JPH019705Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シート調節装置、詳しくは、座席を
前後方向にスライドさせるスライド機構と、座席
の背もたれ部を前方又は後方に傾斜させるリクラ
イニング機構とを有し、１つの操作レバーでスラ
イド動作およびリクライニング動作を行えるシー
ト調節装置に関する。

例えば、自動車の座席においては適切な運転姿
勢を保つために、座席を前後方向にスライドさせ
るスライド機構や、座席の背もたれ部を前方又は
後方に傾斜させるリクライニング機構を有し、座
席の前後位置や背もたれ部の傾斜角度を適切に調
節できるようになつているが、スライド機構およ
びリクライニング機構を作動させるには、それぞ
れの機構に別々に設けられているスライド操作レ
バーおよびリクライニング操作レバーを操作させ
る必要があり、操作が煩雑であつたり、また非経
済的であるという欠点がある。

本考案の目的は、上記従来の事情に鑑み、スラ
イド機構とリクライニング機構とを操作するレバ
ーとして、１つのロツク解除レバーを設け、この
ロツク解除レバーの一端をスライドレリーズワイ
ヤを介してスライド機構のスライドロツク部に連
結し、他端をリクライニングレリーズワイヤを介
してリクライニング機構に動作的に連結し、上記
ロツク解除レバーを一方向に作動した時にはスラ
イド機構のスライドロツクを解除して座席のスラ
イドを可能にし、他方向に作動した時にはリクラ
イニング機構を作動して座席のリクライニング動
作を可能とするシート調節装置を提供するにあ
る。

以下、本考案を図示の実施例により説明する。

第１図に示す本考案のシート調節装置は、座部
１４および背もたれ部１５からなる座席に適用さ
れ、背もたれ部１５は、座部１４の後部両側面に
取り付けられたベースプレート１６，１６′に下
端部が回動自在に取り付けられたアーム１７，１
７′に両側面が一体に取り付けられ、ベースプレ
ート１６内に設けられたリクライニング機構（図
示せず）をリクライニング操作レバー１１で操作
することにより前方又は後方へ傾斜させることが
できる。座部１４は、下端面の左右両端寄りの所
にスライドアツパーレール４，４′が一体に取り
付けられ、このスライドアツパーレール４，４′
が座席を載置している床やフレーム等の不動部分
に設けられたスライドロアレール１２，１２′上
に嵌合して、座席を前後方向にスライド可能にし
ている。しかしながら、スライドアツパーレール
４の中程に設けられたロツク部材５がスライドロ
アレール１２がわに一体に取り付けられた係止プ
レート１８のロツク歯１８ａに噛合し、座席のス
ライドをロツクしている。スライドアツパーレー
ル４の後端部寄りに固定されたプレート１９の左
端部に形成された孔１９ａには、ヘルプスプリン
グ６の一端が掛けられ、このヘルプスプリング６
の他端は、スライドロアレール１２の前端部に固
定されたプレート２０の左端部に形成された孔２
０ａに掛けられ、これによりスライドアツパーレ
ール４を前方に引つ張るように付勢している。従
つて、これによつて座部１４も前方に移動するよ
うに付勢されているも、前述したロツク部材５と
係止プレート１８のロツク歯１８ａとの噛合によ
りその移動は阻止されている。上記スライドアツ
パーレール４の前端部上側には、中央部を回動自
在に支持されたリクライニング作動レバー９が配
設され、この右端部にはリクライニング作動ワイ
ヤ１０の一端が取り付けられている。リクライニ
ング作動ワイヤ１０の他端は上記ベースプレート
１６内に設けられたリクライニング機構に連結さ
れている。上記リクライニング作動レバー９の左
端部寄りには、コの字状の係合プレート７が係合
され、これによりリクライニング作動レバー９の
作動を阻止している。係合プレート７はスライド
アツパーレール４の前端部上側に取り付けられた
支持棒７９の左端部に回動自在に取り付けられて
いる。また、スライドロアレール１２の前端部に
固定されたプレート２０の中程で上記係合プレー
ト７に対向する位置には、上方に突出した折曲片
からなるストツパー８が形成されている。このス
トツパー８と係合プレート７との関係は、第３図
ａ，ｂにその詳細を示すように、座部１４が最前
部にスライドして移動すると、係止プレート７が
ストツパー８に当接し、係合プレート７は第３図
ｂに示すように支持棒７９を中心に時計方向に回
動して、リクライニング作動レバー９への係合を
解除するようになつている。

上記背もたれ部１５の左側面上部には、ロツク
解除レバー１３が配設され、このレバー１３の中
央部には支軸２１を介してロツク解除ハンドル１
が一体に取り付けられている。また、上記ロツク
解除レバーの右端部には、スライドレリーズワイ
ヤ２の一端が取り付けられ、このスライドレリー
ズワイヤ２の他端はスライドアツパーレール４の
中程上側に設けられたブラケツト２２を遊貫した
後、上記ロツク部材５の上端部に連結されてい
る。ロツク解除レバー１３の左端部には、リクラ
イニングレリーズワイヤ３の一端が取り付けら
れ、このリクライニングレリーズワイヤ３の他端
は上記リクライニング作動レバー９の左端部に取
り付けられている。そして、上記ロツク解除ハン
ドル１を矢印イ，ロで示すように反時計方向およ
び時計方向に回動した時には、ロツク解除レバー
１３も支軸２１に連結されて、支軸２１を中心に
反時計方向および時計方向に回動する。その結
果、レバー１３の左右両端部に連結されているス
ライドレリーズワイヤ２およびリクライニングレ
リーズワイヤ３は、それぞれレバー１３の回動方
向に従つて引つ張られて作動する。即ち、ロツク
解除ハンドル１を矢印イで示すように反時計方向
に回動して、ロツク解除レバー１３も同方向に回
動すると、スライドレリーズワイヤ２は矢印２３
で示すように引つ張られ、スライドレリーズワイ
ヤ２の他端に連結されているロツク部材５の上端
部を右方に引くように作動して、ロツク部材５と
係止プレート１８のロツク歯１８ａとの噛合を解
除する。すると、スライドアツパーレール４即ち
座部１はヘルプスプリング６の作用により前方に
スライドする。また、ロツク解除ハンドル１を矢
印ロで示すように時計方向に回動して、ロツク解
除レバー１３も同方向に回動すると、リクライニ
ングレリーズワイヤ３は矢印２４で示すように引
つ張られ、リクライニングレリーズワイヤ３の他
端に取り付けられているリクライニング作動レバ
ー９の左端部を引つ張り、リクライニング作動レ
バー９を時計方向に回動させようとする。しかし
ながら、第１図の状態では、係合プレート７によ
つてその作動が阻止されているため、回動しない
も、第３図ｂに示すように、係合プレート７によ
る係合がはずれた場合には、時計方向に回動し、
リクライニング作動レバー９の右端部に取り付け
られているリクライニング作動ワイヤ１０を矢印
２５の方に引つ張り、ベースプレート１６内に設
けられているリクライニング機構を作動する。

上記リクライニング機構は、第２図に示すよう
に、ベースプレート１６の中央部に設けられた回
動軸２６にアーム１７の下端部寄りが回動自在に
取り付けられている。アーム１７の下端部には、
ロツク歯１７ａが形成され、このロツク歯１７ａ
にリクライニング用係止プレート２７の係止歯２
７ａが噛合している。このリクライニング用係止
プレート２７は、その右端部がベースプレート１
６上に固植されたピン２８に回動自在に支持され
ている。また、上記回動軸２６には、リクライニ
ングレリーズ部材２９が回動自在に設けられてい
る。このリクライニングレリーズ部材２９の前端
部には、リクライニング操作レバー１１が設けら
れ、後端部には、リクライニング作動ワイヤ１０
が取り付けられている。そして、リクライニング
レリーズ部材２９の中程左寄り下端部には、下方
に延出した係合部２９ａが形成され、この係合部
２９ａの下端部に係合ピン３０が固植されてい
る。この係合ピン３０は、第２図に示す状態にお
いては、リクライニング用係止プレート２７の前
端部下側に係合し、係止プレート２７がばね３１
の作用により下方に移動してその係止歯２７ａが
アーム１７のロツク歯１７ａとの噛合からはずれ
ないようにしている。また、リクライニング操作
レバー１１を矢印３２で示すように上方に持ち上
げると、リクライニングレリーズ部材２９は、ば
ね３３の作用に抗して回動軸２６を中心に時計方
向に回動する。その結果、係合部２９ａの先端に
設けられた係合ピン３０は、リクライニング用係
止プレート２７との係合から外れ、リクライニン
グ用係止プレート２７はばね３１の作用により下
方に移動し、係止歯２７ａとロツク歯１７ａとの
噛合は外れる。また、リクライニング作動ワイヤ
１０を矢印３４で示すように前方に引つ張つた場
合もリクライニングレリーズ部材２９は時計方向
に回動し、係合ピン３０の係合が外れ、係止歯２
７ａとロツク歯１７ａとの噛合は外れ、アーム１
７は回動自在になり、背もたれ部１５は所望の位
置に傾斜できる。

第１図に戻つて、座部１４の前方には、スライ
ド操作レバー３４が配設され、このレバー３４の
折曲して後方に延出した後端部は、ロツク部材５
の中程に連結されている。そして、このスライド
操作レバー３４を矢印３５で示すように上方に操
作した場合には、ロツク部材５が作動し、ロツク
部材５と係止プレート１８のロツク歯１８ａとの
噛合が解除され、座部１４はスライド可能とな
る。

以上のように、本考案のシート調節装置は構成
されている。次にその作用を説明する。

まず、第１図において、ロツク解除ハンドル１
を矢印イで示すように反時計方向に回動すると、
スライドレリーズワイヤ２が矢印２３で示す方向
に引つ張られ、これによりロツク部材５を作動
し、ロツク部材５と係止プレート１８のロツク歯
１８ａとの噛合は外れる。その結果、スライドア
ツパーレール４，４′は、ヘルプスプリング６の
作用によりスライドロアレール１２，１２′上を
スライドして最前部まで移動し、座部１４も最前
部まで移動する。また、上述したように、ロツク
部材５とロツクプレート１８のロツク歯との係合
が外れた場合に、ヘルプスプリング６の作用に抗
して座部１４を後方に押動すれば、座部１４は後
方にスライド移動することができる。そして、前
方又は後方の所望の位置まで座部１４をスライド
移動した所で、ロツク解除レバー１３を元に戻せ
ば、その位置でロツク部材５は係止プレート１８
のロツク歯１８ａに噛合し、座部１４はその位置
にロツクされる。

以上のように、座部１４をスライドした場合に
おいて、座部１４が最前部までくると、係合プレ
ート７は、第３図ｂに示すように、ストツパー８
に当接し、リクライニング作動レバー９の作動を
阻止していた係合は外れる。その結果、この位置
において、ロツク解除ハンドル１を矢印ロで示す
ように時計方向に回動すると、リクライニングレ
リーズワイヤ３は矢印２４で示す方向に引つ張ら
れ、これによつてリクライニング作動レバー９
は、回動自在に支持された中央部を中心に時計方
向に回動し、リクライニング作動ワイヤ１０を矢
印２５で示す方向に引つ張り、リクライニング機
構を作動する。リクライニング機構は、第２図に
示すように、リクライニング作動ワイヤ１０が矢
印３４で示す方向に引つ張られることによりリク
ライニングレリーズ部材２９は回動軸２６を時計
方向に回動し、係合ピン３０によるリクライニン
グ用ロツクプレート２７との係合は外れ、リクラ
イニング用ロツクプレート２７は、ばね３１の作
用により下方に移動し、係止歯２７ａとロツク歯
１７ａとの係合は外れる。その結果、アーム１
７，１７′は回動自在になり、任意の傾斜位置に
リクライニング動作することができるのである。

以上説明したように、本考案によれば、１つの
操作レバーであるロツク解除レバーを設け、この
レバーを一方の方向又は他方の方向に操作するこ
とによりスライド機構又はリクライニング機構を
作動させてスライド動作又はリクライニング動作
を可能としているので、操作し易い上、部品点数
が少なく、経済的で軽量になるという効果があ
る。

更に、リクライニング操作は、座部が最前端に
スライドした場合のみ可能となつているので、他
人などの誤操作によりリクライニング機構が作動
しても背もたれ部が後方に倒れるような危険も少
なくなつている。また、上記実施例においては、
ロツク解除レバーを一方向に作動して、座部を最
前部にスライドさせた後、他方向に作動して、リ
クライニング機構を作動させれば、背もたれ部を
完全に水平にすることができ、座部と合せてフル
フラツトの状態にすることができる。

上記実施例においては、スライドアツパーレー
ル４とスライドロアレール１２との間にヘルプス
プリング６が設けられ、これによつてスライド機
構を作動した時には座部が最前部にスライドする
ようになり、ここにおいて、リクライニング機構
が作動するようになつているが、上記ヘルプスプ
リング６や係合プレート７を取り除くことにより
スライド機構の付勢を取り除いたり、リクライニ
ング動作を任意の位置で行うことができるように
してもよい。

また、上記実施例においては、ロツク解除レバ
ー１は、背もたれ部の側面に設けた場合について
説明したが、座部の側面やその他操作しやすい適
当な所に設けてもよいこと勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示すシート調節
装置の斜視図、第２図は、第１図のシート調節装
置の部分拡大側面図、第３図ａ，ｂは、それぞれ
第１図のシート調節装置の部分の作動態様を示す
拡大断面図である。 １……ロツク解除ハンドル、２……スライドレ
リーズ、ワイヤ、３……リクライニングレリーズ
ワイヤ、４……スライドアツパーレール、５……
ロツク部材、６……ヘルプスプリング、７……係
合プレート、８……ストツパー、９……リクライ
ニング作動レバー、１０……リクライニング作動
ワイヤ、１１……リクライニング操作レバー、１
２……スライドロアレール、１３……ロツク解除
レバー、１４……座部、１５……背もたれ部、１
６，１６′……ベースプレート、１７……アーム、
１８……係止プレート、２７……リクライニング
用係止プレート、３４……スライド操作レバー、
１７ａ……ロツク歯、１８ａ……ロツク歯、２９
……リクライニングレリーズ部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 座席全体を前後方向にスライドさせるスライ
   ド機構と、座席の背もたれ部１５に固定された
   アーム１７のロツク歯１７ａにリクライニング
   用係止プレート２７を選択的に噛合させるリク
   ライニング機構とを備えたシート調節装置にお
   いて、 上記スライド機構の係止プレート１８の多数
   のロツク歯１８ａに選択的に噛合するロツク部
   材５に一端が連結され引つ張ると噛合を解除す
   るスライドレリーズワイヤ２と、 上記リクライニング機構の係止プレート２７
   を作動させ噛合及びその解除を行うリクライニ
   ングレリーズ部材２９に一端がリクライニング
   作動ワイヤ１０により連絡されたリクライニン
   グ作動レバー９と、 上記リクライニング作動レバー９に一端が連
   結されたリクライニングレリーズワイヤ３と、 上記スライドレリーズワイヤ２の他端が一端
   に接続され、上記リクライニングレリーズワイ
   ヤ３の他端が他端に接続されていて、一方向に
   作動した場合にはスライドレリーズワイヤ２が
   引つ張られて上記ロツク部材５による噛合を解
   除して座席のスライドを可能とし、他方向に作
   動した場合にはリクライニングレリーズワイヤ
   ３が引つ張られて上記リクライニング作動レバ
   ー９が作動してリクライニングレリーズ部材２
   ９を回動させ、これによつてリクライニング機
   構を作動して座席のリクライニング動作を可能
   とするロツク解除レバー１３と、 を有するシート調節装置。 ２ 上記リクライニング作動レバー９は、座席が
   スライドにより最前部にある時以外は係合プレ
   ート７によつて係止されて作動が規制され、座
   席が最前部にある時には係合プレート７がスト
   ツパー８に当接して係合プレート７による係止
   が解除されて作動可能となることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のシート調
   節装置。