JPH0351579B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タイル、パネル又はウエツブの形の
装飾ラミネート製品の製造法に関する。

装飾を目的とした被覆又はカバー材料は種々の
態様において製造され、例えば合成もしくは天然
材料、又はそれらを組合わせて構成される。これ
らの材料は、耐摩耗性の平滑又は浮出し表面を形
成できる。多くの場合、浮出し表面の方が実用的
にも好ましいし、美しさの点でも好まれる。浮出
し材料はコントラストに富んだ三次元の外観を有
するが、この外観を形成するにはパターンと浮出
しとを完全に同調（synchronize）させることが
必要である。プラスチツクの表面に施される普通
の浮出しエンボス処理はプリントパターン
（printing pattern）と一致しないので、上記の
効果を達成できない。

プラスチツクによりオール木材の模造品はとも
かくとして、浮出し表面を有するすぐれた模造コ
ルクが過去数年間に製造された。オール純粋の天
然物質と同じように、この種の模造品は床材及び
壁材のいずれにも用いることができる。天然材料
がカバーされている比較的厚目のプラスチツク製
シート材料の形態における天然材料と合成材料と
の組合せによる被覆及びカバー材料に関しては条
件が少し変つてくる。というのは、厚目の耐摩耗
性プラスチツク層を例えばコルクの上に確実にカ
バーさせるためには、どうしても浮出し効果を犠
牲にせざるを得なかつたので、これらの被覆及び
カバー材料で入手できるものは、平滑な耐摩耗表
面を有するものに限られてしまう。

古くから製造されたこの種の平滑なコルク床材
タイルは、プラスチツクの摩耗抵抗層、装飾層、
弾力層及びベース層で構成される。摩耗抵抗層
は、摩耗に対する抵抗力及び汚染防止力にすぐれ
た透明な軟化PVCのカレンダー又はコーテイン
グ処理されたプラスチゾルで構成されるのが望ま
しい。弾力層はコルク粒ブロツクを施盤加工又は
割砕きして製造したシートで構成される。もし必
要ならば、この層に薄い装飾用コルクベニヤを予
備積層することによつて見ばえをよくする。ベー
ス層は機械的な応力を緩和する手段として役立
ち、そして該層又は耐摩耗層を補助する別の層は
タイルの凹形化（dishing）を防ぐと共に床下か
らの水分の拡散を抑制する。最後にあげた層に
は、摩耗抵抗層と同等か、又は該層よりも高い強
度係数（modulus of strength）を有する軟化
PVC被膜が利用される。これによつて仕上り床
構造内に力の均衡が得られ、タイルの平坦性が確
実に保たれる。

コルクはこの種の目的に最も適した材料である
が、気孔率がきわめて高く、空気の含有量が多い
ため、タイルを製造するにはそれが問題となる。
天然生成物であるため、ほかにもコルクには欠点
が多く、大小の孔やくぼみが仕上りタイル中では
許容されない。そのため厳格な選別が要求され、
製造時に出る層が原価を高くする。特に、わずか
な圧縮処理を施しただけの薄いコルクベニヤはと
ころどころに孔があり、これらの孔はシートの積
層処理を行う前にふさがなくてはならない。

通常摩耗抵抗層は加圧接着法によつて下張り層
と一体化される。また、ワニス及びロール接着
（roll gluing）を連続的に含むコルクウエツブを
製造することを試みた者もあるが、これらの実験
で成果をあげたものはなかつた。

要約するに、プラスチツク被膜の摩耗抵抗層と
組合せた天然材料は、平滑なカバー被膜層を有す
るコレクタイルの形でしか得ることができないと
いつてさしつかえなかろう。

本発明の目的は、新規な製造法を採用すること
により、壁材と床材との両方に適し、しかも屑が
ほとんど出ないので従来製品よりも安上りである
この種の平滑及び浮出しの両方のタイル、パネル
及びウエツブの製造を可能にすることである。

第一のセルロース材料を粒状化し、この粒状物
と可融性のプラスチツクとを混合してこの混合物
からマツトを作り、前記の第一のセルロース材料
と同種又は異種の第二のセルロース材料から薄い
スライスを切取り、切取つた時点の状態において
は通し孔やくぼみを含むこれらのスライスを前記
のマツトの上に置き、このセルロース材料の薄い
スライス上に可融性プラスチツクの被膜を施し、
そしてこのようにして得られたラミネートを、プ
ラスチツクが溶融し、かつ、スライスの孔やくぼ
みにマツトの材料が導入されるための熱の供給下
において圧縮し、次いでこの圧縮されたラミネー
トを冷却することにより、本発明の目的は実現さ
れる。

本発明による方法を最も特徴づけるものは、可
融性プラスチツクからなるマトリツクス内に含ま
れる粒状化した第一のセルロース材料で構成され
る、まつたく新規なタイプのベース層の利用であ
る。もし、第一のセルロース材料がコルクであつ
て、ベース層の厚さが約２mmであるならば、粒径
は２mmをこえてはならず、1.5mm以下であるのが
望ましい。タイル、パネル又はウエツブを製造す
るに際し、前記ベース層の上に第二のセルロース
材料からなる薄い装飾層を載せ、プラスチツクが
硬化／溶融（cure／melt）する温度でこれらの
層を圧縮すると、充填剤のコルクを含むプラスチ
ツク塊は「膨らみ」、装飾層の孔やくぼみをうめ
る。それによつて、平滑な表面及び完全な外観を
有する装飾層が得られる。充填用物質には任意の
所望の風合い持たせることができる。例えば装飾
層の主な風合いと多少なりとも一致する風合いを
もたせることもできるし、又該風合いとは対照的
な風合いをもたせることもできる。

予備被覆された軟化PVCの0.5mmの被膜で通常
構成される摩耗抵抗層は、ベース層と装飾層とを
合体させる前に装飾層の上に載せる、すなわち、
これらの３層はすべて同一の操作によつて互に合
体される。圧縮操作の過程においては、摩耗抵抗
層も装飾層によく接着するように溶融される。ま
た、摩耗抵抗層は被覆（film）以外の被覆材料、
例えばプラスチゾル、種々のラツカー、ポリウレ
タン等で構成することもできる。

あらかじめ定められた時間の圧縮処理を生成物
に施した後、生成物を冷圧プレスに移し、その中
で冷却すると同時に高圧にさらすが、この圧力は
熱間プレスの時の約２倍とするのが好適である。
冷圧プレスから取出されたタイル、パネル又はウ
エツブは前記の有利な外観と、完全に平滑な摩耗
抵抗性の表面を有し、壁面のカバー及び床材とし
て用いることができる。

浮出し表面を有するタイル、パネル又はウエツ
ブを得るには、いわゆる「弾性の記憶力」を有す
る第一のセルロース材料からなる天然材料が必要
とされる。コルクはこのような材料である。その
特有の気泡組織により、コルクは圧力がかかると
圧縮されるが、荷重を取去ると暫らくたつてから
一部復原する。この場合、プラスチツクの冷却が
終わるまで荷重を取除かないでおくと、コルクの
緊張状態は封鎖され、タイル、パネル又はウエツ
ブの摩耗抵抗層は平滑な表面となる。しかしなが
ら、もしも冷却後のタイル、パネル又はウエツブ
を、プラスチツクの軟化点をこえる温度に自由状
態（すなわち、プレス板等の作用を受けない状
態）で加熱するならば、コルクは緊張状態から解
放され、プレス操作を受ける前の形状に戻る。軟
化PVCを用いた場合には、70〜150℃の再加熱温
度が好適である。再加熱した後、タイル、パネル
又はウエツブを同じく自由状態で冷却する。この
状態変化によつて、きわめて有利な外観を有する
浮出し表面の摩耗抵抗層を得ることができる。何
となれば、装飾層の材料によつて摩耗抵抗層の浮
出しが制御されるため、パターンと浮出しとの完
全な同調が得られるからである。

上記のとおり、浮出し表面を有する第一のセル
ロース材料からなる天然材料のタイルを製造する
のにコルクがきわめて有利であることが実証され
たが、装飾的な外観は採用される薄い層又はベニ
ヤの構造及び組成によつてきまる。この層はコル
ク団塊のブロツクを割砕いて薄いシートにするこ
とによつて形成される。これらのシートは、広い
範囲にわたる、種々の相対的な方向性と圧縮性と
を有する生長帯（growth zone）を示す。各生長
帯はその弾力及び復原力が異なるので、浮出しの
形成は単純な結節模様（knottiness）から自然に
よる完全な芸術作品にいたるまで広い範囲に及
ぶ。現在のところではコルクが最も好適な材料で
あるが、浮出しの形成に必要な「弾性の記憶力」
を有するか、又はそれを付与できる他のセルロー
ス材料も同じように用いることができる。

本発明の方法を用いることにより、第一のセル
ロース材料の屑はすべて粒状物に変換されるの
で、セルロース材料の無駄がまつたく出ないとい
う格別の利点が得られる。装飾層の孔を塞ぐ必要
がなく、しかも仕上り生成物から棄てる部分もほ
んの些少にすぎないので、このことが従来の製品
に較べて原価の節減に通じることはいうまでもな
い。

上述の方法で製造され、可融性プラスチツクの
マトリツクス中に粒状化した第一のセルロース材
料を含ませたベース層、該ベース層上の薄い装飾
層、及び可融性プラスチツクからなるプラスチツ
ク被膜の摩耗抵抗層（ただし、この層は、熱間プ
レスの後の冷圧プレス操作による時は平滑な上部
表面を有し、また冷圧プレス操作の後で自由状態
で再加熱すれば浮出し表面を有する）を有するタ
イル、パネル又はウエツブは、高度に装飾的であ
ると共に、その弾性及び絶縁能力の故に摩耗に対
して抵抗性であるし、またその上を歩行しやすい
ので実用上きわめて有利である。

以下例をあげて本発明をさらに詳しく説明す
る。

軟化PVCと最大粒径1.5mmの粒状コルクとを含
むカレンダー処理した２mmのベース層の上に厚さ
１mmのコルクベニヤを置き、次にこのコルクベニ
ヤの上に軟化PVCからなる厚さ0.5mmの耐摩耗層
被膜を置いた。間座を備え、離型剤を塗布した紙
を両側に当てた成形用プレス内に上記の材料を入
れた。最高２Kg／cm²まで逐次圧力を上げながら５
分間熱間プレス（180℃）でプレス処理を行つた。
材料が入つているままの成形型を熱いまま冷圧プ
レスに移し、５分間で圧力を２Kg／cm²から５Kg／
cm²に上げ、その後冷却生成物を成形型から取出し
た。この生成物は完全に平坦であつた。しかしな
がら、130℃に２分間引きつづき加熱したところ、
表面上に浮出し模様が形成されたが、その外観は
コルクベニヤに用いた構造いかんによつてきまる
ものであつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第一のセルロース材料を粒状化し、この粒状
   物を可融性のプラスチツクと混合し、この混合物
   からマツトを作り、前記第一のセルロース材料と
   同種又は異種の第二のセルロース材料から薄いス
   ライスを切取り、切り取つた時点の状態において
   は通し孔やくぼみを含む前記スライスを前記のマ
   ツトの上に置き、このセルロース材料の薄いスラ
   イス上に可融性プラスチツクの被膜を施し、そし
   てこのようにして得られたラミネートを、プラス
   チツクを溶融し、かつ、スライスの孔及びくぼみ
   にマツトの材料を導入するための熱の供給下にお
   いて圧縮し、次いでこの圧縮されたラミネートを
   冷却することを特徴とする、装飾ラミネート製品
   の製造法。 ２ 冷圧プレス内で生成物を冷却する際に、熱間
   プレス操作におけるよりも高い圧力をラミネート
   に施すことを特徴とする、上記１に記載の方法。 ３ 冷却後のラミネートに対して自由状態の加熱
   及び冷却を行つてプラスチツク被膜の浮出し模様
   を形成することを特徴とする、上記１又は２に記
   載の方法。 ４ 少なくとも第二のセルロース材料がコルクで
   あることを特徴とする、上記１〜３のいずれか１
   項に記載の方法。 ５ 少なくとも第一のセルロース材料が木質であ
   ることを特徴とする、上記１〜３のいずれか１項
   に記載の方法。 ６ プラスチツクが軟化PVCであることを特徴
   とする、上記１〜５のいずれか１項に記載の方
   法。