JPH07116251B2 - 改質されたポリエチレンの製造方法 - Google Patents

改質されたポリエチレンの製造方法

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JPH07116251B2
JPH07116251B2 JP60046476A JP4647685A JPH07116251B2 JP H07116251 B2 JPH07116251 B2 JP H07116251B2 JP 60046476 A JP60046476 A JP 60046476A JP 4647685 A JP4647685 A JP 4647685A JP H07116251 B2 JPH07116251 B2 JP H07116251B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、改質された分子量分布の広いポリエチレンの
製造方法に関する。さらに詳しくは、すぐれた物性と加
工性をもつ中空成形、および押出成形用途のポリエチレ
ンの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
中空成形、および押出成形用途においては、分子量が比
較的高く分子量分布の広いポリエチレンが必要とされ
る。従来より、分子量分布を広くするために適当な触媒
を選択することによって一つの重合工程で製造する試み
がなされてきた。しかしながら、一般に分子量分布の広
いポリエチレンを得ることができる特性をもつ触媒では
十分に高い生産性を得ることが難しく、また分子量分布
は触媒の性質により規定されるため、用途に適合した分
子量分布のポリエチレンを得ることにおいても不利とな
る。このような観点から、高分子量のポリエチレンと低
分子量のポリエチレンを連続した2段以上の重合工程で
順次製造する方法が考えられ、多段重合方法として提案
されている。この方法によれば、分子量分布が広く、そ
れゆえに分子量が比較的高くても流動性のよいポリエチ
レンが高い生産性で得られる。またポリエチレンの剛性
を調節するためにαオレフィンがコモノマーとして共重
合されるが、高分子量ポリマー中のαオレフィン含有量
を低分子量ポリマーに較べより高く配分することで剛性
とストレスクラッキング性(ESCR)のバランスが著しく
高められることも知られている。
これら多段重合の方法に関しては、特公昭46−11349
号,特公昭48−42716号,特開昭56−161405号などで公
知である。
しかしながら、多段重合方法で製造されたポリエチレン
は、上記のようなすぐれた性質を有する反面、加工成形
においていくつかの欠点も有している。それは、溶融ポ
リマーの溶融張力が小さいこと、またダイスウェルが小
さいことである。中空成形を行なう場合、分子量、およ
び分子量分布の特性に加えて溶融ポリマーの粘弾的性
質、即ち溶融張力およびダイスウェルの特性が重要とな
る。中空成形では、ダイスから円筒状溶融ポリマー(パ
リソン)を押出し、所定の長さになるとパリソン内部に
空気などの気体を吹き込み、金型に密着させて成形物を
得る。この際に、溶融ポリマーの溶融張力が小さい場合
は、パリソンが自重により垂れ下がる現象(ドローダウ
ン)を生じたり、また大型な製品の成形を試みてもパリ
ソンが自重によりダイスから切れ落ちる現象を生じるこ
とになる。一方、溶融ポリマーが成形機のダイスから押
し出されるとバラス効果により膨潤が起る。ダイス口径
に対するパリソン径の比をダイスウェルと称し、膨潤度
の指標とされる。中空成形では、この一定長さのパリソ
ンから瓶等が成形されるが、ダイスウェルが小さいポリ
エチレンでは製品の肉厚が薄くなり、一定重量の製品を
得ることが困難となる。このため肉厚を調節するために
ダイスを交換することが必要となり種々の製品を成形す
るメーカーにおいては、生産性が低下する上に予備ダイ
スが必要となることなど工業的に極めて不利となる。さ
らに加えてダイスウェルは剪断速度に依存しており、剪
断速度を変化させるとダイスウェルも変化する。このダ
イスウェルの剪断速度依存性が大きいと若干の剪断速度
と変化により肉厚が変化し一定重量の製品を得ることが
困難になるなど成形安定性が損なわれ、工業的に著しく
不利となる。一方、押出成形としてインフレーションに
よりフィルム成形する場合においても、溶融張力が小さ
いとバブルは不安定となる。
このような粘弾的性質の一つであるダイスウェルを向上
させる方法が提案されている。これによれば、三つの重
合工程からなる多段階重合方法において、その一つの重
合工程で著しく高い分子量のポリマーを製造することを
特徴とするもので、特公昭59−10724では100万以上の分
子量をもつポリマーを、全体生成量の1〜10%をつくる
ことが示され、実施例では、300万の分子量のポリマー
を全体生成量の5%製造することでダイスウェルを改善
する試みが示されている。また、特開昭57−141409では
極限粘度〔η〕が7〜40である高分子量のポリマーをつ
くることを示し、実施例では、極限粘度〔η〕を7.69〜
14.8の範囲で変化させ、その生成量を全体生成量に対し
10%以下で調節することで、広範囲にダイスウェルを調
節する試みを示している。しかしながら、本発明者らの
検討によると確かにダイスウェルは大きくなることは認
められるものの十分でなく、またダイスウェルを改善す
るにともないダイスウェルの剪断速度に対する依存性も
著しく大きくなり、これらによるダイスウェルの改善は
不十分なものである。さらに、少量の著しく高い分子量
のポリマーを含有したポリエチレンは、ブツ,ゲルが存
在し均質性が充分でなく製品の価値を著しく損なうこと
にもなる。
また、上記の提案においては粘弾的性質の重要な特性で
ある溶融張力については全く触れられておらず、従来の
多段階重合方法として提案されている技術では高い溶融
張力,高いダイスウェルおよびダイスウェルの剪断速度
依存性が低いという特性のポリエチレンは製造できてい
ない。
〔発明が解決しようとする問題〕
ポリエチレンを成形加工することにおいて、溶融ポリマ
ーの流動特性と粘弾的性質は重要となる。中空成形およ
び押出成形用途のポリエチレンでは、分子量分布が広く
それゆえに比較的に分子量を大きくしても高い流動性を
有することが要求される。
また粘弾的性質として、中空成形用途ではドローダウン
防止のため溶融張力が高く、成形上ダイスウェルが大き
くてしかも剪断速度に対する依存性が小さいことが必要
であり、さらにインフレーションによりフィルムを成形
する押出成形用途ではバブル安定性のため溶融張力が高
いことが必要である。そこで本発明者らは鋭意検討した
結果、三つまたは三つ以上の特定の重合工程からなる多
段工程により得られるポリエチレン粉末にラジカル発生
剤を接触させて改質することにより、すぐれた流動特性
をもち、粘弾的性質として溶融張力が高く、ダイスウェ
ルが大きくてしかも剪断速度に対する依存性が小さい特
性のポリエチレンの製造方法を見い出すに至った。
〔問題点を解決する手段〕
すなわち本発明は、チーグラー型触媒の存在下、エチレ
ンの重合またはエチレンとαオレフィンとの共重合を、
極限粘度〔η〕が5〜20、αオレフィン含有量が20重量
%以下であるポリエチレンを全重合量の2〜40重量%製
造する工程((H)工程)、極限粘度〔η〕が0.2〜1.
0、αオレフィン含有量が10重量%以下であるポリエチ
レンを全重合量の20〜70重量%製造する工程((L)工
程)および極限粘度〔η〕が1〜5、αオレフィン含有
量が20重量%以下であるポリエチレンを全重合量の20〜
70重量%製造する工程((M)工程)からなる多段工程
を少なくとも三つの重合工程として任意の順序で経て行
なうか、または(H)工程および(L)工程を並列して
行ない、次いで各工程における重合体を含んだままの反
応混合物を混ぜ合わせて行なう(M)工程を経て行な
い、得られたポリエチレン粉末にラジカル発生剤を接触
させることを特徴とする改質されたポリエチレンの製造
方法である。
〔作用〕
本発明で使用される触媒は、十分に高い活性を有しかつ
特定の範囲の分子量分布のポリマーを与えるものである
もが特に好ましい。すなわち、本発明において触媒活性
が低すぎると多段重合方法の特徴の一つである高い生産
性が損なわれる。また触媒の分子量分布が以下の範囲か
らはずれると本発明の効果を十分に発現させることは難
しい。具体的には本発明に使用される触媒には比較的広
い分子量分布の特性が要求され、(M)工程に規定され
るポリエチレンを製造する場合において、w/nが5
〜15となる分子量分布のポリエチレンを得る触媒が好ま
しい。w/nが5未満の狭い分子量分布の触媒では本
発明の大きな効果である溶融張力およびダイスウェルの
改善は不十分となる。
一方、w/nが15を越える触媒では(L)工程の実施
に際し、多量の分子量調節剤(例えば水素)を必要とし
その結果触媒活性が著しく低下して生産性が損なわれ
る。
本発明で使用される触媒は、上記に示されることを満足
していれば特に限定されるものではないが、例えば以下
のような触媒を使用することができる。
(i)少くとも1種のマグネシウム含有反応剤と、少く
とも1種のチタン化合物を含む遷移金属含有反応剤と
を、少くとも1方の反応剤は化学構造式中にC−O−M
(式中、Mはマグネシウムまたは遷移金属を表す)結合
を有するものであるように選択し、反応させて得られた
生成物と(ii)少くとも1種のハロゲン化アルミニウム
化合物とを反応させることによって得られた固体触媒
(A)の周期律表の第I a,II a,II b,III bおよびIV b
族金属の有機金属化合物(B)とからなる触媒が挙げら
れる。マグネシウム含有反応剤としては、例えば金属マ
グネシウムとエタノール,n−ブタノールなどのアルコー
ル類、または有機シラノール類とからなる反応剤、マグ
ネシウムアルコキシド類などのマグネシウムの酸素含有
有機化合物、ハロゲン化マグネシウム、有機マグネシウ
ム化合物などが挙げられる。チタン化合物を含む遷移金
属含有反応剤としては、チタンテトラブトキシドなどの
チタンの酸素含有有機化合物または四塩化チタンなどの
チタンのハロゲン化化合物などが挙げられる。また、固
体触媒(A)は粒子性状の良い重合体を与えるためにケ
イ素化合物を含有させることができる。ケイ素化合物と
しては、ジメチルポリシロキサン,メチルヒドロポリシ
ロキサンなどのポリシロキサンが挙げられる。ジアルキ
ルアルミニウムクロライド、あるいは、アルキルアルミ
ニウムジクロライドとしては、ジエチルアルミニウムク
ロライド、エチルアルミニウムジクロライド,i−ブチル
アルミニウムジクロライドなどが挙げられる。このよう
な固体触媒(A)を与える製造方法の好適な例は、特願
昭59−102661号,特願昭59−118120号,特願昭59−2516
37号などに詳細に示されている。本発明において、周期
律表の第I a,II a,II b,III b,IV b族金属の有機金属化
合物(B)としては、トリエチルアルミニウム,トリ−
i−ブチルアルミニウムなどが挙げられる。
本発明の実施にあたり、固体触媒(A)の使用量は、溶
媒1当たり、または反応器1当たり、チタン原子0.
001〜25mmolに相当する量で使用することが好ましい。
有機金属化合物(B)は、溶媒1当たり、または反応
器1当たり、0.02〜50mmol、好ましくは0.2〜5mmolの
濃度で使用する。
本発明においてはエチレン重合または、エチレンとαオ
レフィンの共重合を、同一または異なる重合帯域で異な
った重合条件の少なくとも三段階の重合段階により行な
う。(H)工程においては極限粘度〔η〕が5〜20、好
ましくは5〜15でαオレフィン含有量が20重量%以下で
あるポリエチレンを製造し、(L)工程においては
〔η〕が0.2〜1.0好ましくは0.4〜1.0でαオレフィン含
有量が10重量%以下であるポリエチレンを製造し、
(M)工程においては〔η〕が1〜5、好ましくは1〜
4でαオレフィン含有量が20重量%以上であるポリエチ
レンを製造する。(H)工程で製造されるポリエチレン
の〔η〕が5未満であると、本発明の効果である溶融張
力およびダイスウェルをげる効果は小さい。また、
〔η〕が20を越すと製品の均一性が損なわれ、ブツ,ゲ
ルが発生し好ましくない。(L)工程で製造されるポリ
エチレンの〔η〕が0.2未満であると、分子量が小さす
ぎ溶媒に可溶な重合体が著しく多くなる。一方、〔η〕
が1を越えると、分子量分布が狭くなり、加工性の低下
を招く。
本発明の方法においてエチレンとαオレフィンの共重合
反応を実施する場合には、αオレフィンはプロピレン,
ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1,4メチルペンテン
−1等から選ばれ、1種または、2種以上併用すること
もできる。αオレフィンの含有量は、上記範囲内で調節
されるが、高分子量側により多く配分することが好まし
い。このようにすると、得られるポリエチレンの剛性と
ESCRのバランスが著しく向上する。
本発明における重合比率の調節は、バッチ式重合器では
各工程のエチレン仕込み量の積算量を調節することによ
って行ない、連続的に行なう場合は、3基の重合器への
エチレン仕込み流量を調節することでなされる。(H)
工程で製造されるポリエチレンの比率は、全重合量の2
〜40重量%で2%未満では本発明の効果である溶融張
力、およびダイスウェルを上げる効果が小さい。また40
%以上では分子量が大きくなりすぎ、流動性が低下す
る、(L)工程で製造されるポリエチレンの比率は、全
重合量の20〜70重量%で、20%未満では加工性が低下
し、70%を越えると製品の物性が低下する。(M)工程
で製造されるポリエチレンの比率は、全重合量の20〜70
重量%で、70%を越えると加工性が低下する。
これらの各工程における極限粘度〔η〕、および重合比
率は、上記範囲内で任意に調節できるが、最終製品の極
限粘度が1〜5となるようにしたものが好ましい。
前記の三つあるいは三つ以上の重合段階は、任意の順序
で行なわれるか、または(H)工程および(L)工程を
並列して行ない、次いで各工程における重合体を含んだ
ままの反応混合物を混ぜ合わせ(M)工程を行なうこと
もできる。ただし、水素濃度で分子量を調節する場合に
おいて、前段階の水素濃度が後段階よりも高い場合は、
両段の間に水素パージ工程を設けることが必要である。
エチレンの重合あるいは、エチレンとαオレフィンの共
重合は不活性溶媒の存在下または不存在下、液相または
気相で行なわれる。液相重合においてはスラリー重合で
行なうことが好ましい。
本発明における重合温度は、重合体の融点以下の任意の
温度を選ぶことができるが、特に40〜100℃の温度範囲
が好ましい。反応圧力は常圧〜100kg/cm2、特に常圧〜5
0kg/cm2の範囲が好ましい。
重合に際して、重合体の極限粘度〔η〕を調節するに
は、一般に分子量調節剤(たとえば水素)によりなされ
るが、極限粘度〔η〕の大きい重合体を製造する場合、
分子量調節剤が実質上不存在な状態で行なうこともでき
る。この場合、分子量の調節は重合温度を変更すること
で可能となる。
液相重合に際して重合に使用することのできる不活性溶
媒としては、当該技術分野で通常用いられるものであれ
ばどれでも使用することができるが、特に、4〜20個の
炭素原子を有するアルカン,シクロアルカン,たとえば
イソブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,シクロヘ
キサンなどが適当である。
上記のようにして得られるポリエチレンは、それ自身溶
融張力およびダイスウェルは改善されたものではある
が、しかしながらまだ十分なものとは言えない。また、
ダイスウェルを向上させると、他方ダイスウェルの剪断
速度依存性が大きくなるという欠点を有することにな
る。
このポリエチレンの改質は、本発明に示す重合方法によ
り得られるポリエチレン粉末にラジカル発生剤を接触さ
せることによりなされる。具体的な方法の一つとして、
改質に際して厳しく均一な品質を要求される場合は、本
発明者らの発明による特開昭59−68350号に示す方法が
好適である。
すなわち、原料ポリエチレン粉末に溶媒を浸潤し、液状
のラジカル剤を添加,混合し、乾燥することによって、
ラジカル発生剤を均一に含有するポリエチレン粉末を得
て、ラジカル発生剤の分解温度以上で加熱処理すること
により行なわれる。この方法によれば、ラジカル発生剤
がポリエチレン粉末の細孔空隙内にまで均一に付着し、
このようにして得た改質ポリエチレンは、フィルム成形
時に、ゲル,フィッシュアイを発生することはない。
また、改質に際しそれ程に厳しく均一な品質を必要とし
ない場合は液状のラジカル発生剤をポリマーに含浸して
いわゆるマスターバッチとして添加し接触させる方法、
また安定剤にラジカル発生剤にラジカル発生剤を予め含
浸させて添加し接触させる方法など特に限定はされな
い。
本発明で用いるラジカル発生剤としては、有機過酸化
物、例えばハイドロパーオキサイド類,ジアルキルパー
オキサイド類,パーオキシエステル類などが好ましく、
中でも1分半減期を与える分解温度が150℃以上である
ものが好適である。特に好ましいものを例示すると、ジ
アルキルパーオキサイド類に属するジクミルパーオキサ
イド,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサン,α,α′−ビス(t−ブチルパ
ーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。
上記ラジカル発生剤の添加量は、ポリエチレン粉末に対
し5ないし1000ppmの範囲が好ましい。5ppm以下の添加
量ではポリエチレンの改質の成果が顕著に現われない。
また、1000ppm以上の添加量では改質反応が過度に進行
するためポリエチレンはその成形品の品質を損なう。
ラジカル発生剤を添加,混合したポリエチレン粉末を乾
燥する必要がある場合温度を高くすることは、ラジカル
発生剤の分解を促進し、またポリエチレン粉末の溶融塊
化を招くなどの弊害を生じる。少なくとも120℃以下の
温度で操作することが好ましい。
一方、ラジカル発生剤として空気または酸素を用い、ポ
リエチレン粉末と接触させ加熱処理する方法によっても
改質できる。
加熱処理の方法としては、単に一般的に用いられるポリ
エチレン粉末のペレット化用押出機を通すだけで充分で
ある。この加熱処理における操作温度としては、反応混
合物としてポリエチレン粉末が含有するラジカル発生剤
の分解温度以上の温度であればよく、例えば150〜350℃
程度の通常の押出機操作温度範囲を用いればよい。
〔本発明の効果〕
本発明によれば、高い活性を有しかつ特定の範囲の分子
量分布のポリマーを製造するように改良されたチーグラ
ー型触媒を使用して、特定した少なくとも三工程の重合
工程でポリエチレンを製造する技術とラジカル発生剤に
よる改質する技術を併用することにより、第一に溶融ポ
リマーの粘弾的性質を改善して、中空成形および押出成
形により適合性の高いポリエチレンを製造できることに
ある。
すなわち溶融張力を高めることにより、中空成形におい
てはパリソンのドローダウンおよびパリソンが自重によ
りダイスから切れ落る現象を大幅に改善することがで
き、より大型な製品の成形を可能とするものである。ま
たインフレーションによるフィルム成形においては、バ
ブルの安定性が改善される。一方、ダイスウェルについ
ても大幅に改善され、口径の大きなダイスを用いなくと
も太いパリソンが得られ、また肉厚の一定した製品が得
られ易くなる。
本発明の第二の効果は、ラジカル発生剤によりダイスウ
ェルの剪断速度に対する依存性を著しく低減できること
にある。著しく分子量の大きいポリマーを含む多段階重
合方法により得たポリエチレンはダイスウェルは改善さ
れるものの、ダイスウェルの剪断速度依存性は著しく大
きくなり成形上剪断速度を変化させるとそれに伴ないダ
イスウェルも大きく変化する。本発明はこの欠点を大き
く改良するものである。
本発明の第三の効果は、重合に際して従来技術に示され
るような著しく大きい分子量のポリマーを製造してダイ
スウェル等の粘弾的性質を大きく向上させることは特に
必要としない。これは続いて実施されるラジカル発生剤
による改質により、溶融張力およびダイスウェルを十分
に改善することができることによる。すなわち、本発明
によれば高分子量ポリマーの分子量を著しく高める必要
はなく、それゆえに高分子量ポリマーの比率を高めるこ
とが可能となる。このことは、各成分比率のバランスを
向上させ、それにより均質なポリマーの製造が可能とな
る。
本発明の第四の効果は、分子量分布が広く加工性の良好
なポリエチレンが得られることにある。
本発明の第五の効果は、活性の高い触媒を使用すること
により触媒成分当たりに得られる重合体の収量が多いの
で、重合体から特別の手段を講じて触媒残渣を除去する
必要がなく、かつ成形時に重合体の劣化や着色などの問
題を避けることができる。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例により示すが、本発明はこれらの
実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例,参考例および比較例における重合体の性質は下
記の方法によって測定した。
MI: ASTMD−1238条件Eによるメルトインデックス N値: ASTMD−1238条件Fによる高負荷メルトインデックス(H
LMI)とMIとの比HLMI/MI0分子量分布の一つの尺度とし
て、この値が大きいほど分子量分布が広いことを示す。
密度: JIS K−6760による真密度 溶融張力: メルトテンションテスター(東洋精機(株)製)を用
い、ノズル径2.095mm,長さ8mmのオリフィスで、190℃で
降下速度10mm/minの条件でポリマーを押出し、モノフィ
ラメント状に巻き取る際の張力 ダイスウェル: 上記のメルトテンションテスターおよびオリフィスを用
い、190℃で剪断速度15sec-1の条件下で測定されるダイ
スウェル(SR−I)および剪断速度50sec-1の条件下で
測定されるダイスウェル(SR−II) ダイスウェルの剪断速度に対する依存性(K): 下記式により計算される値 K=(SR−II−SR−I)/log(50/15) w/n=GPC(ウォーターズ社製150C型)により溶媒
をo−ジクロルベンゼンとして温度140℃下で測定した
値 〔実施例〕 実施例1 a)〔固体触媒成分の製造〕 撹拌装置の付いた容器1000mlのフラスコに窒素雰囲気
下、金属マグネシウム粉4.9g(0.20mol)とチタンテト
ラブトキシド27.2g(0.08mol)を加え、80℃まで昇温
し、さらに0.25gのヨウ素を溶解したn−ブタノール15.
6g(0.21mol)および、i−プロパノール12.6g(0.21mo
l)の混合物を2時間かけて滴下し、その後120℃まで加
温して反応させた。このようにして得た反応生成物に室
温でヘキサン340mlを加えた後、70℃で1時間撹拌し
た。この溶液に30重量%のジエチルアルミニウムクロラ
イドのヘキサン溶液220ml(0.4mol)を45℃で2時間か
けて加え、60℃で1時間撹拌した。次にメチルヒドロポ
リシロキサン(25℃における粘度約30センチストーク
ス)24.0g(ケイ素0.4グラム原子)を加え、還流下1時
間反応させた。45℃に冷却後、i−ブチルアルミニウム
ジクロライドの50重量%ヘキサン溶液408mlを2時間か
けて加えた。すべて加えた後、70℃で1時間撹拌を行っ
た。生成物にヘキサンを加え、傾斜法で15回洗浄を行っ
た。かくして、ヘキサンに懸濁した固体触媒成分のスラ
リーを得た。その一部を採取し、上澄液を除去して窒素
雰囲気下で乾燥し、元素分析したところ、Tiは9.0重量
%であった。
b)〔触媒の分子量分布の評価〕 下記c)項に示す(M)工程と同一重合条件下で単一重
合を実施したところ、生成したポリエチレンの〔η〕は
1.9であり、w/nは9.0と比較的に分子量分布の広い
ものであった。
c)〔重合〕 内容量10の撹拌型反応器に、n−ヘキサンを6仕込
み、内温を65℃に調節した後、トリイソブチルアルミニ
ウム0.87g(4.4mmol)および上記a)で得た固体触媒11
5mgを加えた。窒素ガスによって反応器内圧を1kg/cm2
調節した後、エチレンを導入して重合を開始するととも
に1−ブテン8g導入し、さらに全圧が2.6kg/cm2となる
ように連続的にエチレンを加えて20分間重合した
((H)工程)。続いて気相部を窒素で置換し内温を85
℃,内圧を1kg/cm2に調節し、さらに水素分圧12.8kg/cm
2を加えた後、エチレンを導入して重合を開始するとと
もに1−ブテン3.6g導入し全圧が17.0kg/cm2となるよう
に連続的にエチレンを加えて58分間重合した((L)工
程)。再び気相部を窒素で置換し内温を80℃,内圧を1k
g/cm2に調節し、さらに水素分圧1.5kg/cm2を加えた後、
エチレンを導入して重合を開始するとともに1−ブテン
48g導入し全圧が7.0kg/cm2となるように連続的にエチレ
ンを加えて51分間重合した((M)工程)。
(H)工程,(L)工程および(M)工程におけるエチ
レンの供給量比はそれぞれ18%,43%および39%であっ
た。このようにして得られたポリエチレン粉末スラリー
を約半量排出し、ろ過乾燥して950gのポリエチレン粉末
を得た(比較例1)。
一方、反応器に残ったポリエチレン粉末スラリーにラジ
カル発生剤として、α,α′−ビス(t−ブチルパーオ
キシイソプロピル)ベンゼン31.5mgを供給し15分間撹拌
した。次いで内容物を抜き出し、回分式通気乾燥器中で
温度90℃で乾燥し、ラジカル発生剤が接触したポリエチ
レン粉末1050gを得た。なお、ラジカル発生剤の含有量
は30ppmであった。この重合における触媒効率は17400g/
g固体触媒であり、またポリマーのカサ密度は0.38g/cm3
であった。なお、(H)工程の重合終了時に少量抜き出
したポリマーの〔η〕は9.9であり(L)工程の重合の
終了時に少量抜き出したポリマーの〔η〕は3.4であり
最終製品の〔η〕は2.8であることより、(L)工程で
生成したポリマーの〔η〕は0.7、(M)工程で生成し
たポリマーの〔η〕は1.9であることがわかる。また、
各工程で生成するポリマー中のαオレフィン含有量につ
いては、(H)工程では0.6重量%であり(L)工程お
よび(M)工程では1−▲C= 4▼の仕込量とエチレン分
圧との関係よりそれぞれ0.9重量%および0.4重量%と推
定される。このポリエチレン粉末に安定剤として、イル
ガノックスB220(チバガイギー社製)を700ppm添加しス
クリュー径25mmφの押出機にて樹脂温度200℃でペレッ
ト化して改質を終えた。改質されたポリエチレンの物性
は以下の通りである。MIは0.026g/10min,N値は250,密度
は0.947であり、溶融張力は比較例1(未改質ポリエチ
レン)および比較例2(2段階重合)に較べ31gと著し
く大きくなった。またダイスウェルはSR−Iとして3.08
SR−IIとして3.40と大きく、このダイスウェルの剪断速
度に対する依存性:Kは0.61と比較例1の結果に比較して
著しく小さくなった。
さらに、スクリュー径25mmφの押出機によりインフレー
ションフィルムに成形したところ、0.2mm以上のフィッ
シュアイは600ケ/m2と少なく均一なポリマーであること
を示した。
比較例1(未改質ポリエチレン) 前記実施例1の重合で得たラジカル発生剤を含有しない
ポリエチレン粉末に実施例1と同様にして安定剤を加え
ペレット化した。この未改質ポリエチレンの物性は以下
の通りである。MIは0.038g/10min,N値は22.5,密度は0.9
47g/cm3であり、溶融張力は22.9gと比較例2に較べて高
いものの、不十分である。またダイスウェルはSR−Iと
して2.74,SR−IIとして3.42でこのダイスウェルの剪断
速度に対する依存性:Kは1.30と著しく大きいものであっ
た。
比較例2(2段階重合) 実施例1と同じ反応器に、n−ヘキサンを6仕込み、
内温を85℃に調節した後、トリイソブチルアルミニウム
0.87g(4.4mmol)および実施例1で得た固体触媒95mgを
加えた。窒素ガスによって反応器内圧を1kg/cm2に調節
しさらに水素分圧12.8kg/cm2を加えた後、エチレンを導
入して重合を開始するとともに1−ブテン20g導入し、
全圧が17kg/cm2となるように連続的にエチレンを加えて
65分間重合した((L)工程)。続いて気相部を窒素で
置換し内温を80℃,内圧を1kg/cm2に調節しさらに水素
分圧0.2kg/cm2を加えた後、エチレンを導入して重合を
開始するとともに1−ブテン32gを導入し、全圧が4.2kg
/cm2となるように連続的にエチレンを加えて45分間重合
した((M)工程)。次に実施例1と同様のラジカル発
生剤を加え、実施例1と同様にしてラジカル発生剤が接
触したポリエチレン粉末1800gを得た。なお、ラジカル
発生剤の含有量は30ppmであった。このポリエチレン粉
末をペレット化して改質した。この改質ポリエチレンの
MIは0.025g/10min,N値は244,密度は0.950g/cm3で溶融張
力は21.3gと実施例1に比較して低く、またダイスウェ
ルはSR−Iとして2.25,SR−IIとして2.54と低いもので
あり、ダイスウェルの剪断速度に対する依存性:Kは0.55
であった。
実施例2〜7 実施例1a)で調製した触媒を用いて、反応条件を種々変
えたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレンを製
造した。反応条件を表1に示す。実施例5はαオレフィ
ンとして1−ヘキセンを使用し、実施例6では1−オク
テンを使用した。実施例7は重合順序を変更し、(L)
工程→(M)工程→(H)工程として重合を実施した。
これらの重合により得られたポリエチレン粉末に実施例
1と同様にして、同一種類のラジカル発生剤を添加し改
質した。この改質ポリエチレンの結果を表2に示す。
比較例3(未改質ポリエチレン) 実施例3で得られたポリエチレンを改質することなく、
ペレット化した。
比較例4(未改質ポリエチレン) 実施例4で得られたポリエチレンを改質することなく、
ペレット化した。
比較例5(2段重合) (M)工程における水素分圧を変更した以外、比較例2
と同様にして2段階重合を実施した。反応条件を表1
に、改質ポリエチレンの物性を表2に示した。
実施例8 内容量5の撹拌型反応器2基用い、一方の反応器にヘ
キサン3を仕込み、トリイソブチルアルミニウム0.44
g(2.2mmol)および上記実施例1a)で得た固体触媒65mg
を加えた。続いて実施例3の(H)工程と同一条件下で
40分間重合した。
他方の反応器にヘキサン3を仕込み、トリイソブチル
アルミニウム0.44g(2.2mmol)および上記実施例1a)で
得た固体触媒100mgを加えた。続いて実施例3の(L)
工程と同一条件下で55分間重合した。
これらの重合体を含む反応混合物を、接続管を通して内
容積10の撹拌型反応器に圧送し、気相部を窒素で置換
した後、実施例3の(M)工程と同一条件下で35分間重
合した。
各工程で製造されたポリマーの比率および極限粘度は表
1に示す。また実施例1と同様にして改質されたポリエ
チレンの物性は表2に示す。
比較例6 a)〔触媒製造〕 撹拌装置の付いた容量1000mlのフラスコに窒素雰囲気
下、金属マグネシウム粉3.7g(0.15mol)とTi(O−n
−C4H94102g(0.3mol)を加え、80℃まで昇温し、さ
らに1.8gのヨウ素を溶解したn−ブタノール23.7g(0.3
2mol)を1時間かけて滴下し、その後120℃まで加温し
て反応させた。このようにして得た反応生成物に室温で
ヘキサン400mlを加えた後、ヘキサンで50wt%に希釈さ
れたAl(C2H5)Cl295.8g(0.75mol)を45℃で2時間滴
下し、固体生成物を得た。この生成物にヘキサンを加
え、傾斜法で、すなわち撹拌,静置,上澄液除去を繰り
返して、上澄液に塩素イオンを検出しなくなるまで洗浄
した。この固体生成物のTi含有量は17.8wt%であった。
b)〔触媒の分子量分布の評価〕 下記c)項に示す(M)工程と同一条件下で単一重合を
実施したところ、生成したポリエチレンの〔η〕は2.0
であり、w/nは4.5と実施例−1で用いた触媒系よ
り狭い分子量分布であった。
c)〔重合〕 上記a)で得られた触媒を用いて、表−1で示した反応
条件を種々変えたこと以外は実施例−1と同様にポリエ
チレンを製造した。
得られたポリエチレン粉末に実施例−1と同様にして、
同一種類のラジカル発生剤を添加し改質した。この改質
ポリエチレンの結果を表−2に示す。
この結果、広い分子量分布の重合体が得られる触媒を用
いた実施例−1の結果より、著しく小さな溶融張力であ
り本発明に示す効果は得られなかった。
実施例9 a)〔固体触媒成分の製造〕 攪拌装置を備えた容量1.6lのオートクレーブにジエトキ
シマグネシウム21.3g(0.2mol)とチタンテトラブトキ
シド68g(0.2mol)を加え、120℃まで昇温し1時間攪拌
した。その後340mlのヘキサンを加えて溶液を得た。引
き続き45℃でイソブチルアルミニウムジクロリドの50%
ヘキサン溶液186g(1.2mol)を2時間かけて加えた。す
べてを加えた後、60℃で1時間攪拌を行った。生成物に
ヘキサンを加え傾斜法で10回洗浄を行った。かくして、
ヘキサンに懸濁した固体触媒成分のスラリーを得た。こ
の固体触媒成分のTi含有量は11.8重量%であった。
b)〔触媒の分子量分布の評価〕 下記c)項に示す(M)工程と同一重合条件下で単一重
合を実施したところ、生成したポリエチレンの〔η〕は
1.8であり、w/nは7.9と比較的分子量分布の広いも
のであった。
c)〔重合〕 内容量10lの攪拌型反応器に、ヘキサンを6l仕込み、内
温を65℃に調節した後、トリイソブチルアルミニウム1.
0g(5mmol)および上記a)で得た固体触媒110mgを加え
た。窒素ガスによって反応器内圧を1kg/cm2に調節した
後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1−ブ
テン8gを導入し、さらに全圧が2.6kg/cm2となるように
連続的にエチレンを加えて20分間重合した((H)工
程)。続いて気相部を窒素で置換し内温を85℃、内圧を
1kg/cm2に調節し、さらに水素分圧12.8kg/cm2を加えた
後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1−ブ
テン3.6gを導入し全圧が17kg/cm2となるように連続的に
エチレンを加えて60分間重合した((L)工程)。再び
気相部を窒素で置換し内温を80℃、内圧を1kg/cm2に調
節し、さらに水素分圧1.5kg/cm2を加えた後、エチレン
を導入し全圧を7.0kg/cm2となるように連続的にエチレ
ンを加えて50分間重合した((M)工程)。
(H)工程、(L)工程および(M)工程におけるエチ
レンの供給量比はそれぞれ19%、41%および40%であっ
た。
次いで、反応器にラジカル発生剤として、α,α′−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン60mg
を供給し15分間攪拌した。内容物を抜き出し、回分式通
気乾燥器中で90℃で乾燥し、ラジカル発生剤が接触した
ポリエチレン粉末2250gを得た。なお、ラジカル発生剤
の含有量は27ppmであった。この重合における触媒効率
は2050g/g固体触媒であり、ポリマーのカサ密度は0.39g
/cm3であった。なお、(H)工程の重合終了時に少量抜
き出したポリマーの〔η〕は9.6であり、(L)工程の
重合終了時に少量抜き出したポリマーの〔η〕は3.4で
あり最終製品の〔η〕は2.8であることより、(L)工
程で生成したポリマーの〔η〕は0.5、(M)工程で生
成したポリマーの〔η〕は1.8であることがわかる。
また、各工程で生成するポリマー中のαオレフィン含有
量については、(H)工程では0.6重量%であり(L)
工程および(M)工程では1−ブテンの仕込量のエチレ
ン分圧との関係よりそれぞれ0.9重量%および0.4重量%
と推定される。
このポリエチレン粉末に安定剤として、イルガノックス
B220(チバガイギー社製)を700ppm添加しスクリュー径
25mmφの押出機にて樹脂温度200℃でペレット化して改
質を終えた。改質されたポレエチレンの物性は以下の通
りである。MIは0.025g/10min、N値は250、密度は0.948
g/cm3であり、溶融張力は31.1gでダイスウェルはSR−I
として3.06、SR−IIとして3.38であり、剪断速度に対す
る依存性:Kは0.61であった。さらに、スクリュー径25mm
φの押出機によりインフレーションフィルムに成形した
ところ、0.2mm以上のフィッシュアイは560ヶ/m2と少な
く均一なポリマーであることを示した。
実施例10 a)〔固体触媒成分の製造〕 攪拌装置を備えた容量1.6lのオートクレーブに無水塩化
マグネシウム19.0g(0.2mol)とチタンテトラブトキシ
ド47.6g(0.14mol)を加え、120℃まで昇温し2時間攪
拌した。その後300mlのヘキサンを加えて溶液を得た。
引き続き45℃でエチルアルミニウムジグロリドの50%ヘ
キサン溶液305g(1.2mol)を2時間かけて加えた。すべ
てを加えた後、60℃で1時間攪拌を行った。生成物にヘ
キサンを加え傾斜法で10回洗浄を行った。かくして、ヘ
キサンに懸濁した固体触媒成分のスラリーを得た。この
固体触媒成分のTi含有量は9.8重量%であった。
b)〔触媒の分子量分布の評価〕 下記c)項に示す(M)工程と同一重合条件下で単一重
合を実施したところ、生成したポリエチレンの〔η〕は
1.9であり、w/nは8.4と比較的分子量分布の広いも
のであった。
c)〔重合〕 内容量10lの攪拌型反応器に、ヘキサンを6l仕込み、内
温を65℃に調節した後、トリイソブチルアルミニウム1.
0g(5mmol)および上記a)で得た固体触媒100mgを加え
た。窒素ガスによって反応器内圧を1kg/cm2に調節した
後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1−ブ
テン8gを導入し、さらに全圧が2.6kg/cm2となるように
連続的にエチレンを加えて15分間重合した((H)工
程)。続いて気相部を窒素で置換し内温を85℃、内圧を
1kg/cm2に調節し、さらに水素分圧12.8kg/cm2を加えた
後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1−ブ
テン3.6gを導入し全圧が17kg/cm2となるように連続的に
エチレンを加えて60分間重合した((L)工程)。再び
気相部を窒素で置換し内温を80℃、内圧を1kg/cm2に調
節し、さらに水素分圧1.5kg/cm2を加えた後、エチレン
を導入し全圧が7.0kg/cm2となるように連続的にエチレ
ンを加えて60分間重合した((M)工程)。
(H)工程、(L)工程および(M)工程におけるエチ
レンの供給量比はそれぞれ15%、42%および43%であっ
た。
次いで、反応器にラジカル発生器として、α,α′−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン60ml
を供給し15分間攪拌した。内容物を抜き出し、回分式通
気乾燥器中で90℃で乾燥し、ラジカル発生剤が接触した
ポリエチレン粉末2480gを得た。なお、ラジカル発生剤
の含有量は24ppmであった。この重合における触媒効率
は2480g/g固体触媒であり、ポリマーのカサ密度は0.37g
/cm3であった。なお、(H)工程の重合終了時に少量抜
き出したポリマーの〔η〕は10.1であり、(L)工程の
重合終了時に少量抜き出したポリマーの〔η〕は3.2で
あり最終製品の〔η〕は2.6であることより、(L)工
程で生成したポリマーの〔η〕は0.8、(M)工程で生
成したポリマーの〔η〕は1.9であることがわかる。
また、各工程で生成するポリマー中のαオレフィン含有
量については、(H)工程では0.6重量%であり(L)
工程および(M)工程では1−ブテンの仕込量とエチレ
ン分圧との関係よりそれぞれ0.9重量%および0.4重量%
と推定される。
このポリエチレン粉末に安定剤として、イルガノックス
B220(チバガイギー社製)を700ppm添加しスクリュー径
25mmφの押出機にて樹脂温度200℃でペレット化して改
質を終えた。改質されたポレエチレンの物性は以下の通
りである。MIは0.040g/10min、N値は235、密度は0.949
g/cm3であり、溶融張力は25.4gでダイスウェルはSR−I
として2.86、SR−IIとして3.17であり、剪断速度に対す
る依存性:Kは0.59であった。
実施例11 a)〔固体触媒成分の製造〕 攪拌装置を備えた容量1lのフラスコに金属マグネシウム
粉末5.0g(0.2mol)とテトラキス(2−エチルヘキソキ
シ)シラン27.3g(0.05mol)を入れ、ヨウ素0.2gを溶解
したn−ブタノール35.0g(0.47mol)を100℃で2時間
かけて加え、さらに発生する水素ガスを排除しながら窒
素シール下140℃で2時間攪拌した。次いで、デカン350
mlおよび30重量%のジエチルアルミニウムクロライド溶
液10mlを加えてC−O−Mg結合を有する成分の溶液を得
た。この溶液に四塩化チタン4g(0.02mol)を加え、引
き続き45℃でエチルアルミニウムジクロリドの50%ヘキ
サン溶液25.4g(0.1mol)を2時間かけて加えた。すべ
てを加えた後、60℃で1時間攪拌を行った。生成物にヘ
キサンを加え傾斜法で10回洗浄を行った。かくして、ヘ
キサンに懸濁した固体触媒成分のスラリーを得た。この
固体触媒成分のTi含有量は2.7重量%であった。
b)〔触媒の分子量分布の評価〕 下記c)項に示す(M)工程と同一重合条件下で単一重
合を実施したところ、生成したポリエチレンの〔η〕は
1.6であり、w/nは6.8と比較的分子量分布の広いも
のであった。
c)〔重合〕 内容量10lの攪拌型反応器に、ヘキサンを6l仕込み、内
温を65℃に調節した後、トリイソブチルアルミニウム0.
87g(4.4mmol)および上記a)で得た固体触媒100mgを
加えた。窒素ガスによって反応器内圧を1kg/cm2に調節
した後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1
−ブテン8gを導入し、さらに全圧が2.6kg/cm2となるよ
うに連続的にエチレンを加えて15分間重合した((H)
工程)。続いて気相部を窒素で置換し内温を85℃、内圧
を1kg/cm2に調節し、さらに水素分圧12.8kg/cm2を加え
た後、エチレンを導入して重合を開始するとともに1−
ブテン3.6gを導入し全圧が17kg/cm2となるように連続的
にエチレンを加えて60分間重合した((L)工程)。再
び気相部を窒素で置換し内温を80℃、内圧を1kg/cm2
調節し、さらに水素分圧1.5kg/cm2を加えた後、エチレ
ンを導入し全圧が7.0kg/cm2となるように連続的にエチ
レンを加えて70分間重合した((M)工程)。
(H)工程、(L)工程および(M)工程におけるエチ
レンの供給量比はそれぞれ17%、44%および39%であっ
た。
次いで、反応器にラジカル発生剤として、α,α′−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン60mg
を供給し15分間攪拌した。内容物を抜き出し、回分式通
気乾燥器中で90℃で乾燥し、ラジカル発生剤が接触した
ポリエチレン粉末1980gを得た。なお、ラジカル発生剤
の含有量は30ppmであった。この重合における触媒効率
は1980g/g固体触媒であり、ポリマーのカサ密度は0.36g
/cm3であった。なお、(H)工程の重合終了時に少量抜
き出したポリマーの〔η〕は9.0であり、(L)工程の
重合終了時に少量抜き出したポリマーの〔η〕は2.9で
あり最終製品の〔η〕は2.4であることより、(L)工
程で生成したポリマーの〔η〕は0.5、(M)工程で生
成したポリマーの〔η〕は1.6であることがわかる。
また、各工程で生成するポリマー中のαオレフィン含有
量については、(H)工程では0.6重量%であり(L)
工程および(M)工程では1−ブテンの仕込量とエチレ
ン分圧との関係よりそれぞれ0.9重量%および0.4重量%
と推定される。
このポリエチレン粉末に安定剤として、イルガノックス
B220(チバガイギー社製)を700ppm添加しスクリュー径
25mmφの押出機にて樹脂温度200℃でペレット化して改
質を終えた。改質されたポレエチレンの物性は以下の通
りである。MIは0.055g/10min、N値は210、密度は0.951
g/cm3であり、溶融張力は22.8gでダイスウェルはSR−I
として2.79、SR−IIとして3.10であり、剪断速度に対す
る依存性:Kは0.59であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる触媒調製工程を示すフローチャ
ート図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−227913(JP,A) 特開 昭57−141409(JP,A) 特開 昭54−70388(JP,A) 特公 昭59−10724(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)少なくとも1種のマグネシウム含有
    反応剤と、少なくとも1種のチタン化合物を含む遷移金
    属含有反応剤とを、少なくとも1方の反応剤は化学構造
    式中にC−O−M(式中、Mはマグネシウムまたは遷移
    金属を表す)結合を有するものであるように選択し、反
    応させて得られた生成物と(ii)少なくとも1種のジア
    ルキルアルミニウムクロライド、あるいは、アルキルア
    ルミニウムジクロライドとを反応させることによって得
    られた固体触媒(A)と周期律表の第I a,II a,II b,II
    I bおよびIV b族金属の有機金属化合物(B)とからな
    るチーグラー型触媒の存在下、エチレンの重合またはエ
    チレンとαオレフィンとの共重合を、極限粘度〔η〕が
    5〜20、αオレフィン含有量が20重量%以下であるポリ
    エチレンを全重合量の2〜40重量%製造する工程
    ((H)工程)、極限粘度〔η〕が0.2〜1.0、αオレフ
    ィン含有量が10重量%以下であるポリエチレンを全重合
    量の20〜70重量%製造する工程((L)工程)および極
    限粘度〔η〕が1〜5、αオレフィン含有量が20重量%
    以下であるポリエチレンを全重合量の20〜70重量%製造
    する工程((M)工程)からなる多段工程を少なくとも
    三つの重合工程として任意の順序で経て行なうか、また
    は(H)工程および(L)工程を並列して行ない、次い
    で各工程における重合体を含んだままの反応混合物を混
    ぜ合わせて行なう(M)工程を経て行ない、得られたポ
    リエチレン粉末にラジカル発生剤を接触させることを特
    徴とする改質されたポリエチレンの製造方法。
  2. 【請求項2】触媒として(M)工程で分子量分布w/
    nが5〜15の範囲にあるポリエチレンを得るものを使用
    する特許請求の範囲第1項記載のポリエチレンの製造方
    法。
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