JPH05345918A - 高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
高強度熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH05345918A JPH05345918A JP4153937A JP15393792A JPH05345918A JP H05345918 A JPH05345918 A JP H05345918A JP 4153937 A JP4153937 A JP 4153937A JP 15393792 A JP15393792 A JP 15393792A JP H05345918 A JPH05345918 A JP H05345918A
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Abstract
高強度熱延鋼板を的確に製造し得る新しい方法を提供す
る。 【構成】 C:0.05〜0.20%,Si:≦0.6
0%,Mn:0.10〜2.50%,Sol.Al:
0.004〜0.10%,Ti:0.04〜0.30%
を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造
スラブを加熱するに際して少なくとも1100℃から、
TiCの溶体化温度以上1400℃以下の加熱温度まで
の温度領域を毎時150℃以上の昇温速度で加熱し、加
熱温度での保定時間を5分以上30分以下とし、その後
熱間圧延することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方
法
Description
化、軽量化に好適な靱性と加工性の優れた高強度熱延鋼
板の製造法に関するものである。
して近年Tiを添加して制御圧延・制御冷却を組み合わ
せる非調質鋼板が著しく進歩しており、その鋼板および
製造法として例えば特公昭55−49147号公報など
がある。特公昭55−49147号公報はTiを0.0
4〜0.20%添加した低炭素鋼に関するものである
が、その製造における加熱条件はTi炭化物の溶体化の
ため高温加熱が行われ、Ar3 変態点以上で熱間圧延を
終了し、550℃〜750℃の範囲で巻取りが行われて
いる。この方法は強度および加工性の良い鋼板を得る優
れた方法である。さらに、靱性の優れた鋼板を得るため
に良く知られている方法である熱間圧延時の圧下率を制
限したり、圧延後の冷却速度を制限する方法が行われて
いた。しかし、この方法では通常厚み200〜300m
mのスラブをガスまたは重油を燃焼する加熱炉を用いて
中心部までTi炭化物の溶体化温度以上に加熱するため
高温で長時間の加熱が行われる。そのため、加熱後のス
ラブの結晶粒径は著しく大きくなり、制御圧延により微
細化しても結晶粒微細化に限界があった。
した非調質高強度熱延鋼板の結晶粒を微細化する新しい
製造方法を提供することを目的とし、この方法により靱
性の優れた建設機械用等の高強度熱延鋼板を提供するも
のである。
ろは次のとおりである。 C:0.05〜0.20%,Si:≦0.60%,M
n:0.10〜2.50%,Sol.Al:0.004
〜0.10%,Ti:0.04〜0.30%を含み、残
部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造スラブを加
熱するに際して少なくとも1100℃から、TiCの溶
体化温度以上1400℃以下の加熱温度までの温度領域
を毎時150℃以上の昇温速度で加熱し、加熱温度での
保定時間を5分以上30分以下とし、その後熱間圧延す
ることを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法にある。
性の優れたTi添加の非調質高強度熱延鋼板を製造する
ためには、微量のTiを析出硬化元素として利用し、且
つ加熱・熱延・冷却の工程をとる熱間圧延工程で結晶粒
の微細化を行うことが必要である。通常、目的の成分に
調整された鋼は連続鋳造されAr3 変態点以下に冷却さ
れるが、その冷却速度は鋳片の厚みが200〜300m
mあるため遅い、そのため鋳片にはTiC,TiN等の
添加した元素の0.05ミクロン以上の大きな析出物が
析出している。強度向上に寄与するTiは整合析出して
いる極めて微細なTiであると言われている。従って、
添加された微量のTiは熱間圧延前の加熱段階で溶体化
され、圧延後に析出される必要がある。
出物の溶解度積と温度(T:°K)との関係の温度T°
K以上必要である。 log10〔%Ti〕・〔%C〕 =2.75−7, 000/T・・・(1) しかし、TiおよびCの多い鋼をこの温度で加熱すると
高温のため通常は結晶粒が粗大化するため、微細化のた
めその後の熱延・冷却工程で種々の工夫がされる。熱延
工程では、熱間圧延によるオーステナイト粒の微細化の
ため圧延温度と圧下率が種々工夫されている。また、冷
却工程では冷却速度を制御してオーステナイトからフェ
ライトへの変態時の細粒化率を高くしている。
なく、加熱工程を工夫して熱間圧延前のオーステナイト
結晶粒を細かくできれば熱延後の鋼板のオーステナイト
結晶粒を細かくでき、更に冷却後のフェライト結晶粒を
細かくでき、靱性改善に極めて有効である。特に、製品
板厚が厚くなると熱間圧延時の低温での圧下率が充分得
られず、また冷却速度にも限界があるので、熱間圧延前
のオーステナイト結晶粒を細かくすることは有効であ
る。本発明者等は、種々の実験の結果、少なくとも11
00℃から、TiCの溶体化温度以上1400℃以下の
加熱温度までの温度領域を毎時150℃以上の昇温速度
で加熱し、加熱温度での保定時間を5分以上30分以下
と限定することによって結晶粒の粗大化を防止しつつ析
出物を溶体化させ得ることを新たに知見したものであ
る。
1.60%Mn−0.15%Ti−0.030%So
l.Al鋼250mmスラブを加熱条件を変えて加熱
し、その温度に15分保持後、圧延を開始し、仕上げ入
り側板厚40mm、熱延仕上げ温度880℃で板厚9m
mに熱延後、圧延後の冷却速度15℃/sec、巻取り
温度600℃で熱間圧延した鋼板の引張強さを示す。こ
のときのスラブを加熱条件はスラブ断面平均の加熱温度
と加熱昇温速度を変えて実験を行った。これによると、
引張強さは加熱温度が1100℃から1280℃まで高
くなるにつれて高くなり、1280℃以上では殆ど変化
がないことが示されており、かつ加熱昇温速度の影響は
殆どみられないことを示している。即ち、この鋼のTi
Cの計算溶体化温度が1257℃であることから、Ti
Cが溶体化していさえすれば引張強さは殆ど変わらない
ことを示している。
ャルピー試験破面遷移温度(vTrs)に及ぼす加熱温
度および加熱昇温速度の影響を示す。これによると、加
熱昇温速度を70℃/hrの場合、加熱温度が高くなる
につれて破面遷移温度は高くなり(靱性が劣化する)、
1280℃以上で引張強さが同じであるにもかかわら
ず、破面遷移温度は急激に高くなっている。これは、1
280℃以上で加熱するとTiCが溶体化し、結晶粒の
成長をおさえる析出物がなくなりオーステナイト結晶粒
が急激に大きくなり、圧延後も鋼板のフェライト結晶粒
の成長もおさえられ、従って破面遷移温度が高くなって
いる。一方、加熱昇温速度を150℃/hr以上の場
合、加熱温度1280℃までは加熱温度が高くなるにつ
れて破面遷移温度は高くなるが、加熱温度1280℃か
ら1390℃までは殆ど変わらない。これは、急速加熱
のためオーステナイト結晶粒の成長もおさえられ、従っ
てこの条件で加熱した鋼板のフェライト結晶粒も細か
く、シャルピー試験による破面遷移温度も高くならな
い。
温速度の影響を示す。これは、加熱昇温速度が150℃
/hr未満では破面遷移温度が上昇することを示してい
る。これらのことは、加熱昇温速度を150℃/hr以
上にすることは引張強さが高く、しかも破面遷移温度が
低い(靱性が良好な)鋼板を製造する有効な方法である
ことを示している。
の如くである。C:Cは高い引張り強さを得るために最
も効果的な元素であって、この目的のために少なくとも
0.05%の添加が必要である。しかし、Cの増加と共
に加工性、靱性および溶接性が低下するので、その上限
を0.20%と限定し、0.05〜0.20%とした。 Si:Siは強化元素として有用であるが、鋼を経済的
に製造するために0.60%を上限として添加すること
とした。 Mn:Mnも強度の向上には効果的な元素であり、この
目的のために少なくとも0.10%の添加が必要であ
る。しかし、2.50%を越すと溶鋼製造上困難になる
ので上限を2.50%とした。 Al:Alは脱酸上0.004%以上必要であるが、
0.10%を越すと結晶粒の粗大化を来たし強度を劣化
させるので0.10%以下に限定した。 Ti:Tiは少量の添加によってC,N,O,Sと結合
して、炭化物,窒化物,酸化物および硫化物を形成す
る。炭化物を形成し強度向上に有効に作用するためには
少なくとも0.04%を必要とする。Tiが多くなると
表面疵の原因になるので上限を0.30%とし、0.0
4〜0.30%の範囲に限定した。
る。鋼板の靱性を改善するためには鋼板の結晶粒を細か
くすることが必要であり、加熱時のスラブのオーステナ
イト結晶粒を細かくすることにより、鋼板のフェライト
結晶粒も細かくできる。スラブのオーステナイト結晶粒
径は、保持される温度と時間および結晶粒の成長をとめ
る析出物の有無に影響される。したがって、加熱時の昇
温速度は保持される温度と時間に影響し、昇温速度15
0℃/hr未満では加熱後スラブのオーステナイト結晶
粒が大きくなり、その結果、鋼板のフェライト結晶粒も
大きくなり靱性が劣化する。そのため、昇温速度150
℃/hr以上に限定した。また、昇温速度150℃/h
r以上にする加熱温度範囲を1100℃以上と限定した
のはそれまでの温度では、昇温速度が低くても結晶粒の
成長が比較的少ないためである。
のは、スラブの鋳造時の徐冷により析出した粗大なTi
Cを溶体化して熱延後の冷却時に微細析出させ鋼板の強
度を得るためであり、上限を1400℃としたのは、そ
れ以上の温度では表面スケールの溶融がおこり鋼板の表
面性状を劣化させるためである。加熱温度での保定時間
を5分以上30分以下としたのは、5分未満ではTiC
の溶体化が不十分であり30分超では保定時間中にオー
ステナイト結晶粒が粗大化するためである。
度を150℃/hr以上に速くする加熱方法には、誘導
加熱を使う方法、直接通電による方法等あるが、とくに
限定するものではない。また、昇温速度を規定しない1
100℃までの温度域は燃料加熱による炉加熱を行い、
加熱昇温速度を150℃/hr以上にする1100℃以
上のみを誘導加熱または直接通電による方法を利用して
も良い。また、鋼板の製造方法として、ホットストリッ
プミルで製造しても、仕上げ圧延もリバース圧延が行わ
れる厚板圧延機を用いるいずれの方法でも良い。
溶製し、連続鋳造により厚み250mmの鋳片とした。
化学成分についてみると、A,B,C,D,E鋼はTi
添加の低炭素鋼で本発明の成分条件を満足するものであ
る。表2にスラブの加熱条件とホットストリップミルで
熱延した鋼板の材質試験結果を示す。加熱方法として
は、加熱法I:1100℃までガス加熱で1100℃以
上を誘導加熱で150℃/hr以上の昇温速度を行う方
法、加熱法 II :室温から目的の温度まで誘導加熱で1
50℃/hr以上の昇温速度を行う方法、加熱法 III:
室温から目的の温度までガス加熱で1100℃以上では
70℃/hrの昇温速度を行う方法の3つを比較した。
熱延条件は熱延仕上げ温度を880℃とし、巻取り温度
をTi添加の低炭素鋼は600℃とし、同一鋼種では熱
延条件が同じで加熱条件だけ違うようにした。
3,A−4,A−5,A−6,A−7は鋼種Aを用いた
本発明の製造条件を満足するものである。しかし、鋼板
A−8は鋼種Aを用いているが加熱温度での保持時間が
短く、必要な強度が得られていない比較例である。鋼板
A−9は鋼種Aを用いているが昇温速度が70℃/hr
と遅く、鋼板A−2に比べてvTrsが高い比較例であ
る。鋼板A−10も鋼種Aを用いているが昇温速度が1
50℃/hrであるが、加熱時の保定時間が40分と長
くvTrsが高い比較例である。鋼板B−1,C−1,
D−1,E−1は鋼種B,C,D,Eを用いた本発明の
製造条件を満足するものである。しかし、鋼板B−2,
C−2,D−2,E−2は昇温速度が70℃/hrと遅
く、鋼板B−1,C−1,D−1,E−1に比べてvT
rsが高い比較例である。
は同じ鋼種および同一熱延条件で、目的の強度を得たう
えでより優れた靱性の鋼板製造が可能になる。従って、
強度および靱性の優れた鋼板を経済的に製造し得るもの
で工業的にその効果は大きい。
n−0.15%Ti−0.030%Sol.Al鋼を用
いた鋼板の引張強さに及ぼす加熱温度および加熱昇温速
度の影響を示した図、
ぼす加熱温度および加熱昇温速度の影響を示した図、
ぼす加熱昇温速度の影響を示した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】C :0.05〜0.20% Si:≦0.60% Mn:0.10〜2.50% Sol.Al:0.004〜0.10% Ti:0.04〜0.30% を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造
スラブを加熱するに際して少なくとも1100℃から、
TiCの溶体化温度以上1400℃以下の加熱温度まで
の温度領域を毎時150℃以上の昇温速度で加熱し、加
熱温度での保定時間を5分以上30分以下とし、その後
熱間圧延することを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4153937A JP3043518B2 (ja) | 1992-06-15 | 1992-06-15 | 高強度熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4153937A JP3043518B2 (ja) | 1992-06-15 | 1992-06-15 | 高強度熱延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05345918A true JPH05345918A (ja) | 1993-12-27 |
JP3043518B2 JP3043518B2 (ja) | 2000-05-22 |
Family
ID=15573345
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4153937A Expired - Fee Related JP3043518B2 (ja) | 1992-06-15 | 1992-06-15 | 高強度熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3043518B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010265537A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Nippon Steel Corp | 鋼材加熱方法、加熱制御装置およびプログラム |
JP2017061724A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造スラブの加熱方法及び加工性に優れた高張力鋼板 |
-
1992
- 1992-06-15 JP JP4153937A patent/JP3043518B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010265537A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Nippon Steel Corp | 鋼材加熱方法、加熱制御装置およびプログラム |
JP2017061724A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | Jfeスチール株式会社 | 連続鋳造スラブの加熱方法及び加工性に優れた高張力鋼板 |
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---|---|
JP3043518B2 (ja) | 2000-05-22 |
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