JPH0519218Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〈産業上の利用分野〉 本考案は、スライドルーフ装置に於いて、イン
ナフレームに重設された排水溝部材の、特にコー
ナー部をインナフレームに固定する構造に関す
る。

〈従来の技術〉 自動車の固定ルーフに開口部を形成し、ガラス
や鋼板等からなる可動パネルを前後方向摺動自在
なように設けることにより、この開口部を開閉し
得るようにしたスライドルーフ（サンルーフ）装
置が周知である。

また、この開口部の前縁に沿うデイフレクタブ
レードを、固定ルーフの外面に対して昇降自在な
ように設けることにより、可動パネルを開いた状
態で走行した際の風切り音の発生や室内への風の
巻き込みを抑制するようにした技術も知られてい
る（実公昭57−16735号公報参照）。

他方、可動パネルを昇降動させる機構や、摺動
運動を案内するガイドレール等を設けるために、
固定ルーフの内面にはインナフレームが固設され
ており、このインナフレームの外周部には、開口
と可動パネルとの隙間から固定ルーフ内に浸入す
る水滴を受け止めて車輌の外部へ排出するための
排水溝が設けられている。

ところで、本出願人は特願昭62−058081号明細
書に於いて、固定ルーフとインナフレームとの間
の防水性を高め且つ発錆を防止するために、シー
ル部材を一体的に周設してなる合成樹脂製の排水
溝部材をインナフレームに重設する技術を提案し
た。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかるに、可動パネルとインナフレームとの間
に前記したデイフレクタブレードを収納する都合
上、排水溝部材の特に前側のコーナー部の近傍
は、デイフレクタブレードとの干渉を避けるため
に拡幅せざるを得ず、面積が広くなる結果、同部
分の剛性低下を招く。そのため、排水溝部材は、
インナフレームの縁との結合にて外周部分の形状
は比較的剛に保ち得るものの、内周部分は幾分か
変形し易くなり、しかして、所期の水路形態を保
持することが困難となることが考えられる。

別途フアスナ手段を設けることも考えられる
が、部品点数や組立工数の増大を余儀なくされ、
好ましくない。

本考案は、このような問題点に鑑みなされたも
のであり、その主な目的は、インナフレームに重
設される排水溝部材の特にコーナー部分を、部品
点数及び組立工数の増大を招くことなく確実に保
持固定することの可能な、スライドルーフ装置用
排水溝部材の固定構造を提供することにある。

［考案の構成］ 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、自動車の
固定ルーフに設けられた開口部を閉鎖し得る可動
パネルを摺動自在に案内するガイドレールの一端
部を保持すべく、前記固定ルーフの内面に固設さ
れたインナフレームに締結手段を介してそのベー
ス部が固定されるガイドレールステーを有するス
ライドルーフ装置に於いて、前記インナフレーム
の外周部に重設された排水溝部材を前記インナフ
レームに対して固定する構造であつて、前記排水
溝部材の内周部が、該内周部の輪郭に対応して前
記ガイドレールステーのベース部に形成された係
合部にて前記インナフレームに挟着固定されるこ
とを特徴とするスライドルーフ装置用排水溝部材
の固定構造を提供することにより達成される。

〈作用〉 このようにすれば、可動パネルを案内するガイ
ドレールの前端部と共に、排水溝部材のコーナー
部内周縁をインナパネルに対して固定することが
できる。

〈実施例〉 以下に添附の図面を参照して本考案の好適実施
例について詳細に説明する。

第１図は、本考案が適用されたスライドルーフ
装置の要部を示している。固定ルーフ１の前側部
分には、車体左右方向に長い概ね矩形をなす開口
部２が形成されており、この開口部２は、例えば
ガラス製の可動パネル３にて補完的に閉鎖し得る
ようにされている。

可動パネル３は、固定ルーフ１内方の左右位置
に車体前後方向に延設された一対のガイドレール
４に案内されて開口部２を全面的に閉鎖する位置
から固定ルーフ１の後部内面に向けて、前後方向
に摺動可能なようにされている。また、開口部２
の前部には、開口部内縁に沿う弓形に湾曲したデ
イフレクタブレード５が、可動パネル３の開閉動
作に応じて昇降可能なように設けられている。

一方、第２図に併せて示すように、可動パネル
３の内面周縁部には、シール部材７ａ，７ｂ及び
接着剤８を介してガラスホルダ９が固着されてい
る。と同時に、ガラスホルダ９の前部両側下面に
は、パネルステー１０が垂設されている。このパ
ネルステー１０は、内側先端部が垂下された後に
外側に向けて折曲されて略チヤンネル状に形成さ
れており、その外側を向く先端部１０ａには、例
えばフツ素樹脂などからなるスライドシユー６が
固着されている。

スライドシユー６を受容して前後方向に案内す
るガイドレール４の前端部は、固定ルーフ１の内
側に設けられたインナフレーム１１に対し、ガイ
ドレールステー１２を介して固定される。このガ
イドレールステー１２は、ガイドレール４の前端
部を受容する係合部１３と、インナフレーム１１
にボルト止めされるベース部１４とからなり、例
えば亜鉛合金ダイキヤスト等にて形成されてい
る。

さて、インナフレーム１１は、鋼板を深絞り加
工してなり、全周に亘つて立上げ形成された比較
的丈の低い外周壁１１ａを介し、固定ルーフ１の
開口２に対応する位置から可動パネル３を収納す
る位置にかけて、固定ルーフ１の内面との間に適
宜な高さ寸法を有する空間Ｓを形成するようにさ
れている。

インナフレーム１１に於ける固定ルーフ１との
対向面の外周部には、略全周に亘りＵ字状溝１５
が形成された合成樹脂材からなる排水溝部材１６
が重設されている。この排水溝部材１６の外周縁
部は、インナフレーム１１の外周壁１１ａ上縁に
対して弾発的かつ密接に係着しており、その上縁
には、中空断面をなすシール突条１７が全周に亘
り形成されている。このシール突条１７は、固定
ルーフ１の内面に液密に密接している。

排水溝部材１６の前側部分には、後記するデイ
フレクタ装置の収納部を郭成すべく、Ｕ字状溝１
５の更に内側に拡幅部分１６ｗが形成されてい
る。そして、水滴の車室内への浸入を防止するた
めに、拡幅部分１６ｗの内周縁に沿つて、立上げ
壁１６ａが延設されている。

ところで、前記したガイドレールステー１２の
係合部１３の外側壁には、立上げ壁１６ａを乗り
越えるようにして該立上げ壁１６ａを把持する把
持片１８が形成されている。この把持片１８によ
り、排水溝部材１６に於ける拡幅部分１６ｗの内
周側の浮き上がりが防止される。また、把持片１
８の外面には、直角方向に突片１８ａが突設され
ており、後記するデイフレクタ装置を固定するた
めの係合孔１９がその突端に開設されている。

次に前記したデイフレクタブレード５を含むデ
イフレクタ装置２０について第３，４図を併せて
参照して説明する。

デイフレクタ装置２０は、前記したように開口
部２の前側内縁に沿つて立上がるデイフレクタブ
レード５と、デイフレクタブレード５をその前端
部２１ａにて昇降支持するアーム２１と、アーム
２１の後端部２１ｂ及び中間部２１ｃを傾動自在
に支持するベース２２と、ベース２２の前端部２
２ａとアーム中間部２１ｃとを連結するサブアー
ム２３とからなつている。

デイフレクタブレード５とアーム前端部２１ａ
とは、互いに回動可能なようにピン軸２４をもつ
て結合している。と同時に、ピン軸２４には、捩
りばね２５が巻装されており、これにより、上昇
時には所定のブレード角度を保ち、かつ下降時に
は比較的抵抗なく格納に適した姿勢となり得るよ
うに、デイフレクタブレード５を適宜に弾発付勢
するものとされている。

アーム後端部２１ｂは、ベース２２に形成され
た前後方向長孔２６に挿通されたピン軸２７を介
してベース２２と連結している。またサブアーム
２３は、一端２３ａをベース前端部２２ａに、他
端２３ｂをアーム中間部２１ｃに、それぞれ相対
回動自在なようにピン軸２８ａ，２８ｂを介して
連結されている。と同時に、アーム中間部２１ｃ
側のピン軸２１ｂには捩りばね２９が巻装されて
おり、これにより、アーム２１の前側部分とサブ
アーム２３との挟角を拡大する向き、即ち、サブ
アーム２３が起立し、アーム２１が上向きに傾動
する方向に常時弾発付勢するものとされている。

このようにして、可動パネル３を閉じると、可
動パネル３とインナフレーム１１との間の空間Ｓ
にデイフレクタ装置２０が収納され、可動パネル
３を開くと、デイフレクタブレード５が固定ルー
フ１の外面より自動的に突出する。

一方、前記した排水溝部材１６は、開口部２の
前後方向中間位置より後方に於いて拡幅部分１６
ｗが途切れ、外側のＵ字状溝１５のみが形成され
ており、上記したベース後端２２ｂは、排水溝部
材１６の幅が狭くなる部分の直後の位置にてイン
ナフレーム１１にボルト止めされている。そして
ベース２２は、排水溝部材１６の拡幅部分１６ｗ
の後端部に於いて斜め横向きとなる内周壁１６ａ
を乗り越えた上で前方に向けて延出され、その前
端には、前記した突片１８ａの係合孔１９に突入
する前後方向突起３０が突出形成されている。こ
の突起３０の前後方向寸法は、ベース後端部２２
ｂに形成されたボルト挿通用の長孔３１の前後方
向寸法と同等かあるいはそれ以上とされており、
長孔３１とボルトＢとの相対位置を変化させた際
にも係合孔１９と突起３０との結合を解くことの
ないように定められている。

このようにして、ベース２２は、突起３０を後
方から係合孔１９に突入させることをもつて、ガ
イドレールステー１２を介してインナフレーム１
１にその前端部が固定され、ボルトＢに螺着した
ナツトＮをもつて、インナフレーム１１にその後
端部が直接固定される。

さて、前記したように、排水溝部材１６の前側
のコーナー外周部分には、例えばビニルチユーブ
などが連結されてフロントピラーに沿わせて車輌
外部に排水するための導水口３２が設けられてい
る。この部分は、上記したようにデイフレクタ装
置２０との干渉を避ける都合上、Ｕ字状溝１５の
内側に拡幅部分１６ｗが形成されている。そのた
め、剛性が低下しがちとなつて、歪みが生じ易く
なることから、場合によつては、インナフレーム
１１からその内周側が浮き上がることがある。

そこで本考案に於いては、第５図に併せて示す
ように、ガイドレールステー１２のベース部１４
を排水溝部材１６のコーナー部内周縁に対応して
湾曲形成し、排水溝部材１６の内周部とガイドレ
ールステー１２の外周部とのそれぞれに、互いに
補完的に係合する溝３３，３４を設けるようにし
ている。そしてガイドレールステー１２をインナ
フレーム１１にボルト止めすることにより、これ
ら溝３３，３４同士及び前記した把持片１８と立
上げ壁１６ａとが係合することをもつて、排水溝
部材１６のコーナー内周部がインナフレーム１１
に密接に保持されるようにしている。

［考案の効果］ このように本考案によれば、ガイドレールの前
端部をインナフレームに固定するためのガイドレ
ールステーの一部を排水溝部材の内周縁部に係合
可能なように形成したことから、別途固定部材を
設けることなく容易に排水溝部材のコーナー内周
部を固定することができる。従つて、排水溝部材
の変形を抑制し、水路の形状を適正に保つうえに
極めて効果的であると同時に、可動パネルを開放
した状態に於ける同部分の外観が向上し、商品性
を高める効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車ルーフの部分的な斜視図であ
り、第２図は本考案に関わる部分を第３図の−
線に沿つて切断して示す縦断面図である。第３
図は同じく部分的な上面図であり、第４図は第３
図の−線に沿う側断面図であり、第５図は第
３図の−線に沿う側断面図である。 １……固定ルーフ、２……開口部、３……可動
パネル、４……ガイドレール、５……デイフレク
タブレード、６……スライドシユー、７ａ，７ｂ
……シール部材、８……接着剤、９……ガラスホ
ルダ、１０……パネルステー、１０ａ……先端
部、１１……インナフレーム、１１ａ……外周
壁、１２……ガイドレールステー、１３……係合
部、１４……ベース部、１５……Ｕ字状溝、１６
……排水溝部材、１６ａ……立上げ壁、１７……
シール突条、１８……把持片、１８ａ……突片、
１９……係合孔、２０……デイフレクタ装置、２
１……アーム、２２……ベース、２３……サブア
ーム、２４……ピン軸、２５……捩りばね、２６
……長孔、２７，２８ａ，２８ｂ……ピン軸、２
９……捩りばね、３０……突起部、３１……長
孔、３２……導水口、３３，３４……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車の固定ルーフに設けられた開口部を閉鎖
   し得る可動パネルを摺動自在に案内するガイドレ
   ールの一端部を保持すべく、前記固定ルーフの内
   面に固設されたインナフレームに締結手段を介し
   てそのベース部が固定されるガイドレールステー
   を有するスライドルーフ装置に於いて、前記イン
   ナフレームの外周部に重設された排水溝部材を前
   記インナフレームに対して固定する構造であつ
   て、 前記排水溝部材の内周部が、該内周部の輪郭に
   対応して前記ガイドレールステーのベース部に形
   成された係合部にて前記インナフレームに挟着固
   定されることを特徴とするスライドルーフ装置用
   排水溝部材の固定構造。