JPH0681725A - エンジンの蒸発燃料制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、燃料タンク内の圧力がキャニスタ
側に許容された時に燃料タンク内の蒸発燃料をチャンバ
内に円滑に流動させ、キャニスタの大気側からＨＣが漏
洩するのを防止することを目的としている。 【構成】 このため、エンジンの停止時に燃料タンクの
圧力がキャニスタ側に作用するのを停止するとともに、
エンジンの稼動時には燃料タンクの圧力がキャニスタ側
に作用するのを許容する圧力制御弁を燃料タンクとキャ
ニスタ間の通気路途中に設け、キャニスタには下流端側
を所定高さ位置として大気開放させたチャンバを設けて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの蒸発燃料
制御装置に係り、特にエンジンの始動後等に蒸発燃料が
漏洩するのを防止し得るエンジンの蒸発燃料制御装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】車両においては、燃料タンク、気化器の
フロート室などから大気中に漏洩する蒸発燃料は、炭化
水素（ＨＣ）を多量に含み大気汚染の原因の一つとなっ
ており、また、燃料の損失にもつながることから、これ
を防止するための各種の技術が知られている。その代表
的なものとして、活性炭などの吸着剤を収容したキャニ
スタに燃料タンクの蒸発燃料をエンジンの運転時に離脱
（パージ）させてエンジンに供給するエンジンの蒸発燃
料制御装置がある。

【０００３】この蒸発燃料制御装置は、図４に示す如
く、燃料タンク１１６とエンジン１０４の吸気系で絞り
弁１１４下流側の吸気通路１１２とが通気路１１８で連
通され、この通気路１１８途中にエンジン１０４の停止
中に燃料タンク１１６で発生した蒸発燃料を収容した吸
着剤に吸着保持させるとともに、前記エンジン１０４の
運転中には、大気導入路１５８からの新気の導入によっ
て吸着保持させた蒸発燃料を離脱（パージ）して吸気通
路１１２に供給させるキャニスタ１２０を設け、つま
り、前記キャニスタ１２０は、通気路１１８を形成する
エバポ通路１２２とパージ通路１２４間に介設され、ま
た、このパージ通路１２４途中にパージバルブ１２６を
設けて構成されている。このパージバルブ１２６は、エ
ンジン１０４の各運転状態を入力する制御手段（図示せ
ず）によって作動制御される。

【０００４】また、前記エバポ通路１２２途中には、圧
力制御弁１４０が介設されている。この圧力制御弁１４
０は、ハウジング１４４Ｓ内に取り付けられたダイヤフ
ラム１４６と、このダイヤフラム１４６が接離する開口
形成体１４８と、一方弁１５０と、ダイヤフラム１４６
によって区画形成された圧力室１５２と、この圧力室１
５２に設けられたスプリング１５４とからなる。前記圧
力室１５２には、サージタンク１１０内に連通する圧力
通路１４４が連通されている。また、前記パージ通路１
２４の終端であるパージ口１３８は、絞り弁１１４の下
流側の吸気通路１１２に開口されている。これにより、
前記圧力制御弁１４０は、エンジン１０４の停止時にエ
バポ通路１２２を閉成して燃料タンク１１６の圧力がキ
ャニスタ１２０側に作用するのを防止するとともに、エ
ンジン１０４の稼動時には、サージタンク１１０からの
吸気管負圧によってダイヤフラム１４６が作動してエバ
ポ通路１２２を開成し、前記燃料タンク１１６の圧力が
キャニスタ１２０側に作用するのを許容する。

【０００５】また、このような蒸発燃料制御装置として
は、例えば、特開平３−７４５６２号公報に開示されて
いる。この公報に記載のものは、エンジンの吸気通路に
設けられている絞り弁の上流側に絞り部を設け、絞り部
と絞り弁との間にパージエア通路を接続し、これによ
り、パージエア率をエンジンの運転条件によらず一定に
保たせ、パージ導入時の負荷変動に伴うＡ／Ｆ制御の複
雑化を招くこともなく、制御精度を向上するものであ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の蒸発
燃料制御装置においては、エンジンの停止時に、パージ
バルブ及び圧力制御弁が閉動作しており、また、燃料タ
ンク内の圧力が圧力制御弁の設定圧によって一定圧に制
御されている。そこで、エンジンを始動すると、圧力制
御弁の圧力室に吸気管負圧が作用し、圧力制御弁を開動
作させてしまい、このため、燃料タンク内の圧力が一度
に開放されてしまう。このように、燃料タンクの圧力が
一度に開放されると、燃料タンク内のＨＣがキャニスタ
側に流動してしまう。そして、キャニスタの状態（ＨＣ
の吸着レベルの高い時）によっては、大気導入路からＨ
Ｃが漏洩する不都合がある。また、パージバルブは、一
般的に、アイドル運転時の回転の安定性を確保するため
に、閉動作している。このようなことから、従来、エン
ジンの始動時又は再始動時に、キャニスタの大気導入路
から燃料タンクからのＨＣが大気側に漏洩する不都合が
あった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、燃料タンク内とエンジン
の吸気系の吸気通路とを連通する通気路途中に前記エン
ジン停止中に前記燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着
保持するとともに前記エンジン運転中には新気の導入に
よって吸着保持した蒸発燃料を離脱して前記吸気通路に
供給させるキャニスタを設け、このキャニスタと前記吸
気通路間の前記通気路途中にパージバルブを設けたエン
ジンの蒸発燃料制御装置において、前記エンジンの停止
時に前記燃料タンクの圧力がキャニスタ側に作用するの
を停止するとともに前記エンジンの稼動時には前記燃料
タンクの圧力が前記キャニスタ側に作用するのを許容す
る圧力制御弁を前記燃料タンクと前記キャニスタ間の前
記通気路途中に設け、前記キャニスタには下流端側を所
定高さ位置として大気開放させたチャンバを設けたこと
を特徴とする。

【０００８】

【作用】この発明の構成によれば、エンジンの始動時及
びアイドル運転時には、圧力制御弁によって燃料タンク
とキャニスタ間の通気路が開成され、燃料タンク内の圧
力がキャニスタ側に作用されている。

【０００９】このとき、キャニスタが略飽和状態であっ
た場合でも蒸発燃料をチャンバ内に収容し、燃料タンク
内の蒸発燃料が大気側に漏洩するのを防止している。

【００１０】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図１は、この発明の実施例を示
すものである。図１において、２は蒸発燃料制御装置、
４はエンジン、６はエアクリーナ、８は吸気管、１０は
サージタンク、１２は吸気通路、１４はサージタンク１
０上流側の吸気通路１２内に配設された絞り弁、１６は
燃料タンクである。前記蒸発燃料制御装置２は、燃料タ
ンク１６と吸気通路１２とを連通する通気路１８と、こ
の通気路１８途中に設けたキャニスタ２０とを有してい
る。前記通気路１８は、燃料タンク１６とキャニスタ２
０間のエバポ通路２２と、キャニスタ２０と吸気通路１
２間のパージ通路２４とからなる。

【００１１】また、前記パージ通路２４途中には、パー
ジバルブ２６が介設されている。このパージバルブ２６
は、制御手段２８によって作動制御される。

【００１２】この制御手段２８は、絞り弁１４の開度を
検知するスロットルセンサ３０と車速センサ３２と吸気
量を検出するエアフロメータ３４とエンジン回転数セン
サ３６とからの各信号を入力してエンジン４のアイドル
運転時を判定するとともに、エンジン４の始動時及びア
イドル運転時にパージバルブ２６を閉状態から全開状態
に作動制御するものである。即ち、パージバルブ２６
は、スロットルセンサ３０からの信号によってアイドル
運転時の絞り弁１４の開度で、且つ車速が０〓／ｈの
時、又は、エンジン回転数が設定値以下、又は、吸気量
が設定値以下等の条件の際に、制御手段２８によってパ
ージ通路２４を全開すべく作動される。

【００１３】前記パージ通路２４の終端であるパージ口
３８は、絞り弁１４の直下流側で吸気通路１２に開口さ
れている。

【００１４】また、前記エンジン４の停止時に前記燃料
タンク１６の圧力がキャニスタ２０側に作用するのを停
止するとともに、前記エンジン４の稼動時には、前記燃
料タンク１６の圧力が前記キャニスタ２０側に作用する
のを許容する圧力制御弁４０を前記燃料タンク１６と前
記キャニスタ２０間の前記通気路１８途中に設け、前記
キャニスタ２０には、下流端側を所定の高さ位置として
大気開放されたチャンバ４２を設けている。

【００１５】詳述すれば、前記エバポ通路２２途中に圧
力制御弁４０を介設する。この圧力制御弁４０は、圧力
通路４４の上流部位に取付けられたダイヤフラム４６
と、このダイヤフラム４６が接離する開口形成体４８
と、一方弁５０と、ダイヤフラム４６によって区画形成
された圧力室５２と、この圧力室５２に設けられて前記
ダイヤフラム４６を付勢するスプリング５４とからな
る。前記圧力室５２には、サージタンク１０内に連通す
る圧力通路４４が連通されている。これによって、前記
圧力制御弁４０は、エンジン４の停止時にエバポ通路２
２を閉成して燃料タンク１６の圧力がキャニスタ２０側
に作用するのを防止するとともに、エンジン４の稼動時
には、前記サージタンク１０からの吸気管負圧によって
ダイヤフラム４６が作動してエバポ通路２２を開成して
燃料タンク１６の圧力がキャニスタ２０側に作用するの
を許容するものである。

【００１６】また、前記キャニスタ２０の大気側に、例
えば折曲した連絡通路５６の一端側を接続し、この連絡
通路５６の他端側にチャンバ４２を設ける。このチャン
バ４２は、前記キャニスタ２０の斜め下方部位に配設さ
れている。このチャンバ４２には、新気を導入する大気
導入路５８が設けられている。この大気導入路５８の開
口５８Ａは、前記チャンバ４２の上面４２Ｕよりも上方
に配設されている。

【００１７】次に、この実施例の作用を説明する。

【００１８】エンジン４の始動時及びアイドル運転時に
は、圧力制御弁４０が燃料タンク１６とキャニスタ２０
間の通気路１８を開成させ、前記燃料タンク１６内の圧
力をキャニスタ２０側に作用されている。

【００１９】このとき、前記キャニスタ２０が略飽和状
態であった場合でも蒸発燃料をチャンバ４２内に収容
し、燃料タンク１６内の蒸発燃料が大気側に漏洩するの
を防止している。

【００２０】この結果、エンジン４の停止後の始動時
に、パージバルブ２６を一時的に開動作させ、燃料タン
ク１６の蒸発燃料がエンジン４側に円滑に流動され、こ
れにより、キャニスタ２０の大気側から燃料タンク１６
のＨＣが漏洩するのを効果的に防止することができる。

【００２１】また、アイドル運転を長時間継続しても、
キャニスタ２０からＨＣが漏洩するのを防止することが
できる。

【００２２】よって、蒸発燃料漏洩試験において、エン
ジン４の運転中のＨＣの排出状態テストにも対応させる
ことができる。

【００２３】なお、この発明は上述実施例に限定される
ものではなく種々の応用改変が可能である。

【００２４】例えば、この発明の実施例においては、キ
ャニスタ２０大気側に、折曲した連絡通路５６の一端側
を接続し、連絡通路５６の他端側にチャンバ４２を設け
てこのチャンバ４２を前記キャニスタ２０の斜め下方部
位に配設する構成としたが、図２に示す如く、キャニス
タ２０とチャンバ４２とを略同一高さ位置に配設し、こ
のキャニスタ２０とチャンバ４２とをＵ字形状に折曲し
た連絡通路５６によって連絡させる構成とすることもで
きる。

【００２５】また、図３に示す如く、チャンバ４２をキ
ャニスタ２０の下方に配設し、このキャニスタ２０とチ
ャンバ４２とを直線状の連絡通路５６によって連絡させ
る構成とすることもできる。

【００２６】

【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、エンジンの停止時に燃料タンクの圧力が
キャニスタ側に作用するのを停止するとともに、エンジ
ンの稼動時には燃料タンクの圧力がキャニスタ側に作用
するのを許容する圧力制御弁を燃料タンクとキャニスタ
間の通気路途中に設け、キャニスタには下流端側を所定
高さ位置として大気開放させたチャンバを設けたので、
燃料タンク内の圧力がキャニスタ側に許容されると、燃
料タンク内の蒸発燃料がチャンバ内に円滑に流動でき、
キャニスタの大気側からＨＣが漏洩するのを防止し得
て、実用上有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す蒸発燃料制御装置のシ
ステム構成図である。

【図２】この発明の他の実施例を示す蒸発燃料制御装置
のキャニスタとチャンバとの拡大説明図である。

【図３】この発明のその他の実施例を示す蒸発燃料制御
装置のキャニスタとチャンバとの拡大説明図である。

【図４】従来における蒸発燃料制御装置のシステム構成
図である。

【符号の説明】

２ 蒸発燃料制御装置 ４ エンジン ８ 吸気管 １０ サージタンク １２ 吸気通路 １６ 燃料タンク １８ 通気路 ２０ キャニスタ ２２ エバポ通路 ２４ パージ通路 ２６ パージバルブ ２８ 制御手段 ４０ 圧力制御弁 ４２ チャンバ ４４ 圧力通路 ４６ ダイヤフラム ４８ 開口形成体 ５０ 一方弁 ５２ 圧力室 ５４ スプリング ５６ 連絡通路 ５８ 大気導入路

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【手続補正書】

【提出日】平成４年１０月１５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料タンク内とエンジンの吸気系の吸気
   通路とを連通する通気路途中に前記エンジン停止中に前
   記燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着保持するととも
   に前記エンジン運転中には新気の導入によって吸着保持
   した蒸発燃料を離脱して前記吸気通路に供給させるキャ
   ニスタを設け、このキャニスタと前記吸気通路間の前記
   通気路途中にパージバルブを設けたエンジンの蒸発燃料
   制御装置において、前記エンジンの停止時に前記燃料タ
   ンクの圧力がキャニスタ側に作用するのを停止するとと
   もに前記エンジンの稼動時には前記燃料タンクの圧力が
   前記キャニスタ側に作用するのを許容する圧力制御弁を
   前記燃料タンクと前記キャニスタ間の前記通気路途中に
   設け、前記キャニスタには下流端側を所定高さ位置とし
   て大気開放させたチャンバを設けたことを特徴とするエ
   ンジンの蒸発燃料制御装置。