JP7503226B1 - ガス濃度測定デバイス及び被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定方法 - Google Patents

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Abstract

通電によって熱を生じる発熱抵抗体(31)と、発熱抵抗体(31)を支持するステージ(21)と、を有する、ガス濃度測定デバイス(10)である。発熱抵抗体(31)は、平面視においてステージ(21)と重なっている。ガス濃度測定デバイス(10)は、発熱抵抗体(31)の抵抗値に基づいて被測定ガス中のガス濃度を測定する。発熱抵抗体(31)及びステージ(21)の合計熱容量が1×10-10J/K以上3.2×10-2J/K以下であることが好ましい。

Description

本発明は、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定に用いられるガス濃度測定デバイスに関する。また本発明は、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定方法に関する。
従来、被測定ガス中のガス濃度を測定するためのデバイスが種々知られている。このようなデバイスの1つに、熱伝導式ガスセンサがある。熱伝導式ガスセンサにおいては、発熱抵抗体からの熱が被測定ガスに伝導することで、当該発熱抵抗体から失われる熱を利用して、被測定ガス中のガス濃度が測定される。
例えば特許文献1には、熱伝導式ガス検出部を備えた可燃性ガス検出装置が記載されている。
特開2005-156364号公報
特許文献1に例示されるように、これまでに種々のガスセンサが提案されてきたが、これらのガスセンサは、製造の簡便性の点に改善の余地を残していた。
したがって本発明の課題は、簡便に製造可能なガス濃度測定デバイスを提供することである。
本発明は、通電によって熱を生じる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体を支持するステージと、を有し、
前記発熱抵抗体は、平面視において該ステージと重なっており、
前記発熱抵抗体の抵抗値に基づいて被測定ガス中の被検出対象ガス濃度を測定する、ガス濃度測定デバイスを提供する。
また本発明は、前記ガス濃度測定デバイスを用いた、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定方法を提供する。
図1は、本発明のガス濃度測定デバイスの好ましい一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示すガス濃度測定デバイスにおける発熱抵抗体の位置及び形状を示す平面図である。 図3は、図1に示すガス濃度測定デバイスのIII-III線に沿う断面図である。 図4は、図1に示すガス濃度測定デバイスの好ましい製造方法を模式的に示す斜視図である。 図5は、本発明のガス濃度測定デバイスの別の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図6は、図5に示すガス濃度測定デバイスのステージを裏面から見た平面図である。 図7は、図5に示すガス濃度測定デバイスのVII-VII線断面図である。 図8は、比較例1のガス濃度測定デバイスの断面図であり、図7相当図である。 図9は、実施例1ないし3のガス濃度測定デバイスに定電力80mW条件で通電した場合における、測定時間と発熱抵抗体の抵抗変化率との関係を示すグラフである。 図10は、実施例1ないし3のガス濃度測定デバイスに定電力80mW条件で通電した場合における、被測定ガスの酸素ガス濃度と発熱抵抗体の抵抗変化率との関係を示すグラフである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1ないし図3には、本発明のガス濃度測定デバイスの好ましい一実施形態が示されている。本実施形態のガス濃度測定デバイス10(以下、「デバイス10」ともいう。)は、ステージ21と、該ステージ21の周縁から延出した一本又は複数本のブリッジ22とを備え、ブリッジ構造体20を形成している。図1に示すデバイス10においては、ブリッジ構造体20は平面視で矩形の板状体からなるステージ21と、該ステージ21の周縁から延出した四本のブリッジ22を有している。ブリッジ22はステージ21の四隅から延出している。またデバイス10は、ブリッジ22に連なり且つステージ21を囲繞する周縁部24を有している。なお、ステージ21の平面視での形状は矩形に限られない。
図3に示すとおり、ステージ21は多層構造を有している。詳細には、ステージ21は第一絶縁層121と、該第一絶縁層121上に配置された第二絶縁層122と、該第二絶縁層122上に配置された第三絶縁層123と、該第三絶縁層123上に配置された第四絶縁層124と、からなる4層構造を有している。尤も、ステージ21の層構造はこれに限られず、例えばステージ21は単層構造、2層構造又は3層構造を有していてもよい。
なお、図2に示すデバイス10においては、後述する発熱抵抗体31の位置及び形状を明示するために、第四絶縁層124及び後述する第二密着層34の図示が省略されている。
デバイス10は、通電によって熱を生じる発熱抵抗体31を有している。発熱抵抗体31はステージ21によって支持されており、また平面視においてステージ21と重なっている。より具体的には、図1ないし3に示す実施形態においては、ステージ21はその厚み方向の内部に発熱抵抗体31を含んでいる。本実施形態において、発熱抵抗体31は第三絶縁層123上に配置されており、その上方及び側方には第四絶縁層124が配置されている。このように、発熱抵抗体31が第三絶縁層123及び第四絶縁層124に囲まれ、周囲のガスとの接触が防止されていることによって、発熱抵抗体31の耐久性を向上させることができる。
発熱抵抗体31は一連の線条体からなることが好ましい。本明細書において「一連の線条体」とは、一本の線条体、又は少なくとも両端部が共通する複数本の線条体のことをいう。
ステージ21中に配置された前記一連の線条体は、ステージ21中において発熱抵抗体31を形成している。また前記一連の線条体は、二本のブリッジ22,22及び周縁部24に延在しており、二本の配線312,312を形成している。つまり、前記一連の線条体はステージ21中に配置された発熱抵抗体31と、ブリッジ22及び周縁部24に延在した配線312とからなっている。かかる二本の配線312,312を形成可能とするために、ステージ21の周縁から二本以上のブリッジ22が延出していることが好ましい。また、ステージ21をより安定的に支持する観点から、ステージ21の周縁から好ましくは三本以上、更に好ましくは四本以上のブリッジ22が延出していることが好ましい。
発熱抵抗体31は、二本の配線312,312を介して、周縁部24上に配置された2つのワイヤボンディング用パッド32,32(以下、単に「パッド32」ともいう。)に接続されている。
図2に示す発熱抵抗体31は一本の線条体からなっている。この線条体は、ステージ21中において、交差せずに一方向及びそれと反対方向へ繰り返し蛇行しながら延びている。線条体がこのような形状を有していることによって、発熱抵抗体31の抵抗値を高めることができる。これに起因して、より低消費電力でガス濃度の測定が可能となる。
発熱抵抗体31が、少なくとも両端部が共通する複数本の線条体からなっている実施形態の例としては、前記複数本の線条体がステージ21中においては互いに交わらないように配置され、且つ前記複数本の線条体のブリッジ22中に配置された部分が共通する(互いに重なっている)実施形態(図示せず)を挙げることができる。
発熱抵抗体31の物理強度を十分に高める観点、及び発熱抵抗体31の抵抗値を十分に高めてデバイス10の消費電力を低下させる観点から、発熱抵抗体31の厚さは0.01μm以上100μm以下とすることが好ましく、0.02μm以上75μm以下とすることがより好ましく、0.05μm以上50μm以下とすることが更に好ましい。
発熱抵抗体及び後述する第一密着層33及び第二密着層34の厚さは、触針式段差計、電子顕微鏡又は光学式三次元測定器よって測定することができる。
発熱抵抗体31に通電して発熱させると、所定時間経過後にはその発熱量と、周囲の被測定ガスによる吸熱量がつり合い、定常状態に達する。このときの発熱抵抗体31の温度は、被測定ガスの熱伝導率(吸熱性)に依存する。被測定ガスの熱伝導率は該ガスの組成によって変化するため、被測定ガスの組成に応じて、発熱抵抗体の前記定常状態における温度が変化することになる。したがって、このときの発熱抵抗体31の抵抗値に基づいて、被測定ガス中のガス濃度を測定することができる。
本発明者らの検討の結果、発熱抵抗体31及びその周囲の熱容量を所定の値以下とすることによって、被検出対象ガス濃度の変化に応じた発熱抵抗体31の温度変化量を十分に高めることができるため、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定精度及び測定感度を高められることを見出した。詳細には、発熱抵抗体31及びステージ21の合計熱容量は3.2×10-2J/K以下であることが好ましく、2.2×10-2J/K以下であることがより好ましく、1.5×10-2J/K以下であることが更に好ましい。
また、消費電力を低減する観点から、発熱抵抗体31及びステージ21の合計熱容量は1.0×10-10J/K以上であることが好ましく、1.0×10-9J/K以上であることがより好ましく、2.0×10-9J/K以上であることが更に好ましい。
図1ないし図3に示すデバイス10は、既に説明したとおり、発熱抵抗体31を内部に含むステージ21と、ブリッジ22とからなるブリッジ構造体20と有する。本発明のガス濃度測定デバイスとして、かかる構造を有するデバイス10を採用することによって、発熱抵抗体31と平面視で重なる部分の熱容量を上述の範囲内に容易に制御することができる。
発熱抵抗体31と平面視で重なる部分の熱容量を上述の範囲内に制御する観点及び十分な機械強度を確保する観点から、ステージ21の平面視における面積Sは3.6×10μm以下であることが好ましく、3.0×10μm以下であることがより好ましく、2.5×10μm以下であることが更に好ましい。
また、被測定ガスとの熱伝達の効率を高める観点から、Sは100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、400μm以上であることが更に好ましい。
同様の観点から、ステージ21が矩形である場合には、Sが上述の範囲内であることを条件として、ステージ21の一辺の長さは好ましくは10μm以上3000μm以下、より好ましくは12.5μm以上2500μm以下、更に好ましくは20μm以上2000μm以下である。
被測定ガスによる吸熱量を十分に確保して、被検出対象ガス濃度の測定精度及び感度を向上させる観点から、発熱抵抗体31及びステージ21の合計体積をVとしたとき、S/Vは0.0010μm-1以上であることが好ましく、0.00125μm-1以上であることがより好ましく、0.0016μm-1以上であることが更に好ましい。
また、消費電力を低減させる観点から、S/Vは10μm-1以下であることが好ましく、7.0μm-1以下であることがより好ましく、5.0μm-1以下であることが更に好ましい。
被検出対象ガス濃度の測定精度及び感度をより高める観点から、発熱抵抗体31はその抵抗値の温度依存性が高いことが好ましい。詳細には、発熱抵抗体31の25℃における抵抗温度係数αは、好ましくは100ppm/℃以上、より好ましくは500ppm/℃以上、更に好ましくは1000ppm/℃以上である。
25℃における抵抗温度係数αが100ppm/℃以上である材料としては、白金、タングステン、銅、金、銀、モリブデン、アルミニウム及びタンタル並びにこれらの合金を挙げることができる。白金を含有する合金の例として、Pt-Nb、Pt-Rh、Pt-W等を挙げることができる。また、別の例として、白金族元素(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びオスミウム)及び/又はこれらを含む合金と金属酸化物とのサーメットを挙げることができる。したがって、発熱抵抗体31はこれらの材料からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。なかでも、高温環境における安定性の観点から、発熱抵抗体31は白金又は白金を含有する合金を含むことが特に好ましい。
発熱抵抗体31と第三絶縁層123及び第四絶縁層124との密着性を高めて、デバイス10の耐久性を向上させる観点から、発熱抵抗体31の下面及び上面に接する位置には、それぞれ第一密着層33及び第二密着層34が配置されていることが好ましい。
発熱抵抗体31の下面及び上面に接する位置に第一密着層33及び第二密着層34が配置されている場合、第一密着層33及び第二密着層34は、配線312及びパッド32の下面及び上面に接する位置にも配置されていることが好ましい。
発熱抵抗体31と第三絶縁層123及び第四絶縁層124との密着性を十分に高める観点から、第一密着層33及び第二密着層34の厚さは、それぞれ独立に、好ましくは1nm以上200nm以下、より好ましくは2nm以上150nm以下、更に好ましくは10nm以上100nm以下である。
図1及び3に示すとおり、パッド32上に配置された第四絶縁層124は、その一部が除去されている。これに起因して、第二密着層34(第二密着層が存在しない実施形態においては、パッド32の一部)が外部に露出している。
上述のとおり、デバイス10はステージ21を囲繞する周縁部24を有する。周縁部24は、ステージ21から離間し、且つ両者がブリッジ22を介して連結されていることが好ましい。
周縁部24は、好ましくは基板11及び該基板11の上下に形成された複数の絶縁層を含んでいる。詳細には、図3に示すとおり、基板11の上方に第一絶縁層121、第二絶縁層122、第三絶縁層123及び第四絶縁層124がこの順序で配置されている。また、基板11の下方には第五絶縁層125及び第六絶縁層126がこの順序で配置されている。
デバイス10は、第五絶縁層125及び第六絶縁層126を有していてもよいし、有していなくてもよい。第五絶縁層125及び第六絶縁層126の有無によって、基板11にかかる応力を調整することができる。
次に、先に説明した各層の材料について説明する。
基板11はシリコン(Si)を含むことが好ましい。
基板11の上下に形成された複数の絶縁層は、入手のしやすさ、形成のしやすさ、及び化学的安定性の観点からケイ素(Si)化合物を含むことが好ましく、二酸化ケイ素(SiO)及び窒化ケイ素(SiN、xは0.100以上1.667以下の数である。)を含むことがより好ましい。より具体的には、第一絶縁層121、第三絶縁層123、第四絶縁層124及び第五絶縁層125がSiOからなり、第二絶縁層122及び第六絶縁層126がSiNからなっていることが好ましい。
第一密着層33及び第二密着層34は、第三絶縁層123及び第四絶縁層124との密着性を高める観点から、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン、酸化チタン、酸窒化チタン、酸化タンタル、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、イットリウム、酸化イットリウム、タングステン、酸化タングステン、クロム、酸化クロム、ニッケル、酸化ニッケル、及びこれらの合金から選ばれる一種以上を含むことが好ましい。
発熱抵抗体31の材料は既に説明したとおりである。パッド32の材料としては、発熱抵抗体31の材料として上述したものを用いることができる。発熱抵抗体31及びパッド32はそれぞれ異なる材料からなっていてもよいし、同じ材料からなっていてもよい。簡易な製造を可能とし、製造コストを抑制する観点から、発熱抵抗体31及びパッド32は同じ材料からなっていることが好ましい。
図5には、本発明の別の実施形態のデバイス10が示されている。また図6には、図5に示す実施形態のデバイス10を構成するステージ21(詳細は後述する。)を裏面側から見た平面図が示されている。更に、図7には、図5に示す実施形態のデバイス10をVII-VII線に沿って切断した断面図が示されている。
以下では、本実施形態について、図1ないし図3に示す実施形態との相違点を主として説明する。本実施形態について特に説明をしなかった点については、図1ないし図3に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
本実施形態のデバイス10は、端子台50と、該端子台50をその厚み方向に貫通する複数の柱状部材51とを有している。各々の柱状部材51の上面には、ワイヤボンディング用の端子52が設置されている。
デバイス10は、ステージ21及び該ステージ21の周縁から延出した複数のブリッジ22を有している。ステージ21は、複数のブリッジ22を介して端子52に固定されている。詳細には、図5に示すとおり、ステージ21の上面においては、2箇所に設けられた接合部37においてステージ21とブリッジ22(以下、「第1支持体35」ともいう。)とが接合されている。また、図6に示すとおり、ステージ21の裏面においても、2箇所に設けられた接合部37においてステージ21とブリッジ22(以下、「第2支持体36」ともいう。)とが接合されている。
図5に示すとおり、本実施形態におけるブリッジ22は、ワイヤーの形状を有している。
図6及び7に示すとおり、ステージ21の一面には、発熱抵抗体31及び2つのパッド32が形成されている。換言すれば、ステージ21は発熱抵抗体31及びパッド32を支持している。パッド32上には、上述した接合部37が設けられ、該接合部37においてパッド32と第2支持体36とが接合されている。第2支持体36の材料として導電体を用いた場合には、発熱抵抗体31は第2支持体36を介して柱状部材51と電気的に接続しているため、柱状部材51を電源に接続することによって、発熱抵抗体31に通電することができる。この目的のため、第2支持体36は、例えば白金を含むことが好ましい。
これに対し、本実施形態において第1支持体35は、専らステージ21を支持する目的で用いられる。したがって、第1支持体35の材料は導電体には限られない。
本実施形態の発熱抵抗体31は一本の線条体からなっているところ、該線条体はブリッジ22には延在していない。
ステージ21は単層構造であっても多層構造であってもよいが、製造をより簡便にする観点から、単層構造を有することが好ましい。ステージ21の材料としては、例えばシリコン、アルミナ、ガラス、フォルステライト、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
ステージ21の厚さは、十分な物理強度を確保する観点及びステージ21の熱容量を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上2000μm以下、より好ましくは1.0μm以上1000μm以下、更に好ましくは1.5μm以上500μm以下である。
第1支持体35及び第2支持体36の物理強度を高める観点及び発熱抵抗体からの放熱を抑制する観点から、第1支持体35及び第2支持体36の線径は、それぞれ独立に、好ましくは1.0μm以上100μm以下、より好ましくは5.0μm以上80μm以下、更に好ましくは10μm以上50μm以下である。
端子台50は絶縁体からなっていることが好ましく、柱状部材51及び端子52は導電体からなっていることが好ましい。柱状部材51及び端子52は、同じ材料からなっていてもよいし、異なる材料からなっていてもよい。
次に、図1ないし図3の示すデバイス10又は図5ないし図7に示すデバイス10を用いた、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定方法について説明する。
デバイス10を用いて被測定ガス中の被検出対象ガス濃度を測定する際には、発熱抵抗体31に通電して、発熱抵抗体31を発熱させる。通電条件は、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度と発熱抵抗体の抵抗値との間に良好な直線関係が成立する限りにおいて、特に限定されない。例えば、通電は定電力条件、すなわち被測定ガス中の被検出対象ガス濃度が変化しても、通電に起因する発熱抵抗体31からの発熱量が一定になる条件で実施することができる。これに代えて、通電は定電圧条件、すなわち被測定ガス中の被検出対象ガス濃度が変化しても、発熱抵抗体31に印加される電圧が一定になる条件で実施してもよいし、定電流条件、すなわち被測定ガス中の被検出対象ガス濃度が変化しても、発熱抵抗体31に流れる電流が一定になる条件で実施してもよい。
ここでいう「定電力」とは、被検出対象ガス濃度の測定中において電力が厳密に一定であることを要しない。例えば、測定中において、電力の変化が1%以下、より好ましくは0.5%以下であれば、十分な精度で被検出対象ガス濃度を測定することができる。よって、被検出対象ガス濃度の測定中にこの程度の電力変化が生じた場合も、該測定は定電力条件にて実施されたものとみなすこととする。このことは、先に述べた「定電圧」及び「定電流」についても同様である。
いずれの条件で通電した場合であっても、発熱抵抗体31の温度に依存して発熱抵抗体31の抵抗値が変化するので、その抵抗値に基づいて被検出対象ガス濃度を測定することができる。
被測定ガスによる発熱抵抗体31からの吸熱を促進して、被検出対象ガス濃度の測定精度を一層高める観点から、被検出対象ガス濃度の測定中における発熱抵抗体31の温度を通電によって十分高めることが好ましい。詳細には、被測定ガス中の被検出対象濃度を測定する際には、発熱抵抗体31に通電することによって、発熱抵抗体31と被測定ガスとの温度差を好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは100℃以上にすることが好ましい。
また、発熱抵抗体31の熱による劣化を抑制する観点から、発熱抵抗体31と被測定ガスとの温度差は好ましくは800℃以下、より好ましくは750℃以下、更に好ましくは700℃以下である。
被測定ガス中の被検出対象ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、水蒸気、水素ガス、二酸化炭素ガス等を挙げることができる。なかでも特に好ましい被検出対象ガスは、酸素ガス、水蒸気又は二酸化炭素ガスである。
ところで、被検出対象ガスが酸素ガスである場合、酸素ガスは熱伝導率が比較的低いため、酸素ガス濃度の変化に伴う発熱抵抗体31の温度変化が小さくなる。このことに起因して、従来の熱伝導式ガスセンサでは酸素ガス濃度の測定精度が低くなりやすいという課題があった。また、空気のように酸素ガスと窒素ガスとを含む被測定ガスを測定対象とする場合においては、酸素ガスと窒素ガスとの熱伝導率が近いため、従来の熱伝導式ガスセンサでは酸素ガス濃度を高精度で測定することは特に困難であった。
これに対し、デバイス10においては、上述のとおり被検出対象ガス濃度の変化に応じた発熱抵抗体31の温度変化量が十分に高められているため、被検出対象ガスが酸素ガスである場合であっても、その濃度を高精度で測定することができる。またデバイス10によれば、被測定ガスが酸素ガスと窒素ガスとを含む場合であっても高精度で酸素ガス濃度を測定することができる。
上述したデバイス10の利点を活かす観点から、被測定ガス中の酸素ガス及び窒素ガスの合計含有量は、好ましくは0.00001体積%以上、より好ましくは0.0001体積%以上、更に好ましくは0.001体積%以上である。
以上のとおり、デバイス10においては、被検出対象ガス感応性を有する部材として発熱抵抗体31のみを有していても、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度を高精度で測定することが可能である。このように、デバイス10は比較的少数の部材から構成することができるので、より簡便に製造が可能である。
本明細書において「被検出対象ガス感応性を有する部材」とは、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度に応じて性質が変化する部材のことをいう。発熱抵抗体31は、通電された際に、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度に応じて抵抗値を変化させるので、被検出対象ガス感応性を有する部材に該当する。
被検出対象ガス感応性を有する部材の別の例として、正極と、負極と、それらの間に配された電解質とからなる電極部であって、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度に応じて該電極部に流れる電流値が変化するものを挙げることができる。
また、酸素ガス感応性を有する部材の例として、酸化スズ及び酸化亜鉛等の半導体、並びにチタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム及び酸化亜鉛等の圧電体を挙げることもできる。
次に、本発明のガス濃度測定デバイスの好ましい製造方法について、図1ないし図3に示すデバイス10の製造方法を例にとって説明する。図4(a)ないし(e)には、図1ないし図3に示すデバイス10の好ましい製造手順が示されている。本製造方法は、以下に示す工程をこの順で有する。
1.基板11上に絶縁層を形成する工程
2.絶縁層上に発熱抵抗体31を形成する工程
3.発熱抵抗体31の側方及び上方に第四絶縁層124を形成する工程
4.ブリッジ構造体20を形成する工程
1.基板11上に絶縁層を形成する工程
まず、酸素又は水蒸気を含有する雰囲気下、基板11を700℃以上1400℃以下に加熱することで熱酸化し、基板11の表面にSiOからなる第一絶縁層121及び第五絶縁層125を形成する。次いで、後述する薄膜形成手段を用いて、SiNxからなる第二絶縁層122及び第六絶縁層126を第一絶縁層121及び第五絶縁層125の表面に形成する。
薄膜形成手段としては、蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長(PVD)法及び化学気相成長(CVD)法を用いることができる。なかでも、残留応力の調整が可能であるという観点、及び量産性の観点から、PECVD(プラズマ化学気相成長)法又はLP-CVD(減圧化学気相成長)法を用いて第二絶縁層122及び第六絶縁層126を形成することが好ましい。
なお、図4(a)ないし(e)においては、第一絶縁層121、第二絶縁層122、第三絶縁層123、第五絶縁層125及び第六絶縁層126の図示を省略している。
次いで、第二絶縁層122上に第三絶縁層123を形成する(図4(a))。第三絶縁層123は基板11上の全面に形成される。第三絶縁層123の形成には、上述した薄膜形成手段を用いることができる。なかでも、SiOからなる第三絶縁層123を形成する場合には、残留応力の調整が可能であるという観点、及び量産性の観点から、PECVD法を用いることが好ましい。
2.絶縁層上に発熱抵抗体31を形成する工程
発熱抵抗体31の形成に先立ち、必要に応じて、第一密着層33を形成する。第一密着層33は、リフトオフ法によってパターニングして形成することができる。詳細には、まず第三絶縁層123上の全域にフォトレジストからなる層(図示せず)を設け、次いで露光及び現像を行い、第一密着層33の形状と相補形状をなすマスク(図示せず)をパターニングして形成する。次いで、該マスクよって第三絶縁層123を被覆した状態下に、薄膜形成手段によって第一密着層33を形成する。薄膜形成手段としては、量産性の観点から、スパッタリング法を用いることが特に好ましい。最後に、フォトレジストからなる層を除去することで、所望の形状を有する第一密着層33を得る。
次いで、発熱抵抗体31を形成する(図4(b))。本製造方法においては、製造工程の簡略化のため、発熱抵抗体31、配線312及びパッド32を同時に形成する。発熱抵抗体31、配線312及びパッド32の形成においては、まず基板11上の全面に、上述した薄膜形成手段のいずれかを用いて発熱抵抗体31、配線312及びパッド32を形成し、その後にパターニングを行うことが好ましい。
薄膜形成手段としては、量産性の観点から、スパッタリング法を用いることが特に好ましい。
パターニング法としては、発熱抵抗体31の端部に生じるバリを抑制する観点から、ミリング法を用いることが特に好ましい。またミリング法に代えて、リフトオフ法を用いることもできる。リフトオフ法を用いる場合の発熱抵抗体31の形成方法は、第一密着層33の形成方法と同様であるため、ここでの説明を省略する。
発熱抵抗体31を形成した後、必要に応じて、第二密着層34を形成する。第二密着層34は、第一密着層33と同様の方法によって形成することができる。
なお、図4(b)においては、第一密着層33及び第二密着層34の図示が省略されている。
3.発熱抵抗体31の側方及び上方に第四絶縁層124を形成する工程
発熱抵抗体31並びに必要に応じて第一密着層33及び第二密着層34を形成した後、第四絶縁層124を形成する。第四絶縁層124は、基板11上の全面に形成される(図4(c))。第四絶縁層124は、第三絶縁層123と同様の方法によって形成することができる。
以上の工程によって、各絶縁層及び発熱抵抗体31を含む構造体40を得ることができる。
4.ブリッジ構造体20を形成する工程
最初に、基板11よりも上方に位置する絶縁層である第一絶縁層121、第二絶縁層122、第三絶縁層123及び第四絶縁層124における不要箇所を除去する(図4(d))。ここでいう不要箇所とは、目的のデバイス10(図1)において、平面視でブリッジ構造体20又は周縁部24と重ならない箇所を指す。
なお本工程においては、不要箇所の除去と並行して、パッド32上に形成された第四絶縁層124の一部を除去し、パッド32を外部に露出させることができる。
不要箇所の除去は、ドライエッチング法及びウェットエッチング法等のエッチング法によって行うことができる。
ドライエッチング法としては、フルオロカーボンやハロゲンガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)を用いることができる。ウェットエッチング法としては、フッ酸、硝酸、硫酸、リン酸等を用いた等方性エッチング、又はKOH(水酸化カリウム)、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、EDP(エチレンジアミン・ピロカテコール)等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチングを用いることができる。
なかでも、構造体40のエッチングを防ぐ観点から、不要箇所の除去にはRIEを好ましく用いることができる。
次いで、基板11よりも下方に位置する絶縁層である第五絶縁層125及び第六絶縁層126における不要箇所を除去し、その後に基板11における不要箇所を除去する(図4(e))。ここでいう不要箇所とは、平面視において周縁部24と重ならない箇所を指す。
不要箇所を除去する方法は、基板11よりも上方に位置する絶縁層を除去する方法と同様とすることができる。
特に、基板11よりも下方に位置する絶縁層における不要箇所を除去する方法としては、RIEを好ましく用いることができる。また基板11における不要箇所を除去する方法としては、SF(六フッ化硫黄)を用いたエッチングプロセスと、C(オクタフルオロシクロブタン)等のフルオロアルカン系のガスを用いたパッシベーションプロセスを交互に行う、深掘エッチング(DRIE)を好ましく用いることができる。
以上、本発明のガス濃度測定デバイスをその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明はかかる実施形態には制限されない。
例えば、本発明のガス濃度測定デバイスは、ブリッジ構造体20を含む構造を有していなくてもよい。
本発明の上記の実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
〔1〕 通電によって熱を生じる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体を支持するステージと、を有し、
前記発熱抵抗体は、平面視において該ステージと重なっており、
前記発熱抵抗体の抵抗値に基づいて被測定ガス中の被検出対象ガス濃度を測定する、ガス濃度測定デバイス。
〔2〕 前記発熱抵抗体及び前記ステージの合計熱容量が、1.0×10-10J/K以上3.2×10-2J/K以下である、〔1〕に記載のガス濃度測定デバイス。
〔3〕 前記ステージの周縁から延出した一本又は複数本のブリッジを更に備え、ブリッジ構造体を形成している、〔1〕又は〔2〕に記載のガス濃度測定デバイス。
〔4〕 前記被検出対象ガスが酸素ガス、水蒸気又は二酸化炭素ガスである、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔5〕 前記被検出対象ガスが酸素ガスである、〔1〕ないし〔4〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔6〕 前記発熱抵抗体が一連の線条体からなり、
前記一連の線条体は、一本の線条体、又は少なくとも両端部が共通する複数本の線条体からなり、
前記ステージの周縁から少なくとも二本の前記ブリッジが延出しており、
前記一連の線条体が、前記二本のブリッジそれぞれに延在している、〔3〕に記載のガス濃度測定デバイス。
〔7〕 前記ステージの平面視における面積Sが3.6×10μm以下である、〔3〕又は〔6〕に記載のガス濃度測定デバイス。
〔8〕 前記発熱抵抗体及び前記ステージの合計体積をVとし、
前記ステージの平面視における面積をSとしたとき、
S/Vが0.0010μm-1以上10μm-1以下である、〔3〕、〔6〕及び〔7〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔9〕 前記発熱抵抗体の25℃における抵抗温度係数αtが100ppm/℃以上である、〔1〕ないし〔8〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔10〕 前記発熱抵抗体が白金又は白金を含有する合金を含む、〔1〕ないし〔9〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔11〕 被検出対象ガス感応性を有する部材として、前記発熱抵抗体のみを有する、〔1〕ないし〔10〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイス。
〔12〕 〔1〕ないし〔11〕のいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイスを用いた、被測定ガス中の被検出対象ガス濃度の測定方法。
〔13〕 前記発熱抵抗体に通電することによって、前記発熱抵抗体と前記被測定ガスとの温度差を30℃以上にした状態で前記被測定ガス中の被検出対象ガス濃度を測定する、〔12〕に記載の測定方法。
〔14〕 前記被測定ガスが酸素ガスと窒素ガスとを含む、〔12〕又は〔13〕に記載の測定方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
本実施例では、図1ないし3に示すデバイス10を製造した。
<絶縁層の形成>
ケイ素からなる結晶方位<100>、厚さ500μmの基板11を用意した。この基板11を熱酸化し、基板11の表面にSiOからなる第一絶縁層121及び第五絶縁層125を形成した。第一絶縁層121及び第五絶縁層125の厚さはそれぞれ600nmであった。次いで、LP-CVD法を用いることによって、SiNからなる第二絶縁層122及び第六絶縁層126を形成した。第二絶縁層122及び第六絶縁層126の厚さは、それぞれ200nmであった。更に、PECVD法を用いて、SiOからなる第三絶縁層123を第二絶縁層122上に形成した。第三絶縁層123の厚さは1000nmであった。
<発熱抵抗体31の形成>
上述の方法に従い、スパッタリング法を用いて、第一密着層33、発熱抵抗体31及びパッド32、並びに第二密着層34をこの順で第三絶縁層123上に形成した。第一密着層33及び第二密着層34のパターニングにはリフトオフ法を用い、発熱抵抗体31及びパッド32のパターニングにはミリング法を用いた。
発熱抵抗体31及びパッド32の形成に際しては、スパッタリングのターゲット材として、白金からなるターゲット材を用いた。発熱抵抗体31及びパッド32の成膜は、スパッタリング法を用いて行った。
第一密着層33及び第二密着層34の形成に際しては、タンタルからなるターゲット材を用いてスパッタリングを実施した。
発熱抵抗体31の厚さは0.3μmであり、第一密着層33及び第二密着層34の厚さは0.02μmであった。
<第四絶縁層124の形成>
第三絶縁層123と同様の方法によって、第三絶縁層123上にSiOからなる第四絶縁層124を形成した。第四絶縁層124の厚さは4000nmであった。なお、前記の各層の厚さは成膜速度及び成膜時間に基づいて算出した。
<ブリッジ構造体20の形成>
RIEを用いて、基板11よりも上方に位置する絶縁層である第一絶縁層121、第二絶縁層122、第三絶縁層123及び第四絶縁層124における不要箇所を除去した。
次いで、基板11よりも下方に位置する絶縁層である第五絶縁層125及び第六絶縁層126における不要箇所を除去した。第五絶縁層125及び第六絶縁層126における不要箇所の除去にはRIEによって実施して、ガス濃度測定デバイスを得た。基板11における不要箇所の除去には、SFを用いたエッチングプロセスと、Cを用いたパッシベーションプロセスを交互に行うDRIEによって実施した。
〔実施例2〕
本実施例では、図5ないし図7に示すガス濃度測定デバイスを製造した。
まず、ケイ素からなる結晶方位<100>、厚さ290μmのステージ21を用意した。このステージ21の一面に、スパッタリング法によって厚さ0.3μmの発熱抵抗体31及びパッド32を形成した。スパッタリング法のターゲット材としては、白金からなる2インチサイズのターゲット材及びYからなる2インチサイズのターゲット材を用いた。二つのターゲットに同時に電力を供給する共スパッタリング法を用いて成膜を行った。白金についてはDCスパッタリング法を用い、YについてはRFスパッタリング法を用いた。スパッタリングはアルゴンガスを用いて行い、アルゴンガスの流量は50sccmとし、アルゴンガスの圧力は4Paとした。電力はそれぞれ90W、200Wとし、室温でスパッタリングした。発熱抵抗体31はYを25体積%含み、白金を75体積%含むものであった。
2箇所のパッド32、及び該パッド32とは反対側の面の2箇所に白金ペーストを塗布した後、大気下、700℃で1時間焼成することによって、接合部37を形成した。次いで、それぞれの白金ペーストに対して線径50μmのPt線(ブリッジ22)を抵抗溶接によりボンディングした。Pt線のもう一方の端部を端子52に抵抗溶接によってボンディングすることで、ブリッジ22を介してステージ21を端子52に固定し、ガス濃度測定デバイスを得た。
〔実施例3〕
ステージ21としてアルミナからなる厚さ0.26mmの基板を用いた点と、該基板の一面にPtペーストを用い、スクリーン印刷法によって厚さ13μm厚の発熱抵抗体31及びパッド32を形成した点以外は実施例2と同様にして、ガス濃度測定デバイスを製造した。
〔比較例1〕
図8に示すガス濃度測定デバイスを製造した。
実施例3において、発熱抵抗体31をステージ21の一面に形成した後に、ステージ21のもう一方の面に、白金からなる電極61aと、ペロブスカイト型La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83―δ複合酸化物電極61bの間に配置された、ランタンシリケートからなる固体電解質62と、からなるセルを、ステージ21の一面にPtペーストを用いて接着した。次いで、空気雰囲気下、ガラスからなる封止材63を塗布して、2つの電極61a,61bのうち、ステージ21に近い側に位置する電極61aを封止した。これ以外は実施例3と同様にして、ガス濃度測定デバイスを得た。
比較例1のガス濃度測定デバイスは、2つの電極61a,61b間に生じる濃淡起電力に基づいて酸素濃度を測定することができ、発熱抵抗体31は、固体電解質62を加熱するために用いられる。
〔評価〕
<S、V及び熱容量の測定>
実施例1においては、ステージ21を構成する各層及び発熱抵抗体31の厚さは、事前に算出した各層及び発熱抵抗体31の成膜速度から算出した。実施例2及び3においては、ステージ21及び発熱抵抗体31の厚さは、ノギスを用いて測定した。
ステージ21及び発熱抵抗体31の厚さ以外の寸法は、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX―8000)又はノギスを用いて測定した。
以上のようにして測定した各寸法、並びに各層を構成する材料の比熱及び密度に基づいて、ステージ21の平面視における面積S、並びに発熱抵抗体31及びステージ21の合計体積V及び合計熱容量を算出した。これらの結果を表1に示す。
<酸素ガス濃度応答性の測定>
発熱抵抗体に通電した際の発熱抵抗体31の酸素ガス濃度応答性を測定した。測定は、以下の条件で行った。
・通電条件:大気圧下、40mW、80mW、700mW又は1300mWとなる印加電圧にて、定電力駆動
・ガス流量:100sccm
・被測定ガス:酸素ガスと窒素ガスとの混合ガス
・室温(被測定ガスの温度):25℃
被測定ガス中の酸素ガス濃度は以下のとおりとした。
・測定開始後140~240秒後:100体積%
・測定開始後240~340秒後:80体積%
・測定開始後340~440秒後:60体積%
・測定開始後440~540秒後:40体積%
・測定開始後540~640秒後:21体積%
・測定開始後640~740秒後:10体積%
・測定開始後740~800秒後:21体積%
80mWの定電力条件で発熱抵抗体31に通電した際の発熱抵抗体31の抵抗変化率を図9に示す。抵抗変化率は被測定ガス中の酸素濃度が21体積%のときの発熱抵抗体31の抵抗値を基準とした値(ppm)であり、以下の式に基づいて計算される。式中、Rは酸素濃度x体積%での抵抗値を表し、R21は酸素濃度21体積%での抵抗値を表す。
抵抗変化率=(R-R21)/R21×10
また、各定電力条件での通電中、発熱抵抗体31の温度及び室温(被測定ガスの温度)との温度差を表2に示す。
発熱抵抗体31の温度は、放射温度計(FLIR社T640、CLOSE-UP LENS)を用いて酸素濃度21%環境下で測定した。放射率は、実施例1は0.66、実施例2は0.63、実施例3及び比較例1は0.88として測定した。
なお、表2において「-」は未測定を表す。
<感度の算出>
前記<酸素ガス濃度応答性の測定>にて得られた発熱抵抗体31の抵抗変化率(ppm)を被測定ガスの酸素濃度(%)に対してプロットした。次いで、最小二乗法によって回帰直線を求め、該回帰直線の傾きを感度として算出した。この結果を表2に示す。また、80mWの定電力条件で発熱抵抗体31に通電した際における、発熱抵抗体31の抵抗変化率と酸素濃度との関係を表すグラフを図10に示す。
<応答速度の評価>
実施例3及び比較例1のガス濃度測定デバイスにおいて、酸素ガス濃度を60%から90%に変化させた後に、センサ出力の10%から90%までの応答にかかる時間を応答速度(sec)として比較した。実施例3のセンサ出力は発熱抵抗体の抵抗値であり、比較例1のセンサ出力は2つの電極間に生じた起電力値である。通電条件は1300mWの定電圧条件とした。比較例3の流量は50sccmとした。これ以外の条件は前記<酸素ガス濃度応答性の測定>と同様とした。この結果を表2に示す。
<発熱抵抗体の抵抗温度係数αtの測定>
ホット・コールドステージ(INSTEC社製)を用い、被測定ガス中の酸素濃度が21体積%、25℃のときの発熱抵抗体31の抵抗値を基準として、基板を500℃まで加熱したときの発熱抵抗体の抵抗値の変化率(R500-R25)/R25/(500―25)×10(ppm/℃)(式中、R500は500℃における抵抗値を表し、R25は基準温度25℃での抵抗値を表す。)を測定した。
この結果を表1に示す。
Figure 0007503226000001
Figure 0007503226000002
図10及び表2に示すとおり、被測定ガス中の酸素ガス濃度と、発熱抵抗体31の抵抗値とは良好な直線関係を示した。したがって、本発明のガス濃度測定デバイスは、簡便な製造が可能であるにもかかわらず、被測定ガスが酸素ガスと窒素ガスとを含む場合であっても、酸素ガス濃度を高い精度で測定可能であると分かる。これに対し、比較例1のガス濃度測定デバイスは、その製造工程が煩雑になるという点に改善の余地があった。
本発明によれば、簡便に製造可能なガス濃度測定デバイスが提供される。

Claims (11)

  1. 通電によって熱を生じる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体を支持するステージと、を有し、
    前記発熱抵抗体は、平面視において該ステージと重なっており、
    前記ステージの平面視における面積Sが3.6×10 μm 以下であり、
    前記発熱抵抗体及び前記ステージの合計体積をVとしたとき、
    S/Vが0.0010μm -1 以上10μm -1 以下であり、
    前記発熱抵抗体の抵抗値に基づいて被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定する、ガス濃度測定デバイス。
  2. 前記発熱抵抗体及び前記ステージの合計熱容量が、1.0×10-10J/K以上3.2×10-2J/K以下である、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  3. 前記ステージの周縁から延出した一本又は複数本のブリッジを更に備え、ブリッジ構造体を形成している、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  4. 前記発熱抵抗体が一連の線条体からなり、
    前記一連の線条体は、一本の線条体、又は少なくとも両端部が共通する複数本の線条体からなり、
    前記ステージの周縁から少なくとも二本の前記ブリッジが延出しており、
    前記一連の線条体が、前記二本のブリッジそれぞれに延在している、請求項3に記載のガス濃度測定デバイス。
  5. 前記発熱抵抗体の25℃における抵抗温度係数αが100ppm/℃以上である、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  6. 前記発熱抵抗体が白金又は白金を含有する合金を含む、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  7. 被検出対象ガス感応性を有する部材として、前記発熱抵抗体のみを有する、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  8. 前記被測定ガスが酸素ガスと窒素ガスとを含み、
    前記被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定する、請求項1に記載のガス濃度測定デバイス。
  9. 請求項1ないしのいずれか一項に記載のガス濃度測定デバイスを用いた、被測定ガス中の酸素ガス濃度の測定方法。
  10. 前記発熱抵抗体に通電することによって、前記発熱抵抗体と前記被測定ガスとの温度差を30℃以上にした状態で前記被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定する、請求項に記載の測定方法。
  11. 前記被測定ガスが酸素ガスと窒素ガスとを含む、請求項10に記載の測定方法。
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