JPH0219804Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (A) 産業上の利用分野 本考案は感光材料ロール物の簡易カセツトに関
するもので、詳しくは感光材料引出口の遮光性を
よくすると共に、感光材料の安定した引出し強さ
を、有する感光材料の品質保持とカセツトの機能
性を高めた簡易カセツトに関するものである。

(B) 従来技術及び問題点 写真植字（以降「写植」という）用印画紙ロー
ル物のカセツトには、写植機に備え付けの金属性
カセツトとプラスチツク板紙、ダンボール等から
なる使い捨て簡易カセツトがある。

本考案は後者の簡易カセツトに関するものであ
る。簡易カセツトは低コストが宿命付けられてい
る事に起因して素材的にも自ずと限定され、外
圧、衝撃及び温湿度等の環境条件の変化への対応
性に乏しく、感光材料引出口の間隙の寸法安定性
は前者の金属性カセツトの比ではなく劣るもので
ある。従つて、カセツトの感光材料引出口の間隙
は感光材料の有無に拘らず、適当な弾性を有した
ゼロの状態を理想とするものの、環境条件の変化
により間隙の寸法がゼロ以上となつた場合、引出
口から光線が洩れ感光物としては到命的な光線カ
プリが生じると共に、写植機による操作時に感光
材料の蛇行及びリバース時の捲戻りが生じる。

従つて、この間隙はどうしても小さ目の設計と
なるのが普通で間隙が小さくなりすぎると極自然
の成行きとして、感光材料がスムーズに引出せな
い事になる。通常カセツトの感光材料引出口はベ
ツチン等の毛先の長い布地を貼付けて遮光性及び
通紙性を良くする様に、配慮されているものが殆
んどであるが、簡易カセツトにおいては、この微
妙な間隙を保持する事は、至難な事とされてい
る。

(C) 考案の目的 本考案は感光材料用簡易カセツトの感光材料引
出口からの光線カプリを防止することにあり、さ
らには感光材料の蛇行及びリバース時の捲戻りを
防止することを目的とするものである。

(D) 考案の構成 本考案の目的は六面体により構成される収容箔
の上面前端部と前面上端部を収容箱内部に折込ん
で収容箱の巾方向にスリツト状引出口を形成した
感光材料用簡易カセツトにおいて、紙製の収容箱
本体１０の前面上端部を該収容箱本体１０の内部
に下面部８がほぼ水平になるように三角形状に折
込んで内部壁に固着すると共に、上面前端部を該
収容箱本体１０の内部にＶ字状に折込み、上面内
部壁に固定することなくフリーの状態とし、折込
み上面部７を折込み下面部８に面接触あるいは線
接触の状態とし、両側面にキヤツプ型側面板４，
４′をはめ込み、カセツトを形成したスリツト状
引出口を有することを特徴とする感光材料用簡易
カセツトとすることにより達成される。

(E) 実施例 以下図面に基づいて本考案を詳細に説明する。
第１図は本考案に用いられる１カセツト例の構成
を示した一部解体斜視図、第２図は本考案のカセ
ツト例の引出口の側断面図、第３図は従来のカセ
ツト例の引出口の側断面図を示したものである。

カセツトは収容箱本体１０にキヤツプ型側面板
４と４′をはめ込むことにより形成されるが、予
めカセツト内に装填された、感光材料１が巻芯２
に巻付けられた感光材料ロール物３の該巻芯２に
側面板４及び４′の巻芯保持軸５及び５′（但し、
側面板４′の保持軸５′は図に表示されていない）
をかませることにより、感光材料ロール物３はカ
セツト内で宙吊り状態となり、カセツトの巾方向
に形成された引出口６から感光材料を引出せる構
造となつている。引出口６において、折込み上面
部７は収容箱本体の上面前端部が単にカセツト内
部に折込まれているのみで、元に戻ろうとする力
が働くため下方（矢印方向）に向つて適度の圧力
が働き、カセツトに多少の変形が生じても引出口
６の折込み下面部８と面接触あるいは線接触の状
態となるので、外からの光線もれを防止すること
ができる。引出口下面部８は収容箱本体の前面上
端部をカセツト内部に下面部８がほぼ水平になる
ように三角形状に折込み、動かないように前面内
部壁に固着されている。又引出口６を感光材料１
が、通過している場合には、この感光材料１に対
して引出口の上面部７が適度の圧力で押さえる状
態となるので、感光材料出引出時の蛇行を抑制す
ることができ、又感光材料１のリバース時におい
てはこの適度の押圧力で感光材料がカセツト内に
再び戻る巻戻り現象を防止することができる。

これに対して、第３図に示した従来のカセツト
例では引出口６を形成する上面部７′が収容箱本
体１０の上面内壁に固着されているために、例え
ばカセツト取扱い中に側面から圧力がかかつた
り、カセツトが高温、高湿下に置かれたりする
と、収容箱本体１０を構成している各面壁に、波
打ち、反り等の現象が起こつてカセツトが変形
し、引出口６の間隙が大きくなつて、光線もれが
生じたり、あるいは引出口を通過する感光材料に
対する押圧力が弱くなつて、引出時における感光
材料の蛇行や感光材料リバース時における巻戻り
が生ずる結果となる。

図面において９は、ベツチン等の緩衝布であ
り、引出口に緩衝布９を貼着することにより、光
線もれをより効果的に防止できると同時に感光材
料の通紙性が向上する。

本考案の簡易カセツトの素材は特に限定されな
いが、低コストを達成するために板紙、ダンボー
ル等の紙が通常使用される。これらの紙の中でも
できるだけ外圧、衝撃、温湿度等に対しても強い
ものが望ましいことはいうまでもない。又カセツ
ト壁の遮光性を向上させる上で黒色ポリエチレン
フイルム（ポリエチレンにカーボンブラツクの如
き黒色の着色剤を含有させたもの）をラミネート
加工した紙は簡易カセツト用素材として有用であ
る。コスト的に許されるならばアルミ箔の如き金
属箔をさらに積層したものはカセツトの強度とと
もにカセツト壁の遮光性を良くする上でより好ま
しい。

本考案の特徴は引出口を形成するためにカセツ
ト内部にＶ字状に折込んだ収容箱本体の上面前端
部をカセツト内上面に固着せずフリーの状態と
し、折曲げ部の元に戻ろうとする反発力を利用す
るところにあるが、この反発力は前述した収容箱
本体の素材によつて又、同一素材の場合には素材
の厚さによつて異なるので、適当な素材を選定す
ることによつて適度の反発力を選定することがで
きる。又素材の反発力が強すぎる場合には、前記
折曲げ部の内側あるいは外側に適度の切欠を折曲
げの巾方向に入れて、折曲げ部の厚さを調節する
ことにより調整するのがよい。

(F) 考案の効果 本考案によれば、簡易カセツトの取扱い時ある
いは運搬、輸送時における外圧、衝撃および温湿
度等の環境条件の変化により、カセツトが少々変
形しても、引出口は常に遮閉状態が保持され、引
出口からの光線もれを防止できるとともに、引出
口上部から下部にかけて適度な圧力が加わつてい
るため、写植機作動時の感光材料の蛇行及び捲戻
りを防止することができ、感光材料の品質保持と
カセツトの機能性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に用いられる１カセツト例の構
成を示した一部解体斜視図、第２図は本考案のカ
セツト例の引出口の側断面図、第３図は従来のカ
セツト例の引出口の側断面図を示す。 ４，４′……側面板、５……巻芯保持軸、６…
…感光材料引出口、１０……収容箱本体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紙製の収容箱本体１０の前面上端部を該収容箱
   本体１０の内部に下面部８がほぼ水平になるよう
   に三角形状に折込んで内部壁に固着すると共に、
   上面前端部を該収容箱本体１０の内部にＶ字状に
   折込むことにより、折込み上面部７を折込み下面
   部８に面接触あるいは線接触の状態としたスリツ
   ト状引出口を有することを特徴とする感光材料用
   簡易カセツト。