JPH0526380Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、金属ガスケツトに関するものであ
る。

〔従来技術〕

例えば、内燃機関のシリンダブロツクとシリン
ダヘツドとの間を強力にシールする手段として、
従来から金属積層ガスケツトが使用されており、
シールする部分、例えばシリンダボアの周囲を囲
んで、積層金属板にビード部を設け、これにより
シール性を得るようにしている。

従来から使用されている前記ビード部を設けた
金属積層ガスケツトの一例を第４図に示す。図
は、金属積層ガスケツト１のシリンダボア２の周
辺部分を一部破断して示した斜視図である。図の
金属積層ガスケツト１は、図の上側から上板３、
中板４，５及び下板６の４枚の金属薄板を積層し
たものであり、ビード部７は、シリンダボア２の
周囲を囲んで中板５を一方に膨出させて形成し、
又、シリンダボア２側を気密とするにはシリンダ
ボア２の周囲の下板６を、各板３，４及び５の端
部を覆うように折り返して、前記ビード部７が覆
われるように上板３に被せたものである。

ところで、金属積層ガスケツト１は、図示され
ていないシリンダヘツドとシリンダブロツクとの
間に挾み、ボルトで締め付けて気密性を保もので
あるが、内燃機関の性能向上による内圧の上昇、
内燃機関の軽量化要求に伴う前記各部材の肉薄
化・軽合金化などのため、前記締め付け力や該力
の均等性が十分に得られず、気密性を保つ上で問
題が生じている。

前記問題を解決する手段として、例えば、実開
昭58−148247号公報には、２枚の芯材の両側に表
面板を積層し、シリンダ穴側で一方の表面板を折
り返し、他方の表面板の上に重ね合わせ、前記芯
材のシリンダ穴側端部に膨出部を形成したシリン
ダヘツドガスケツトを開示している。そして、ヘ
ツドボルトの中間部などの面圧が不足する部分の
膨出部厚さを、ヘツドボルトに近く、高い面圧が
得られる部分の膨出部厚さより厚くしている。

このように形成したシリンダヘツドガスケツト
をヘツドボルトで締め付けると、厚く形成した部
分の膨出部は、それより薄く形成した膨出部より
高い面圧が発生すると説明うている。しかしなが
ら、シールビードが高すぎると圧縮した際に潰れ
てしまい、また、低すぎると十分な面圧が発生し
なくなるので、シールビード高さによつて面圧調
整を確実に行うことは困難であるという問題があ
る。

〔考案の目的〕

本考案は、以上の問題点の解決のために成され
たものであり、十分な圧接力が得られない部分で
もビードが有効に作用して十分に気密性が得られ
る金属ガスケツトを提供することを目的としてい
る。

〔考案の構成〕

以上の目的を達成するための本考案の金属ガス
ケツトの構成は、金属板に開口したシールする穴
を取り巻いてシールビードを設け、該シールビー
ドの面圧が低くなる部分のビードの頂部に、該シ
ールビードの長手方向に沿つて突起部を設けたも
のである。

前記突起部は、ビードの剛性と圧接点とを増大
させるので、該突起部を設けた部分の面圧を高く
することができる。

前記の突起部の形状は、通常のビードが長手方
向と直角方向の断面形状を円弧又はこれに近い形
状としているが、その円弧状の曲率より頂部の曲
率を大きく、場合によつて折り曲げ状としたりし
た形状とすることを意味している。

前記ビード部に設けた突起部は、圧接すること
により単位シール面当りの応力を増大させて、こ
の部分のシール性能を向上させるように作用す
る。

前記突起部を設ける部分は、例えば、締め付け
ボルトの中間部分のシリンダヘツドなどが僅かに
変形し圧接力が弱められるような部分などである
が、本考案はビード部全周に亙つて形成すること
ができる。

〔実施例〕

以下添付の図面を対照して一実施例により本考
案を具体的に説明する。

第１図は本実施例を一部破断して示した部分斜
視図であり、第２図はビード部を設けた中板の部
分平面図である。第１図は、第４図に対応する部
分を図示したものであり同様の部材には同じ番号
を付し説明を省略する。なお、第１図に示す断面
は第２図の−線断面を示したものである。

図において、本実施例のシールビード部（以下
単にビード部という）７に設けた突起部１０は、
第２図に示すとおり締め付けボルト孔１１の中間
部分に設けている。図の金属積層ガスケツト１
は、締め付け力が場所によつて不均一に分布して
いる場合を示している。したがつて、ビード部７
の各部に設けた突起部１０の長さｌがそれぞれ異
なつている。これは本考案にとつて本質的ではな
く、単に圧接力が低下する部分に設けた結果に過
ぎない。したがつて、各部の締め付け力を不均一
にする条件がない場合には、当然前記ｌを同じ長
さとすることができる。

第３図に基づき本実施例の金属積層ガスケツト
１の作用を説明する。なお、第３図の下段の図
は、第１図の断面（斜線部分）に対応しており、
上段の図はビード部７及び突起部１０により上板
に発生している応力分布図である。図において、
シリンダブロツク１２とシリンダヘツド１３とで
金属ガスケツト１を挾み図示しないボルトにより
圧接した状態を模型的に示したものである。

第１図のビード部７及び突起部１０はシリンダ
ブロツク１２とシリンダヘツド１３とによつて押
圧され、中板４の厚さまで押し潰されている。そ
して、ビード部７及び突起部１０は、上板３をそ
れぞれ図のａ，ｂ，ｃ，又、下板をｄ，ｅ，ｆ，
ｇの線ないし帯状（図では点）の部分で押し付
け、第３図の上段に示すような応力を上板３に発
生させている。したがつて、第４図に示した従来
のビード部７より圧接部ｂが多くなりシール性を
向上させる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の金属ガスケツトを
構成したので、該突起部を設けた部分のシール性
を向上させることができるので、ビード部を圧接
する高い締め付け力が得られない場合、例えば締
め付けボルトの中間部分に締め付け力が不足する
部分が生じた場合でもビード部全体に高いシール
性能を得ることができるという効果を奏すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、一実施例による金属積層ガスケツト
を一部破断して示した要部斜視図、第２図は第１
図の部分平面図、第３図は第１図の使用状態を示
す説明図、第４図は従来の金属積層ガスケツトを
一部破断して示した要部斜視図である。 １……金属積層ガスケツト、３……上板、６…
…下板、７……ビード部、１０……突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板に開口したシールする穴を取り巻いてシ
   ールビードを設け、該シールビードの面圧が低く
   なる部分のビードの頂部に、該シールビードの長
   手方向に沿つて突起部を設けた金属ガスケツト。