現する温度範囲が−33〜86℃
(特に−10〜82℃)に拡大されていることが、従来の強
誘電性液晶材料にはなく、特にウォブリング素子用とし
て広範囲な温度条件での効果的な使用をはじめて可能に
したものである。
【0033】特に、上記温度範囲は、その下限(低温
側)が−33℃(特に−10℃)にまで下げられており、ま
たその上限(高温側)が86℃(特に82℃)にまで高めら
れていることが極めて重要である。従って、この液晶材
料を使用したデバイス(ウォブリング素子用の光変調素
子)は、温度差が大きくても、世界的な地域において十
二分に使用できるものとなる。
【0034】しかも、本発明の第3の発明による液晶材
料は、実際には、各温度により上記した等方相、カイラ
ルネマチック相、スメクチックA相、カイラルスメクチ
ックC相を発現することも重要である。即ち、液晶分子
は、ネマチック相においてその1軸配向が決まり、ピッ
チのキャンセルによって均一な配向性が得られるものと
なっている。従って、強誘電性液晶であっても容易に均
一な配向を得ることができる。これによって、ウォブリ
ング素子用の液晶材料として、コントラストが向上する
ため、偏光した光の無駄がなく、より高解像度が得られ
る。
【0035】本発明の第1〜第3の発明による液晶材料
をウォブリング素子用の光変調材料としてそれぞれ使用
する際、この光変調素子は、光学的に透明な電極と配向
膜とをこの順に設けた光学的に透明な基体の複数個が前
記電極及び前記配向膜の側で互いに所定の間隙を隔てて
対向配置され、前記間隙内に本発明の第1〜第3の発明
による液晶材料がそれぞれ注入されており、光学的に透
明な複屈折媒体と組み合わされることによって、出射光
の光軸を所定方向にずらすように構成されるのが望まし
い。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0037】実施例1 この実施例は、本発明の第1の発明に対応するものであ
って、使用した液晶組成物の各分子は上述した一般式1
〜10に対応した下記の構造式A〜Pで表されるものであ
る。これらの組成比を下記の表1に示す。
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【0041】上記の組成の強誘電性液晶混合物を作成す
ることにより、カイラルスメクチックC相の温度範囲が
−41〜74℃と広範囲なものとなり、コンスーマー用デバ
イスとして十分な温度範囲を付与することができた。
【0042】また、この強誘電性液晶混合物は、各温度
により等方相、カイラルスメクチック相、スメクチック
A相、カイラルスメクチックC相を発現する。液晶分子
はネマチック相において1軸配向が決まり、ピッチのキ
ャンセルによって均一な配向性が得られ、更に2軸方向
の均一なスメクチックA相によって、良配向を得ること
ができた。
【0043】次に、本発明の第1の発明に基づく上記液
晶組成物を使用し、位相変調素子としてのウォブリング
素子(絵素ずらし素子)に好適な液晶セルを作製した例
を説明する。
【0044】図1は、そうしたセル3の一例を概略的に
示すものである。配向膜22、23としては、ラビング配向
膜を用いた。ポリイミド配向膜とするときは、日本合成
ゴム社製のポリイミドJALS−246を使用し、その
成膜に際しては、膜厚 500Åになるように基板上にスピ
ンコートし、 180℃、1時間焼成を行った。ラビング
は、ナイロン製のバフ材を用いて、押し込み量0.15mmで
行った。
【0045】基板20、21には、厚さ 400Åで抵抗値が 1
00Ω/□のITO(インジウムにスズをドープした酸化
物)透明電極13、14をスパッタ法で形成した。セルギャ
ップは、触媒化成(株)製の真し球24(1.7μmφ)をス
ペーサとして用いて 1.7μmに調製した。この液晶セル
3は、ラビングによる配向処理方向が平行になるように
作製した。
【0046】表1に示した強誘電性液晶組成物を注入し
たセル3を用い、コーン角の温度依存性を測定した。
【0047】コーン角とは、強誘電性液晶分子が双安定
スイッチングを行う際の2つの状態間の角度のことであ
る。強誘電性液晶は、その複屈折性のために光を偏光さ
せるが、この角度によっては、ウォブリング素子として
十分に光を偏向させることができない。
【0048】ウォブリング素子として十分に光を偏光さ
せるには、このコーン角が28°以上必要である。図2に
示されるように、上記の強誘電性液晶組成物は72℃まで
はコーン角28°以上を保持できる。
【0049】次に、−10〜72℃の温度範囲(例えば室
温)で例えば矩形波(30Hz、30V)の印加によりウォブ
リング動作を行ったところ、コントラストは80とな
り、良好であった。
【0050】実施例2 この実施例は、本発明の第2の発明に対応するものであ
って、使用した液晶組成物の各分子は上述した一般式11
〜16に対応した下記の構造式I〜XIIIで表されるもので
ある。これらの組成比を下記の表2に示す。
【0051】
【化11】
【0052】
【化12】
【0053】
【0054】上記の組成の強誘電性液晶混合物を作成す
ることにより、カイラルスメクチックC相の温度範囲が
−31〜78℃と広範囲なものとなり、コンスーマー用デバ
イスとして十分な温度範囲を付与することができた。
【0055】また、この強誘電性液晶混合物は、各温度
により等方相、カイラルスメクチック相、スメクチック
A相、カイラルスメクチックC相を発現する。液晶分子
はネマチック相において1軸配向が決まり、ピッチのキ
ャンセルによって均一な配向性が得られ、更に2軸方向
の均一なスメクチックA相によって、良配向を得ること
ができた。
【0056】次に、本発明の第2の発明に基づく上記液
晶組成物を使用し、位相変調素子としてのウォブリング
素子(絵素ずらし素子)に好適な液晶セルを作製した例
を説明する。
【0057】図1に示したものと同一構成のセル3を同
じ方法で作製し、表2に示した強誘電性液晶組成物を注
入した。そして同様にして、コーン角の温度依存性を測
定した。
【0058】上記した理由から、ウォブリング素子とし
て十分に光を偏光させるには、このコーン角が28°以上
必要である。図3に示されるように、上記の強誘電性液
晶組成物は75℃まではコーン角28°以上を保持できる。
【0059】次に、−10〜75℃の温度範囲(例えば室
温)で例えば矩形波(30Hz、30V)の印加によりウォブ
リング動作を行ったところ、コントラストは80とな
り、良好であった。
【0060】実施例3 この実施例は、本発明の第3の発明に対応するものであ
って、使用した液晶組成物の各分子は上述した一般式17
〜26に対応する下記の構造式(1)〜(13)で表される
ものである。これらの組成比を下記の表3に示す。
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【0064】上記の組成の強誘電性液晶混合物を作成す
ることにより、カイラルスメクチックC相の温度範囲が
−33〜86℃と広範囲なものとなり、コンスーマー用デバ
イスとして十分な温度範囲を付与することができた。
【0065】また、この強誘電性液晶混合物は、各温度
により等方相、カイラルスメクチック相、スメクチック
A相、カイラルスメクチックC相を発現する。液晶分子
はネマチック相において1軸配向が決まり、ピッチのキ
ャンセルによって均一な配向性が得られ、更に2軸方向
の均一なスメクチックA相によって、良配向を得ること
ができた。
【0066】次に、本発明の第3の発明に基づく上記液
晶組成物を使用し、位相変調素子としてのウォブリング
素子(絵素ずらし素子)に好適な液晶セルを作製した例
を説明する。
【0067】図1に示したものと同一構成のセル3を同
じ方法で作製し、表3に示した強誘電性液晶組成物を注
入した。そして同様にして、コーン角の温度依存性を測
定した。
【0068】上記した理由から、ウォブリング素子とし
て十分に光を偏光させるには、このコーン角が28°以上
必要である。図4に示されるように、上記の強誘電性液
晶組成物は82℃まではコーン角28°以上を保持できる。
【0069】次に、−10〜82℃の温度範囲(例えば室
温)で例えば矩形波(30Hz、30V)の印加によりウォブ
リング動作を行ったところ、コントラストは80とな
り、良好であった。
【0070】次に、上記したセル3を使用したウォブリ
ング動作を詳細に説明する。図5及び図6は、本発明に
好適な位相変調光学素子を有するウォブリング素子を組
み込んだ光学装置の一例を概略的に示すものである。
【0071】この例は、本発明を液晶光学表示装置1に
適用したものであって、同一光路中に光の進行方向に沿
って順次配置された液晶表示素子(LCD)2と、本発
明に基づく上記液晶組成物を用いた位相変調光学素子と
しての強誘電性液晶素子(FLC)3と、水晶板等の透
明基板からなる複屈折媒体4との組み合わせによって構
成されている。ここで、理解容易のために、各構成素子
は、液晶表示素子LCDの1つの構成表示画素5に対応
した区画についてそれぞれ示されている(以下、同
様)。
【0072】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0073】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0074】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0075】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、本発明の液
晶組成物が使用され、また、複屈折媒体4には水晶板等
が使用可能である。但し、後述するように、FLCに代
えて反強誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果を示すス
メクチック液晶(例えばスメクチックA)も有効であ
り、また、水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可能であ
る。
【0076】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0077】まず、図5のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0078】一方、図6のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0079】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0080】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0081】即ち、図7に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。このコーン角は、有効なウォブリ
ング効果を得るために例えば25℃で45度であることが望
ましい。
【0082】次に、この液晶光学装置を構成する各素子
の具体的な組み合わせ例のスイッチ状態を図8に示す。
ここで組み合わせる液晶表示素子2としては、アクティ
ブマトリックスTN液晶、STN液晶表示素子、強誘電
性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子、SH表示素
子等、その種類を問わない。ここではその一例として、
TN液晶との組み合わせ例を示す。
【0083】図9に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0084】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0085】図10に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0086】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、本発明を適用できることが明確である。
【0087】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、本発明は無偏光の表示素子にも勿
論適用できる。
【0088】図11に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0089】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0090】上述した如く、本発明に基いて、ビデオレ
ートで駆動可能なカイラルスメクチック液晶をはじめと
した位相変調素子(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あ
るいは電傾効果の大きいスメクチックA液晶)3を用い
たウォブリング素子7を離散的な画素から構成される液
晶、プラズマ、LED等のディスプレイと観測者の網膜
とを結ぶ光路中に配置し、ウォブリング(絵素ずらし)
を行うことができるが、ここで、位相変調素子3として
は下記の〔1〕、複屈折媒体4としては下記の〔2〕が
挙げられる。
【0091】〔1〕ビデオレートで駆動可能な強誘電性
液晶、反強誘電性液晶あるいは電傾効果を有するスメク
チックA液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つ
の状態が存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常
光軸が26〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素
子で偏光面を回転できるように光学配置した素子。
【0092】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える透明基板であり、具体的には、ウォブリ
ング方向に等価的に一軸性の異常光軸の成分を有するよ
うに配置した素子。
【0093】これらの強誘電性液晶素子の駆動法は、従
来の一般的なFLCの駆動法を適用できる。図12に、1
フレーム、2フィールドの駆動波形の1例を示す。
【0094】図12(A)は、リセットパルス付きのパル
ス駆動であり、書込み直前にリセットパルスを加えてフ
ィールド内での電気的中性条件を保つ方法であり、液晶
に長時間の直流成分が印加されにくい。FLCの他、A
FLCにも使用できる。
【0095】図12(B)は、リセットパルス無しのパル
ス駆動であり、1フレーム内での電気的中性条件を保つ
方法である。FLCの他、AFLCにも使用できる。
【0096】図12(C)は、方形波駆動であり、1フレ
ームで電気的中性条件を保つ方法であって、パルス駆動
に比べDC電圧が印加されている時間が長いが、素子の
絶縁性が高い場合には信頼性の高い駆動法である。FL
Cの他、AFLC、電傾効果型スメクチックAにも使用
できる。
【0097】FLCの高速応答性:上記の駆動波形によ
るスイッチング特性として、立ち上がり(10−90%T)
及び立ち下がり(90−10%T)とも、いずれもμsec オ
ーダーの高速応答を示しており、1フィールド内での十
分な応答を保証し、ビデオレートでの有効な絵素ずらし
効果が初めて達成される。
【0098】特に、ウォブリング(絵素ずらし)では、
立ち上がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の
1/3以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間
との比が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0099】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。
【0100】ツイストネマチックの絵素ずらし素子で
は、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下がり時
間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSCの
2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。
【0101】これに対し、強誘電性液晶素子を用いた絵
素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶よりも
短いため、有効である。ちなみに、強誘電性液晶素子の
立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オーダーから、最
も遅いものでも数ms以下である。
【0102】下記の表4には、各種液晶の応答時間を比
較して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著
しく早い。
【0103】例えば水晶板での光学軸のずれLは下記の
式により計算される。図13のように、複屈折透明媒体4
の異常光軸10がウォブリング光学系の光軸となす角をβ
とし、水晶板4の厚みをdとする。ここで、水晶板4の
常光の屈折率no と異常光の屈折率ne は、ne =1.55
336 、no =1.54425 である。ここでは、 0.7インチ、
10.3万画素のアクティブマトリックスTN液晶ディスプ
レイを垂直方向に高解像度化するために、L=24.5μm
のずれを与える値としてβ=45度、d=4.17mmとした。
【0104】
【数1】
【0105】ここで、光軸のずれLを発現させるのに効
果的なβの範囲は10〜80度であった。この光学軸のずれ
は、構成画素ピッチにより異なる。
【0106】次に、上述の液晶光学装置を更に具体的に
説明する。
【0107】液晶表示素子の高解像度化の駆動法と動作 NTSCの2:1線飛越走査方式では、2フィールドで
完全な一つの画面(1フレーム)ができる。そして、第
1(奇数)フィールドと第2(偶数)フィールドでは、
垂直方向の位置情報に関して互いに補間しあっており、
1秒間のフィールド枚数を多くして解像度を維持する方
法である。しかし、液晶表示素子の如く、特に垂直画素
数が少ない場合に、奇数フィールドと偶数フィールドを
同一走査線上に上書きしてしまうために、本来有してい
る解像度を低下させている。
【0108】ここでは、奇数フィールドと偶数フィール
ドで同期をとって絵素ずらしを行い、高速な映像の置き
換えによる残像効果を応用して、垂直方向の高解像度化
を図った。以下に、その絵素ずらしのシフト量について
述べる。実際には、液晶には点順次あるいは線順次走査
があり、時系列的に走査されるが、ここでの説明では原
理が理解し易いように同時刻で取り扱う。
【0109】モノクロマチック表示素子、3板式カラー
表示素子或いはカラーシーケンシャル表示素子の場合:
1つのスイッチング素子が1絵素に相当するので、単純
に1絵素の絵素ずらし方向の重心点間距離(構成表示画
素間の中心間距離)の半分の長さの光軸の絵素ずらし方
向へのシフトにより、高解像度化され、同時に画素間の
非表示部位(例えばブラックマトリックス)が目立たな
くなる。しかし、シフトは絵素の重心点間距離の正確に
半分でなくてもよい。
【0110】即ち、図14に示すように、ブラックマトリ
ックス部と構成画素部の口径の大きさの違いにより、そ
の有効なシフト量が異なる。ブラックマトリックス部が
構成画素口径と同じか大きい場合、高解像度化を行いた
い方向の構成画素ピッチの半分の長さのシフト(a)が
最適であるが、その許容度は画素位置のシフトが認識さ
れる構成画素口径の半分が必要である。さらに、ブラッ
クマトリックス部が構成画素口径よりも小さい場合、最
低限、ブラックマトリックス部の長さのシフトが有効と
なる(b、c)。
【0111】絵素ずらし方向の長さ成分に対して、ブラ
ックマトリックス部の長さをLB 、構成画素口径をLA
とすると、画素ピッチはLP =LA +LB となり、絵素
ずらし量Lは、 Min(LB 、LA /2)≦ L ≦ Max(LP −LB 、L
P −LA /2) で表される。
【0112】この式をLP とLA を用いて表せば、 Min(LP −LA 、LA /2)≦ L ≦ Max(LA 、L
P −LA /2) となる。なお、上記の各式におけるMin(x、y)、Max
(x、y)はそれぞれ、x、yの内の小さい値、大きい
値を与える関数とする。
【0113】ここでの例のように、垂直方向に絵素ずら
しを行えば、図15のように垂直方向が高解像度化され
る。同様にして、水平方向に絵素ずらしを行えば、水平
方向が高解像度化される(図16)。更に、斜め方向に絵
素ずらしを行えば、垂直及び水平方向が高解像度化され
る(図17)。
【0114】カラーフィルタを有するカラー液晶表示素
子の場合:通常のカラー表示素子では、R、G、Bカラ
ーフィルタのトリオにより1絵素を構成している。R、
G、Bの配置法は、インライン配列(図18)、デルタ配
列(図19)等があるが、ここでの光軸のシフト量は絵素
ずらし方向の最近接RGBトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。
【0115】このような絵素ずらし素子の絵素ずらし方
向は、垂直方向だけでなく、水平方向或いは斜め方向も
含む2次元の絵素ずらしにより、ずらした方向の解像度
を向上させることができる。更に、絵素ずらし範囲は、
絵素ずらし方向の長さ成分に対する構成画素口径LA
RGBの画素トリオのものとし、ブラックマトリックス
部の長さをLB とすることにより、上記したモノクロマ
チック表示素子と同様の条件とすることができる。
【0116】絵素ずらし動作における駆動電極分割数の
範囲:上述したような、高解像度化されるべき素子は、
原理的には、1画素当たりの各々のスイッチングに同期
させた絵素ずらしを必要とする。この場合には、点順次
走査の場合はTFT(Thin Film Transistor) のマトリ
ックスのように画素数分の絵素ずらし素子が必要とな
る。さらに、線順次走査の場合は、水平走査線の数の電
極分割が必要であることになる。
【0117】従って、高解像度化したい表示素子の水平
走査線数をNとした場合、線順次走査の時は透明電極を
垂直方向に1/N分割するのが理想的である。しかし、
高解像度化のためには、コスト的に同等の絵素ずらし素
子が必要となってしまう。そこで、本発明者は、ヒュー
マンファクタによりこの電極分割上限を低下させ、コス
トダウンを行えると考え、次に示す実験を行った。
【0118】上記のTFTカラー液晶表示素子と組み合
わせ、垂直同期信号に同期させて強誘電性液晶素子のス
イッチングのタイミングをとったところ、時系列データ
を考慮しないで、パネル全面のFLC素子のスイッチン
グを行っても、パネル垂直方向の約1/4が 240TV本
から 370TV本へと高解像度化された。
【0119】ここでの実験から、1/4程度までの垂直
方向の分割でも高解像度化が有効であることが判った。
即ち、高解像度化のためには、水平走査線数Nの表示素
子と組み合わせる絵素ずらし素子は垂直方向にN分割〜
1分割すれば良いが、パネル全面の高解像度化を行うた
めには、N分割〜3分割が好ましい。さらに、電極加工
精度、コスト等を考慮すれば、N/2或いは(N+1)
/2のうちのいずれかの整数分割以下が好ましい。
【0120】5分割電極構成によるFLC絵素ずらし素
子の高解像度化の具体例:図20に分割電極の組み合わせ
例を示す。この分割電極はガラス基板上に透明電極(I
TO)13、14を形成し、電極を5分割するようにエッチ
ングした。ITO電極間距離(エッチング部分)を10μ
mとした。この電極間距離はセルギャップよりも大きい
(更には、非表示部位よりは短い)ことが電極間電位差
による絶縁破壊防止、即ち、耐圧等の点で必要である。
ここでは、セルギャップは1μm〜3.0μmとした。分
割電極の組み合わせは、片側をコモン電極としてもよ
く、また、両側を分割電極としてもよいことは容易に判
る。
【0121】さらに、配向膜としてはSiO配向膜を用
い、セル組み立て方法及び液晶注入方法は単極セルの場
合と同様である。液晶配向方向については絵素ずらし方
向を考慮して設定した。
【0122】絵素ずらし素子の同期信号について: 飛越走査法(インターレース) 動画像、例えば映画では毎秒24こま、テレビでは毎秒25
枚または30枚の画像を送っている。しかし、毎秒24枚か
ら30枚ではフリッカー妨害が大きく、使用に絶えない。
このため、映画では1こまを2回ずつ照射し、毎秒48こ
まの繰り返しを行い、テレビでは飛越走査法を用いて伝
送帯域幅を増加しないで毎秒の繰り返し回数を増やして
いる。日本国内標準では2:1線飛越走査法を使用して
いる。
【0123】即ち、図21に示すように、a点から開始し
た走査はN/2回の水平走査でb点に達して、垂直帰線
期間にc点に移り、さらにN/2回の水平走査でd点に
達し、垂直基線期間に再びa点に戻る。dからbに至る
期間を第1(奇数)フィールドといい、bからdに至る
期間を第2(偶数)フィールドという。2:1線飛越走
査方式では2フィールドで完全な一つの画面(1フレー
ム)ができる。この他、3:1、5:1線飛越走査方式
などがある。
【0124】NTSC方式等の線順次走査の画面表示を
行う際に、現在のCRTではアナログ的なためにその解
像度においては問題が少ないが、液晶、プラズマ、EL
等の如く画素が離散的なディスプレイについては、離散
的画素配列のためにかなりの水平方向の位置情報が欠落
したり、走査線の情報を欠落するか、あるいは輝度信号
の位置分解能を低下させる(即ち、ディスプレイの解像
度を低下させる)ことについては、既述した通りであ
る。
【0125】ここで、絵素ずらし(ウォブリング)のタ
イミングをとる具体的方法を示す。テレビ信号は、図22
に示すように各フィールドの輝度信号と垂直同期パル
ス、水平同期パルス、色信号、色同期パルスから構成さ
れている。ここでは、奇数フィールド(第1フィール
ド)及び偶数フィールド(第2フィールド)の垂直同期
パルスを検出し、ここからFLCドライバに同期信号を
送り、続いて、ドライバ内で各チャンネル毎にディレイ
を与えたドライブ波形をFLCセルに送れば良い。
【0126】分割FLC素子とFLCドライブ回路とビ
デオ信号処理系との同期について:図23に、電極の構成
とドライブ回路、ビデオ信号処理系の接続と同期方法に
ついて示した。即ち、ビデオ信号処理装置40によって、
奇数フィールド(第1フィールド)及び偶数フィールド
(第2フィールド)の各同期パルスとRGB信号を表示
素子2に供給すると同時に、各フィールドの垂直同期パ
ルスを検出してFLCドライバ41に同期信号を送り、続
いて、ドライバ41内で各チャンネル毎にディレイを与え
たドライブ波形をFLCセル3に送る。
【0127】図24のようにし、全面ITOの側をコモン
電極とし、5分割電極側をCh1〜Ch5に分けて、図
示したようにパルス駆動した。即ち、検出した垂直同期
信号を基準とし、1フィールドの時間を5分割し、各チ
ャンネルでシーケンシャルに遅れを与えた。従って、T
N液晶表示素子2の駆動とFLC素子3の駆動は同期し
ていることが重要である。なお、これらの駆動波形は、
一般的なFLCの駆動法及び矩形波駆動を適用できる。
【0128】さらに、絵素ずらしの方向を変える具体的
方法を説明する。表示素子2の垂直方向を高解像度化す
る場合(図25)と、垂直、水平方向を高解像度化する方
法(図26)を示す。この結果、各目的とした方向の高解
像度化が確認できた。
【0129】上記の5分割FLC素子において、ドライ
ブ条件、光学的配置、絵素ずらし量を考慮して高解像度
化の検討を行ったところ、 0.7インチ、10.3万画素のア
クティブマトリックスTN液晶ディスプレイにおいてパ
ネル全面に亘って 240TV本から 370TV本以上へと高
解像度化し、更に、非表示部位であるブラックマトリッ
クスが目立たなくなり、高解像度でかつ滑らかな画面が
達成できた。
【0130】これらの高解像度化技術は直視型、反射
型、投射型等、様式を問わずに使用できる。このうち、
図27〜図28に投射型ディスプレイの二例をそれぞれ示し
た。
【0131】図27の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0132】図28はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0133】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0134】撮像素子への適用 本発明は、上述した表示素子2に限らず、離散的な画素
から構成されるCCD等の撮像素子と被写体とを結ぶ光
路中に上述したウォブリング素子7を配置する場合にも
適用される。
【0135】本発明を図29及び図30に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0136】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、例
えば1/3インチCCDを水平方向、垂直方向あるいは
水平及び垂直方向に同時に高解像度化するため、β=45
度として水晶板の厚さdを調整することにより、絵素ず
らしの量を調節した。1/3インチCCDの水平方向の
ピッチが6.35μm、垂直方向のピッチが 7.4μmである
ので、各方向への高解像度化のための絵素ずらし量は、
各ピッチの約1/2の3.18μm、 3.7μmとすれば良
い。更に、斜め方向の絵素ずらしの場合は水平、垂直方
向成分を各辺とした長方形の対角線の長さのシフトが必
要となり、この時は、4.88μmとすれば良い。
【0137】例えば、L=3.7 μmのずれを与えるた
め、β=45度、d=0.63mmとした。ここで、光軸のずれ
Lを発現させるのに効果的なβの範囲は10〜80度であっ
た。
【0138】撮像素子を使用する際、被写体と撮像素子
4を結ぶ光路中に、被写体−偏光子−FLC素子−複屈
折基板−撮像素子の順序で配置される。この場合、レン
ズ系、アイリス、波長制限フィルタは被写体と撮像素子
を結ぶ光路中のどこに配してもよい。
【0139】図29、図30に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0140】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができる。
【0141】素子環境温度のために、見かけのコーン角
が45度から外れる(例えば45+γ度:ここでγは45>γ
>−45)場合、ウォブリング動作において、スイッチ状
態の片方の液晶ダイレクタの光軸を理想的に偏光板の偏
光面に平行あるいは直交して合わせると、このスイッチ
状態では透過光の偏光面は変化しない。この場合には、
偏光面が回転していないため、例えば図29のように水晶
板4の異常光軸の方向に 100%の光が屈折し、光軸から
のずれを与える。この時、a点以外の成分はほとんどな
い。
【0142】もう一方のスイッチ状態では、45+γ度と
なるために、γが正の場合は透過光の偏光面は90度以上
の回転をし、γが負の場合は偏光面は90度まで回転しな
い。偏光面が完全に90度回転した時には、図30に示した
ようにa’の成分がほぼ 100%となる。
【0143】図31には、具体的な配置例を示した。ビデ
オカメラ、スチルビデオカメラ等の光学系の場合、外界
からの入射光は概ね偏光していないので、外界(被写
体)と強誘電性スイッチング素子の間に偏光板を入れる
ことを特徴とし、レンズ、絞りに対しての位置関係を問
わない。その他の光学配置は、被写体−レンズ−絞り−
偏光板−強誘電性スイッチング素子−一軸的な光学異方
性を有する透明基板−撮像素子の順である。ここで組み
合わせる撮像素子としては、CCD、MOS型素子等、
その種類を問わない。
【0144】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。
【0145】即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、離
散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0146】特に垂直解像度だけでなく、水平解像度も
向上させるためには、1フレームをさらに3フィール
ド、4フィールドとしなければならないが、このために
も強誘電性液晶素子の高速応答性が必要である。ツイス
トネマチックの絵素ずらし素子では、透過率変化0〜90
%での立ち上がり+立ち下がり時間は最小で15msec程度
(室温)でり、NTSCの2:1線飛越走査方式(1フ
ィールド当たり1/60秒((16.7ms))でもかなり実現
が困難であり、さらにフレーム数が同じで4:1線飛越
走査方式を適用すれば、1フィールド当たり1/120 秒
(8.3ms)であり、全く追従できなくなる。
【0147】この点、強誘電性液晶素子を用いた絵素ず
らし法は、そのスイッチング時間がTN液晶よりも短い
ため、有効であることがわかる。ちなみに、強誘電性液
晶素子の立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オーダー
から、最も遅いものでも数ms以下である。
【0148】モノクロマチック撮像素子、3板式カラー
撮像素子の場合:1つのスイッチング素子単位が1絵素
に相当するので、単純に解像度改善方向の1絵素の重心
点間距離の半分の長さの光軸の解像度改善方向へのシフ
トにより、高解像度化される。さらに、その許容範囲は
シフト長の50%〜150 %が適当である。
【0149】カラーフィルタを有する撮像素子の場合:
R、G、Bカラーフィルタのトリオにより1絵素を構成
している。R、G、Bの配置法はデルタ配列、インライ
ン配列等があるが、ここでの光軸のシフト量は解像度改
善方向の最近接R、G、Bトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。さらに、その許容範囲はシフト
長の50〜150 %が適当である。
【0150】これらセルのビデオカメラ:ハンディカム
TR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0151】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図32のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0152】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図32、図33)。
【0153】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0154】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0155】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図34に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図35
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0156】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0157】図36には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0158】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0159】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0160】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0161】例えば、上述した液晶素子に使用する液晶
の成分の配合比は様々に変化させることができ、また、
他の公知のカイラル又は非カイラル液晶を更に添加する
こともできる。
【0162】液晶素子の各構成部分の構造、材質や形
状、組み立て方法等は種々変更してよい。基板もガラス
板ではなく、他の光学的に透明な材質であればよい。
【0163】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムと共に、同システム
に組み込み可能なウォブリング素子も包含することは勿
論である。
【0164】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、上述した各
種一般式1〜10、11〜16、17〜26の各化合物の混合物に
よって液晶材料を構成しているので、特にウォブリング
素子用として広範囲な温度条件での使用を可能にし、温
度差が大きくても、安定性良く高コントラストを得るこ
とができ、世界的な地域において十二分に使用できる。
【0165】しかも、本発明の液晶材料は、実際には、
各温度により等方相、カイラルネマチック相、カイラル
スメクチックC相を発現することも重要である。即ち、
液晶分子は、ネマチック相においてその1軸配向が決ま
り、ピッチのキャンセルによって均一な配向性が得られ
るものとなっている。従って、強誘電性液晶であっても
容易に均一な配向を得ることができるため、特にウォブ
リング素子用の液晶材料として、コントラストが向上
し、偏光した光の無駄がなく、より高解像度が得られ
る。
【0166】そして、本発明の液晶材料は、電界の作用
に対して液晶ダイレクタの方向が変化し易く、応答速度
が非常に早いので、ビデオレートでの駆動が十分可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な液晶セルの概略断面図であ
る。
【図2】本発明の実施例による液晶セルのコーン角の温
度依存性を示すグラフである。
【図3】本発明の他の実施例による液晶セルのコーン角
の温度依存性を示すグラフである。
【図4】本発明の更に他の実施例による液晶セルのコー
ン角の温度依存性を示すグラフである。
【図5】同液晶セルを使用した表示装置の状態1での概
略図である。
【図6】同表示装置の状態2での概略図である。
【図7】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図8】同表示装置の具体例の各スイッチ状態での概略
図である。
【図9】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図10】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図11】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図12】同位相変調素子の各種駆動方法を示す波形図で
ある。
【図13】複屈折媒体による光軸のずれの説明図である。
【図14】ウォブリング(絵素ずらし)時のシフト量を各
場合で示す概略図である。
【図15】ウォブリング状態の説明図である。
【図16】他のウォブリング状態の説明図である。
【図17】更に他のウォブリング状態の説明図である。
【図18】RGBインライン配列表示素子のウォブリング
状態の説明図である。
【図19】RGBデルタ配列表示素子のウォブリング状態
の説明図である。
【図20】位相変調素子における分割電極を示す概略斜視
図である。
【図21】インターレース走査法の説明図である。
【図22】テレビの各フィールドでの同期信号の波形図で
ある。
【図23】上記表示装置の各素子間の接続関係を示すブロ
ック図である。
【図24】電極分割型の位相変調素子の駆動波形図であ
る。
【図25】同素子を用いた表示装置の概略図である。
【図26】同素子を用いた他の表示装置の概略図である。
【図27】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図28】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図29】上記液晶セルを使用した撮像装置の状態1での
概略図である。
【図30】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図31】同撮像装置の具体例の概略図である。
【図32】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図33】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図34】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図35】他の実装例の断面図である。
【図36】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子(液晶セル) 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 61・・・赤外カットフィルタ 64・・・光学ローパスフィルタ 71・・・撮像装置
フロントページの続き (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 仁藤 敬一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 安田 章夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (72)発明者 村城 勝之 大阪府大阪市北区中之島3丁目6番32号 チッソ株式会社 内 (72)発明者 岡部 英二 大阪府大阪市北区中之島3丁目6番32号 チッソ株式会社 内 (72)発明者 斉藤 伸一 大阪府大阪市北区中之島3丁目6番32号 チッソ株式会社 内 (56)参考文献 特開 平1−256590(JP,A) 特開 平1−221488(JP,A) 特開 平4−4290(JP,A) 特開 平6−228560(JP,A) 特開 平6−194693(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/02 - 19/46 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式1〜10で表される各化合物
    の混合物からなる液晶材料。 【化1】 【化2】 (但し、上記の各一般式において、R1 及びR2 は、炭
    素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
    アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
    含んでいてもよく、R3 及びR4 は、炭素数2〜14で同
    一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
    又はアルコキシ基であり、xは0〜8を示し、C*は不
    斉炭素原子を示す。)
  2. 【請求項2】 一般式1〜10で表される各化合物の混合
    物からなり、その全体の重量に対して一般式1の化合物
    の混合割合が9〜19重量%であり、一般式2の化合物の
    混合割合が1〜11重量%であり、一般式3の化合物の混
    合割合が17〜27重量%であり、一般式4の化合物の混合
    割合が3〜13重量%であり、一般式5の化合物の混合割
    合が2〜12重量%であり、一般式6の化合物の混合割合
    が16〜26重量%であり、一般式7の化合物の混合割合が
    5〜15重量%であり、一般式8の化合物の混合割合が1
    〜10重量%であり、一般式9の化合物の混合割合が1〜
    9重量%であり、一般式10の化合物の混合割合が1〜9
    重量%である、請求項1に記載した液晶材料。
  3. 【請求項3】 −41〜74℃の温度範囲内にカイラルスメ
    クチックC相を示す強誘電性液晶からなる、請求項1又
    は2に記載した液晶材料。
  4. 【請求項4】 −10〜72℃の温度範囲内で電場の存在に
    より駆動される強誘電性液晶からなる、請求項1〜3の
    いずれか1項に記載した液晶材料。
  5. 【請求項5】 下記の一般式11〜16で表される各化合物
    の混合物からなる液晶材料。 【化3】 (但し、上記の各一般式において、R5 及びR6 は、炭
    素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
    アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
    含んでいてもよく、R7 及びR8 は、炭素数2〜14で同
    一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
    又はアルコキシ基を示し、yは0〜8を示し、C*は不
    斉炭素原子を示す。)
  6. 【請求項6】 一般式11〜16で表される各化合物の混合
    物からなり、その全体の重量に対して一般式11の化合物
    の混合割合が28〜47重量%であり、一般式12の化合物の
    混合割合が3〜13重量%であり、一般式13の化合物の混
    合割合が29〜39重量%であり、一般式14の化合物の混合
    割合が1〜11重量%であり、一般式15の化合物の混合割
    合が1〜11重量%であり、一般式16の化合物の混合割合
    が1〜9重量%である、請求項5に記載した液晶材料。
  7. 【請求項7】 −31〜78℃の温度範囲内にカイラルスメ
    クチックC相を示す強誘電性液晶からなる、請求項5又
    は6に記載した液晶材料。
  8. 【請求項8】 −10〜75℃の温度範囲内で電場の存在に
    より駆動される強誘電性液晶からなる、請求項5〜7の
    いずれか1項に記載した液晶材料。
  9. 【請求項9】 下記の一般式17〜26で表される各化合物
    の混合物からなる液晶材料。 【化4】 (但し、上記の各一般式において、R9 及びR10は、炭
    素数1〜18の直鎖状又は不斉炭素を含まない分岐鎖状の
    アルキル基であってその基中に二重結合又は三重結合を
    含んでいてもよく、R11及びR12は、炭素数2〜14で同
    一の若しくは相異なる直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基
    又はアルコキシ基を示し、zは0〜8を示し、C*は不
    斉炭素原子を示す。)
  10. 【請求項10】 一般式17〜26で表される各化合物の混合
    物からなり、その全体の重量に対して一般式17の化合物
    の混合割合が15〜25重量%であり、一般式18の化合物の
    混合割合が15〜25重量%であり、一般式19の化合物の混
    合割合が5〜15重量%であり、一般式20の化合物の混合
    割合が15〜25重量%であり、一般式21の化合物の混合割
    合が1〜10重量%であり、一般式22の化合物の混合割合
    が7〜17重量%であり、一般式23の化合物の混合割合が
    1〜8重量%であり、一般式24の化合物の混合割合が1
    〜7重量%であり、一般式25の化合物の混合割合が1〜
    8重量%であり、一般式26の化合物の混合割合が1〜10
    重量%である、請求項9に記載した液晶材料。
  11. 【請求項11】 −33〜86℃の温度範囲内にカイラルスメ
    クチックC相を示す強誘電性液晶からなる、請求項9又
    は10に記載した液晶材料。
  12. 【請求項12】 −10〜82℃の温度範囲内で電場の存在に
    より駆動される強誘電性液晶からなる、請求項9〜11の
    いずれか1項に記載した液晶材料。
  13. 【請求項13】 等方相、カイラルネマチック相、スメク
    チックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の順で相
    転移をする強誘電性液晶からなる、請求項1〜12のいず
    れか1項に記載した液晶材料。
  14. 【請求項14】 光学的に透明な電極と配向膜とをこの順
    に設けた光学的に透明な基体の複数個が前記電極及び前
    記配向膜の側で互いに所定の間隔を隔てて対向配置さ
    れ、前記間隙内に請求項1〜13のいずれか1項に記載し
    た液晶材料が注入されており、光学的に透明な複屈折媒
    体と組み合わされることによって、出射光の光軸を所定
    方向にずらすためのウォブリングを行うのに用いられる
    光変調素子。
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