JPH0420279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は車両用座席等に設置されるヘツドレス
ト装置に関し、特にヘツドレスト本体を直接回転
操作してシートバツクに対する回転角度、即ち着
座者の頭部との間隔を簡単に調整できるようにし
たものである。

背景技術とその問題点 従来、この種のヘツドレスト装置としては、ヘ
ツドレスト本体と回転支持部材との間に、常時噛
合状態にある歯車機構を配置し、この歯車機構を
ヘツドレスト本体に装着したノブにより回転操作
してヘツドレスト本体の回転角度を調整するよう
にしたもの、あるいは回転支持部材にロツク機構
を備え、このロツク機構を外部からのボタン操作
によりロツク解除してヘツドレスト本体を回転さ
せ角度を調整するようにしたもの等が公知であ
る。

しかしこのような構成のヘツドレスト装置にお
いては、ヘツドレスト本体の回転支持部は、歯車
の常時噛合状態あるいはロツク機構によるロツク
状態にあるため、回転角度調整においては、前後
両方向共にノブを回転操作したりあるいはボタン
を操作したりしなければならず、そのため迅速な
調整を行なうことができない欠点を有していた。

考案の目的 本考案は斯る点に鑑みてなされたもので、ヘツ
ドレスト本体を直接回転させるだけの簡単な操作
により回転角度調整を行なえるヘツドレスト装置
を提供し、上述の欠点を解消しようとするもので
ある。

考案の概要 本考案は上述の目的を達成するため、シートバ
ツクの上部に設けられたヘツドレスト支持部に横
架されたシヤフトと、このシヤフトに両側面部に
おいて前後方向に回動可能に支持されるヘツドレ
スト本体の枠体と、シヤフトと枠体との間に配さ
れ、枠体を後方へ付勢する第１のスプリングと、
シヤフトに固定され、周縁に前方へ傾斜する複数
の追歯を有する扇形の歯板と、少なくとも一側面
が先端部方向に弧状に形成され、基端部において
歯板の追歯に対応して枠体の側面部に枢着される
爪片とを有し、この爪片は、シヤフトとの間に配
される第２のスプリングによつてシヤフトの方向
に回動付勢され、枠体の前方への回動によつて歯
板の追歯に順次係合し、歯板の前端部を越えると
係合が解除されて枠体の後方への復帰回動を可能
となし、枠体の後方への回動によつて歯板の前端
部に当接して追歯と係合せざる方向に反転されて
その弧状面において追歯に摺接しながら後方へ移
動し、歯板の後端部を越えた状態で枠体を前方へ
回動させることにより歯板の後端部に当接して正
転され再び上記追歯に係合されるようにすること
により、ヘツドレスト本体を直接回動操作して前
後方向の角度調整が行なえるヘツドレスト装置を
実現したものである。

実施例 以下、図面を参照しながら本考案の実施例につ
いて説明する。

第１図は本考案のヘツドレスト装置を適用した
車両用の座席を示すもので、座席１のシートバツ
ク２の両側部から上方に延設されるフレーム３
ａ，３ｂに前後方向に回転角度調整可能にヘツド
レスト本体４が支持されている。

５はこのヘツドレスト本体４の内部に配される
枠体で、この枠体５は両側面板５ａ，５ｂ間を略
全周面に亘つて板体５ｃにより囲繞して形成さ
れ、両側面板５ａ，５ｂの下部に穿設された軸孔
６においてフレーム３ａ，３ｂの上部間に取付板
７ａ，７ｂを介して横架固着されたシヤフト８に
前後方向に回転可能に軸支されている。

そして、一方の側面板５ａとシヤフト８との間
に、ラチエツト方式の回転角度調整機構１０が配
されている。この回転角度調整機構１０はシヤフ
ト８に固定される歯板１１と、枠体５の一方の側
面板５ａに軸ピン１２′によつて枢着される爪片
１２とからなり、歯板１１は扇形に形成され、そ
の上縁側には前方へ傾斜する複数の追歯１３〔１
３ａ，１３ｂ，１３ｃ〕が形成されており、また
爪片１２は略円弧状で先端が先鋭状に形成され、
側面に突設された突起部１４とシヤフト８間には
コイルスプリング１５が架張されてこのコイルス
プリング１５の偏倚力によつて爪片１２はシヤフ
ト８方向に回動付勢されて凹曲状前面側が歯板１
１に対向した状態でその先端部１２ａが歯板１１
の追歯１３のいずれかに噛合する如くなされてい
る。

また、シヤフト８の一端寄りに後方に向つて固
着されたブラケツト１６と、枠体５の前側面部の
裏面側に固着されたブラケツト１７との間にはコ
イルスプリング１８が架張され、このコイルスプ
リング１８の偏倚力によつて枠体５はシヤフト８
即ちフレーム３ａ，３ｂに対して後方向へ回動付
勢されている。

また、枠体５の一方の側面板５ａの所定位置に
は、後述するように枠板５がシヤフト８に対して
前方へ回転された際に枠板５の必要以上の回転を
制止するためのストツパー片１９が突設されてい
る。

なお、ヘツドレスト支持部としてのフレーム３
ａ，３ｂはヘツドレストステー状に形成してもよ
く、この場合は枠体５の周面板体５ｃの下面側に
は前後方向に長い案内孔又は開口を形成し、これ
にステーを挿通する。

次に以上のように構成される本例のヘツドレス
ト装置の動作について説明する。

今、ヘツドレスト本体４即ち枠板５がシートバ
ツク２と同一面上に位置した直立状態にある時に
は、回転角度調整機構１０は第４図実線及び第５
図Ａに示す如く爪片１２の先端部１２ａが歯板１
１の最後部の追歯１３ａの歯溝にコイルスプリン
グ１５の偏倚力により圧接するように噛合され、
このため枠体５はシヤフト８即ちフレーム３ａ，
３ｂに対する後方への回動が阻止されてヘツドレ
スト本体４は前方からの押圧力に抗して直立状態
に保持されている。

そして、この状態からコイルスプリング１８の
偏倚力に抗して所要の力でヘツドレスト本体４を
前方へ押圧すると枠体５はシヤフト８に対する軸
支部即ち両側面板５ａ，５ｂの軸孔６を中心とし
て前方へ回転され、これに伴ない爪片１２も前方
に移動し、このため爪片１２の先端部１２ａは歯
板１１の前方の追歯１３ｂ，１３ｃに順次係合さ
れ、この係合により枠体５は前方へ傾斜状態で保
持されてヘツドレスト本体４は所望の回転角度で
前方へ傾斜して位置されることになる。（第４図
二点鎖線及び第５図Ｂ参照）。

そこで、ヘツドレスト本体４を最前傾させた状
態、即ち回転角度調整機構１０の爪片１２の先端
部１２ａが歯板１１の最前部の追歯１３ｃの歯溝
に係合した状態（第５図Ｂ参照）から更に枠体５
を押圧して前方向に回転させると、爪片１２と歯
板１１との係合が解除されると共に爪片１２の先
端部１２ａが歯板１１の前端部１１ａを乗り越え
て爪片１２はその先端部１２ａがコイルスプリン
グ１５の偏倚力によつてシヤフト８方向に向いた
状態で歯板１１の前端部１１ａの下側に対応され
る（第５図Ｃ参照）。

尚、この状態においては枠体５のストツパー片
１９が歯板１１の後縁部に当接し、枠体５がこれ
より前方に回転されないようになされている。

そして、この状態からヘツドレスト本体４の押
圧操作力を緩和あるいは解除すると、枠体５はコ
イルスプリング１８の偏倚力によつて後方へ復帰
回転され、これに伴ないシヤフト８方向に向いて
いる爪片１２はその先端部１２ａが歯板１１の前
端部１１ａに当接して前方即ち追歯１３に係合せ
ざる方向に跳上げられるように反転され（第５図
Ｄ参照）、先端部１２ａが追歯１３に乗り上げた
状態で凸曲状後面側がこれに摺接しながら後方へ
移動することになる（第５図Ｅ参照）。

このようにして枠体５が後方へ回転されると爪
片１２は歯板１１の後端部１１ｂを越えて再びコ
イルスプリング１５によつて先端部１２ａがシヤ
フト８方向を向いた状態となり（第５図Ｆ参照）、
この状態から再度ヘツドレスト本体４即ち枠体５
を前方へ回転させると、これによつて第５図Ａに
示すように爪片１２の先端部１２ａが歯板１１の
最後部の追歯１３ａに係合してヘツドレスト本体
４は再び直立状態に保持される。

このように本例のヘツドレスト装置は、ヘツド
レスト本体４を所要の力で前方へ押圧回転させる
ことによつて順次段階的に移動係合され、所望の
調整位置においてヘツドレスト本体４の回転を停
止するとヘツドレスト本体４はその位置で固定保
持されると共に、ヘツドレスト本体４が調整可能
範囲を越えて回転されると自動的に係合が解除さ
れ、この状態からヘツドレスト本体４を最後方へ
復帰回転させて再び前方へ回転させることにより
再度段階的調整が可能となる如く構成されている
ので、着座者は簡単な操作により所望の回転角度
に迅速に調整することができる。

考案の効果 以上のように本考案のヘツドレスト装置によれ
ば、ノブあるいはボタン等の操作部材を操作する
ことなくヘツドレスト本体を直接前方へ押圧する
だけの極めて簡単な操作により所望も回転角度に
迅速に調整でき、しかもヘツドレスト本体の外周
部には操作部材が何ら突出されないので乗員に対
する安全性が向上し、また製作においても構造が
簡単で部品点数が少なく、コストの低廉化及び軽
量化を図ることができる等の効果を有し、さらに
このヘツドレスト装置の構成においては、ヘツド
レスト本体はスプリングによつて常に後方に付勢
され、この付勢力に対し１個の爪片が歯板に係合
することによつてヘツドレスト本体のロツクが行
なわれる構成であるため、簡単な構造でありなが
らヘツドレスト本体はガタ付くことなく所望の回
転角度位置で確実堅固に固定され、着座者に常に
快適な着座感を提供できる利益をも有する。また
本考案のヘツドレスト装置においては、ヘツドレ
スト本体の後方への回動時に爪片は弧状面におい
て歯板の追歯に摺接されるため滑らかに移動し、
このためヘツドレスト本体の後方への回動操作を
スムーズに行なえる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘツドレスト装置を備えた車
両用座席の斜視図、第２図は本考案のヘツドレス
ト装置の一部切断した斜視図、第３図は同、背面
図、第４図は同、縦断側面図、第５図Ａ〜Ｆは回
転角度調整機構の動作の説明図である。 図中、２はシートバツク、３ａ，３ｂはフレー
ム、４はヘツドレスト本体、５は枠体、８はシヤ
フト、１１は歯板、１１ａは前端部、１１ｂは後
端部、１２は爪片、１３〔１３ａ，１３ｂ，１３
ｃ〕は追歯である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートバツクの上部に設けられたヘツドレスト
   支持部に横架されたシヤフトと、 該シヤフトに両側面部において前後方向に回動
   可能に支持されるヘツドレスト本体の枠体と、 上記シヤフトと上記枠体との間に配され、上記
   枠体を後方へ付勢する第１のスプリングと、 上記シヤフトに固定され、周縁に前方へ傾斜す
   る複数の追歯を有する扇形の歯板と、 少なくとも一側面が先端部方向に弧状に形成さ
   れ、基端部において上記歯板の追歯に対応して上
   記枠体の側面部に枢着される爪片と を有し、 上記爪片は、上記シヤフトとの間に配される第
   ２のスプリングによつて上記シヤフトの方向に回
   動付勢され、上記枠体の前方への回動によつて上
   記歯板の追歯に順次係合し、上記歯板の前端部を
   越えると係合が解除されて上記枠体の後方への復
   帰回動を可能となし、上記枠体の後方への回動に
   よつて上記歯板の前端部に当接して上記追歯と係
   合せざる方向に反転され上記弧状面において上記
   追歯に摺接しながら後方へ移動し、上記歯板の後
   端部を越えた状態で上記枠体を前方へ回動させる
   ことにより上記歯板の後端部に当接して正転され
   再び上記追歯に係合されるようにして成るヘツド
   レスト装置。