JPH0429353Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は乾燥風によつて穀物の乾燥処理を行う
穀粒乾燥装置に関する。

［従来の技術］ 穀粒を乾燥するために、穀槽内で穀粒を循環流
動させながら乾燥風を送給して乾燥する循環型穀
粒乾燥装置が用いられている。

この循環型穀粒乾燥装置においては、機体下部
に下スクリユウコンベヤが配設され張込まれた穀
粒を機体片側に立設する揚穀機へ搬送するように
なつている。さらに、大量の穀粒を迅速確実に処
理するため、下スクリユウコンベヤを装置長手方
向に二列に配設した穀粒乾燥装置も用いられてい
る。

左右二列の下スクリユウコンベヤは張込まれた
穀粒を逐次揚穀機へ搬送するようになつているた
め、下スクリユウコンベヤが一基の場合に比べて
大量の穀粒を短時間で搬送できるという利点があ
る。

しかしながら、この種の穀粒乾燥装置では左右
の下スクリユウコンベヤの回転方向が同じである
ため左右の下スクリユウコンベヤの搬送効率に差
が生じた。たとえば軸方向に見て下スクリユウコ
ンベヤが共に時計方向に回転する場合では、左側
に配設される左側下スクリユウコンベヤは左方よ
り穀粒が張込まれることになる。このため張込流
し板に沿つて張込まれた穀粒はスクリユウコンベ
ヤに形成された螺旋羽根によつて、張込流し板と
の間に巻込まれないで逆に跳ね上げられるように
なる。このため搬送効率に多少の低下が生じる。
一方右側に配設される右側下スクリユウコンベヤ
の場合には右方より穀粒が張込まれることにな
る。このため張込まれた穀粒は右下スクリユウコ
ンベヤと張込流し板との間に巻込まれるように搬
送されることになる。したがつて搬送効率の低下
は生じない。

このように、穀粒の張込方向と無関係に左右の
下スクリユウコンベヤが同方向に回転する穀粒乾
燥装置では左右の下スクリユウコンベヤ間に搬送
効率の差が生じ、張込時間の不均一あるいは張込
時間の延長という問題を生じ、延いては乾燥むら
が生じて不都合であつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記事実を考慮し、下スクリユウコン
ベヤの穀粒搬送効率が向上され、短時間で均一な
張込時間となり乾燥むらが生じにくい穀粒乾燥装
置を得ることが目的である。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係る穀粒乾燥装置では、機体の両側壁
に設けられた一対の張込ホツパにそれぞれ一端部
が連結され下向きに傾斜して配置され、前記張込
ホツパから張込まれた穀粒を案内して前記機体略
中央部へ流下させる一対の張込流し板と、前記一
対の張込流し板の他端部に対応してそれぞれ配置
され、それぞれ対応する前記張込流し板によつて
案内される穀粒の流下方向に沿いかつ互いに反対
方向へ回転して、前記一対の張込流し板によつて
案内されて流下した穀粒を同一方向に搬送する一
対の下スクリユウコンベヤと、前記張込ホツパと
前記下スクリユウコンベヤとの間の前記張込流し
板の中間部にそれぞれ対応して張込流し板中間部
の直上に配置され、機体内に収容された穀粒を順
次繰り出して前記張込流し板上へ放出する一対の
穀粒繰り出し部と、を有している。

［作用］ 上記構成の穀粒乾燥装置では、下スクリユウコ
ンベヤの回転方向は軸方向に見ると右側の下スク
リユウコンベヤは時計方向回転とされ左側の下ス
クリユウコンベヤは反時計方向回転とされている
ため、機体両側から張込まれた穀粒は共に左右の
下スクリユウコンベヤと各張込流し板との間に巻
き込まれるようにして搬送されるので搬送効率の
低下がなく左右均一に行なわれることになる。

さらに、張込ホツパと下スクリユウコンベヤと
の間の張込流し板の中間部の直上に穀粒繰り出し
部を配置しているため、穀粒乾燥装置の張込み運
転時においては、張込ホツパから張り込まれた穀
粒は張込流し板に案内されて下スクリユウコンベ
ヤへ至り、さらに下スクリユウコンベヤと張込流
し板との間に巻き込まれるようにして搬送され
る。したがつて、下スクリユウコンベヤの搬送効
率が極めて向上する。

一方、穀粒乾燥装置の循環・乾燥運転時におい
ては、張込流し板の直上の穀粒繰り出し部から繰
り出された穀粒は張込流し板上に落下し、さらに
これに案内されて下スクリユウコンベヤへ至り、
前記張込み運転時と同様に下スクリユウコンベヤ
と張込流し板との間に巻き込まれるようにして搬
送される。したがつて、この場合にも下スクリユ
ウコンベヤの搬送効率が極めて向上する。

このように、穀粒乾燥装置の張込み運転時や循
環・乾燥運転時に拘わらず下スクリユウコンベヤ
の穀粒搬送効率を向上させることができる。

［実施例］ 第１図には本考案に係る穀粒乾燥装置１０の断
面図、第２図には第１図−線に沿つた断面
図、第３図には作用説明図が示されている。

機体１２は左右一対の機壁１４、前後一対の機
壁１６、天井壁１８及び底壁２０によつて構成さ
れる穀粒乾燥装置１０の外枠で、上下に高い箱状
とされている。

機体１２の上部内洞は穀槽２２となつている。
また下部には乾燥部２４が配設されている。乾燥
部２４には、機体左右中央部に機壁１４と平行に
一対の通気性の排風路隔壁２６が互いに相対して
機壁１６間に架け渡されている。排風路隔壁２６
の上端には断面逆Ｖ字状で非通気性の隔壁２８が
排風路隔壁２６に連続するように形成され、排風
路隔壁２６と隔壁２８とによつて囲まれる部分が
排風路３０となつている。

排風路隔壁２６の横方向（機壁１４側）には排
風路隔壁２６と平行でかつ互いに平行な各々一対
の通気性導風路隔壁３２，３２Ａが互いに相対し
て機壁１６間に架け渡されている。導風路隔壁３
２，３２Ａの上部には隔壁２８と同様に逆Ｖ字形
で非通気性の隔壁３４が連続して架け渡され、導
風路隔壁３２，３２Ａと隔壁３４とによつて導風
路３６が形成されている。従つてこの導風路３６
と排風路３０は長手方向が互いに平行となつてい
る。

またさらに導風路隔壁３２Ａの横方向（機壁１
４側）には導風路隔壁３２Ａと平行に通気性の排
風路隔壁２６Ａが機壁１４と機壁１６間に架け渡
されている。排風路隔壁２６Ａの上端からは非通
気性の隔壁３８が機壁１４の内面へ連続するよう
に隔壁３４と同じ傾きで架け渡され、排風路隔壁
２６Ａ、機壁１４及び隔壁３８との間に排風路３
０Ａが形成されている。このためこの排風路３０
Ａも長手方向が導風路３６及び排風路３０と平行
となつている。

これら導風路と排風路との間は穀槽２２内の穀
粒が流下する流下路４０となつている。すなわち
流下路４０内の穀粒は導風路３６から送られる乾
燥風を受けながら流下路４０下方へ流下し、送ら
れた乾燥風は穀粒の水分を吸収して穀粒を乾燥し
た後に排風路３０，３０Ａから排出されるように
なつている。

流下路４０の各下端は、前記導風路隔壁３２と
排風路隔壁２６の下端傾斜部間に形成される流出
口４１に、及び排風路隔壁２６Ａ及び導風路隔壁
３２Ａの下端傾斜部間で形成される流出口４１を
経て穀粒繰り出し部としてのシヤツタドラム４２
へ連結されている。

シヤツタドラム４２は軸心が水平とされた中空
円筒状であり、外周一部に所定幅寸法で軸方向に
沿つたスリツト状の切欠が形成されている。この
シヤツタドラム４２は軸心回りに回転して切欠と
前記流出口４１とが対面することにより、切欠を
通して流下路４０内の穀粒がシヤツタドラム４２
の内部に流入し、さらにシヤツタドラム４２が回
転して切欠が下向きに位置する状態となることに
より流入した穀粒が排出されるようになつてい
る。

シヤツタドラム４２の下方には、機壁１４間の
中央部へ向けて下向きにテーパーとなつて張込流
し板４４が配置されている。このため、シヤツタ
ドラム４２から排出された穀粒は張込流し板４４
によつて機壁１４間の略中央部に二列に搬送され
る。各張込流し板４４は各々Ｖ字形とされている
ので、第１図左側のシヤツタドラム４２から流下
する穀粒は左側の張込流し板４４へ、右側のシヤ
ツタドラム４２から流下する穀粒は右側の張込流
し板４４へそれぞれ流下することになる。

張込流し板４４の各下方端には穀粒搬送用の下
スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂが配設されて
いる。第２図に示される如く下スクリユウコンベ
ヤ４６Ａ，４６Ｂは穀粒乾燥装置１０の装置長手
方向に渡つて平行して二列に配設され、外周の螺
旋羽根がこれらの間へ入り込む穀粒を第２図左方
向へと送り出すようになつている。ここに下スク
リユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂへ固着された螺旋
羽根は互いに逆方向とされ、かつ回転方向も逆、
すなわち第３図矢印Ａで示される回転方向となつ
ている。

下スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂの穀粒搬
送方向終端部には、下向きに傾斜した搬送ガイド
板４８が各下スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂ
と接続連通するように配設されている。またこの
搬送ガイド板４８の下方端部は、機壁１６の外側
に立設するバケツトコンベヤ５０と上下方向に接
続連通するようになつている。

このバケツトコンベヤ５０内には、一定間隔で
穀粒搬送用バケツトが無端コンベヤへ取りつけら
れており、下スクリユウコンベヤ４６から搬送ガ
イド板４８を介して送り出される穀粒を穀粒乾燥
装置１０の最上部まで持上搬送でるようになつて
いる。したがつて搬送ガイド板４８を流下した穀
粒は搬送用バケツトを介して穀粒乾燥装置１０の
最上部まで持上げ搬送される。

バケツトコンベヤ５０の上端部には上スクリユ
ウコンベヤ５２の一端が対応しており、持上げ搬
送された穀粒を受け取るようになつている。この
上スクリユウコンベヤ５２の他端は穀粒乾燥装置
１０の長手方向中央部まで延長されており、この
上スクリユウコンベヤ５２の他端直下へ軸心が垂
直の回転式均分機５４が配置されている。したが
つて上スクリユウコンベヤ５２によつて穀粒乾燥
装置１０の上方中央部まで搬送された穀粒は回転
式均分機５４上へ落下し、この回転式均分機５４
の回転時に遠心力で穀粒乾燥装置１０内の穀槽２
２内へ均等に放散分配されることになる。

機壁１４の下部には張込ホツパ５６が配設さ
れ、穀粒乾燥装置１０内へ穀粒を張込むことがで
きるようになつている。

第２図に示す如く、前面側機壁１６には上下方
向に導風連通路６０が形成され、この導風連通路
６０の下部に乾燥風発生用のバーナー５８が配設
されている。この導風連通路６０は機体１２内の
導風路３６の長手方向一端と連通している。この
ため、バーナー５８によつて発生した乾燥風は導
風連通路６０を通つて導風路３６へ共に送り込ま
れるようになつている。

後面側機壁１６には上下方向に排風連通路６４
が形成され、この排風連通路６４の排気口６５付
近に排風用の送風機６２が配設されている。この
排風連通路６４は排風路３０，３０Ａと連通して
いる。このため、この送風機６２はバーナー５８
からの乾燥風を吸引して各導風路から排風路へと
送給し、排風連通路６４を介して機体１２外へ排
出するようになつている。

次に上記構成の穀粒乾燥装置１０の作用を説明
する。

穀粒を張込むため穀粒乾燥装置１０の循環系装
置（下スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂ、バケ
ツトコンベヤ５０、上スクリユウコンベヤ５２、
回転式均分機５４）を駆動させる。

穀粒は穀粒乾燥装置１０の機壁１４下方両側面
にある張込ホツパ５６から同時に、又はいずれか
一方から機体１２内へ張込まれる。張込まれた穀
粒は張込流し板４４によつて機体１２の下方略中
央（下スクリユウコンベヤ配設位置）に機壁１６
間に渡つて二列に搬送される。さらに張込まれた
穀粒は下スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂによ
つてバケツトコンベヤ５０側に搬送される。第３
図はこの場合の下スクリユウコンベヤの作用説明
図である。

第３図において紙面奥側にバケツトコンベヤが
立設し紙面手前側から奥側に向けて穀粒が搬送さ
れるものとする。第３図Ａは本考案に係る穀粒乾
燥装置に配設された各スクリユウコンベヤ４６
Ａ，４６Ｂが示されており、矢印Ａはスクリユウ
コンベヤの回転方向、矢印Ｂは張込まれた穀粒の
移動経路を表わしている。左側下スクリユウコン
ベヤ４６Ａは反時計方向に回転しており、外周に
形成された螺旋羽根は必然的に右ねじ状となつて
いる。この左側下スクリユウコンベヤ４６Ａは左
方より穀粒を張込まれ、張込まれた穀粒は張込流
し板４４と左側下スクリユウコンベヤ４６Ａとの
間に巻込まれるようにして左側下スクリユウコン
ベヤ４６Ａに形成された螺旋羽根の間に入り込
み、紙面手前側から紙面奥側へと搬送される。

一方右側下スクリユウコンベヤ４６Ｂは時計方
向に回転しており、外周に形成された螺旋羽根は
必然的に左ねじ状となつている。この右側下スク
リユウコンベヤ４６Ｂは右方より穀粒を張込ま
れ、張込まれた穀粒は左側下スクリユウコンベヤ
４６Ａと同様に張込流し板４４と右側下スクリユ
ウコンベヤ４６Ｂとの間に巻込まれるようにして
右側下スクリユウコンベヤ４６Ｂに形成された螺
旋羽根の間に入り込み、紙面手前側から紙面奥側
へと搬送される。従つて両スクリユウコンベヤ４
６Ａ，４６Ｂによる穀粒搬送条件は等しい。

これに反して、第３図Ｂ，Ｃに示される如く、
左側下スクリユウコンベヤと右側下スクリユウコ
ンベヤとが同方向に回転する場合では、張込まれ
た穀粒が張込み流し板４４とスクリユウコンベヤ
との間に巻込まれないで逆に跳ね上げられる場合
（第３図イ及びロ）があり、搬送効率の不均一及
び低下が生じる。したがつてこの問題点は本実施
例の如く左右のスクリユウコンベヤの回転方向を
張込流し板によつて案内される穀粒の流下方向に
沿う回転方向とすることにより解消される。

各スクリユウコンベヤの搬送方向終端部には下
向きに傾斜した搬送ガイド板４８が連続連通して
いるため、穀粒は逐次搬送ガイド板４８に沿つて
バケツトコンベヤ５０下方まで搬送される。した
がつて搬送ガイド板４８を流下する穀粒は回転す
るバケツトコンベヤ５０のバケツトで抄われて持
ち上げられる。

バケツトコンベヤ５０によつて機体１２の上方
に持上げ搬送された穀粒は上スクリユウコンベヤ
５２によつて機体１２の上方中央部に送られ、回
転式均分機５４によつて機体１２内の穀粒２２へ
貯蔵される。

さらにここで、張込終了後シヤツタドラム４２
を回転させて穀粒を繰り出す。そして機体１２に
連結されたバーナー５８を点火すると共に送風機
６２を駆動すると、乾燥風が導風連通路６０を経
て導風路３６へ送り込まれる。

導風路３６に送り込まれた乾燥風は排風路隔壁
３２，３２Ａを通過し、流下路４０内の穀粒に直
接送給される。穀粒の水分を吸収した熱風は排風
路隔壁２６，２６Ａを通過して排風路３０，３０
Ａへ流れ、さらに排風連通路６４を経て穀粒乾燥
装置１０外へと排出される。

シヤツタドラム４２の回転により、流下路４０
内の穀粒は流出口４１を通過後再び張込流し板４
４によつて穀粒乾燥装置１０の下方略中央部長手
方向に渡つて搬送される。この場合も、下スクリ
ユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂへ至つた穀粒は、前
述の張込み運転時と同様に下スクリユウコンベヤ
４６Ａ，４６Ｂと張込流し板４４との間に巻き込
まれるようにして搬送される。したがつて、この
場合にも下スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂの
搬送効率が極めて向上する。

搬送された穀粒は、必要に応じて所望の含水率
に達するまで機体１２内で前述の循環作用が繰り
返された後、図示しない穀粒排出口から取り出さ
れる。

このように、穀粒乾燥装置１０の張込み運転時
や穀粒乾燥装置の循環・乾燥運転時に拘わらず下
スクリユウコンベヤ４６Ａ，４６Ｂの穀粒搬送効
率を向上させることができる。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案に係る穀粒乾燥装置で
は、張込流し板の中間部の直上に穀粒繰り出し部
を配置すると共に一対の下スクリユウコンベヤの
回転方向は張込流し板によつて案内される穀粒の
流下方向に沿う回転方向とされているので、両方
のホツパから張込まれた穀粒は互いに同一条件で
搬送され、運転の態様に拘わらず搬送効率の低下
がなく左右均一に搬送でき乾燥むらが生じにくい
という優れた効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る穀粒乾燥装置の断面図、
第２図は第１図−線に沿つた断面図、第３図
Ａは本実施例の作用を、第３図Ｂ，Ｃは従来の作
用を示す説明図である。 ２４……乾燥部、３０，３０Ａ……排風路、３
６……導風路、４０……流下路、４４……張込流
し板、４６Ａ……左側下スクリユウコンベヤ、４
６Ｂ……右側下スクリユウコンベヤ、５０……バ
ケツトコンベヤ、５６……張込ホツパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 機体の両側壁に設けられた一対の張込ホツパに
   それぞれ一端部が連結され下向きに傾斜して配置
   され、前記張込ホツパから張込まれた穀粒を案内
   して前記機体略中央部へ流下させる一対の張込流
   し板と、 前記一対の張込流し板の他端部に対応してそれ
   ぞれ配置され、それぞれ対応する前記張込流し板
   によつて案内される穀粒の流下方向に沿いかつ互
   いに反対方向へ回転して、前記一対の張込流し板
   によつて案内されて流下した穀粒を同一方向に搬
   送する一対の下スクリユウコンベヤと、 前記張込ホツパと前記下スクリユウコンベヤと
   の間の前記張込流し板の中間部にそれぞれ対応し
   て張込流し板中間部の直上に配置され、機体内に
   収容された穀粒を順次繰り出して前記張込流し板
   上へ放出する一対の穀粒繰り出し部と、 を有する穀粒乾燥装置。