JPH01278895A - 全没水型水中翼船の横安定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は全没水型水中翼船の横安定装置に関し、特に小
型の全没水型水中翼船用に好適な横安定装置に関する。

〔従来技術］ 水中翼船は、船体底面の幅方向中央部に水中翼を設けた
全没水型水中翼船と、幅方向の左右にそれぞれ水中翼を
設けた水面貫通型水中翼船との２種類に分けることがで
きる。

このうち後者の水面貫通型水中翼船は、翼走中に船体が
いずれか一方に傾斜すると、左右の水中翼のうち沈み込
んだ側の揚力が大きく、浮き上がった側の揚力が小さく
なるように変化する。そのため、この揚力の差によるモ
ーメントが船体の傾斜を中央に戻す方向に作用し、自動
的に横安定する性質をもっている。

これに対し前者の全没水型水中翼船では、水中翼が常時
水面下に没しており、かつ船体の幅方向中央に位置して
いるため、船体が傾斜しても上記水面貫通型のような自
動的な横安定効果を生ずることはない。このため全没水
型水中翼船では、二輪車と同様に操縦者が横安定を維持
するように常に操舵する必要がある。

従来、このような操縦者の操舵負担を軽減するために、
ジャイロセンサーや加速度センサーで傾きを検出し、こ
の信号から電子制御器やアクチュエータを介することに
より安定化を図るようにしたものが提案されている。し
かし、これらはいずれも装置が複雑かつ大型化すること
は避けられず、必然的に高価にならざるを得ないという
問題があった。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、上述した全没水型水中翼船において、
従来のような複雑な装置によらず、極めて簡単な機構に
よって横安定性を得るようにする横安定装置を提供する
ことにある。

〔発明の構成〕

上記目的を達成する本発明による全没水型水中翼船の横
安定装置は、船体の進行方向を横切る方向に回転軸を有
し、この回転軸を中心に前転方向に回転駆動される勢み
車からスタビライザを構成し、このスタビライザを操舵
軸に取り付けたことを特徴とするものである。

上記スタビライザにおける勢み車は、回転軸が船体の進
行方向を横切る方向にしであるため、船体が傾斜したと
きにジャイロのプレセツション効果（歳差運動）を発生
し、これが操舵軸に対して船体を安定側に復帰させるよ
うなトルクを作用させるようにする。

ここでプレセツション効果とは、例えば独楽のように質
量の大きな回転体を回転させているとき、その回転軸の
一端に横から外力を加えると、その回転軸が外力を加え
た方向には動かずに、これと直交する方向に動く現象を
いう。したがって、上述のように勢み車の回転軸が船体
の進行方向を横切る方向になっていれば、その船体が左
右のいずれかに傾斜したとき、前後方向にプレセツショ
ン効果による力を発生して操舵軸に対しトルクを作用さ
せるのである。

本発明において、勢み車の回転軸方向が船体の進行方向
を横切るとは交差する関係になっていることを意味する
。その交差角としては特に限定されないが、好ましくは
９０°に直交することが望ましい。

操舵軸に対するスタビライザの取り付は方は、勢み車が
発生するプレセツション効果が操舵軸に対してトルクを
作用させるようになっていればいいので、直接固定であ
っても、或いは他の部材を介して間接的に取り付けたも
のであってもよい。

以下、本発明を図に示す実施例を参照して説明るする。

第１図は本発明の横安定装置を装備した小型の全没水型
水中翼船を概略的に示し、第２図はその横安定装置の詳
細を示すものである。

第１図において、１は船体であり、その底面の幅方向中
央に沿った前後に、それぞれ断面流線形の水中翼支柱２
．３が下方へ突出するように設けられている。これら水
中翼支柱２．３の下端には、それぞれ左右に水中翼４．
５が水平に延びるように設けられている。

前側の水中翼支柱２は、その上端部が船体Ｉに対し軸受
部６を介して左右に回動自在に取り付けられている。こ
の水中翼支柱２の上端には操舵軸７が連結され、さらに
この操舵軸７の上端にハンドル８が固定されている。こ
のハンドル８を左右に回転させると、操舵軸７を介して
水中翼支柱２が左右に回動するため、操舵することがで
きるようになっている。

また、上記操舵軸７の途中には、本発明の横安定装置と
して、詳細を後述するようなスタビライザ２０が固定さ
れている。このスタビライザ２０内部に設けた勢み車は
破線矢印で示すような前転方向に回転駆動されるように
なっている。９は操縦者用のシートである。

上記水中翼支柱２の下部には、水面滑走体１０が上下揺
動自在に取り付けられ、さらにリンク１１を介して水中
翼４が上下揺動するようになっている。すなわち、この
水面滑走体１０は水面ＷＬに違従しながら上下動し、こ
れによって水中翼４を上下動させ、水中翼を自動的に一
定の没水深さに維持するようにしている。

後側の水中翼支柱３には、その内部に流路１２が上下貫
通するように設けられ、その流路１２の下端前面に水の
取入口が設けられ、上端部にジェットポンプ１４が設け
られている。このジェットポンプ１４はエンジン１３に
よって駆動され、ジェット水流を後端の噴射ノズル１５
から噴射することにより推進力を発生するようになって
いる。

第２図は、本発明の横安定装置であるスタビライザ２０
の詳細を示すものである。

このスタビライザ２０は円板状のブラケット２１を有し
、そのブラケット２１をバンド２２によって操舵軸７に
固定するようにしている。

ブラケット２１の中心にはモータ２３が固定され、その
外側に筒状の支持軸２４が固定されている。２５は勢み
車であり、この勢み車２５は支持軸２４に対し軸受２６
，２６を介して回転自在に軸支され、かつモータ２３の
回転軸２７によって、第１図の破線矢印で示すような前
転方向に高速で回転駆動されるようになっている。

また、ブラケット２１には、勢み車２５を内側へ気密状
態に取り囲むようにしたケース２Ｂが着脱自在に装着さ
れ、装着時には止め金３０に固定されるようになってい
る。このように内部を気密にしたケース２８は、バルブ
２９を介して図示しない真空発生装置に接続され、内部
を減圧することによって勢み車２５の回転に対し空気抵
抗を低減させ、少ないエネルギで効率的なプレセツショ
ン効果の発生を行わせるようにしている。

また、上記勢み車２５は左右一対のウェブ２５ａ、２５
ａと、その外周に着脱自在に取り付けた円筒状の重錘２
５ｂから構成されている。

この円筒状の重錘２５ｂは質量の大きさが異なるものを
任意に交換できるようになっており、船体の大きさ、乗
員数、積荷などに応じて、その大きさを選択できるよう
になっている。

次に、上述した本発明の横安定装置を装備した全没型水
中翼船を翼走させるときの横安定作用について、第４図
Ａ、Ｂを参照して説明する。

第４図Ａ、Ｂに示すように、いま何等かの原因で船体１
が左側に傾斜したとする。このように船体１が左に傾斜
すると、船体１にかかる重力Ｗのために船体１はさらに
左へ傾斜するようになる。Ｌは揚力である。ここで、操
縦者がハンドル８を左に切ると水中翼支柱２が左側に操
舵されるため、その水中翼支柱２に対し図示するような
流体反力による流体力Ｐが発生する。

この流体力Ｐは船体ｌに対して向心力となるので、船体
１は点Ｃを中心として円弧Ｅを描くように左旋回をする
ことになる。また、船体１がこのような左旋回をすると
、それによって遠心力Ｆ、すなわち図示するような方向
の慣性力Ｆが発生する。

上述のように発生した流体力Ｐと遠心力Ｆとは、船体１
を中立に戻すようなモーメントを発生するので、このモ
ーメントを重力Ｗによるモーメントよりも大きくなるよ
うに操舵すれば、船体１は中立状態に戻ることになる。

このようような一連の作用を行うとき、上記スタビライ
ザ２０に内蔵された勢み車２５は、船体１の左傾斜によ
って前後方向にプレセツション効果に基づく力を自動的
に発生する。かつ、このプレセツション効果に基づく力
により操舵軸７を左回転させるようなトルクを作用させ
ることになる。したがって、このプレセツション効果を
大きくすれば、流体力Ｐを発生させるための操縦者の操
舵負担を軽減することができる。

また、このようなプレセツション効果が操舵方向に自動
的に付加されることによって、従来の水中翼船では不可
能であったような急カーブのコーナリングを軽快に行え
、極めて小回りのきいた操縦が可能になる。

一方、船体１が右に傾斜した場合には、ハンドル８を右
に切って水中翼支柱２を右に回転させることによって、
上記同様に流体力Ｐと遠心力Ｆとを発生させ、これらに
よるモーメントが重力Ｗのモーメントよりも大となるこ
とによって船体１を中立に復元させることができる。こ
のとき上記同様に、スタビライザ２ｏの勢み車２５のプ
レセツション効果が操舵軸７に対して右方向の操舵を助
長するようにトルクを付加するので、毘縦者の操縦負担
を軽減することになる。

なお、上述したスタビライザ２ｏの操舵軸７に対する取
り付けは、操舵軸に対して横安定作用を助長するような
トルクが与えられるようにすればよいので、上記実施例
のように必ずしも操舵軸７に直接固定されることに限定
されず、第３図のように間接的に取り付けたものでもよ
い。

第３図の実施例では、スタビライザ２０を支持するため
支持管３１が別途膜けられ、この支持管３１を操向軸７
と平行な関係にした軸３４を中心に回転自在に船体上に
支持し、この支持管３１から延びるアーム３２と操向軸
７に固定したアーム３３とをリンク３５で連結するよう
にしたものである。

このような間接的な取り付けによっても、スタビライザ
２０が発生するプレセツション効果が操舵軸７に対して
トルクを発生させるようにすることができ、同様な操舵
負担の軽減効果を得ることができる。

〔発明の効果〕

上述したように本発明による横安定装置は、船体の進行
方向を横切る方向に回転軸を有し、この回転軸を中心に
前転方向に回転駆動される勢み車からスタビライザを構
成し、このスタビライザを操舵軸に取り付けるようにし
たので、船体が左右方向の一方に傾いたとき上記スタビ
ライザの勢み車が発生するプレセツション効果が、上記
操向軸に対し船体を復元させる方向にトルクを作用させ
、それによって操縦者の操舵負担を軽減することができ
る。すなわち、従来のような複雑な装置によらず、勢み
車からなる極めて簡単な機構によって横安定性を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例からなる横安定装置を装備した
全没水型水中翼船を概略的に示す側面図、第２図は同横
安定装置を示す横断面図、第３図は他の実施例による横
安定装置を取り付けた全没水型水中翼船の要部を示す斜
視図、第４図Ａ、Ｂは本発明の装置の作用を説明するも
ので、第４図Ａは斜視図、第４図Ｂは正面図である。 １・・・船体、２，３・・・水中翼支柱、４，５・・・
水中翼、７・・・操舵軸、８・・・ハンドル、２０・・
・スタビライザ、２３・・・モータ、２４・・・支持軸
、２５・・・勢み車、２６・・・軸受、２７・・・回転
軸。 代理人　弁理士　小　川　信　−

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 船体の進行方向を横切る方向に回転軸を有し、この回転
   軸を中心に前転方向に回転駆動される勢み車からスタビ
   ライザを構成し、このスタビライザを操舵軸に取り付け
   た全没水型水中翼船の横安定装置。