JPH058304B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は屋上外断熱構造に関し、特に、建物の
屋上面に断熱材ボードを縦横に配列して敷きつめ
るとともにこれらの断熱材ボードとの間に空間を
おいて上方に離間した平面内に押えパネルを縦横
に配列して敷きつめた形式の屋上外断熱構造の改
良に関するものである。

室内における体感温度は室温の他に天井面から
の輻射熱によつて影響を受ける。このため、特
に、コンクリート建造物では、その屋上面に断熱
材ボードを敷きつめる形式の屋上外断熱構造が提
案されている。この断熱構造によれば、建物全体
を保温し、特に早朝の冷込みを緩和するととも
に、真夏には直射日光を遮り、適度な換気と日陰
効果を利用して屋根スラブの蓄熱を防ぎ、ほてり
による夜間のむし暑さを解消することができる。

（従来の技術） 従来のこの種の屋上外断熱構造は、一般に、取
付け及び撤去を容易化するとともに新築の建物の
みならず既存の建物にも容易に施工できるようユ
ニット化構造を有し、第６図に示すように建物躯
体１の上面１ａとの間に空間３（下部空気層）を
おいて上方に離間した平面内に断熱材ボード４を
縦横に配列して敷ききつめるとともにさらにこれ
らの断熱材ボードとの間に空間５（上部空気層）
をおいて上方に離間した平面内に押えパネル６を
縦横に配列して敷き、建物躯体上に支持した支持
脚７により隣接するパネルの隅角部を支持し、固
定キヤツプ９で一体に締結している。

このような屋上外断熱構造では、建物躯体上面
との間に空間をおいて断熱材ボードを敷きつめる
ので、空気層と断熱材ボードからなる二重断熱構
造により断熱効果を高めることができ、又、雨や
雪等で内部に水が浸入した場合でも空気層の存在
により自然換気で乾燥回復させ断熱性能を多期間
にわたつて高く維持できるという利点がある。

しかし、押えパネル下側に空気が存在する結果
として、第６図に示すように台風等強い風Ａが生
じた場合、押えパネル６の上下に生じる圧力P₁，
P₂の差すなわち上面の高速気流によつて生じる
負圧吸引力Ｆにより押えパネルが上方へ吸引され
剥がれたり飛散するというおそれがある。

（発明が解決しようとする問題点） 上述したような押えパネルの上下に生じる圧力
差により押えパネルが剥がれることは、安全性の
見地からも確実に防止する必要がある。

したがつて、従来構造では、押えパネルをコン
クリートで局部風圧に対抗し得る重量を有するも
のとするか、またはアンカー、接着剤等を用いて
建物躯体に直接に緊結している。しかしながら、
押えパネルの重量を重くすると建物の耐積載能力
を超えた場合危険であり、また、建物寿命の短縮
化につながるばかりでなく、施工面でも重くなれ
ばなる程施工性およびメインテナンス性が低下す
る等の問題がある。また、押えパネルを建物躯体
に直接に緊結する場合にも施工性およびメインテ
ナンス性が低下するとともに防水層の損傷という
致命的な欠陥を生じる危険性がある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、屋上外断熱構造の改良によつて耐風
圧性能を向上させ、これにより屋上外断熱構造の
押えパネルの重量を重くせず、また、建物躯体に
直接に緊結することなしに上述した問題を解決す
ることを目的とする。

これがため、本発明によれば、第１図に示すよ
うに、建物屋上面１ａに断熱材ボード４を縦横に
配列して敷きつめるとともにこれらの断熱材ボー
ドとの間に空間５をおいて上方に押えパネル６を
縦横に配列して敷きつめ、建物屋上面に支持した
支持脚７により隣接する押えパネルの隅角部を支
持し、固定キヤツプ９により支持脚に押えパネル
を一体に締結してなる屋上外断熱構造において、
局部風圧の最も大きくなる屋上周縁部に位置する
パネル６ａにパネル下側の空間５を大気に連通さ
せる開口１０を設けたことを特徴とする。

（作用） 本発明によれば、局部風圧の最も大きくなる屋
上周縁部に位置するパネルに通気開口を設けたこ
とによつて、近隣の押えパネルに対して強風時に
生ずるパネル上下面の圧力差を著しく低減させる
ことができ、この結果、上方への負圧吸引力が小
さくなり、したがつて、強風による押えパネルの
剥離、飛散等の恐れをなくすことができる。

（実施例） 第１図は本発明による耐風圧型屋上外断熱構造
の１実施例を示しており、１はコンクリート建物
の屋上面１ａを形成する建物躯体で、この建物躯
体１の上面には防水層２が設けられ、この防水層
の上側には空間（下部空気層）３を設けて複数枚
の断熱材ボード４が縦横に配列して敷きつめら
れ、さらにその上側に空間（上部空気層）５を設
けて複数枚の押えパネル６が縦横に配列して敷き
つめられている。

前記断熱材ボード４は例えば硬質ウレタンフオ
ーム等のプラスチック発泡体で作られ、その寸法
は例えば縦横80cmで厚みが２〜５cmのユニットボ
ードとして形成される。

押えパネル６は、例えば、縦横40cmで厚みが４
〜６cm程度のコンクリートで作られる。ただし、
図示の例では前記断熱材ボード４としてこのパネ
ル６の２倍の縦横寸法（広さは４倍）のものが使
用されている。

各断熱材ボード４はその隅角部（押えパネルよ
り広い場合は中央部においても）を支持脚７上の
下段支持部７ａ上に支持され、屋上周縁部におい
て断熱材ボード４は合成樹脂製の端部用支持脚８
の下段支持部８ａ上に、支持されている。

各押えパネル６は、その隅角部で支持脚７上の
上段支持部７ｂ上に支持され、隣接する押えパネ
ルとともに支持脚７上に固定キヤツプ９により相
互に結合され、屋上周辺部において押えパネル６
も端部用支持脚８の上端支持部８ｂ上に支持され
ている。

支持脚７は建物躯体１（図示の例では建物躯体
上面に設けられた防水層２）の上面に載置され、
その上段および下段支持部７ａ，７ｂの高さは上
下調節可能になつており、建物躯体１の上面に凹
凸がある場合でも各押えパネル６のレベル調整が
できるようになつている。

図面に示すように、屋上周縁部に位置するパネ
ル６ａに多数の通気開口１０を設ける。第２図は
通気開口１０を設けた合成樹脂材料又は金属製の
通気パネル６ａの１例を示す。

通気パネル６ａは第３図に示すように屋上周縁
部全周にわたり設けるのが好ましいが、所要に応
じ設置位置を変更することもでき、例えば、第４
図に示すように屋上周縁部に通気パネル６ａと押
えパネル６とを交互に配置することもでき、ある
いは第５図に示すように屋上隅角部に通気パネル
６ａを配置することもできる。

上述した実施例に示す構成によれば、押えパネ
ル６の下側の空間５は通気パネル６ａの通気開口
１０を経て外部に通気しているので、強風時にお
けるパネル上下面間の圧力差を低減することがで
きる。

（発明の効果） 本発明によれば、上述したように、強風時に押
えパネルの上下面間に大きな圧力差が生ずるのを
防止することができ、強風による押えパネルの浮
上り、剥がれあるいは飛散を防止することがで
き、信頼性および安全性にすぐれた屋上外断熱構
造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による屋上外断熱構造の一実施
例を示す部分断面斜視図、第２図は通気パネルの
斜視図、第３図ないし第５図は屋上周縁部への通
気パネルの配置例を示す概略線図、第６図は第１
図に示す屋上外断熱構造の部分縦断面図、第７図
は従来の屋上外断熱構造の部分縦断面図である。 １……建物躯体、２……防水層、３……空間、
４……断熱材ボード、５……空間、６……押えパ
ネル、７……支持脚、８……端部用支持脚、９…
…固定キヤツプ、１０……通気開口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 建物屋上面に断熱材ボードを縦横に配列して
   敷きつめるとともにこれらの断熱材ボードとの間
   に空間をおいて上方に押えパネルを縦横に配列し
   て敷きつめ、建物屋上面に支持した支持脚により
   隣接する押えパネルの隅角部を支持し、固定キヤ
   ツプにより支持脚に押えパネルを一体に締結して
   なる屋上外断熱構造において、屋上周縁部に位置
   するパネルにパネル下側の空間を大気に連通させ
   る開口を設けたことを特徴とする耐風圧型屋上外
   断熱構造。