JPH0536657B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の利用分野］ 本発明は自動車等のサスペンシヨン装置に用い
られてダンパー本体の当接用とされるバンパーバ
ウンドに関する。

［背景技術］ 自動車のサスペンシヨン装置では、ダンパー本
体から突出したダンパーロツドがダンパー本体と
伸縮することによりダンパー本体内の流体抵抗で
振動を減衰するようになつている。

このダンパーロツドには先端部付近にバンパー
バウンドが取り付けられており、大きな振動時に
ダンパー本体との当接用となつている。

このバンパーバウンドは、ダンパーロツドの先
端部へ挿入して取り付けられるが、バンパーバウ
ンドがダンパーロツドから抜け落ちないようにす
るため、バンパーバウンドに形成されるダンパー
ロツドの挿入用孔は段付形状とされている。従つ
て挿入用孔の中間部はダンパーロツドの外周との
間に〓間が生じている。

このためバンパーバウンドの軸方向へ大きな荷
重が作用すると、圧縮変形時に半径方向に分力が
作用して座屈を発生しやすい状態となる。

［発明の目的］ 本発明は上記事実を考慮し、大きな圧縮力が作
用した場合にも座屈を生じ難いバンパーバウンド
を得ることが目的である。

［発明の概要］ 本発明は、上端部に小径部を、その下方に大径
部を形成したダンパーロツド挿入用の貫通孔を有
し、ダンパーロツド上部に設けられたフランジ部
へ前記小径部と大径部との境界部が当接するよう
にダンパーロツドへ取り付けられて、ダンパー本
体の当接用とされる筒状のバンパーバウンドであ
つて、軸方向に沿つて延びると共に周方向には複
数個に分断され、その内径が前記ダンパーロツド
の外径よりも大とされた突条を、前記貫通孔の大
径内周で、かつ大径部の軸方向中央区域に形成し
たことを特徴としている。

上記構成のパンパーバウンドは、ダンパーロツ
ドの挿入用の貫通孔の大径部内周で、かつ大径部
の軸方向中央区域に突条を形成することにより、
軸圧縮力が作用した場合に半径方向に生ずる変位
を少なくして座屈発生を防止している。

しかも、この突条は、軸方向に沿つて延びると
共に周方向に複数個に分断されているため、バン
パーバウンドの成型時に、貫通孔を形成するモー
ルドが抜け易く、製造が容易であると共に、ダン
パーロツドのフランジ部をスムーズに挿入するこ
とができる。

また、大径部では突条の形成された部分の内径
がダンパーロツドの外径よりも大とされているた
め、突条が常にダンパーロツドに摺動することが
なく、ダンパーロツドの通常の動きを妨げること
はなく、また、突条の摩耗も抑制される。

［発明の実施例］ 第１図には本実施例にかかるバンパーバウンド
１０が適用されたサスペンシヨン装置の上部付近
が示されている。このサスペンシヨン装置では軸
心が垂直とされた円筒形状のダンパー本体１２へ
ダンパーロツド１４が挿入され、このダンパーロ
ツド１４の下端部へはピストン（図示省略）が取
り付けられている。このピストンには貫通孔が穿
設されており、ピストンの移動時にバンパー本体
１２内へ封入された液体がこの貫通孔を通つて流
動されることによりその粘性抵抗で振動が減衰さ
れるようになつている。このダンパー本体１２の
下端部へは自動車の車輪から振動が伝達される。

ダンパーロツド１４の上端部には小径のボルト
１６が同軸的に突出されており、このボルト１６
へフランジ部としてワツシヤ１８、スペーサ２０
及び上受板２２が挿入されている。ワツシヤ１８
は外径はダンパーロツド１４の外径よりも大きく
形成されている。なお、これらのワツシヤ１８、
スペーサ２０及びボルト１６はこれらを一体に形
成しておき、この一体物を適当な嵌合構造、溶接
等によりダンパーロツド１４の上端部へ固着する
構成としてもよい。

この上受板２２の上方からはボルト１６へナツ
ト２４が締めつけられて上受板２２をダンパーロ
ツド１４へ固定するようになつている。なおこの
上受板２２は一部が車体へ連結されており、車輪
からの荷重を支持できるようになつている。また
この上受板２２はダンパー本体１２の外周へ固着
される下受板２６と対応しており、この下受板２
６との間に圧縮コイルばね２８が介在されてい
る。

これによつてダンパーロツド１４はダンパー本
体１２から抜き出す方向に付勢力を受けている。

バンパーバウンド１０は第２，３図にも示され
る如く円筒形状であり、発泡ポリウレタン等の合
成樹脂で製作されている。

このバンパーバウンド１０の軸心を貫通するダ
ンパーロツドの挿入用孔は上端部が小径部３０と
されており、この小径部３０の下方に大径部３２
が形成されている。小径部３０と大径部３２との
境界部は段付部３３とされており、この段付部３
３へワツシヤ１８の周囲が当接することによりバ
ンパーバウンド１０の脱落が阻止されるようにな
つている。

大径部３２には第２，３図に詳細に示される如
く、孔内径を縮小する方向に複数個の突起３４が
形成されている。これらの突起３４の先端は第１
図に示される如く、ワツシヤ１８の外径よりもダ
ンパーロツド１４の軸心寄りに配置されている。

またこれらの突起３４は軸方向に延びる突条と
なつており、上下両端部はバンパーバウンド１０
の上端及び下端へ向けて次第に内径を増大するテ
ーパー形状となつている。またこれらの突起３４
の間の先端部を結ぶ最小内径とダンパーロツド１
４の外径との差は３mm以下とすることが好まし
い。

なお、バンパーバウンド１０の外周部は取付状
態で下端にかけて小径となるテーパー状とされる
と共に、圧縮荷重を調整するための複数の切込３
６がリング状に形成されている。

次に本実施例の作用を説明する。

バンパーバウンド１０をダンパーロツド１４へ
取り付けるためには、ワツシヤ１８、ボルト１６
をあらかじめダンパーロツド１４へ取り付け、上
部から、即ちボルト１６方向からバンパーバウン
ド１０の大径部３２をダンパーロツド１４へ被冠
させればよい。これによつて突起３４は一時的に
その内径を拡大してワツシヤ１８を乗り越え、第
１図に示される如く小径部３０と大径部３２との
間の段付部３３がワツシヤ１８へ当接して挿入が
停止する。

その後、上受板２２をスペーサ２０上へ取り付
けてナツト２４を締めつければ組み付けが完了
し、バンパーバウンド１０は小径部３０がワツシ
ヤ１８へ係止されているのでダンパーロツド１４
から脱落することはない。

あらかじめワツシヤ１８、スペーサ２０をバン
パーバウンド１０へ取り付けておき、このサブア
ツセンブリ部品をダンパーロツド１４へ取り付け
るようにしてもよい。

この様に組み付けられたサスペンシヨン装置で
は、自動車の走行に応じて生ずる振動が、ダンパ
ー１２とダンパーロツド１４との間の軸方向相対
移動によつて減衰吸収される。

この振動が大きい場合には、ダンパー本体１２
が必要以上に第１図上方へ移動し、バンパーバウ
ンド１０の下端部へと当接する。この当接荷重が
大きい場合においても、バンパーバウンド１０は
突起３４とダンパーロツド１４外周との間の〓間
が小さいので、半径方向のいづれか一方に偏心し
て移動する変位量は小さく、座屈はほとんど発生
することがない。これによつてバンパーバウンド
１０はダンパー本体１２のオーバーストローク時
を荷重を確実に吸収することが可能となる。

またこのようにバンパーバウンド１０が圧縮変
形と回復を繰返す場合にも、ダンパーロツド１４
の外径との接触面積が従来に較べて小さいので、
摩擦による摩耗及び音の発生が減少される。

上記実施例では第２図に示される如く突起３４
が軸回りに６個形成された状態が示されたが、第
４図に示される第２実施例ではこの突起３４が２
個形成されている。

また第５図に示される第３実施例においては軸
回りに12個形成されている。

しかしこれらの各実施例においても、突起３４
は同様にダンパーロツド１４の外周との間に小さ
な〓間を有するのみであるため、前記実施例と同
様の効果を得ることができる。

［発明の効果］ 以上説明した如く本発明に係るバンパーバウン
ドでは、ダンパーロツドの挿入用の貫通孔の大径
部内周で、かつ大径部の軸方向中央区域に突条を
形成したので、軸圧縮力が大きい場合にも半径方
向への座屈を制限して適切に荷重を吸収すること
ができる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかるバンパーバウンドの第
１実施例を示す取り付け状態の断面図、第２図は
第１図−線断面図、第３図は第１実施例のバ
ンパーバウンドの断面斜視図、第４，５図はそれ
ぞれ本発明の第２、３実施例を示す第２図に相当
する断面図である。 １０……バンパーバウンド、１２……ダンパー
本体、１４……ダンパーロツド、３０……小径
部、３２……大径部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上端部に小径部を、その下方に大径部を形成
   したダンパーロツド挿入用の貫通孔を有し、ダン
   パーロツド上部に設けられたフランジ部へ前記小
   径部と大径部との境界部が当接するようにダンパ
   ーロツドへ取り付けられて、ダンパー本体の当接
   用とされる筒状のバンパーバウンドであつて、 軸方向に沿つて延びると共に周方向には複数個
   に分断され、その内径が前記ダンパーロツドの外
   径よりも大とされた突条を、前記貫通孔の大径部
   内周で、かつ大径部の軸方向中央区域に形成した
   ことを特徴とするバンパーバウンド。