JPH037373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は両面粘着式綴りシートに係り、特に表
面および裏面の接着部がシート素材の一部に形成
されている両面粘着式綴りシートに関する。

〔従来の技術〕 従来から、テープ素材の両面全域に感圧性接着
剤を塗布するとともに、テープ素材表面の接着部
に両面剥離処理テープを被着し、これをロール状
に巻設した両面粘着テープは一般に知られてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところがこの種の両面粘着テープは、使用時に
は不要となる剥離処理テープを必要とするため、
使用時に多量のゴミが発生して好ましくなく、し
かもこの剥離処理テープは、その両面に剥離処理
を施す必要があるため極めてコスト高となるとい
う問題がある。

またこの種の両面粘着テープは、必要長さ分ず
つカツタ等を用いてカツトする必要があるが、同
一長さのものを多数必要とする場合には、カツト
作業が用意でないとともに、正確な寸法にカツト
することが容易でないという問題がある。

またカツトしたテープを必要箇所に貼着する際
に、テープの両面全域に感圧性接着剤が塗布され
ているため、感圧性接着剤が手に付着して違和感
があるという問題もある。

本考案はかかる現況に鑑みなされたもので、使
用時に不要となる剥離紙を省略してコストの低減
を図ることができるとともに、使用時にシートを
カツトする必要がなく、また使用時に感圧性接着
剤が手に付着するおそれが少ない両面粘着式綴り
シートを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

前記本考案の目的は、所定のカツト形状を有す
るプラスチツクフイルムからなるシートの表面に
対して、その一部に感圧性接着剤をシート周縁の
少なくとも一部を除くように塗布して表面接着部
を形成するとともに、表面接着部以外の部分の少
なくとも一部に表面剥離部を形成し、かつこのシ
ートの裏面に、前記表面剥離部に対応する部位に
感圧性接着剤をシート周縁の少なくとも一部を除
くように塗布して裏面接着部を形成し、前記表面
接着部に対応する部位に裏面剥離部を形成し、か
つ前記表面接着部による粘着力と前記裏面接着部
による粘着力とを相互に異ならせて両面粘着シー
トを構成し、この両面粘着シートを、表裏面の剥
離部と接着部とを対応させて複数枚積層したこと
を特徴とする両面粘着式綴りシートによつて達成
される。

〔作用〕

本考案に係る両面粘着式綴りシートは、複数枚
積層された各両面粘着シートが所定形状に予めカ
ツトされているので、使用に際してカツトする必
要がなく作業が容易であるとともに、必ず定寸法
形状のものが得られ、また各両面粘着シートは、
表裏面の剥離部と接着部とを対応されて積層され
ているので、上下の両面粘着シートの間に両面剥
離紙を配する必要がなく、その分のコストを下げ
ることができる。

また、表面接着部および裏面接着部はシート素
材の一部に形成されているので、使用時に感圧性
接着剤が手に付着するおそれが少ない。

さらに、表面接着部と裏面接着部との間には粘
着力に差を設けてあり、かつシート一素材がプラ
スチツクフイルムからなるため、両面粘着シート
の一般的な使用態様である二つの被着体相互の接
着に際して実用上極めて有用な効果が得られる。

すなわち、壁面や台紙等にポスタやメモ用紙等
を粘着する際に粘着シートをその粘着力の大きな
裏面でまず壁面に貼着し、次いでその粘着力の小
さな表面上にポスタ等を貼着させることにより、
後でポスタ等を貼り替える作業が容易になり、か
つ壁面に傷や汚れを生じるようなことがない。こ
の壁面等の保護効果はシートを透明な材料で形成
した場合に特に顕著である。またシートをポリエ
チレンフイルム等の易剥離性の表面を有する材料
で形成すれば剥離部を形成する処のシリコン等に
よる剥離処理自体を省略することもできる。

（実施例） 以下本考案を第１図ないし第４図を参照して説
明する。第１図ないし第３図は夫々本考案の基本
的な態様および機能等を示す説明図であり、第４
図ａ，ｂは夫々本考案の一実施例におけるシート
の表裏面を示す説明図である。

第１図および第２図において１は両面粘着式の
綴りシートであり、この綴りシート１は、裏蓋２
ａと上蓋２ｂとを連結部２ｃを介して連結して形
成されるカバー２と、このカバー２の裏蓋２ａ上
に積層された複数枚の両面粘着シート３とから構
成されている。

前記カバー２は、例えば長方形状をなす厚紙の
中央部に湾曲加工を施して連結部２ｃとするとと
もに、その両端部分を裏蓋２ａおよび上蓋２ｂと
して形成されており、前記両蓋２ａ，２ｂの両面
には、シリコン等が塗布されて剥離部４ａ，４ｂ
がそれぞれ設けられている。

また、前記各両面粘着シート３は、第１図およ
び第３図ａ，ｂに示すように例えば強靭な軟質紙
を方形に裁断して形成されており、その表面に
は、第３図ａに示すように感圧性接着剤を塗布し
て形成される帯状の表面接着部５とシリコン等を
塗布して形成される帯状の表面剥離部６とがその
間に狭幅の間隔７を有して図中上下方向に交互に
複数条ずつ配されている。そして、両面粘着シー
ト３表面の第３図ａにおける下端縁には、第１図
および第３図ａに示すように表面接着部５も表面
剥離部６も配されていない未処理の掴み部８が設
けられている。

一方、各両面粘着シート３の裏面には、第３図
ｂに示すように前記表面接着部５と同一の粘着力
を有する感圧性接着剤を塗布して形成される帯状
の裏面接着部９とシリコン等を塗布して形成され
る帯状の裏面剥離部とが、その間に狭幅の間隔１
１を有して図中上下方向に交互に複数条ずつ配さ
れており、裏面接着部９は表面剥離部６と、また
裏面剥離部１０は表面接着部５とそれぞれ対応し
た位置に設けられ、かつ裏面接着部９は表面剥離
部６よりもやゝ幅狭に、また裏面剥離部１０は表
面接着部５よりもやゝ幅広にそれぞれ形成されて
いる。また両面粘着シート３裏面の第３図ｂにお
ける下端縁には、第１図および第３図ｂに示すよ
うに裏面接着部９も裏面剥離部１０も配されてい
ない未処理の掴み部１２が前記掴み部８に対応し
てい設けられている。また前記両接着部５，９は
同一面積に設定されている。

このように構成された各両面粘着シート３は、
上側の両面粘着シート３の裏面接着部９を下側の
両面粘着シート３の上面剥離部６に、また上側の
両面粘着シート３の裏面剥離部１０を下側の両面
粘着シート３の上面接着部５にそれぞれ対応させ
た状態で積層され、その間の被着力により一体の
積層体１３が構成されるようになつている。また
この積層体１３を、前記カバー２の両蓋２ａ，２
ｂ間に配することにより、最下端に位置する両面
粘着シート３の裏面接着部９によつて積層体１３
と裏蓋２ａとが一体化されるとともに、最上端に
位置する両面粘着シート３の表面接着部５によつ
て積層体１３と上蓋２ｂとが一体化されるように
なつている。

次に作用について説明する。

綴りシート１の製造に際しては、まずやゝ厚手
の長方形状をなす紙の長手方向中央部に押圧加工
を施し、連結部２ｃを介しその両側に裏蓋２ａお
よび２ｂを一体に有するカバー２を製作する。そ
して各蓋２ａ，２ｂの内面にシリコン等を塗布し
て剥離部４ａ，４ｂをそれぞれ形成する。なおこ
の剥離部４ａ，４ｂは、紙素材を長方形状にカツ
トする前あるいは長方形状の紙に押圧加工を施す
前に形成するようにしてもよく、また別体の剥離
紙を各蓋２ａ，２ｂの内面に貼着することにより
形成してもよい。

次いで、所要枚の両面粘着シート３を積層し接
着部５，９と剥離部６，１０との間の貼着力によ
り一体に結束して積層体１３を形成し、これを前
記カバー２の裏蓋２ａ上に貼着固定するととも
に、上蓋２ｂを裏蓋２ａ側に閉じて第２図に示す
綴りシート１とする。

この際、両面粘着シート３の剥離部６，１０は
接着部５，９と対応しており、しかも剥離部６，
１０は接着部５，９よりも幅広に形成されている
ので、各両面粘着シート３を積層する際に多少の
位置ずれが生じても、接着部５，９が剥離部６，
１０からはみ出すことがない。

このように製造された綴りシート１は、例えば
絵画を壁面に貼着する際に使用する場合には、ま
ず上蓋２ｂを開き、掴み部８，１２を掴んで最上
端の両面粘着シート３を剥離し、これを絵画の裏
面に貼着する。この際、両面粘着シート３の表面
側を絵画に貼着する場合でも両面粘着シート３の
裏面側を絵画に貼着する場合でも、剥離部６，１
０の部分を押圧すればその背面側には接着部５，
９が対応しているので充分な貼着力が得られる。
このため、剥離紙が両面粘着シート３の片面に被
着されていなくても、使用時に特に支障となるこ
とはない。

このようにして両面粘着シート３を絵画の裏面
に貼着したならば、両面粘着シート３を介して絵
画を壁面に貼着する。

しかして、両面粘着シート３の接着部５，９と
剥離部６，１０とを対応させることにより、上下
の両面シート３の間に剥離紙を介装することなく
積層することができるとともに、剥離紙がなくて
も使用時に支障となることがない。また、表面接
着部５と裏面接着部９とは、同一の粘着力を有す
る感圧性接着剤を用いて同一面積に形成されてい
るので、従来の両面粘着シートと同様に使用でき
る。

また両面粘着シート３は予め所定形状にカツト
されているので、従来の両面粘着シートと異なり
使用時にカツタ等を用いてカツトする必要がな
く、また常に一定寸法のシートが得られる。

前記のような基本的形態に基く本考案の実施例
では前記両面粘着シートの両接着部の５，９によ
る粘着力をシート表裏面間で異ならせ、たとえば
表面接着部５よりも裏面粘着部９の粘着力を大き
くしてある。

このような粘着力の差はたとえば感圧性接着剤
自体の粘着力を表裏の接着部間で異ならせるか又
は同一の粘着力を有する感圧性接着剤の塗布面積
を表裏面間で異ならせることによつて得られる。

第４図ａ，ｂは本考案の一実施例を示すもの
で、表面側と裏面側との接着部の面積が相互に異
なる両面粘着シート２３を用い、両接着部を同一
の粘着力を有する感圧性接着剤を塗布して形成し
ても、表面全体としての粘着力と裏面全体として
に粘着力との間に差ができるようにしたものであ
る。

すなわち、この両面粘着シート２３の表面に
は、第４図ａに示すように感圧性接着剤を塗布し
て形成される例えば円形の表面接着部２５が複数
個配置されており、この表面接着部２５および下
端縁の掴み部８を除く残余の部分には、シリコン
等を塗布して形成される表面剥離剤２６が配され
ている。

また、両面粘着シート２３の裏面には、第４図
ｂに示すようにシリコン等を塗布して形成される
裏面剥離部３０が前記表面接着部２５に対応する
部位に配置されており、この裏面剥離部３０は、
表面接着部２５よりもやゝ大径の円形状に形成さ
れ、積層時の多少の位置ずれを許容できるように
なつている。また両面粘着シート２３裏面の裏面
剥離部３０および下端の掴み部１２を除く残余の
部分には、第４図ｂに示すように前記表面接着部
２５と同一粘着力の感圧性接着剤を塗布して形成
される裏面接着部２９が配されている。

その他の点については、前記第１図ないし第３
図に示したものと全く同一構成である。

しかして、表面接着部２５に対する裏面剥離部
３０と掴み部１２とを除く残余の部分に裏面接着
部９を形成しているので、同一の粘着力を有する
感圧性接着剤を塗布しても、表面全体としての粘
着力と裏面全体としての粘着力との間に差を設け
ることができる。

なお、本実施例では両面粘着シート２３の素材
として種々のプラスチツクフイルムが用いられ
る。特に透明プラスチツクフイルムを用いて両面
粘着シート３を形成した場合には、剥離部６，１
０，２６，３０に塗布されるシリコンにより多少
透明度は低下するが、背面側の文字を確認する程
度の透明度は得られる。このため、このシートを
用いて例えば名刺を透明台紙上に貼着する等の場
合に、透明台紙の背面側から名刺裏面の記入内容
を確認でき便利である。そして、ポリエチレンフ
イルム等の易剥離性の表面を有するプラスチツク
フイルムを両面粘着シート３，２３の素材として
用いる際には、剥離部６，１０，２６，３０に必
ずしもシリコンを塗布する必要はなくフイルム面
のままでもよい。このためこの場合には、より良
好な透明度が得られる。ただし、接着部５，９，
２５，２９が形成される部分に粗面加工を施した
コロナ放電加工を施し、感圧性接着剤の固着力を
剥離部６，１０，２６，３０よりも高めておく必
要がある。コロナ放電加工を施す場合には、加工
前と透明度は全く変わらず、また粗面加工を施す
場合には、凹凸内に感圧性接着剤が充填されて平
担面となるので、シリコンを塗布するよりは良好
な透明度が得られる。

また前記実施例では、両面粘着シート３，２３
の下端縁にのみ掴み部８，１２を設けるものにつ
いて説明したが、周縁全域に設けるようにしても
よく、また必要に応じて掴み部８，１２を省略す
るようにしてもよい。

また、前記両実施例では、積層体１３からの結
束力を接着部５，９，２５，２９と剥離部６，１
０，２６，３０との間の貼着力で得られるものに
ついて説明したが、天糊で結束するようにしても
よい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、所定のカツト形
状を有するシート素材の表面に、その一部に感圧
性接着剤を塗布して表面接着部を形成するととも
に、表面接着部以外の部分の少なくとも一部に表
面剥離部を形成し、かつこのシート素材の裏面
に、前記表面剥離部に対応する部位に感圧性接着
剤を塗布して裏面接着部を形成するとともに、前
記表面接着部に対応する部位に裏面接着部を形成
して両面粘着シートを構成し、この両面粘着シー
トを、表裏面の剥離部と接着部とを対応させて複
数枚積層するようにしているので、従来の両面粘
着テープのように使用の都度カツトする必要がな
く作業が容易であるとともに、必ず定寸形状のも
のが得られる。

また積層された各両面粘着シートは、表裏面の
剥離部と接着部とが対応しているので、上下の両
面粘着シート間に剥離紙を配する必要がなく、そ
の分コストを下げることができる。そして例えば
表面剥離部の部分を押圧すれば、その背面側には
裏面接着部が位置しているので容易に両面粘着シ
ートを貼着面に貼着することができ、剥離紙がな
くても使用時に不具合が生じることもない。

また、表裏面の接着部はシート素材の一部に形
成されているので、使用時に感圧性接着剤が手に
付着するおそれが少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の基本的な形態を示す綴りシー
トの斜視図、第２図はカバーを閉じた状態を示す
綴りシートの側面図、第３図ａは両面粘着シート
の表面の構成を示す詳細図、同図ｂは同様の裏面
の構成を示す詳細図、第４図ａは本考案の一実施
例を示す第３図ａ相当図、同図ｂは同様の第３図
ｂ相当図である。 １……綴りシート、３，２３……両面粘着シー
ト、５，２５……表面接着部、６，２６……表面
剥離部、８，１２……掴み部、９，２９……裏面
接着部、１０，３０……裏面剥離部、１３……積
層体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前記本考案の目的は、所定のカツト形状を有す
   るプラスチツクフイルムからなるシートの表面に
   対して、その一部に感圧性接着剤をシート周縁の
   少なくとも一部を除くように塗布して表面接着部
   を形成するとともに、表面接着部以外の部分の少
   なくとも一部に表面剥離部を形成し、かつこのシ
   ートの裏面に、前記表面剥離部に対応する部位に
   感圧性接着剤をシート周縁の少なくとも一部を除
   くように塗布して裏面接着部を形成し、前記表面
   接着部に対応する部位に裏面剥離部を形成し、か
   つ前記表面接着部による粘着力と前記裏面接着部
   による粘着力とを相互に異ならせて両面粘着シー
   トを構成し、この両面粘着シートを、表裏面の剥
   離部と接着部とを対応させて複数枚積層したこと
   を特徴とする両面粘着式綴りシート。