JPH079027Y2 - 穀物乾燥機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、取出し室より搬出樋内へ間欠的に供給された
穀物量が少なくなつた場合にあつても、搬出樋内の穀物
が発生した逆風により塵埃と共に機外に排出されるのを
未然に防止して良好な循環乾燥作業を達成できる穀物乾
燥機に関する。

「従来の技術」 従来、乾燥通路において、前後方向に分けられた穀物の
流れを乾燥通路を通過したあと、左右方向に流れが変わ
る所謂交差流下方式によつて高水分穀物の流動性をより
向上させ、高水分穀物といえども均一かつ品質よく仕上
げ乾燥させることができる穀物乾燥機は本出願前例えば
特公昭61-55037号公報に記載されており、その内容を第
３図について説明する。すなわち、前後方向に長い横長
角筒状の乾燥機本体１内の下半部左右両側に熱風送風室
２と排塵風室３とを対称的に設け、上記熱風送風室２と
排塵風室３との間には横長方向と直交する方向に向け、
熱風送風室２に通ずる複数の熱風室４と排塵風室３に通
ずる複数の排風室５とを両室4,5間に幅狭の乾燥通路６
が形成せられるよう交互に架設し、前記複数の乾燥通路
６の下端は乾燥通路６、熱風室４及び排風室５の直下に
横長方向に沿い複数列に亘り配設した山形仕切壁７によ
り形成された複数の交差流下繰出し室８………へ夫々接
続せしめると共に夫々の交差流下繰出し室８の下部に横
長方向に沿い回転自在に軸架した繰出しロール９………
は周囲を熱風送風室２、排塵風室３及び交差流下繰出し
室８で囲まれた取出し室10にのぞませて構成したもので
ある。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、従来のこの種、穀物乾燥機においては、熱風
室と排風室との間に形成された乾燥通路に沿つて竪流下
する穀物は、その流下過程において先ず乾燥通路を横切
るように流通する乾燥熱風を沿びて乾燥される直交流乾
燥が行われた後、該穀物が下段の交差流下繰出し室に落
入する時には直交する方向に変向されることで攪拌混合
が効果的に行われ、初期水分値の異なる穀物といえども
複数回の循環流動作用で迅速に所期の仕上げ水分値に乾
燥するようにしたものである。

しかしながら、上述の乾燥手段によれば、乾燥通路及び
交差流下繰出し室に亘り竪流下する穀物はその流下過程
において一度だけ直交流乾燥がなされるだけなので、乾
燥の促進が簡単にできない許りか直交流乾燥のため乾燥
熱風の送風側の穀物が乾燥熱風の排風側の穀物より早く
乾燥され、これが原因で乾燥ムラや胴割れ現象が発生し
均一に乾燥することができない許りか乾燥作業中におい
て穀物中に含まれた多くの塵埃を能率よく選別除去でき
ないことで流下ムラによる乾燥の均等化ができない等の
問題点があつた。

そこで、本出願人はこれを解決するために、穀物の流れ
と同一に向け並行する乾燥熱風を、穀物が乾燥通路にお
いて前後方向に分けられながら竪流下する過程と交差流
下繰出し室内を左右方向に分けられながら竪流下する過
程及び取出し室内を流下する過程において夫々均等に浴
びせ３段乾燥を有効的に行わせて乾燥の促進をより図る
と同時に穀物中に含まれた多くの塵埃を取出し室におい
て能率よく選別除去することができる穀物乾燥機を提供
した。

ところで、前記のような手段により穀物乾燥を行えば乾
燥能率の向上は期待できる反面、循環乾燥作業中におい
て取出し室内に排出された穀物の塵埃を排塵風室の負圧
作用で取出し室より排塵風室に吸引除去せしめた際に、
間欠的に取出し室より底部の搬出樋内に供給される穀物
量が少なくなつた時に排塵風室内の負圧作用で昇降機側
より搬出樋に向けて逆風が流通し、これが逆風の流通作
用で搬出樋内の穀物の一部や取出し室内の穀物の一部が
塵埃と共に取出し室より排塵風室内に吸引され、機外に
排出されるという問題点を有していた。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑み
てなされたものであつて、その目的とするところは、排
塵風室と取出し室とを接続して取出し室内に排出された
穀物中に含まれた塵埃を排塵風室の吸引作用で吸引選別
除去しながら循環乾燥作業を継続せしめた際に、間欠的
に取出し室を介して搬出樋内に供給される循環穀物量が
少なくなつても、搬出樋と昇降機とを接続する供給樋内
には、搬出樋より供給樋を経て昇降機に供給される穀物
の流動圧により自動的に押し開かれ、又穀物が供給され
ない時には自重で垂下して搬出樋と昇降機との接続を遮
断するように垂下した逆風侵入防止板により昇降機側よ
り搬出樋側に向け流通しようとする逆風を未然に防止し
て搬出樋内の穀物は勿論のこと取出し室内の穀物が塵埃
と共に排塵風室を経て機外に排出されるのを未然に防止
することができる穀物乾燥機を提供しようとするもので
ある。

「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するために、本考案における穀物乾燥機
は、乾燥機本体内の左右両側に横長方向に沿つて熱風送
風室と排塵風室とを対称的に設け、前記熱風送風室と排
塵風室との間には、底部に搬出側が乾燥機本体の一側に
付設した昇降機の供給樋と接続された搬出樋を横設した
取出し室を配設したものにおいて、前記取出し室と排塵
風室とは排塵風路を介し接続すると共に搬出樋が接続さ
れた昇降機の供給樋内には、搬出樋より供給樋を経て昇
降機に供給される穀物の流動圧で自動的に押し開かれ、
又穀物が供給されない時には自重で垂下して搬出樋と昇
降機との接続を遮断する逆風侵入防止板を垂設したもの
である。

「作用」 今、排塵風室内を負圧状態ならしめると同時に熱風送風
室内において乾燥熱風を起成せしめれば前記乾燥熱風は
竪流下される穀物に浴びせられ乾燥せしめる。そして幾
分乾燥された穀物は取出し室内へ間欠的に排出される。
ところで取出し室内は排塵風室よりの吸引作用で負圧状
態となつているので穀物中に含まれていた塵埃は前記負
圧作用で穀物と分離され排塵風室を経て機外に集中排塵
せられる。そして風選別された以後の穀物は搬出樋内に
落入した後、搬送され、供給樋より昇降機に供給され、
昇降作用で乾燥機本体上部に循環返流されて再度上述と
同様の乾燥作用を受けて所定水分値に乾燥される。とこ
ろで、上述のような循環乾燥作業中においては、搬出樋
と昇降機とを接続するための供給樋内には、供給される
穀物の流動圧で自動的に押し開かれ、又穀物が供給され
ない時には自重で垂下して搬出樋と昇降機との接続を遮
断する逆風侵入防止板が垂設されているので、間欠的に
取出し室内に排出される穀物のため、搬送状態によつて
搬出樋内に循環穀物量が少なくなり、その結果、搬出樋
と昇降機とが供給樋を介して接続状態となつて排塵風室
よりの吸引作用で、昇降機側より搬出樋に向けて逆風が
流通しようとしても、前記逆風は垂下状態となつた逆風
侵入防止板で遮えぎられ、搬出樋側への流通が阻止され
る。

したがつて、搬出樋内には逆風の流通が無いことで搬出
樋内の穀物の一部が排塵風路を経て排塵風室内に吸引さ
れたり、或は取出し室内の穀物の一部が排塵風路を経て
排塵風室内に吸引されることなく、穀物を循環流動せし
め穀物の乾燥作業を良好に営ませることができる。

「実施例」 実施例について図面を参照して説明する。

第１図ないし第３図において、101は、前後方向に長い
横長角筒状を呈する乾燥機本体であつて、前記乾燥機本
体101内部の下半部左右両側に上部より下部に向け順次
幅長さを大きくした熱風送風室102と排塵風室103とを対
称的に配設する。そして上記熱風送風室102と排塵風室1
03との間には一端が熱風送風室102に接続され、下端に
乾燥熱風を下向きに噴出させる噴出窓105を開口した複
数列の熱風噴出ダクト104と噴出窓105より下向きに噴出
した乾燥熱風を、下段で、しかも横長方向に沿い配設し
た複数列の交差流下繰出し室108へ向け誘導流通せしめ
る複数列の熱風ダクト106とを乾燥通路107を介し千鳥状
となるよう左右方向に沿い立体的に重設せしめてある。
なお上記熱風誘導ダクト106は全体を盲状の山形状に形
成せしめると同時に下端を開放せしめてある。又、前述
した交差流下繰出し室108は横長方向に沿い複数列に亘
り配設した山形多孔仕切壁109により構成されており、
しかも乾燥通路107の下端は交差流下繰出し室108に接続
せしめてある。

したがつて、上記の如く構成したことで、熱風噴出ダク
ト104、熱風誘導ダクト106の長さが短かく形成できると
同時にその数を多くして熱風誘導ダクト106上方に配設
した調質槽110内に充填された穀物の堆積圧が大きくて
も熱風噴出ダクト104及び熱風誘導ダクト106が湾曲する
ことなく、その耐久性を大きくできる許りか、穀物全体
の充填量を増加できるは勿論のこと噴出窓105より穀物
の流下方向と並行するよう下向きに噴出した乾燥熱風を
交差流下繰出し室108へ向け誘導流通せしめる整流作用
を正確に営ませることができる。

その上、熱風誘導ダクト106及び乾燥通路107の直下に複
数列の交差流下繰出し室108が形成されているため、乾
燥通路107において前後方向に分けられた穀物の流れを
乾燥通路107を通過したあと、今度は左右方向に流れを
変えて交差流下せしめ、初期含水率の異なる穀物を効率
よく攪拌混合せしめると同時に穀物の流動性を向上させ
て、穀物の乾燥ムラ及び流下ムラを無くして均一に乾燥
させることができる。又、交差流下繰出し室108内に
は、乾燥通路107を経て変向流下した穀物が常に充満し
ているので、穀物は熱風噴出ダクト106より乾燥通路107
を経て交差流下繰出し室108内を流通する乾燥熱風を万
遍なく浴びて穀物が損傷されることなく均一に乾燥され
る。

前記山形多孔仕切壁109の各谷部には横長方向に沿つて
繰出し口111が開口されており、この繰出し口111位置に
は間欠回転される繰出しロール112が回転自在に軸架さ
れている。

交差流下繰出し室108の直下には、乾燥に供された以降
の排熱風や乾燥穀物を収容するための取出し室113が、
中央に向け斜設された左右一対の主流穀板114,114によ
り形成されており、前記取出し室113の最低位置に横設
した搬出樋115内には乾燥穀物を乾燥機本体101の一側に
付設した昇降機116の供給樋116aに搬送するため搬送ス
クリユー117が回転自在に収蔵軸架されている。

又、一方の主流穀板114の下部には、基端側を搬出樋115
に装着した副主穀板118が主流穀板114との間に排塵通路
119が形成されるように配設して、排塵風室103と取出し
室113とを接続せしめる。

したがつて、前述の如き構成により、穀物は乾燥通路10
7中を流通する過程において、第１回目の乾燥が行わ
れ、次いで交差流下繰出し室108において第２回目の乾
燥が営まれ、さらに取出し室113において第３回目の乾
燥が営まれると同時に穀物の乾燥に供された以降の排熱
風を使用して塵埃の選別作用が営まれる。

熱風送風室102の前面側及び排塵風室103の後面側には内
部にバーナ121を収蔵したバーナ装置120と内部に吸引排
風機123を回転自在に収蔵した吸引排風装置122を夫々装
着せしめて、バーナ装置120と熱風送風室102を、又、吸
引排風装置122と排塵風室103とを夫々接続せしめる。

前記、搬出樋115の搬出側が接続された供給樋116aの内
部には、逆風侵入防止板124が垂設されており、該逆風
侵入防止板124は、搬送スクリユー117の搬出側端部に装
着された送り羽根125の送り出し作用で穀物が連続的に
供給樋116a内に供給された際には前記流動穀物圧により
押し開かれて穀物を供給樋116aより昇降機116へ円滑に
供給し、又、搬出樋115より供給樋116aへの供給穀物が
無かつたり或は極端に少ない場合には自重で垂下状とな
つて搬出樋115と昇降機116との接続を断つて、排塵風室
103の負圧作用で昇降機116側より搬出樋115側へ流通し
ようとした逆風を未然に防止せしめることができる。

「考案の効果」 本考案は、上述のとおりに構成されているので、次に記
載する効果を奏する。

排塵風室と取出し室とを排塵風路を介し接続して取出し
室内に排出された穀物中に含まれた塵埃を排塵風室の吸
引作用で吸引選別除去しながら循環乾燥せしめることが
できる許りか、前記循環乾燥作業中において、取出し室
より間欠的に搬出樋内に供給される循環穀物量が少なく
なつても、搬出樋と昇降機とを接続する供給樋内に垂設
した逆風侵入防止板により昇降機側より搬出樋側に向け
流通しようとする逆風を未然に防止して搬出樋内の穀物
は勿論のこと取出し室内の穀物が塵埃と共に排塵風路を
経て排塵風室内に吸引され、機外に排出されるのを確実
に防止し、循環乾燥作業を良好に営ませることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は穀物乾燥機の縦断正面図、第２図は要部を縦断
した側面図、第３図は要部の拡大正断面図、第４図は従
来例の縦断正面図である。 101……乾燥機本体、102……熱風送風室、103……排塵
風室、113……取出し室、115……搬出樋、116……昇降
機、116a……供給樋、124……逆風侵入防止板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】乾燥機本体内の左右両側に横長方向に沿っ
   て熱風送風室と排塵風室とを対称的に設け、前記熱風送
   風室と排塵風室との間には、底部に搬出側が乾燥機本体
   の一側に付設した昇降機の供給樋と接続された搬出樋を
   横設した取出し室を配設したものにおいて、前記取出し
   室と排塵風室とは排塵風路を介し接続すると共に搬出樋
   が接続された昇降機の供給樋内には、搬出樋より供給樋
   を経て昇降機に供給される穀物の流動圧により自動的に
   押し開かれ、又穀物が供給されない時には自重で垂下し
   て搬出樋と昇降機との接続を遮断する逆風侵入防止板を
   垂設した穀物乾燥機。