JP7426804B2 - 操舵装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両に衝突が生じた場合でも、運転者の体がステアリングホイールと接触する可能性を低減でき、また、運転者が意図しないステアリング操作を行いにくい操舵装置等を提供することを目的とする。
ここでは、まず、操舵装置の第1の実施形態について説明を行う。
第1の実施形態の操舵装置では、エアバック装置から衝突情報が取得されると、ステアリングホイールの位置を制限する制御を行う。
図1は、第1の実施形態に係る操舵装置100の概略構成を示す図である。
操舵装置100は、いわゆる電動パワーステアリングにより車両を操舵する装置である。即ち、操舵装置100は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両に適用した構成を例示している。
ステアリングホイール101には、エアバック装置120が配され、車両に衝突が生じたときに、エアバックを展開させることで、運転者に与える衝撃を緩和する。エアバック装置120には、衝突検知センサ121が内蔵され、この衝突検知センサ121により検出された衝突検知信号に基づき、エアバックが展開する。衝突検知センサ121としては、加速度センサ等が用いられる。尚、衝突検知センサ121は必ずしもエアバック装置120に内蔵されていなくても良い。
そして、ステアリングシャフト102には、ステアリングホイール101をロックするステアリングロック機構180が配される。ステアリングロック機構180は、例えば、車両の無断使用や盗難等を防止するためキーが施錠状態のときに、ステアリングシャフト102を回転させないようにする機構である。また、詳しくは後述するが、車両に衝突が生じた際に作動し、ステアリングシャフト102を回転させないようにする。これにより、ステアリングホイール101が回転しなくなり、ステアリングホイール101の位置が制限される。
そして、操舵装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109の出力値であるトルク信号Td、車両の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170の出力値である車速信号vが入力される。即ち、車速信号vは、車速を表す信号である。また、制御装置10には、衝突検知センサ121が検知した情報が、衝突情報Cとして、入力される。さらに、制御装置10は、運転者に対し警告する警告手段の一例であるスピーカ190により、音声による警告を発報する。制御装置10は、例えば、電子制御ユニット等からなる。本実施の形態では、制御装置10は、操舵装置用の制御装置として機能する。
次に、本実施形態の制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等からなる。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて車両の速度に応じて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vが入力される。またさらに、上述した衝突検知センサ121が検知した情報が、衝突情報Cとして入力される。
そして、制御装置10は、トルク信号Tdに基づいて目標トルクを算出し、この目標トルクを電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流ITFを算出する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流ITFに基づいてフィードバック制御などを行う制御部30とを有している。また、詳しくは後述するが、制御部30は、衝突情報Cを基に、ステアリングホイール101の位置を制限するために、ステアリングロック機構180を作動させる制御信号Hfを出力する。さらに、制御部30は、衝突情報を取得した際に、スピーカ190に警告を行うための音声信号を出力する。
次に、制御部30の機能構成について詳述する。
図3は、第1の実施形態における制御部30の機能構成について説明したブロック図である。
図示する制御部30は、衝突情報Cを取得する信号取得部31と、ステアリングロック機構180を作動させる制限部32と、警告を発する警告制御部33とを備える。
信号取得部31は、取得手段あるいは信号取得部の一例であり、車両に対し衝突が生じた情報又は衝突が生じると予測した情報である衝突情報Cを取得する。衝突情報Cは、エアバック装置120から出力され、信号取得部31がこれを取得する。尚、衝突情報Cは車両に設けられる衝突が検知できるセンサを用いて出力しても良い。また、車両には、衝突が予測できるセンサ(例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、360度カメラ、ミリ波レーダー等)を設けても良く、その場合には衝突を予測することができる。
図4は、第1の実施形態における制御部30の動作について説明したフローチャートである。
まず、信号取得部31は、衝突情報Cを取得したか否かを判断する(ステップ101)。
その結果、取得していない場合(ステップ101でNo)、処理を終了する。
対して、取得した場合(ステップ101でYes)、制限部32が、ステアリングロック機構180を作動させ、ステアリングホイール101の位置を制限する(ステップ102)。
そして、警告制御部33が、スピーカ190により、運転者に対し警告を行う(ステップ103)。
実際には、ステップ101~ステップ103の処理を、予め定められた時間間隔で繰り返す。
尚、ステップ103の警告制御は、衝突情報を取得するステップ101の後段に設けても良い。この場合、衝突情報Cを検知した際に直ぐに運転者への警告を行う事ができるため、よりすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
また、ステップ102のステアリングホイール101の位置制限制御と、ステップ103の警告制御は、同時に行っても良い。
また、衝突を予測するセンサを設ける場合には、ステップ101の前段に衝突を予測できる情報を取得し、予告警告を行う機能を設けても良い。その場合、さらにすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
この場合、まず、信号取得部31は、衝突情報Cとして、衝突が生じると予測した情報を取得したか否かを判断する(ステップ201)。なおここでは、衝突が生じると予測した情報を、衝突予測情報として図示している。
その結果、取得した場合(ステップ201でYes)、警告制御部33が、スピーカ190により、衝突が生じうる旨を警告する予告警告を運転者に対し行う(ステップ202)。
その結果、取得していない場合(ステップ203でNo)、処理を終了する。
対して、取得した場合(ステップ203でYes)、警告制御部33が、スピーカ190により、運転者に対し警告を行う(ステップ204)。
そして、制限部32が、ステアリングロック機構180を作動させ、ステアリングホイール101の位置を制限する(ステップ205)。
なお、図1では、エアバック装置120は、前面衝突用エアバック装置として図示したが、これに限られるものではない。例えば、側面衝突用エアバック装置としてもよい。
次に、操舵装置100の第2の実施形態について説明を行う。
第2の実施形態の操舵装置100では、衝突が検知されたとき、エアバックが展開する条件に満たないときにステアリングホイール101の位置を制限する制御を行う。また、第1の実施形態では、エアバック装置は、前面衝突用エアバック装置とは限らなかったが、第2の実施形態では、エアバック装置として、前面衝突用エアバック装置を利用する。
図6は、第2の実施形態に係る操舵装置100の概略構成を示す図である。
図示する操舵装置100は、図1に示した第1の実施形態に係る操舵装置100に比較して、側方又は後方用の衝突検知センサ175が加わる点で異なり、他は同様である。
衝突検知センサ175は、前面衝突用エアバック装置120Fとは、別の場所に設けられる。この場所は、例えば、車両の後方、側方であり、車両の前面以外の衝突を検知するものである。衝突検知センサ175は、衝突を検知できるものであれば、特に限られるものではないが、加速度を検知する加速度センサとすることができる。衝突検知センサ175で、衝突が検知された場合、前面衝突用エアバック装置120Fと同様に、衝突情報を出力する。ここでは、両者を区別するために、以下、前面衝突用エアバック装置120Fから出力された衝突情報を衝突情報CA、衝突検知センサ175から出力された衝突情報を衝突情報CBとし、これらを合わせて衝突情報Cと言うことがある。
次に、制御部30の機能構成について詳述する。なお、制御装置10の全体構成は、図2と同様である。
図7は、第2の実施形態における制御部30の機能構成について説明したブロック図である。
図示する制御部30は、図3に示した制御部30で示した、信号取得部31、制限部32および警告制御部33の他に、HIC(頭部傷害基準:Head Injury Criterion)値を抽出する抽出部34と、HIC値と予め用意された閾値との比較を行う比較部35と、閾値を保存する保存部36とをさらに備える。
図7において、信号取得部31は、前面衝突用エアバック装置120Fより得られた衝突情報CAと衝突検知センサ175より得られた衝突情報CBを取得する。
図8は、第2の実施形態における制御部30の動作について説明したフローチャートである。
まず、信号取得部31は、衝突情報Cを取得したか否かを判断する(ステップ301)。
その結果、取得していない場合(ステップ301でNo)、処理を終了する。
対して、取得した場合(ステップ301でYes)、制限部32は、衝突情報Cの種類を判別する(ステップ302)。即ち、衝突情報Cが、衝突検知センサ121から出力された衝突情報CAであるか、衝突検知センサ175から出力された衝突情報CBであるかを判別する。
対して、衝突情報Cの種類が、衝突情報CAと衝突情報CBとの双方であった場合(ステップ302でCA+CB)、抽出部34が、衝突情報CAから、HIC値を抽出する(ステップ305)。
そして、抽出されたHIC値が、閾値内の1000未満であり、エアバックが展開する条件を満たさない場合(ステップ306でYes)、エアバックの展開要件の閾値内であるとして、制限部32が、ステアリングロック機構180を作動させ、ステアリングホイール101の位置を制限する(ステップ303)
対して、抽出されたHIC値が閾値内でない1000以上であり、エアバックが展開する条件を満たす場合(ステップ306でNo)、エアバックの展開要件の閾値内でないとして、処理を終了する。即ち、この場合、制限部32は、ステアリングロック機構180を作動させない。
実際には、ステップ301~ステップ306の処理を、予め定められた時間間隔で繰り返す。
尚、ステップ304の警告制御は、衝突情報を取得するステップ301の後段に設けても良い。この場合、衝突情報Cを検知した際に直ぐに運転者への警告を行う事ができるため、よりすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
また、ステップ304の警告制御は、ここで説明したフローチャートとは独立して行っても良く、衝突情報を取得した際に、ステップ302以降の制御と警告制御を同時に行っても良い。
また、衝突を予測するセンサを設ける場合には、ステップ301の前段に衝突を予測できる情報を取得し、予告警告を行う機能を設けても良い。その場合、さらにすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
そして、制御部30は、前面衝突用エアバック装置120Fによる衝突情報CAが取得されない場合でも、衝突検知センサ175による衝突情報CBが取得されたときにはステアリングホイール101の位置を制限する(上記ステップ302でCBのみの場合)。
また、制御部30は、衝突情報CAと衝突情報CBの双方が取得されたときに、前面衝突用エアバック装置120Fにより検知された衝突情報CAとして、前面衝突用エアバック装置120Fが作動しない条件に満たないときにステアリングホイール101の位置を制限する(上記ステップ306でYesの場合)。
一方、前面衝突用エアバック装置120Fにより検知された衝突情報CAとして、前面衝突用エアバック装置120Fが作動する条件の際にステアリングホイール101の位置を制限しない(上記ステップ306でNoの場合)。
次に、操舵装置100の第3の実施形態について説明を行う。
第3の実施形態の操舵装置100は、ステアリングホイール101と車輪150とが機械的に分離するステアバイワイヤ方式の電動パワーステアリング装置である。
図9は、第3の実施形態に係る操舵装置100の概略構成を示す図である。
図示する操舵装置100は、図6に示した第2の実施形態に係る操舵装置100に比較して、ステアバイワイヤ方式の電動パワーステアリング装置である点で異なる。
以下、図6に示した操舵装置100と異なる点を中心に説明を行う。
本実施の形態の操舵装置100は、ステアリングホイール101と、ステアリングホイール101の操舵角を検出する操舵角センサ131と、ステアリングホイール101を介して運転者に対し操舵反力を与える反力装置132と、衝突検知センサ121を内蔵する前面衝突用エアバック装置120Fとを備える。
一方、本実施の形態の操舵装置100は、図6に示した操舵装置100と同様に、タイロッド104、ラック歯105aが形成されたラック軸105、ピニオンシャフト106の下端部に形成されるピニオン106a、およびステアリングギアボックス107を有する。さらに、図6に示した操舵装置100と同様に、電動モータ110、減速機構111および制御装置10を有する。
次に、制御装置10について説明する。
図10は、制御装置10の概略構成図である。
図示する制御装置10は、図2に示した制御装置10と比較して、トルク信号Tdのかわりに、操舵角センサ131にて検出された操舵角Sが出力信号に変換された操舵角信号Sdが入力される点で異なる。
そして、目標電流算出部20は、操舵角信号Sdに基づいて目標トルクを算出し、この目標トルクを電動モータ110が供給するのに必要となる目標電流ITFを算出する。そして、制御部30が、目標電流算出部20が算出した目標電流ITFに基づいてフィードバック制御などを行う。
第3の実施形態における制御部30の機能構成は、図7に示したブロック図と同様である。
この制御部30は、例えば、以下のように動作する。
図11は、第3の実施形態における制御部30の動作について説明したフローチャートである。
まず、信号取得部31は、衝突情報Cを取得したか否かを判断する(ステップ401)。
その結果、取得していない場合(ステップ401でNo)、処理を終了する。
対して、取得した場合(ステップ401でYes)、制限部32は、電動モータ110と反力装置132とを独立制御するように切り換える(ステップ402)。つまり、制限部32は、信号取得部31が衝突情報Cを取得したときに、電動モータ110と反力装置132とを別々に制御する。さらに具体的には、この後の条件を満たすときに、制限部32は、反力装置132により、ステアリングホイール101の位置を制限する制御を行う。この場合、制御部30は、制御信号Hfとして、反力装置132を制御する信号を出力する。そして、制限部32は、電動モータ110により、衝突に対する回避行動をする制御を行う。この回避行動は、例えば、衝突した対象の反対側に車両を向けるように車輪150を転舵させる動作である。
対して、衝突情報Cの種類が、衝突情報CAと衝突情報CBとの双方であった場合(ステップ403でCA+CB)のステップ406~ステップ407の処理は、図8のステップ305~ステップ306の処理と同様である。
実際には、ステップ401~ステップ407の処理を、予め定められた時間間隔で繰り返す。
尚、ステップ405の警告制御は、衝突情報を取得するステップ401の後段に設けても良い。この場合、衝突情報Cを検知した際に直ぐに運転者への警告を行う事ができるため、よりすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
また、ステップ405の警告制御は、ここで説明したフローチャートとは独立して行っても良く、衝突情報を取得した際に、ステップ402以降の制御と警告制御を同時に行っても良い。
また、衝突を予測するセンサを設ける場合には、ステップ401の前段に衝突を予測できる情報を取得し、予告警告を行う機能を設けても良い。その場合、さらにすばやく運転手が防御姿勢をとる事ができる。
また、第3の実施形態では、反力装置132により、ステアリングホイール101の位置を制限したが、第1の実施形態および第2の実施形態のように、ステアリングロック機構180により行ってもよい。
さらに、上記形態に加え、衝突の際の記録を保存してもよい。衝突の際の記録は、例えば、ドライブレコーダ等を使用することで行う。
Claims (7)
- 運転者によるステアリングホイールの操作に応じ、前記ステアリングホイールと機械的に分離した車輪を転舵させる転舵装置と、
前記ステアリングホイールを介して運転者に操舵反力を与える反力装置と、
車両に対し衝突が生じた情報である衝突情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記衝突情報に基づいて、前記反力装置により前記ステアリングホイールの位置を制限する制限手段と、
を備える操舵装置。 - 前記制限手段は、操舵装置に設けられた前面衝突用エアバック装置により検知された前記衝突情報を基に、前記ステアリングホイールの位置を制限することを特徴とする請求項1に記載の操舵装置。
- 前記制限手段は、操舵装置に設けられた前面衝突用エアバック装置による前記衝突情報が取得されない場合でも、前記前面衝突用エアバック装置とは別の場所に設けられて衝突を検知するセンサによる前記衝突情報が取得されたときには前記ステアリングホイールの位置を制限することを特徴とする請求項2に記載の操舵装置。
- 運転者によるステアリングホイールの操作に応じ、前記ステアリングホイールと機械的に分離した車輪を転舵させる転舵装置と、
前記ステアリングホイールの回転をロックするステアリングロック機構と、
車両に対し衝突が生じた情報である衝突情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記衝突情報に基づいて、前記ステアリングロック機構により前記ステアリングホイールの位置を制限する制限手段と、を備える操舵装置。 - 前記制限手段は、操舵装置に設けられた前面衝突用エアバック装置により検知された前記衝突情報を基に、前記ステアリングホイールの位置を制限することを特徴とする請求項4に記載の操舵装置。
- 前記制限手段は、操舵装置に設けられた前面衝突用エアバック装置による前記衝突情報が取得されない場合でも、前記前面衝突用エアバック装置とは別の場所に設けられて衝突を検知するセンサによる前記衝突情報が取得されたときには前記ステアリングホイールの位置を制限することを特徴とする請求項5に記載の操舵装置。
- 前記取得手段が前記衝突情報を取得した際に、運転者に対し警告する警告手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の操舵装置。
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