JPH0618050Y2 - シリンダブロツク構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はシリンダブロック構造に係り、特にベアリング
キャップの取付け構造に改良を加えたシリンダブロック
構造に関する。

［従来の技術］ クランク軸を回転自在に支持するように構成されたシリ
ンダブロックには、第３図に示す如くシリンダブロック
ａのブロックスカートｂとオイルパンｃとの間にブロッ
クスカートｂの変形，ベアリングキャップｄの変形を防
止すべくラダーフレームｅを設けたものや、第４図に示
す如くオイルパンＣ₁側にベアリングキャップｄ₁の動き
を阻止すべくベアリングプレートｆを設けたもの、第５
図に示す如くオイルパンｃ₁側にブロックスカートｂ₁の
動きを阻止すべくベアリングプレートｇを設けたものが
ある。

しかし、いずれの例にあってもクランク軸からの衝撃荷
重によってベアリングキャップに変形が生じやすく、そ
の変形による隙間（ガタ）によって、振動騒音が発生し
てしまうという問題がある。また、これらラダーフレー
ム，ベアリングビーム，ベアリングプレートは、シリン
ダブロック重量，生産性，コスト面の問題もある。

そこで、従来にあっては、第６図に示す如く、スカート
ｂ₁がクランク軸ｈの中心付近で終るハーフスカート型
式のシリンダブロックａ₁においてスカートｂ₁と連接す
るバルクヘッドｉに、このバルクヘッドｉに結合するベ
アリングキャップｄ₁の両側に位置させて、リブｊで補
強されたリテーナｋを一体的に突設し、このリテーナｋ
とベアリングキャップｄ₁とをサイドボルトｌで結合し
た「内燃機関のシリンダブロック」（実開昭59-107955
号公報）の提案がなされている。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、サイドボルトでベアリングキャップをリテー
ナに取付けるという構造は、ボルト数の増加に伴って組
立作業時間が増しまた組付に要する部品点数が増加して
しまうため、コストダウンを十分に達成することができ
ないという問題があった。

また強度面でも、主にサイドボルトがクランク軸からの
スラスト荷重を受ける構造となっているため、繰返し疲
労によりサイドボルトが破壊（特にねじ部）してしまう
という虞がある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記課題を解決することを目的とし、下部にク
ランク軸の上半分を覆う軸受部を有するバルクをシリン
ダブロックの左右のスカート内面に掛け渡し、クランク
軸の下半分を覆うベアリングキャップをボルトによりバ
ルク下部に取付けたシリンダブロック構造において、上
記ベアリングキャップを中心にしてその左右のスカート
内面に夫々ベアリングキャップ側へ延びたリブを設け、
これらリブの延出端面にリブの上端面及び下端面に夫々
開端する直線状溝であってその溝深さが下端面で最も深
く上端面で最も浅い嵌め込み溝を設け、ベアリングキャ
ップに、そのスカート側の両端面に、夫々上記嵌め込み
溝にくさび嵌合するくさび部を設けたものである。

［作用］ ベアリングキャップのくさび部を嵌め込み溝に嵌め、ベ
アリングキャップをバルクにボルト止めした状態では、
くさび部と嵌め込み溝との間の隙間（ガタ）はない。よ
ってガタ付きを原因とする騒音の発生はない。また、ク
ランク軸方向のスラスト方向の荷重は、リブ及びスカー
トによって受けとめられるため、ベアリングキャップの
変形及び倒れはない。

［実施例］ 以下に本考案のシリンダブロック構造の好適一実施例を
添付図面に基づいて説明する。

第１図に示すように、シリンダブロック１の下部を形成
するスカート２には、そのスカート２の内面２ａにバル
ク３が掛け渡されている。バルク３は、その下部にクラ
ンク軸４の外周面４ａの上半分を覆う軸受部５を一体に
有し、かつその軸受面６の外側に（左右に）それぞれね
じ部８，８を有している。そしてベアリングキャップ９
は、ねじ部８，８に螺合されるボルト１５，１６によっ
てバルク３の下部に一体に取付けられる。

ベアリングキャップ９は、第１図，第２図に示す如く、
板状部材から構成され、その上部に、クランク軸４の下
半分の外周面４ａを覆う軸受面１０を有し、そのスカー
ト側の両端面１２ａ，１２ｂに、後述する嵌め込み溝１
４ａ，１４ｂとくさび嵌合するくさび部１３ａ，１３ｂ
を有している。

これらくさび部１３ａ，１３ｂは、ベアリングキャップ
９に対してハ字状に設けられている。そしてくさび部１
３ａ，１３ｂの厚みは、ベアリングキャップ９の厚みよ
りは薄く、各くさび部１３ａ，１３ｂは、ベアリングキ
ャップ９のスカート側の端面に対して、その肉厚方向の
中央部に設けられている。

そしてスカート２の内面２ａには、ベアリングキャップ
９を中心にしてその左右に位置する部分に、それぞれベ
アリングキャップ９側へ延出させてリブ３ａが一体に形
成されている。

これらリブ３ａ，３ｂには、その延出端面に、ベアリン
グキャップ９の上端面及び下端面にそれぞれ開端され、
上記くさび部１３ａ，１３ｂをそれぞれくさび嵌合させ
るための嵌め込み溝１４ａ，１４ｂが設けられている。
これら嵌め込み溝１４ａ，１４ｂは、その溝深さが下端
面で最も深く上端面で最も浅くなるテーパ状に形成され
ている。

したがって、ボルト１５，１６の締付を終え、ベアリン
グキャップ９を軸受部５にバルク３に一体に取付けた後
においてもスカート２にはリブ３ａを介してくさび力が
付勢され続けることになり、これら間にガタ付きは一切
ない。よって従来問題となっていたガタ付きによる振動
騒音の発生はない。

また、リブ３ａ及びスカート２は、クランク軸４のスラ
スト方向の荷重を受けるため、リブ３ａ及びスカート２
の強度が充分である限りは、ベアリングキャップ９の変
形や倒れはない。よって安定した軸受性能が保持され
る。また、ボルト１５，１６には、引張荷重のみが作用
するようになり、その強度が保証される。

なお、上記くさび部１３ａ，１３ｂは、クランク軸４の
スラスト方向の荷重に充分に対向し得る断面係数に設定
されると共に、くさび部１３ａ，１３ｂ及び嵌め込み溝
１４ａ，１４ｂは、ベアリングキャップ９と軸受部５と
が完全に係合し締付されたときに、これらの間に所定の
くさび力が発揮されるテーパに設定されている。

したがって従来のサイドボルトは不要となり、軽量，低
コスト，高剛性そして低騒音のシリンダブロック構造が
得られる。

［考案の効果］ 以上説明したことから明らかなように本考案によれば次
の如き優れた効果を発揮する。

(1)シリンダブロックの強度を増すことができ、また、
ガタ付きをなくすことができるので、振動騒音を大巾に
低減することができる。

(2)ベアリングキャップの変形を防ぐことができ安定し
た軸受性能を得ることができる。

(3)部品点数を削減できかつ組立作業性を大巾に向上で
きる。

(4)軽量化，コストダウンを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシリンダブロック構造の好適一実
施例を示す縦断面図、第２図は第１図のII−II線矢視
図、第３図乃至第６図は従来例を示す縦断面図である。 図中、１はシリンダブロック、２はスカート、３はバル
ク、４はクランク軸、５は軸受部、９はベアリングキャ
ップ、１３ａ，１３ｂはくさび部、１４ａ，１４ｂは嵌
め込み溝である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部にクランク軸の上半分を覆う軸受部を
   有するバルクをシリンダブロックの左右のスカート内面
   に掛け渡し、クランク軸の下半分を覆うベアリングキャ
   ップをボルトによりバルク下部に取付けたシリンダブロ
   ック構造において、上記ベアリングキャップを中心にし
   てその左右のスカート内面に夫々ベアリングキャップ側
   へ延びたリブを設け、これらリブの延出端面にリブの上
   端面及び下端面に夫々開端する直線状溝であってその溝
   深さが下端面で最も深く上端面で最も浅い嵌め込み溝を
   設け、ベアリングキャップに、そのスカート側の両端面
   に、夫々上記嵌め込み溝にくさび嵌合するくさび部を設
   けたことを特徴とするシリンダブロック構造。