JPH0214175B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は平滑な表面を有しながら立体感と複雑
で美麗な模様を兼ね備えた装飾材の製造方法に関
する。

従来より装飾材に立体感を得るには化学的ある
いは機械的にエンボスを装飾材に発現させて、凹
凸模様を付与する方法があるが、このような表面
にエンボスを有する装飾材は長期間使用している
と、凹み部分に塵が溜まり見苦しい。

また模様材表面よりポリ塩化ビニル（PVC）
ペースト等の液状物を塗布して加熱ゲル化する方
法等が公知であるが、ペーストは通常経時ととも
に粘度が上昇し生産能率が低下する。このためペ
ーストゾルは通常一定期間内に使い切らねばなら
ない。このようにペーストゾルを使用する場合は
粘度管理が必要で、この粘度管理が工程管理を煩
わしており生産能率向上の障害であつた。

またペースト樹脂は吸湿による寸法変化が大き
く、ペースト樹脂層以外の部分との伸縮差が大と
なり反りが大きい。また通常PVCペーストをそ
のまま塗布すると得られた装飾材には気泡が入る
ので脱泡が必要である。

さらに他の液状樹脂、例えばポリエステル、ポ
リウレタン、エポキシ樹脂等の反応硬化型樹脂を
使用する場合は粘度調整に溶剤を必要とするので
成型した装飾板が反り、作業環境上も好ましくな
く、また高価で種々の装置を必要とするので、製
品価格も上昇し経済的でない。

本発明は上記問題点を解決した表面平滑でしか
も立体感を具備した製造方法に関し、３次元構造
のデザインである模様材上から、該模様材と融着
性のある熱可塑性樹脂透明性粉粒体を供給し、該
透明性粉粒体を少なくとも該模様材凹部に充填せ
しめた後加熱加圧して表面平滑な状態に成型する
ことを特徴とする立体感のある装飾材の製造方
法、をその要旨とする。

第１〜３図は本発明製造工程図であり、１はプ
レス台、２は基材、３は模様材である。基材２は
ポリオレフイン樹脂、PVC、ポリスチレン樹脂、
ユリア−ホルムアルデヒド樹脂等の軟質あるいは
硬質の任意の合成樹脂が使用できる。基材２は模
様材３と比較して濃く着色するのが好ましく、厚
さは0.1〜５mmが望ましい。

模様材３は３次元デザインを有するシートであ
り、例えば布やPVC・P.P.等で作成されたレー
ス地、あるいは適宜エンボス模様が形成された薄
シートでもよく厚さ0.2〜２mmが望ましい。模様
材３は公知の方法で得られたいかなる精緻な３次
元構造のデザインであつてもよい。なお模様材は
PVC樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニルコポリマー、ABS樹脂、SBR樹脂、NBR樹
脂、有機繊維または無機繊維材等が利用できる。

４は模様層３上に形成された着色層であり、着
色層は模様層表面に任意に着色すればよい。また
着色層には顔料とともに金粉、銀粉、他の金属
粉、パールエツセンス等を用いたインキを使用す
ることにより、更に装飾効果を向上させることが
できる。なお模様層の凹部底を着色すること（図
示せず）または模様層全体を均一着色することも
本発明において実施可能である。

さらに本発明模様材を得る方法として、発泡性
層に発泡抑制剤含有インキで印刷して加熱発泡す
る方法（ケミカルエンボス）、スクリーンにより
インキを重ね塗りして盛上らせる方法、発泡イン
キを適宜使用する方法、基材面に接着剤を塗布
し、その上にプラスチツク、鉱物質等の粒状物、
繊維状物を使用して３次元構造のデザインを形成
する方法、また３次元構造の編織物を基材にその
まま接着する方法も可能である。第２図において
１はプレス台、２は基材、３は模様材、４は着色
層、５は熱可塑性樹脂透明性粉粒体、６は透明フ
イルムである。

模様材３上から模様材３の凹部を少なくとも完
全に充填するように透明性熱可塑性樹脂粉粒体
（以下粉粒体と略す）５を供給する。粉粒体５は
PVCホモポリマーまたは塩化ビニルとエチレン、
酢酸ビニル、（メタ）アクリル酸およびこれらの
エステルとのコポリマーに可塑剤、安定剤を添加
した組成物またはアクリル系樹脂、熱可塑性ウレ
タン等の材料が使用可能で10〜42メツシユが好ま
しく、加熱することにより透明になる。

粉粒体は適宜材料を選択すれば模様材３との熱
融着性が得られる。

粉粒体５の供給方法としてはナイフコーテイン
グ、無地スクリーン、ロールコーテイング、振動
機による散布等の公知の方法により３次元デザイ
ンのすみずみまで粉粒体を充填できる。

なお、粉粒体５は加熱により透明になる範囲内
において適宜着色されてもよい。

粉粒体５は模様材凹部を完全に充填した程度で
もよいが、模様材全体を若干覆う程度供給されて
もよい。本発明において使用されている透明性粉
粒体は模様材の細部にまで充填される。

粉粒体５上に可撓性のある透明フイルム６を載
置する。フイルム６は装飾材表面の保護および耐
摩耗性を向上させる。

透明フイルムはPVC、アクリル樹脂、ポリオ
レフイン、ポリエステル、ポリウレタン等の軟質
樹脂で0.05〜0.3mmが望ましい。

なお透明フイルム６に替えてエポキシ樹脂、ポ
リウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、UV硬化性樹脂等の透明樹脂で被覆してもよ
い。

第３図において、前述の構成物はプレス台１−
プレス天板７間で130〜200℃で加熱加圧成型され
て本発明装飾材が得られる。

なお、加熱加圧の手段としては遠赤外線ヒー
タ、シユバンクヒーター、蒸気ヒーター、および
プレスロール、オーマー装置等を適宜組合せても
上記粉粒体を溶融して平滑な表面を得ることがで
きる。

本発明の製造方法により以下の効果が得られ
る。

得られた装飾材は優れた表面平滑性を示し塵
が溜まらず簡単な保守でいつまでも美観を保持
できる。

第５図に示されるように立体的デザインの模
様材３を透視できる。

透明性粉粒体が３次元的デザインを有する模
様材の模様の細部にまで充填されるので、完全
に模様材３と透明樹脂８が一体化し気泡が生じ
ることはない。

粉粒体を加熱加圧成型して得られた透明層８
は装飾材が反ることがなく、また加熱加圧成型
に際していささかも模様材３の形状を損うこと
なく保持できる。

基材を黒などの濃色とし、模様材を明色とす
ることにより模様材の立体感が一層著しくな
る。

着色層４にパールエツセンスを混入したイン
キを使用することにより螺鈿象眼風の装飾材が
得られる。

本発明において前記装飾材に発泡シート、非発
泡シート、ガラス繊維マツト、寒冷抄、アスベス
ト紙、パルプシート、木質板、鉱物繊維板等を裏
打材として積層することも可能である。本発明装
飾板として壁材、床材、室内装飾品、家庭電化機
器・容器、ブツクカバー、その他各種装飾材に用
途が得られる。

実施例 １ 下記配合組成物をスーパーミキサーでかくはん
混合し、組成物温度が88℃になつた時、上記組成
物を常温で冷却後32メツシユのPVC透明性粉粒
体Ａを得た。

PVC（＝800） 100重量部 錫系安定剤 １ 〃 可塑剤（DOP） 35 〃 エンボス模様を施した0.3mmのPVCレザーシー
ト模様材上に表面が均一に覆われるように粉粒体
Ａを0.5mmの厚さに均一に振動機により散布し、
遠赤外線ヒーターで模様材表面を160℃に加熱し、
プレスロールで加圧成型し粉粒体Ａ相互感および
粉粒体と模様材間を融着せしめ表面が透明で平滑
な壁装材を得た。

実施例 ２ 黒色硬質PVCシート上に金属粉入りインキで
表面着色されたPVCペースト樹脂からなる厚さ
0.5mmのレース地の模様材を載置し、粉粒体を模
様材の凹部に充分充填されるまで振動機により均
一に散布し、その上に軟質PVCフイルムを載置
し、実施例１と同じ条件で加熱加圧して装飾材を
作成した。

得られた装飾材は壁パネルに適した美麗なもの
であつた。

実施例 ３ 実施例２の替りにパールエツセンス入りインキ
で表面着色したレース地を使用した。得られた装
飾材を容器の外側に貼着すると、螺鈿象眼模様風
の品位のある容器が得られた。

実施例 ４ 実施例３においてPVCのかわりにアクリル樹
脂パウダーを使用すると、さらに優れた透明性が
得られた。

実施例 ５ ガラスマツト基材上に発泡剤含有ペーストを塗
布して発泡剤の分解温度以下でプリゲルし、引続
き発泡抑制剤入りインキで模様状に印刷して加熱
して発泡させ、ケミカルエンボス模様の模様材を
得た。以下実施例１と同様に装飾材を作製した。
得られた装飾材はクツシヨン床材として立体感が
あり、かつ塵が溜らない優れた床材であつた。

実施例 ６ 実施例５で得られた床材表面にUV硬化性ポリ
ウレタン透明樹脂を塗布し、紫外線を照射した。
ワツクス不用のさらに耐久力のあるクツシヨン性
床材が得られた。

得られた実施例１〜６の装飾材は加圧に際し模
様材のデザインが歪むことなく立体感があり、か
つ表面平滑で、また気泡を含むこともなく、JIS
Ａ 5705の反りテストでも全く反りのない優れた
性能を示した。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本発明製造工程図、第４，５図は
本発明装飾材断面図および平面図である。２は基
材、３は模様材、４は着色層、５は熱可塑性樹脂
透明性粉粒体、６は透明フイルムである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ３次元構造のデザインである模様材上から、
   該模様材と融着性のある熱可塑性樹脂透明性粉粒
   体を供給し、該透明性粉粒体を少なくとも該模様
   材凹部に充填せしめた後加熱加圧して表面平滑な
   状態に成型することを特徴とする立体感のある装
   飾材の製造方法。