JPH0720417A - 液晶材料及び光変調素子 - Google Patents

液晶材料及び光変調素子

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JPH0720417A
JPH0720417A JP5187366A JP18736693A JPH0720417A JP H0720417 A JPH0720417 A JP H0720417A JP 5187366 A JP5187366 A JP 5187366A JP 18736693 A JP18736693 A JP 18736693A JP H0720417 A JPH0720417 A JP H0720417A
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liquid crystal
smectic
chiral
order
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JP5187366A
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English (en)
Inventor
Eriko Matsui
恵理子 松居
Hidehiko Takanashi
英彦 高梨
Shichiyou Hide
史朝 秀
Nobue Kataoka
延江 片岡
Eiho You
映保 楊
Keiichi Nito
敬一 仁藤
Akio Yasuda
章夫 安田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 −40〜80℃の温度範囲にカイラルスメクチッ
クC相、カイラルスメクチックCA 相又はスメクチック
A相を示す強誘電性液晶又は反強誘電性液晶からなる液
晶材料。 【効果】 広範囲な温度条件での使用を可能にし、温度
差が大きくても、世界的な地域において十二分に使用で
き、また、強誘電性液晶であっても容易に均一な配向を
得ることができるため、特にウォブリング素子用の液晶
材料として、コントラストが向上し、偏光した光の無駄
がなく、より高解像度が得られる。しかも、応答速度が
非常に早くて、ビデオレートでの駆動が十分可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶、プラズマ、EL
(エレクトロルミネッセンス)等の如く画素が離散的な
ディスプレイや、撮像画素が離散的なCCD(電荷結合
素子)により代表される固体撮像素子のウォブリングに
好適な光変調素子用液晶材料及び光変調素子に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】液晶、プラズマ、EL等の如くモザイク
状、ドット状等の離散的な画素配列を持った表示素子に
対して、NTSC方式等で線順次走査の画素表示を行う
際、本来アナログ信号であるべき輝度信号が粗くサンプ
リングされて水平方向の位置情報が欠落してしまう。ま
た、垂直方向の画素分解能が走査線数だけ実装できない
場合、走査線の情報を欠落するか、あるいは同一画素上
に上書きするために、輝度信号等の位置分解能(即ち、
ディスプレイの解像度)を低下させていた。
【0003】例えば、NTSC方式で駆動するTFT(T
hin-Film-Transistor)−TN(Twisted Nematic)の液晶
ビューファインダーにおいて、NTSC方式では、1フ
レーム(つまり、ビューファインダーが表示する一枚の
絵)は、偶数本目の走査線と奇数本目の走査線からそれ
ぞれ成る二つのフィールドで形成され、フレーム周波数
は30Hz(つまり、フィールド周波数は60Hz)である。現
状のTFTビューファインダーは、NTSC方式の走査
線数 525本を実装できないため、奇数フィールドと偶数
フィールドを同一画素に書き込む等の方法をとってい
る。このため、垂直分解能がNTSC方式の原理よりも
低下しているのが現状である。
【0004】また、画素サイズが大きく、さらにブラッ
クマトリックス等の非表示画素部分のつなぎ目の存在に
より、離散的画素配列のモザイク状の画面が目立ち、画
面の質感を低下させていた。
【0005】上記の現象は、CCDによる撮像において
も同様に生じる。即ち、CCDを構成している撮像画素
が離散的なために、被写体の画像情報が構成画素ピッチ
でサンプリングされてしまうため、水平及び垂直の空間
分解能を低下させていた。
【0006】そこで、ウォブリング技術を採用して、絵
素ずらし素子を導入し、奇数フィールドと偶数フィール
ドの画像を空間的にずらすことにより、垂直分解能を向
上させる方法が提案されている。これは、水平方向にも
適用され、水平分解能の向上も可能である。
【0007】しかし、これまで提案されているウォブリ
ング素子に使用される位相変調光学素子では、応答速度
が遅く、ビデオレートでは駆動できないため、実用的で
はなく、また、高解像度化及び高画質化に十分に対応で
きないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離散
的画素からなるディスプレイや、離散的受光画素からな
る固体撮像素子等に対して高速のウォブリング(絵素ず
らし)を可能にし、高解像度化及び高画質化を効率よく
達成できる上記位相変調光学素子の如き光変調素子に好
適な液晶材料、及びこの液晶材料を用いた光変調素子を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、−40〜
80℃(特に−30〜70℃)の温度範囲内にカイラルスメク
チックC相を示す強誘電性液晶(FLC)と;−40〜80
℃(特に−30〜70℃)の温度範囲内にカイラルスメクチ
ックCA 相を示す反強誘電性液晶(AFLC)と;−40
〜80℃(特に−30〜70℃)の温度範囲内にスメクチック
A相を示しかつ電傾効果の大きい強誘電性液晶(特にス
メクチックA)と;からなる群より選ばれた液晶からな
っているウォブリング素子用液晶材料に係るものであ
る。
【0010】本発明に使用する上記の各液晶は、ウォブ
リング動作時に、−10〜70℃の温度範囲で電場の存在に
より駆動される液晶であることが望ましい。
【0011】また、本発明の液晶材料は、実際には、等
方相、カイラルネマチック相、スメクチックA相、カイ
ラルスメクチックC相、結晶の順:I−N* −SmA−
SmC* −C(但し、高次のスメクチック相がないか或
いは1種以上あってもよい。)で相転移をする強誘電性
液晶と;等方相、カイラルネマチック相、スメクチック
A相、カイラルスメクチックC相、カイラルスメクチッ
クCA 相、結晶の順:I−N* −SmA−SmC* −S
mCA * −C(但し、高次のスメクチック相がないか或
いは1種以上あってもよい。)で相転移をする反強誘電
性液晶と;等方相、カイラルネマチック相、スメクチッ
クA相、カイラルスメクチックC相、結晶の順:I−N
* −SmA−SmC* −C(但し、高次のスメクチック
相がないか或いは1種以上あってもよい。)で相転移を
しかつ電傾効果の大きい強誘電性液晶と;のいずれかの
液晶からなっているのがよい。
【0012】或いは、本発明の液晶材料は、等方相、カ
イラルネマチック相及び/又はスメクチックA相、カイ
ラルスメクチックC相、結晶の順:I−(N* 及び/又
はSmA)−SmC* −C(但し、高次のスメクチック
相がないか或いは1種以上あってもよい。)で相転移を
する強誘電性液晶と;等方相、カイラルネマチック相と
スメクチックA相とカイラルスメクチックC相とのうち
の少なくとも1種の相、カイラルスメクチックCA 相、
結晶の順:I−(N* 、SmA及びSmC* の少なくと
も1種)−SmCA * −C(但し、高次のスメクチック
相がないか或いは1種以上あってもよい。)で相転移を
する反強誘電性液晶と;等方相、スメクチックA相、カ
イラルスメクチックC相、結晶の順:I−SmA−Sm
* −C(但し、高次のスメクチック相がないか或いは
1種以上あってもよい。)で相転移をしかつ電傾効果の
大きい強誘電性液晶と;のいずれかの液晶からなってい
るのがよい。
【0013】本発明の液晶材料は、後述する液晶成分の
組み合わせによって、そのカイラルスメクチックC相、
カイラルスメクチックCA 相又はスメクチックA相を発
現する温度範囲が−40〜80℃(特に−30〜70℃)に拡大
されていることが、従来の液晶材料にはなく、特にウォ
ブリング素子用として広範囲な温度条件での使用をはじ
めて可能にしたものである。
【0014】特に、上記温度範囲は、その下限(低温
側)が−40℃(特に−30℃)にまで下げられており、ま
たその上限(高温側)が80℃(特に77℃、更には70℃)
にまで高められていることが極めて重要である。従っ
て、この液晶材料を使用したデバイス(ウォブリング素
子用の光変調素子)は、温度差が大きくても、世界的な
地域において十二分に使用できるものとなる。
【0015】しかも、本発明の液晶材料は、実際には、
各温度により上記した等方相、カイラルネマチック相、
カイラルスメクチックC相を発現することも重要であ
る。即ち、液晶分子は、ネマチック相においてその1軸
配向が決まり、ピッチのキャンセルによって均一な配向
性が得られるものとなっている。従って、強誘電性液晶
であっても容易に均一な配向を得ることができる。これ
によって、ウォブリング素子用の液晶材料として、コン
トラストが向上するため、偏光した光の無駄がなく、よ
り高解像度が得られる。
【0016】本発明の液晶材料をウォブリング素子用の
光変調材料として使用する際、この光変調素子は、光学
的に透明な電極と配向膜とをこの順に設けた光学的に透
明な基体の複数個が前記電極及び前記配向膜の側で互い
に所定の間隙を隔てて対向配置され、前記間隙内に本発
明の液晶材料が注入されており、光学的に透明な複屈折
媒体と組み合わされることによって、出射光の光軸を所
定方向にずらすように構成されるのが望ましい。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0018】まず、本発明に使用可能な液晶材料のう
ち、強誘電性液晶について説明する。 <強誘電性液晶>下記の一般式(1)で表される2環性
フェニルピリミジンを主体とする非カイラル液晶を混合
し、下記の一般式(2)で表されるカイラル液晶の1種
以上を90重量%以下で添加して強誘電性液晶(組成物)
Iを作製した。
【0019】一般式(1):
【化1】 (R1、R2はそれぞれ、炭素数4から12のアルキル基又は
アルコキシ基である。)
【0020】一般式(2):
【化2】
【0021】この一般式(2)の化合物のうち、特に次
の一般式(2a)のものが好ましい。 一般式(2a):
【化3】 (R3は炭素数4〜12のアルキル基又はアルコキシ基、例
えばC8H17 、C8H17O、C10H21、C10H21O 、C12H25、C12H
25O であり、C* は光学活性不斉炭素である。)
【0022】この強誘電性液晶組成物I、即ち、一般式
(1)と(2)の化合物の混合物における混合割合とし
ては、カイラル化合物を90重量%以下、特に1〜50重量
%(更には2〜30重量%)とするのがよい。このカイラ
ル化合物の割合が多すぎると動作温度範囲が狭くなるお
それがあり、また少なすぎると自発分極が小さくなって
応答速度が遅くなり易い。
【0023】そして、この強誘電性液晶組成物Iは、カ
イラル化合物のコア核にフッ素が置換導入されていて、
非カイラル液晶との混合系において大きな自発分極を発
現する。しかし、この混合物は比較的高コントラストが
得られるが、カイラルスメクチックC相を示す温度範囲
は−10〜40℃であり、コンスーマー用デバイスとしては
使用できない。
【0024】そこで、上記組成物Iに、下記の一般式
(3)で表される3環性(ビフェニルピリミジン、ビフ
ェニルピリジン)化合物の1種以上をそれぞれ、アルキ
ル鎖の長さを考慮して(アルキル鎖の炭素数は奇数、ま
たアルコキシ鎖では偶数とするのがよい。)15〜45重量
%添加し、強誘電性液晶組成物IIを作製すると、カイラ
ルスメクチックC相の高温側の温度を77℃まで上げるこ
とができた。
【0025】一般式(3):
【化4】 (R4〜R11 は炭素数4〜12のアルキル基又はアルコキシ
基、例えばC4H9O 、C6H13O、C8H17O、C5H11 、C7H15
C9H19 のいずれかである。)
【0026】また、この組成物に、上記とは構造の異な
る下記の一般式(4)で表される3環性の化合物の1種
以上を、粘性を考慮して5〜30重量%添加することによ
り、カイラルスメクチックC相の低温側の温度を−40℃
まで下げることができた。
【0027】一般式(4):
【化5】 (R12〜R15 はそれぞれ、炭素数4〜12のアルキル基又は
アルコキシ基である。)
【0028】このように、上記の組成物Iに一般式
(3)及び(4)の化合物の所定量を添加することによ
り、カイラルスメクチックC相の温度範囲が−40℃〜77
℃である強誘電性液晶組成物IIを作製でき、コンスーマ
ー用デバイスとして十分な温度範囲を付与することがで
きた。
【0029】また、この組成物IIは、各温度により等方
相、カイラルネマチック相、カイラルスメクチックC相
を発現する。液晶分子はネマチック相において1軸配向
が決まり、ピッチのキャンセルによって均一な配向性が
得られるが、次のカイラルスメクチックC相に転移する
際、2軸方向の均一性を十分に得るにはネマチック相で
の温度において長時間の放置が必要となる。そのため生
産性を考慮するならば、カイラルネマチック相とカイラ
ルスメクチックC相の間に、2軸方向の均一なスメクチ
ックA相を発現することにより良配向の効果が期待でき
る。
【0030】このため、上記の組成物に、 137〜239 ℃
の温度範囲でスメクチックA相を発現する下記の一般式
(5)で表されるターフェニル系化合物を5〜15重量%
添加した。この混合により、組成物はスメクチックA相
を発現し、液晶の配向性が一層向上すると共に、さらに
AC(スメクチックA−カイラルスメクチックC)転移
点を数度上げることができた。
【0031】一般式(5):
【化6】 (R16、R17 はそれぞれ、炭素数1〜12のアルキル基、例
えばC3H7である。)
【0032】以上に述べたことから、本発明に基づく液
晶組成物は、カイラルスメクチックC(SmC* ) を示
す温度範囲を−40〜80℃、特に−30〜70℃に拡大するこ
とができるものである。そして、この液晶組成物の相転
移系列は好ましくは、等方相、カイラルネマチック相、
スメクチックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の
順:I−N* −SmA−SmC* −C(但し、高次のス
メクチック相がないか或いは1種以上あってもよ
い。)、或いは、等方相、カイラルネマチック相及び/
又はスメクチックA相、カイラルスメクチックC相、結
晶の順:I−(N* 及び/又SmA)−SmC* −C
(但し、高次のスメクチック相がないか或いは1種以上
あってもよい。)である。
【0033】本発明には、上記の強誘電性液晶(FL
C)以外にも、下記の反強誘電性液晶(AFLC)や、
電傾効果の大きいスメクチックA相を示す液晶も使用可
能である。
【0034】<反強誘電性液晶>反強誘電性液晶は、C
handani らにより1988年に見出されたものであって、次
の3点を特徴としている。 (1)反強誘電状態と2つの強誘電状態の3安定状態間
のスイッチングを利用する。 (2)明確なしきい値特性を示し、マルチプレクス駆動
した時のコントラストを高くとれる。 (3)プラスとマイナスのヒステリシスを交互に使い、
内部分極の発生が抑えられるため、焼き付き現象が起こ
りにくい。
【0035】この反強誘電性液晶材料の特徴としては、
強誘電性液晶と異なり、カイラル液晶がその組成物のほ
とんどであるということ(自発分極が大きく、強誘電性
液晶のほぼ10倍)、不斉炭素に関する置換基はCH
3 基、CF3 基、C2 5 基をもつ化合物は容易に反強
誘電性を示し、コア構造が拡張する。例えば、チッソ社
製のCS−4000がある。
【0036】そして、この反強誘電性液晶は、本発明に
基いて、上記したFLCの場合と同様にして、−40〜80
℃(特に−30〜70℃)にカイラルスメクチックCA 相を
示すように調製することができる。
【0037】また、等方相、カイラルネマチック相、ス
メクチックA相、カイラルスメクチックC相、カイラル
スメクチックCA 相、結晶の順:I−N* −SmA−S
mC* −SmCA * −C(但し、高次のスメクチック相
がないか或いは1種以上あってもよい。)で相転移する
ことができる。或いは、等方相、カイラルネマチック相
とスメクチックA相とカイラルスメクチックC相とのう
ちの少なくとも1種の相、カイラルスメクチックC
A 相、結晶の順:I−(N* 、SmA及びSmC*の少
なくとも1種)−SmCA * −C(但し、高次のスメク
チック相がないか或いは1種以上あってもよい。)で相
転移することもできる。
【0038】<電傾効果の大きい強誘電性液晶>電傾効
果とは、カイラル分子によって構成されるスメクチック
A相において、温度を一定としたときに電場によって配
向ベクトルの傾き角が誘起される現象である。スメクチ
ックA相において、配向ベクトルはスメクチック層の法
線方向を向き、長軸回りに自由回転しているが、層に沿
った電場を印加することによって自由回転が阻害され、
電場方向の分極Pが誘起される。
【0039】分極Pと傾き角θの線形結合をP=kθと
仮定すれば、 P=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε 従って、θ=(ε⊥* −ε⊥0)εO Ε/kのように、
印加電場Eに比例した傾き角が生じる。ここで、ε⊥*
とε⊥0は光学活性物質のラセミ体の誘電率、εO は真
空の誘電率である。このことから、カイラル液晶のラセ
ミ体のそれぞれの誘電率の差が大きいほど、大きな電傾
効果を現す。
【0040】そして、電傾効果の大きい(スメクチック
A相を示す)強誘電性液晶は、本発明に基いて、上記し
たFLCの場合と同様にして、−40〜80℃(特に−30〜
70℃)にカイラルスメクチックA相を示すように調製す
ることができる。
【0041】また、等方相、カイラルネマチック相、ス
メクチックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の
順:I−N* −SmA−SmC* −C(但し、高次のス
メクチック相がないか或いは1種以上あってもよい。)
で相転移をすることができる。或いは、等方相、スメク
チックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の順:I
−SmA−SmC* −C(但し、高次のスメクチック相
がないか或いは1種以上あってもよい。)で相転移をす
ることができる。
【0042】位相変調素子への適用:次に、本発明に基
づく上記液晶組成物を使用し、ウォブリング素子(絵素
ずらし素子)として好適な液晶セルを作製する例を説明
する。
【0043】図1は、そうしたセル3の一例を概略的に
示すものである。配向膜22、23としては、ラビング配向
膜を用いた。ポリイミド配向膜とするときは、日本合成
ゴム社製のポリイミドJALS−246を使用し、その
成膜に際しては、膜厚 500Åになるように基板上にスピ
ンコートし、 180℃、1時間焼成を行った。ラビング
は、ナイロン製のバフ材を用いて、押し込み量0.15mmで
行った。
【0044】基板20、21には、厚さ 400Åで抵抗値が 1
00Ω/□のITO(インジウムにスズをドープした酸化
物)透明電極13、14をスパッタ法で形成した。セルギャ
ップは、触媒化成(株)製の真し球24(1.7μmφ)をス
ペーサとして用いて 1.7μmに調製した。この液晶セル
3は、ラビングによる配向処理方向が平行又は反平行に
なるように作製した。
【0045】ここで、液晶15としては、本発明に基いて
上記した各一般式の化合物からなる例えば次の組成物を
使用した。
【0046】 組成物I: 一般式(1)の化合物(R1 、R2 =C8H17 等) 85重量% 一般式(2)の化合物(R3 =C10H21等) 15重量%
【0047】 組成物II(但し、化合物(3)、(4)は組成物Iに対する割合、化合物(5 )は組成物IIに対する割合): 一般式(3)の化合物(R4 〜R11=C8H17O又はC7H15 等) 30重量% 一般式(4)の化合物(R12〜R15=C10H21又はC10H21O 等) 25重量% 一般式(5)の化合物(R16、R17=C3H7等) 10重量%
【0048】このセル3を用い、−10〜70℃の温度範囲
(例えば室温)で例えば矩形波(30Hz、30V)印加によ
りウォブリング動作を行ったところ、コントラストは80
となり、良好であった。
【0049】次に、このウォブリング動作を詳細に説明
する。図2及び図3は、本発明に好適な位相変調光学素
子を有するウォブリング素子を組み込んだ光学装置の一
例を概略的に示すものである。
【0050】この例は、本発明を液晶光学表示装置1に
適用したものであって、同一光路中に光の進行方向に沿
って順次配置された液晶表示素子(LCD)2と、本発
明の上記液晶組成物を用いた位相変調光学素子としての
強誘電性液晶素子(FLC)3と、水晶板等の透明基板
からなる複屈折媒体4との組み合わせによって構成され
ている。ここで、理解容易のために、各構成素子は、液
晶表示素子LCDの1つの構成表示画素5に対応した区
画についてそれぞれ示されている(以下、同様)。
【0051】上記のLCD2の画素5は全体としてモザ
イク状等の離散的な画素配列からなっており、また、使
用される液晶はTN(ツイストネマチック)、STN
(超ツイストネマチック)、SH(スーパーホメオトロ
ピック)、更にはFLC等からなっている。このLCD
2は、図示省略したが、公知の如くにパネル自身に偏光
板を有し、出力光6は直線偏光を有している。
【0052】そして、この直線偏光6に対し、上記のF
LC3と複屈折媒体4とで構成されるウォブリング素子
(絵素ずらし素子)7によって平行方向又は垂直方向に
絵素ずらしが行われる。
【0053】このためには、FLC素子3の一つの異常
光軸8を表示画素5の偏光面9と平行あるいは垂直とな
るように配置し、更に、等価的に一軸性の光学軸(一軸
的な光学異方性)を有する透明基板4の異常光軸10のX
−Y面(入射側)への射影成分を偏光面9に対し、平行
(Y方向)あるいは垂直(X方向)に配置している。
【0054】FLC素子3に用いる液晶は、ビデオレー
トで高速スイッチング可能なものであって、本発明の液
晶組成物が使用され、また、複屈折媒体4には水晶板等
が使用可能である。但し、後述するように、FLCに代
えて反強誘電性液晶(AFLC)や、電傾効果を示すス
メクチック液晶(例えばスメクチックA)も有効であ
り、また、水晶板以外の複屈折素子も勿論使用可能であ
る。
【0055】次に、この表示装置1におけるウォブリン
グ動作を概略的に説明する。
【0056】まず、図2のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態1の場合、表示素子2側から照射
される光6の偏光面9と強誘電性液晶素子3の異常光軸
8が平行のため、透過光11は偏光面を維持したまま複屈
折を有する水晶板4に照射される。水晶板4では、入射
偏光面内に水晶の異常光軸10を含むため、Y軸方向に偏
光している光は水晶板4の異常光軸10の傾いている方向
へ屈折し、再び空気層へ12として出るとき光軸と平行に
なり、入射光の光軸とのずれがY方向に生じる。
【0057】一方、図3のように、強誘電性液晶素子3
のスイッチ状態が状態2の場合、偏光面9と異常光軸8
が約45度の角をなしているため、透過光11は異常光軸の
向きに回転し、直線偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏
光→楕円偏光→直線偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素
子3内を変化し、偏光面は初期状態から90度回転し、水
晶板4に照射される。水晶板4では、入射偏光面内に水
晶の異常光軸10を含まないため、光11は屈折しないでそ
のままの光軸を維持し、再び空気層へ出射光12として出
る。
【0058】このように、FLC3のスイッチ状態、即
ち、状態1と状態2での水晶板4による屈折の有無で光
軸をずらし、この光軸のずれを絵素ずらしの動作原理と
して用いることができる。
【0059】ここで、FLC3における上記スイッチ状
態を決める液晶のコーン角について説明する。強誘電性
液晶(反強誘電性液晶でも同様)では、電界印加による
液晶ダイレクタのスイッチング挙動としては、「液晶辞
典」(培風館発行)のP150に記載されている南部−ゴ
ールドストーンモードに従って液晶分子が仮想的なコー
ン上を動く。さらに、電傾効果を有するスメクチックA
液晶(同液晶辞典のP145)では、同液晶辞典のP119 に
記載されているソフトモードを利用した場合でも、コー
ン角に類似した各液晶組成物に固有のコーン角を有して
いる。
【0060】即ち、図4に示すようなITO(インジウ
ムにスズをドープしたIndium tin oxide) からなる透明
電極13−14間に挟まれた液晶15のコーンモデルを考え
る。コーンの開き角をコーン角θrと呼び、このコーン
角の透明電極の付いたガラス基板への投影を見かけのコ
ーン角θと呼ぶ。光学的にはこの見かけのコーン角θに
ついて考えれば良い。このコーン角は、有効なウォブリ
ング効果を得るために例えば25℃で45度であることが望
ましい。
【0061】次に、この液晶光学装置を構成する各素子
の具体的な組み合わせ例のスイッチ状態を図5に示す。
ここで組み合わせる液晶表示素子2としては、アクティ
ブマトリックスTN液晶、STN液晶表示素子、強誘電
性液晶表示素子、反強誘電性液晶表示素子、SH表示素
子等、その種類を問わない。ここではその一例として、
TN液晶との組み合わせ例を示す。
【0062】図6に示すノーマリーホワイトのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加されない状態で
光源からの光が透過するものである。ここでは、バック
ライト17−偏光板18−TN液晶2−偏光板19の組み合わ
せ、或いは、反射板−偏光板18−TN液晶2−偏光板19
の組み合わせが従来と同様のTN液晶表示素子を示す。
そして、TN液晶素子2、強誘電性液晶素子3にはそれ
ぞれ、透明電極がその両面に配置してあるのは言うまで
もない。
【0063】この場合、電界強度が増大するにつれてT
N液晶2のねじれが解除され、徐々に偏光板を通して光
がもれ、階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強
誘電性液晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光
になるため、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行
うことができる。
【0064】図7に示すノーマリーブラックのTN液晶
表示素子の場合、TN液晶に電界が印加された状態で光
が透過するモードであり、電界強度が減少するにつれて
TN液晶2のねじれが徐々に復帰し、徐々に暗くなり、
階調表示が実現されるが、いずれの透過光も強誘電性液
晶素子3の前で偏光板19により同一の直線偏光になるた
め、上述した動作原理に従って絵素ずらしを行うことが
できる。
【0065】このように、どのようなタイプの液晶表示
素子でも、表示素子から出てくる光がほぼ直線偏光であ
れば、本発明を適用できることが明確である。
【0066】上述した例は、偏光を有する表示素子につ
いてのものであるが、本発明は無偏光の表示素子にも勿
論適用できる。
【0067】図8に示すように、表示画素5からの光の
偏光度が小さい場合、偏光にするために、表示素子2と
絵素ずらし素子7を結ぶ光路中に偏光板19を挿入すれば
良い。光学的配置条件は上述の液晶表示素子の場合と同
様である。
【0068】ここで使用可能な無偏光ディスプレイ2と
しては、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ等
の自発光型表示素子がある。
【0069】上述した如く、本発明に基いて、ビデオレ
ートで駆動可能なカイラルスメクチック液晶をはじめと
した位相変調素子(強誘電性液晶、反強誘電性液晶、あ
るいは電傾効果の大きいスメクチックA液晶)3を用い
たウォブリング素子7を離散的な画素から構成される液
晶、プラズマ、LED等のディスプレイと観測者の網膜
とを結ぶ光路中に配置し、ウォブリング(絵素ずらし)
を行うことができるが、ここで、位相変調素子3として
は下記の〔1〕、複屈折媒体4としては下記の〔2〕が
挙げられる。
【0070】〔1〕ビデオレートで駆動可能な強誘電性
液晶、反強誘電性液晶あるいは電傾効果を有するスメク
チックA液晶のスイッチ状態において、少なくとも2つ
の状態が存在し、そのうち少なくとも2つの状態の異常
光軸が26〜64度の角をなすカイラルスメクチック液晶素
子で偏光面を回転できるように光学配置した素子。
【0071】〔2〕入射された光の偏光方向により光軸
のずれを与える透明基板であり、具体的には、ウォブリ
ング方向に等価的に一軸性の異常光軸の成分を有するよ
うに配置した素子。
【0072】これらの強誘電性液晶素子の駆動法は、従
来の一般的なFLCの駆動法を適用できる。図9に、1
フレーム、2フィールドの駆動波形の1例を示す。
【0073】図9(A)は、リセットパルス付きのパル
ス駆動であり、書込み直前にリセットパルスを加えてフ
ィールド内での電気的中性条件を保つ方法であり、液晶
に長時間の直流成分が印加されにくい。FLCの他、A
FLCにも使用できる。
【0074】図9(B)は、リセットパルス無しのパル
ス駆動であり、1フレーム内での電気的中性条件を保つ
方法である。FLCの他、AFLCにも使用できる。
【0075】図9(C)は、方形波駆動であり、1フレ
ームで電気的中性条件を保つ方法であって、パルス駆動
に比べDC電圧が印加されている時間が長いが、素子の
絶縁性が高い場合には信頼性の高い駆動法である。FL
Cの他、AFLC、電傾効果型スメクチックAにも使用
できる。
【0076】FLCの高速応答性:上記の駆動波形によ
るスイッチング特性として、立ち上がり(10−90%T)
及び立ち下がり(90−10%T)とも、いずれもμsec オ
ーダーの高速応答を示しており、1フィールド内での十
分な応答を保証し、ビデオレートでの有効な絵素ずらし
効果が初めて達成される。
【0077】特に、ウォブリング(絵素ずらし)では、
立ち上がりと立ち下がりの応答時間がフィールド時間の
1/3以下で、かつ、立ち上がり時間と立ち下がり時間
との比が互いに2倍を越えないものが好ましい。
【0078】この点、ネマチック液晶を用いた場合は、
高速のものでも電界印加時の立ち上がり時間は比較的短
いが、オフ時の立ち下がり時間は長いために、フィール
ド内でのスイッチングが十分でなく、有効な絵素ずらし
効果が得られない。ツイストネマチックの絵素ずらし素
子では、透過率変化0〜90%での立ち上がり+立ち下が
り時間は最小で15msec 程度(室温)であり、NTSC
の2:1線飛越走査方式(1フィールド当たり1/60秒
(16.7ms))でもかなり実現が困難であり、さらにフ
レーム数が同じで4:1線飛越走査方式を適用すれば、
1フィールド当たり1/120 秒(8.3ms)であり、全く
追従できなくなる。
【0079】これに対し、強誘電性液晶素子を用いた絵
素ずらし法は、そのスイッチング時間がTN液晶よりも
短いため、有効である。ちなみに、強誘電性液晶素子の
立ち上がり+立ち下がり時間はμsec オーダーから、最
も遅いものでも数ms以下である。
【0080】下記の表1には、各種液晶の応答時間を比
較して示すが、本発明に使用可能な液晶の応答速度は著
しく早い。
【0081】例えば水晶板での光学軸のずれLは下記の
式により計算される。図10のように、複屈折透明媒体4
の異常光軸10がウォブリング光学系の光軸となす角をβ
とし、水晶板4の厚みをdとする。ここで、水晶板4の
常光の屈折率no と異常光の屈折率ne は、ne =1.55
336 、no =1.54425 である。ここでは、 0.7インチ、
10.3万画素のアクティブマトリックスTN液晶ディスプ
レイを垂直方向に高解像度化するために、L=24.5μm
のずれを与える値としてβ=45度、d=4.17mmとした。
【0082】
【数1】
【0083】ここで、光軸のずれLを発現させるのに効
果的なβの範囲は10〜80度であった。この光学軸のずれ
は、構成画素ピッチにより異なる。
【0084】次に、上述の液晶光学装置を更に具体的に
説明する。
【0085】液晶表示素子の高解像度化の駆動法と動作 NTSCの2:1線飛越走査方式では、2フィールドで
完全な一つの画面(1フレーム)ができる。そして、第
1(奇数)フィールドと第2(偶数)フィールドでは、
垂直方向の位置情報に関して互いに補間しあっており、
1秒間のフィールド枚数を多くして解像度を維持する方
法である。しかし、液晶表示素子の如く、特に垂直画素
数が少ない場合に、奇数フィールドと偶数フィールドを
同一走査線上に上書きしてしまうために、本来有してい
る解像度を低下させている。
【0086】ここでは、奇数フィールドと偶数フィール
ドで同期をとって絵素ずらしを行い、高速な映像の置き
換えによる残像効果を応用して、垂直方向の高解像度化
を図った。以下に、その絵素ずらしのシフト量について
述べる。実際には、液晶には点順次あるいは線順次走査
があり、時系列的に走査されるが、ここでの説明では原
理が理解し易いように同時刻で取り扱う。
【0087】モノクロマチック表示素子、3板式カラー
表示素子或いはカラーシーケンシャル表示素子の場合:
1つのスイッチング素子が1絵素に相当するので、単純
に1絵素の絵素ずらし方向の重心点間距離(構成表示画
素間の中心間距離)の半分の長さの光軸の絵素ずらし方
向へのシフトにより、高解像度化され、同時に画素間の
非表示部位(例えばブラックマトリックス)が目立たな
くなる。しかし、シフトは絵素の重心点間距離の正確に
半分でなくてもよい。
【0088】即ち、図11に示すように、ブラックマトリ
ックス部と構成画素部の口径の大きさの違いにより、そ
の有効なシフト量が異なる。ブラックマトリックス部が
構成画素口径と同じか大きい場合、高解像度化を行いた
い方向の構成画素ピッチの半分の長さのシフト(a)が
最適であるが、その許容度は画素位置のシフトが認識さ
れる構成画素口径の半分が必要である。さらに、ブラッ
クマトリックス部が構成画素口径よりも小さい場合、最
低限、ブラックマトリックス部の長さのシフトが有効と
なる(b、c)。
【0089】絵素ずらし方向の長さ成分に対して、ブラ
ックマトリックス部の長さをLB 、構成画素口径をLA
とすると、画素ピッチはLP =LA +LB となり、絵素
ずらし量Lは、 Min(LB 、LA /2)≦ L ≦ Max(LP −LB 、L
P −LA /2) で表される。
【0090】この式をLP とLA を用いて表せば、 Min(LP −LA 、LA /2)≦ L ≦ Max(LA 、L
P −LA /2) となる。なお、上記の各式におけるMin(x、y)、Max
(x、y)はそれぞれ、x、yの内の小さい値、大きい
値を与える関数とする。
【0091】ここでの例のように、垂直方向に絵素ずら
しを行えば、図12のように垂直方向が高解像度化され
る。同様にして、水平方向に絵素ずらしを行えば、水平
方向が高解像度化される(図13)。更に、斜め方向に絵
素ずらしを行えば、垂直及び水平方向が高解像度化され
る(図14)。
【0092】カラーフィルタを有するカラー液晶表示素
子の場合:通常のカラー表示素子では、R、G、Bカラ
ーフィルタのトリオにより1絵素を構成している。R、
G、Bの配置法は、インライン配列(図15)、デルタ配
列(図16)等があるが、ここでの光軸のシフト量は絵素
ずらし方向の最近接RGBトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。
【0093】このような絵素ずらし素子の絵素ずらし方
向は、垂直方向だけでなく、水平方向或いは斜め方向も
含む2次元の絵素ずらしにより、ずらした方向の解像度
を向上させることができる。更に、絵素ずらし範囲は、
絵素ずらし方向の長さ成分に対する構成画素口径LA
RGBの画素トリオのものとし、ブラックマトリックス
部の長さをLB とすることにより、上記したモノクロマ
チック表示素子と同様の条件とすることができる。
【0094】絵素ずらし動作における駆動電極分割数の
範囲:上述したような、高解像度化されるべき素子は、
原理的には、1画素当たりの各々のスイッチングに同期
させた絵素ずらしを必要とする。この場合には、点順次
走査の場合はTFT(Thin Film Transistor) のマトリ
ックスのように画素数分の絵素ずらし素子が必要とな
る。さらに、線順次走査の場合は、水平走査線の数の電
極分割が必要であることになる。
【0095】従って、高解像度化したい表示素子の水平
走査線数をNとした場合、線順次走査の時は透明電極を
垂直方向に1/N分割するのが理想的である。しかし、
高解像度化のためには、コスト的に同等の絵素ずらし素
子が必要となってしまう。そこで、本発明者は、ヒュー
マンファクタによりこの電極分割上限を低下させ、コス
トダウンを行えると考え、次に示す実験を行った。
【0096】上記のTFTカラー液晶表示素子と組み合
わせ、垂直同期信号に同期させて強誘電性液晶素子のス
イッチングのタイミングをとったところ、時系列データ
を考慮しないで、パネル全面のFLC素子のスイッチン
グを行っても、パネル垂直方向の約1/4が 240TV本
から 370TV本へと高解像度化された。
【0097】ここでの実験から、1/4程度までの垂直
方向の分割でも高解像度化が有効であることが判った。
即ち、高解像度化のためには、水平走査線数Nの表示素
子と組み合わせる絵素ずらし素子は垂直方向にN分割〜
1分割すれば良いが、パネル全面の高解像度化を行うた
めには、N分割〜3分割が好ましい。さらに、電極加工
精度、コスト等を考慮すれば、N/2或いは(N+1)
/2のうちのいずれかの整数分割以下が好ましい。
【0098】5分割電極構成によるFLC絵素ずらし素
子の高解像度化の具体例:図17に分割電極の組み合わせ
例を示す。この分割電極はガラス基板上に透明電極(I
TO)13、14を形成し、電極を5分割するようにエッチ
ングした。ITO電極間距離(エッチング部分)を10μ
mとした。この電極間距離はセルギャップよりも大きい
(更には、非表示部位よりは短い)ことが電極間電位差
による絶縁破壊防止、即ち、耐圧等の点で必要である。
ここでは、セルギャップは1μm〜3.0μmとした。分
割電極の組み合わせは、片側をコモン電極としてもよ
く、また、両側を分割電極としてもよいことは容易に判
る。
【0099】さらに、配向膜としてはSiO配向膜を用
い、セル組み立て方法及び液晶注入方法は単極セルの場
合と同様である。液晶配向方向については絵素ずらし方
向を考慮して設定した。
【0100】絵素ずらし素子の同期信号について: 飛越走査法(インターレース) 動画像、例えば映画では毎秒24こま、テレビでは毎秒25
枚または30枚の画像を送っている。しかし、毎秒24枚か
ら30枚ではフリッカー妨害が大きく、使用に絶えない。
このため、映画では1こまを2回ずつ照射し、毎秒48こ
まの繰り返しを行い、テレビでは飛越走査法を用いて伝
送帯域幅を増加しないで毎秒の繰り返し回数を増やして
いる。日本国内標準では2:1線飛越走査法を使用して
いる。
【0101】即ち、図18に示すように、a点から開始し
た走査はN/2回の水平走査でb点に達して、垂直帰線
期間にc点に移り、さらにN/2回の水平走査でd点に
達し、垂直基線期間に再びa点に戻る。dからbに至る
期間を第1(奇数)フィールドといい、bからdに至る
期間を第2(偶数)フィールドという。2:1線飛越走
査方式では2フィールドで完全な一つの画面(1フレー
ム)ができる。この他、3:1、5:1線飛越走査方式
などがある。
【0102】NTSC方式等の線順次走査の画面表示を
行う際に、現在のCRTではアナログ的なためにその解
像度においては問題が少ないが、液晶、プラズマ、EL
等の如く画素が離散的なディスプレイについては、離散
的画素配列のためにかなりの水平方向の位置情報が欠落
したり、走査線の情報を欠落するか、あるいは輝度信号
の位置分解能を低下させる(即ち、ディスプレイの解像
度を低下させる)ことについては、既述した通りであ
る。
【0103】ここで、絵素ずらし(ウォブリング)のタ
イミングをとる具体的方法を示す。テレビ信号は、図19
に示すように各フィールドの輝度信号と垂直同期パル
ス、水平同期パルス、色信号、色同期パルスから構成さ
れている。ここでは、奇数フィールド(第1フィール
ド)及び偶数フィールド(第2フィールド)の垂直同期
パルスを検出し、ここからFLCドライバに同期信号を
送り、続いて、ドライバ内で各チャンネル毎にディレイ
を与えたドライブ波形をFLCセルに送れば良い。
【0104】分割FLC素子とFLCドライブ回路とビ
デオ信号処理系との同期について:図20に、電極の構成
とドライブ回路、ビデオ信号処理系の接続と同期方法に
ついて示した。即ち、ビデオ信号処理装置40によって、
奇数フィールド(第1フィールド)及び偶数フィールド
(第2フィールド)の各同期パルスとRGB信号を表示
素子2に供給すると同時に、各フィールドの垂直同期パ
ルスを検出してFLCドライバ41に同期信号を送り、続
いて、ドライバ41内で各チャンネル毎にディレイを与え
たドライブ波形をFLCセル3に送る。
【0105】図21のようにし、全面ITOの側をコモン
電極とし、5分割電極側をCh1〜Ch5に分けて、図
示したようにパルス駆動した。即ち、検出した垂直同期
信号を基準とし、1フィールドの時間を5分割し、各チ
ャンネルでシーケンシャルに遅れを与えた。従って、T
N液晶表示素子2の駆動とFLC素子3の駆動は同期し
ていることが重要である。なお、これらの駆動波形は、
一般的なFLCの駆動法及び矩形波駆動を適用できる。
【0106】さらに、絵素ずらしの方向を変える具体的
方法を説明する。表示素子2の垂直方向を高解像度化す
る場合(図22)と、垂直、水平方向を高解像度化する方
法(図23)を示す。この結果、各目的とした方向の高解
像度化が確認できた。
【0107】上記の5分割FLC素子において、ドライ
ブ条件、光学的配置、絵素ずらし量を考慮して高解像度
化の検討を行ったところ、 0.7インチ、10.3万画素のア
クティブマトリックスTN液晶ディスプレイにおいてパ
ネル全面に亘って 240TV本から 370TV本以上へと高
解像度化し、更に、非表示部位であるブラックマトリッ
クスが目立たなくなり、高解像度でかつ滑らかな画面が
達成できた。
【0108】これらの高解像度化技術は直視型、反射
型、投射型等、様式を問わずに使用できる。このうち、
図24〜図25に投射型ディスプレイの二例をそれぞれ示し
た。
【0109】図24の例では、ハロゲンランプ17からの光
をコールドフィルタ43を通してバックライトとして表示
素子2に導き、上述したウォブリング処理後にレンズ系
44からスクリーン45へと画像が投影される。
【0110】図25はミラー型ディスプレイを示し、光源
17からの光をフィルタ46を通し、各ダイクロイックミラ
ー47によって所定の波長光(R、G、B)にそれぞれ分
離し、コンデンサーレンズ48から各ウォブリング素子に
入射され、ここでウォブリングされた後、再び合成され
てスクリーン45上に投影される。
【0111】上述した高解像度化技術は、ディスプレイ
として応用するため、可視光の波長範囲で使用する。
【0112】撮像素子への適用 本発明は、上述した表示素子2に限らず、離散的な画素
から構成されるCCD等の撮像素子と被写体とを結ぶ光
路中に上述したウォブリング素子7を配置する場合にも
適用される。
【0113】本発明を図26及び図27に示した撮像装置71
に適用する場合も、上述した表示装置において述べた各
種の条件及び原理、説明が同様にして採用されることが
望ましい。以下においては、上述した表示装置について
の内容と同様のものは特に繰り返して説明しないが、そ
れに比べて、撮像装置に特有のものを主として説明する
こととする。
【0114】撮像素子、例えばCCDを用いるとき、例
えば1/3インチCCDを水平方向、垂直方向あるいは
水平及び垂直方向に同時に高解像度化するため、β=45
度として水晶板の厚さdを調整することにより、絵素ず
らしの量を調節した。1/3インチCCDの水平方向の
ピッチが6.35μm、垂直方向のピッチが 7.4μmである
ので、各方向への高解像度化のための絵素ずらし量は、
各ピッチの約1/2の3.18μm、 3.7μmとすれば良
い。更に、斜め方向の絵素ずらしの場合は水平、垂直方
向成分を各辺とした長方形の対角線の長さのシフトが必
要となり、この時は、4.88μmとすれば良い。
【0115】例えば、L=3.7 μmのずれを与えるた
め、β=45度、d=0.63mmとした。ここで、光軸のずれ
Lを発現させるのに効果的なβの範囲は10〜80度であっ
た。
【0116】撮像素子を使用する際、被写体と撮像素子
4を結ぶ光路中に、被写体−偏光子−FLC素子−複屈
折基板−撮像素子の順序で配置される。この場合、レン
ズ系、アイリス、波長制限フィルタは被写体と撮像素子
を結ぶ光路中のどこに配してもよい。
【0117】図26、図27に示すように、強誘電性液晶素
子3のスイッチ状態が状態1の場合、被写体50の側から
の照射光成分aは、レンズ51、絞り52を通った後、偏光
板19により絵素ずらし方向に偏光される。光の偏光面と
強誘電性液晶素子3の異常光軸8が平行のため、透過光
は偏光面を維持したまま複屈折を有する水晶板4に照射
される。水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸
を含むため、Y軸方向に偏光している光は水晶板の異常
光軸の傾いている方向へ屈折し、再び空気層へ出るとき
光軸と平行になり、入射光の光軸とのずれが生じ、CC
D撮像素子53の各絵素に照射される。
【0118】一方、強誘電性液晶素子3のスイッチ状態
が状態2の場合、偏光面と異常光軸8が約45度の角をな
しているため、透過光は異常光軸の向きに回転し、直線
偏光(Y軸方向)→楕円偏光→円偏光→楕円偏光→直線
偏光(X軸方向)と強誘電性液晶素子内を変化し、偏光
面は初期状態から90度回転し、水晶板4に照射される。
水晶板4では、入射偏光面内に水晶の異常光軸を含まな
いため、屈折しないでそのままの光軸を維持し、再び空
気層へ出て、CCD撮像素子53の各絵素に照射される。
即ち、被写体のa’部分を撮像することになる。この状
態1と状態2の光軸のずれを絵素ずらしの動作原理とし
て用いることができる。
【0119】素子環境温度のために、見かけのコーン角
が45度から外れる(例えば45+γ度:ここでγは45>γ
>−45)場合、ウォブリング動作において、スイッチ状
態の片方の液晶ダイレクタの光軸を理想的に偏光板の偏
光面に平行あるいは直交して合わせると、このスイッチ
状態では透過光の偏光面は変化しない。この場合には、
偏光面が回転していないため、例えば図26のように水晶
板4の異常光軸の方向に 100%の光が屈折し、光軸から
のずれを与える。この時、a点以外の成分はほとんどな
い。
【0120】もう一方のスイッチ状態では、45+γ度と
なるために、γが正の場合は透過光の偏光面は90度以上
の回転をし、γが負の場合は偏光面は90度まで回転しな
い。偏光面が完全に90度回転した時には、図27に示した
ようにa’の成分がほぼ 100%となる。
【0121】図28には、具体的な配置例を示した。ビデ
オカメラ、スチルビデオカメラ等の光学系の場合、外界
からの入射光は概ね偏光していないので、外界(被写
体)と強誘電性スイッチング素子の間に偏光板を入れる
ことを特徴とし、レンズ、絞りに対しての位置関係を問
わない。その他の光学配置は、被写体−レンズ−絞り−
偏光板−強誘電性スイッチング素子−一軸的な光学異方
性を有する透明基板−撮像素子の順である。ここで組み
合わせる撮像素子としては、CCD、MOS型素子等、
その種類を問わない。
【0122】こうした撮像素子は、表示素子とは異な
り、受光素子であるために、被写体の空間解像度(空間
分離能)を向上させることができる。ここでは、表示素
子のように順次方式ではなく、同時方式で行えるため、
FLC素子3のスイッチング部はCCD素子全面に同時
に作用してよく、位相変調素子3の空間的な電極分割を
必要としない。即ち、例えばCCD撮像素子の画素も、
離散的なために光軸のずれがない場合には各画素にa、
b、cの位置分解能しかないが、フレームを分割し、ま
ずこのa、b、cの情報を同時方式で蓄積後、転送し、
次のフィールドで強誘電性液晶素子3の絵素ずらしによ
り、a’、b’、c’の位置情報を同時方式で蓄積後、
転送し、最初のフィールドとの再合成を行うことによ
り、垂直分解能が2倍に向上する。
【0123】特に垂直解像度だけでなく、水平解像度も
向上させるためには、1フレームをさらに3フィール
ド、4フィールドとしなければならないが、このために
も強誘電性液晶素子の高速応答性が必要である。ツイス
トネマチックの絵素ずらし素子では、透過率変化0〜90
%での立ち上がり+立ち下がり時間は最小で15msec程度
(室温)でり、NTSCの2:1線飛越走査方式(1フ
ィールド当たり1/60秒((16.7ms))でもかなり実現
が困難であり、さらにフレーム数が同じで4:1線飛越
走査方式を適用すれば、1フィールド当たり1/120 秒
(8.3ms)であり、全く追従できなくなる。この点、強誘
電性液晶素子を用いた絵素ずらし法は、そのスイッチン
グ時間がTN液晶よりも短いため、有効であることがわ
かる。ちなみに、強誘電性液晶素子の立ち上がり+立ち
下がり時間はμsec オーダーから、最も遅いものでも数
ms以下である。
【0124】モノクロマチック撮像素子、3板式カラー
撮像素子の場合:1つのスイッチング素子単位が1絵素
に相当するので、単純に解像度改善方向の1絵素の重心
点間距離の半分の長さの光軸の解像度改善方向へのシフ
トにより、高解像度化される。さらに、その許容範囲は
シフト長の50%〜150 %が適当である。
【0125】カラーフィルタを有する撮像素子の場合:
R、G、Bカラーフィルタのトリオにより1絵素を構成
している。R、G、Bの配置法はデルタ配列、インライ
ン配列等があるが、ここでの光軸のシフト量は解像度改
善方向の最近接R、G、Bトリオ面積重心間距離の1/
2の長さにすれば良い。さらに、その許容範囲はシフト
長の50〜150 %が適当である。
【0126】これらセルのビデオカメラ:ハンディカム
TR−1(ソニー社製)への具体的実装例を説明する
が、まず、それに使用可能な赤外カットフィルタ及びロ
ーパスフィルタについて説明する。
【0127】〔1〕通常の可視光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子は、その感度域が
380〜1200nmにまで広がっている。通常の可視光の画像
を撮像する場合には、本来人間の眼で感知できない近赤
外光域まで撮像してしまうため、画像に対して悪影響を
及ぼす。従って、図29のように赤外カットフィルタ61を
被写体50とCCD53との間に入れる必要がある。
【0128】ここでは、絵素ずらし素子に赤外カットフ
ィルタ(700nm以上の波長をカットする。)61を組み合わ
せる場合の例を示す。さらに、ウォブリング素子に用い
られている水晶板だけでは、高周波成分のカットが不十
分であるため、光学ローパスフィルタが必要である。そ
こで、一般に高画質のCCDビデオカメラに用いられて
いる7点ボケ用の水晶ローパスフィルタ(複数の水晶板
64からなる。)を組み込んだ(図29、図30)。
【0129】このローパスフィルタは、1枚の水晶板中
で入射光をその複屈折を利用して2点ボケにし、さらに
光軸の周りに回転させた他の水晶板の積層により2点像
を4点像に、さらに3枚目の水晶板で7点像としてぼか
し、ローパスフィルタ特性を向上させることができるも
のである。
【0130】即ち、このように入射光をぼかすことによ
り、画像情報の空間周波数の高い成分を除去でき、モア
レ縞及び色偽信号等の問題を回避することができる。但
し、水晶板1枚の場合は、y方向のみ高周波成分をカッ
ト若しくは分散できるが、上記ではx、yの両方向にお
いて高周波成分をカット若しくは分散でき、低周波成分
の感度を保持したまま高周波成分の画像への影響(結像
した画像出力にモアレ縞パターンや色偽信号が生じるこ
と)を一層なくすことができる。
【0131】こうしたローパスフィルタを用いない実装
例を図31に、同ローパスフィルタを用いた実装例を図32
に示した。いずれも、絵素ずらし素子(ウォブリング素
子)7はCCD53の前位に設けられている。
【0132】ローパスフィルタ64を用いる場合、ローパ
スフィルタの第1の異常光軸がウォブリング時の偏光と
30〜60°の角度をなすときは、ローパスフィルタの効果
は得られるが、それ以外ではローパスフィルタ特性がフ
ィールドで変化してしまう。このとき、絵素ずらし素子
7と光学ローパスフィルタとの間にλ/4板(図示せ
ず)を入れることにより、フィールド間でのローパスフ
ィルタ特性の差を低減し、ローパスフィルタ特性を十分
発揮できるようになる。
【0133】図33には、CCDを3つ用いた色分解カメ
ラシステムを示している。但し、CCDドライブ回路、
ウォブリング素子ドライブ回路は省略した。
【0134】〔2〕赤外光の撮像の場合 CCD撮像素子などの半導体撮像素子の近赤外光域を利
用し、本来人間の眼で感知できない近赤外光域のみを撮
像することができる。この場合、敢えて、赤外カットフ
ィルタを入れる必要はない。
【0135】この場合、赤外光だけを撮像するには、可
視光カットフィルタ(760nm以下をカットする。)を被写
体とCCDとの間に入れる必要がある。これにより、被
写体の温度分布等を撮像することができる。このときの
撮像波長は 700〜1200nmにまで及ぶため、絵素ずらし素
子の位相差はその半波長の 350〜600nm が必要である。
【0136】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0137】例えば、上述した液晶素子に使用する液晶
の種類やその組み合わせ等は変化させてよい。使用する
非カイラル液晶としては、上述のフェニルピリミジン系
をはじめ、フェニルピリジン系、フェニルベンゾエート
系等の従来公知の液晶又は液晶混合物が使用可能である
が、特にスメクチックC相が広温度範囲である非カイラ
ル成分がよい。
【0138】液晶素子の各構成部分の構造、材質や形
状、組み立て方法等は種々変更してよい。基板もガラス
板ではなく、他の光学的に透明な材質であればよい。液
晶についても、種々のものが採用可能である。
【0139】本発明が適用される対象は、上述した表示
装置、撮像装置の如き光学システムと共に、同システム
に組み込み可能なウォブリング素子も包含することは勿
論である。
【0140】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、−40〜80℃
の温度範囲にカイラルスメクチックC相、カイラルスメ
クチックCA 相又はスメクチックA相を示す強誘電性液
晶又は反強誘電性液晶によって液晶材料を構成している
ので、特にウォブリング素子用として広範囲な温度条件
での使用を可能にし、温度差が大きくても、世界的な地
域において十二分に使用できる。
【0141】しかも、本発明の液晶材料は、実際には、
各温度により等方相、カイラルネマチック相、カイラル
スメクチックC相を発現することも重要である。即ち、
液晶分子は、ネマチック相においてその1軸配向が決ま
り、ピッチのキャンセルによって均一な配向性が得られ
るものとなっている。従って、強誘電性液晶であっても
容易に均一な配向を得ることができるため、特にウォブ
リング素子用の液晶材料として、コントラストが向上
し、偏光した光の無駄がなく、より高解像度が得られ
る。
【0142】そして、本発明の液晶材料は、電界の作用
に対して液晶ダイレクタの方向が変化し易く、応答速度
が非常に早いので、ビデオレートでの駆動が十分可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な液晶セルの概略断面図であ
る。
【図2】同液晶セルを使用した表示装置の状態1での概
略図である。
【図3】同表示装置の状態2での概略図である。
【図4】同表示装置に用いる強誘電性液晶(FLC)の
コーン角の説明図である。
【図5】同表示装置の具体例の各スイッチ状態での概略
図である。
【図6】同表示装置にノーマリーホワイトのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図7】同表示装置にノーマリーブラックのTN液晶表
示素子を用いた場合の概略図である。
【図8】偏光度の小さい表示素子を用いた表示装置の概
略図である。
【図9】同位相変調素子の各種駆動方法を示す波形図で
ある。
【図10】複屈折媒体による光軸のずれの説明図である。
【図11】ウォブリング(絵素ずらし)時のシフト量を各
場合で示す概略図である。
【図12】ウォブリング状態の説明図である。
【図13】他のウォブリング状態の説明図である。
【図14】更に他のウォブリング状態の説明図である。
【図15】RGBインライン配列表示素子のウォブリング
状態の説明図である。
【図16】RGBデルタ配列表示素子のウォブリング状態
の説明図である。
【図17】位相変調素子における分割電極を示す概略斜視
図である。
【図18】インターレース走査法の説明図である。
【図19】テレビの各フィールドでの同期信号の波形図で
ある。
【図20】上記表示装置の各素子間の接続関係を示すブロ
ック図である。
【図21】電極分割型の位相変調素子の駆動波形図であ
る。
【図22】同素子を用いた表示装置の概略図である。
【図23】同素子を用いた他の表示装置の概略図である。
【図24】上記表示装置を適用したディスプレイの断面図
である。
【図25】ディスプレイへの他の適用例の断面図である。
【図26】上記液晶セルを使用した撮像装置の状態1での
概略図である。
【図27】同撮像装置の状態2での概略図である。
【図28】同撮像装置の具体例の概略図である。
【図29】水晶光学ローパスフィルタの実装状態の概略図
である。
【図30】同水晶フィルタ3枚により生じるボケを説明す
る原理図である。
【図31】上記撮像装置の実装例の断面図である。
【図32】他の実装例の断面図である。
【図33】更に他の実装例の断面図である。
【符号の説明】
1・・・(液晶光学)表示装置 2・・・(液晶)表示素子 3・・・強誘電性液晶素子(液晶セル) 4・・・複屈折媒体 5・・・表示画素 7・・・ウォブリング素子(絵素ずらし素子) 8、10・・・異常光軸 9・・・偏光方向 13、14・・・透明電極 15・・・液晶 17・・・光源 18、19・・・偏光板 20、21・・・透明基板 22、23・・・配向膜 50・・・被写体 53・・・CCD素子 61・・・赤外カットフィルタ 64・・・光学ローパスフィルタ 71・・・撮像装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 延江 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 楊 映保 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 仁藤 敬一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 安田 章夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −40〜80℃の温度範囲内にカイラルスメ
    クチックC相を示す強誘電性液晶と;−40〜80℃の温度
    範囲内にカイラルスメクチックCA 相を示す反強誘電性
    液晶と;−40〜80℃の温度範囲内にスメクチックA相を
    示しかつ電傾効果の大きい強誘電性液晶と;からなる群
    より選ばれた液晶からなっている液晶材料。
  2. 【請求項2】 −10〜70℃の温度範囲内で電場の存在に
    より駆動される液晶からなっている、請求項1に記載し
    た液晶材料。
  3. 【請求項3】 等方相、カイラルネマチック相、スメク
    チックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の順(但
    し、高次のスメクチック相がないか或いは1種以上あっ
    てもよい。)で相転移をする強誘電性液晶と;等方相、
    カイラルネマチック相、スメクチックA相、カイラルス
    メクチックC相、カイラルスメクチックCA 相、結晶の
    順(但し、高次のスメクチック相がないか或いは1種以
    上あってもよい。)で相転移をする反強誘電性液晶と;
    等方相、カイラルネマチック相、スメクチックA相、カ
    イラルスメクチックC相、結晶の順(但し、高次のスメ
    クチック相がないか或いは1種以上あってもよい。)で
    相転移をしかつ電傾効果の大きい強誘電性液晶と;のい
    ずれかの液晶からなっている、請求項1又は2に記載し
    た液晶材料。
  4. 【請求項4】 等方相、カイラルネマチック相及び/又
    はスメクチックA相、カイラルスメクチックC相、結晶
    の順(但し、高次のスメクチック相がないか或いは1種
    以上あってもよい。)で相転移をする強誘電性液晶と;
    等方相、カイラルネマチック相とスメクチックA相とカ
    イラルスメクチックC相とのうちの少なくとも1種の
    相、カイラルスメクチックCA 相、結晶の順(但し、高
    次のスメクチック相がないか或いは1種以上あってもよ
    い。)で相転移をする反強誘電性液晶と;等方相、スメ
    クチックA相、カイラルスメクチックC相、結晶の順
    (但し、高次のスメクチック相がないか或いは1種以上
    あってもよい。)で相転移をしかつ電傾効果の大きい強
    誘電性液晶と;のいずれかの液晶からなっている、請求
    項1又は2に記載した液晶材料。
  5. 【請求項5】 光学的に透明な電極と配向膜とをこの順
    に設けた光学的に透明な基体の複数個が前記電極及び前
    記配向膜の側で互いに所定の間隙を隔てて対向配置さ
    れ、前記間隙内に請求項1〜4のいずれか1項に記載し
    た液晶材料が注入されており、光学的に透明な複屈折媒
    体と組み合わされることによって、出射光の光軸を所定
    方向にずらすためのウォブリングを行うのに用いられる
    光変調素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003090991A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Ricoh Co Ltd 光偏向素子の製造方法および光偏向装置および画像表示装置
US7057700B2 (en) 2001-01-23 2006-06-06 Ricoh Company, Ltd. Light deflection element, light deflection device and image display device

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