JPH0356687Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両における歯車変速機の遠隔操作機
構に関するものである。

［従来の技術］ 運転室が歯車変速機から離れたところに配置さ
れている場合、変速レバーの操作を遠隔操作ケー
ブルを介して歯車変速機に伝達するようにしたケ
ーブル式歯車変速機の遠隔操作機構としては、例
えば実開昭59−32522号公報に開示されているも
のがある。この従来技術では、アウタチユーブと
これに挿通されるインナケーブルとからなる遠隔
操作ケーブルのアウタチユーブを案内として、変
速レバーのセレクト操作をインナケーブルの回転
運動として、また変速レバーのシフト操作をイン
ナケーブルの軸方向運動としてそれぞれ歯車変速
機へ伝達するようになつている。このように、イ
ンナケーブルの回動と押し引きにより歯車変速機
の変速機構を操作するものにあつては、インナケ
ーブルが長いとその途中で捩れが生じ、変速レバ
ーのセレクト操作が歯車変速機へ完全に伝達され
ないきらいがある。また、変速レバーのシフト操
作に際してインナケーブルと変速レバーとの結合
部が僅かに上下方向の移動するから、このインナ
ケーブルがアウタチユーブから突出する部分にお
いて僅かながら湾曲され、この部分での摺動に円
滑さを欠き、インナケーブルが撓んだりあるいは
長期使用の内にインナケーブルが摩耗するなどの
不具合が生じる恐れがある。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、捩り剛性の
強いアウタチユーブを用いて変速レバーのセレク
ト操作による回転運動とシフト操作による軸方向
運動とがインナケーブルを案内として達せられ、
インナケーブルがアウタチユーブから突出する部
分で湾曲することなく、アウタチユーブがインナ
ケーブルの軸方向に円滑に案内される歯車変速機
の遠隔操作機構を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はブ
ラケツトにアウタチユーブの口金を摺動かつ回動
可能に支持するとともに、変速レバーを傾動可能
に支持し、アウタチユーブに挿通したインナケー
ブルの端部を変速レバーの傾動中心へ向けて延長
してブラケツトに固定し、変速レバーと前記口金
とを連結部材により連結したものである。

［作用］ ブラケツト１，２１の一端壁にインナケーブル
１０，３０を挿通するアウタチユーブ１４，３４
の口金１３，３３が摺動かつ回動可能に支持され
るとともに、他端壁に変速レバー５，２５が球面
軸受Ｂにより左右・前後へ傾動可能に支持され
る。アウタチユーブの口金１３，３３と変速レバ
ー５，２５とは連結部材としての腕１６またはリ
ンク３６により連結される。

したがつて、変速レバー５，２５の左右の傾動
（セレクト操作）によりアウタチユーブ１４，３
４を結合する口金１３，３３がインナケーブル１
０，３０を案内として回動されるとともに、変速
レバー５，２５の前後の傾動（シフト操作）によ
り連結部材１６，３６を介してアウタチユーブ１
４，３４を結合する口金１３，３３が軸方向へ押
し引きされ、歯車変速機の変速機構が操作され
る。

［考案の実施例］ 本考案を実施例に基づいて説明する。第１図に
示すように、車体詳しくは運転室のフロアパネル
に固定されるブラケツト１はその一端壁２に軸受
１２を備えるとともに、他端壁にハウジング３を
備えている。このハウジング３に円筒部２０に変
速レバー５の下端球部６を挟持する２分割体から
なる球面ブツシユ４を嵌合し、かつ抜けないよう
に止め輪１９により係止して球面軸受Ｂが構成さ
れる。

一方、端壁２の軸受１２にはアウタチユーブ１
４を結合する口金１３が回動可能かつ軸方向摺動
自在に支持される。口金１４にはスリーブ２２を
介してインナケーブル１０を結合するロツド９が
挿通される。ロツド９はインナケーブル１０の延
長部を構成し、球面軸受Ｂの中心に向けて延び、
端部をナツト１１によりハウジング３の端部８に
固定される。インナケーブル１０にはアウタチユ
ーブ１４との円滑な摺動を得るための被覆１０ａ
が施される。インナケーブル１０のロツド９は球
面軸受Ｂの中心と軸受１２の中心を結ぶ線上に位
置するように配される。

連結部材としての腕１６が一端部を口金１３の
外嵌されかつナツト１５により固定される。腕１
６の他端部には上下方向の軸穴１７を有する球面
軸受Ａは形成される。すなわち、軸穴１７に変速
レバー５の中間部に設けた球部７を挟持する分割
体からなる球面ブツシユ１８が摺動可能に嵌合さ
れる。

次に、本考案による歯車変速機の遠隔操作機構
の作動について説明する。変速レバー５を下端球
部６を中心として側方（第１図の紙面と直角な方
向）へ傾動すると、腕１６が口金１３とともに変
速レバー５と周方向へ同角度回動し、この回動は
アウタチユーブ１４を介して図示してない歯車変
速機の変速機構へ伝達され、セレクト操作が達せ
られる。

変速レバー５を下端球部６を中心として前後
（第１図において左右）に傾動すると、口金１３
に固定された腕１６がその姿勢を変えることな
く、軸受１２に沿つて軸方向へ移動する。この軸
方向移動はアウタチユーブ１４を介して歯車変速
機の変速機構へ伝達され、シフト操作が達せられ
る。この時、変速レバー５の球部７を挟持する球
面ブツシユ１８はその傾度に応じて軸穴１７に沿
つて摺動する。したがつて、変速レバー５か左右
何れの方へ傾動した状態でも変速レバー５による
腕１６の平行移動が無理なく達せられる。

第２図に示す第２実施例では、変速レバー２５
をこの中間に設けた球部２６を球面軸受Ｂに支持
し、下方へ突出する腕２５ａの二股部２７と、ア
ウタチユーブ３４の口金３３から突出する腕３３
ａとを、ピン３７，３８を介してリンク３６によ
り連結したものである。

連結部材としてのリンク３６が第１実施例にお
ける腕１６に相当する。変速レバー２５と口金３
３の腕３３ａとをリンク３６により連結したほか
は、第１実施例と実質上差異がなく、その作用も
ほぼ同様であるので、ここでは各部の符号を第１
実施例の対応部分の符号に２０を加えたものと
し、その詳細な説明は省略する。

この実施例では、変速レバー２５の腕２５ａと
口金３３の腕３３ａとをターンバツクルを有する
リンク３６により連結したから、その組立時にお
ける調整を容易に行うことができる。腕３３ａお
よび腕２５ａはブラケツト２１の穴２１ｂおよび
２１ａを貫通してブラケツト２１の下側へ延び、
リンク３６により連結されるので、操作機構の全
高が低くなる。

第３図に示す実施例では、回動と押し引き運動
を伝達するアウタチユーブ１４が被覆チユーブ４
４に挿通案内され、この被覆チユーブ４４の端部
が固定部材４５をもつてブラケツト２の端壁に固
定される。すなわち、円筒形の固定部材４５はブ
ラケツト２に貫通され、かつ１対のナツト４６と
ロツクナツト４７を締め付けて固定される。そし
て、固定部材４５の穴４８に第１図に示した口金
１３が摺動かつ回動可能に支持されるとともに、
この口金１３にアウタチユーブ１４の端部が結合
される。インナケーブル１０は第１図の実施例と
同様に口金１３にスリーブをもつて支持したロツ
ドに結合される。他の構成については第１図に示
すものと同様であり、また第２図と同様に構成し
てもよい。

変速レバーのセレクト操作に伴う口金１３の回
動とシフト操作に伴う口金１３の押し引きは、ア
ウタチユーブ１４を経て歯車変速機へ伝達され
る。アウタチユーブ１４は被覆チユーブ４４に挿
通支持されているので、遠隔操作ケーブルの配索
には何ら支障がなく，変速操作に伴つてアウタチ
ユーブ１４の姿勢が変化し、フロアパネルなどと
部分的に接してもアウタチユーブ１４の損耗を防
止することができる。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、ブラケツトにアウタチ
ユーブの口金を摺動かつ回動可能に支持するとと
もに、変速レバーを傾動可能に支持し、アウタチ
ユーブに挿通したインナケーブルの端部を変速レ
バーの傾動中心へ向けて延長してブラケツトに固
定し、変速レバーと前記口金とを連結部材により
連結したから、変速レバーを側方へ傾動した状態
で、アウタチユーブの口金の回動（セレクト）と
押し引き（シフト）とを、インナケーブルを結合
するロツドを案内として無理なく行うことがで
き、軽快な変速操作が得られる。

変速レバーの下端球部をブラケツトの球面軸受
に支持し、その中間球部を球面軸受を介してアウ
タチユーブの口金に固定した腕の端部の軸穴に摺
動可能に支持すれば、変速レバーの前後の傾動に
基づく中間球部の上下変位が軸穴で吸収され、無
理なくシフト操作を行うことができる。

また、変速レバーの下端から突出する腕と口金
の腕とをリンクにより連結すれば、変速レバーの
傾動に基づくリンクとの連結部の上下変位が自ら
吸収され、無理のない変速操作を行うことができ
るだけでなく、全高が低くなり、組立時の調整が
容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係る歯車変速機
の遠隔操作機構の側面断面図、第２図は本考案の
第２実施例に係る歯車変速機の遠隔操作機構の側
面断面図、第３図は本考案の部分的変更実施例に
係る遠隔操作機構の要部を示す側面断面図であ
る。 Ａ，Ｂ……球面軸受、１，２１……ブラケツ
ト、４，２４……軸受、５，２５……変速レバ
ー、１０，３０……インナケーブル、１３，３３
……口金、１４，３４……アウタチユーブ、１６
……連結部材としての腕、３６……連結部材とし
てのリンク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ブラケツトにアウタチユーブの口金を摺動か
   つ回動可能に支持するとともに、変速レバーを
   傾動可能に支持し、アウタチユーブに挿通した
   インナケーブルの端部を変速レバーの傾動中心
   へ向けて延長してブラケツトに固定し、変速レ
   バーと前記口金とを連結部材により連結したこ
   とを特徴とする歯車変速機の遠隔操作機構。 (2) 変速レバーがこの下端球部を前記球面軸受に
   支持され、前記連結部材が前記口金に一端を固
   定され、かつ他端を球面軸受を介して変速レバ
   ーの中間部分に係合される、実用新案登録請求
   の範囲(1)に記載の歯車変速機の遠隔操作機構。 (3) 前記連結部材が前記口金に設けた腕と変速レ
   バーの球面軸受から突出する腕とを連結するリ
   ンクである、実用新案登録請求の範囲(1)に記載
   の歯車変速機の遠隔操作機構。