JPH05287017A - オレフィンの重合触媒及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

オレフィンの重合触媒及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法

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JPH05287017A
JPH05287017A JP8546592A JP8546592A JPH05287017A JP H05287017 A JPH05287017 A JP H05287017A JP 8546592 A JP8546592 A JP 8546592A JP 8546592 A JP8546592 A JP 8546592A JP H05287017 A JPH05287017 A JP H05287017A
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compound
residue
coordinated
hydrocarbon residue
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JP8546592A
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Ryuichi Sugimoto
隆一 杉本
Osamu Uchida
治 内田
Katsumi Takeuchi
克己 竹内
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】シクロペンタジエン配位子と遷移金属と結合し
たヘテロ原子を有する遷移金属化合物を有機金属化合物
と反応させた後、遷移金属化合物と有機金属化合物との
反応物と反応して安定アニオンとなる化合物と接触処理
してなるオレフィンの重合触媒であり、その重合触媒を
用いてポリオレフィンを製造する方法。 【効果】安価な触媒を用いて触媒当り高活性でポリオレ
フィンを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオレフィンの重合触媒と
それを用いたポリオレフィンの製造方法に関する。詳し
くは、特定の化合物を組み合わせたオレフィン重合触媒
を用いることで高活性にポリオレフィンを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来技術】オレフィンの重合触媒として、共役π電子
を有する基、特にシクロペンタジエンおよびその誘導体
を配位子として有するメタロセン化合物と、トリアルキ
ルアルミニウムと水の反応で得られるアルキルアルミノ
キサンとを組合せたものが知られている。例えば、特開
昭58-19309にはビスシクロペンタジエニルジルコニウム
ジクロリドと、メチルアルミノキサンを触媒とするオレ
フィンの重合方法が開示されている。また特開昭61-130
314 、特開昭61-264010 、特開平1-301704および特開平
2-41303 にはアイソタクチックポリ−α−オレフィンも
しくはシンジオタクチックポリ−α−オレフィンの製造
方法及びこれらの立体規則性ポリ−α−オレフィンを製
造するための重合触媒が開示されているが、開示されて
いる触媒系はいずれもアルミノキサンを助触媒とするも
のである。
【0003】一方、従来からアルミノキサンを使用しな
い均一系チーグラーナッタ触媒の研究も行われており、
主にメタロセン化合物とアルキルアルミニウム化合物よ
りなる触媒系が検討されてきた。この触媒系は活性は低
いものの、オレフィンに対して重合活性があることがす
でに知られている。この触媒の活性種がカチオン性メタ
ロセン化合物あるいはイオンペアー形のメタロセン錯体
であると考えられている。
【0004】最近では、シクロペンタジエンまたはその
誘導体を配位子として有する単離されたカチオン性メタ
ロセン化合物が、助触媒としてのメチルアルミノキサン
が共存しなくとも、単独でオレフィンについて重合活性
を有することが報告されている。例えば、R.F.JORDAN等
はJ.Am.Chem.Soc., 1986年 108巻7410-7411 頁にテトラ
フェニルボランをアニオンとして有し、2つのシクロペ
ンタジエニル基とメチル基を配位子として有するジルコ
ニウムカチオン錯体が、テトラヒドロフランのようなド
ナーを配位子とすることにより単離され、単離された錯
体が塩化メチレン中でエチレンの重合活性を有する事を
報告している。
【0005】また、Turner等はJ.Am.Chem.Soc.,1989 年
111 巻2728-2729 頁及び特表平1-501950、特表平1-5020
36に置換基を含むシクロペンタジエニル基もしくはその
誘導体を配位子として有する最低一つのプロトンと反応
することができる遷移金属化合物と、プロトンを与える
ことができるカチオンを有する安定アニオンを供与する
化合物から形成されるイオンペアー型のメタロセン錯体
がオレフィンの重合活性を有する事を報告している。ま
た特開平3-139504、特開平3-179005、特開平3-179006、
特開平3-207703、特開平3-207704にもアルミノキサンを
使用しないオレフィンの重合方法が開示されている。
【0006】更に、Zambelli等はMaclomolecules, 1989
年22巻2186-2189 頁にシクロペンタジエニル基の誘導体
を配位子として有するジルコニウム化合物と、トリメチ
ルアルミニウムとフルオロジメチルアルミニウムを組合
せた触媒によりプロピレンが重合してアイソタクティッ
クポリプロピレンが得られることを報告しており、この
場合も活性種はイオンペアー形のメタロセン化合物であ
ると考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】メタロセン化合物とア
ルキルアルミノキサンとの組合せ触媒によるオレフィン
の重合方法は遷移金属当たりの重合活性が高いという特
徴がある。しかしこれらの方法でメタロセン化合物単位
当りの重合活性が高いのは高価なアルミノキサンを助触
媒として大量に使用するからであり、アルミノキサン単
位当りの活性ではあまり高いとは言えない。そのため重
合体の生産コストが高くなるという問題があり、さらに
重合後の生成重合体からアルミノキサンを除去すること
がたいへん困難で、ポリマー中に触媒残渣が多量に残る
という問題があった。
【0008】一方、アルキルアルミノキサンを使用せ
ず、カチオン性のジルコニウム錯体を触媒としている方
法では上記したアルキルアルミノキサンに関する問題は
なくなるが、これらの触媒系はアルキルアルミノキサン
を使用する触媒系に較べるとオレフィンについての重合
活性が非常に小さいと言う問題があった。さらにこれら
の方法ではジクロロ錯体をメチルリチウムやメチルグリ
ニャール試薬などの高価なアルキル化試薬を用いてアル
キル化することによって得られるジメチル錯体等を用い
る必要があり、かつアルキル化の収量の点でも問題があ
って、従って触媒の生産コストが高くなると言う問題が
あった。さらにこれらのアルキル化メタロセン化合物は
不安定な物が多く、特に炭化水素溶媒などに溶解した溶
液中では、極微量の水分や酸素等の不純物あるいは光に
よって容易に分解してしまうので重合時にモノマーや溶
媒中に含まれる不純物を極力少なくしなければならな
い。
【0009】チーグラー系の触媒を用いてオレフィンを
重合させる場合、有機金属化合物、特にアルキルアルミ
ニウム化合物でモノマーおよび/または溶媒を処理する
ことによりこれらに含まれている不純物を除去すること
が可能である。この方法をこれらイオンペアー系触媒を
用いる場合に応用することは可能であり、アルキルアル
ミニウムで処理されたモノマーおよび/または溶媒を用
いたり、遷移金属化合物と、カチオンを有する安定アニ
オンを供与する化合物から形成されるイオンペアー型の
メタロセン錯体を形成させた後に、有機金属化合物を添
加して不純物の影響を除くと、オレフィンについての重
合活性がこれらの触媒でもある程度向上することが特開
平3-179005、特開平3-207704等に示されている。しか
し、そのような方法でもアルキルアルミノキサンを助触
媒として用いる組合せ触媒系と比較すると活性が劣る。
比較的安定で安価に入手でき、合成のし易い遷移金属−
ヘテロ原子結合を有する遷移金属化合物がそのまま使用
できて、なおかつオレフィンの重合が高活性にできるこ
とが望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決して、特定の遷移金属化合物を用いて高活性にポリ
オレフィンを製造する方法について鋭意検討し本発明を
完成した。
【0011】すなわち、本発明は下記一般式の化7、化
8あるいは化9(式中、CpはMに配位した不飽和炭化
水素残基を、Cp’はRで架橋された互いに同じかまた
は異なる、Mに配位している不飽和炭化水素残基を、R
は2価の窒素原子、酸素原子、珪素原子、燐原子または
硫黄原子を含む残基または側鎖を有してもよい直鎖状飽
和炭化水素残基またはその直鎖の炭素原子の一部または
全部が珪素原子、ゲルマニウム原子もしくは錫原子で置
換されている残基を、Mは周期律表第3族、第4族また
は第5族から選ばれる金属原子を、そしてXはMに配位
した窒素原子、酸素原子、珪素原子、燐原子、硼素原子
または硫黄原子を含む配位子)で表される遷移金属化合
物を
【0012】
【化7】CpMXn
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】 有機金属化合物と反応させた後、遷移金属化合物と有機
金属化合物との反応物と反応して安定アニオンとなる化
合物と接触処理してなるオレフィンの重合触媒であり、
また、本発明は上記触媒を用いたポリオレフィンの製造
方法である。
【0015】本発明において遷移金属化合物としては、
上記一般式の化7、化8あるいは化9で表される遷移金
属化合物が例示できる。
【0016】式中、Cpで表される不飽和炭化水素残基
としては炭素原子数5から50の単環、あるいは多環の共
役π電子を有する炭化水素またはそれらの内のいくつか
がヘテロ原子と置換された残基が例示でき、具体的には
シクロペンタジエニルもしくはその一部または全部の水
素が炭素原子数1ないし10の炭化水素残基で置換された
もの(ここで炭化水素残基はその末端が再びそのシクロ
ペンタジエン環に結合した構造であっても良く、また炭
化水素残基の炭素原子の一部がヘテロ原子と置換された
残基でもよい)、あるいはインデニル、フルオレニルな
どの多環芳香族炭化水素残基もしくはその一部または全
部の水素が炭素原子数1ないし10の炭化水素残基で置換
されたもの(ここで炭化水素残基はその末端が再びその
芳香族環に結合した構造であっても良く、また炭化水素
残基の炭素原子の一部がヘテロ原子と置換された残基で
もよい)などで遷移金属原子Mに配位している配位子が
例示される。上記一般式の化8の場合には、これらは互
いに同じでも異なっていても良い。
【0017】Cp’で表される不飽和炭化水素残基とし
ては炭素原子数5から50の単環、あるいは多環の共役π
電子を有する炭化水素またはそれらの内のいくつかがヘ
テロ原子と置換された残基が例示でき、具体的にはシク
ロペンタジエニルもしくはその一部または全部の水素が
炭素原子数1ないし10の炭化水素残基で置換されたもの
(ここで炭化水素残基はその末端が再びそのシクロペン
タジエン環に結合した構造であっても良く、また炭化水
素残基の炭素原子の一部がヘテロ原子と置換された残基
でもよい)、あるいはインデニル、フルオレニルなどの
多環芳香族炭化水素残基もしくはその一部または全部の
水素が炭素原子数1ないし10の炭化水素残基で置換され
たもの(ここで炭化水素残基はその末端が再びその芳香
族環に結合した構造であっても良く、また炭化水素残基
の炭素原子の一部がヘテロ原子と置換された残基でもよ
い)などで遷移金属原子Mに配位している配位子が例示
される。これらは互いに同じでも異なっていても良く、
二つのCp’はRにより架橋された構造を有するもので
ある。
【0018】Rで表される2価の基としては-O- 、-S-
、-S-S- 、-SO-、-SO2- 、-CO-、-NR-、-PR-、-POR-
、-OSiR2O-あるいは下記式化10で表されるメチレン基
またはそのメチレン基の炭素原子の一部または全部が珪
素原子、ゲルマニウム原子、もしくは錫原子で置換され
たシリレン基、ゲルミレン基、スタニレン基となってい
るものが例示される。
【0019】
【化10】−(R2C)k−(R2Si)l −(R2Ge)p −(R2Sn)q − (式中Rは水素原子または炭素原子数1ないし20の炭化
水素残基を表しそれぞれのRは同じでも異なっていても
良く、k、l、p、qは0ないし4の整数でかつ次式1
≦k+l+p+q≦4を満足させる整数を表す。)
【0020】XはMに配位した窒素原子、酸素原子、珪
素原子、燐原子、硼素原子または硫黄原子を含む配位子
で、NR'2、OR' 、OCR'2 、OSiR'3、SiR'3 、GeR'3 、P
R'2、POR'2 、SR' 、SOR'、SO2R' 、BR'3(R'は水素ま
たは炭素数1から20の炭化水素またはそれらのうちいく
つかがヘテロ原子と置換された残基)である。nはMの
原子価により異なるが、1、2または3である。nが2
以上の時にはXは相互に架橋されていてもよく、キレー
ト型の配位子も例示される。
【0021】また上記遷移金属化合物と有機金属化合物
との反応物と反応して安定アニオンとなる化合物として
は、カチオンとアニオンのイオン対から形成されるイオ
ン性化合物あるいは親電子性化合物であり、遷移金属化
合物と有機金属化合物の反応物と反応して重合活性種を
形成するものである。このうちイオン性化合物は、下記
式化11で表される。
【0022】
【化11】[Q]m [Y]m -
【0023】式中、Qはイオン性化合物のカチオン成分
であり、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオ
ン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、ス
ルフォニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン、遷移
金属カチオン、フェロセニウムカチオン、インデニウム
カチオン等が挙げられる。これらのカチオンの具体例と
しては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボ
ニウム、シクロヘプタトリエニウム、トリブチルアンモ
ニウム、N,N-ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモ
ニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニル
ホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリフェニル
スルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチル
オキソニウム、ピリリウム、銀、フェロセニウム等のカ
チオンが挙げられる。
【0024】また、Yはイオン性化合物のアニオン成分
であり、ホウ素化合物アニオン、アルミニウム化合物ア
ニオン、ガリウム化合物アニオンなどが挙げられる。具
体的にはテトラフェニルホウ素、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,4,5-トリフル
オロフェニル)ホウ素、テトラフェニルアルミニウム、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、
テトラキス(3,5-ビストリフルオロフェニル)アルミニ
ウム、テトラフェニルガリウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ガリウム等のアニオンが挙げられる。
【0025】また、親電子性化合物としては、ルイス酸
化合物として知られるもののうち、遷移金属化合物と有
機金属化合物の反応物と反応して重合活性種を形成する
ものであり、種々のハロゲン化金属化合物や、固体酸と
して知られている金属酸化物等が挙げられる。具体的に
はハロゲン化マグネシウムやハロゲン化マンガン、アル
ミナやシリカアルミナ、マグネシウムシリケート等の無
機酸化物、さらにはスメクタイト等の層間化合物を形成
する酸化物等が例示される。
【0026】これらの無機酸化物は通常有機溶媒に不溶
の化合物が多いのでその表面積が広いものが好ましく、
表面積の小さいものはさらに粉砕したり、一度溶解して
から再度析出させるなどの方法で合成して比表面積とし
て5m2/gないし 800m2/gの無機酸化物の化合物を使
用することが好ましい。
【0027】本発明で遷移金属化合物と反応させる有機
金属化合物は周期律表第1族、2族、12族および13族の
金属原子、中でも好ましくはアルミニウム、硼素、ガリ
ウム、亜鉛またはマグネシウムが挙げられ、これらの金
属に対してハロゲン原子、酸素原子もしくは水素原子ま
たはアルキル、アルコキシ、アリールなどの残基が配位
しており、配位子が複数個の場合、それらは同一であっ
ても異なっていてもよいが、そのうち少なくとも1つは
アルキル基であるものが例示される。例えば、炭素原子
数1ないし12のアルキル残基が1個または2個以上配位
したアルキル金属化合物、上記アルキル残基と他の原子
または残基が配位したアルキル金属ハライド、アルキル
金属アルコキシドなどが例示される。中でも炭素原子数
が2以上のアルキル残基が少なくとも1個配位したアル
キル硼素化合物やアルキルアルミニウム化合物が好適に
用いられる。
【0028】金属原子がアルミニウムであるものについ
て好ましい有機金属化合物を例示すると、トリメチルア
ルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n- プロピ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ
ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、
トリヘプチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウ
ム、トリデシルアルミニウム、イソプレニルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピ
ルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウ
ムハイドライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ
−n-プロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピル
アルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムク
ロライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソプ
ロピルアルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニ
ウムセスキクロライド、イソプロピルアルミニウムセス
キクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、イソプロピルア
ルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジク
ロライド、エチルアルミニウムジイソプロポキシド等が
挙げられる。
【0029】遷移金属化合物を有機金属化合物と反応せ
しめる方法としては特に制限はなく、両者を単に混合す
るだけでよい。通常遷移金属化合物は固体であり、有機
金属化合物は液状または固体が多いので炭化水素溶媒中
で処理するのが好ましい。炭化水素溶媒としては、例え
ば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペン
タン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロ
ヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物等が例示され
る。
【0030】この反応で生成する反応物の性質は今のと
ころ明白にはなっておらず、反応物の構造も明らかでは
ないが、アルキルメタロセン化合物とは異なり、オレフ
ィンの重合触媒として用いた場合に非常に高活性の活性
種となる。
【0031】遷移金属化合物に対する有機金属化合物の
使用割合としては1〜100000モル倍、通常1〜5000モル
倍である。処理温度は特に限定されないが、通常は−20
〜100 ℃の温度で行うことが好ましい。またこれらの混
合物を保存する時の温度も特に限定はされないが、同様
に−20〜100 ℃の温度で保存することが好ましい。処理
時間は特に限定する必要がなく、両者が溶液である場合
には均一に混合し終わった時点で良く、不溶物が存在す
る場合では、それらが溶媒に溶け終わった後ならばいつ
でも使用できる。もちろん上述のように、そのまま使用
時まで保存しておき、必要に応じて使用する事も可能で
ある。また、炭化水素溶媒中の反応物の濃度は前述のと
おりかなり高濃度にしても安定なので特に限定する必要
はないが、通常メタロセン化合物基準のモル濃度とし
て、10-7〜1 モル/リットル、好ましくは10-5〜0.1 モ
ル/リットルである。
【0032】上記の安定アニオンを形成する化合物の使
用量は、触媒に用いられる遷移金属化合物に対して 0.1
〜100000モル倍、通常 0.5〜10000 モル倍である。
【0033】本発明で重要な点は、はじめに遷移金属化
合物を有機金属化合物と反応させ、その後にこれらの安
定イオンを形成する化合物を接触させることである。こ
の順序が違っているとオレフィンは全く重合しないか、
重合しても活性が非常に低くなったりして重合の再現性
が悪い。
【0034】また遷移金属化合物を有機金属化合物と反
応せしめて得られる反応物を、該反応物と反応して安定
アニオンをとなる化合物(以下、安定アニオン化合物)
と接触させるに先だって、オレフィンと接触させておく
ことは本発明の好ましい実施態様である。オレフィンと
接触させておいて、次に安定アニオン化合物と接触させ
た触媒系を用いることにより重合はスムースに進行し、
また重合活性も向上する。
【0035】また、遷移金属化合物を有機金属化合物と
反応せしめて得られる反応物と安定アニオン化合物を接
触させる際に、安定アニオンとなる化合物の全量を一括
して加えるのではなく、少なくとも2回以上に分割して
添加することもできる。すなわち安定アニオン化合物の
1部を重合を始める前に添加して重合を開始し、反応中
に残量を適当な間隔をおいて更に追加していくか、ある
いは連続的に添加していくことである。このようにする
ことにより重合を長時間安定に行うことが可能となる。
【0036】また、本発明においては、得られるポリオ
レフィンの分子量を調整するために通常チーグラー系触
媒で使用されている水素を用いることができる。さらに
オレフィンの重合に際して内部オレフィンを存在させる
事によっても生成するポリオレフィンの分子量の制御を
行うことができる。
【0037】内部オレフィンの例としては具体的には2-
ブテン、2-ペンテン、2-ヘキセンなどの直鎖内部オレフ
ィン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテ
ン、ノルボルネン等の環状オレフィン、5-メチレン-2-
ノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン等のジエンが
挙げられる。
【0038】本発明における触媒成分を用いて触媒の調
製や重合あるいは処理に際し利用する溶剤としては、例
えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペ
ンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシク
ロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、さらに塩
化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化
合物も利用できる。また溶剤自体が生成した遷移金属カ
チオン化合物に対して結合したり、強く配位して重合活
性を不活性化しないならば、エーテルやニトリル、エス
テル化合物等も使用することができる。この触媒成分を
用いたオレフィンの重合条件については特に制限はなく
不活性媒体を用いる溶媒重合法、或いは実質的に不活性
媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法も利用でき
る。
【0039】また重合に用いられるオレフィンとしては
炭素数2〜25のオレフィンが例示され、具体的にはエチ
レン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-
1、ヘプテン-1、オクテン-1、ノネン-1、デセン-1、ウ
ンデセン-1、ドデセン-1、トリデセン-1、テトラデセン
-1、ペンタデセン-1、ヘキサデセン-1、オクタデセン-1
などの直鎖オレフィンの他に3-メチルブテン-1、4-メチ
ルペンテン-1、4,4-ジメチルペンテン-1等の分岐オレフ
ィンやシクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン
等の環状オレフィンが例示され、これらのオレフィンを
単独重合あるいは相互の混合オレフィンを共重合させる
ことができ、また必要に応じてジエンを共重合させるこ
ともできる。またさらに、この重合系ではスチレンのよ
うな芳香族オレフィンの重合も可能であり、芳香族オレ
フィン単独あるいは上記オレフィンとの共重合も行うこ
とができる。
【0040】重合温度および重合圧力としては、公知の
方法で用いられる一般的な条件が用いられ、重合温度と
しては−20〜150 ℃、重合圧力は常圧〜100kg/cm2 で行
うことができる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示しさらに本発明を説明す
る。
【0042】実施例1 容積2リットルのオートクレーブにトルエン1リットル
を装入し、ついでプロピレンを圧力が2kg/cm2・G に達
するまで加えた後、脱圧する操作を3回繰り返しトルエ
ンをプロピレンで置換した。ジシクロペンタジエニルジ
ルコニウムジメトキシド10mgをトルエン20mlに溶解し、
これにトリエチルアルミニウム 0.33 gを加えて混合
し、上記オートクレーブに装入し、プロピレンを20℃で
3kg/cm2・G となるように加え、次いでトリフェニルメ
タンテトラ(ペンタフルオロフェニル)ほう素65mgをト
ルエン20mlに溶解したものを圧入し、プロピレンを導入
しながら20℃、3kg/cm2・G で1時間重合した。
【0043】重合後プロピレンをパージし、内容物を濾
過、乾燥してポリマー10.1gを得た。触媒中のジルコニ
ウム1g当りのポリプロピレン生成量は3.1kg であっ
た。またポリマーの135 ℃テトラリン溶液で測定した極
限粘度(以下、ηと記す。)は0.31であり、13C-NMR に
よればポリマーはアタクチック構造であった。
【0044】比較例1 トリイソブチルアルミニウムを用いることなく実施例1
と同様にプロピレンの重合を行ったがポリマーは全く得
られなかった。
【0045】実施例2 プロピレンの代わりにエチレンを用いて重合圧力を8kg
/cm2・G とした他は実施例1と同様にしてエチレンの重
合を行ったところ57gのポリマーを得た。触媒中のジル
コニウム1g当りのポリエチレン生成量は177 kgであっ
た。
【0046】比較例2 トリイソブチルアルミニウムを用いることなく実施例2
と同様にエチレンの重合を行ったがポリマーは全く得ら
れなかった。
【0047】実施例3 ジシクロペンタジエニルジルコニウムジメトキシドの代
わりにジシクロペンタジエニルジルコニウムジトシレー
トを用いた他は実施例1と同様にしてプロピレンの重合
を行ったところ11.6gのポリマーを得た。ηは0.44であ
り、13C-NMR によればポリマーはアタクチック構造であ
った。
【0048】実施例4 トリフェニルメタンテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ほう素の代わりにトリフェニルメタンテトラ(ペンタフ
ルオロフェニル)アルミニウムを用いた他は実施例1と
同様にしてプロピレンの重合を行ったところ12.2gのア
タクチックポリプロピレンを得た。
【0049】
【発明の効果】本発明の方法を実施することにより、安
価な触媒を用いて触媒当り高活性でポリオレフィンを得
ることができ、工業的に価値がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の理解を助けるためのフローチャート図
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式の化1、化2あるいは化3(式
    中、CpはMに配位した不飽和炭化水素残基を、Cp’
    はRで架橋された互いに同じかまたは異なる、Mに配位
    している不飽和炭化水素残基を、Rは2価の窒素原子、
    酸素原子、珪素原子、燐原子または硫黄原子を含む残基
    または側鎖を有してもよい直鎖状飽和炭化水素残基また
    はその直鎖の炭素原子の一部または全部が珪素原子、ゲ
    ルマニウム原子もしくは錫原子で置換されている残基
    を、Mは周期律表第3族、第4族または第5族から選ば
    れる金属原子を、そしてXはMに配位した窒素原子、酸
    素原子、珪素原子、燐原子、硼素原子または硫黄原子を
    含む配位子)で表される遷移金属化合物を 【化1】CpMXn 【化2】 【化3】 有機金属化合物と反応させた後、該遷移金属化合物と有
    機金属化合物との反応物と反応して安定アニオンとなる
    化合物と接触処理してなるオレフィンの重合触媒。
  2. 【請求項2】下記一般式の化4、化5あるいは化6(式
    中、CpはMに配位した不飽和炭化水素残基を、Cp’
    はRで架橋された互いに同じかまたは異なる、Mに配位
    している不飽和炭化水素残基を、Rは2価の窒素原子、
    酸素原子、珪素原子、燐原子または硫黄原子を含む残基
    または側鎖を有してもよい直鎖状飽和炭化水素残基また
    はその直鎖の炭素原子の一部または全部が珪素原子、ゲ
    ルマニウム原子もしくは錫原子で置換されている残基
    を、Mは周期律表第3族、第4族または第5族から選ば
    れる金属原子を、そしてXはMに配位した窒素原子、酸
    素原子、珪素原子、燐原子、硼素原子または硫黄原子を
    含む配位子)で表される遷移金属化合物を 【化4】CpMXn 【化5】 【化6】 有機金属化合物と反応させた後、遷移金属化合物と有機
    金属化合物との反応物と反応して安定アニオンとなる化
    合物と接触処理してなるオレフィンの重合触媒を用いて
    オレフィンを重合することを特徴とするポリオレフィン
    の製造方法。
JP8546592A 1992-04-07 1992-04-07 オレフィンの重合触媒及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法 Pending JPH05287017A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08301916A (ja) * 1995-04-28 1996-11-19 Idemitsu Petrochem Co Ltd 重合用均一系触媒の保存方法
US5912373A (en) * 1995-07-11 1999-06-15 Basf Aktiengesellschaft Process for converting the achiral meso form of an ansa-metallocene complex into the chiral racemic form
JP2010215920A (ja) * 2003-01-15 2010-09-30 Rohm & Haas Co 精密フラグメンテーション集合体およびそれから製造されるオレフィン重合触媒
JP2014159591A (ja) * 2006-12-19 2014-09-04 Mitsui Chemicals Inc オレフィン重合体粒子の製造方法

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